「ぶはあぁぁぁっ」
御剣検事が盛大に、飲んでいた紅茶を噴出した。
「な、なんと言ったのだ、真宵くん!」
あたしは御剣検事に箱ごとティッシュを渡してあげた。
「だから。御剣検事って、どーいうエッチするんですか?」
「ぶはあぁぁぁっ」
御剣検事があてにならず、あたしはため息をついた。
「冥さんに聞いたんだけど、普通よ、としか教えてくれないし……」
これ以上噴出す紅茶もなくなったのか、御剣検事は成歩堂法律事務所のソファからずるずると滑り落ちそうになった。
「わ、私は普通なのか?それは誰と比べられているのだ?」とブツブツ言っている。
「御剣検事?」
「い、いや、あの、そのようなアレは、その。いったいまた、どうして」
あたしは、ほっぺたに人差し指を当てて考えた。
「うーん。なんかねー、最近なるほどくんが、ちょっと、なんていうのかな?…ヘンタイ?」
「ぶはあぁぁぁっ」
「声だけで噴出すの、やめてください」
「う、うむ。失礼した……」
「御剣検事も、女の子を縛りたいとか思います?」
「ぶは…、いや、なんだそれは!成歩堂はいったいその、そんな」
「目隠しとか、ロウソクとか、楽しいのかなあ」
「ぶ…!!!」
「御剣検事って、えむですか?えすですか?」

「フケツよ、成歩堂龍一!」
御剣検事が答える前に、いきなり罵声と共に、なるほどくんが事務所のドアから文字通り転がり込んできた。
「なるほどくん!」
ドアをふさぐように立ちはだかった狩魔検事が、なるほどくんを見下ろしていた。
「か、返してくれよ、狩魔検事。それは矢張から借りたんだよ、ぼくのじゃないんだ」
狩魔検事が、なるほどくんから取り上げたらしい紙袋を持っている。
「あら、あなたもここにいたの、御剣怜侍」
「う、うむ」
狩魔検事がスタスタと事務所の中に入ると、紙袋を逆さにしてテーブルの上にぶちまけた。
DVDが何枚かと、見たことのない黒や赤の小物が散らばる。
「わ、これ、なに?冥さん」
手に取ってみると、狩魔検事が冷静な声で説明した。
「これは拘束用の小道具のようね。こっちは鞭…、私が使うものよりずっと短くって安っぽいわ」
なるほどくんを見ると、御剣検事が立ち上がるのに手を貸して、小声で聞いていた。
「なにをしているのだ、君は」
「ううう、うっかり事務所の前で狩魔検事に会ってさ。いきなり紙袋を取られたんだよ」
「君の性癖に文句を言うつもりはないが……」
狩魔検事が、お尻に穴の開いた下着を広げている。
「ねえねえ、冥さん、このボールにベルトのついたようなの、なにに使うの?」
「それは、いわゆる専用の猿ぐつわね。風俗店の押収物で見たことがあるわ。
成歩堂はこれをどう使うつもりなのかしら」
「ううう、キチク……」
「ち、ちがうんだ真宵ちゃん!うわっ」
駆け寄ろうとして、狩魔検事の鞭で打たれたなるほどくんがしゃがみ込む。
「大丈夫か、成歩堂!」
御剣検事が鞭の届かない場所から声をかけた。
「その男の肩を持つの、御剣怜侍!見下げ果てた男ね」
「ご、誤解だ。私にそんな趣味がないことくらい、君がよくわかっているではないか」
あたしは、狩魔検事がバイブだといった複雑な形の棒のスイッチを入れて、そのうごめく様を見た。
「でもでも、もしかしてほんとは御剣検事も縛ったり叩いたりしたいと思ってるのかなあ。これって何に使うの?」
「なんですって、御剣怜侍!」
狩魔検事の鞭が、御剣検事の鼻先をかすめる。
「な、なにを言う!それは冤罪だ!不起訴だ!」
御剣検事の襟首を、狩魔検事がむんずとつかんだ。
「ゆっくり取調べをしてあげるわ。いらっしゃい、御剣怜侍」
引きずられるように御剣検事が拉致され、事務所のドアが閉じた。


「ま、真宵ちゃん・・・?」
そーっと手を伸ばして、証拠品を紙袋に戻そうとして、なるほどくんがあたしを呼んだ。
少し照れくさそうで、困った顔をしている。
「使ってみたいの?なるほどくん」
言葉に、怒っていないよ、という響きを持たせて、あたしはにっこりして見せた。
手元で、バイブがウニウニと動いていた。
「ううう、いや、なんていうかさ」
なるほどくんはソファに座ると、脚の間に手を入れてうつむいた。
「真宵ちゃん・・・、イッたことないよね?」
「え、ええっ?」
いきなり言われて、あたしはぱあっと自分のほっぺたが熱くなるのがわかった。
なるほどくんは、うつむいたままポツポツと言う。
「ボクがヘタなのかもしれないけど、やっぱり真宵ちゃんにも気持ちよくなって欲しいし。
どうしたらいいのかなって思ってたら、ちょうど矢張がこーゆーのもあるって」
急に恥ずかしくなって、バイブのスイッチを切った。
「そんなこと。あたし、き、気持ちいいよ?なるほどくんに、ぎゅうってしてもらっただけでも」
なるほどくんが思い切って言ってくれたのがわかるから、あたしも思い切って言う。
だって、ほんとになるほどくんが大きな手であたしの髪を撫でてくれたり、広い胸に抱きしめてくれたりしたら、
うっとりしちゃうんだもん。
「うーん。でもそういうのとイクのとは違うんだよ。ボクだって真宵ちゃんをぎゅってしたら気持ちいいけどさ」
そっか。
あたしなんかお姉ちゃんと違っておっぱい小さいけど、それでもなるほどくんは喜んでくれてるんだ・・・・・・。
ちょっと嬉しくなって、あたしはなるほどくんの隣に腰を下ろし、肩に頭を乗せた。
手には、持ったままのバイブ。
「なるほどくんはこんなふうに動かないよね?」
半透明のそれを見下ろして、なるほどくんは苦笑した。
「まあね」
大きな手が、あたしの髪を撫でる。
その暖かさが伝わってきて、とっても気持ちいい。。
「ねえ、真宵ちゃん・・・」
「ん?」
「・・・使ってみる?」
「え・・・?」
顔を上げると、あたしの両手首を片手でいっぺんにつかんで、反対の手で紙袋の中を探ってる。
柔らかい布で出来たベルトを取り出して、あたしの両手を束ね、アイマスクを顔にかけた。
「なるほどくん?」
それでなんにも見えなくなって、あたしはなるほどくんがいると思うあたりに顔を向けた。
「見えない、って、どう?」
ベルトで縛った手を頭の上に上げさせる。
すごく、恥ずかしい。
胸の辺りが涼しくなって、なにか柔らかくてあったかいものが押し付けられた。
「きゃわっ、び、びっくりした。なに?」
思わず言うと、ものすごく近い所でなるほどくんの声がした。
「ちゅってしたんだよ。どんな感じ?」
「ううん、なんか・・・変、きゃ」
ソファに押し倒される時も、後ろが見えない怖さからぎゅっとすがりついてしまう。
手首を縛っているせいで、装束は完全に脱げないから、肩にからまる。
次にどこになるほどくんの唇が押し当てられ、触れられるのかが全くわからない。
なるほどくんが、どんな顔でどこを見てなにをしようとしているのか、ぜんぜんわからない。
予測できない時に、体中のあちこちになるほどくんが触れる。
見られてる。
視線を感じるって、こういうことなんだ。
足首をつかまれて、広げられ、下着を下ろされるのがわかった。


「あん…」
なるほどくんは、どこにも触らない。
ただ、足首を握っている。
事務所の中は明るいはずだ。
そんなところで、両手を縛られて頭の上に上げ、足を開かれている自分の姿を想像すると、恥ずかしくてたまらない。
そして、きっとなるほどくんはあたしを見てる。
なにもしないで、ただ見てる。
急に、足の間が冷たくなって、あたしはびくんってなる。
「なに、今の?」
もう一度、冷たくなった。
なるほどくんの笑い声が、足元で聞こえる。
「びっくりした?息を吹きかけてみたんだ。真宵ちゃんの・・・ここに」
「きゃわわっ」
今度はあそこを触られた。
縦に何度もなぞってる。
ううん、気持ちいい。
いっつもなるほどくんが入ってくるところも、上のほうの一番敏感なところも。
そのまわりも、全部全部気持ちいい。
なるほどくんに、いじって欲しい。
「はん……っ」
腰がよじれちゃう。
なるほどくんの指が浅い所でくちゅくちゅしていると、ぶーんという音が聞こえてきた。
なに?
いきなり、おなかになにか堅いものが当たった。
それが、細かく振動してる。
「真宵ちゃん、これわかる?」
この音、さっきあたしが持ってた、あれだ。
「ううん…、なに?」
わかってたけど、聞いてみた。
なるほどくんはそれに答えず、バイブを動かした。
ずっと上に上がってきて、おっぱいに触る。
あん、そこは先っぽ。
ブルブルっていうのが、弱かったり強く押し付けられたり、ぐりぐり動かされたり。
なるほどくんに舐めてもらうのも気持ちいいけど、これはすっごい気持ちいい。
いつの間にか口が開いて、声が出ちゃう。
だんだん足の間がじんじんしてくる。
やだ、下も触ってほしい。
「な、なるほどくん……、あっ」
あったかいものが、おっぱいに触れた。
なるほどくんの手だ。
先っぽを、ちゅって吸ってる。
バイブは、わき腹からお尻にかけてをなぞってる。
ああん、気持ちいい。
なるほどくんは服を脱いだんだ。
肌がぴったりくっついてあったかい。
足になにかあったかくって堅いものが当たった。
なるほどくんが、大きくなってるんだ。
はあっ、もう全部気持ちいい。
ぶーん、という音を立てて、バイブが足の間に移動した。
「あっ…」
おっぱいを触られたまま、バイブがあそこをなぞってる。
ぎゅうって押し付けられると、脚が痙攣するみたいにビクビクした。
「ああっ、あああっ!やんっ、あっ!」
自分でもびっくりするくらいの声が出ちゃった。
だって、こんなの初めて。
しかも、その堅いのが入ってくる!
やだ、動いてる。
ぐりぐりされると、すごく気持ちいい場所があるってわかった。


「真宵ちゃん…、どう?」
「ん、あ…」
「ちょっと出し入れしてみようか」
ちゅぷちゅぷっていう音がした。
「あ、はあああんっ、あっ、あっ、あ、あああああ」
入れて、押し付けるようにすると中がすごく気持ちいい。
「気持ちいい?」
「う、んっ、あっ、すごい、すごく気持ちいいっ」
「気持ちいいトコ言って。こことか?」
「あ、あ、うううんっ、ああん」
「ゆっくり動かすから。どこがいい?」
ブルブルが動いて、もうどうにかなっちゃいそうなくらいだった。
あるところに当たると、お尻がぴょんって勝手にはねた。
「いやあああああっ!」
なにこれ?!
「ああっ、あ、あああああん、な、なんか、すごい、なるほどくうん!」
なるほどくんはそこにずーっとブルブルを押し付ける。
あたしはもう暴れるみたいに動いて逃げ出そうとしたけど、なるほどくんが押さえつけていて動けない。
中で動き回っているブルブルが、ポイントに当たったり外れたりしながら押し付けられる。
熱くて、どうしようもないくらいじれったい。
「いや、どうかしちゃう、助けて、なるほどくん、あ、あ、あ!!」
「すごいよ真宵ちゃん。どんどんあふれてくるし、ここなんか真っ赤にふくれて顔をだしてる」
「あああああああ!」
なるほどくんが、一番敏感な所をまわりからグルグルいじった。
もう、壊れちゃう。
目隠しの中で、涙が流れた。
体中、どこを触られてもしびれるみたいに気持ちいい!
「あ、ああ、うううううううんっ」
違う、なんか違うよ。
すっごくすっごく気持ちいいし、触られてるとこから湧き上がってくるみたいにぞくぞくするけど。
「やだ、やだよぉ、やめてやめてぇ!!」
あたしは大きな声を出した。
違うの、あたしはこんなブルブルなんかじゃなくって、こんな堅くて冷たいものじゃなくて。
「なるほどくん、なるほどくんがいいの!」
なるほどくんが欲しい。
ブルブルの振動が止まって、あたしの中に違うものが入ってくる。
「あああああああああっ」
身体が勝手にのけぞって、押さえつけられた脚が動いちゃう。
ゆっくり、入ってくる。ぴったり寄り添って、いっぱいになる。
ああ、やっぱりなるほどくんがいい。なるほどくんのが、一番いいよお。
「うう、真宵ちゃん、ヌルヌルで気持ちいい」
「あ、あたしも・・・」
なるほどくんが動くたびに、中がすごくしびれるみたいになる。
中の気持ちいいところと、なるほどくんの動きがぴったり合ってる。
あたしはもう声も出ないくらいで、この手が自由になれば力いっぱいなるほどくんを抱きしめたいのに。
「ん、はっ、…ん、ん、んっ」
なるほどくんが、動きを早くする。
「いいよ、すごくかわいい顔してる。目隠しで半分見えないのが、残念だけど」
熱い息遣いで、なるほどくんが言う。
そうだ。
あたしは目隠しされて、なんにも見えないけど、なるほどくんには全部見えてる。
手を縛られて、目隠しされて、脚だけ開いてるあたしを。
おっぱいにちゅってされたり、あそこにバイブをブルブルされて気持ちよくなってるとこ、全部。
ああ、どうしよう。


「うんっ」
あそこになにかが触って、動かされた。ああん。
なるほどくんが、中に出し入れしながら敏感なとこも指で触ってるんだ。
気持ちいいところが二ヶ所になって、たまらなくなる。
「あ、ああん、あああっ」
じゅぷじゅぷ、っていやらしい音がした。
なるほどくんが見てる。
あたしを、全部、見てる。
「あんっ」
なにかが、あそこから湧き上がってくる。
「あ、あ、なるほどくん、なるほどくん!」
「はあ。はあ。真宵ちゃん、イキそう?」
「え、なに、あっ、あっ、これ、これが?ああっ」
「いいよ、イっていいよ、イって!」
「あ、あ、あ、あ」
そこ、そこがちょうど気持ちいい。そこをずっとして欲しい。
なるほどくんが動くと、そこが擦られて頭が真っ白になった。
「あああああああああああああっ!!」

あとは、なんにも覚えていない。
気がついたら、手を縛っていたベルトも目隠しも外されて、大きなバスタオルでくるまれていた。
「目、覚めた?」
なるほどくんが、ちょっと照れくさそうに暖かい紅茶のカップを差し出してくれる。
「ちょっと、やりすぎちゃったかな?大丈夫?」
「う、うん」
カップを受け取って、あたしはちょっと目をそらした。
は、恥ずかしすぎる。
あたし、どんな風に見えたんだろう。
「その、とっても可愛かった、よ。真宵ちゃん」
ううう。
なるほどくんは、あたしの隣に座って、耳元でささやいた。
「イった?」
首まで真っ赤になるのが自分でわかる。
あれが、そうなのかな。
だとしたら、初めてだけど。
「あんなの毎回だったら、あたしどうにかなっちゃうよ」
なるほどくんが、嬉しそうに笑った。
ぷいっと顔を背けると、目の前にあの紙袋がある。
なにか、チューブのようなものが転がりだしていた。
手に取ると、ローションって書いてあった。
「ああ、それね。さすがに事務所で使うと、後始末が大変だから……」
ふーん、コレを体につけてヌルヌルして遊ぶんだ。
あたしは、ふふふっとほくそ笑んだ。
「ねえ、これをなるほどくんの大事なトコにつけてヌルヌルしたら、どうなっちゃうの?」
「え・・・・・・、いや、それは」
「ちゃんとその前に、手を縛って、目隠しして」
「ま、真宵ちゃん?」
あたしはチューブを持ったまま、なるほどくんを見てにっこりした。
「アパートに、行こっか?」

なるほどくんが後ずさりするのが、楽しかった。


続き(ミツメイ)

最終更新:2020年06月09日 17:29