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*Wizardry 【うぃざーどりぃ】 |ジャンル|RPG|CENTER:&amazon(B00005OF61)&bold(){画像はWindows版}| |対応機種|Apple II、IBM-PC、国産パソコン、Windows&br;ファミリーコンピュータ他多数|~| |開発元&br;原語版発売元|Sir-Tech|~| |日本版発売元|アスキー他|~| |発売日|1981年|~| |分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[Wizardryシリーズリンク>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/1088.html]]''| ---- **概要 『[[ウルティマ>http://www23.atwiki.jp/ggmatome/pages/1448.html]]』『[[ローグ]]』と並び、コンピューターRPGの祖と言える作品の一つ。 -『ウルティマ』や、後に発売された『マイトアンドマジック』と合わせて「世界3大RPG」と称された((『マイトアンドマジック』については3大RPG入りを疑問視する意見がある。))。 プレイヤーが作ったキャラクター達で、3D視点のダンジョンをひたすら探索し、レベルアップとアイテム収集((当時の見解ではアイテム収集は日本独自の遊びという見方があり、国外ではさほど重要ではないらしい。海外との文化の違いを表しているともとれる。))を楽しむRPG。最初期の作品ではあるがシステムの完成度は高く、キャラメイクや個有名を持つ魔法体系など、すでに導入されている。 アスキーが国内PC向けに販売開始したのが1985年。オリジナルのApple II版から実に5年近い月日が経っての移植である。このことから当時どれほどの人気があったかが窺い知れる。~ **ストーリー 圧倒的な武力をもって周辺諸国を統一し、「狂王」と称されたトレボー。~ その強さの裏には、彼の持つ「魔除け」の存在があった。~ しかし、ワードナという魔法使いがトレボーから魔除けを盗み出し、さらにトレボーの居城近くに一夜にして地下迷宮を建造。そこに立てこもって魔除けの研究をし始めた。~ トレボーは激怒し軍隊を差し向けたが、迷宮のトラップとワードナが召喚した魔物によって軍隊は壊滅。~ ワードナを倒さねば腹の虫がおさまらないが、これ以上自軍の精鋭を失うわけにもいかない。~ そんなトレボーの前に臣下が一つの提案を出した。~ ~ 「『ワードナを倒し、奴の持つ魔除けを取り戻した者には、莫大な恩賞金を与えるとともに近衛兵への登用を認める』と街にお触れを出してはいかがでしょう?」~ ~ 魔除けを取り戻しつつ、さらに優秀な人材の登用も見込める一石二鳥のこの案にトレボーは賛成し、さっそく街にはお触れが出されることとなった。~ こうしてトレボーの命の元、街に集まった冒険者達はワードナの潜む大迷宮へと向かうのだった((今では大人物扱いのワードナだが、当初はワードナを倒す以外のストーリー部分は曖昧で書かれた時期によっては馬車の行き交う大通りの真中に金を巻き上げ老婆を置き去りにするといった小悪党ぶりを披露しているものもある。))。 **特徴 キャラクターメイキング、ターン制戦闘、職業とクラスチェンジ……今でも多くのRPGで採用されるシステムは、本作で既に基礎が出来上がっている。ただし、それらはゼロから作られたものではない。~ 当時既に存在していたTRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』((J・R・R・トールキン原作の「指輪物語」に影響を受け考えられたゲーム。))をベースに作られている。 -TRPG(テーブルトークRPG)とは、仕切り役(GM:ゲームマスター)のもとで各キャラクターを演じて遊ぶRPGのこと。行動の成否は各種のサイコロを振って決めるが、各自の行動提案やGMの裁量(やりすぎないこと!)によるアドリブも利き、その自由度の高さがコンピューターゲームとは違った魅力と楽しさを生み出している。 --ただTRPGは一人では出来ず、自分以外に少なくともGM役がいなければ遊べない。これを解消するため、GM役やサイコロ振り、ついでに各種計算もコンピューターに任せようとしたものが、本作のようなコンピューターRPGである。 -製作者は学生時代D&Dにドはまりしており、本作のシステムもD&Dを下敷きにしている。例えば以下の要素(わざわざサイコロ換算する点など)はD&D譲りといえる。 --命中率は5%単位。これは二十面体サイコロで命中判定をするため。 --ACの扱いは防具なしの基本値が10で、防具をつけるとACが低くなっていく(0にもマイナスにもなる)。 --キャラクターの能力値は、基本的に3-18(六面体サイコロ3個分)の範囲内で扱われる。 --ダメージ値も2-12(六面体サイコロ2個分)だったり3-24(八面体サイコロ3個分)だったり… -キャラクターメイキングは種族、属性、職業の3要素からなる。 --種族は「人間」「エルフ」「ドワーフ」「ノーム」「ホビット」の五種。種族の違いは初期パラメーターの違い(とそれによる各職業への適性)。選択後、各パラメーターにボーナスポイント(総量はランダム)を分配して職業を決定する。 --属性は「善」「中立」「悪」の三種。パーティを組むときの相性や、職業の選択に影響する。 ---属性が善のキャラと悪のキャラは、基本的に一緒に組むことができない。また一部の職業選択が制限される。 ---中立は善/悪どちらともうまく付き合えるが、職業選択にかなりの制限を受ける。特に回復魔法を使える僧侶系に就けないのが痛い。 ---なお属性は冒険中にも「友好的なモンスターにどう対処するか」で変わってしまう場合がある。この属性変化により、善の忍者や悪の君主等も(ほぼ強引に)作成できる。一部高級装備は属性が違うと呪われる為、それほど得策でもないが。 --職業は「戦士」「魔法使い」「僧侶」「盗賊」「司教」「侍」「君主」「忍者」の8種。それぞれに習得能力や装備品の差異などが存在する。途中で職業を変える(クラスチェンジ)ことも可能。 ---職業によって必要な特性値が違い、その職業に就くには該当パラメータが必要値に達していなければならない。上級職とされる司教/侍/君主/忍者は就くのに必要な特性値が高いため、他の職業でレベルを上げてから転職することになる。 ---ただし司教と侍はボーナスポイントが高ければ最初から就く事も可能。また、アイテムのSP(スペシャルパワー)でクラスが変わることも。 ---上級職は二つの基本職の長所を持つ上に強力な専用装備があったり、その職業しか所持しない能力があるなど一見強力であるが純粋な能力自体は基本職の方が高く成長も早いので純粋に進めていくだけならばあまりこだわる必要も無い。 --キャラクターには年齢の概念が存在し、宿屋で休んだりクラスチェンジしたりすると時間が経過し歳をとる。老化するとパラメーターの上昇確率が低くなっていき、やがて高確率で毎回下がるようになる。(常に上昇と低下の可能性があるが、老化するほど低下しやすくなる)最後には生命力不足による老衰→キャラクターが「ロスト」してしまう。ロストについては後述する。 -独特のネーミングを持つ魔法体系 --MPは魔法使いのMPと僧侶のMPに別れていて、それぞれさらに7つのレベルに分かれており、上位のレベルほど呪文も強力になる。 --変わっている点としては「どんな魔法でも一度の使用で消費するMPは1だけ。ただしMPは各レベル毎に管理されている」という点。このため、例えば魔法使いレベル1のMPがゼロになったら、他のレベルのMPが余っていても魔法使いレベル1の魔法は使えない。このレベル制魔法システムはD&Dの魔法システムの影響が大きい。 --そして何といっても目を引くのが呪文のネーミング。例えば炎の呪文「HALITO」は、上位になると「MAHALITO」、「LAHALITO」という様に名称が変わる。このような「接頭辞、接尾辞による効果の変化」を初めて取り入れた作品であり、他のRPGもこぞってこのアイデアを取り入れた。取り入れていないRPGの方が珍しいほどに。 ---なお、呪文には独特の言語を用いているようで非常に凝っている。効果が逆の呪文には頭にBAの文字がつく(例:回復呪文「DIOS」の逆の効果を持つ呪文「BADIOS」)、炎を用いる呪文には「LITO」が付く等。 ---この「独特の言語」は実際にアップルのwizardryのプログラムの中で容量節約のためにユーザー定義関数として作られて使われていたらしい。「1-8の乱数を発生」など。 -地下へと向かうダンジョンは、同じサイズのフロア(20×20マス)が10階層連続したもの。 --どこを見ても似たような風景、目印のようなものもない。さらにゲーム中で確認できる地図もない((移植版の中にはオートマップを確認できるものもある。))。このままでは当然迷うので、プレイヤーは自分で地図を作る=マッピング作業を行う必要があった。今なら「不親切」と言われるだろうが、当時はそのスタイルが当たり前であり、一つの楽しみ方として定着していた。説明書でも推奨されていた。 -戦闘はパーティー制。 --最大6人までのパーティーを組める。リストの上3人までは前列、後ろ3人は後列となり、物理攻撃は前列のメンバーのみが可能。敵からの物理攻撃を受けるのも前列のみ。そのため前列には戦士や侍など重装備可能な職業を置き、後衛は魔法使いや僧侶などの肉体面では脆弱なメンバーを置くのがセオリー。ただし状態異常を受けたメンバーは勝手に後ろに回されて他のメンバーは繰り上がってしまうので油断はできない。 --キャラクターの項で述べた通り、属性が善のキャラと悪のキャラは基本的に一緒に組むことができないが、迷宮内での合流は出来る。これを利用して善と悪の両方がいるパーティを作る事も可能。 ---ただし前述のように、友好的なモンスターに対する態度で属性が変わる可能性があるため、何時の間にやら属性が一方に偏る場合が多い。 ---これらの要素によりどんなパーティーを組むか熟考できるのも特徴、物理攻撃、呪文、盗賊能力、鑑定等戦闘や探索を考慮してパーティーを編成する楽しみもある。 --なお属性変化するかどうかは一人一人別々に判定され、完全に運(5%)な為、たった一回で変わる場合もあるし、何回やっても変わらない場合もある。属性と職業があってないと強力な装備のプラス効果を得られないことが多い。 --敵の攻撃方法は物理攻撃・ブレス・魔法の3種類と少ない。ただし物理攻撃には様々な効果が付加されることがあり、特に「クリティカル」と「エナジードレイン」はなかなかに厳しい。 ---クリティカルは「対象の残りHPに関係なく一撃で仕留める」、エナジードレインは「レベルを恒久的に下げる(取り戻すには再び経験値を貯めてレベルアップするしかない)」。時間をかけて育てたキャラクターが一撃で殺されたり、レベルが下がるのは精神的ダメージが大きい。 -独特な雰囲気のモンスター達 --在り来りなモンスターからパロディ、オリジナルモンスターまで存在し初期のRPGとは思えないほどのバラエティである。 ---固有名詞でありながら幾多のパーティを脅威に陥れたことで後の作品でも登場する「グレーターデーモン」や「ポイズンジャイアント」、一見ただのウサギだが''元ネタ((聖杯を探すアーサー一行の騎士をその能力で多数死に追いやった、最後は手榴弾で退治されたが…なお記載者の誇張やガセではないので、念の為。))同様首を切り落とす能力を持つ''「ボーパルバニー」、FC版のグラフィックで人気となりコミックや小説などで敵側のキーパーソンとなる「ヴァンパイアロード」と言ったモンスターが登場する。 -戦闘終了後に宝箱が出現する。 --ここから様々なアイテムが手に入るのだが、たいていの場合罠が仕掛けられている。しかも罠の中には、即死してしまうような効果のものもある。罠を解除できる職業は盗賊と忍者だけ。どちらか片方をパーティに入れる必要がある。 --アイテムは店でも買えるが、必要最低限のものしか売られていない。そのため強力なアイテムは敵から奪うことになる。店ではこちらがアイテムを売ることでラインナップが増えるようになっているため、アイテムコレクション要素も持っている。 -死亡と復活、そして「ロスト」 --キャラクターの死亡に対しては、あらゆるRPGの中でもかなり重いペナルティを課している。 --死亡したキャラクターは寺院や呪文で復活することになるのだが、これは失敗することがある。失敗すると「灰化」状態になる。 --ここからでもまだ復活は可能なのだが、ここでさらに失敗すると「ロスト」状態になってしまう。ロストは「キャラクターの''完全消滅''」を意味しており、街でロスト状態になるとそのキャラクターのデータは抹消され、二度と復活しない。 ---パーティが全滅した場合は救助部隊を編成して死体を回収しないと復活さえ出来ない。しかも「死体を怪物に食われた」としてロストしている可能性もある。更には辿り着いた時には、救助部隊のほうが強くなっていて全滅パーティは用済みと言う悲喜劇も。 --ロストは上記以外にも様々な要因で発生する。 ---宝箱の「テレポーター」や転送呪文「MALOR」で間違えて石の中に飛んで(飛ばされて)しまうとロスト。その際のメッセージ「いしのなかにいる」はよくネタにされる。 ---パラメータの低下で生命力が極端に低下(老衰)したり、エナジードレインでレベルが0以下になってしまった場合でも発生する。 ---加えて、シナリオによっては「スペシャルパワー解放でロストになってしまうアイテム」も存在する。 -オートセーブ機能 --一般のRPGでは、任意のタイミングでセーブできたり、特定の場所でしかできなかったりするなど、様々な方法がとられている。しかし本作では特定のタイミング(戦闘が終わったあと、宝箱を開いたあと、教会に行ったあとなど)において自動でセーブされる。 --セーブされるタイミングを知っていれば、リセット後にロードしてやり直すことも可能。「リセット技」と呼ばれる裏技である。ただしこれを解禁するとゲームがただの作業になるため、この技を封印して遊ぶ人も多い。 ---余談だが、後にアスキーが製作出版したTRPG版ウィズでは、このネタから「リセツト」という最強魔法が作られた。時間を巻き戻すことが出来るが、あくまでも正式な魔法であるため、相応のレベルでないと使えないしMPも必要。さらにHAMANやMAHAMAN同様使用者のレベルが1下がってしまう。 -終わりの見えないゲーム性 --ラスボスのワードナを倒し、魔除けを城に持ち帰ることでエンディングを迎える。 --しかし、その後もゲームを続けることが可能。アイテムコンプリートを目指したり、レベルをひたすら上げる、あるいは新しいキャラクターを作成してもう一度やり直す…プレイヤーのやる気と情熱が冷めない限り、いつまでも楽しむことが可能。そしてウィザードリィの魅力に取りつかれた人は、時々無性にウィザードリィをプレイしたくなる…。 --ちなみにワードナの魔除けは「城に持ち帰らなければ没収されない」。しかも魔除けの特殊効果は絶大なので、迷宮に居残りするキャラクターに預けておくという手もある。 ---尤もストーリーは取って付けた様な作品のためか、他の雑魚同様ワードナは何回でも現れて何回でも倒すことが出来る。FC版では一度倒した事のあるキャラの前には二度と現れないと言う制限が付いたが。 **難点 -呪文の使用方法 --これを難点といって良いかは微妙なところだが、PC機の場合は後のコンシューマー版と違ってコマンド選択式ではなくキーボードの特性を活かし「コマンド入力式」となっている。要するに呪文を唱えるには正確なスペル(英単語)の入力が必要で、タイプミスすると詠唱に失敗したと判定され正しい効果を発揮しない。と思いきや実は省略可能である。判別可能なところまでは入力する必要はあるが。ただしこれはマニュアルに書いてはいない。 ---TRPG経験者なら実に趣のある嗜好だと思うに違いないだろうが、コマンド選択式のRPGに慣れた人には煩わしいだけかもしれない。 -一部のアイテム、職業のバランス --前衛の装備品に関しては明らかに悪の方が強い。「ロングソード+3((+表記はTRPGにおいて「魔法が付与された武器」という扱い。+3は伝説の武器LVの強さ。))(悪)」、「プレートメイル+3(悪)」、「ヘルム+2(悪)」という様に明らかに一回り上の装備品が装備可能で、中立や善のキャラクターは若干肩身が狭い((解釈としては悪の魔法使いが作った迷宮だから悪の戦士を優遇する装備を置くのは当然という説(サムライやロード用装備は善向けだが)と、善は転職クラスが恵まれている上に友好的な敵との戦闘を回避できる(悪は性格維持のためには逃亡する前に一度戦闘に突入しないといけない)ためバランス調整といった説もある))。 --クラスにおいては盗賊、司教、忍者がかなり使いづらい。(通常のクリアレベルにおいて) ---盗賊は上記のとおり宝箱を開けるためには必須の職業なのだが、それ以外の能力がほぼ皆無の為に戦闘中はほぼいるだけの存在と化してしまっている。今作は序盤(1F~3F)の宝箱にはほぼ市販品しかないので序盤は魔法使いや僧侶にしておき、ある程度呪文を覚えさせてから転職させるのがベストか。 ---司教は魔法使いと僧侶の呪文を覚えアイテム鑑定が行えるのだが、呪文を覚える必要レベルが高い上にレベル自体も上げづらい為に盗賊程ではないもののやはり戦闘面で足手まといとなる((クリア可能レベルの時点でレベル3程度の呪文しか使えずせいぜい援護くらいしかできない。 ドラクエで例えるならばラスボス戦でギラ(1グループ対象最下級呪文)やホイミ(回復系最下級呪文)で戦うようなもの。))。鑑定に関しても酒場に待機させておき必要な時にパーティに一時加入させて鑑定させれば良いために''メインパーティに入れる価値は皆無''。((迷宮の中ですぐ鑑定できるということだけがメリット。しかし通常のクリアレベルだと戦闘で呪文を使うのが必要な状況で長時間迷宮の中に籠ってるわけにもいかず、数度の戦闘を終えたら城に帰還することになる。クリアに余裕のあるプレイヤーならそんなこともなく大きな利点となるのだが。))ゲーム中盤になったら金が余るので商店で鑑定を頼んでもよい。熟練プレイヤーなら売ろうとした時の値段でもアイテムが何か判断できる。 ---忍者は素手の攻撃力が高く一撃で敵を倒すクリティカルヒットを持ち、防具なしだとLVに応じてACが良くなり宝箱の罠の解除も行える。しかし転職前提の為どうしてもLVが低くなり((とある武器のSPだとLVを維持して転職できるが経験値は変化しない為に忍者との必要経験値の差で次のLVUPまでの経験値が大幅に高騰してしまう。その数値はレベル1ドレインを受けると忍者基準の経験値に補正される事でむしろ増加するほどである。 なお、この行動はテクニックの一つとして認識されている。))更に上昇させる為の必要経験値が全職業中最高の為に''LVに応じて罠解除判定や戦闘判定にボーナスが加算されるWIZでは恩恵よりもデメリットの方が高い''。戦闘面でも罠解除においても専門職に差を付けられ、おまけに呪文も覚えないのでますます必要性が無い。ACが鎧より良くなるレベルもクリアに必要なレベルよりはるかに高め。低レベルなら鎧装備の方が安全。気長にキャラを育てる人には良いのだが。 ---呪文等に関しては魔法使いや僧侶に転職して覚えさせるのが最も効率(習得Lv、必要経験値共に)が良く上級職で呪文を覚えさせるのはほぼ趣味の領域となる((ただし転職時にレベルごとの呪文使用回数はそれぞれのレベルの呪文数、だいたい2-4に下がってしまいそれぞれの呪文を本来覚えないクラスに転職すると回数はそのまま増えない、それでも1から上級職で呪文を覚えさせるよりは遥かにマシだが))。 -レベルアップまでの戦闘回数の多さ --一回の戦闘にそれほど時間がかからないことは良いのだが、経験値の高い敵の出やすい場所を選んで稼ぎに励んだとしてもそれなりの戦闘回数を要求される。上級クラスだと特に顕著。 -戦闘におけるターゲット設定がない。 --wizardryの大半の共通仕様として直接攻撃のターゲットは選択できない。機種、作品によってシステムは異なるが、Iは「常に全員が先頭の敵を攻撃」が多い。II以降は「一人目は敵の一人目、二人目は敵の二人目、三人目は敵に三人目がいればそれを、いなければ一人目を攻撃」といった割り振りが多い。 --ターゲット指定がないことで戦闘の時間が短くてすむという利点をもたらしているが、エナジードレインやステータス異常や攻撃呪文など嫌らしい攻撃をする敵を先に倒すということが直接攻撃では困難。 --この点は移動の概念があるTRPGとは完全に異なっている。しかし現実性を考えて戦いの中で相手を選ぶ余裕などなく目の前の敵に当たるのが当然という考え方はある。 -攻略の難易度はかなり高い。 --マッピングが面倒かつ場所によっては困難。そして嫌がらせのごとく踏むと全員が小ダメージを受ける(HPが低い魔術師にとっては痛い)ピットがいたるところに用意され、さらには同じ階の別の場所に飛ばされるテレポーターや一方通行のドア、向きが強制的に変更されるターンテーブルなどの厄介な存在がマッピング作業の重要度を上げている。大半の階は北端と南端、西端と東端の通路がつながっている(B1からいきなりである)が、マニュアルにも説明がない。これを知らないと座標で混乱する。 --座標といえば階段を上り下りした際、座標は変わっているので気をつけること。別の表現をするとたとえばB2の下り階段を下りて、B3に入ると上り階段のところにいるが、そこからワープする呪文を使って真上に移動しても、座標が違うために見当違いのところへ飛ぶということだ。 ---東西南北同じ風景が広がる十字路に回転床と落とし穴が設置されているB3、マッピングの難易度が高いB7&B8はかなりしんどい。当時の3Dゲームなので方向転換時に急に画面が変わる印象を受ける。そもそもB5~B8は(移植にもよるが)行く必要がまったくない。B4からはエレベーターでB9までの各階に行けるようになるが、途中階のB5~B8には攻略に必須なイベントも謎解きも無いのである((しかもPC版準拠には凶悪な罠がありB7からB8への階段を降りたら一方通行で回転床地帯に放り出されるのだ。そこから脱出した後も事前にB4でエレベーターの通行許可証を入手していないとエレベーターを利用できず帰れない。MALOR(瞬間移動)の魔法を覚えていれば回転床地帯からでもいつでも帰れるが順当に各階を攻略しようとしているプレイヤーがMALORを習得している可能性は低いわけで…))。また、B9Fでは、最終階へつながる「シュート」があるが、それが目に見えない。踏むまで分からない。しかも行き止まりにあるわけでもない。当時の攻略本の記事に「そういうものの存在だけは知っていて、何度もプレイしてうろうろして今日も見つからなかったな…」というユーザーの体験談がある。((実はエレベーターから数歩の距離で行ける。その場所は普通の部屋にしか見えないためいつも脇を通るか一見しただけで踏まなかったのだろうが))。 --戦闘バランスもかなり厳しいものがある。前述した通り、クリティカルとエナジードレインはかなり凶悪。また、B4からB9に直行すれば当然ながら敵の強さが跳ね上がるため、ここで全滅することも多い。 --現在の視点で見ると不親切なダンジョン、やり直しのきかないセーブシステム、厳しすぎるキャラクターの死など、不満が上がるであろう点が多数ある。 ---もっとも、発売当時はコンピューターゲームでは前例がなかったものであったし、そういった要素を面白いと感じられていた。 ---種明かしをさせていただくと今作では1(レベル上げ)、4(リボン入手)、9(シュートで移動)、10(ワードナを倒す)階の4フロアだけ探索すればクリアできた((1階にあるエレベータの使用フラグが機能しなかったので地下二階の探索や鍵探しは不要であった。 家庭用版では必要だが))。クリアに必要なフロアのみならば複雑な構造ではなく罠も無いし城へのテレポーターも多いので情報さえ手に入っていればクリア自体はそんなに難しいものでは無い。 ---登場するモンスターの中にも倒しやすい割に経験値の高いモンスターや強敵に効き易い即死呪文や「HAMAN」「MAHAMAN」等救済呪文の存在があった為に完全に打つ手なしにはなりにくかった。勿論不意打ちや先に強力呪文や物理攻撃後の追加効果等で一気に総崩れになる展開と紙一重であったが。 -一部の要素の設定ミス疑惑 --一部の呪文が初期版では有効に機能しなかった。殆ど効かなかったり、他の作品と効果が違う等使い勝手が悪かった。~ 具体的には殆ど効果が無かった「KATINO(眠り)」と「MONTINO(沈黙)」、戦闘ごとにかけ直しを必要とする「LATUMAPIC(敵識別)」、効果を指定できない「HAMAN」そして「MAHAMAN」等。 ---これらは♯2で調整され、かなり有効な呪文として生まれ変わった((最もこの情報を知るためには10万ゴールドもの大金が必要だが…))。 --B2に出る「CLEEPING COIN」というHP1の敵はブレスを吐いてくるのだが、ダメージ0なので無意味。1グループに9匹いるし複数グループで出る上に仲間まで呼ぶためにメッセージが大変うっとうしい。ネタなのだろうか? ---魔物が吐くブレスは魔物の現HPの1/2、小数点切り捨てという共通仕様なのだがこの敵のHPを1に設定してしまったのはミスではないだろうか。ただし、もしこれが1のダメージブレスと設定されていた場合、この敵は3グループで出ることが多いため「全員に27ダメージ」という強烈なブレスになり、B2に初めて来た段階ではかなり強敵となるだろう。 ---最もそのお陰で安全に経験値が稼げるので一概に短所やミスとは言えない所もある。また、♯3ではストーリーに若干関与する等WIZの顔役と呼べるモンスターの一つになった。 ---余談だがIVではHPが増加されてちゃんとダメージがあるブレスになっている。必ず9匹で召喚され殺されても仲間を呼んで補充してくれるためにかなり使い勝手の良いモンスターとなっている。 --魔術師のレベル3の呪文「MOLITO」は1グループを攻撃する火花の呪文で、ダメージ量が「3-18」であるが、同じレベル3の「MAHALITO」が1グループを攻撃する火炎の呪文でありダメージは「4-24」と優れている。乱数の偏りが違うとか属性が違うということもないらしい。両方とも覚えた後はMOLITOを使う必要は皆無。本来はMOLITOは魔術師のレベル2にあるべき呪文だったのではないだろうか。 //役割としても僧侶レベル3の予定ではなさそうですな さらに呪文名がHALITOに似てることからいうと魔術師系でしょうな 僧侶系もMALIKTOがありますがそれよりも似てるし。 ---本家D&Dで同レベル呪文に範囲が違うファイアボール(円状範囲)とライトニング(直線状範囲)の2種類が存在したのでその名残で設定されている節もある。 ---余談であるがMOLITOはPCエンジン版ではレベル2に移動されて、TRPG版では無効化されにくい範囲呪文として存在意義が出た。流石にMOLITOがレベル2ではバランスが悪くなると判断されたのかFC版のダイヤモンドの騎士ではレベル3のままで、レベル2呪文に#5の新規呪文MELITO(1グループに1-8ダメージ)が追加された。 --僧侶のレベル5の呪文「BADIALMA(敵1体に3-24ダメージ)」も、同レベルの呪文「LITOKAN」が同ダメージで1グループに攻撃できるためにまったく意味のない魔法となっている。 ---もっとも僧侶のレベル5には回復呪文「DIALMA」が存在するため、BADIALMAもLITOKANもまず使われることはない呪文なのでさして問題ではないが。 --これらの意味のない呪文も「転職直後のMP=各レベルごとの呪文数」というシステムの中でMPの増大には貢献しているが…。むしろ呪文数依存のシステムが問題かもしれない。 **総評 コンピューターRPGの祖にして、その基本的なフォーマットを作り上げた作品。~ 現代から見ると非常にシンプルであるが、当時は6色のカラーで描かれたモンスター、擬似主観視点、アニメーションするタイトル画面と、当時の技術で可能な限りのビジュアルを詰め込んだ革新的なタイトルでもあった。 **その後の展開 この後本作は、様々なシリーズに分岐しながら続いていく。 -生みの親であるサーテック社(現在は倒産)はナンバリングタイトルを8作品出した。それらはアスキーやローカスなどによる移植作業が行われ、中でも[[FC版#1>Wizardry(ゲームスタジオ監修版)]]は原作者をして「これは今までで一番良くできたウィザードリィだ」とのお墨付きをもらうほどのクオリティであった。しかしFC版発売当初は「オリジナルを尊重していない」などといった批判的な意見もあった。 --''オリジナル準拠版'' ---PS、SS、PC版で発売されたリルガミンサーガ、冊子として販売されWIZの開発、販売の経緯やシリーズの紹介と攻略Apple版の#1から#5までのゲームデータ((ゲームプレイにはAppleのエミュレータが必要。また、一部バグも多い))付CD-ROMが付属している「ウィザードリィコレクション(ログイン版)」、♯1から#7までのパソコン版が移植された「ウィザードリィコレクション(エレクトロニック・アーツ版)」が過去に発売されている。 --''ゲームスタジオ監修版準拠'' ---上記のFC版をベースにSFC版とGBC版が発売されている。GBC版はシナリオと無関係だったフロアがクリア後のボーナスダンジョンになる等のアレンジが加えられた。 --''その他アレンジ版'' ---ほかの作品ではキーアイテム入手後にエレベーターで一気に勧めたフロア(5F~8F)を直接探索(8Fのスイッチで9Fも移動可能)し、スイッチを入れなければエレベーターを使えないPCエンジン版、シナリオと無関係だったフロアが省略されているアプリ版、リルガミンサーガのシステムや追加要素とゲームスタジオ監修版のゲームバランスが組み合わさった良いとこ取りのWSC版が存在した。 -また日本のメーカーが版権を得て独自に作った「和製ウィズ」と呼ばれる作品も存在する。「ウィザードリィ外伝シリーズ」、「BUSIN&BUSINゼロ」、「ウィザードリィエンパイア&[[XTHシリーズ>ウィザードリィエクス2 ~無限の学徒~]]」あたりが有名どころ。 -現在では「ウィザードリィルネサンス」と題し、各メーカーによって変わってしまった世界観をまとめ、新たなシリーズを各社からPS3・DS・携帯アプリに出している。 --また、システム面でも見直しが入り、PS3版では難易度を上げる要因だった年齢制やオートセーブを廃止(どこでも手動セーブが可能)、レベルも通常のRPG同様迷宮内で上昇し、さらに余ったお金でレベルを上げられるなど現代っ子に合わせた難易度調整が行われている。 **その他 -セーブシステムのため、せっかくのキャラクターが消滅してしまうことのある本作だが、実は回避する方法がある。セーブされてしまう前に、コンピュータを強制リセットしてしまうのだ。当時のメインの記憶媒体はハードディスクではなくフロッピーディスク((80年代前半はFDDは非常に高価で、当時の記録メディアの主流はテープだった。日本語版の発売が85年にまで遅れたのは日本でのFDDの普及待ちという背景もあったと思われる。))なので、セーブするまでにわずかな間がある。そのためこれで対処できた。もっとも、リセットが遅れればディスクを壊してしまう危険性はあるが((他に、ダンジョン探索時は書込み禁止状態にするといった方法も採られた))。 -一見硬派ではあるが、実は迷宮内でのテキスト((例:カエルの像がイェイ!イェイ!と叫んでいる))に見られるようにかなりおちゃらけたユーモア溢れる内容である。 --映画「モンティパイソン・アンド・ホーリーグレイル」や「セサミ・ストリート」、日本の時代劇の影響が強い。D&Dと合わせていずれもアメリカのギーク文化に強い影響を与えた作品であり、本作がそういう文化の延長線上で製作されたことを暗に示している。 --国王トレボー(Trebor)とラスボスであるワードナ(Werdna)の名前は、開発者であるロバート(Robert)・ウッドヘッドとアンドリュー(Andrew)・C・グリーンバーグの名前の逆さ読み。 ---迷宮内の地下8階と9階には、彼らのイニシャルを象った形状のフロアが存在する。……が、移植作品の中には攻略に必須ではない5~8階の構造を独自に構築している作品があり、そこでは「ロバート・ウッドヘッドのフロアが消滅している」ということになる。しかも、「アンドリュー・グリーンバーグのフロア」は続投している。下記のように日本版ではパロディ、ジョークの類はばっさり切り捨てられたが、その象徴的な部分である。 //--敵のサムライで最強なのは「ミフネ」。これは俳優・三船敏郎の事であり、本作のサムライはあくまでも映画のサムライであることを示す((後の攻略本には「大大名ミフネ家に仕えるサムライ」と言う設定を載せた物もある))。 //ミフネが登場するのは#3 --経験値稼ぎに使われる「マーフィーズゴースト」。新米冒険者にボコボコにされる彼のモデルはテストプレイに関わった同級生との説がある。%%友情とは一体…%% ---別の説ではロバートとアンドリューが大嫌いだった同級生の名とも。 -日本では原作のコミカルな面が抑えられ、至って真面目な王道的中世ファンタジー風の世界観で描かれている。 --たとえば「ボーパルバニー」は映画『モンティパイソン ホーリーグレイル』を、「カシナートの剣」は「フードプロセッサーで有名なカシナート(クイジナート)社」を知らないとジョークとしては理解出来ない。 ---日本版での「カシナートの剣」は「名匠カシナートが造り上げた剣」ということになっている。これはFC版1が発売されるより前の攻略本から見られ、それも複数の出版社から出た著者が異なる解説本で「名匠カシナートが造りあげた剣」とされており((一部には「カシナートという戦士が使った剣」という解説が記された攻略本も存在する。))特定の団体が歪曲して流布した俗説などではなく、日本上陸にあたって日本人好みに姿を変えたものと言えよう。 --これらのおバカ要素の集大成とも言える第4作『[[ワードナの逆襲>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/752.html]]』がコンシューマー移植されるまでには時間がかかり、日本オリジナルで製作された続編・外伝もの・関連作品にも原作のようなユーモアは見られない。 ---もともとは軽い雰囲気であった事を活かして、ブルマなどの「萌え装備」、日本アニメ作品等のパロディを加えた外部作品もあるが、本流扱いは受けていない。 --当時のFC版メディアミックスの一環として登場した小説作品群、アニメ、漫画作品も、ゲーム4コマなどのパロディ作品を除いてはシリアスな世界観を継承している。この世界観は日本のファンに受容され、これらのメディアミックス作品が人気を博した。 --この作品が他の作品に与えた影響も大きい。漫画『ドラゴンクエストへの道』によると、あの有名な「[[ドラゴンクエスト]]」も中村光一と堀井雄二がエニックス(当時)の研修旅行で、アメリカの大手ゲーム博覧会に参加した際にこの作品に触れて感動し、「いつかファミコンでウィザードリィより面白いRPGを作りたい」と触発されて生み出すきっかけとなったとされている((ただしドラクエは、戦闘シーン以外はウルティマの方に似ているが。『夢幻の心臓』の影響という説も。))。 --またナムコ(当時)の「女神転生」シリーズも、ウィザードリィを意識して作った事を製作者が認めている。 //「硬派WizはFC版から」は誤りです。当時のPC版の解説本で確認できます。 //『ワードナの逆襲』に関する詳細ネタはそちらのページに移動。 ----
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