恋愛の対象として意識したことはなかった。
ただ、彼女が修行の為に居なかった時は自分の胸の内にぽっかりと穴が
空いたような感覚に戸惑ったし、彼女が事件に巻き込まれて誘拐された
ときなどは、普段の自分では考えられないほどの動揺に襲われた。
知り合って二年の間に小さな真宵に大きな部分を奪われていたのだ、と
気付いたのはいつだったか。

だが、それに気付いた今でも彼女とどうこうなろう、という衝動は
成歩堂には無い。いや、無いといえば嘘になるが、彼氏、彼女という
関係を急いで形成しようとは思っていない。
真宵の恋愛に対する興味の無さ――言い換えれば幼さ――は十二分に
知っていたし、焦るほど餓えてもいない。
元々自分はタンパクなほうなのだ。
弁護士と助手事務員、気の合う親友、あるいは擬似兄妹(真宵に
言わせると姉弟らしいが)。その関係はどれも自分たちに正しく、
そしてどれも信頼し親愛のおける関係である。
そこに「恋人」、あるいは「男と女」は追加されていないが、
成歩堂にとっては「まだ」というだけの話であり、いずれは
「そうなっても構わない」と思っている。
ゆっくりと彼女が大人になるまで待つつもりであった。
そう、待つつもりであった…筈なのだが。


ううう…マズいな…。

その日はいつもどおりの夜だったはずなのに。
事務処理に追われて真宵に書類の整理を手伝ってもらい、黙々と苦手な
デスクワーク。
漸く終えて顔を上げたら、テレビを見飽きた彼女はいつの間にかソファで
眠ってしまっている。成歩堂はやれやれ、と彼女に近づき幼げな彼女を
優しく揺り起こそうと手を伸ばす。
そんなありふれた光景なのに、今日に限って成歩堂はその手を一瞬躊躇
してしまった。
ソファの上に横になった真宵が、妙に色っぽい。
伏せた長い睫毛が、体のラインに沿って緩やかな曲線を描く艶やかな黒髪が、
短い装束の中から延びる白い脚が、可愛らしい寝息が。真宵の全てが成歩堂を
誘っているかのように見えるのだ。
いつもは肩へと手を置いて揺り起こすのに、今日はその肩すらもいつも以上に
華奢に見え、触れたが最後抱きすくめてしまいそうな気になってしまう。
伸ばした手のやり場に困り、成歩堂はそっと真宵の頬に指先を触れさせてみた。
やわらかく細やかな肌の感触。
成歩堂の指先から感じられたそれが彼の身体を駆け巡り、彼の男を刺激する。


(なんだこりゃ…中学生かよ!ぼくは!)
半勃ち状態になったそれを心の中でなじるが、その手は真宵の頬に吸い付いた
ように離れる事を抗っている。
まずい。
そういえばここの所忙しくて、家にたどり着いた途端に敷きっぱなしの布団に
落ちていた。
最近抜いてないからか…。
真宵の頬に触れていた手は、いつの間にか彼女の柔らかそうな唇に浅ましく
移動している。
生暖かい寝息が指先に漏らされる。
気がつけば自分の顔も真宵に知らず知らず近づいていた。

いやいやいや、いかん。
「とりあえず、トイレに行って、落ち着こう。」
微妙な一句をぼそりと呟いて立ち上がった瞬間、

「んにゃ…」
子猫のような寝言を呟き、真宵がソファの上で寝返りをうった。
「あぶっ…!」
ソファから落ちかける真宵を抱きとめようと成歩堂はとっさに手を伸ばして
彼女を受け止める。といっても、抱えることが出来たのは上半身だけで、
真宵の腰の部分は成歩堂の腕を巻き添えに事務所の床に落ちてしまった。
「痛ぇ!」
幾ら真宵が小柄な身体とはいえ、人半分の体重が右手に落ちてきたのだから
成歩堂には堪らない。
思わず素っ頓狂な声をあげてしまった。
だが、真宵は右手のクッションで衝撃をほとんど受けなかったのか、まだ
目覚めることなく成歩堂の腕の中に居る。幸せそうな可愛らしい寝顔も
そのままだ。
「…てて…。やれやれ…」


全く…と成歩堂は呆れた物言いで真宵を見る。もっとも、本気で呆れている
わけではなく、起こさなかったことにほっとしているだけである。
ささいな事ではあるが彼女の幸せのひとつを守れたのは男として誇らしい。
だが、男としての別の顔もまた成歩堂の頭の中に登場してきている。

まあ…いいよな…これくらいじゃ起きないだろうし…。
いやいや、ちょっとヒキョーじゃないか?ぼく。
でもなあ…ぼくの右手は真宵ちゃんのせいで負傷を負ったわけだし。

その手は今や真宵の可愛らしいお尻を撫で抱える、という役得を預かって
いるのだが、成歩堂はそこを棚に上げ
「これくらい、いいよな。」
と小声で言って、真宵の唇に口付けた。
軽く、触れるように一度。
しかし、それでは物足りなかったらしい。一呼吸おいてから唇と唇をしっかりと
重ね合わせていた。
沢山ごはんを食べるくせに小さくて愛らしい真宵の唇は、ぷるりと弾力があって
しっとりとしている。肌と同じくらいの温い感触が唇越しに伝わって、
成歩堂の胸が、下半身が疼く。
「ん…んぅ…」
息苦しさを感じたのだろう。真宵が眉根をよせてくぐもった声を漏らす。
耳に残るその声はなんとも艶かしく、成歩堂はキスをしたまま舌で真宵の唇を
探った。
「ん…ふ…んぅ……?」
漸く覚醒する彼女から唇を離し、眠り姫を笑顔で迎える。
「ふ…ぁ…?…なるほど…くん?」
「おはよう。真宵ちゃん。」
目覚めの、三度目キスをもう一度すると、真宵は大きな瞳をぱっと見開いた。
「んっ…!な……な…!」
「右手の分。」
「なにそれ…っん…!」
もう一度口付ける。真宵には二度目の、本当は四度目のキスで、成歩堂は舌を入れた。


しっとりとした唇は生温く、蕩けるようだった。
「んっ…んぅ…んん!」
唇をふさがれて息が上手くできない真宵が苦しげに成歩堂の胸を叩く。だが
力ないそれは成歩堂を止めるには至らなく、真宵の唇は依然として彼の唇からは
逃れられない。歯を、舌を熱い成歩堂の舌に弄られるが、真宵にはどうして
いいかわからず、ただただ、挿入してくる異物に困惑するばかりだった。
「ん…ふぅ…!」
ようやく唇を離したときには、真宵の頬はすっかり熱を帯びて上気し、瞳は
苦しさに潤んでいた。
男の舌を味わった唇は小さく震えている。
思っていたよりもずっと女を感じさせる仕草に、成歩堂はまたも自分の中での
昂ぶりを感じた。

「真宵ちゃん」
優しげに声を掛けて真宵を見つめる。
「な…なに?」
「襲ってもいい?」
「な…なに言ってるの、なるほどくん!もう襲ってんじゃん!」


真宵は大きな瞳をいっそう大きくして反論する。だが、ペースはすでに
この男が握っているのだ。
「そうか、そうだね。じゃあ遠慮なく。」
「わわ…ま、待った!」
真宵の下にあった右手を、そのまま装束の裾から中へと這わせようとする
動きを慌てて止める。
「どうしたの?」
確信犯的に不思議そうな顔をする成歩堂をひと睨みして、真宵は呆れたような
顔をしてお説教を始める。その仕草は少しばかり彼女の姉に似ており、
成歩堂は心の内で若干怯んだが、顔には出さずに話を聞いた。
「あのさ、フツーさあ、何かないの?こーゆーコトする前に、えっと…」
「キスならしたよ。」
「ち、ちがうよ!そーゆーのよりも前!」
成歩堂は真宵の太腿から右手を離し、いつもの考えるポーズをとってから、
ああ、ごめんと彼女に笑いかける。
「すきだよ、真宵ちゃん。」
それから
「君が欲しい。」
と言った。
「う…」
「他に異議は?」
余裕の表情で真宵を見つめる成歩堂は彼女がいままで見た中でもずっと大人で、
男で、真宵は言葉を返せなくなってしまった。
(ううう…なんかズルい…なるほどくんのくせに…)
その隙に成歩堂は右手を先ほどと同じ太腿へと忍ばせる。真宵は慌てて、
ま、まだあるよ!と声を上げた。
「だ、だいたい、なるほどくん、あたしの気持ちとか…」
だが、そこまで言って真宵は言葉を止めてしまった。
成歩堂がすかさず問う。
「そうだね。…真宵ちゃん、僕のこと好き?」
「うっ…うぅ…。」


その問いから逃れようと止めた言葉だったのに、成歩堂は逃さずにきっちりと
突っ込む。さすがツッコミの第一人者である。

「か、考えたことないからわかんないよ…」
真宵が本当に困ったように答えにならない言葉を答える。
(その答え…予想してたけど結構キズつくな…)
成歩堂はそう思いながら、しかし真宵を逃がすことはしない。
「じゃあ、考えてみて。」
「うえぇえ!?」
驚いて見上げた先の成歩堂の顔は、さきほどと同じ大人の顔をしていたが、
その目はするどい。真剣な瞳に射られた真宵の胸が大きく脈打つ。
抱きかかえてくれている成歩堂の腕が熱い。
しっとりとした手の平を背中に感じて、真宵は初めて気がついた。
(なるほどくん…ひょっとして緊張してる…?)
それに気づくと同時に、動揺していて良くわからなかった身体の感覚が、
すこしずつ自分に戻ってきた。
触れている温もりに愛しさを感じる。
その感覚はイヤじゃない。さっきのキスもいやじゃない。
好きだと言われた言葉も、なんだかむずがゆい気持ちはあるけれども、
イヤなんかじゃない。
それはむしろ…

「う…うれしい…。」
真宵はぽつり、とそう答える。うれしい、と。
「なるほどくんが…すきだって、言ってくれて嬉しい…。」
今、自分に触れている温もりも嬉しい。
「だから…あたしも…んーと…す、す、すき…かも。」


「真宵ちゃん、ほんとう?」
成歩堂の表情がぱあっと明るくなる。
そのあまりの嬉しそうな顔に真宵は思わず吹き出した。
成歩堂の表情が途端に曇る。
「え?な、なに?(まさか真宵ちゃん、冗談とか嘘だとか言うんじゃ…)」
真宵は成歩堂の腕の中でクックッ…と小さく笑ったまま言った。
「いやー、やっぱりハッタリだったんだね。余裕ある大人のフリ。」
「う…。」
あっさりと見破られて成歩堂は少々情けない顔になる。だが、気を取り直す
ように真宵を抱きしめる。
元々抱きかかえられていた格好だった真宵の小さな身体は成歩堂の腕の中に
すっぽりと入り込み、腕の中から「うわわ、」と小さな声が聞こえてきた。
成歩堂は抱きしめたまま、そんなことより、と言葉を続ける。
「もう一回言ってよ。」
成歩堂の鼓動が真宵のすぐそばで聞こえた。
早い。真宵自身の鼓動と同じくらいに。
「な、何を?」
真宵はそらとぼけるが成歩堂はやはり逃がさない。
「僕のこと。好きって…」
法廷で聞く良く通る張りのある声とは全然違う、囁くような甘い声に真宵は
湯にのぼせたような感覚に陥る。
(うう…なんで耳元で喋るかなあ…)
顔が真っ赤になってしまうのはどうしようもないが、努めて平静を保とうと
真宵は成歩堂から目を逸らす。
「へんなの。フツー女の子の方だよ。好きとか、アイシテルみたいな事
言われたがるのってさ。」
「確かに…そうかもね。」
それでも成歩堂はもう一度聞きたかった。
大好きな彼女が自分を好きで居てくれるという喜びは、何度聞いても飽き足らない。
その幸せの呪文をねだるように、真宵の頬に口付ける。
小さく「ん…」と声を漏らす腕の中の少女がこんなにも愛しいなんて思わなかった。
そして、こんなにも欲情を掻き立てられるなんて。


「真宵ちゃん…」
頬へのキスを繰り返しながらネクタイの結び目に手を掛ける。
「ん…なるほどくん…なんか…」
「え?」
「なんか…腰に…」
「…ああ。」
真宵の腰の脇あたりに、成歩堂の欲情がそのまま形となって当たっていたのだ。
「えーと…まあ、そんな訳でこんなアレなんだけど…いいかな?真宵ちゃん。」
照れた様子で続きを促す成歩堂に、だが言われた彼女はきょとんとした様子で
言葉を返す。
「いいって…?あと、こんなアレって何?」

いやいやいや。ここまで来ておいてしらばっくれることはないだろう。
…まあ、照れてるのかもしれないけど。
「だから…続き。」
「え?な、なんでいきなりそーなるの?」
「いやいや、だってホラ、ぼくの方はもうほぼ準備が出来ているわけだし。」
「ジュンビ?」
「ほら…これ…」
そう言って成歩堂は真宵の腰に例のブツを擦り付けるように、くい、と
前方に腰を動かす。
だが、彼は次の瞬間ショーゲキ的な発言を耳にしたのだった。

「な…なんかカタイよ。ポッケに何入れてるの?」
「え…えええええ!?」
法廷でピンチの時に勝るとも劣らぬ脂汗が成歩堂の頬を伝う。
ま…マジなのか…?
子供っぽいとは常々思っていたけど…しかも女の子っていうより小学生男子
みたいな子供っぽさだと思ってもいたけど…まさか…まさかここまでとは!
成歩堂が言葉を失い、次の質問をするまでにたっぷり10秒は空白の時が
流れただろうか。
真宵が不安げな瞳でこちらを覗いている。


ううう…その無垢(に突然見えてきた)視線が痛い…。
何か言葉を発して、安心させてあげなければ…。
「ま…真宵ちゃん…えーと、セックスは知ってる?」
かろうじて絞り出した声は、およそ19になろうかという娘に聞くものでは
なかった。声に出してから成歩堂は後悔する。
(な、何を聞いてるんだぼくは…動揺しすぎだろ!)
自分に突っ込んでいる最中で、真宵が声を張り上げた。
「ば、バカにしないでよなるほどくん!あたし今18だよ!18禁だよ!」
「いやいや、意味わかんないよ。(でも、まあ知ってるんだ…。)」
成歩堂は内心安堵する。
いやでも、それならこの意味だってわかるだろう。
「…SFXじゃないよ。」
「知ってるよ!」
バカにして、とぷうと頬を不機嫌そうに膨らます。しかし、成歩堂はまだ
信用できなかった。何しろ彼女は綾里真宵だ。どんな勘違いをしているか
判ったもんじゃない。
「じゃあ…セックスがどんなことをするか、教えてもらおうかな。」
「え…」
真宵は戸惑うが、答えなければ子供の扱いを受けることは目に見えている。
嫌なことは早く終わらそう、とばかりに早口で答えた。
「あ、アレでしょ。男のひとのアレを女のひとにナニするモノぞ、でしょ!
しってるよそれくらい!」

…まあ、合ってるような気はするが、何するモノぞはなんなんだ。
だが、そこで成歩堂の心の中に、少しばかり悪いものが忍び寄る。
成歩堂はいつもよりも一段声を低く、そして、こそっと真宵の耳に囁いた。
「男のひとのアレ…って?」
真宵の顔が湯気が出そうなほどにかあっと熱くなる。もじもじと恥らう仕草が
妙に色香があり、成歩堂は思わず唾を飲み込んだ。
(なんか…ヘンなプレイしてるみたいな気分になってきたな…)


真っ赤な顔で言葉を紡ごうと口をもごもごさせていた真宵は、結局何も
具体的な名詞を出すことはできず、
「ううう…セクハラだよ…。」
とぽつりとつぶやいた。
まあ、確かにセクハラだ。少し心残りはあったが流石に悪いと思い、成歩堂は
「ごめんごめん、」
と素直に謝った。
だがその手は真宵の手を取り、ズボンの上から硬くなった男の「アレ」を触らせる。
「!!」
「僕のコレを、真宵ちゃんの…」
言いながら成歩堂は彼女の装束の下、形のよい太腿の間に手を入れ込み、
下着越しに指を這わせる。
「ここに…」
「あっ…!」
真宵が普段からは考えられない程、か細く声をあげる。吐き出された彼女の
息が熱く己の首筋にかかり、成歩堂はぞくぞくするほどの興奮を覚える。
真宵が慌てて成歩堂の手を止めようと、触れていた彼の股間から手を離そうと
するのを男は言葉で制する。
「そのまま。触ってて…真宵ちゃん。」
「え…う…うー…。」
逡巡しながらも真宵の細い指は成歩堂のズボンの膨らみに触れている。
「へ…ヘンなの…。な…なんか…さっきより大きくない?」
「んー、まあ、そりゃあ。真宵ちゃんのココ、気持ちいいし…」
「や…っ」
布越しに摩るその感触はふにふにと心地よく、そして湿り気を感じさせている。
成歩堂の男はそれだけでもう我慢ができないとばかりに布越しに屹立をみせてしまうのだ。

「や…っ」
布越しに摩るその感触はふにふにと心地よく、そして湿り気を感じさせている。
成歩堂の男はそれだけでもう我慢ができないとばかりに布越しに屹立をみせて
しまうのだ。
「この中に入れると思うと元気になっちゃって。」
指でさきほどから緩く弄っているその部分。おそらくそこはとても狭いだろう。
この小さな身体にどこまで自分を受け入れられるか判らないが、己を締め付ける
であろう真宵のそこを想像するだけで興奮する。
「ええー…こんなおっきいのが入るの?」
真宵がありえない、とばかりに目を見開いてそこを凝視する。
(お、なんかいい気分。)
別に成歩堂のそれが他人と比べられての発言ではないのだが、それでも大きい
と言われれば男としてなんとなく嬉しい。そんな成歩堂の気分など関係なしに、
真宵は恐る恐る手をだして、指先で触れる。
ズボンの上からではなく、直に触って欲しいものだが見るのも初めてな状態で、
すぐに指を引っ込められてしまった。この状態では流石に無理だろう。
幼げな彼女をリラックスさせようと、成歩堂は下肢に触れていないもう一方の
手で彼女の髪を撫で、そのまま流れに沿って下降させる。
行き着いた先は真宵のつつましい膨らみだった。

装束の上から軽く胸を摩る。
「んっ…」
「真宵ちゃん…ブラジャー付けてないんだね。」

彼女の霊媒を見たときから密かに確信していたが、成歩堂は改めて口にしてみる。
真宵は触れる男の手の感触に戸惑いながら答えた。
「う…うん…なんか…邪魔だし、それにお姉ちゃんみたいにおっきくないから…
いらないかな…って…あっ…」
成歩堂は胸を優しく揉みしだきながら言う。
「でも…真宵ちゃんの胸…すごくいいよ…。柔らかくて…」
そう言いながら中心に手を差し入れて装束を左右に開き、柔肌に直接触れた。
「あっ…!」
「すごくすべすべしてる。」
下着を着けていない上半身はあっというまに成歩堂の前に露になった。乳房の
脇を摩りながら成歩堂はごくり、と嚥下した。
透けるような白い胸には静脈が艶かしく浮き出ており、白い肌の中心には朱桃の
彩りがふたつ。つつましやかに、しかし誘うように施されている。
まだ何の穢れもしらない初雪の降り積もった地のような光景に、自分が最初に
足跡をつけるのだ。
踏み荒らさぬように、そっとやさしく手を滑らせる。
「あぁ…っ」
真宵が小さく声をあげる。
少々小ぶりとはいえ、美しくみずみずしく張りがあって、そして信じられない
くらい柔らかい。そのまま成歩堂は包み込むように揉みあげた。
「ん…ふぁ…っ!」
ふにふにと男の手で形を変える自分の乳房を目の当たりにし、真宵は困惑の声を
あげる。普段の元気一杯の声とは違う、その弱々しさが堪らない。
触れたまま頬にキスをする。そのまま唇にも。唇を塞ぎながら真宵の小さな身体を
事務所の床から引き上げてソファに押し付ける。
「ん…んむぅ…!」
まだ呼吸のタイミングがつかめないのか、苦しそうに真宵はあえぐ。上気した
肌がほんのりと色づき、力なくソファに身を預けている。ひどく扇情的だ。
なんで今まで我慢していたのか不思議なくらいだ。

成歩堂はそう思いながら唇を真宵の唇から彼女の耳元へ、首筋へ、そして胸へ
とキスを浴びせる。
「あっ…あんっ…」
焦らすように頂きへは唇をよせず、絹のような白い胸を愛撫していく。
ゆるやかな円を描くラインを手で持ち上げ、乳首の下や脇の傍に口付けるたび
に真宵が悩ましげな声を上げる。下半身が痛いほどに疼くのを感じながら、
成歩堂は我慢強くじっくりと真宵を解きほぐしていく。
「真宵ちゃんのおっぱい、可愛いよ…。」
「やだぁ…ヘンなコト言わな…あぁあっ!」
成歩堂が真宵の言葉を待たずに漸く先端の桃色に甘く噛み付いたのだった。
「い…ぁあ…あぁん…」
焦らされていた分快感も大きく、真宵の身体は素直に快楽に反応する。下着の
上から宛がっていた指先に水気を感じて成歩堂が覗き込むと、白い下着は
しっとりと濡れ、薄く透けていた。
成歩堂はたまらずソファに凭れる真宵の両足を開かせる。
「あっ…や…やだぁ…なるほどくん…!あぁっ…あぁあ!」
真宵の静止の声が喘ぎに変わる。
成歩堂が下着の上からそこに唇を宛がったのだ。
熱く、濡れた女の感触がそこにはあった。真宵の下の茂みも、その奥の果実をも
浮き出さんばかりに、成歩堂は舌で縦に真宵の下着を舐る。唇を秘所に寄せた
まま両手を伸ばして真宵の胸を掴む。弄りながら美しい白桃は揉みしだかれ、
頂点はひねり上げられる。乳首は桃色から紅色へと充血していき、先ほどよりも
おおきく主張している。
「あぁっ…やっ…ぁあん!…だめ…なるほどくん…や…やらし…よ…ぉ」
「真宵ちゃんの声が?」
「ば、ばかぁ…!…あっ…あん!やっ!あし…そんな開いちゃだめ…!」
ソファの上で先ほどよりも一層大きく脚を開かれ、胸元は前がぱっくりと
はだけている。長い髪は乱れて白い肩に掛かり黒い艶やかさとのコントラストが
異様に艶かしい。
濡れ透けている下着の中心は大きく開脚されている所為であろう、黒い影の
下の赤い果実も浮き彫りにしている。

成歩堂はソファの前に跪き、真宵の胸から細く切り込みの入った小さなおへそ
あたりまで、つうと舌で撫ぜ、再び濡れた下着の上から舐りはじめた。
「あっ!あぁん!やっ…やぁあ…ッ!」
頭上に真宵のひと際高い声が響く。
事務所の鍵は掛けておいたが、この分では外に漏れているかもしれない。
そう思いながらも、成歩堂は初めて目にする真宵のあられもない姿態に釘付けに
なっており、止めることなどできない。
成歩堂の唾液と真宵の愛液でぐっしょりと濡れた下着はもう白とは呼べない色に
なっている。
広げられた脚を優しく撫で、太腿の付け根から彼女の下肢を守る下着に手を掛ける。
「だ…だめ…こんな…明るいのに…」
真宵がか細い声で言う。しっとりと濡れた瞳は恐くて涙しているのか、それとも
感じている所為なのか判らない。
だが、ここで止まれるほど優しい男でも、余裕のある男でもない。
そのかわり、できる限り優しい声で言葉を掛けてやる。
「大丈夫だよ、真宵ちゃん。僕しか見ないから…。」
「な…なるほどくんだから、はずかしいんだよ…。」
「え?」
「す…すきな人にこんなトコみられたら、恥ずかしくて死んじゃうよ…!」
好きな人ならいい…というのが普通ではないのか。
女の子ってのはフクザツなもんだな、と思う。
(でも、けっこう嬉しい言葉だな、それ。)
成歩堂は思ったままを言葉にして、そして真宵を促した。
「見せて…真宵ちゃん。全部見たいよ。」
その言葉に小さく彼女が頷く。
許しを得た成歩堂は、彼女の腰に掛けていた手を下着ごとゆっくりと引き
下ろしていった。

つう、と一本の真宵の糸が下着に付いて来て零れ落ちる。だが、それには
目をくれずに成歩堂は真宵の下着を片足から抜き取り、脚を開いて空気に
晒された彼女の奥を覗き込む。
まだ汚れをしらないとばかりに、美しいサーモンピンクのそれは、水気を
帯びて輝いており、甘い果実のように成歩堂を誘っている。
「や…だぁ…あんまり見ちゃ…やだよぅ…」
真宵が泣きそうな声でせがむ。成歩堂はだが、その声が聞こえないかの
ように、真宵のそこに口付けた。
「あっ!」
予想もしなかったらしい真宵は、大きく、高く声を上げてしまい、自分の
声の大きさに赤面する。だが成歩堂の口付けは続いており、その刺激に
真宵は再び嬌声を事務所内に響かせていく。
「あっ…!あん!…やぁ…あっ、あぁ!」
じゅん、という熱いものが成歩堂の舌の上に零れてくる。真宵の愛液をそのまま
舌で受け、舐め上げる度に彼女の身体がびくん、と跳ね上がる。
「だ…め…なるほ…くん…っ!ひぁ…っあぁ…っあぁ!」
真宵の可愛らしい両の膝小僧にそれぞれ手をつき、犬のように膝の中心を
舐りつづける。
漸く唇を離した頃には、真宵は息も絶え絶えにぐったりとしていた。
「ま、真宵ちゃん…大丈夫?(ちょっと、刺激が強すぎたかな…)」
少しして、息を整えた真宵がうらめしそうな顔でじろりと成歩堂を睨む。
「だいじょぶじゃないよ!もお…恥ずかしすぎて死ぬかとおもったよ!」
思ったよりも元気なしぐさに成歩堂は内心ほっとしながら、ごめんごめん、と謝り
「じゃ…じゃあ、そろそろ、いーかな?」
などと、間抜けな言葉で真宵に問うた。
「…ここまでしといて、今更いいも何もないよ…なるほどくん…。」
「まぁ、そうなんだけど…。」

「じゃあ、やめとく。こわいし。」
「ええええええっ!」
眉毛を盛大に八の字にして、これ以上ないほど情けない表情になる成歩堂を
見て、真宵はプッと吹き出す。
「ジョーダンだよ、ジョーダン。あんまりいじめるから仕返しだよ。…それに…。」
真宵は成歩堂に開かれていた両足を伸ばし、成歩堂の身体をえい、と
蟹ばさみのように脚で挟み込み、ぐいと手前にひきよせる。
「うわっ!」
そのまま近づいた成歩堂の耳たぶにキスをして、真宵はそっと囁いた。
「…あたしもしたいもん。続き。」
「ま…真宵ちゃん…。」
ニッ、と小悪魔のように微笑む少女の顔には、恥じらいと好奇が入り混じっており
堪らなく魅力的だ。さっきまでずっとペースを握っていたのに、あっというまに
この小さな少女に逆転されてしまった。
(まったく…敵わないなあ…)
きっと、一生真宵には勝てない気がする。
だが、それでも構わない。成歩堂はそう思う。
「じゃあ…挿れるよ…真宵ちゃん。」
「う、うん…どんとこい!」
少し場違いな真宵のセリフだが、その目は真剣そのものだ。言葉とは裏腹に、
少しばかり怖がっているかもしれない。
成歩堂は愛しそうに彼女の額にキスをしてやってから、濡れた秘所に
あてがっていた自分のそれをゆっくりと、ずぶ…と埋め込んでいく。
「……ッ!!」
想像していたよりもそこは狭く、先ほど舌でほぐしたときよりも一層
成歩堂を締め付けてきた。きゅうきゅうと異物の進入を拒むかのような
その激しい刺激に、成歩堂は息を詰めて瞳を閉じ、果てない様に自分を律する。
「いっ…たぃ…い…いた…ぁ…ッ!」
真宵が苦しげに声を漏らす。
「真宵ちゃん…力…抜いて…!」
「っ…!?ぬ…抜くって…どう…?」
「いやいやいや、フツーに。」
当たり前にできるはずのことが判らないほどに、真宵は痛みと羞恥の混沌の
中にいた。いつの間にか涙もぼろぼろと大きい瞳から流れている。
「大丈夫だから…ほら、し…深呼吸して…っ」
言われるままに、真宵は呼吸を整え、深く息を吸い、ゆっくりと吐く。
息が吐かれた瞬間に弛緩したそこに、成歩堂は容赦なく己を突っ込んだ。

「んぁあ!あぁッ!いたいー!いたい!痛いよぉ…!なるほどくんのバカぁ!」
「ご…ごめん…。でも、ほら…僕の…ちゃんと真宵ちゃんに挿ったよ…。」
「え…」
その言葉に思わず下肢に目をやる。
衝撃的な光景に迷い思わず瞳を大きくひらき、ごくり、と唾を飲み込んでしまった。
「うわ…す…っごい…。ホントだ…。は…入るもんだねぇ…。」
「うん…っ…ッく…!」
成歩堂がぐっと瞳を閉じる。
「い…いたいの?なるほどくんも…」
「ううん…き…気持ちよすぎて…出そう…。」
なんとも情けない言葉に、真宵も思わず情けない表情になり、そしてぷうっ、と
頬を膨らます。
「なにそれ!ずるい!あたしだけこんなイタい思いして…ぁ…んっ!」
真宵の言葉尻は成歩堂の手によって止められた。
暫く触れていなかった彼女の上半身の敏感な部分――両乳の頂にやわらかく
指を乗せたのだった。
成歩堂はそこを優しくこすり、ひねりあげて快楽を促す。
「あ…っ!ん…ぅ…!や…胸…だめ…」
人差し指と親指でつまんで弄くると繋がっている部分に熱いものが広がる
感覚がしてくる。
「真宵ちゃん…熱い…。」
「だ…だって…あッ…!」
「痛くない?」
「うぅ…い…いたい…けど…きもちい…」
少しずつ馴染んできたのか、真宵は先ほどよりは辛くなさそうだ。成歩堂は
それをみてゆっくりと腰を動かし始める。
「んんっ!」
抜き挿しに水音が絡み、真宵の短い悲鳴と成歩堂の熱い息遣いが事務所の
空気に溶け込んでいく。
「…ハッ…ッ…!」
「や…っあ…あん…!ぁあっ」
「真宵ちゃん…掴まって…っ!」
成歩堂はソファの座部に不安定に上半身を任せていた真宵を抱きあげ、立ったまま
ぐいと抱きかかえて一層深く繋がる。
「んぁああ!」

抉る衝撃に思わず声を上げた真宵は、溺れた子供のように成歩堂にしがみ付く。
成歩堂に正面から抱きかかえられ、お尻を大きく開かれて持ち上げられている。
前からとも下からとも区別の付かない突き上げが真宵の中にずんずんと侵食していく。
「んぁッ!あっ…あっ!あんっ!んぅッ!んん!」
身体の中で擦れる熱いものに、声に成り切らない悲鳴をあげて真宵は耐えぬこうと
唇をぎゅっと結ぶ。だがそれは数秒と持たなかった。
「あぁッ!な…なるほどく…っ!あぁッ!」
「真宵ちゃん…ッ!」
「あっ!ぁあっ!あぁあん!はぁん!」
(すごい…真宵ちゃん…溢れてる…)
破瓜の血の混じった愛液が二人の繋がりからぱたぱたと事務所の床に音を
立てて零れていく。
怒張に絡みつく熱いものに成歩堂もどんどん昇らされていく。
「ま…真宵ちゃ…もう…ッ…ぅっ…!」
「あっ…アッ!あぁぁー!」
自分の中で大きく脈打つモノを感じ取り、真宵の身体も大きく痙攣をした。


「…あー…いたた…」
「…なるほどくん、もうトシだね。」
「う、うるさいな。」
「オヤジだよ、オヤジ。」
成歩堂事務所のソファには、一刻前とはうってかわって、事務所の主である
弁護士が腰に手を当て、横たわっている。
ソファのへりにちょこんと座る助手を横目で睨んで
「可愛くないなぁ…さっきまであんなに可愛かったのに…」
などとぼやく。
「ナニよ。自業自得でしょ。ヒトの寝込みを襲っといてさ。」
「う…」
「あーあ。あたし、初めては夜景の見える高級ホテルとはいわないけど、せめて
ベッドだと思ってたんだけどな。」
じろりと真宵がにらみ返す。流石にそこを突っ込まれては返す言葉もない。
初めてである彼女にできる限り気を使ったつもりだが、所詮は寝込みを襲い、
ソファに押し倒した間男なのである。
「うっ…ご、ごめんなさい…。」
「しかも、すんごい痛いし。」
「うう…」
「おまけにトノサマンの再放送も見逃すし。」
「ううう…スミマセンでした。」
トノサマン、という単語を聞くと、成歩堂の中ではやはりまだ早かったのかな…
などという思いがよぎる。
だが、そんなことを考えている成歩堂の唇に、突然やわらかいものがぶつかってきた。
真宵がうなだれていた成歩堂の顔をあげ、キスをしたのだった。


「え…え?」
驚く成歩堂にえへへ、と笑って真宵はぺろりと唇を舐め取る。
「ジョーダンだよ。なるほどくんとエッチできたの、嬉しいもん。場所なんて
どこでもいーし、そんなの気にしないよ。」
(か…カワイイな…真宵ちゃん…)
その言葉に感動し、成歩堂は思わずぎゅっと細い肩を抱きしめる。彼女の為に
何かしてあげたい。愛情を持っている限り注ぎたいと成歩堂は改めて思った。
「じゃ…じゃあ、真宵ちゃん。今からホテル行こうか…。夜景は見えないけど、
綺麗な夕焼けは見えるよ。」
長い髪に半分隠れた耳元に、艶っぽく囁く。それくらい奮発してもいいだろう。
男として甲斐性のあるところも見せたいところだし。
だが、帰ってきた言葉は期待していたそれとは違っていた。
「なに言っちゃってんの、なるほどくん。腰ガタガタのくせに。」
「ぐぅぅっ!!そ…そうでした…。」
我ながら情けない。格好つけて低い声を出した分、一層情けない。
しょぼくれる成歩堂に真宵はもう一度、こんどは頬にキスをした。
「もー、そんな顔しないの。いつでもいいよ。ご飯と違ってあたしは
逃げないんだからさ。」
「ご飯は逃げるんじゃなくて、真宵ちゃんが食べちゃうんだろ…ぼくの分まで。」
的はずれな真宵の言葉に成歩堂は笑みをこぼし、そして彼女を見ながら思う。
確かに…焦ることはないんだ。
ゆっくりとぼくたちは恋人同士になっていくんだから。
真宵をもう一度抱きしめ、成歩堂は顔をあげた。
「あ…」
「ん?どしたの?なるほどくん。」
「真宵ちゃん、ごめん。」
「え?なになに?」
「僕しか見てないって言ったけど…真宵ちゃんのハダカ…他の奴にも見られてたよ。」
「うぇええ?うそうそ!ま、まさか向かいのホテル…」
焦る真宵に成歩堂はいやいや、と笑って彼女を窓側に振りむかせる。
「ほら、チャーリーくん。」
窓の傍には夕日になる前の西日を浴びたチャーリーくんが、
新しい恋人たちを見つめていた。


最終更新:2020年06月09日 17:18