「シャドウハーツ」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

シャドウハーツ」(2013/11/28 (木) 23:04:15) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

*シャドウハーツ 【しゃどうはーつ】 |ジャンル|RPG|CENTER:#amazon(B00005OVS9)| |対応機種|プレイステーション2|~| |発売元|アルゼ|~| |開発元|サクノス|~| |発売日|2001年6月28日|~| |定価|7,140円|~| |廉価版|2003年11月6日/2,079円|~| |分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''シャドウハーツ'' - [[シャドウハーツII]] - [[フロム・ザ・ニューワールド>http://www23.atwiki.jp/ggmatome/pages/597.html#id_22e1c437]]| #contents(fromhere) ---- **ストーリー 1913年、フランスのルアンで一人の神父が殺害された。神父に連れ添っていた養女アリスは発見されず行方不明となった。~ その数ヵ月後、アリスは中国大陸、満州の列車で日本軍によって護送されていた。~ しかし突如として列車の中に日本兵の断末魔が響き、その先からシルクハットにスーツ姿の老紳士が現れる。~ その紳士こそ養父を殺した男ロジャー・ベーコンであった。~ ~ その頃、『フュージョン』の能力を持つ主人公ウルは頭の中に流れ込んでくる謎の声に導かれるままその列車へやってきていた。~ 『フュージョン』とは倒した魔物の魂と融合しその力を使う特異能力である。~ 『彼女を守りなさい』 そう命じる謎の声にウルは鬱陶しく思いながらも、アリスを守るためにベーコンと相対した。~ ---- **概要 -1913年の中国大陸及びヨーロッパを舞台にしたRPG。 -サクノスの旧作『クーデルカ』の15年後を舞台としている。クーデルカの登場人物・設定も引き継いでいる。 --ただしクーデルカ(クーデルカの主人公)は性格などが変わりすぎておりクーデルカのファンからは別人扱いされることもある。もっとも15年も経過してあらゆる意味で立場も異なるのだから流れとしてはそう不自然でもないのだが。 -中世でもSFでも現代でもない現実の近代を舞台にしている、というだけでかなり異色のゲームだがジャッジメントリングをはじめシステムも斬新。 -しかしそれらの要素は奇を衒いすぎて滑っているわけではなく、斬新なリにバランスがとれており、むしろ新鮮味に溢れている。 -ホラー・怪奇的な表現・演出が多く、モンスターデザインなどはクトゥルフ神話を彷彿とさせる。 -シナリオは前半の亜細亜編と、後半の欧州編の二つに分かれる。 --亜細亜編は基本的に一本道で、町やダンジョンはクリアすると二度と行けなくなる。~ 欧州編は一度行った町なども自由に戻ることが出来、それに比べると自由度が高くサブイベントが充実した構成になっている。 ---- **評価点 -当時としては非常に美しいグラフィック・ムービー。 --元々スクウェア出身のスタッフで構成されたサクノスの作品だけあってそのグラフィックの質は見事なもの。 --グロテスクで面妖なモンスターたちはデザインだけでなくそのモーション・設定まで(いい意味で)生理的な嫌悪を催すもの。 ---弾むような奇妙な動きで味方に噛み付き、間合いを取る際には物凄い速さで這いずって後退する蛇、羽を瞬かせながら味方の顔に張り付いてくる巨大Gなどモーションの芸当が細かい。 --町やダンジョンの背景グラフィックも細部にわたって書き込まれており、一種の美術品のよう。 --本作のムービーはおおまかに以下の2系統に大別される。 ---PS以降のFFシリーズなどに代表される、ハイクオリティな3DCGによるムービー ---時代を思わせるセピアな色調・実写あるいは一枚絵による映像・一人のキャラクターの語りによって進行するといった特徴を持つ、独特なムービー ---後者のムービーは非常に独特で、ストーリーへの没入感も高い。 -ゲームのFPS(Frame Per Second)が常時60FPS程度を保っており、滑らかな動きを見せる。 -キャラクターの心情描写が巧みで感情移入度が高い秀逸なストーリー。 --アリスと出会う前まではその出自ゆえに自暴自棄でごろつき同然の生き方をしていた主人公ウルだが、アリスと出会い彼女を守ることによって成長していく過程や心情描写はとてもしっかりしている。 ---冒頭ではアリスの自分を怖がる態度に怒鳴り散らし、セクハラ紛いの発言までしていたウルだが、終盤では彼女を守るためには神をも倒すような、主人公らしいキャラクターに成長していく。 ---中盤、自我を失って離脱したウルがアリスの呼びかけによって復帰するシーンや、ラストダンジョンからエンディングまでの展開はその中でも泣けるシーンとして好評である。 --サブキャラや敵のエピソードも充実しており、その悲喜劇はなかなか考えさせるもの。 --話のテンポもかなりスピーディーで隠し要素を堪能しないならば20時間ほどで終われる、さくさくしたもので間延び感がない。 -ホラーを意識した世界観、演出。 --メインシナリオこそ王道だが、先述したように世界観は異色の近代。文明の発達が著しい中世界は戦争や政情不安による時代の闇に包まれ、そしてそれらに紛れるように怪異がはびこる世界観を随所で表現している。 --冒険の舞台も、吸血鬼の住む城、魔物の徘徊する村、精神病院、無人の孤児院などホラー映画の舞台のようなチョイスばかり。 --登場人物の回想が怪談調に演出されていたり、ダンジョン内に置かれたオブジェクトを調べると出てくるテキストは薄ら寒いものが多かったりと直球のグロ以外の演出もがんばっている。 --音楽はこうした世界観を引き立たせるために暗い曲調、不思議なメロディーが多い。そのため単体の曲としてはイマイチだが演出効果としては優秀なものである。 ---なお、ラスボス戦の曲「Imbroglio」など単体で評価の高い曲もある。 -凝ったデータベース。 --本作はメニュー画面にて、これまでに登場・入手したことのある全てのキャラクター(敵キャラ含む)やアイテムを閲覧できる機能がある。 --それら全てには個別に解説文が用意されている。またアイテムには個別のイラストまで描かれており、かなりの凝り様である。 --それらを眺めるだけでも、まさに図鑑を読んでいるかのような面白さがある。 -スコアシステム。 --メニュー画面の「スコア」にて、これまでの総戦闘回数や移動距離、ジャッジメントリングの成功率といった各種記録を閲覧できる。 --各種記録を基にして、総合的な成績である「順位」が1位~100位の間で変動する。 --これらの要素により、より良い記録を目指すといったプレイヤー独自の目標が立てやすく、やり込み甲斐のあるゲームとなっている。 ---また各種記録・スコアはいちいちコメディックな称号が付属しており、毎回確認する楽しみもある。これらの要素は次回作以降にも引き継がれる。 -隠し要素が豊富。 --九龍廃城、人形の館のようなメインシナリオに関係ないサブイベント用の隠しダンジョンが多くある。また隠しダンジョンの中には一度クリアしても特定の条件を満たせば更に強いボスを出現させることができたりする。 --メインストーリー用の町やダンジョンもクリア後に訪れるとサブイベントが起こったり強力なアイテムが見つかったりする。 --隠し福引会員や隠しショップなども豊富でついつい入念に探索してみたくなる出来。 --エンディングも特定条件を満たせばハッピーエンドになる。 -なんといってもジャッジメントリングやSPによる戦闘システム・戦闘バランス。これがこのゲームの最大の特徴・長所である。(後述) ---- **ジャッジメントリング -簡単に言えばルーレットを用いてあらゆる判定をするシステム。 -戦闘・アイテムの売買・謎解き・ミニゲームなどに使用されヒットエリアという部分にタイミングよくバーを止めることで判定を成功させることができる。 --アイテムの売買の場合、値切りや売却アイテムを高く売りつける場合に判定が生じる。 -判定や状況によってヒットエリアの幅やヒットさせなければならないヒットエリア数が変わり難易度を上手く調整してある。 --たとえば戦闘の場合、キャラや技によってヒットエリアの幅が異なる。これにより基本能力や技以外でキャラの差別化が図られている。 --物理も魔法も優秀でSPも高いが、攻撃のヒットエリアが狭く癖のあるキースなどジャッジメントリングによって能力の強弱を緩和されている。リングが苦手な人はよりヒットエリアが広く使いやすいキャラを使えばいいし、慣れてきた人はその逆をすればいい。 -とはいえ、全体的に能力が優秀でフュージョンができ、ヒットエリアも大きいウルが一番強い。が、主人公であるゆえに基本的にパーティーから外せないことと一騎打ちするシーンが多いので批判はない。 -戦闘でのジャッジメントリングのほとんどにはヒットエリアの中に赤く狭いクリティカルエリアが設定されており、そこにバーを止めることで通常より強い効果を得ることが出来る。 -別のゲームの似たようなシステムで「アンリミテッドサガ」のリールシステムなどがあるが、それらと比べるとジャッジメントリングは目押しが簡単で慣れれば割と誰でもクリティカルを連発させられる。 --しかしそういったリングがぬるいという人のために「攻撃力が2倍になるがヒットエリアが見えなくなる」「すばやさが大幅に上がるがバーの速度が速くなる」といった強力アクセサリーがあり、それらを装備することでキャラを強化しながらジャッジメントリングの難易度を自ら上げるといったプレイができる。 --お金を払ってヒットエリアを狭くする代わりに武器の攻撃力を上げることもできる。 --逆にどうしても目押しが慣れないという人のために、お金を払って武器のヒットエリアを拡大したりすることができ、ヒットエリアを広げたりバーの速度を減少させる装備・アイテムもあるため救済措置も万全。 ---- **SPシステム -キャラクターにはHPとMPのほかにSP(サニティポイント、正気度)というものが設定されており、これも個性付けや緊張感のあるゲームバランス構築に一役買っている。 -SPは戦闘中にターンが回るたびに1ずつ減っていき、これが0になると「暴走」しキャラの操作が一切出来なくなる。この状態だと同士討ちもするし勝手にアイテムも使う。 -これにより長期戦をするのがプレイヤーにきわめて不利になることになり、戦闘が長引くにつれて緊張感が高まっていく。 --ジャッジメントリングは判定に失敗するとどんな行動もキャンセルされてしまうため、長期戦を避けるためにも一層ジャッジメントリングの判定に気を遣うことになる。 --特に長期戦になりやすいボス戦ではSPの要素が活きてくる。漫然とHPを回復しながら攻撃を繰り返すだけの戦法では苦戦しやすく、HPとSPの両方を管理しながら戦術を立てないとジリ貧になるので、雑魚戦に比べて緊張感がひときわ違うものに。 -回復技が種類・性能ともに非常に優秀なアリスはSPが極めて低く、回復を彼女だけに頼らせて磐石の布陣、というわけにはいかない。 -ただしSPは普通に販売されているアイテムによって回復することができるので、事前の準備さえ周到ならそこまで鬼ではない。 -SPを大量消費してモンスターに変身する『フュージョン』、SPの減少量が増える代わりにステータスが大幅に上がる装備品など、SPを消費して強力な効果を得られるハイリスクハイリターンな要素もある。 --フュージョンシステムは主人公ウルの特殊能力であり、このゲームの戦闘の要となっている。 -終盤のボスなどはSPを減少させる技を使うものがおり、SPによる緊張感・危機感がより際立ってくる。 -全体で見れば比較的易しいゲームバランスにも関わらず、ジャッジメントリングとこのSPシステムによって戦闘中の緊張感は非常に高い。そして装備などである程度プレイヤーで戦闘難易度を調整することができる受け皿の広さ。これがこのゲームの戦闘システムの評価が高い理由である。 ---- **問題点 -PS2のRPGとしては、人間キャラのグラフィックがあまり綺麗とは言えない。&br()特に表情はまばたき程度しか変化せず、ほとんど無表情。その様相はまるで蝋人形が動いているかのような不自然さである。~ ある意味では本作の雰囲気に合っていると言えるかもしれないが、イラストでは温かみのある雰囲気なので違和感が大きい。 --2作目以降ではグラフィックの精度が上がっておりキャラが表情豊かになっているため、2作目以降からこのシリーズに入った人は面食らいやすい。 --キャラの顔がハッキリと見えるのはほぼ戦闘中に限られるので、イベントシーンでは気になるほどのものではない。 -上記以外のグラフィックは美しいのだが、開発費が足りなかったのか容量不足なのか町やダンジョンは狭い。 --しかし謎解きやイベントを上手く使ってダンジョン内を迷わせるような作りになっているためそこまでボリューム不足感はしない。 --また長所にあるシナリオのテンポのよさも、ダンジョンが狭いことによる攻略の容易さによる部分が大きい。 -サブイベントや隠し要素が豊富なのはいいが、一度取り逃すと取り返しのつかない期間限定のものが多いためコンプリートするには攻略本か攻略サイトがほぼ必須。 --特にハッピーエンドになるための手順はやや複雑で、条件を満たさずにラストダンジョンに入ってしまうと取り返しがつかない。 ---バッドエンドでもストーリーとしては味のある締め括り方であり、必ずしも駄目な結末というわけではない。また次回作の2のストーリーは本作のバッドエンドの続きとなっている。 --周回制を用いており、2周目以降ではそれまでの全フュージョンモンスターを引き継げるといった特典はあるものの、イベントスキップ機能などは無いため、やり直すのはそれなりに難儀である。 ---2周目以降でないと手に入らないおまけアイテムが存在するため、どうあっても1周目では全ての要素を完全にコンプリートすることは不可能。 ---- **その他 【『シャドウハーツ』と『鮫肌男と桃尻女』の不思議な関係】 -本作の説明書には、本作の監督・脚本を努めた板倉松三と、映画監督の石井克人との特別対談を掲載した&br()"『シャドウハーツ』と『鮫肌男と桃尻女』の不思議な関係" というページが収録されている。 --それによれば、板倉松三は本作を制作するにあたり、石井克人から大きな影響を受けたと語っている。 ---例えば本作の主人公ウルは、石井克人監督の映画『鮫肌男と桃尻女』の登場人物がモチーフとなっている。 --その他細かいことは、実際にゲームを購入して確認されたし。~ ただし、こちらは''ベスト版では一切合切をカット''されているのでその点は注意。((ベスト版はまさしく取扱説明書としての体を成しているのだが、通常版はこれ以外にも取扱説明書としてはどうかと言わざるを得ない内容(それでも最低限のことは説明されているが)が多く含まれている))
''Wiki統合に伴い、ページが[[カタログ>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/3992.html]]に移転しました。''

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: