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*FolksSoul -失われた伝承- 【ふぉーくすそうる うしなわれたでんしょう】 |ジャンル|アクションアドベンチャーゲーム|&amazon(B000FS7UZK)| |対応機種|プレイステーション3|~| |発売元|ソニー・コンピュータエンタテインメント|~| |開発元|ゲームリパブリック|~| |発売日|2007年6月21日|~| |定価|5,980円(税別)|~| |廉価版|PLAYSTATION 3 the Best:2008年3月19日/3,800円&br()PlayStation 3 the Best(再廉価版):2009年12月3日/2,980円|~| ---- #contents ---- **あらすじ 幼少期に母を亡くした孤独な女性エレンは、死んだはずの母から届いた手紙に従い、「死者に会える」という伝承の残る辺境の寒村・レムリックを訪れる。~ 時を同じくしてオカルト雑誌記者のキーツもまた、「妖精に殺される」という謎の電話を受けレムリック村を訪れる。~ 村で出会った二人は、それぞれ生者でも死者でもない「ハーフライフ」と出会い、万霊節の夜の不思議な体験によって死者の世界「異界」へ足を踏み入れることに。~ そして、エレンとキーツは自分が村に来た理由が村の過去に関係していることを悟り、死者の世界である異界を旅することで村に起きた事件の真実を解明しようとする。 ---- **概要 PS3初期に発売された、ヨーロッパの神話伝承をモチーフにしたファンタジーアクションアドベンチャー。当初は「ダークファンタジー」と銘打たれていたが、分かりづらく変更となった。~ 世界観があまりポピュラーではなく、ゲーム内容もパッと見分かりづらいのもありセールス面では苦戦し、知名度もいま一つな作品だが、PS3黎明期ながら幻想的なグラフィックと、SIXAXISのモーションセンサーを利用して敵の魂を「釣る」という独特のアクションが評価されている。~ エレンとキーツ、2人の視点から「異界」と呼ばれる7つのマップを探索していく。~ マップには伝承で語られる異形や妖精「フォークス」が徘徊しており、二人に襲いかかってくる。~ そのフォークスを駆使して敵を倒し奥へと進み、謎を解く手がかりを手に入れていく。~ 終盤を除いてそれぞれ別途に活動しており、違う目線で事件を追うことになる。 ---- **特徴・評価点 ***戦闘システム -フォークスに特定の攻撃をすることで「ID(イド)」と呼ばれる魂を飛び出させることができ、これを釣ることで吸収したIDのフォークスを手に入れることができる。 -「釣る」アクションには、複数まとめて真上に引き上げられる「ショット」のほか、特定のタイミングで引き上げる「タイミング」、左右に引き倒す「ビート」、左右に逃げるIDを中央に寄せる「バランス」、IDの動きに合わせ振ったり止めたりする「ストップ&ゴー」、一定時間ごとに変化する「ミックス」と様々なパターンがある。雑魚相手にはショットがメインで、大型フォークスやボスなどが相手の場合は他パターンも発生する。 --SIXAXISの6軸検出で有効利用して「釣る」システムという操作を再現しており、本作最大の特徴にしてウリである。敵を倒す爽快感があり、特に大量の雑魚を一気に吸い取るときは相当。操作性と感度も適切で面白いアクション性を実現している。 -入手したフォークスは○×△□のボタンにセットすることができ、これを駆使して敵を倒していく。逆に言うと、''フォークスがいないと何もできない。''まあ、何も戦闘訓練も行っていない女性が妖精を倒せとか無理があるのは確かである。 -フォークス使用の際には、MCと呼ばれるゲージを消費する(他のゲームでいうスタミナゲージのようなもの)。フォークスの種類により、この燃費も様々。使い切ると回復するまでフォークスは使えないが、短時間で回復する。 -フォークスは約100種類が登場し、可愛らしいものからコミカルなもの、不気味なものまでデザインも豊富。また、フォークスには設定が用意されており、入手すると見ることができるようになる。この内容もコミカルなものから少々恐ろしいものまで個性豊か。見た目とのギャップがあるものもいて面白い。 --フォークスが持つ属性も様々で、「無属性」に始まり「炎」「水」「雷」「氷」「風」「地」「切断」「破壊」の他、相手の動きを止める「睡眠」「誘惑」「粘着」、敵の攻撃を防ぐ「防御」など単純な攻撃以外のものも。 --属性により、IDを出せる攻撃、ダメージだけが通る攻撃、無効な攻撃があり、弱点を見て攻撃しないとIDを吸収したいのに倒してしまうことも。ただし、状況によってはIDを吸収せず倒してしまった方が早かったり安全だったりする場面もある。 --また、マップ内には「絵本」というアイテムが点在しており、一部の弱点が分かりづらい雑魚や中型フォークス、各異界ラストに待ち構えるボスである「フォークロア」への対処法が記されている。これにより基本的に攻略サイトを見なくてもゲーム内の情報のみで進められる。 ---字での説明は無く絵だけで記されており、何に対して何が使われているかを読解する必要があるが、それもまた一つの楽しみである。 ---ちなみに、入手せずとも問題はないが、最悪総当たりで対処できるフォークスはいいとして、フォークロアの場合は複数の属性を手順通りに使用せねばならない場合が多く手探りで倒そうとするとかなり骨が折れるので、この手順を一から網羅している絵本の入手及び解読は非常に大切である。 -使役できるようになったフォークスには、さらに「カルマの解放」という成長システムもある。 --特定の敵を一定数倒したり、強化用アイテム(敵のドロップや「想念の石」という端的にいえばアイテムボックスから入手できる)を使用することで、ダメージや効果範囲、一度に使役する数が増えたり、MC消費量が減ったりする。 --キャラクターにもIDを吸収することで得られる経験値によって成長する「ランク」というレベルに相当するシステムがあるが、HPの上昇程度であり特に気にしてプレイしていく必要はなく、むしろこの「カルマの解放」こそが重要である。この条件はメニュー画面で確認できる。 -エレンとキーツでは一部の登場フォークスや属性が異なり、同一フォークスでもアクションが異なる。戦闘での仕様も細かい差異がある。 --フォークスの使い方、MCゲージの回復の仕方等。また、エレンには特定の属性に耐性が得られる「霊衣」、キーツには一定時間能力が向上する「覚醒」がある。 -難易度設定はないが、難しすぎず簡単すぎない。ボスも含めて敵の「ID」を出して吸収して倒すには相手属性に応じた攻撃をすることが重要になっており力押しではクリアできない。 --後半にもなるとほとんどの属性が通じない雑魚も出てくるため、フォークスを合わせて倒すパズル的な要素も強まる。攻撃方法が厄介な敵が複数種混在して登場することも多く、ある程度の立ち回りも要求されるようになる。 ***シナリオ・世界観 -ダークファンタジーなだけあって、人の心の闇に迫る陰鬱で切ない物語。殺人もあるが、悪者といえる人物はいない。 -シナリオは、主人公と村の過去に迫るというミステリー調の謎が謎を呼ぶ展開で、一度引き込まれたら次々先を知りたくなるようなものとなっている。 --しっかりと作られており、投げっ放しになるようなところもない。 --エンディングはとても切なく決して明るくはないが、不思議な爽やかさのある余韻を残して終わる。 --尚、本作のシナリオライターはゲーム制作集団「Child-Dream」が制作、販売したRPGツクール作品の『Lost Memory』や『Creatures〜生きとし生けるもの達へ』と言ったゲームにてシナリオを担当していた人物である。「死」にまつわるテーマはこれらの作品の時点から少なからず存在しており、本作においてその作風が余すことなく発揮されたと言える。 -作品全体としては生死や死後世界の探求をテーマにしており、「死を常に意識していてはおかしくなってしまうが、死の恐怖を忘れることで人は生きていける」「人が死後の世界を知れば、死を恐れず生を軽んじ殺戮に走る」「人は死後の安寧を知らぬがゆえに、競争し憎み争う」など、死生観にまつわる思想的な内容も多い。 --この「現世と異界のあり方」に対する考えの違いによる異界の抗争も話の中核になっている。 -キャラクターも個性豊か。腹に一物あるような人物が多く一癖も二癖もある。 --また、夜の村に現れるハーフライフの面々は軒並み個性が強く、陰鬱な今作のコメディリリーフとなっている。ただし、その存在理由や一生は中々に切ない。 -ストーリー本編とは独立した、村人やハーフライフから依頼を受ける「クエスト」もある。 --とあるフォークスが暴れてるから懲らしめて来てというような他愛もないものが多いが、中には本筋の補完や重要な設定・伏線が登場する内容のクエストもある。 --DLCで配信されている追加クエストは、よりストーリー的演出が増え、補完的な内容のものも多い。有料ではあるが、作品世界や人物の理解を深める上ではやる価値は高い。ただし、総じて難易度は高め。 -「異界」に旅立つきっかけとなる「万霊節」はケルト伝承をベースにしたものだが、登場するすべての「異界」がケルト的なものではなく、様々な宗教、思想的立場に基づく死生観が描かれる独特の世界観とストーリーも魅力。 --登場する異界 ---''妖精界'':人々の想像する死後の楽園から生まれた世界。 ---''戦争界'':現代人の死への恐怖から生まれた世界。 ---''海底都市'':かつて人々の想像した神々が住んでいた世界。人間が信仰を失ったため滅びつつある。 ---''無限回廊'':答えのない死への考えから生まれた出口なき世界。 ---''地獄界'':死後に生前の罪を裁かれるという考えから生まれた世界。 ---''背徳の村'':エレンの想いから生まれたかつてのレムリック。 ---''異界真央'':人が初めて死を意識した時生まれた世界。異界の中心。 --「妖精界」はケルトの伝承的による幻想的な世界だが、「戦争界」では燃え盛る街と死してなお戦闘を続ける兵士や兵器のフォークスが登場し、「地獄界」ではヒンドゥー教や仏教的世界観と出会うことになる。 ---「無限回廊」や「地獄界」は、世界の成り立ちの影響か住人であるフォークスも見た目や説明が恐ろしげなものが多い。 --ちなみに、異界は現実世界とは時間のあり方が異なるという設定により、同一のフォークロアをエレンとキーツ両方で倒すというゲーム的な不都合点を解消している。 ***演出 -本作のイベントは、要所要所におけるムービー以外はコマ送りのイベントで進行する。分かりやすく言えば、セリフに動きのある漫画である。ボイスはないが、セリフの吹き出しの出方でキャラの心情を知ることができる。 --焦っているときは一気に吹き出しが表示されたり、怒っているときは大きな吹き出しが大きくぶれながら表われるといった具合。 --独特で癖のある演出だが、こういった形だからできるような良い演出も多々ある。 --ムービーは英語音声と日本語字幕で進行する。 -フルハイビジョンではないが、次世代機で表現された異界のファンタジックな世界観はまるで芸術のようで、幻光蝶や花吹雪など、細部に渡り作り込まれている。 -川井憲次氏とスーパースィープが担当したBGMは、世界観に抜群にマッチしており、評価が高い。 --現実世界や各異界それぞれで全く違う世界にそれぞれマッチしており、世界観の演出への貢献度は非常に大きい。 --戦闘曲も素晴らしく、特に後半のボスは名曲ぞろい。イベント時の楽曲も、悲愴感がありつつ幻想的な美しい曲が多い。 --3枚組のサウンドトラックも発売されている。 --オープニング主題歌はabingdon boys schoolの『Nephilim』。タイアップ前からあった曲だが、元々中世のヨーロッパをイメージした曲だったといい、そのマッチ度は高い。a.b.sのメンバーが実際に本作を体験し、その世界観に強く共感したからこそこの起用が実現したという。 ---ただし、本編が英語音声なのに対し歌詞は日本語であるため、そこに違和感があるという声もある。尤も、作中の音声と主題歌の歌詞の言語が一致しない事は珍しいことではないが。 ---- **問題点 -周回要素はない。 -ゲームの仕様上片方だけでクリアすることは不可能で、全7章の内、2人とも5章まで進めないと6章と7章はプレイできない。 --ストーリーや展開上仕方ないことだが、ストーリーを見る観点が違っていたり、フォークスが多少違うのはあるものの、同じ面を2度やらなければならないのは手間であり、良く思わない人もいる。 -クエストの内容が本編に影響しない。小さな点であるが、微妙な違和感を生んでいる。 --クエストで触れたことが本編に出ても知らぬようにスルーしたり、解決したはずのことに悩んでいたりすることがままある。 -フォークスが多いのは良い点である半面、弊害としてか似たような能力のフォークスも少なくない。 --カラーバリエーションなどもいるが、むしろその方が能力の差別化は出来ている。 -オンライン要素「ダンジョントライアル」。 --他のプレイヤーが作ったダンジョンをクリアしたり、自分でダンジョンを作ってアップロードしたりするもので、ダンジョンをクリアすることで貰えるポイントを一定以上貯めたり、一定ポイント以上を取得できるダンジョンをアップすることでレアフォークスを入手できる。 --しかし、ダンジョンが敵の出る部屋と通路の繰り返しで非常に単調である上、レアフォークス入手のポイント設定が高くかなりやらなければいけないことなどから、不満が多い。 -現在入手が出来ない、入手が面倒くさいレアフォークス、クエストがある。 --期間限定でのみ配信していたレアフォークスやクエストがあり、これはもう入手することが出来ない。コンプリートしたい人にしてみれば、少々痛い点であるといえる。 --また、PS3としては初めてPSPとの連動機能があり、PSP用ソフト『''Coded Soul -受け継がれしイデア-''』と連動できるのだが、これによる追加クエストがあり、更にはこの報酬としてこれ以外で手に入らないフォークスがある。つまり、全ての要素を楽しもうと思ったら、全く別のゲームをやらなければならないということである。 ---Coded Soulと今作は、Coded Soulの登場モンスターと今作のフォークスの姿と名前が同じくらいしか共通点はない。最大の問題として、''決して評価の良い作品ではない。'' -「アクションアドベンチャー」という同ジャンルのゲームと比較しても、今作はアクション部分とアドベンチャー部分がかなりくっきり分かれている。アドベンチャー部分の内容も、同ジャンルにおけるアドベンチャー要素よりも、純粋な「アドベンチャーゲーム」のものに近い。イベントが特有なのもあり、人によってはこの点がテンポを崩していると感じることも。 --また、プレイ上のではなく商品的な問題だが、この点から初見の人がどのようなゲームなのかイメージしづらい。 ---ヨーロッパ(アイルランド)の神話伝承による世界観も多くの人には馴染みがない。 -ストーリーが「暗い」との評価も。話の展開が暗いとか鬱という訳ではなく、主人公の生い立ちの設定が暗い。 --もっとも、展開自体も諸手を上げて喜べる結末でもない。複雑すぎるというわけでもないが、やや真相などが分かりづらいのも難点。 ---簡潔に言うと、過去に起こった悲劇・誤解・確執・思いやり・幻想などが複雑に絡み合って、主人公エレンに降りかかってきているという感じである。 ---- **総評 ほどよい難易度のアクションで独創的な世界観、ストーリーを持つゲームであり、またPS3黎明期ながら幻想的なグラフィック、PS3の操作性と次世代機の持つ魅力を活かした作品としてゲーム内容は良作と呼べるだろう。~ しかし、アクションメインながら女性主人公中心で、しかも萌えキャラという訳でもなくダークな世界観と、初見の人が手に取ってプレイしようという気にならないのが一番の問題。PS3ソフトの市場も立ち上がっていなかった時期の作品に投入するには地味で、作品の魅力が分かりにく過ぎたのだろう。完全に埋もれてしまった不遇な作品である。 ---- **余談 コマ送りイベント中のキャラの姿勢がジョジョ立ちっぽいこと、フォークスを使役して戦うシステムがスタンドを彷彿とさせるなど、ジョジョからの影響を感じられる節が多く、ジョジョ作者の荒木飛呂彦氏も本作にコメントを寄せている。
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