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*ポリスノーツ 【ぽりすのーつ】 |ジャンル|アドベンチャー|&amazon(B00009PM3S )| |対応機種|PC-9821&br()3DO&br()プレイステーション&br()セガサターン|~| |メディア|【9821】3.5インチフロッピーディスク、CD-ROM&br()【3DO/PS/SS】CD-ROM (SSは3枚組、その他は2枚組)|~| |発売元&br()開発元【9821】|コナミ|~| |開発元(家庭用)|【3DO/PS】コナミコンピュータエンタテイメント大阪&br()【SS】コナミコンピュータエンタテイメントジャパン|~| |発売日|【9821】1994年7月29日&br()【3DO】1995年9月29日&br()【PS】1996年1月19日&br()【SS】1996年9月13日|~| |定価|5,800円|~| |周辺機器|【PS】マウス対応&br()【SS】シャトルマウス、バーチャガン対応|~| |備考|PS版ファンディスク『プライベートコレクション』:1996年2月9日&br()PlayStation the Best:1997年9月18日&br()PS one Books:2003年8月7日&br()ゲームアーカイブス:2008年5月14日/600円|~| |分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| ---- #contents(fromhere) ---- &br()&br() #center(){{ &font(i,150%){『宇宙はまだ、俺達には広すぎる。 あの暗闇は、人の心を見えなくする……』}~ &font(i,120%){――プレイステーション版TVコマーシャルより――} }} &br()&br() ---- **ストーリー 2010年、人類初のスペース・コロニー「BEYOND COAST(ビヨンド・コースト)」が完成し、人類は宇宙への本格的進出を始める。 その3年後の2013年にはBEYONDへの一般移住が開始され、彼らBEYONDS(ビヨンズ)の安全を確保すべく、5人の宇宙訓練を受けた警官が選抜された。~ イギリス、スコットランドヤードからゲイツ・ベッカー。 日本の警視庁からジョゼフ・サダオキ・トクガワ。 アメリカ、ニューヨーク市警からサルバトーレ・トスカニーニ。 そしてロス市警からジョナサン・イングラムとエド・ブラウン。 世界中の警察から選りすぐられた彼らは、警察権限を持つ宇宙飛行士、「POLICENAUTS(ポリスノーツ)」と呼ばれた。~ ところが、ポリスノーツ就任直後に行われた「EMPS(コロニー外活動用ポリススーツ)」のテスト遊泳中に暴走事故が発生。 テストパイロットを務めていたジョナサンは宇宙のかなたへ飛ばされ、行方不明になってしまう。~ それから25年。 コールドスリープ状態で宇宙を漂流していたジョナサンは奇跡的に発見され、生還を果たす。~ しかし25年という歳月は、彼が手にする筈だった栄光と富、そして家族や友人を根こそぎ奪い去っていた。 3年間のリハビリを終えたジョナサンだったが、宇宙恐怖症(コスモフォビア)に苦しむ彼には、「HOME(地球)」に戻り細々とした生活を送る以外に道はなかった。~ 2040年。 オールド・ロサンゼルスでネゴシエーターまがいの探偵業を営むジョナサンの元に、BEYONDへ移住したかつての妻、ロレインが訪ねてくる。再婚相手のケンゾウ・北条が三か月前から行方不明になっているのだが、勤め先の「トクガワ製薬」や警察は満足に取り合ってくれず、ジョナサンに助けを求めてきたのだ。~ 宇宙への恐怖と予期せぬ再会への戸惑いから、依頼の承諾を渋るジョナサン。 ロレインはしばらく地球に滞在するとホテルへ戻ろうとするが、直後にジョナサンの目前で何者かに殺害されてしまう。 ロレインの変わらぬ愛を知ったジョナサンは彼女の依頼に応えるため、再びBEYONDへ旅立つ。合成麻薬「NARC(ナーク)」に蝕まれ、犯罪が急増する’’理想郷’’でジョナサンを待っていたのは、かつての相棒エドを始めとして、それぞれが大きく違う道を歩んだオリジナル・コップ4人との再会。そして人工授精で生まれた凍結者(フローズナー)・レッドウッドとの不吉な出会いと、再生不良性貧血に苦しむロレインの娘・カレンとの邂逅だった。~ ジョナサンの中で止まっていた時の歯車が回りだす。 果たして、彼が捜査の果てに目にするものとは……。 ---- **概要  『メタルギアシリーズ』で名を知られるようになった小島秀夫氏が脚本、監督を担当した、『スナッチャ-』 に続くSFハードボイルドアドベンチャー第二作。~  細部まで作りこんだ世界設定と質の高いシナリオ、シリアスの中に散りばめられたユーモア等、非常に小島色が強い作品といえる。~  94年にPC98向けに発売されて以降、後に多くのハードに移植された90年代アドベンチャーゲームの名作の一つ。~ &br()&br() ---- ***シナリオ・設定 -近未来、スペースコロニー「BEYOND COAST」で繰り広げられる刑事ドラマ。「リーサル・ウェポン」「ダイ・ハード」などの往年の刑事もの作品をベースに、各種SF要素を取り入れた構成となっている。 --SFアニメでよくある「宇宙という開拓地のロマンやそこにかける希望」などといった明るいテーマではなく、「過酷過ぎる宇宙環境と、そこへ足を踏み入れてしまった人類が直面する限界」という重いテーマが主軸となっている。 更に、麻薬や臓器密売、コロニーという閉鎖環境ゆえの環境問題といった形で現実世界でも問題となっている要素が取り入れられ、重厚な物語が作られている。 --しかし終始シリアスかというとそうではない。何もかも失った自分に唯一残った「ポリスノーツの誇り」にかけ、巨悪に立ち向かうジョナサンの決意などの熱いシーン、ジョナサンとエドの「刑事もの」らしいウィットにとんだ掛け合いのギャグシーン、ブラウン家の一家団欒や、ロレインとクリスの過去の述懐といった心温まるシーンがバランス良く配置されており(あとお色気シーンも)、飽きず、なおかつ気負わずにプレイできる。 -SF考証は細部に至るまでしっかりなされており、純粋なハードSFとしても楽しめる。SFものでここまで作りこまれたコンシューマゲームは珍しい。 --「オニール型コロニー」「マスドライバー」「パワードスーツ」といったSF好きの心をくすぐる設定・用語が頻出する。酸素生産のためにIDプレートを取りつけられ完全管理されたBEYONDの植物、無重力状態での宇宙酔い、白い人工血液の説明などもジェネレーションギャップのあるジョナサンへの解説という形で織り込まれ、SF初心者も話に入りやすい。 //例として挙げたのはSFファンには常識かもしれないが、わかりやすい例という事で… -小島作品の特色である、他作品からのクロスオーバー要素もあり。 --『スナッチャー』のタレこみ屋「ナポレオン」がモブ出演。ゲーム内のCDプレイヤーでは『スナッチャー』メインテーマのアレンジが聴ける。 --『メタルギア』『[[メタルギア2>メタルギア2 ソリッドスネーク]]』ネタとして「メリル・シルバーバーグ」という人物が出演。後の『[[メタルギアソリッド]]』の「メリル・シルバーバーグ」の元ネタとなっている(ご丁寧にキャラデザ・左腕の刺青・元ハイテク特殊部隊「FOX HOUND」隊員・担当声優まで同じ)。 ---更に付け加えると、『メタルギアソリッド』のコナミロゴクレジットで流れるウィスパーボイスは、本作のメインメニュー画面で流れるものの流用。 ***システム -製作当時、マウスでの操作が浸透し始めた時期であるためか画面内の物や特定ポイントをカーソル指定して調べたり、人物と会話して情報を集め、物語を読み進んでいく。 --この「指定ポイント」の数がかなり多く、返ってくる反応も膨大かつ緻密。 ---家一つのカットを見ても、道路、街路樹、空、家の窓・柱・玄関、隣家、それぞれシーンごとに違う反応が返ってくる。繰り返し指定することで新しい情報が出ることもあり、ついつい画面中をクリックしまくってしまう。 ---人に対しても、髪・目・顔・アクセサリー・体(ついでに女性キャラの胸や足など)と細かく指定ポイントが定められている。以前に行った行動によって返答が変化するシーンも。 --設定が詳細に練り込まれているからこそ、こうした膨大な返答のパターンを生み出せたのだろう。なおかつこの反応が更に作品の完成度を高め、世界観の把握に役立っている。 ***ミニゲーム ストーリー上、ジョナサンは「銃撃戦」「爆弾解体」の2つのミニゲームをこなすことになる。 -「銃撃戦」 --照準を標的に合わせ、クリックで発砲。弾切れと再装填が存在するモグラ叩きのようなもの。連射時の爽快感がたまらない。 ---移植版ではコントローラで操作することになるが、操作性の面から説明書でも専用マウスの仕様が推奨されている(PSPの場合は…努力するしかない)。セガサターン版ではバーチャガンにも対応している。 --BCP訓練ルームでは射撃訓練のミニゲームが行える。スコアアタックの他、成績によっては特別イベントも発生する。 -「爆弾解体」 --ペンチ・ドライバーを駆使して爆弾を解体する。「電撃イライラ棒」の様に精密な操作が求められたり、光の点滅のタイミングを計ったり、錯視トリックを見破らねばならない。時間制限あり、なおかつ失敗即ゲームオーバーという緊張したイベント。 大抵途中でだれてしまうコマンド総当たり式アドベンチャーゲームだが、本作は先に述べた反応の豊富さと、こうしたミニゲーム要素によってそうした「だれ」を最小限に抑えている。 この後も引き継がれる小島氏の『ユーザーにゲームを骨の髄まで遊ばせる工夫』は本作にも根付いている。 ***サウンド・演者 -BGMの担当はIKA-CHANと、コナミ矩形波倶楽部のTAPPY、古川もとあきの三名。いずれもシチュエーションにマッチした名曲揃いである。 --サウンドトラックは現在、中古品で8000円前後のプレミア価格で取引されている。 -出演声優は小島作品でお馴染みの田中秀幸・井上喜久子・塩沢兼人を始めとして、洋画吹き替えなどを担当する実力派が揃っている。彼らの名演も聞きどころ。 ***グラフィック・メカデザイン -オリジナルのPC-9821版のドット絵は必見。動画サイトでもプレイ動画は少ないが、オープニング映像はよくアップロードされている。 -3DO版以降はセル画調の一枚絵とアニメーション、CGアニメーションの組み合わせとなった。流石に現在の目から見ると少々古臭く、アニメの質もまずまずといったところだが、しっかりしたカット割り・演出のおかげで現在でも見劣りしない出来となっている。 --特にCGアニメーションで描かれたトクガワ製薬の宣伝デモは、構成・演出共に良く出来ている。 -各EMPSを始めとするメカニックのデザインはカトキハジメ氏が担当。警察用EMPS「ゴダード」のデザインに憧れたユーザーは多いのではなかろうか。 ***ムフフ -小島作品の伝統というべきか、R-15推奨のアダルトなネタが多い。 具体的には女性の胸を揺らしたり、太ももを視姦したり。 --もっとも順当なプレイをしていれば、そうしたセクハラ選択肢はスルー出来ている筈であるが(多分)。 --スタッフロールには「胸ゆれ監修」の文字が確認できる。 ……そんなところまで力を入れなくても。 ---- **難点 -進行の基本は「総当り」。当時のアドベンチャーゲームの宿命である。 --前述の膨大な反応のおかげでさほど苦にはならないのだが、人によっては辛いところがあるかもしれない。 -声付きの台詞はスキップできない。また、バックログ機能はない。 -少々ミニゲームの難易度が高め。 --このため、移植版では失敗するごとに難易度が引き下げられる救済措置が導入された。 -ゲームとしてやむを得ない所ではあるが、一部シーンでジョナサンが発揮する常識離れした戦闘力に突っ込みを入れるファンも存在する。 ***賛否両論点 -多種多様なオマージュ・いたるところに仕込まれた小ネタも本作の魅力ではあるが、主人公ジョナサンと相棒エドのイメージはほとんど『リーサル・ウェポン』の主人公2人組のそれ。オマージュというには少々無理がある。 -小島作品の伝統だが、悪役の説教臭い(そして長い)演説に難色を示す人もいる。 -他の小島作品と比較しても流石に悪ノリ過剰なお色気ネタに拒否反応を示す人も多い。 ***注意点 -死体描写や「首チョンパ」などのショッキングなシーンが存在する。そういったものが苦手な人は覚悟しておいてほしい。 ---- **移植版についての補足 PS及びSS版では残念なことにオープニング曲「OPENING TITLE "OLD L.A. 2040"」が差し替えられており、オープニングムービーの構成も大幅に変化している。~ どちらのOPムービーも秀逸ではあるが、ぜひとも動画サイトなどでオリジナル版オープニングを見てほしい。 -''プレイステーション版:プライベートコレクション'' --設定資料・用語解説・カレン役井上喜久子へのインタビューやムービーのメイキング過程が収録されたファンディスク。このディスクを収納するため、PS版はディスク2枚組なのに3枚を収納できるパッケージが採用されていた。 -''最終移植:セガサターン版'' --バーチャガンに対応。また、プライベートコレクションの内容はメイキング等の一部を除き、ゲームクリア後の映像特典として収録されている。 --新規カット・本編中でセクハラを行える女性キャラが増加。 ---ちなみに、初回限定パックは全36ページのセル画つきハードカバー写真集が付属する豪華仕様だった。 ---- **総評 練り込まれたシナリオと、様々な工夫によって、90年代のアドベンチャーゲームとしては屈指の「面白さ」をもった名作である。~ 流石に、よりユーザビリティに配慮したシステムや高いグラフィックを持った現在のアドベンチャーに慣れた人からすれば、システム面に引っ掛かる所があるかもしれない。~ しかし「宇宙」をただ人類にとって好意的な存在とは描いていない重厚なストーリーは現在でも珍しく、なお通用するクオリティの高さを持っている。~ SF好き、アニメ好き、小島作品好き、そしてアドベンチャーゲームが好きならば必見の作品といえよう。 ----
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