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*スーパーロボット大戦UX 【すーぱーろぼっとたいせんゆーえっくす】 |ジャンル|シミュレーションRPG|&amazon(B00ANI276O)| |対応機種|ニンテンドー3DS|~| |発売元|バンダイナムコゲームス|~| |開発元|エーアイ|~| |発売日|2013年3月14日|~| |定価|通常版/DL版:7,140円&br()本体同梱版:26,040円(全て税込)|~| |分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[スーパーロボット大戦シリーズリンク>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/287.html]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 ニンテンドー3DS初のスーパーロボット大戦。キャッチコピーは「全ての可能性が、ここに集う。」~ #region(参戦作品一覧) ★マークは新規参戦、☆マークは声つき作品初参戦。 -聖戦士ダンバイン -★リーンの翼 -☆蒼穹のファフナー -★蒼穹のファフナー HEAVEN AND EARTH -★『電脳戦機バーチャロン』シリーズ フェイ・イェンHD -機動戦士ガンダムSEED DESTINY -★劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer- -★SDガンダム三国伝 BraveBattleWarriors -忍者戦士飛影 -★HEROMAN -獣装機攻ダンクーガ ノヴァ -★機神咆吼デモンベイン -☆鉄のラインバレル(原作漫画版)※ -劇場版マクロスF ~イツワリノウタヒメ~ -劇場版マクロスF ~サヨナラノツバサ~ -★マジンカイザーSKL -バンプレストオリジナル ※鉄のラインバレルは、原作漫画版としては新規参戦。 #endregion 『スクランブルコマンダー2nd』以来でありスパロボでは『リーンの翼』との初共演となった『聖戦士ダンバイン』や『IMPACT』以来の『忍者戦士飛影』、原作漫画版名義での参戦となった『鉄のラインバレル』、多くのファンから参戦が望まれつつも原作が18禁ゲームゆえに難しいとされてきた(そしてファンからは評判の悪いアニメ版名義での参戦となった)『機神咆吼デモンベイン』((原作が成人指定という区切りで言えば『冥王計画ゼオライマー』という前例はある。))、音声合成ソフト「初音ミク」と「電脳戦機バーチャロンシリーズ」のコラボレーションから生まれたイラストで、見た目が初音ミクそのものな「フェイ・イェンHD」、リアルガンダム(しかもよりにもよって『00』)との共演となった『SDガンダム三国伝』など、前代未聞の参戦作品群はファンから期待される反面、そのカオスぶりからシナリオの出来を不安視する声も多かった。~ だが、前作『L』よりさらに濃密になったクロスオーバーは良好で、システムも改善を見せている。結果的に、新たなハードの第1作としては十分な評価を得るに至った。 //忘れられがちだけど、ダンバインのスパロボ参戦で『UX』の前は『COMPACT3』じゃなく『スクコマ2』。 **システム -パートナーバトルシステムは『L』からさらにブラッシュアップされ、戦略の幅がより広がっている。 --『第2次OG』に続き連続行動((パイロットの気力が一定以上の時に敵を撃墜すると、1ターンにつき1回だけ再度行動可能になる特殊能力。))が追加。本作ではシングルユニットのみ効果が得られるようになっており、パートナーユニットとの棲み分けがなされている。 -機体ボーナスが従来の5段階改造、10段階改造に加え、パイロットの撃墜数が100機以上、200機以上の合計4段階で強化されるようになっている((第4段階になるのは「5段階改造+200機撃墜」または「10段階改造+100機撃墜」。「10段階改造+200機撃墜」を達成しても更にボーナスがつくことはない。))。 -戦術指揮 --『第2次Z』の同名のシステムと異なり、インターミッションでキャラを1人指定することで次のステージでは指定したキャラに応じた能力ボーナスが得られる((得られる効果はシナリオが進むことによって増加する。))。また、ステージ開始時に指揮担当キャラが台詞を言ってくれる。 --基本的には艦長(『マクロスF』のジェフリー、『00』のスメラギなど)や軍師(『三国伝』の孔明、『ファフナー』の総司など)、前線指揮官(『ラインバレル』の森次、『マクロスF』のオズマなど)が設定できるが、中盤でのとあるイベントの結果、『ダンバイン』のチャムや『リーンの翼』のエレボスはおろか、パイロットですらない『HEROMAN』のリナや『マクロスF』のランカやシェリルといった、本当に指揮が出来るのか疑わしいキャラまでもが設定できるようになってしまう。 ---一応追加される彼女達の名目は応援であり、ご丁寧にもこのイベント以降は項目が「戦術指揮」から「戦術指揮/応援」に変化する。 --戦術指揮の効果はキャラそれぞれだが、孔明が抜きんでて優秀((初期状態だとプレイヤーフェイズ時の攻撃力が10%上昇。中盤でサイズ差補正無視、終盤に差し掛かるところで地形適応1段階上昇の効果が追加される。))なため初見では孔明で固定しがち。しかし何人かの隠しキャラのフラグに「特定のステージで特定のキャラに戦術指揮をさせる」というものがあるため、強いからといって孔明で固定しているとフラグを立て損ねてしまう。まさに''孔明の罠''。 -特殊行動 --一部の機体は移動や攻撃のほか、様々な効果を持つ行動を行える。使うのと使わないのでは難易度が大きく変わるものもある。簡単に言うと、攻撃を伴わないMAP兵器。 --一定範囲の味方を強化、敵を弱体化するディスィーブのナーブクラックや敵の命中率・回避率を下げるメサイア(ルカ機)の複合センサー、一定範囲の敵を移動できなくするデモンベインのアトラック=ナチャなど、効果も使える機体も様々。 -スキルパーツ --スキルパーツ自体は従来からあるシステムだが、本作ではパイロットの基本能力もスキルパーツで上げることになる。 --パイロットの能力を上げるスキルパーツは「ドクター・ウェスト愛用ギター」「ジャックの牛乳」など原作で登場したアイテムの名前がつけられている。なお、今回のステータス上限は999。 --上位技能は通常プレイだと''1データにつき1つ''しか入手できないが凶悪レベルのハイスペック。「連続ターゲット補正無効」や「ガード100%発動」(撃ち落としバージョンなどもあり)という効果を見ればその凶悪度も察しがつくと思われる。 --周回開始時にスキルパーツの使用状況をリセットし、パーツを未使用状態に還元することができる((周回数に応じて還元率が設定されている資金とは違い、入手したスキルパーツが全て還元される。ステータス強化系のパーツも全て元通り。))。リセットせず使用状況を引き継ぐことも可能。 -ダウンロードコンテンツ --初めてダウンロードコンテンツを採用。『J』以来となるツメスパロボ、おまけマップとなるキャンペーンマップが配信されている。 --キャンペーンマップはツメスパ同様マップごとに設定されたユニットを使用し、中断セーブができない。それ以外は通常のシナリオマップと同じ。 --クリアすることで資金とスキルパーツが入手できる。一度クリアしたものも何度でもプレイできるが、ボーナスは資金2000のみに変更される。なお周回時にクリア状況はリセットされる。 --ダウンロード限定のキャラや機体は存在しないので、無理に買う必要は無い。 ---ただし上記の上位技能パーツが入手できるマップもあるため、周回プレイで複数個入手することが可能になる。 ---また、ダウンロードコンテンツでしか聞けない特殊戦闘台詞も存在する((『HEROMAN』のスクラッグを拒絶する『ファフナー』の芹、本編では対峙する機会が無い『三国伝』の劉備vs曹操・孫権など。))。 -久々の反撃タイプ設定 --本作では反撃時の行動を自動で選択してくれるオプションが久々に導入されており、設定しておけば敵ターン時は自動で戦闘を行ってくれる。 //いつ以来かまでは覚えていないので、64まではあった気はするんですが **評価点 ***シナリオの完成度 -本作の物語はIMPACT以来の3部構成。1部→2部では時間の経過はあまりないが、2部→3部では数ヶ月が経過する。これに合わせて『ファフナー』がTV版→劇場版に変化する仕様となっている((本来は2年経過しているのでやや違和感があるが、「原作では数年が経過しているがゲーム中では相応の時間の経過がしていない」という事例は、過去のスパロボでも少なからず有る。また、『ファフナー』の原作での設定を考えた場合、この時間短縮は非常に大きな救いに繋がるのではないかという見方もある。))。 -『L』のシナリオライターの一人である岸本みゆき氏がチーフシナリオライターとして執筆した今作のシナリオは、シリーズトップクラスのシナリオ人気を誇る『W』に次ぐとの評価も見られるほど。特に、全ての作品が空気参戦もなく積極的に絡んでいく様は『W』以上とも言える。キャラクター同士のクロスオーバー会話は当然として、シナリオ面での絡みも非常に作り込まれており、さらには設定レベルのクロスオーバーも随所に見られる。 --特に、『DESTINY』は原作終了後の参戦という立場を生かし、シンが歴戦の戦士として『ファフナー』のキャラと積極的にクロスオーバーする。そもそも「モビルスーツはフェストゥム(ファフナーの敵)対策として作られた」などという発言がプロローグからさらりと飛び出す。 ---どちらの作品も平井久司氏がキャラデザインを担当している事もあって非常にマッチしており、その違和感の無さと相まって「マーク・デスティニー((ファフナーの機体は「マーク・○○」と呼ばれるため。また、「○○」の部分は全てドイツ語のため、「マーク・シックザール」(「運命」のドイツ語訳)と呼ばれることも。))のパイロット」とファンから呼ばれる事に。そしてデスティニーへの乗り換えイベントは『ファフナー』とのクロスオーバーを全面に押し出した本作屈指の名場面となっている。 ---今までのスパロボでは今一つ目立っていなかったアスランも、「スパロボ一かっこいいアスラン」と評されるほどに活躍する。その代わりキラの影は薄め((そのかわり、ツメスパロボでは出番が増えている))。 --『DESTINY』以外にも『ダンバイン』『ダンクーガノヴァ』は原作終了後参戦となっているが、それぞれが「原作終了後だからこそ」という設定・シナリオとなっている。 --原作でシナリオの存在しない『フェイ・イェンHD』と、原作OVAが非常に短いためストーリーの薄い『マジンカイザーSKL』は、互いにクロスしつつオリジナル設定とも密接に関わり、設定が大きく補完されて盛り上がりを見せる。なお、『フェイ・イェンHD』はバーチャロン原作者の亙氏による全面監修。 --あえなく打ち切りとなった『飛影』は、謎だった部分をオリジナルの解釈で暗に語っている。 ---これらにより、スパロボにはありがちな「いるだけ参戦」の作品は一切存在しない。 --再参戦となった『ファフナー』は『K』の悪夢を払拭するかのように力が入れられており、DVEとユニット数、中断メッセージ及び隠し要素の数は群を抜いている。前述のように『DESTINY』とのクロスオーバーはもちろん他の作品とも大なり小なりクロスオーバーがあり、シナリオ上でも見せ場は多い。 --『デモンベイン』のシナリオやグラフィックは基本アニメ版に準じているが、不評の主な要因であった尺足らずや設定のオミットをクロスオーバーや細かな会話などで大幅に補完。特に同じアメリカを舞台とした『ヒーローマン』との絡みが多い。さらに、原作や外伝小説、さらに続編となる『機神飛翔デモンベイン』の設定も小ネタとして登場しており、原作ファンは歓喜した。 ---特に原作ではヒロインの一人だったにも関わらず、アニメ版ではほとんどの設定を削ぎ落とされてサブキャラへと降格したライカについては最大限のフォローがなされ、中盤の灯籠流し((ファフナー原作の20話の再現。))で彼女が呟いたとある台詞には多くのファンが溜飲を下げた((しかもその灯篭流しイベント自体、これまで通ってきたルートによって会話が変化するというこれまた濃いイベントだったりする。))。 ---ヒロインであるアル・アジフの一時離脱もしっかり再現され、原作通りに武装が使えなくなるなど大幅に弱体化する。また戦闘カットインも服装を変えた主人公や代理サブパイロットのものに変化するなど、弱体化状態とはいえ力が入っているファン感涙の出来。 ---離脱期間が原作よりも長いのが若干気になる所だが、離脱と入れ替わりに加入する代理サブパイロットの精神コマンドが強力で、また必殺技も離脱直後に解禁となるため、総合的には弱体化しているものの瞬間火力は増加する事になる。これによって、離脱による弱体化を表現した上でそのストレスを最小限にすると言う配慮が為されている。 --映画版としては初の参戦となる『00』は自軍が傭兵部隊という縁が高じて序盤から自軍におり、原作ではわずかな登場に留まった「ガンダムデュナメスリペア」や「ダブルオーライザー(量子貯蔵タンク型)」が序盤から中盤にかけて参入。相互理解の困難により敵対する金属生命体という共通点から敵生命である「ELS」と『ファフナー』の敵生命である「フェストゥム」が緻密なクロスオーバーを見せてくれる。また、TVシリーズでは一貫して敵対する立場にあった人気キャラ「グラハム・エーカー」も今作では味方として中盤に参入。フラグを立てれば最後まで生存させることも可能となっている。ただし、同じく注目を浴びていた、劇場版初登場のもう一人のイノベイターである「デカルト・シャーマン」は、登場こそするものの、戦闘シーンもなくELSに侵食されて死亡という憂き目に遭うことに。声優の問題((本職は俳優の勝地涼氏。ただし、Gジェネレーションオーバーワールドでは声付きで出演している。))という説が有力だが、理由は不明。 --異色作と思われた『三国伝』が各作品をつなぐ接着剤として機能し、それでいて違和感が全くない((ちなみに『三国伝』の脚本及び漫画版の構成を務めていたのが本作のチーフシナリオライターである岸本みゆき氏。))。もちろん彼らを中心としたシナリオも存在する他、終盤のシナリオでは軍師キャラが大きく活躍する事に。 ---『三国伝』は今回が初参戦にもかかわらず、原作(アニメ版)終了後という異例の参戦形式となっている((これが初というわけではなく、『SC2』の『マクロスゼロ』、『NEO』の『アイアンリーガー』がこの扱いを受けている。))。これは『三国伝』を知っていなくても『三国志』を知っていれば各キャラの立ち位置におおよその見当がつくからと思われ、それによりオリキャラ並の自由度を持って版権キャラ間の橋渡し役を務めている。 --『ラインバレル』は原作が完結していないため発売前にはどこまで再現するか話題となっていたが、既刊ギリギリまで再現した上にゲームオリジナルの結末を描く、という驚きの方法で物語を完結させる形となった。((原作が未完であり、スパロボオリジナルで決着を付ける展開は『COMPACT2』での『ダンガイオー』などの前例がある。あちらは原作打ち切りで、こちらは原作連載中という違いはあるが。)) ---このオリジナルシナリオでは、原作のとあるキャラが先行登場している。原作者がカットインイラスト等で全面協力しているため、設定面でも協力を受けたとユーザーの間では推測されている。 --そういった魅力的なクロスオーバーを差し置いて、本作で最もクロスオーバーしたキャラとしてファンに挙げられるのは『飛影』の敵役であるハザード。他作品のキャラの役割を幾つか担い、悪の主役とさえ言えるほどの強烈な憎まれ役として活躍する。 -オリジナル主人公機・オルフェスは、その名の由来に反して何故か時代劇「必殺」シリーズのパロディ機体となっている。特にサポート機であるライラスとの合体技ヘル・ストリンガーはその極致。それでいてきちんと格好良い。 --主人公のアニエス・ベルジュ(通称アーニー)も天然気質の異色なキャラで好感度もネタ度も高い。 --またオルフェスの前任パイロットであるリチャード・クルーガーに至っては戦闘台詞が必殺シリーズのパロディだらけである。 -クロスオーバーを抜きにしても、シナリオの質と評価は高い。 --一貫して質は高いが、中でも第1部最終話のイベントは本作でもトップクラスに熱いイベントと好評。 --今までのスパロボでは、世界観の説明を最初にナレーション文章で行なっていたが、これを廃止。実際のシナリオ内で世界観を見せている。より世界観を実感でき、スムーズにゲームを始められると好評。加えて、そこで設定レベルのクロスオーバーが始まるものだからより引き込まれる。 --また、ホワイトバックに黒字でテキストが表示されるという演出も使用された。回数こそ少ないものの重要な場面で使われるため、印象に残りやすい。 ---特にこの演出が使われる中盤のイベントは本作屈指の涙腺崩壊イベントとなっている。 --全体としても、「命」と「可能性」をテーマとしたシナリオは綿密に練られており、序盤から張られていた伏線が後半に結実する。挙句、周回要素などのメタさえも世界観の根底に据えているほど。 ---表立って語られないが、その裏には更に緻密な設定が大量に仕組まれている。これらは要点だけが語られるだけとなっており、それを推測・考察する楽しみもある。 --昨今のスパロボにありがちなとある要素が、ミスリードとして使用されている。スパロボに慣れているプレイヤーほど驚くだろう。 ***隠し要素 -まず、とにかく数が多い。見つける楽しみはもちろんとして、意外なキャラの参戦でもファンを喜ばせてくれる。なお、隠しキャラ参戦時、初回のみそれぞれ既定の上位技能がゲットできる。 --特に、あるキャラの生存方法はまさに想像を絶するものであり、その上シナリオの質も良いとあってネット上で大きな話題となった。 ---原作序盤に離脱してしまうはずが中盤で復帰するため、ストーリーへの絡みっぷりも隠しキャラの中でぶっちぎり。しかもボイスも全部オリジナル。完全な「IF」を体験できる。戦力としても十分前線に出す価値アリと至れり尽せりである。 --フラグを立てて参戦したキャラは大幅にシナリオに絡む。フラグを立てるのと立てないので2種類(あるいはそれ以上)のシナリオが楽しめると言っても過言ではないほど。 -隠しフラグの仕様も独特なものとなっている。 --生存フラグは周回を超えて引き継がれ((フラグの一つ一つを引き継ぐため、例えば「特定ルートを通過」「特定ボスを撃墜」「撃墜数100達成」と言う条件の隠しキャラは、1周目でルート通過、2周目でボスを撃墜、3周目で撃墜数100達成、でも生存する。ただし、撃墜数の判定が特定ルート内で行われる場合は、そのルートを通りつつ撃墜数を満たしてはじめてフラグ成立となる。))、一度生存したら次の周回では無条件に生存する。これにより、スパロボでありがちな「二者択一でどちらかを選ばなければならないフラグ」も、周回を重ねる事で全て満たす事ができる((ただし、ごく一部の、キャラ生存に関わらないフラグは引き継がれない。))。 --なお、この『周回による隠し要素及び達成条件の引継ぎ』という仕様自体が実は本作のシナリオに関わってくる。シナリオのためにこういうシステムにしたのか、システムの改善を上手く取り込んでシナリオを作ったのかは分からないが、非常に面白い要素と言えるだろう。 ---なお、評価点である一方で問題点も発生してしまっているのだが、それについては後述。 ***ボイス -ハードが3DSとなったことで任天堂携帯機作品初となるフルボイスとなった。 --『ラインバレル』は漫画版のキャラにアニメ版の声優陣が声を当てるという珍しい事態となった。もちろん、原作漫画版名義なのでちゃんと漫画のセリフを喋る。 ---なお『ラインバレル』のボスはアニメ未登場のためオリジナルキャストとなっている。また、ジャックのみ声優が変更されている。 --『バーチャロン』のフェイは今回の設定に合わせて過去にフェイを演じていた樋口智恵子氏から初音ミクの声を担当した藤田咲氏に変更されている。 -『ダンバイン』のショウや『DESTINY』のシンなど既存キャラの新録も多く、声が付くことで減少が懸念されていた「豊富な特殊セリフ」は今作でも健在。 --ちなみにシンはファンの間でも評価の高い、高山瑞穂氏の執筆した漫画版の台詞が特殊台詞として採用されており、「シンは高山版終了後の参戦か!?」という声も。 --版権作品の本作オリジナル合体攻撃がいくつも登場するが、それらも当然新録ボイス。ファンとしては感慨深いやりとりも見られる。 -イベントでも専用のボイスが使われることも多いほか、特定のキャラに特定の武器を使うことで専用のセリフに変化することもある。援護でも本来ないセリフをしゃべる場合もあり、戦闘セリフがそっくり新録にさし変わっているキャラもいる。 -さらにフェイスグラフィックがないにも関わらずボイスがあるという''声だけ参戦''となったキャラまでいる。フェイスグラフィックがあって声がないキャラは多いが、その逆はかなり珍しい。 --なお、声だけ登場というのは原作再現である。 -近年のスパロボでは減少傾向であったシナリオ上でボイスが再生される「ドラマチックボイスイベント(DVE)」も非常に多い。九郎のデモンベイン召喚、総士の「5秒待て」、サコミズの「そうでもあるがぁぁぁ!!」など、原作の名台詞はほぼ網羅されている。 --DVE以外のシナリオ演出も強化されている。 -中断メッセージも実装。真面目なものからギャグまで幅は広く、その数も''シリーズ最多と言えるほどの膨大さ''を誇る。 --初回プレイ時のみではあるがゲームの進行に応じて聞けるようになる内容、聞けなくなる内容があるほか、周回プレイを行うことで内容が変化するパターンもある。 --実は隠しフラグの条件を示唆している中断メッセージや、ストーリーの伏線になっているメッセージなども存在して奥も深い。 --中には''中断メッセージでのみ参加している''声優すらいるほど。 ***BGM -曲数自体は『L』とさほど大きな差はないが、エーアイ製スパロボらしく、相変わらず通好みな選曲が光る。 --劇中曲の『ラインバレル』((前例に『∀ガンダム』の「軍靴の記憶」などはあるが。))や、原作BGMをアニメでも流用している事を逆手に取ってPS2版主題歌の原曲であるBGMを持ってきた『デモンベイン』、あまり戦闘向きではないかと思われた『リーンの翼』の主題歌、壮大だがサビまでが非常に長い『ファフナー』の「マークザイン」をフル尺で採用、EDではあるが激しい曲調であり、今作の雰囲気との親和性も高い『SEED DESTINY』の「Life goes on」など、面白い楽曲が数多く存在しており好評。 ---なお、イベント用BGMとして「マークザイン」(サビのみループするショートver)や「Linebarrel」(イントロ付き)も存在しておりこちらも非常に好評。だが、あくまでイベント用で戦闘BGMに設定できないため、それが残念がる声もある。 -ちなみに今作はイベントにて「Life goes on」や「蒼穹」など、BGMに採用された曲の歌詞を元にしたネタが豊富。 -フェイのBGMはちゃんと''ミクによるボーカル付き''。曲はバーチャロンシリーズのBGMに歌詞をつけたものとなっている。作詞はもちろん、バーチャロン原作者の亙氏。 -『マクロスF』関連は相変わらず収録曲数に恵まれており、期待されていた「サヨナラノツバサ」は『L』の「ライオン」と同じくパート分けのアレンジが好評。また、「キラッ☆」でお馴染みの「星間飛行」は誰もがアッと驚く演出が用意されている。 -そしてオリジナル主人公機の最強武器使用時の曲「唸る必殺の一撃」は''誰がどう聞いても必殺仕事人''((なお、必殺仕事人は岸本氏の大好きな作品で、氏の同人時代の作品『仮面ライダーヴァルゴ』でも外伝で使っていた。))である。ただ、雰囲気はそのものだが聴き比べてみるとだいぶ違うという絶妙なバランスの曲である。 ***戦闘アニメ -ハードが3DSとなったことでグラフィックも進化。当然裸眼立体視にも対応している。 --動きも3Dによる演出を最大限に利用しており、3Dで見た際の迫力はかなりのもの。 --これまで分身という同じ演出で統一されてきた特殊能力による回避演出が機体ごとに種類が細かく分類されており(ダブルオークアンタの量子ジャンプ、ラインバレルのオーバーライドなど)、種類によってアニメーションの演出も大きく変化するようになった。 -『ラインバレル』のカットイン原画の一部は原作者が直々に担当している((ちなみに、アニメでは無理と言われるほど線が多い作画である。))。 -任天堂機((GC、NEOは切り払い自体がない。))では切り払いの発生はエフェクトのみであったが、本作では切り払うモーションが発生するようになった。 -『L』の「イベント戦闘で撃破する敵は撃破してもトドメ演出が発生しない」という問題点も、オプションでトドメ演出のオン・オフを任意で変更できるようにした事で解決している。 **問題点・賛否両論点 ***シナリオ面 -版権に関しては非常に評価が高いが、オリジナルキャラについてはやや賛否両論。 --事前情報で主人公機として紹介されていたライオットBは序盤でしか使えない。機体名変更が行えない((オルフェス及びその後継機は変更可。))事からも、「真の主人公機(オルフェス)の前座」と言う扱いとなっている。オルフェスを効果的に魅せるための意図的な物であろうが…。 --主人公であるアーニーのキャラは前述のとおり評価が高いのだが、第三部に入ると戦闘セリフが大幅に変化する。その理由がはっきりと語られず、誰もそれを突っ込まない点は賛否が割れている。 ---ただ、前述したように武装のモチーフも必殺技BGMも必殺仕事人のオマージュである事が明確である為、人によっては「ああ、仕事人としての覚悟を決めたんだな」とあまり気にしないことも。さらにこの時点で抜けていたのは、同化現象の治療の為に竜宮島に戻っていたファフナーのメンバーだけであり、他のキャラは変化について知っているので突っ込まないとも取れる。また戦闘台詞とあるようにインターミッションでは以前とあまり変わっていないため意識的に変えているという事もだいたい予想ができる。 ---どちらかというと台詞が仕事人になった事よりもヒロインであるサヤ・クルーガーに対して二部まではさん付けだったのが3部から急に呼び捨てになっている事に関する説明がない事のほうが賛否の主な原因と思われる。 --また、ライバルとして序盤から登場するジンのキャラはやや迷走気味で、中盤からの性格や行動はあまり評価されていない。 --クロスオーバーに関してもオリジナルキャラとしては一歩引いたものが多い。と言っても影が薄いというわけではなく、存在感はある。 -全体的な難易度はそれほど高くはないが、初見殺しのマップもある。 --特に、とあるマップで撃墜するとゲームオーバーになる敵ユニットを容赦なく撃墜するNPC機については、大きく話題になった(知ってさえいれば容易に回避できるが)。 --敵の思考ルーチンは『L』と同じで、HPが高いユニットを優先的に狙う。撃墜寸前のユニットを無視して無傷のユニットを狙う事もあり、やや不自然に見える。 -シナリオは非常に練られた設定である一方、それを意図的に語らず、プレイヤーに想像・考察させる形をとっている部分が多い。「奥が深い」ととるか「説明不足」と取るかで評価が分かれる所だろう。ただし、説明不足といっても隠されている部分は人智を超えた領域の話であることが多いので、それを知ることができてしまうのは不自然になる可能性もある(例外あり)。 ***隠し要素関連 -隠し要素については前述の通り問題点が存在する。 --先に述べたように、本作では一度フラグを立てれば次周以降は無条件で生存する。これは逆に言えば「一度生存させてしまうと、そのデータでは二度と死亡時のシナリオが見られなくなる」という事でもある。もう1度見たい場合は周回特典を諦めて完全に最初から始めないといけない。 --前述の通り、生存時は大幅にシナリオが変化するため、余計に問題となってしまっている。さらに、一部の隠しキャラは死亡時限定のDVEも存在し、生存フラグを満たしたらそのセーブデータでは二度と聞けなくなってしまう。 --「フラグ無し」「Aのみの生存フラグを立てた場合」「Bのみの生存フラグを立てた場合」「A/B双方の生存フラグを立てた場合」でそれぞれ台詞が大きく変わるシナリオも存在しており、全ての展開を見たい場合はとにかく手間。 --セーブデータは40個作れるので、「1周目用」の記録枠を残しておくことが推奨されている。 -意図せずフラグを満たしてしまう事を避けるためか、各種生存フラグは非常に厳しく設定されている。攻略情報無しの初見1周めでは1人も生存しない事さえ有り得る。 --特にほとんどのキャラで条件となっている「特定キャラの撃墜数」が膨大であり、「意識して多用する」レベルでは到底届かず「単独で無双する」レベルでなければならない。全滅プレイでも加算されるものの、後述する撃墜数仕様の存在もあり、周回プレイではフラグ条件となっているキャラ以外のキャラを活躍させにくい。 -フラグに撃墜数が含まれるキャラは「その周回の''実際の''撃墜数が規定数値を満たしたか」で判定されるようになった。これは初期値や未選択分岐、レア特殊スキル等での増加分を省いた数で、全滅した場合は加算されたままとなる。 --しかし、ステータス画面に表示される撃墜数は初期値・周回引き継ぎ・未選択分岐等を加算し、全滅プレイ時は加算されないと言うもので、隠しフラグの仕様と無関係になってしまっている。そのため、表示撃墜数と周回内実撃墜数の差異をいちいち意識しておかなくてはならない。 --さらに、本作は各キャラの初期撃墜数を決定する計算式の関係で、撃墜数が非常にカンストしやすい。そうなってしまうと、自分で何機撃墜したかをカウントしなければならない。 ---前作『L』のミシェルバグ((撃墜数がシナリオ前から規定以上増えていると生存、という条件だったため途中でカンストしてしまうと満たせなくなってしまう。))の反省からこのような仕様になったと思われるが、それならせめて周回内撃墜数の表示もして欲しかったところである。 ***UI関連 -本作では十字キーにカーソルの移動、マップの拡大・縮小がアナログパッドに割り振られている。タッチパネルは完全非対応。操作しづらいと感じた人も少なくない。 --『L』同様クイックコマンドがあるが、『L』と違いXボタンによる操作ができずYボタンのみになっている。 -3DSの仕様でセレクト・スタートボタンの機能が統一されているため、『第2次OG』のように特殊能力の解説などが能力場面でボタン一つというわけにはいかないのも難点。 -精神コマンドの仕様変更 --従来は他者に精神コマンドをかける際はアイコンを直接指定していたが、本作では専用のリストからかけるユニットを選択する形になった。 --マップ上から直接かけるユニットを選べた今までの方式に比べ、逐一リストからコマンドをかけるユニットを探さなければならず、慣れているプレイヤーからすれば面倒なことこの上ない。 -キャラ辞典・ロボ図鑑が未実装 --元々エーアイスパロボには図鑑は実装されていなかったが、声つきにできるなら図鑑も実装して欲しかったという声も多い。 --特に、前述の通り本作のシナリオは非常にクロスオーバーが豊富なため、「原作での設定を知りたい」と言う欲求は大きくなりがち。 ***ユニット性能面 -『蒼穹のファフナー』は、TV版から劇場版に変わるに伴いユニットの性能が変わり、それに伴い使い勝手も大きく変わってしまう。 --格闘戦機だったにも関わらず最強武器が遠距離射撃になるマークザイン、接近格闘機から射撃武器オンリーの戦闘爆撃機になるマークドライ、狙撃機体から最強武器が近接射撃になるマークジーベン。最強武装の必要気力が下がった代わりにその他の強武器が弱武器になったマークアハト。 ---最も機体性能は向上し、仕様変更はあるもののマークアハト以外は全体的に攻撃力は向上しているため、マークアハト以外は総合的に言えば強化されているとも言える。 --また、劇場版からの参戦となるキャラは、残り話数の関係でやや活躍しづらい((そのためか、ツメスパなどには頻繁に登場する。))。とは言え、ある時期を境にファフナー系は特殊能力で多く出撃させるほどパイロットの能力が底上げされるため弱いわけではなく、ファフナーを主力としているなら出すだけでも価値はある。 ***ボイス -戦闘時、特定の味方キャラクター同士だと発生する掛け合いボイスがシングルユニットによる「援護攻撃」時のみ再生され、パートナーユニットによる連続攻撃では再生されない。 --今回のシステムでは単独で活動させるより機体の性能やスキルの都合上組ませた方が何かと便利((もちろん単独で問題無い機体もある。))な機体が多く、パートナーユニットで組ませていると汎用セリフしか再生されないキャラクターも登場してしまう。 ***アニメーション -3Dによる演出に力を入れたためか、立体視をオフにした場合は前作『L』どころか前々作『K』よりも動かなくなったという批判もある。 --かといって常時立体視だと目も疲れる((開発側もそれを意識してか、目の疲れに関する中断メッセージを多く取り入れている。))。 --3D演出の弊害として、手前に迫ってくる動きが2Dで見ると単なる拡大となってしまい、ドットがさらに荒く見えてしまうという意見も。 --フォローを入れておくと多かれ少なかれ過去作からの使い回しが出来た『W』、『K』、『L』とは異なり、全てのユニットのドットを新規に作る必要があったため、作業量的に限界があったことは想像に難くない。 --また、3D抜きにしてもオーラバトラー系など評価されているものも有り、今までのアニメーションはクドすぎるという意見を持つ者からはこのくらいが丁度いいという意見もある。 ***ダウンロードコンテンツ関連 -キャンペーンマップ中に中断セーブなどが出来ない。(中断手段は3DS本体のスリープモードのみ) --DLCでありツメスパに近い要素の為、「セーブ及びクイックロード不可」が仕様の可能性もあるが、せめて中断機能は欲しかった。 ---ツメスパと違って通常プレイ同様に確率によるミスが発生するので、外れる事も考慮してプレイしていると結構時間がかかる。 ***バグ -本作では戦闘アニメのフリーズバグがいくつか報告されている。 -また、特定の操作をすることで本来払い戻されるべき資金が払い戻されなかったり、加入するべき隠しキャラが加入しなかったりといったものもある。 **総評 そのあまりにカオスな参戦作品群から発売前は賛否両論、出来を不安視する声も多かったが、いざ発売されてみるとプレイヤーの想像を遙かに上回る良質なクロスオーバーとIF展開、豊富な隠し要素によって前評判を見事覆した。~ UIやオリジナルキャラについては批判点も散見されるのでこれらは次回作以降の改善に期待したいところであるが、新ハードのスパロボとしては十分以上の出来。~ 参戦作品で敬遠している人には是非ともプレイをお勧めしたい一品である。 **余談 -チーフライターである岸本みゆき氏はかつて『三国伝』のシナリオに関わっていた経歴を持つ。原作スタッフがスパロボに監修として関わったケースは多いが、スパロボスタッフとして直接関わるケースは珍しい。 --ちなみに、オリジナル機体のデザインとして参加している寺島慎也氏も『三国伝』のメインスタッフだったりする。 -『デモンベイン』の原作ゲーム版を製作したニトロプラスは、2013年のエイプリルフールネタとして『渾沌大殲』を発表した(クトゥルフ神話を扱った作品のオールスターゲームという触れ込み。現在は閲覧不可)。キャッチコピー、サイトの構成を含めて本作のパロディとなっており、さらに許可を取ったうえで他社の作品まで出演させる、描きおろしイラストを多数用意する、と異常なまでに気合が入っている。そんなに『デモンベイン』のスパロボ参戦が嬉しかったのだろうか。 -『デモンベイン』の原作ゲーム版でエンネアを演じた成瀬未亜氏は引退していたため声優が変更されている((代役の柚原有里氏は漫画連載も持つ異色の声優で、声も顔も成瀬未亜氏そっくりでオマケに連載している漫画の絵柄まで成瀬氏にそっくりで極め付けに公開されている出身地と誕生日が二人とも同じなのだが、公式で同一人物であるというアナウンスは無い。))…のだが、当の成瀬氏は本作発売後に声優活動を再開した。 -スパロボ恒例の乳揺れカットインは今回は存在しない((ただし、飛影の登場演出での胸部装甲の揺れを「乳揺れ」と評するファンも存在する。))。その代わり、デモンベインのレムリア・インパクト使用時には前代未聞の''パンモロカットイン''が拝める。これには乳揺れに慣れたプレイヤー達も唖然とした。 --れっきとしたアニメ版演出の再現ではあるのだが、''作画演出が原作アニメよりしっかりしている''という謎の徹底ぶりである((ちなみに原作ゲーム版デモンベインには、(大元の18禁版も含めて)この演出は存在しない。))。 -石丸博也氏、飛田展男氏、矢尾一樹氏の3人は声がつくようになった『第4次S』から全ての作品(OGシリーズ除く)に出演していたが、本作で石丸氏と飛田氏の皆勤記録が途切れ、シリーズ皆勤は矢尾氏のみとなった。
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