夜も更け、日付が変わろうとしている時刻。
就寝前にベッドの上で読書をしていた御剣の部屋のドアを静かにノックする音
が聞こえる。
こんな時間に誰かと思っていると、部屋の外から小さな声がした。

「レイジ……起きてる?」
「メイ?」

ドアを開けるとパジャマ姿の冥が立っていた。

「どうしたのだ?このような時間に」
「あの……ね……」

冥は俯いたまま言いづらそうにもじもじするばかりで、なかなか用件を言おう
としない。
いつまでも薄着で廊下に立っていては冷えるだろうと思い、御剣は冥を部屋の
中へと引き入れた。

「それで、一体どうしたのだ?私も早く眠りたいので早く用件を言ってもらい
たいのだが」
「……あの……私……」

いつも生意気なくらい強気で物事をハッキリ言う冥だが、何故か今は言葉が詰
まって出てこない様子だった。
そんな冥の様子を見て、御剣はある事に思い当たる。

「もしや怖い夢でも見たのか?」
「えっ?」
「以前も一度、そう言って私の部屋訪ねてきただろう。怖い夢を見て一人で寝
るのが怖いから一緒に寝てほしいと」

少しからかうようにニヤリと笑う御剣に、冥は顔を赤くして反論した。

「ち、違うわ!私もう12歳よ?そんな歳じゃないわよ!」

確かに以前、冥は一人で眠るのが怖いと言って御剣の部屋に泊まった事があっ
た。
しかし、それは冥がもっと幼かった頃の話だ。

「ほう、しかし前回も君がなかなか素直に認めなかったために寝るのが遅くな
ってしまった。今回もそうなら早く素直に言ってもらいたいのだが」
「違うって言ってるでしょ!」
「照れる事などない。君はまだ子供なのだから。今夜はこの部屋に泊まっても
構わないぞ」
「子供……?」

ふと、冥の顔色が変わった。
俯いたまま、思いつめた表情で黙ってしまう。

「メイ?どうした?」
「……あなたから見て、全く躊躇わずに部屋に泊めてしまうくらい私は子供な
の……?」
「メイ?何を言っているのだ?」

19歳の御剣から見て12歳の冥は子供だ。
日頃から御剣はたびたび冥を子供扱いする事があったが、プライドが高く、背
伸びしたい年頃でもある冥は、そのたびに子供扱いするなと怒っていた。
そんな彼女の様子を可愛く思い、わざと子供扱いしてからかう事もあったが、
今日の冥は様子がおかしい。

「私ね……数日前に、その……初めてアレがきてしまったの……」
「アレ……?」

御剣はしばらく意味がわからず数秒間悩んでいたが、頬を赤らめ恥ずかしそう
にしている冥の様子を見て、何の事か思い当たり、顔を真っ赤にした。

「そ、そ、そうなのか」
「だから私、あなたが思ってるほど子供じゃないわ。……今夜ここへ来た理由
だって……私をもっと大人にしてほしくて来たの」
「ム?」

冥はしばらく言葉に詰まったあと、真っ赤な顔で意を決したように口を開いた


「私を……私を抱いてほしいの……!」

御剣は一瞬何を言われたのか理解できなかった。
辺りを静寂が包む。
しかし、それは我に返った御剣の大声によって掻き消された。

「な、な、何イィィィィィィィィィッ!!!??なななな何を言っているのだ
!?メイ!?」

妹のように思っていた少女からの爆弾発言に、普段は冷静な御剣もパニックに
なっていた。
からかわれているのかとも思ったが、彼女は冗談でこんな事を言うようなタイ
プではない。

――と、とりあえず冷静にならなくては……。

御剣は混乱する思考をなんとか落ち着かせ、優しく冥に語りかけた。

「メ、メイ。どうしてそんな事を?」
「…………」

冥は赤面して俯いたまま何も答えない。

「メイ。その事への関心が強くなる年齢だというのはわかる。しかし、そうい
う事を軽々しく言うのは良くないぞ?」
「か、軽々しくなんかじゃないわ!私はもうあなたに子供として見られるのは
嫌なの!」
「大人ぶりたい気持ちはわかるが、大人になるというのはそういう事ではない
だろう」

御剣はあくまでも冷静を装って冥を宥めようとするが、冥は目に涙を溜めなが
ら激しく首を横に振った。

「違う!違うの!……私、あなたが好きなの……!!だから私を子供じゃなく
一人の女性として見てほしいの!!」
「なっ……!?」

女に想いを打ち明けられたのは初めてではない。
しかし、数年間兄妹のように育ってきた7歳も年下の少女からの愛の告白に、
御剣は動揺を隠せなかった。
ましてや彼女は普段から御剣をライバル視し、生意気な態度ばかりで、そのよ
うな感情を見せる素振りなどなかったはず。

御剣が言葉を失っていると、冥は泣きながら彼に抱きついてきた。

「レイジ……好き……」

涙で潤んだ瞳で見上げられ、御剣は不覚にもドキリとしてしまった。
今まで妹のように思い、異性として見た事などなかったが、自分に想いを寄せ
ていると知ると何だか意識してしまう。

――い、いかん!これではロリコンではないか!

「メ、メイ。気持ちは嬉しいのだが、やはり君とは……」

その瞬間、冥が顔を上げたかと思うと、御剣の唇に何か柔らかいものが触れた


「――!!?」

それは冥の唇だった。
御剣は突然の出来事に再び混乱する。
固まったまま動けない御剣にしばらく口付けを続けたあと、冥は自らのパジャ
マのボタンをおもむろに外し始めた。

「!?メイ!!何をしている!?」

我に返った御剣は慌てて止めようとするが、冥は制止を振り払い、ボタンを外
す手を止めない。

――なんということだ……!

冥の大胆な行動に御剣は驚きを隠せない。
まさか初めてではないのかと思ったが、よく見ると彼女の全身は小刻みに震え
、ボタンを外す指も上手く動かせない様子だった。
12歳の少女にここまでさせてしまうほど自分は彼女を思いつめさせてしまった
のか。
御剣は冥の気持ちに気付いてやれず、子供扱いしてからかっていた事を深く後
悔した。

「!!」

ボタンを外し終えた冥が静かに上着を脱ぎ、下着を身に着けていない上半身が
露わになる。
そして、すぐにズボンにも手をかけ、下着ごと下ろした。
その光景に御剣は息を呑む。
発育途中の乳房はまだまだ小さいがふっくらとしており、その先端は桜色に色
付いていた。
そして、下半身に目をやると、淡い色をした毛が薄っすらと秘部を包み込んで
いる。
大人とはいえないが子供ともいえない裸体に御剣は目が離せなくなってしまっ
た。

「レイジ……」

呆然としている御剣に冥はゆっくりと近付き、再び抱きついた。
その姿は少女とは思えないほど妖艶に映り、御剣は自分の中に欲望が込み上げ
るのを感じた。

「レイジ……お願い……」

頬を赤く染め、涙を浮かべながら見上げてくる表情。
服越しに伝わる柔らかい感触。
19歳の青年の理性を崩すには充分な状況だった。

「メイ……本当にいいのか……?」

冥は無言で頷く。

「メイ……」

御剣はそっと冥の髪をかきあげると、ゆっくりとキスをした。
おそるおそる舌を挿し入れ、冥の舌に絡ませる。
そのまま深い口付けを繰り返したあと、静かにベッドへと座らせた。

こういう行為に慣れていない御剣は、本当ならば欲望に任せて強引に事を進め
たかったが僅かに残った理性で踏みとどまり、冥を怖がらせないように優しく
キスを続けた。

「……触れるぞ」

116 :ミツメイ 5[sage] :2008/12/02(火) 17:50:08 ID:WdLqzy9q
ベッドに寝かせ、首筋に口付けながら、柔らかな膨らみをいたわるように撫で
ると、くすぐったいのか冥の体がピクリと跳ねる。
そのまましばらく感触を楽しんでいると、先端が硬くなっていくのを手のひら
に感じた。
ふと、冥の顔を見ると、困惑しながらも頬を赤らめ、少し恍惚とした表情を浮
かべており、僅かに開かれた唇から漏れる吐息は徐々に乱れていく。
幼さの残る顔立ちとは不釣り合いなその表情に、御剣は更に欲望を高ぶらせ、
先程よりも激しく口付けた。

「んっ……」
「メイ……かわいいぞ」

首筋、鎖骨、胸元と、唇が徐々に下へと降りていく。

「あっ……!」

桜色の小さな乳首に唇が触れたとき、冥は声をあげビクッと震えた。
それに構わず御剣は舌で乳首を刺激しはじめる。

「んんっ……」

僅かに冥の声が漏れる。
舐めるだけでは足らなくなった御剣は、音を立て何度も吸い上げた。

「ゃんっ……レイジぃ……っ」

冥の声が少し大きくなり、御剣の興奮は一層高まる。
唇で片方の乳首を貪り、もう片方の乳首も指で刺激し続ける。
しばらくそうして楽しんだあと、すべすべした肌の感触を味わいながら手をゆ
っくりと下へずらしていった。
やがて薄い茂みに辿り着くと、そこは既に驚くほど濡れていた。

「メイ、そんなに気持ちいいのか」
「…………」

冥は赤くなった顔を背ける。
そんな彼女を微笑ましく思い、指を動かすとクチュリと水音がした。

「きゃっ……!」

クチュクチュと音を立てながら指を動かすたびに冥は体を震わせ、必死に快楽
に耐えている様子だった。
そんな彼女が無性に愛しくなり、更に指の動きを加速させる。
愛液でドロドロになった指を一本、膣内に進入させると、冥の体が跳ねた。

「痛いか?」

心配そうに御剣が聞くと、冥はプルプルと首を横に振った。
――相変わらず強がりな娘だ。
痛くないようにじっくりとその部分を指で慣らしていく。

「ぁあんっ、レイジ……!」

耳や首筋を舐めあげながら、ぷっくりとした花芯をいじったり指を出し入れす
るたびに冥の息が荒くなっていく。

「ひゃっ……!レイジ……っ、んぅっ……なんか……おかしくなっちゃ……!
もうダメぇっ……!」

涙を流し、首を振る冥。
花芯を強くすりあげた瞬間、冥の全身がビクンと跳ね、その後フッと力が抜け
た。

「もう絶頂を迎えたのか」

予想以上に敏感な体らしい。
冥は何が起こったのかわからない様子で、ぼうっと恍惚の表情を浮かべている。

「私も限界が近いようだ。……挿れてもいいか?」
「え……?」

冥は御剣の大きく反り上がった肉棒を見て目を丸くした。

「そ、それを挿れるの……?」

明らかに怯えた様子の冥を見て、御剣は心配げに尋ねる。

「怖いか?」

しかし、冥は首を横に振る。

「無理しなくていいのだぞ。君が嫌ならこれ以上は何もしない」

本当はもう我慢できそうもなかったが、無理をさせるわけにはいかない。

「……平気よ。私、レイジになら何をされてもいい……」
「メイ……」

もう我慢の限界だった。
冥の上に覆い被さり、肉棒を入り口に当てた。

「いくぞ……!」
「……!」

膣内に挿し入れた途端、冥の顔に苦痛の表情が浮かぶ。
やはりかなり狭い。
御剣は無理矢理押し込めたい欲望を必死で抑え、ゆっくりと中へ埋めていく。

「……っ!レイジぃ……っ!」

顔を歪ませ、手でシーツを握り締めて耐える冥をいたわるように、御剣は彼女
の顔中に何度もキスを落とした。

ようやく全て入れ終えると、今度は腰を動かし始める。

「うぅ……」
「すまない……辛いだろうが耐えてくれ。すぐ終わらせる」

冥は苦痛に顔を歪めながらも、コクリと頷いた。

「はぁはぁ……っ、メイ……メイ……っ!」

グチュグチュと音を立てながら出し入れするうちに、御剣は快楽に支配され、
息を荒げていく。
一方、冥も苦痛とは違う別の表情が顔に浮かびはじめていた。
打ちつける腰の動きもどんどん激しさを増し、御剣は自分の限界が近い事を悟
った。

「メイ……!もう……!」
「ん……レイジぃ……!」

絶頂を迎える瞬間、御剣は己を引き抜き、冥の腹部の上に精を放った。



「はぁはぁ……」

薄暗い部屋の中で二人の男女の荒い息だけが響く。
しばらくして、御剣がポツリと呟いた。

「メイ……すまない」
「え……」
「私はとんでもない事をしてしまった」
「何言ってるの?これは私から望んだ事なのよ。レイジは何も悪くないわ」

しかし、御剣は思いつめた表情のまま何も言わない。

「レイジ……」

室内に重い沈黙が流れる。
重苦しい空気に耐えられなくなった冥は、ベッドから這い出ると床に散らばっ
た服を身につけた。
そして、部屋を出て行く際、小さな声で一言呟く。

「ごめんなさい……」


それからはお互い顔を合わせるのも気まずく、会話をする事も少なくなった。
冥のほうから話しかけても御剣からは素っ気ない一言しか返ってこない。
きっと自分は御剣に嫌われたのだと思い、冥は己の行いを後悔した。
そのうち一年が過ぎ、冥はアメリカ、御剣は日本で検事の職につく事になり、
御剣は日本に帰国した。

そして、数年後――

久々に再会した二人は時の流れのおかげか、何事もなかったかのように振るま
うことが出来るようになり、兄妹のような関係に戻っていた。
しかし、勿論あの日の出来事を忘れたわけではない。
そして、冥は今でも御剣が好きだった。
あんな事をして、彼に嫌われたのではないかと、ずっと悔やんでいたが、表面
上はお互いにあの出来事を忘れたかのように振るまっている。
今更謝っても再び気まずくなるだけではないかと思い、何も言えずにいた。


そんなある日、冥は御剣に誘われ、二人っきりで買い物に出掛ける事になった

二人で出掛けるのは数年ぶりで、冥は妙に緊張してしまう。
ドキドキしながら待ち合わせ場所に立っていると、待ち合わせ時間キッチリに
御剣がやって来た。

「すまない。待ったか?」
「いいえ。じゃあ行きましょうか」

御剣と冥は二人っきりの時間を楽しんだ。
お互いに、あれがいい、これがいい、と言い合いながら買い物をしたり、一緒
に映画を見たり食事もした。
こんなに穏やかな時間を二人で過ごすのは久しぶりだった。
まるでデートみたいだと、冥は嬉しくなる。

「そろそろ帰ろうか」

一通り楽しみ、辺りが薄暗くなってきた頃、二人は帰路につく事にした。
この楽しい一時が終わってしまうのだと思うと、冥は悲しくなった。

「そういえば、もうすぐアメリカに帰るのか?」
「ええ。三日後に日本を発つつもりよ」
「そうか……」

アメリカに行ったらまたしばらく会えなくなる。
このままずっと彼のそばに居れたらいいのに。
そう思ったが、それは叶わぬ願いだろう。

「ここまででいいわ。送ってくれてありがとう」

車で冥の家まで送り、いよいよ別れの時間かと思ったが、御剣の様子が少々お
かしい。
何か思いつめたように黙っている。

「レイジ?どうしたの?」
「……メイ。あの日の夜を覚えているか?」
「!!」

すぐに何の事かわかった。
忘れたくても忘れられない出来事。
何故その事を今になって言い出すのか。
冥には御剣の真意がわからなかった。

「覚えてるわ……」
「そうか……」
「ご、ごめんなさい。あの時の私は子供だったとはいえ、とんでもない事を…
…。本当にごめんなさい!」

冥はきっと御剣が怒っているのだと思った。
普段は人に頭を下げる事などない冥だが、この時ばかりは必死に謝った。
再び二人の関係が壊れてしまうのは嫌だから。

「……謝るのはこちらのほうだ」
「え……」
「君を中途半端な気持ちのまま抱いてしまい、ずっと君の気持ちにこたえられ
ずに避けてきた」
「レイジ……」

悪いのは彼を無理矢理誘った自分のほうだ。
なのに彼をずっと悩ませていたのだと知り、冥は再び己の行動を悔いた。

「だが、今なら言える。……君が好きだ。あの日からずっと……」
「……え……!?」

御剣からの思いもよらない言葉に、冥は自分の耳を疑った。

「ずっと後悔していた。欲望に任せ、妹のような君を抱いてしまった事を。忘
れようとも思ったが、日に日に君の存在が大きくなっていくばかりだった……
。そして気付いたのだ。君を愛してしまった事を」

――信じられない……。
何年も想い続けた男からの愛の告白に冥は言葉を発する事が出来ず、ただ呆然
と立ち尽くしていた。

「今更こんな事を言っても、君の気持ちはもう既に私から離れてしまっている
いるだろう。だが、どうしても伝えたかったのだ」
「……バカはバカゆえにバカげた発言をするものね」

冥は涙を浮かべ、そっと御剣の胸に寄り添う。

「……私も……あなたのことが好きよ。昔からずっと……」
「メイ……」

御剣は静かに微笑みを浮かべると、優しく冥を抱き締めた。



その日の夜、二人は数年ぶりに結ばれた。
今度は恋人同士として。

最終更新:2020年06月09日 17:21