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*藤堂龍之介 探偵日記 琥珀色の遺言 西洋骨牌連続殺人事件
【とうどうりゅうのすけ たんていにっき こはくいろのゆいごん せいようかるたれんぞくさつじんじけん】
|ジャンル|推理ADV|
|対応機種|PC-8801mkIISR以降、PC-9801VM/UV以降、&br()FM-77AV、X68000、MSX2|
|発売・開発元|リバーヒルソフト|
|発売日|1988年6月|
|定価|9,800円|
|分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|
**ストーリー
一九二一年、貿易商の影谷洸太郎が何者かに毒殺された。~
影谷洸太郎の遺産は膨大であり、その遺産目当ての毒殺だと人々は口々に噂し、影谷家の人々の間に不信感が渦巻く。~
しかし、影谷洸太郎は遺言書を残していた。~
~西洋骨牌の謎を解いた者に遺産を与える。~~
遺産相続をできなくなった影谷家の人々は、西洋骨牌の謎を解くために一同に影谷洸太郎の豪邸である、琥珀館へと集まる。~
影谷洸太郎の執事である辰野銀蔵は、容疑者の集まるその機会に主人の死の真相究明を私立探偵に依頼。~
同年九月、私立探偵の藤堂龍之介は、琥珀館の主人の死の謎を探るため、玄関の大きな戸を叩いた。
**概要
-リバーヒルソフトの推理アドベンチャーシリーズ4作目にして、藤堂龍之介探偵日記シリーズの1作目。
--店頭デモでは1920シリーズと書かれている。
--大正時代を舞台にした作品で、当時としては(現在でも)非常に珍しいものである。
**システム
-基本システムはコマンド選択式ADV。
--ADVのシステムとしては当時一般的だったもの。しかし選択肢は非常に多い。対象となる人物、物証も多岐にわたり、また舞台となる洋館も大きく部屋数も多い。総当りでの攻略は可能とは言え、その方法では非常に時間と手間がかかる事となる。テンポよく話を進めるには、プレイヤーの推理力が問われるのだ。
--プレイヤーの選択肢によって展開が極端に変化するような事はない。
**長所
-FM音源を駆使したチープながらもおぞましいエレジー。
--時計の秒針の音と共に「西洋骨牌連続殺人事件」と表記され、ストーリーが描かれていく様は非常に印象的。
-膨大な人数の登場人物と複雑な人間関係。舞台となる影谷家の屋敷の人々は全員癖の強い人物で、彼らの事を理解するのは非常に難しい。
--しかし、当時の世論やその癖の強い家庭環境、時代背景を考慮すると、全員納得の行く人格形成がなされている。
---本作のように、当時の世論や風俗、時代背景を考慮したストーリー描写がなされている作品は、当時の作品でもなければゲーム以外でもあまり見かけない。
-世界観を作り上げる丁寧なグラフィック。プレイヤーをさも当時の状況を覗き見ているように感じさせる。その映像は題名通り琥珀色の基調に彩られている。セピア調な舞台が、大正時代の空気を見事にかもし出しているのだ。
-藤堂龍之介がゲーム中で所持し、使用できる推理手帳。作中登場する西洋骨牌と言った、作品を象徴する重要アイテムが付録としてついていた。
--この推理手帳、やたら巨大で推理手帳としては役に立たないものだったが、攻略のヒントが書かれていたりもする。
**短所
-本来ゲームに必要であるインタラクティブ性が無い。
--要するに一本道。一回クリアしたらおしまい。わき道もなければバッドエンドも無い。
**総評
大正時代を舞台とし、当時の世論や時代背景を考慮した作品と言うのはそう多く無い。富国強兵へと日本が進む中、現代の民主主義的な思想を持ち込み、それを主人公に持たせ、さも道徳的にそれが正しいかのようなストーリー展開と言うのは難しいからである。本作では「西洋帰りの主人公にして探偵」「泥沼の人間関係から起きた殺人事件を解決する」という、不変的なテーマで捉える事で、この問題を解決している。~
そして丁寧に再現された世界観、FM音源である事を逆手に取った妖しいエレジー。癖の強いキャラクターに手ごたえのある謎といい、プレイし終えた後は、一本の推理小説を読み終えたような満足感と達成感を味わえるだろう。
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