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*昆虫ウォーズ 【こんちゅううぉーず】 |ジャンル|昆虫メカバトルシミュレーションRPG|&amazon(B000RJVR10)| |対応機種|ニンテンドーDS|~| |発売元|サクセス|~| |発売日|2007年8月2日|~| |定価|5,040円(税込)|~| |分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -2007年8月2日、サクセスより発売された完全オリジナルのシミュレーションRPG。 -そのタイトルとストーリーの世界観から、セガの「甲虫王者ムシキング」の二番煎じを狙って作られたのが見え見えのゲーム。 //間違える人が本当に多いんで注意。「昆虫」じゃなくて「甲虫」です。 -しかし、ジャンルがシミュレーションRPGな為、内容は完全な別物である。 -幼稚なタイトル、ダサいパッケージのデザイン、そしてムシキングの二番煎じな雰囲気と、クソゲー要素が揃い過ぎてたのが災いしてか、セールスは振るわず、発売後すぐワゴン行きとなってしまった。 -販売元のサクセスも同時期に発売された同じくシミュレーションRPG『偽りの輪舞曲』のプロモーションに力を注いでいた為、本作に対しては投げやりだった。 --それでも[[新宿駅周辺に宣伝バス(アドバス)を走らせるなどは行った。>http://www.famitsu.com/game/news/1198651_1124.html]] --だが、それが効果のあるものだったかどうかはもはや語るまでも無い。 -しかし、肝心の内容は''クソゲーなんて失礼千万も甚だしい、ずば抜けて完成度の高いもの''であった。 -それどころか、他のハードも含めて、ここ数年の間に発売されたシミュレーションRPGの中では指折りのクオリティを誇る、近年稀に見る傑作である。 -実際、プレイしたユーザーの評価はすこぶる高く、mk2のシミュレーションRPGのカテゴリの総合点では、『[[女神異聞録デビルサバイバー]]』に次ぐスコアを獲得している。またユーザー別の得点も平均70~85点台の高得点をキープしている。 ---- **ものがたり それはある夏の日の――いつもと変わらない、なんでもない日のできごとだった。ヤマトとツバサは、今日も学校の裏山にやって来ていた。ヤマトが見つけたカブトムシ、ツバサが見つけたモンシロチョウは、いつもと違う昆虫だった。  「聞こえる?私たちの声が……」「私たちには、君たちの助けが必要なのだ!」 それは、目の前にいるカブトムシとモンシロチョウの声だった。彼らは『ムシワールド』という異世界から来たといい、カブト、ホワイトと名乗った。カブトとホワイトは『ムシワールド』の危機を救うためのパートナーを探しているという。『ムシワールド』へと飛んだ二人と二匹を待っていたのは、巨大な虫型ロボット『ムシボーグ』の襲撃だった。知恵と意志を持った昆虫たちの住む世界『ムシワールド』は、突如として現れた黒い『ムシボーグ』たちによってその平和が乱されようとしていた…。今、『ムシワールド』を救うため、戦いの旅が幕を開ける…。(以上、説明書より抜粋) ---- **特徴 -ユニットは全て、カブトムシやチョウなどの昆虫をモチーフにしたメカ(ムシボーグ)。一定の経験値を得ることでレベルアップし、兵装のカスタマイズもできる。 -各ユニットにはHP・装甲・バリア・素早さ・移動型・移動力・格闘・格闘命中・射撃・射撃命中・砲撃・砲撃命中・砲撃射程のパラメータが存在する。 --装甲・バリアはそれぞれ通常武器と「ビーム」の属性のついた武器に対する防御力を示し、素早さは回避力を示す。(ファイアーエムブレムシリーズにおける守備・魔防・速さと捉えてもらってかまわない) --移動型とは各地形に対するユニットの移動力の低下度を示す。飛行ユニットは全てハネに、地上ユニットはアシ、タイヤ、クローラーに分類される。低下度の大きさはタイヤ>アシ>クローラー>ハネの順だが岩場でのみアシとクローラーが逆転する。 --格闘・射撃・砲撃はそれぞれ装備している武器固有の攻撃力(格闘のみ、それにユニット固有の攻撃力を足した数値)を表す。射撃・砲撃は武器を装備していない場合は0となり、戦闘時にも使用できなくなる。 --格闘命中・射撃命中・砲撃命中はいずれもユニット固有の物なので武器を装備していなくても0にはならない。本作では命中が高いほど与えられるダメージも増える(逆に低いと減る)ため、命中の高さも馬鹿に出来ない。 --それ以外にも「砲撃射程の最大値が+1されるテントウムシ」「地上ユニットへの射撃には特効(攻撃力2倍)が付加するトンボ」「攻撃後に移動力と同じだけ再移動ができるバッタ」など、一部ユニットには特殊能力が備わっている。 -戦闘は格闘・射撃・砲撃・カード(後述)のいずれか一つのコマンドを選択して行う。 --格闘は武器にユニットの攻撃力が加わるが命中があまり高くない。射撃は命中が高い傾向にあるが攻撃力が武器のみに依存する。砲撃は離れた敵に攻撃できる上に反撃されないが、代わりに攻撃前に移動が出来ない(移動後には砲撃が出来ない)。射撃同様に攻撃力も武器依存である。 --基本的にはユニット毎に最も得意な攻撃(=命中の高い攻撃)をさせたほうが良い。 -敵フェイズで攻撃の標的にされると反撃・防御・回避・カードの防御コマンドに変化する。 --反撃は敵が攻撃した後に、敵と同じ攻撃手段で攻撃する。砲撃を受ける時には選択できない。攻撃手段が格闘か射撃かはコマンド選択後に分かるため、攻撃手段がある程度予想できないとならない。「反撃を選んだら敵は射撃をしてきた。でもこっちは射撃武器を持ってなかったので棒立ちのままだった。」なんてこともたまにある。 --防御・回避はそれぞれ装甲(バリア)・素早さの高さでダメージを軽減する。防御は確実にダメージを減らせるが相手の命中が高いとダメージが通ることがある。対して回避は乱数が絡んでくるため、素早さが高いのに失敗or低いのに成功、ということも。 -また本作には「コマンドカード」という一発逆転要素がある。カードデッキ(最大容量16枚、自軍全員で共有)に入れておいたカードをマップ攻略中に1枚につき1回ずつ使用出来るのだ。これらのカードは使用しても次マップではまた使えるようになる。 --回復や移動、範囲攻撃などに関わるカードはマップ用に分類され、自軍のターンならばいつでも使用できる。使用するとそのユニットは行動終了となる。 --一時的に攻撃力や防御力を高めるカードはバトル用に分類され、攻撃時、或いは防御時に使用できる。但し、カード発動時に発生するミニゲームを成功させなければならない(失敗すると効果が一部しか発動しない)。 --カードはマップクリア時に手に入るが、他にも「紋章」と呼ばれる一筆書きの模様の入力や、複数の既存カードの「合成」で強力なカードが得られる。 ---紋章は一部マップに「地上絵」として描かれているほか、海外版の公式サイトにも載っている。 -マップは2D斜め視点(クオータービュースタイル)だが、高さの概念は無い。ターン方式で展開し、勝利条件を達成すればマップクリアとなる。 --クリア後は倒した敵の数に応じて経験値、ボーナス経験値、資源、カードが手に入る。 ---経験値は自軍全員に割り振られるが離脱・非出撃のユニットだけはちょっと少なくなる。ボーナス経験値は量はあまり多くないが好きなユニットに割り振ることが可能。資源は武器を作る際に消費し、武器を壊すことで微量だが増える。要は貨幣の代わりである。 -一方で敗北条件を満たしてしまうか「降参」のコマンドを選ぶとゲームオーバーとなりマップ開始からやり直しとなる。 --「降参」は自軍のターンならいつでも使用可能。ゲームオーバーに対するペナルティはないのでジリ貧になって仕切り直したくなった時にでもどうぞ。 ---- **評価点 -間口の広いゲームデザイン。 --全三種類の難易度選択機能を搭載、任意性のチュートリアルあり、ユニットは離脱扱いでロストの概念は無し、レベル上げにも資源稼ぎにもやり込みにも活用できるフリーマップあり、もちろん中断機能も完備と、初心者からコアユーザーまで幅広く対応している。 ---最も難易度の低い「かんたん」でもしっかりとした歯応えがあり、ゴリ押し上等の一方的な展開に陥り難い。 -絶妙なゲームバランス。 --ユニット一体一体の特性が明確で、成長させても誰一人、完全無欠の最強ユニットにならない職人芸の調整が図られている。最大レベルに成長させても弱点を持つユニットになる為、上手くマップ上で動かすことが要求される。 ---例えばカブトムシはHP・装甲が高く格闘が得意だがバリア・素早さは低く射撃・砲撃は苦手。これらの短所は元来持つ長所や装備でいくらか補えはするものの完璧に埋めることは出来ない。 -秀逸なマップデザイン。 --敵の配置から地形の配置まで、戦略を考える楽しみを尊重した作り込みがなされている。類似マップの少なさも特筆に値する。 --本作では自軍は最大でも9体までしか出撃出来ず、かつ全員が何かしらの弱点を持つためマップ毎にユニットの立ち回り方を考える楽しさもある。 ---敵の全滅が勝利条件なのに飛行ユニットへの特効を持つ敵を飛行ユニットでしか行けない所に配置する、など一見意地悪にも思える配置も(実際は玉砕を覚悟しなくても装備やカードを工夫すれば安全に倒せるようになっているのがニクイ)。 -膨大なボリュームとやり込み要素。 --本編マップは25面以上(分岐・隠し面あり)、フリーマップは60面と携帯機であることを抜きにしてもボリュームが大きい。 --コマンドカードは60種類、パーツは190種類以上、更には紋章集めなどの収集要素も充実している。 -カスタマイズの楽しさ。 --パーツの組み合わせ次第で特別な性能を持つユニットに化けるなど、やり甲斐があって中毒になってしまう面白さがある。 --射撃武器の代わりに装備するとバリアが上がる「サイドリフレクター」など特定のパラメータを伸ばすパーツも多い。 --パーツを付け替える事でメカのグラフィックも変更される。そのせいかフリーマップでは「土管」や「こうもり傘」など見た目の変わったパーツが手に入る。 --カスタマイズとは別に自軍のエンブレムをドット打ちで作れる機能もある。 --メカデザインも凝っており、虫特有の気持ち悪さも無く虫嫌いでも馴染める。 -テンポの良い戦闘シーン。 --マップ戦闘には切り替えられないが、それすら気にならなくなるほどスピーディに展開される。全体の処理速度も速い。 --主人公やボスのように搭乗者のいるユニットは攻撃、防御時に一言台詞が挿入される。ボスが大ダメージを受けた時の台詞を見るのは至難の業だが見られたときの快感は大きい。 -熱い音楽。曲数は少ないが名曲が揃っている。 --作曲は&bold(){『テイルズ』『スターオーシャン』『バテン・カイトス』『黄金の太陽』の桜庭統氏という想定外の人選}。 ---特にゲーム後半から聞けるマップ曲は前半マップ曲と違ってバリバリのロック調であるなど、作曲者の本気が伺える。ちょうど世界が激変する節目の時なのでストーリー的にも良い演出である。 -ストーリーは王道だが、小気味良いテキストと魅力溢れるキャラクター達で楽しませてくれる。 --中でもゴキブリのムシボーグに搭乗する、ヒュードルなるキャラクターが凄い。全編にて漢(おとこ)の生き様を見せてくれる。プレイすれば、ほぼ確実に彼とゴキブリには畏敬の念を抱いてしまうだろう。 --&bold(){まさにゴキブリに見惚れるゲーム(惚れゲー)である}。 --ちなみに彼の搭乗するゴキブリ型ムシボーグの名前は&bold(){ジェット}。ゴ○ジェットという殺虫剤があることを思うとちょっと笑える。 --また、ストーリーには明らかに子供向けとは思えないネタも仕込まれている。例を挙げれば、「&bold(){いしのなかにいる}」など。 ---- **問題点 ''システム面'' -コマンドカードのミニゲームの仕様が酷い。ボタン操作に対応せずタッチペンしか使えない。激しい連打も要求される為、外出先でのプレイにも適してない。致命的。 --終盤になると、敵も頻繁にこのカードを使ってくる。そのせいで、ミニゲーム合戦になり易い。 --高難易度モードではミニゲームに勝つこと自体難しくなってくる。そのため自軍のカードは一部しか発動せず、敵のカードは完全発動ばかりということもざら。 --なお敵味方双方がカードを使用した場合、ミニゲームに負けると一部どころか&bold(){全く発動しないまま使用済み扱いになる}。しかもよりにもよってこのミニゲームが一番難しい。 -攻撃ターゲットを決定し、コマンド選択画面に移行すると後戻りできない。その為、ターゲット選択時には慎重な判断が要される。 -味方と異なり、敵は各自がカードを所持している(敵Aの持つカードを敵Bは使わない)。それ自体はいいのだが、チュートリアルではそのことが説明されないため初見では敵もカードを共通で使えると勘違いしやすい。敵の所持カードが見えないこともありやや不親切。 ''バランス面'' -良くも悪くも砲撃が優秀すぎる。攻撃前に移動が出来ないという短所よりも反撃されないという長所が大きい。砲撃手だけではクリアは出来ないが砲撃手がいるだけで勝率はぐんと上がる。 --特に「格闘・射撃が得意だが護身用に砲撃も出来る」という敵が相手だと、移動範囲外かつ砲撃範囲内に囮を置き、更に遠くから長射程の砲撃で削ることで敵に近づかれることなく倒せてしまう。&bold(){ラスボスさえも}。 --上記のミニゲームのうち砲撃関係のミニゲーム(エアホッケー風味の爆弾飛ばし)のみ、とあるテクニックを駆使すれば高い勝率を得られるのも大きい。 -フリーマップ後半には「ラスボスと同機種のムシボーグとひたすら戦う」というマップがあるが↑の理由との相乗効果でやや作業気味になってしまう。 --一体だけなら玉砕覚悟で特攻を仕掛けるのもありなのだが、相手が何体もいるのでそうもいかない。 -味方に比べて敵の回避成功率が数値以上に高いように感じる。補正でもかかってるんじゃないだろうかというくらい感じる。 --ダンゴムシやスズメガなど素早さが特に低いユニットも例外ではない。ボス戦で渾身の一撃が避けられた上に「あんた相当のろいな」とか「は~ずれ~♪」とか言われるとへこむ。 -主人公の親友であり、クワガタのムシボーグに搭乗する少年ショウヤと、その相方のクワガタ型ムシボーグ、アギトがかなり不遇。 --パラメータがバランス型のため特定の役割を持たせようとすると他ユニットに見劣りし、装備可能なパーツに有用なものが少ないため補強もしづらい。移動力は高いのだが移動型がタイヤのため砂地や岩場はおろか草原ですら移動力が落ちる。 --おまけに(ネタバレになるので詳細は伏せるが)途中でパーティーを一時離脱する。離脱中は経験値が入らず、復帰後は周りとのレベル差がネックになりやすい。 ---彼の妹も同様に一時離脱するが、彼女が搭乗するムシボーグは砲撃を得意とするため、復帰後も悠々と一軍を狙える。この差は何だ!? ---どうでもいいことだが公式サイト内には彼ら兄妹が離脱することを示唆した4コマ漫画がある。いいのか?まあ、ここのページが言えることではないが… --ユニット間ではどうしても優遇不遇が発生してしまうのがゲームの常。本作では各ユニットに明確な長所と短所があるため、それを優遇と見るか不遇と見るかプレイヤー間で若干の相違がある。が、彼の場合はほぼ満場一致で「不遇」と言われる。 --とは言え彼の能力は周りに見劣りする程度で、運用が難しくなるほど酷いものではない。むしろ序盤は戦力が少ないので使ってあげないと難易度が増す。 ''その他'' -言うまでも無く、出来の良さに反した「昆虫ウォーズ」という幼稚なタイトルである。これだけで本作を手にしなかったという人は少なくないと思われる。 --なお、海外では『[[Drone Tactics(ドローン・タクティクス)>http://www.atlus.com/dronetactics/]]』と名付けられている。しかも発売元は&bold(){アトラス}である。 --ちなみにアトラスは様々なゲームのローカライズを行っている(例おさわり探偵、R-TYPE Tactics等) ---- **その後の展開 -完成度の高さで好評を博した為か、近年ではワゴン売りが大幅減少し、定価に近い値で取引されている。 --しかし、定価で買っても全く損はないタイトルである。 -2010年7月3日発売の季刊誌「ゲームサイド」8月号(Vol.24)、『シミュレーションRPGを読み解く』の特集内の名作紹介コーナーにて、今作が2ページに渡って取り上げられた。 --「マイナーなれどDSでも屈指のシミュレーションRPG」「万人向けという言葉がこうも似合う作品もない」と概ね絶賛されている。 --しかし「タイトル名であまりにも損しています」「ダントツに地味な字面から「面白そう」と感じる人なんて誰もいないだろう」など、この項と同様にタイトル名に関しては批判されている。 //ページ全体を加筆しました。問題がありましたら修正お願いします。
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