FVBは総合都市計画について定義し、防災対策ならびに都市発展の道筋について定める。(曲直瀬りま:摂政・法官2級)

 

 ★東国人都市の弱点

  FVBは東国人の国である。これが何を意味するかというと、住居の多くが紙と木でできているということである。
  紙と木の家は四季を身近に感じられるという意味できわめて東国人好みであるが、一方、防災担当者にとっては悪夢であった。
災害に対して脆弱なのである。
  3匹のこぶたの長男次男を襲った悲劇を思い起こして欲しい。耐久性に難があるし、とにかくすぐに燃えるのだ。第二次大戦中、トーキョーを爆撃した米空軍は焼夷弾で紙と木の町を焼き払ったが、人々は爆撃に巻き込まれなくても、それによって発生した火災から生き延びることができなかった。

  だが、ターンの進行が逆に問題を簡単にしてしまった。

  3匹のこぶたの物語ではものすごい突風もレンガの家は吹き飛ばせなかったが、衛星軌道からのレーザー砲撃や核弾頭の前には紙の家もレンガの家も大差は無い。ルメイの焼夷弾爆撃などのレベルはとっくに超えてしまったのだ。
  普通に火災にだけ気をつければ良いと割り切るのは難しくなかった。

 

 

 ★都市計画と防災

  防災を目的に、消防署が設置される一方で、市民による消防団の発足、日常的な消防訓練や広報活動が行われるようになったが、都市計画においてもさまざまな施策が試みられている。

  都市計画の第一は「道路」である。

  城下町を東西南北に割る道路についてはその道路幅の広さが話題となり「バカ道路」と陰口を叩かれることもあったが、これも将来の交通量を見越してというより、防火帯である「火除け地」として要求されたものであった。それ以外の道路についても、主要道路は道幅13メートル以上、これに5メートルの歩行者道路と自転車専用道を併設するものとし、横町筋についても最低6メートルの道幅が必要と定めたのである。

  第二は「広場」である。

  100メートル四方につき、その面積の10パーセントを緩衝地帯とするための会所地(共有の空き地)に充てるものとし、そこに防災倉庫を設置して非常用の資材や消火器具を配置。その管理目的を口実に町内をまとめ組織化した。また、この会所地は普段は子供の遊び場等になっているらしい。

   第三は「水」である。

  城下町にはそれとは別に浅い水路や用水地が各所に設置されている。それは子供が水遊びしたり釣りをするためではなく、非常用の水源とするのが第一の目的である。もちろん消火栓も設置されているが、FVBではそれで足りるとは考えず、常に二重三重のバックアップシステムを用意するよう心がけているのだ。

  最後に「建物」である。

  新たに建築または修繕する建物の屋根は草葺や板葺ではなく、火に強い軽量瓦葺を要求し、また建物本体についても土蔵造や塗家を推奨し建築許可を優先した。また、こうした防災に優れた建築については助成金で後押ししている。

  こうした都市計画は当初は進みが遅かったが、FVB逆進攻後の戦災からの都市復興で完全に軌道に乗る形となっている。

 

 ★両極は一致する

  FVBは時代後れの国家である。同時に最先端の宇宙国家である。

  かたや紙と木の家、こなた鋼鉄の宇宙船。まったく違ったものが同居しているようではあるが、決して矛盾しているものではない。

  開放的な環境と閉鎖的な環境という違いはあれど、要の人間同士のコミュニケーションを中核とし、常に周囲の環境に対して最適の方法を選択するという実利追求の姿に変わりはないのである。

 

 

 L:都市防災計画 = {
 t:名称 = 都市防災計画(政策)
 t:要点 = 防火帯,防火用水,緩衝地帯
 t:周辺環境 = 塗家,広い道路
 t:内容 = {

 *防火帯 = 側面:延焼を防ぐ広い道路と緑地
 *防火用水 = {
  側面:防火水槽
  側面:用水地
  側面:消火栓

 *耐火建築 = {
  側面:軽量瓦
  側面:塗り壁
  側面:耐火塗装

 }}

最終更新:2008年12月12日 09:58