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*スウィートホーム 【すうぃーとほーむ】 |ジャンル|ロールプレイングゲーム|&amazon(B000068HL7)| |対応機種|ファミリーコンピュータ|~| |発売元|カプコン|~| |発売日|1989年12月15日|~| |価格|6,500円(税抜)|~| |分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| **概要 1989年1月21日に東宝で公開された黒沢清監督・製作総指揮伊丹十三による同名ホラー映画を原作にしたRPG。~ 悪霊の跋扈する館に閉じ込められた5人のテレビ取材班でパーティを編成し、操作するパーティを切り替えつつ犠牲者やフレスコ画のメッセージやヒントを経て、限られた武器とアイテム、そして心の力を駆使し、悪霊たちと戦いながら屋敷からの脱出に挑む。 **ストーリー 有名フレスコ画家であった故・間宮一郎の幻のフレスコ画の撮影のため、裏寂れた山中にある彼の屋敷に潜入したテレビ局の取材班-プロデューサー星野和夫、ディレクター早川秋子、カメラマン田口亮、ナレーター・アスカ、付き添いで来た和夫の娘のエミの5人。~ 番組収録を始めた5人の前に突如、間宮夫人の霊が現れ、怒りと共に出口を崩壊させ一行を閉じ込めてしまう。5人は館から脱出するため、悪霊や魑魅魍魎の漂う館の内部へと踏み込んでいく。 **特徴 -ドットグラフィックの書き込みレベルは当時にしてはかなり高い。加えてBGMもFCの内蔵音源を使っていながら恐怖が突き上げてくる高クオリティ。 -ドアの鍵を開けた際に主観視点でドアが開かれるアニメーションが挿入されプレイヤーの緊張感を煽るなど、演出が凝っている。 -真上視点ではあるが上下左右四方の壁が見えるように作られた室内グラフィック、高低差の概念も有り階段地形を使って表現している。 -大体のRPGには宿屋などの回復施設や武器屋や道具屋が存在するが、このゲームではそのような場所は一切なく、現地調達する必要がある。 --回復は「くすりびん」を使うのだが、そのくすりびんの個数が有限。つまりむやみに使いすぎるとくすりびんが底を尽き「詰み」となる。なお、敵を倒しても得られるものは経験値のみ。アイテムやお金を落とすことはない。 -プレイヤーキャラが1人で持てるアイテムはキャラ専用品1個+通常アイテム2個+武器1個までなので、進行だけでなくアイテムや仲間を回収する際、誰に何を持たせていくかを考える必要がある。また男性キャラと女性キャラで使える武器が異なることがある。 -敵との戦闘で死んでしまったり、状態異常や罠などでキャラ全員が動けなくなるとゲームオーバーとなる。 --死んだメンバーを蘇生させる手段などは一切存在しない。メンバーが死亡するとその様が克明なドットアニメで描写される(男性キャラと女性キャラの二種類あり)。そこまで突出したグロ描写ではないが、恐怖を煽られる。 --防御力は各キャラのステータス値によって固定され(最高がたぐちで、最低がエミ)ており、防具の類は存在しない。おまけに戦闘中のコマンドに「防御」がないため受けるダメージを軽減することもできない。 --「逃げる」コマンドの成功率は高めだが、その入力は個人単位。コマンドが失敗したキャラは取り残されてしまい、やられる危険性が高まる。 --状態異常や敵の特殊攻撃も厄介なものが多く、適切な対処を行わないとさらにやられる危険性が高まる。 -一定歩数で敵と遭遇し戦闘開始、セーブした際に歩数は記録されるのでリセットして戦闘回避は出来ない。 --戦闘に関しては敵は必ず1体で登場する。 --一部のエリアではシンボルエンカウントがある。 --こちらからの攻撃としては通常の武器による攻撃・「心の力」((一般的なRPGにおける「魔法」にあたるもので、超能力的な力を発揮する謎めいたパワーのこと。映画では、その正体は「『集中力』そのものであり、集中力を高めることで誰でも使えるようになる」と説明されている。))による攻撃のほか、敵によっては特定のアイテムを使うことで大ダメージを与えられるケースもある。 -プレイヤーキャラは5人居るが同時に行動できるのは3人までなので、基本的に3人と2人に別れて進行していくことになるが、戦闘の時だけ一緒に行動していない仲間を「よぶ」ことでその戦闘中だけは5人で協力しあえる。 --上述の回復アイテムも、持たせたパーティに移動中に使わせるか戦闘中に使わせるかで、効果が及ぶ範囲が変わる。移動中はパーティメンバーのみ、戦闘中は参加しているメンバー全員に効果が及ぶ。 --エリアによっては、単独行動のほうが戦闘や罠の対処が楽なこともある。 -セーブは何処でも可能だが記録数が1つだけなので、記録状況によってはゲーム進行が不可能になる場合も。 --その際、コマンド「ぎぶあっぷ」→「あきらめる」で最初からやりなおし可能。 -生存人数によって内容が変わるマルチエンディングを採用。 -&bold(){留まっているとエンカウント率の上昇する暗い部屋の中の影}や&bold(){青白い稲光で封印された通路}など、原作映画にあった要素がフィールド上の仕掛けとして取り入れられている。 **問題点 -アイテムの文字数制限が6文字なため、「ボロボロの板」や「じょうぶな板」がそれぞれ「ボロボロのい」・「じょうぶない」になっているなど、一部アイテム名が残念なことに。 -プログラムミスにより魔よけの斧は装備しても状態異常を防いでくれない。 //-前述にあるがデータを消す(ストーリー最初から開始したくなったりしたくなった)際はコマンド「ギブアップ」→「あきらめない」を実行する必要があるが、そのコマンドを実行出来なくなる状態寸前でセーブしてしまうとゲームプレイ自体が「詰み」になる。そうなったら、カセットの引き抜きなどで無理やりにでもデータを破壊するしかなくなる。 -ゲームコンセプト上はレベル上げが必須のゲームではないものの、一定量の「心の力」が必要になるイベントもあるため、ある程度は敵を倒して経験値を上げておく必要がある。 -転がってくる岩やトロッコなど「屋敷内」という設定にはそぐわない仕掛けがいくつかあり、これらが雰囲気を壊しているという意見も。 -2人生存と3人生存がほぼ同じEDであるうえ、全員生存EDが一番後味が悪い。 --ある意味、ハッピーエンドながらラストを後味の悪さで締めくくるホラー映画のお約束的演出と言えなくもない(特に欧米のホラー映画にありがちな手法である)。 #region(以下全エンディングの詳細。ネタバレ注意!) 取材班一向は間宮一郎の残したフレスコのメッセージ、自分たちより先に屋敷に潜入して閉じ込められた人達の書置き、山村と名乗る老人の話などから、屋敷を覆いつくす惨状の元凶が、間宮夫妻の子供の事故を発端とする悲劇であること、間宮夫人の魂を鎮めない限り脱出は不可能だという事も知る。そして、自分達をあらゆる面で手助けしてくれていた山村と先行者達の死を目の当たりにしながらも、間宮夫人の魂を鎮める事に成功する。こうして、生き残った者は崩れる屋敷から脱出する…。 -全員(5人)生存 --間宮の屋敷内の写真を持ち帰り、元々の目的も成功させた取材班は他のマスコミからもインタビューを受けるほどの注目を受けていた。その傍らで写真を眺めている男にシーンが切り替わった直後、エンカウント時に流れる不気味なSEと共にこちらを振り返り、''右半分が白骨化した顔を見せる''という、なんとも後味悪く謎も多いものとなっている。(グラフィック自体はモンスターの流用)。しかも、全滅したときと同様、&bold(){GAME OVER}の表示とBGMで終了。さしずめ「惨劇はまだ終わってはいない」といったところ。 -4人生存 --屋敷全体が見えるほど離れた所から、崩れた屋敷より天へ上がっていく魂を一向は目撃する。それを見送りながらも一人は言った。「皆で逃げ出せれば良かったのにね…」と。 -3(2)人生存 --悪夢が終わり、生存者たちのその後を示唆するメッセージが流れ、生存者と死者の数が表示された後、死者の数だけ人魂が黒い画面内を横切って行く。 -1人生存 --ただ一人生き残った者が仲間達、山村、夫人とその子供、犠牲となった全ての人々の冥福を祈り、惨劇の終焉を願って屋敷の跡地に供養塔を立てる。 #endregion **総評 原作のストーリー((原作では、幼い頃に母を亡くすという逆の境遇に置かれたエミを我が子にしようと執着する間宮夫人の魔の手からエミを救うべく、子どものいない独身女性である秋子が戦いを挑むというのが物語の骨子。恐怖を狙ったホラー映画であるがその根底に貫かれているのは『親子愛』という普遍的なテーマである。ちなみに、原作での主人公は和夫ではなく秋子。))は大幅にオミットされているが、その分、ゲーム性が十分に高められることになった。その要素ひとつひとつ取っても、難易度面、恐怖演出面双方からリアリティを追求したものとなっており、RPGという枠組みの中でホラー要素を追求するという試みが見事に成立している。原作付きゲームとしては、完成度の高さが突出した稀有な一品と言えるだろう。原作映画の権利問題((映画がソフト化される際の追加報酬に合意が取られたか否か、ソフト化の際のビデオ編集が監督の著作者人格権を侵害していなかった否かを巡り、黒沢監督が伊丹プロ・東宝を提訴したことで裁判となった。また、それ以外にも、映画制作の際に演出方針をめぐって伊丹氏と黒沢監督の間で諍いが絶えなかったらしい。伊丹氏が1997年に死去しているため、今後、東宝側も含めて和解する可能性は限りなく低いであろう。また、ゲーム終盤でプレイヤーキャラクター4人の生霊が敵として現れるという演出があるのだが、そこでの敵グラフィックが映画中の出演者の姿をそのままドットグラフィック化しているものになっているため、肖像権絡みの可能性もある。))が未だ解決を見ない以上、リメイク・VC配信が絶望的なのがなんとも悔やまれる点である。 **余談 -後にこのゲームの持つ様々なエッセンスをヒントに『[[BIOHAZARD]]』が開発・発売された。集められたスタッフの中には本作の開発に携わった人たちもいる。 -カプコン外にも影響を与えており、初期のRPGツクールのコンテストで優秀賞を獲得し後には商業化も果たした『[[コープスパーティー>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/858.html]]』は、本作の作風を手本として作られている。 -映画版で間宮夫人を演じた女優・渡辺まちこがmixiにおけるゲーム版のコミュニティに降臨している。&italic(){} --自分の演じた間宮夫人の名を冠したコミュ二ティの管理人を務め、映画版やゲーム版のファンに対して活発にコンタクトを取るなど、ファンとの交流に熱心である。 -双葉社よりファミコン冒険ゲームブックとして『スウィートホーム 魔性の棲む館』が発売されていた。こちらは映画版準拠のストーリーにゲーム版の要素を取り入れた形。
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