町がまた明るくなった。
防犯目的にFVBが購入した本数は、なんと4セット、40本である。ちょっとしたものいりではあるけれど、すべて美しい夜を守るための投資なのです。
しかし、せっかく街灯を設置するのになら、単に防犯灯機能だけのものではなく、ちょっとおしゃれに街を明るくするタイプのものが良いのではないか。
そんな考えから、他所の藩国とはちょっと基本シルエットが異なるものとなりました。
FVBの街並に設置された街灯は、昔ながらの行灯・常夜灯のデザインを活かし、東国人の街並にふさわしいものになりました。
この街灯に照らし出された街並では、単に夜道を行く人の足元が明るくなっただけではなく、夜でも昼のように明るい街に出て、食事や買い物をしようという人も増えているようです。
今までより、街全体の夜が少し遅くなり、行き交う人々で街はにぎやかになりました。経済効果もなかなかありそうです。
ただ、夜遅くまで人通りが絶えないことで治安の悪化を心配する声はありました。
しかし、そこは町奉行所が夜回りを少し増やし、夜遅くまで遊んでいる子供や若者に声をかけていくことで、現時点ではさほど悪影響はないようです。
FVBに美しい夜がやってきたのです。
街灯の登場によって、FVBの風俗が少しずつ変わっていくようになりましたが、その代表格が「夜店」です。
普通、夜店とは祭の縁日などの際に沿道に立ち並ぶものですが、FVBの夜店は「祭でもなんでもないのに」夜の街並に屋台が並ぶのです。
これは、今までFVBの店舗が夜の街並に対応していなかったからかも知れません。街灯が設置され、夜の人通りが増えたのに、店舗のライトアップが追いつかないので、それなら夜店を出した方が簡単で良いということになったようです。
ですから、FVBの夜店は、外から流れてきたテキ屋が出す店はほとんどありません。あっても、昔ながらの神社のお祭りの常連だったテキ屋のようです。そのほとんどはもともとの商店が、自分の店の前に臨時の店を出すという感じのものです。
お好み焼き屋の店の前にはお好み焼きの屋台が出て、店の中のテーブルを幾つか引きずり出したような場所で焼きたてのお好み焼きを食べさせます。御茶屋の 前には緑茶風の飲物を供する屋台が登場し、普通の事務所のような建物の前にはフリーマーケットのように雑貨や古着を並べた店があったりします。
みんな楽しそうに、飲み、食べ、買い物し、冷かして回っています。
もちろん、街灯設置前でも街には灯りはありました。常夜灯も店舗の行灯もあったのです。なにが、そんなに変わったのでしょうか?
街灯がFVBにもたらしたものは、単なる「明かり」ではなく、「安心」だったのかもしれません。
さて、頻繁に起こっては困るけれど、何も対策しないで放置しておくと困るのが灯火管制。
戦争になって、国土が敵の攻撃目標となった場合、街に灯りが煌々と輝いていては良い目標です。もちろんハイテク全盛の現代では、単に外に灯りが漏れないようにしているだけでは不十分。熱源を探知されてしまえば、街灯をいくら消していても動力が稼働しているポイントは一目瞭然です。
しかし、だからといって街の灯りを目標に軌道から砲撃されても面白くありませんから、やるだけのことをやっておかねばなりません。
そこで非常時にどれだけ迅速に灯火管制ができるか、考えて対策を用意しておかねばなりません。
FVBの街灯は、日没時にセンサーで自動点灯し、日の出と共に消灯するシステムになっていますが、宇宙開発センターが警報を発するや否や、即座にすべての街灯が消灯するようにもなっています。
宇宙開発センターは、あらゆる意味でFVBの中心拠点となっているといえるでしょう。
★申請 10/19