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*パンドラの塔 君のもとへ帰るまで
【ぱんどらのとう きみのもとへかえるまで】
|ジャンル|アクションRPG|&amazon(B004VPXR64)|
|対応機種|Wii|~|
|メディア|12ch光ディスク 1枚|~|
|発売元|任天堂|~|
|開発元|任天堂、ガンバリオン|~|
|発売日|2011年5月26日|~|
|定価|6,800円|~|
|プレイ人数|1人|~|
|セーブデータ|8ブロック使用(最大セーブデータ数は3個)|~|
|周辺機器|ヌンチャク、クラシックコントローラ、同PRO対応|~|
|レーティング|CERO:C(15歳以上対象)|~|
|分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
**概要
Wiiリモコンのポインティングを最大限に使ったアクションRPG。ヒロインが呪いによって異形の怪物に変貌する、ダンジョン探索に制限時間がある、グロテスクでダークな雰囲気など、Wiiのソフトとしてはあまり類を見ないゲームとして話題になった。
**ストーリー
美しき少女セレスと彼女に助けられて共に暮らしていた青年エンデ。セレスは神に賛歌を捧げる収穫祭の巫女に選ばれるが、その舞台上で醜い怪物に変化してしまう「獣の呪い」にかかってしまう。「獣の呪い」に詳しいドヴェルグ族の老婆グライアイに導かれ、エンデとセレスは呪いを解くことが出来るという十三訃塔へと旅立つ。いつかまた一緒に暮らす日々を夢見て…。
**世界観
-舞台となるのはグラエキア大陸に存在する国の一つ、エリュシオン王国。アテナイを含む同盟国との戦争は終結したものの、国境付近ではいまだに小競り合いが続いている。ここには「爪痕」と呼ばれる巨大な大渓谷があり、その中央に鎖で大地につなぎとめるように固定されているのが「十三訃塔」である。
--エリュシオン王国…多神教であるエオス教を国境とする農業国。軍事力には乏しく、かつて「十三訃塔」で軍事実験を行っていたらしい。
--アテナイ…軍事大国であり、つい最近までエリュシオンと戦争をしていた。軍事力は持っているものの、農業にあまり向いている土地ではないらしく、国民は貧しい暮らしを送っている。
--ドヴェルグ族…行商をして暮らす放浪の民。はるか昔に自分たちの国を失ったらしい。オレイカルコスの鎖など、不思議な力を持つ。
--エオス教…この世を構成する六つの理と、それを生み出すそれぞれの男女神を祀る。
--十三訃塔…爪痕に浮かぶ十三の塔。下僕と呼ばれる怪物が闊歩し、最深部には強大な力を持つ主が鎮座する。かつてはエオス教の神殿であったらしい。
--獣の呪い…徐々に醜い怪物に変化してしまう呪い。セレスの他にも大陸中で勃発しているらしく、呪いを解くためには十三訃塔の各塔に鎮座する「主」という怪物の肉が必要で、進行した呪いは外僕という怪物の肉を食すことで食い止めることが出来る。獣化してしまったセレスも外僕の肉を食べさせれば元の姿に戻すことが出来る。
**登場人物
-エンデ(cv.千葉 進歩)
--アテナイ出身の無口な青年。22歳。アテナイとエリュシオンの戦争で傷つき、倒れたところをセレスに助けられ、以後セレスと一緒に暮らしていた。獣の呪いにむしばまれたセレスを救うため、オレイカルコスの鎖を手に十三訃塔へと向かう。
-セレス(cv.能登 麻美子)
--エリュシオン出身でエオス教徒。18歳。収穫祭で獣の呪いにかかってしまい、呪いを解くために十三訃塔へエンデとともにやってきた。
--怪物と戦うエンデのために自分のできることをしようと決意し、努めて明るくふるまい、家事や古書の翻訳など、健気に尽くしてくれる。裁縫は得意だが、あまり料理は得意ではないらしい。
-グライアイ(cv.谷 育子)
--ドヴェルグ族の老婆。二人を十三訃塔に導き、エンデにオレイカルコスの鎖を貸し与えた。
--エリュシオン軍から二人をかくまい、十三訃塔についての情報や武器の錬成、アイテムの売買・合成などをしてくれる。「獣の呪い」についても詳しいようだが、謎の多い人物でもある。背中に背負っているのはグライアイの夫らしい。
**システム
-各塔にはそれぞれ最深部に「主」がおり、主の持つ特殊な肉、主肉を手に入れるために塔の探索を行う。
--主の部屋は鎖で封印されているため、塔内の各封印鎖を解除しなければならない。封印鎖はオレイカルコスの鎖を打ちこむことで解除できる。
-基本となるアイテムは「オレイカルコスの鎖」。リモコンのBボタンを押してレバー、壁の突起などのポイントに打ち出しことで様々なアクションや別の場所への移動を行って、塔内の探索を進める。
--Wiiリモコンでポイントするだけで狙いがつけられ、直感的な操作が可能。鎖を打つことのできる場所はポインターが変化する。もちろんクラシックコントローラーにも対応。
-固定カメラ方式であり、一定のエリアに応じて視点が自動的に変化する。
-塔内にいる間は獣化ゲージが減少していく。一定値以下になるとセレスの獣化が進み、0になるとゲームオーバーとなってしまうため、一定時間で監視塔に帰らなければならない。このゲームの最大の特徴とも言える要素。
--特定の場所でショートカットとなる梯子を降ろすことが出来、帰るだけならばほとんどの場所から飛び降りることが出来るのでそれほど時間はかからない。高所から落ちても受け身をとればノーダメージで済む。
-獣化ゲージは獣肉をセレスに与えることで回復させることが出来る。新鮮なものほど回復値は高く、塔に行くたびに肉は持って帰らなければならない。
--肉は「外僕(雑魚)」にダメージを与えて瀕死にし、特定部位から引き抜くことで入手できる。他の部分を引き抜くとアイテムが手に入る。
-落ちているアイテムは鎖を打つだけで回収することが出来る。また、塔内には時間に応じて、その塔固有の特殊なアイテムが落ちており、合成や錬成の材料となる。
--時間は監視塔で眠ることで調整できる。固有アイテムの情報はグライアイから聞くことが出来る。
-各種チュートリアルはアーカイヴという形で紙片の項にまとまっており、最初からすべて見ることが出来る。
-拠点となる監視塔では、セレスとのコミュニケーション、アイテムの合成・売買、武器の錬成などが出来る。
--監視塔では画面左に鎖でセレスとエンデの親密度が表わされている。セレスと会話をしたり、合成で作ったアクセサリーやアイテムをプレゼントすることで親密度は上がっていく。
--親密度が上がるといろいろなイベントが起きたり、監視塔に帰ってきたときにセレスが駆け寄ってきてくれたりといった変化が起こる。
--逆にセレスが嫌がる事(外僕の体液等のゲテモノをプレゼントするなど)をすると下がる。獣化させてしまっても親密度は下がっていく。親密度はエンディングの分岐に直接かかわっている。
--また、監視塔ではグライアイから家具を購入することでいろいろと飾り付けることが出来る。はじめは殺風景だった部屋が立派な新婚さんのおうちになる。
-合成で作ったアクセサリーや服はプレゼントすると身につけてくれる。エンデの身につけることのできる装備品などもプレゼントすることが出来、ペアルックになった事にも反応したりと、会話も多彩。
-クリア後要素もあり。
**戦闘
-基本となる武器は「鎖」。これを敵の部位に打ち込むと拘束することが出来、敵の動きを制限することが出来る。
--ただし、これは部分的な制限なので、敵は攻撃を仕掛けたりしてくるので油断はならない。
--拘束した後に鎖を引くか、巻き取ることで鎖に力をためることが出来る。鎖にたまった力は鎖ゲージで示され、主を倒すごとに最大値が増加する。
---リモコンを振れば、引きちぎりによってゲージに応じたダメージを与えることが出来、拘束した敵にもう一度鎖を打ち込めば、一定時間完全に動きを止める事も出来るため、第二武器(Aボタンで振り回す、通常の武器)で屠ることが出来る。
---小さい敵ならば、拘束した後に投げることで別の敵にぶつけたり、スイングによって周囲の敵を一度に攻撃することが出来る。また、敵同士を鎖で連結拘束すると、一方に与えたダメージがもう一方に伝達する。
-ただ拘束する以外にも、遠くから鎖で射撃を行うこともできる。タイミング良くボタンを押すことで五連続まで連射可能。Bボタンを長押しすると、照準周りがズームアップされ、動きがスローになるため、じっくり狙いをつけることが出来る。
-このように、鎖は敵を完全に無力化することも可能なため、1対1ならば非常に強力な武器である。一方、対複数戦では状況に応じた立ち回りが必要となる。
-第二武器は双剣、大剣、大鎌の三種類があり、大剣以外の武器は塔内の宝箱から入手する。それぞれによって移動速度・攻撃速度・攻撃範囲・緊急回避移動距離・強攻撃の性能が異なる。
--第二武器はAボタン長押しにより力を溜めることで強攻撃を行うことが出来、タイミング良く入力することで連続攻撃することが出来る。
-主戦では、露出した主肉に鎖を打ちこみ、引きちぎる事でダメージを与えていくことになる。主の倒し方や塔・敵の特徴や情報などは塔内に落ちている紙片に記されている。
--これはセレスに渡すことで解読してもらえ、グライアイに渡すとお金をもらうこともできる(紙片自体は読むことが出来る)。
-装備品は所定の領域内に、パズルのように各種アイテムを配置していくことで装備する。レベルアップにより、装備領域は広がっていく。
-レベルを上げれば各種能力値が上がるため、アクションが苦手な人でも十分先に進めることが出来る。回復薬や状態異常を引き起こすアイテムなどもある。アイテムはWiiリモコンの十字キーで即座に使用できる。
**評価点
-無駄のない戦闘システム
--オレイカルコスの鎖によるアクションは1対1の戦闘では拘束さえきちんとできればほぼ無敵の強さを誇り、対複数でも拘束した敵を集団に投げつけて相手をひるませるなど、全く活用することのできないアクションが存在しない。
--しかし、鎖の力を最大限に引き出すためには拘束した後に鎖ゲージをある程度ためなければならず、攻撃を受けると巻き取りが解除され、ある程度時間がたつと溜めた鎖ゲージも元に戻ってしまうため、対複数にはそれほど向いていない。
--第二武器も攻撃範囲・速度や緊急回避の移動距離等が差別化されていて、大剣でバランスよく戦う、双剣でよけながら敵の体力を削る、大鎌でまとめて薙ぎ払うなど、自分の好みや敵の種類・数などの状況に応じて自由に戦闘スタイルを選ぶことが出来る。
---鎖の弱点を補うにも向いており、痒い所に手が届く。
-美しい音楽
--曲数は少ないものの、クラシック曲をアレンジした音楽はどれも非常に好評。場面にとてもマッチしている。
--特に、リストの愛の夢第三番のアレンジである「永遠の恵みよ」はとても耳に残るメロディーである。使われる場面が多く、セレスがアカペラで歌ってくれることもあって、聞く機会も多いだろう。
--また、十三訃塔内での戦闘曲や主戦の音楽も雰囲気を非常に盛り上げてくれる。ただしサントラは未発売。
-個性あるキャラクターたち
--登場人物が非常に少なく、十三訃塔以外で自由に行ける場所もなく狭い範囲でストーリーが展開していくが、狭い分描写が濃く、キャラクターたちに強く感情移入することが出来る。会話のバリエーションも豊富。
--また「紙片」を集めると十三訃塔の歴史とエリュシオン軍の行っていた軍事実験、ドヴェルグ族についてなど、作りこまれた様々な世界観を知る事も出来る。
-セレスとのコミュニケーション
--セレスとのコミュニケーションは特に豊富であり、セレスを助けることへの強力な動機づけとなっている、このゲームの最大の特徴ともいえる。
--地下室でみつけた小さなランプを灯して嬉しそうにはしゃいだり、食べたい料理について聞かれたり、探索している塔の様子について話したり…などなど、細かい事だが、どれも作りこまれている。&br()時間帯によっても監視塔のいろいろな場所に移動する。移動していた場合ボタンを押せばすぐに見つけることが出来、何かをしていても近くに立っているとこちらを見つめてきて話しかけてきてくれる。
--塔探索中でも封印鎖を解除した時に、ムービーでセレスの視点に移るなど、イベントの数は大変多い。
--また二人の親密度に応じていろいろなイベントがある。このイベントもまたどれも甘いものとなっている。
---新婚シミュレーションと言っても過言ではないほど他にも多種多様なイベントが用意されている。存分にいちゃいちゃすることが出来るため、能登((セレスの声優))プラスと呼ばれることも…。
-セレスの獣化
--セレスは呪いによって徐々に醜い獣に変貌していく。外見的変化は非常に痛々しく、雰囲気も一変。プレイヤーの焦燥感を駆る工夫になっており、時間制限を押して塔探索を続行するか、セレスのもとへ帰るか、という攻略の駆け引きも出来る((開発初期段階ではドラゴンのような姿であったが、むしろかっこよくなってしまい、「助けてあげたい」とプレイヤーに思わせるために痛々しい姿にしたのだとか))。
---塔にも至る所にショートカットポイントがあり、一度攻略すれば楽に再挑戦できる、帰る事もそう煩わしくない親切設計。
--なお、獣化させることで見る事のできるイベントもある。
-良く作られたシナリオ
--シナリオもただ甘いだけではなく緊迫感もあり、起伏も上出来。
--またマルチエンディングシステムを採用しており、周回の楽しみもある。
**難点、及び賛否両論点
-エンデがとにかく喋らない。
--エンデは無口な性格という事もあり、プレイヤーとの一体感を高めるための演出なのだろうが、それにしてもとにかく喋らない。セレスとの会話でセリフが表示されてもボイスはほぼ付いておらず、ムービーや一部のイベントでしか声を発することはない。
--と言うかセレスに対して積極的に意思表示する場面が描写される事自体も少ない。
--演出としては一長一短なので賛否両論ではある。
-固定視点の影響で戦闘中に視点切り替えが起きると強攻撃が外れることがある。
--第二武器の強攻撃は移動しながら放つものが多い(特に双剣)ため、攻撃中に視点が切り替わってしまうとエンデの方向も変わってしまい、攻撃が外れてしまうことがある。
-フックポイントの飛び移りの操作
--フックポイントというギミックに鎖を打ちこむとぶら下がることが出来、振り子のように揺れることで遠くに飛び移ることが出来る。
--これはスティックを進みたい方向に入れっぱなしにするだけでOKなのだが、多くのプレイヤーがスティックを揺れに合わせて入れてしまい、中々行きたい方向にいけないということがあった。直感的な操作と実際の操作が食い違ってしまったためと思われる。
-鎖を打ちこむことのできる場所が画面を見るだけではややわかりづらく、くまなくポインターで探さなければいけない場所がある。
--謎解きも固定カメラ特有のもので、視点を変えることが出来たならばすぐに気づいてしまうだろうと思ってしまうものもある。
--ただ逆に言えば、基本的にはくまなく探せばどこも攻略できるとも言える。勘のいいプレイヤーなら気付く場所も多いだろう。
-周回プレイをする旨みがあまりない。
--周回プレイの特典は開けられなかった扉の奥にあるアイテムと「紙片」だが、隠し武器とセレスのコスチューム、「紙片」以外のアイテムはほとんど合成によって得られるものであり、それほど美味しくはない。
--一度見てしまったイベントは二周目以降でも見ることはできない。
---セレスとのイベントはこのゲームの非常に大きな要素であり、ダンジョンが謎解き系であることから、二周目以降のモチベーションはやや保ちにくい。
-一部イラストにトレス疑惑がある。
--トレス元とされるのはファイナルファンタジー13シリーズ。しかし疑惑に対する公式各社の反応は無く、ゲーム内容の好評もあってそれに関連した話題も途絶え、疑惑の段階から特に進展はしていない。
**総評
Wiiリモコンの特性を最大限に利用した、非常に完成度の高いアクションRPGである。Wiiリモコンと相性抜群のチェーンアクションによる謎解きとヒロインとの新婚生活を送ることが出来る。
アクションRPGが好きな人、ヒロインととにかくいちゃいちゃしたい人、Wiiならではのゲームがしたい人などには自信を持ってお勧めできる。二人の愛は未来を変えることが出来るのか。その結末はぜひプレイして見届けてほしい。
**余談
獣化からセレスが元に戻るのに獣肉を食べるというアイディアは、ガンバリオンの代表取締役社長である山倉千賀子氏が駅弁を食べていたときに思いついたらしい。
//主観的な記述を大幅カット。実例等もプレイの楽しみを殺ぐ恐れが多分に含まれるためカット。
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