質実剛健を旨とするサムライの国、FVBでは日々の食事はおおむね質素である。

もちろん、ハレとケの区別はあるし、活動に支障をきたすようなカロリー不足にはならないよう留意している……はずだ。

世の中には「武士は食わねど高楊枝」という言葉があるけれど、少なくともそれだけはFVBにはあてはまらない。

なんといっても、FVBには幻燈使い(東国人+サイボーグ+理力使い+幻影使い) がいる。だから、どんなにお腹が減ったときでも、幻燈使いがひょいと杖を一降りすれば、そこには食べたこともないようなごちそうが現れる。時には、優しかったおばあさんに会えることだってある。だから、おなかなんてちっとも減らないやい。世の中にはご飯も食べられずに泣いている人だって大勢いるんだ……って、えっと、なんの話をしていたっけ……そうそう。FVBは質実剛健な民の国であり、ちょっとやそっとの苦労じゃへこたれないってことを言いたかったのだ。

 




質素倹約の国FVBはまた米どころでもある。みんなお米のご飯が大好きだ。

もちろん、パンだってきらいというわけじゃない。

でも、ちょっと考えてみて欲しい。朝、目を覚まして最初に感じるのが、トーストのこんがり焼ける匂い、コーヒーの香り、そしてフライパンでじゅーじゅー歌っている目玉焼きというのがいいのか、それともことことまな板でお葱を刻む包丁の音で目を覚まし、お米の炊きあがる匂い、ほんのりただよう味噌汁の香りを感じながら1日を始めるのがいいのか……って、どっちも捨てがたいな……。

まあ、そんなわけで、FVBの朝食はご飯だったり、パンだったりする。中にはパンをおかずにご飯を食べる人がいるかもしれないけれど、それはまあ特殊な嗜好だと信じたい。

でも、やはり人気があるのは、土鍋で炊きたての白いご飯に、お味噌汁、そしてお漬け物。好みで焼ジャケとかハムエッグとか温泉玉子がついたりする。

土鍋でご飯を炊くのは、タイマーが使えないことを除けば、そんなに面倒くさくないし時間もかからない。むしろカリッとしたおこげができて嬉しい。

お味噌汁は、赤か白か迷った果てに、合わせ味噌を使ったり豆味噌に走ったりする。具は旬ならしじみとかタケノコとか。タマネギというのも捨てがたいけれど、ここはとりあえず青さ海苔と豆腐の味噌汁を推薦しておこう。

 


お昼ご飯はさらに簡単だ。 

お昼はだいたい仕事の途中で食べるものだから、おおむね握り飯か、おにぎりか、おむすびか、乾飯。まあ、戦闘糧食とほとんど変わりないと言っていいだろう。常在戦場。

 

でも、年がら年中贅沢してちゃいけないけれど、365日質素倹約ではやりきれない。

だいたい人間の三大欲の1つである食欲を満たさずして、他の活動を満足にこなせるはずもない。

そんなわけで、普段の食事は一汁三菜とかかなり質素なのだけれど(「一汁三菜の何処が質素?」という意見あり)、なにか祝い事や行事など機会をみつけては仲間で集まって呑んで騒ぐ。これぞ人間、これぞ人生!

夜のお楽しみに限ったことではないけれど、正月、桃の節句、花見、誰かの誕生日、誰かの国民登録日、戦さに勝った、負けた、恋人にふられた、結婚の申し込みにOKもらった……とにかく何でも口実をみつけて騒ぐのもFVB流である。

ただ最近は海賊や水夫が仲間に加わってきたため、宴におけるアルコール消費量がウナギ登りなのが要注意だ。彼らにつきあっていると、ラム、エール、ラム、エール、泡盛、ラム、エール、ラム、焼酎と際限がない。まったく恐ろしいことである。

米どころFVBなのだ。せめて日本酒を呑みたまえ!

 

【文:曲直瀬りま@天戸文族 絵:曲直瀬りま@FVB地戸技族(17-00326-01)】

最終更新:2008年06月14日 10:51