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*スパルタンX
【すぱるたんえっくす】
|ジャンル|アクション|#image(suparutanX.jpg,width=200)|
|対応機種|ファミリーコンピュータ|~|
|発売・開発元|任天堂|~|
|発売日|1985年6月21日|~|
|価格|4,900円(税抜)|~|
|分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
**概要
ジャッキー・チェン主演のカンフー映画「スパルタンX」を題材としたアクションゲーム。~
オリジナルはアイレムが1984年にリリースしたアーケードゲームであったが、諸般の事情によりFC版は任天堂が開発・発売している。~
業務用基板とFCではハード性能が違いすぎるためグラフィック面などでは劣化しているが、そこは操作性の改善などのアレンジが効いている。~
本記事では、ある意味本家AC版を上回る知名度と人気を得たFC版スパルタンXを紹介する。
**特徴
「主人公のトーマスが恋人のシルビアを謎の男ミスターXの手から取り戻すため5階建ての塔を登る」というストーリー。~
ザコ敵をなぎ倒しつつ先に進み、各階を守るボスを倒して階段を昇るとステージクリア。最上階にはミスターXが待ち受けており、彼を倒すとシルビアを救出して1周クリア。
-操作は格闘ゲーム風になっており、Aボタンでパンチ、Bボタンでキックを出せる。十字キー上でジャンプし、下でしゃがむ。パンチはリーチが短い代わりに雑魚敵撃破時にキックの倍の得点が得られる。キックはその逆。
--ジャンプ中およびしゃがみ中でも技は出せる。当然ながら使いこなせなければ先へは進めない。
--道中には様々な敵やトラップが待ち受けている。
#region(敵一覧)
-雑魚敵
--つかみ男
---トーマスに向かって一直線に突進し、組みかかって体力を奪う。組み付かれたらレバガチャで振り払える。
--ナイフ使い
---トーマスと距離を置くように動き、ナイフを投げて攻撃してくる。攻撃を二回当てないと倒せず、後半になるとナイフのスピードや威力が上がり、さらにナイフ男2人組で挟み打ちを仕掛けてくる難敵。
--トムトム
---つかみ男と同様の動きだが、稀にトーマスの技の射程外からジャンプアタックを仕掛けてくる。ただし、このジャンプアタックは立つかジャンプするとノーダメージで迎撃が可能。また、背が低いためにしゃがんで攻撃しないと倒せない。
--2階のトラップ
---落下後に毒蛇が出てくる「蛇壺」、同じく落下後に龍が出てきて火を吹く「龍の球」、宙にしばらく浮いた後炸裂する「くす玉」の3つ。いずれも特定のタイミングで攻撃を加えれば発動を阻止可能、かつ得点が入る。
--毒蛾
---4階に出現する。突進攻撃を仕掛けてくるが、フワフワ浮いているため攻撃を当てづらい。
-ボス敵
--棒術使い
---1階のボス。手にした棒で撃ちかかってくるためリーチが長いが、懐が無防備。
--ブーメラン使い
---2階のボス。ナイフ使いの色違いでブーメランを最大2つまで投げて攻撃。やはり懐は無防備なので、いかにブーメランをかい潜りつつ近づくかがカギ。
--怪力男
---3階のボス。動きは非常に鈍いが、その代わり攻撃力が凄まじく高く、一撃で体力半分~8割近く持っていかれる。
--妖術使い
---4階のボス。火の弾を投げて攻撃してくる。他にも「頭を攻撃すると首が取れる(ただしノーダメージ。少し経つと復活)」、「分身して挟み打ちを仕掛けてくる」など多彩な技を持つ。しゃがみキックが効かないので注意。
--ミスターX
---最上階のボス。トーマスと同様にパンチとキックで攻撃するが、トーマスの攻撃を受け流す性能が非常に高い強敵。なお、ミスターX戦に限り、雑魚敵が登場しない(ボス直前で雑魚敵はすべて引き返す。ミスターXの強さを表現する演出である。)
#endregion
~
**評価点
-とにかくザコ敵をなぎ倒すのが気持ちいい。
--AC版よりも動きが軽快で、トーマスは攻撃する度に「ホッ」「アチョー」「トリャー」と叫び((特に「アチョー」はAC版よりジャッキーらしくなっている))、雑魚敵は一度に多く襲いかかる代わりに一撃で死ぬためとにかくテンポがよく、爽快感もバツグン。
-コミカルな演出。
--トーマスを含めた全てのキャラは倒されると専用ののけぞりポーズを取って落下する。そのポーズが妙に味がある。
--トーマスが死ぬと「ボゥーン~」という音とともに落下。さらにボスキャラに倒されると「ウワッハッハッハ」と笑われる(しかもボス毎に音程が微妙に違う)という心憎い演出も。
-『[[スーパーマリオブラザーズ]]』の各種BGMで知られる近藤浩治氏がBGMを担当。曲数は少ないがカンフーらしい雰囲気がある。
**問題点
-最初は簡単だが、1週目の4面以降からかなり難しくなる。というのも主人公の性能はずっと変わらないが、敵は段々と早くトリッキーな動きをするようになるため。しかも時間制限もあるためゆっくりしてはいられない。
-内容が映画の『スパルタンX』と全く関係ない。
--主人公がトーマス、ヒロインがシルビアという以外は全く設定が一致していないし、ストーリーの内容も全く違う。各階の敵を倒して最上階を目指すという内容はどちらかというとブルース・リーの『死亡遊戯』である。しかしイラストはどう見てもジャッキー。
--これはAC版製作時に、映画の内容を把握せずに先行してゲームを作ったため。また、香港映画は脚本をきっちり作らずアドリブで内容を変えていくため、初期設定とかけはなれた可能性も指摘される。
**総評
任天堂の匠の技が光る良アレンジ移植。~
シンプルな内容ながら非常に飽きにくく、パンチのみクリア、ノーダメージクリアやハイスコアチャレンジなどのいわゆるやり込み要素もあるため、「もういいや」と思って奥にしまってあっても、たまにカセットを引っ張り出して遊びたくなる作品であった。~
現在では版権作品のためVC化は絶望的だが、当時リアルタイムで触れた人間には本作に特別な感情を抱いている者も多い。
**余談
-漫画『ファミコンロッキー』にて、「24周するとシルビアが襲い掛かってくる」というイベントが掲載され広まったことでも有名。実際にはこれはデマなのだが、24周クリアは非常に難しいため当時の子供たちはなかなか達成できず、気づかない者も多かった。
--なお24周である理由は「X」がアルファベットの24番目なため。
-MSXでは『聖拳アチョー』というタイトルで移植され、1985年にアスキーが発売している。これはMSXでは既に映画をもとにした『スパルタンX』の名を冠したゲームが出ていたため((正式タイトルは『ジャッキー・チェンのスパルタンX』))、権利関係の都合で変更となっている。
-本作は国外では『KUNG-FU』と改題されて発売されている。日本でもファミコン後期にこのタイトルで再販されたが、改題版はファミコン屈指のプレミアソフトとなっている。
-発売当初はCMは存在せず、およそ3ヵ月後にしてスーパーマリオブラザーズとの同時CMを組まれている。
**続編
-GBでも1990年に発売されているが(こちらはアイレム制作)、内容はさらに映画からかけ離れ「主人公トーマスを操作して謎の富豪ザップ・モーガンの野望を阻止する」というもの。ステージはすべて右スクロールで、最初のステージは屋外。敵の種類は増加しアイテムも追加され、ファミコン版とは全く別物のゲームとなっている。
-1991年にはアイレムからファミコンで「スパルタンX2」が発売されている。主人公は捜査官の「ジョニー・スパルタン」で、敵は麻薬シンジケートと、&bold(){もはや設定どころか主人公の名前すら映画とは全く関係ない}作品になっている。オリジナル作品に関する版権表記が一切なく、正式な続編であるかも怪しい。こちらもVCになるのは絶望的だろう。
-1988年に稼働したアイレムのアーケードゲーム『ビジランテ』は本作の操作体系やアクションをもとに作られている。
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