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*サガ フロンティア 【さが ふろんてぃあ】 |ジャンル|RPG|#amazon(B00005YUM0)| |対応機種|プレイステーション|~| |発売・開発元|スクウェア|~| |発売日|1997年7月18日|~| |定価|7,140円|~| |廉価版|スクウェアミレニアムコレクション:2000年6月29日/3,990円&br()PS one Books:2002年3月20日/2,625円&br()アルティメットヒッツ:2006年7月20日/1,575円|~| |配信|ゲームアーカイブス:2008年11月26日/600円|~| |分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[サガシリーズリンク>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/281.html]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -それまでのカセットロムからCDロムに変わり、"フロンティア"のタイトル通り新境地を目指したサガシリーズ7作目。 -サガシリーズはプレイヤーを選ぶ作風と高難易度かつ難解なシステムで有名だが、この作品はそれらのハードルが低く、戦闘バランスも不条理な部分は抑え目のため比較的シリーズの中でも初心者がとっつきやすい部類に入る(とはいえやはり初心者殺し要素はある)。 -1人1人のシナリオはロマサガ以前と比べてずっと短いが、オムニバス形式と割り切られたため好評だった。 -売り上げはミリオンを数え、間口の広さから新規ファンも多くつき、続編2は本作よりさらに独特だったため「サガフロ1がシリーズ最高傑作だ」という声も少なくない。 --もっとも、サガシリーズは作品ごとに世界観やシステムが一変し、それぞれにその作品に惚れ込んだコアな信者を抱えているため、実質どの作品にも「これぞ最高傑作」という声がある。 -シリーズ作品として『[[サガフロンティア2]]』が99年に発売されており、連携システムなどは引き続き登場しているが、ゲームの方向性としては続編ではなく別作品と言える程に本作とは大きく異なっている(詳細は当該項目を参照)。 ---- **世界観 -本作の世界は混沌とした空間の中に「リージョン」という世界がいくつも存在しており、それぞれ全く異なる文化や世界観を持っている。 --例を上げると近未来的大都市「マンハッタン」、退廃的なサイバーパンク街「クーロン」、術法文化の中心地「マジックキングダム」、純和風の「京」、現代日本の町並みに近い「シュライク」、リージョン全てが国際警察署という「IRPO((Inter-Region Patrol Organizationの略。リージョン間をまたいだ警察機構。))」など。 --隠しリージョンも存在し、妖魔の世界「ファシナトゥール」、巨大監獄「ディスペア」、滅亡寸前の揺籃の地「マーグメル」などが存在する。 --中世風からSF風に現代風、果ては色物とそれぞれの世界が全く独自の文化を持っており、おもちゃ箱をひっくり返したような無節操ぶりを誇る。そのため世界観構築の放棄と批判されることもある。 ---特に中世ファンタジー世界で統一されていたロマサガシリーズから入ったファンからは、現実の国々からSFまで取り入れたこのリージョン設定に違和感が生じたところもあるだろう。 --しかしこの世界観は実は&bold(){サガシリーズの原点『[[魔界塔士Sa・Ga]]』や『[[Sa・Ga2 秘宝伝説]]』に近いものである。}そしてその開き直ってむしろ気持ちのよい多色ぶりや、意外と深みがあるそれぞれの世界の内容もあいまっておおむね好評。 ---そのためGB時代からの古参ファンの受けは良く、GBサガシリーズからの正統進化と認識されることも。 -種族は大きく4つに分かれており、大器晩成に育ち覚えられる技・術が多彩な『ヒューマン』、装備品をつけることでステータスを上げる『メカ』、倒した敵の技を吸収して別のモンスターに変身できる『モンスター』、専用の武器にモンスターを封じることでステータスを上げ、技を吸収する『妖魔』がある。 --加えて非常に数が少なく、それになる条件がやや厳しいものの、強力な専用技と高いステータス補正を持つ『ヒーロー』、妖魔の血を加えたことによりヒューマンの長所と妖魔の長所を両立させた『半妖』という種族もある。 --他の主人公格のキャラは自身のシナリオ中では同族とは異なる特徴を持っていることが多く、ほとんどの術を習得できる唯一のキャラであるブルー、町工場などで自身の型式を変えられるT260G、衣装を変えることで得意な技能を変えられるエミリアなどが該当する。妙に人に慕われやすいという設定を持つリュートの場合は「第1パーティーから外せる((つまりラスボス戦にすら表に出なくてもいい。他の主人公は第1パーティーで固定となり、ボス戦は主人公に関係なく第1パーティーから戦闘が始まる。))」という特徴がある。 --どの種族も長所と短所、覚えられる技と覚えられない技の違いを持っており、種族バランスは良好。 ---最終的に最強になる種族は覚えられる技の多彩さや頑張ればカンストまでいけるステータスなどからヒューマンなのだが、他の種族は成長方法のコツさえつかめれば短時間で強くなれる利点があり、種族固有の特徴や技も面白い。 ---そのため、「どれを使えば良いのか」といった定石は存在しない。それこそ何の妨げもなく自分の好きなようにフリーシナリオを進めることが出来る。 #region(各種族の特徴を説明すると…) -「ヒューマン」 --いわゆる普通の人間。各リージョンにあまねく存在し、世界統治機構「トリニティ」の構成員は殆どがヒューマンである。 --従来のサガシリーズと同等。戦闘終了毎に能力が上がり、特技を閃く。特技は剣技・体術・銃技・術法の4種類。見切りも覚える。 ---見切りを除いた「技のみ」または「術のみ」を6つ以上装備すると「達人」となり、消費Pを1減少し、更に閃きor学習しやすくなる。 --プレイヤーの好みが反映されやすく、数も多いので腕前に関係なく使用率が高い。閃きシステムのワクワクが最も楽しめる種族である。 --良くも悪くも大器晩成型。じっくり育てよう。 --ステータス異常をガードする方法が少ないという難点も従来通りである(他の種族は概ね対策をとりやすい)。 -「妖魔」 --持って生まれた(設定上の)力のみで階級や性格が決まり、後天的な成長に乏しい種族。故に身分の上下がとても厳しく、努力を否定する絶対的な力差社会ができている。 --妖魔の剣/小手/具足という3種類の固有装備・固有能力がある。それでモンスターに止めを刺して憑依させると、そのモンスターによって能力値が増え、固有技も使えるようになる。 ---憑依させる敵によって増加される能力は異なり、同じ敵でも憑依させた部位によって固有技も変化する。 ---初期状態では妖魔武具を一部だけしか持っていないキャラクターも居り、戦闘によって新たな武具を得られる。 --元々の妖魔の能力値は低い値で固定されており、HP・WP・JP・CHA(魅力)以外の基本能力値は一切成長しない。しかしモンスター憑依を行うことで、ヒューマンよりも手軽で簡単に高い能力値を得る事ができる。 --殆どの妖魔は数種類の状態異常に対し耐性を持つ。中でも上級妖魔は状態異常に対しとても強く、仲間にできる妖魔の殆どは上級。 --使用できる技能は、術法4枠のみと憑依武具の固有技。妖魔は必ず妖術の資質を最初から持ち、他の術の資質を得て新たな術を覚える事もできるが、装備枠が少ないため術の達人にはなれない。 ---また、努力を否定する妖魔の性質ゆえか、ヒューマンと違い閃くことはなく、剣技・銃技・体術・見切りは一切習得不可なので攻撃力はやや落ちる(技は使えないものの、武器を扱うこと自体はできる)。 --ヒューマンほどではないが、大器晩成型で即戦力は難しい。また終盤でも胴防具は基本的に上級妖魔の証である「妖魔の鎧」で固定されるためやや脆い。 ---例外として下級妖魔のメサルティムは耐性が少ない代わりに鎧が無く、上級であるがヌサカーンは軽装の「妖魔の白衣」が固定装備のため、この2名は使い勝手が異なる。 -「モンスター」 --他のモンスターから技を抽出し、別の存在になる事ができる。 --モンスターを吸収する事で技を覚え、その組み合わせで新たなモンスターに変身できる。技は最大で8つまでストックできるため、ある程度技のカスタマイズができる。 --難点はお目当ての型になるのに多大な情報がいる点。闇雲に能力を吸収しても、却って弱くなってしまう事もある。~ 技をテーマで集めたり、他のモンスターが使わない貴重な技を覚えるのがコツ。 --装備可能品はアクセサリ限定で4枠のみ、使える技能も基本的にモンスター専用技のみ(術を最初から持つ麒麟のみ例外)。 --また主人公格(クーン)と他のキャラクターとの格差が小さく、やりようによっては5人全員が強力なモンスターに変身できる。装備枠もアクセサリのみなのでますます格差が起きにくい。 --モンスター技は攻撃力が低い半面、独特な性能を有するものが多い。全員のパラメータを激減させたり、防御力を直接下げたり、複数のステータス異常を与えたりなど。 -「メカ」 --いわゆる機械・ロボット。他の種族とは大きく違う。 --まず、戦闘では一切成長しない。その代わり装備品に関する制限がなく、装備によって多くのステータスが増加する((剣を装備すればSTR(近接攻撃力)、頭防具を装備すればINT(技スロット増加)、霊感グッズを揃えればPSY(魔法攻撃力)、銃器や重火器はWIL(火器攻撃力)が上がるなど。兜を4つ装備してINTを激増させることもできる))。 ---ヒューマン・妖魔にとっては優れた装備もメカには有効とは限らない。その逆も然り。 ---防具に関しては、他の種族と同じ防御力を得られるため、『Sa・Ga2』等に見られる「終盤にメカの防御力を上げるのが困難」という欠点がない点は大きい。 --普通の技、例えば毒液や胞子では状態異常にならないが、逆に磁気嵐や論理爆弾などのメカ専用技に非常に弱く、HPの回復も術法や傷薬ではなく工具や修理メカに依らないとできない((術法で回復させようにも本来の25%しか回復しない。))。 --敵メカからデータを抽出でき、WP(技ポイント)が回復したり専用のプログラムを入手できたりする。 --難点は敵メカが出ないと強化・回復がしにくい点。また極めるには強力な非売品も多く必要。 ---即戦力として起用できるが、「メカの強さ=装備品の量と質」なので、強化にはお金や運が絡み、またレアアイテムによって性能が激変する((特に全能力を大幅に増強する「オクトパスボード」は数が少なく、一部の主人公でないと複数入手できない。他にも先述の霊感グッズはレアな物が多く、ただ金を積んだだけでは通り一遍の強化しかできない。))。 -メカ種のキャラにはそれぞれ固定のボディタイプが設定されており、個体差が大きいのも特徴。ボディタイプによって習得できるプログラム、固有装備などが異なり、結構使い勝手に格差がある。 --固有装備が基本パーツしか無いが空きスロットの多いタイプ1、メカを回復できる貴重な装備を持つタイプ6、医療用であまり強力な攻撃用プログラムは習得できないタイプ4など。 --ちなみにT260G編のみ、T260Gのボディタイプを別のタイプへ変更できる。シナリオを進める事で強力な装備を搭載したボディを入手可能。 ---この「オメガタイプボディ」は凄まじく強力な固有技を使用でき、その攻撃力は全攻撃方法の中で2番目に強力。主人公の特権である。 -「ヒーロー」 --リージョン「サントアリオ」((設定上の存在であり、ゲーム中では訪問不可))に多く居る超人であり、IRPOとはまた別の方法で陰ながら正義を実行している。ゲーム中でプレイヤーが使えるのは主人公の一人であるレッドが該当する((この他、序盤のみ一瞬登場するアルカールも該当するが、強制イベント戦なので省略する。))。 --普段はヒューマンと全く変わらないが、戦闘中「変身」することが可能。変身すると全能力にブーストがかかり、強力な専用技を使用できる。 --しかし変身の制約が非常にきつく((その条件は「ヒーローの正体を口外されてはならない」…つまり変身を目撃されない状況「パーティ内の自身とメカ以外の仲間が気絶・暗闇・精神系状態異常になっている」こと。このためメカ以外の仲間とは相性が悪い。))、また変身した状態では戦闘終了後に生身の成長が一切行われないため多用すると後で泣きを見る。力に頼るだけでなく己を鍛える事も必要である。 --また、レッド編では多くのイベントやボス戦が「強制的にヒーローに変身した状態」で行われるため、無理にパーティーをメカだらけにしなくとも活躍の機会は十分にある。 ---最初から変身している状態の場合、わざわざ戦闘で変身する手間がかからない反面、能力値が一切成長しないデメリットが常に振りかかる。 -「半妖」 --ヒューマンと妖魔の中間的存在で、両方の特徴を併せ持つ。~ 非常に稀な存在であり、作中では事故の後オルロワージュの血を取り込んで蘇ったアセルスのみが該当する。 --半妖は普段はヒューマンと同じだが、妖魔の武具を使用することで一時的に「妖魔化」し、その戦闘中は妖魔ならではの特性を得る。 ---このため、普段はヒューマンのように閃きや能力値成長があり、妖魔化すれば妖魔武具によるステータス強化も行われるため、非常に強力。 --アセルス編で序盤から容易に入手できる強力な剣「幻魔」の存在もあり、アセルスは7人の主人公中随一の戦闘能力を持つ。 ---ただし「幻魔」は他の主人公でも一部を除いてフリーイベントで入手可能。 //幻魔は他の主人公でも確か時の君イベントの一環で砂の器を手に入れる際に一緒に購入できたはず。序盤から手に入れられるのはアセルスだけだけど。 #endregion ---- **シナリオ -本作では、ロマサガ1やロマサガ3と同じように複数の主人公の中からプレイしたい主人公を選んでからゲームを開始する。 -ロマサガシリーズでは違う主人公を選んでも基本的にメインシナリオの違いはほとんどない。しかし、本作のシナリオの最大の特徴は主人公それぞれのシナリオが全く違い、ラスボスですら個別ということにある。 --また各シナリオで仲間に出来るキャラクターも異なる。メカが多い、妖魔が多いなどの特徴も。 -そして主人公ごとのシナリオの色合いもかなり違いがある。 #region(各シナリオを説明すると…) -''ブルー編'' --戦いの運命を決定付けられた双子の物語。各リージョンから術の資質を得、習得可能な全ての資質を集めた後、弟を倒すことで全ての術を使いこなす最強の術士になろうとする。 --この世界における術の設定と、術の習得法を兼ねるチュートリアル的シナリオで難易度は低め。またリージョン間をシップに乗らずに素早く移動できるのもブルーの特権。 --ただしエンディングがかなり独特なため、そこは賛否両論((これは設定的な都合である。正確に言うと後日談などを用いない、描かないという演出の一種である))。 ---スタッフロール自体は双子の弟と戦った後の時点で流れるため、それ以降は「最後の戦いも含め全てがエンディング」と見ることもできる。 --主人公の中でも序盤から衝撃的な展開のオンパレードだが、それゆえに終盤におけるブルーの出生や存在意義への悲哀が際立つ。 --クリアに必要な必須イベントにかかる時間が短いこともあって、リュート編(後述)と並んでタイムアタックがやりやすいシナリオでもある。 --ただしラスボスやラストダンジョンは難易度が高く、序中盤がぬるめだからといって油断すると確実に詰む。一応救済措置は用意されている。 -''アセルス編'' --妖魔の君の気まぐれによって半妖となったアセルス。妖魔の追っ手からの逃避行と、その中での半妖の血による苦しみや、大切な人を失うなどの不幸を経て、己の血との決別、そして自分自身が一人の生物として生を全うするために妖魔の君との決着をつけるというお話。 --イベント進行フラグが特殊で詰まりやすい反面、生田美和氏が手がける一連のシナリオは評価が高い。 ---しかし、シナリオや設定が前田珠子『破妖の剣』シリーズに酷似しており、剽窃疑惑を指摘する人もいる。 --開発中に相当イベントを削られたらしく、生命科学研究所・フルドの工房などシナリオ上使うはずだったダンジョンが所々に残っている。 --アセルス自身の能力は高く、道中強力な装備品を手に入れられるものの、初見殺しの強力なボスや強制イベントも多く、決して楽なシナリオではない。 --アセルス編ではエンディングが人間・半妖・妖魔の3種類ある。難易度が低く、王道的なハッピーエンドである半妖が無難なところか。 --妖魔エンドだと全キャラクリア後に行けるエクストラダンジョンの当たり判定が消滅するというバグが存在している。ただし妖魔エンドの条件は半妖エンドの条件の一部を無視する、というものなので回避は容易。 --他にも妖魔設定及びシナリオが腐女子臭いとの批判があるが、これは全く見当違いな非難である((アセルス編のシナリオは耽美志向であり、キャラ造形やマップ背景などもかなりそっち向きであり、オルロワージュを始め上級妖魔のほとんどは退廃的な美人とされているため、そう見える節がある))。 -''レッド編'' --家族を悪の組織ブラッククロスに殺され、自身も命を奪われかけたレッド。しかしヒーローの力を手にすることによって一命を取りとめ、今度はその力を使って復讐と正義のためにブラッククロス打倒を目指す。 --70~80年代のヒーローものを思わせるテイストで、要所要所の熱い展開、ヒーローもののツボを押さえた演出が好評。 --NPCを除くIRPOのメンバー全てが仲間にできるのはこのシナリオのみ。さすが巨大犯罪組織と戦うだけのことはある。 ---仲間全体のバランスも全種族非常に良好。 --与太話だが、本作がCERO:Cになっている要因はここの序盤における麻薬描写が一因である。 --難易度もそれほど高くなく、熱く分かりやすい展開のおかげもあってか非常に詰まりにくい。そのため初心者にオススメのシナリオである。ただし強制戦闘やイベントが多く、回避しづらいところに敵が配置されている場所も多いのでタイムアタックに挑む場合の難易度は最高クラスだったりする。 --物語の熱い展開とは打って変わって、結末は物悲しく、切ないものとなっている。最後に鳴り響くセミの鳴き声が哀愁を誘う。 --なおレッドは他のシナリオでは一切登場しないので他のシナリオではレッドを仲間に加える事が出来ない((ブルーも仲間にならないが、レッド編で登場はする。またブルーの兄弟であるルージュはヒューマンの主人公なら仲間にできる。))。 -''T260G編'' --古代の大戦で損傷した後眠りにつき、時を隔ててクズ鉄の中から掘り出された戦闘兵器。かつて受けた指令を思い出し、そして任務遂行のため旅に出る。 --メカがメインになるSFチックなシナリオ。戦闘メンバー5人を全てメカで揃えること可能。 --実際、ダンジョン内に現れる雑魚・ボスともにメカが多く、技ポイント(MPの様なもの)回復やプログラム(ヒューマンで言う技)習得に都合がよい。まさにメカオンリーでよろしいと言わんばかりの展開である。 --一方メカの独特な性質に加え、妖魔は絶対に仲間にならない、磁気嵐などのメカ用状態異常攻撃に死ぬほど弱いなどの制約も多い。 ---印術の資質獲得が、ちょっと発想をひねらないと不可能。タンザーのボス戦がメカ(およびモンスター)オンリーだと勝てない。 --装備品を揃えればメカは簡単に強化できるため、タイムアタックがアツい((ただしT260G編は他のシナリオに比べて強制戦闘が多い分、時間がかかる。))。 --エンディングは温かみのある感動的なものであり、本作でも屈指の人気を誇る。 -''エミリア編'' --恋人を殺した濡れ衣を着せられたエミリア。刑務所から脱出し、真犯人を追うために秘密組織に所属。組織からの指令を受けつつ事件の真相を探っていく。サスペンスやスパイもの風のシナリオ。 --''ニューゲーム時のデフォルトのカーソルはこの編に合っている''ため初心者向き。 --真相とエンディングが2種類あるが、大抵の人は罠にはまって鬱エンドの方に行くだろう((バッドエンドの条件が「ダンジョンのボスを倒す」事の為。))。 ---二つの真相を比べるとプロットが根本的に違うように見えるが…分岐条件と照らしあわせると、あいつが真の黒幕らしい。あいつさえ倒さなければ「彼」は「単なるボディ」のままでいられるらしい。 --アセルスと同じくメカとは相性が悪く、一機も仲間になれない。反面シナリオに関係ない方向で(下・上級)妖魔を大勢仲間に出来る。 --次にやらなければいけない事が分かりやすく、詰まりにくいのでレッド編と並び進めやすいシナリオ。特に、上述の妖魔達を含めて強力な仲間が多く、強力な敵は少ないので、戦闘の難易度は全シナリオで最も低いだろう。 -''クーン編'' --滅びかけた故郷を救うため、各地に眠る魔法の指輪を集める旅に出たクーン。魔法の指輪を順調に集めていくが…。 --「故郷を救うために指輪を集める」というストーリーは童話的で温かみがある。 --イベントや指輪の試練のギミックの凝りようなどは力が入っていて面白い。反面、戦闘もテクニックも難所が多く難易度が高い((が、やり方を知っていれば簡単になる要素も多いのがサガらしい。))。 --最後の最後でのどんでん返しととってつけたようなラスボスは賛否両論。 --主人公がモンスターの為、思った通りに育成出来ないのはむず痒い反面、モンスターの育成に触れる機会でもあろう。モンスターパーティーという偏った編成が出来るシナリオでもある。 ---パーティメンバーを目一杯集めること自体も難しく、その意味でも上級者向け。種族はまんべんなく加入するが、加入方法が他の主人公と違う(しかも条件が厳しい)ケースがやたら多い。 ---その反面、シナリオに必須な仲間はゲーム序盤から強制加入するため初期から簡単に5人パーティーを組める。また、仲間が複数人居ないと攻略不可な場面もいくつかあり、パーティープレイを前提としたバランスになっている。 --他の編と違い、クーン自身には主人公補正は特に無いものの、このシナリオ限定で登場するアクセサリの「指輪」シリーズはそれぞれ強力な特殊効果を持つ。 --「おとぎ話とは本来残酷なもの」とはよく言ったもので、EDはほのぼのしたBGMとは裏腹に救いようがない終わり方をする。最後のクーンのメッセージが悲しい。 -''リュート編'' --一人立ちを目指す若者リュートが田舎を飛び出してあてどない旅に出るお話。 --クリアまでの必須イベントが非常に少なく、7人の中でも特に自由度が高い。なんとプレイから開始数分でラスボス戦にたどり着くことができる。&br()まさにロマサガ並の自由度である。専用イベントは3つだけだが、汎用イベントはほぼ全て実行可能という拘りっぷり((ただし陽術の光の迷宮・陰術のオーンブルなど相反するものはさすがに無理。また、カバレロ襲撃イベントはゲーム上で口約束はするものの実際は行えない。))。 --各主人公にはそれぞれ特徴があるのだが、前述の通りリュートは主人公なのに第1パーティー(1軍)から外すことが可能というもの。ある意味これも自由度の高さか。 --しかし自由度が高すぎて初見では何をすればいいのか全くわからず、しかもラスボスに行くためのイベントの起こし方についてのヒントがないので、人によってはサガフロの中で最も評価の低いシナリオ、または手抜きシナリオ扱いされている((攻略本等では上級者向けを強調する為、他のシナリオをいくつかクリアしてからリュート編をプレイする事を勧めている所もある。))。 --またシナリオのスタート地点の近くに強敵が潜む『ヨークランドの沼地』があり、何も知らないプレイヤーがそこへ迷い込んで開始1分ほどでタイトル画面に戻されてしまうのは最早お約束。 --しかしラスボスは他の6人を凌駕する強さであり、どれだけ戦闘回数を少なくしてエンディングまでこぎつけるか、といったタイムアタックなどのやり込みも盛んである。 -余談だが、「8つ目のシナリオ」ヒューズ編が、開発当時では実装される予定だったらしい。 --しかし、この項だけでも類推できると思うが、そのボリューム故に一部要素を削除せざるを得ず、ヒューズ編もお蔵入りに。 --その内容は「IRPOの名物警官・ヒューズが、各シナリオをリージョン警察の視点で追っていく」というもの。開発段階ではリュート編よりもさらに自由度が高く、各編の専用イベント全てに関われたり、各ラスボスとも戦える予定だったようだ。後述のように裏解体新書でそれを元にした小説が書かれている。 #endregion() -本作ではメモリーカードに「誰々のシナリオをクリアした」と保存できるシステムデータを作ることが出来る。それを利用して''全てのシナリオをクリアすると隠し要素が出てくる。'' --各シナリオごとのセーブデータが2ブロック×7個で14ブロック、システムデータが1ブロックで合計15ブロック。純正のメモリーカードでも1枚で収まるように設計されている。 --ただし、出現する隠し要素はゲームの開発スタッフ達が集ったいわゆる「開発室」であり、『[[ライブ・ア・ライブ]]』のような最終シナリオやゲーム本編のシナリオを補完するものではない。 --またシステムデータとセーブデータには鍵と鍵穴のようなものがあり、両者が合わないとシステムデータにクリアデータをセーブすることができない。 -このように王道ファンタジーから、ヒーローもの、スパイもの、耽美もの、果ては始めと終わり以外投げっぱなしのシナリオまで幅広い内容を取り扱っている。 --しかし、幅広いゆえに途中からプレイするとシナリオのどの時点で辞めたのか分からず苦労することがある。 --裏解体真書によると、一応全てのシナリオの根っこには超古代文明時代の話が絡んでいるらしい((エミリア・T260Gは作中で語られている。ブルー・クーンについては攻略本で。他シナリオはラスボスやラストバトルでチラッと触れるのみ。))。 ---- **連携システム -この作品からサガシリーズに導入され、そして作品の人気の一翼を担っているものとして&bold(){連携システム}が挙げられる。 -キャラクターが選択した技同士が、行動時に一定の確率で繋がり、大ダメージを与えるというシステムである。 -最大5連携まで繋がり、気に入った連携は登録することでその連携が発生する確率を上げられる。 --後述のバグを利用する事で最大9連携する事が可能。難易度はとてつもなく高くなるが。 -複数の技を繋げる、という単純なつくりながらも、そこから得られる爽快感と威力は大きく、種族ごとに異なる技の数々もあいまって組み合わせは多彩で非常に奥深い。 --正統派の剣技からプロレス技、びっくりどっきりメカに時間魔法と技の数は種類、傾向ともに多種多様。ほとんどが連携に組み込める。 -更にこのシステムの登場によって弱いパーティーでも連携次第で強敵を倒すことが可能になり、これまで難易度が高かったサガシリーズの戦闘のハードルが大幅に下がった。 --無論、難易度が下がって残念がる者もいた。プレイヤーだけでなくバトルプログラマーも嘆いたとか。 ---実際、続編では連携を前提とした難易度に調整されている。 --連携自体の補正があるため、単発では使えない技も、連携の骨組みの一部として活用できるようになり、選択の幅が広がった。 ---繋がり方にも、連携の最初のみ可など、技によって条件が様々ある。同じ技同士で連携出来る技であればそれが利点の1つになる。 -凝られた戦闘演出や派手なエフェクトも連携の爽快感の一助となり好評。 --また、技名を途中で切って繋げていくため「だまししっぽぶちふみまわす」「月影の幻夢の逆風の炎の草薙の剣」((いずれも裏解体真書より引用。))などという笑える名前の連携も可能。この特徴も後のシリーズに受け継がれた。 -以上の点からサガの戦闘に革命を起こし、以降のシリーズには必ず連携システムが搭載され、新作が出るたびにマイナーチェンジが繰り返されている。 ---- **長所 -7人の主人公のそれぞれ異なった多様なシナリオ --7本のシナリオはどれも方向性が違うので、別の主人公でプレイしても飽きずに楽しめる。 -サガらしく、自由度も割りと高め --シナリオ重視なこともあり、所々で強制的な展開も目立つが、自由で幅広いプレイの余地もある。序盤から強力な装備を集めたり、鍛え上げたパーティで突き進むパワープレイなども可能。ロマサガシリーズと比較して数は減ったが、プレイしてもしなくてもいいサブイベントの類も用意されている。 -工夫されたバトルシステム --戦闘のテンポは(一部の術、技のエフェクトが長いのを除けば)おおむね良く、スピーディー。 --技を閃いた時、連携が次々に繋がった時の快感は本作ならではの物。 -戦闘によるキャラの成長要素も多く、キャラ育成も醍醐味のひとつ。 --特にヒューマンは一回の戦闘で能力値がガンガン成長する。他の種族でも、メカは新しいプログラムの開発、モンスターは強モンスターへの変身や特技の吸収などが戦闘の見返りとなっている。 -システム面 --能力値上下の効果を持つ技or術を使用した際、RS3まではそれの成否を視覚的に確認するすべがなく、敵の行動の早さや被ダメージ与ダメージで判断するしかなかった。 --しかし本作では、例えば腕力が上がった場合だと「STR UP」、知力が下がった場合だと「INT DOWN」と、画面に表示されるようになったため効果を判別しやすくなった。 -音楽はシリーズおなじみの伊藤賢治氏によるもので、世界観の性質上様々なジャンルの曲が作られており、飽きが来ない。 --そしてイトケンといえば戦闘曲。前作『[[ロマンシング サ・ガ3]]』の戦闘曲の評価も際立って高かったが、それと比べても遜色ない血潮を震わせる熱い曲は健在。特定ボス戦に流れる「Battle♯4」「Battle♯5」といった曲が人気。ラスボスも主人公ごとに個別であるため、それぞれに専用戦闘曲があり、これも軒並み高評価。 -グラフィックの美しさは1997年当時のFFVIIに負けず劣らずの高品質。特に背景や技エフェクトの美しさと派手さは必見。 ---- **短所 -ダンジョン・エンカウント --ダンジョンのグラフィックが暗く、よく分からない((複雑な所もあるが、構造が複雑なのが多いためという意味ではない。))物が多いせいで、どこが足場で、どこが障害物なのか、どこが次のエリアにいくためのポイントか、が分かり辛い場合が多い。 --敵シンボルは、それそのものの回避は簡単だが、避ける余地の少ない狭い一本道にいたり、マップに入ったらいきなり突っ込んで来たりと、結果的に避け辛い事が多い。 --加えて本作には逃走というシステムがない。戦っているうちに出現モンスターが強くなるシステムなのでドロップアイテム狙いの時や特定モンスターへの変身の際にネックになりやすい。 ---幸いにも一瞬で行えるクイックセーブ機能があるため、ゲームオーバー的な意味ではネックにはならない。 -初見殺しのラスボスが多い。主人公によっては詰む可能性もある。 --T260G…鍛えたパーティでも最低7ターンは続くため、長期戦を挑む準備をしていなくても、メカ回復アイテムのインスタントキットが少なくても、メカを回復する装備を持った仲間がいなくても、ダンジョンから戻ることができないので、これまでメカのパワーを活かして短期決戦を挑んでいたプレイヤーほど苦戦する。 --クーン…ラスボス手前でセーブすると、アイテムの補充に加え、戦闘もできなくなるので、準備不足だと確実に詰む。また仲間の1人が強制的に外れるため、状況次第では4人で戦わざるを得ないことも。 --エミリア…ラストダンジョンには回復所がなく、ダンジョンから出る事ができないため、僅かながら詰む可能性がある。ラスボスは全キャラの中でも弱い部類に入り、戦闘による強化は可能なので、余程の事がない限り回避は十分に可能であるが。 --リュート…T260Gと同じく、ラスボス戦は最低4ターン続き、ラストダンジョンからの脱出もできない。 --レッド…ラストダンジョンでは常に変身状態なため、''一切能力値が成長しない''。 ---アセルスはラストダンジョンから脱出できたり、ブルーは回復所があるため、鍛え上げればクリアは十分に可能となっている。 -防具の性能について --本作の属性防御は「斬・打・突・熱・冷・雷・エ・状」の8種類。射属性は突属性に1本化され、新たにエネルギー属性が追加された。 --RS3ではRS2の反省点を踏まえ、性能表示が簡略化され、特定の属性に対する弱点や防御ボーナスが確認できるようになっていたのが、本作では再び確認できなくなってしまった。 --一応擁護すれば、正確な防御力の確認ができないというだけで概ね数値通りの防御力であるため、RS2ほど数値に振り回される事はない。基本的に数値の高い防具を装備すればいい。しかし「何に強くて何に弱いか」は相変わらず分からないため、やはり不便と言えば不便。 --ちなみに状態異常の耐性等は、RS3同様記されている。 -買い物要素が非常に希薄。 --本作の通貨であるクレジットは入手方法が限られており、敵を倒して得られるクレジットはとても少ない。 --ただし後述の金相場を用いたバグを使えば常に4万クレジット前後を補充できるため、それ以降はクレジットを集める意義が薄くなる。正当なプレイ方法ではないが。 -エンディングが全般的に簡素であり、特にブルー編の終わり方には批判が多い。各シナリオの繋がりも明確には描かれないため、多くの謎が残されたまま丸投げになる。 --全員クリアで出現するのも開発2部だけであり、全てのシナリオを総合した真のエンディングなどは無い。後述するように実際のゲームでは見られない没要素も多いため、不完全燃焼感がある。 ---- **余談 本作が発売された頃はプレイステーション黄金期であり、同社製作品[[ファイナルファンタジータクティクス]]や[[ファイナルファンタジーVII]]インターナショナルが前後に控えている。そのためか、本作は一際荒削りな要素が目立つ。 -他のサガシリーズと同じく、没イベントの多さが非常に目立つ。没主人公も2名いたようだ。 --上述のように仲間の1人であるヒューズというキャラが主人公のシナリオが予定されていたらしく、内部データにもその名残がある。ファンブック『裏解体真書』ではベニー松山によって書かれたヒューズ主人公の小説が載っている。 ---小説の出来自体はサガフロの世界観で好き勝手しすぎだとの意見もあるが、読み応え満点でキャラ同士の絡みが楽しく痛快な出来で評判は良い。 ---もう1人は霊媒師のイタコ。祖先の霊を呼びだし兄弟と遺産相続の争いをするのだが、あまりにギャグくさいシナリオと化したため没になった。主人公の没デザインの名残のみ零姫に見て取れる。 --没イベントの名残もかなりあり、ダンジョンの中には異常に広大なものがあったり、大したことがないイベントの割に手の込んだ仕掛けや難易度の増大があるダンジョンがある。 --先述のフルドの工房の他にも、ルミナスパレスの小部屋、ブラッククロス本部の開かずの扉、クーロン下水道の開かずのマンホールなど、枚挙に暇がない。 --特に生命科学研究所は意図的に強い敵が出る((1から9まである強さ評価を+2した敵が出る。そのため早い時期から強敵が出張ってくるため、ヒューマン・妖魔の能力強化やモンスターの吸収に都合が良い。反面早い時期に来ると強敵の群れにフルボッコされるため、人によってはトラウマダンジョンとなっていることもある。))こともあり、何らイベントがない場所でありながらキャラクター強化のメッカとして有名である。 ---裏解体真書に没ネタが多く明かされているので、気になる人は読んでみるといいだろう。 -バグも多い。主なバグについて説明すると… --換金アイテム、『金』の交換所の数値設定ミスを利用することでお金を一定額まで何度でも稼ぐことができる。その様は現実の相場師そのもの。 --特定のアイテムを空売りすることでジャンク屋のアイテム漁りが無限にでき、中流アイテムを簡単に揃えられる。 --一度に複数回(最大9回)行動ができる術『オーヴァドライブ(以下OD)』中に『停滞のルーン』という術を使うと、ODが強制的に終了となるが、本来の終了時の挙動であるWP・JPが0になるということがなく、以降のターンはずっとOD時と同じだけ行動ができる。更にその状態で他キャラと連携をすると5連携以上の連携が可能。 --魔術と妖術、印術と秘術など、術の中には対立する関係があり、片方の術を覚えていると対立する術は覚えられないのだが、装備品使用によって使える術を利用することで対立する術を同時に覚えることが出来る。 --ブルーとルージュは心術を習得をできないという設定なのだが、ルージュは普通に習得できてしまう((裏解体真書でチェックミスと認め、海外版で修正すると記載されている。))。 ---など、バグにはプレイヤーが美味しい思いをするものが多い。 ---- **総評 -ところどころ人を選ぶ展開が入るものの、システムはわかりやすく、難易度も低めで、全体的に判断すれば誰にでもお勧めできるゲームである。特にこれからサガシリーズを遊ぶ方には入門編として最適。 -先述したようにこの作品から取り入れられた連携システムは高い支持を得て、後継作品にも受け継がれるようになり、シリーズのバトルシステムを一変させた。 -ゆえに、数あるサガシリーズの中でもひときわ没要素を加えた「完全版」が待望されている作品の一つである。 ----
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