巌徒とちなみで真宵を凌辱


ここまでの流れに触発されて投下。
ちなみが現世にいる理由とか局長がシャバにいる理由とかはスルーの方向で。

*****

室内に、涙混じりの掠れた悲鳴が響いている。声が途切れ途切れでしかも泣きじゃくる
少女の年齢からすると疑問に思うほど濁っているのは、ひとつには散々酷使した喉がとう
に潰れていたからで、もうひとつには犯される身体に大きな声を出すだけの体力が残って
いないからだった。
少女は犯されていた。
揺すぶられる度ぎしぎし鳴る安物のベッドの上で、身ひとつで男に跨り、そそり立つ
剛直を未成熟な性器で咥えこむことを強要されていた。「う、えっ、ひっ、ぐ」ベッドが
軋む。後ろ手に拘束された手首が軋む。割り開かれ、黒の革手袋を嵌めた男の手に押さえ
つけられる、華奢な太腿の間。薄い茂みの奥。信じ難いほど、また痛々しく拡がりきった
“孔”が。男性器をナカにかろうじて呑み込んだ場所が、肉と粘膜とを擦らせ軋む。僅か
ばかりの慈悲に、もしくは挿入時の抵抗を緩和する目的で垂らされた潤滑液も、少女と男
の体格差では大して機能しているとは見えなかった。オーバーサイズの質量に、骨自体が
軋んでいるのではと思わせるほどの有様だ。
くす、と。凌辱の場には不釣り合いな笑い声がする。
ベッドが軋む。ごく小さな、体重の軽い人間がそっと乗った時の音。
少女の真っ赤になった目が大きく見開かれる。ぱくぱくと開閉する口からひゅうひゅう
息が洩れる。黒い瞳に苦痛とは別の色が表れる──恐怖、と、「ふふ、」──快楽。
小柄な少女に華奢な腕が絡みつく。
白い手。
冷たい指がじっとり汗を滲ませる乳房を這い、小ぶりなそれを下からすくいあげる仕草
で愛撫する。少女は動けない。長い黒髪を貼りつかせた首筋へ、冷たい吐息がかかる。
反射的に身体が跳ねる。上半身は思い通りに。下半身は、「い──ぎっ!」押さえつけ
られた下半身は、ナカの違う場所を抉らせ、新しい痛みと圧迫感を少女に与えた。
くすくすと。柔らかな笑い声が、耳元を這う。甘噛みされる耳朶からの感触に、硬く
しこった乳首への刺激に、少女はその度反応し、その都度ナカを削られ喘ぐ。
「すごいですわね」
指が。乳房を離れ、肉付きの薄い腹を辿り、
「ココ。ほら、こんなに拡がっておしまいですわよ」
「ひゃ、ひゃめてええっ!」
ひくひく痙攣する花芯を挟んで愛撫した時が、最も反応が激しかった。
膣も収縮し、咥えこんだ肉に押し返され激痛を与えられたはずだが、執拗に蠢く指から
の鋭い刺激が痛覚を灼き、「あ、ぎ、あ、」少女の脳は痛いのと気持ち好いのと気持ち好
過ぎて痛いのと痛いのにキモチイイのとを仕分け出来ずに、
「あ、あ、」
結果。
「ああああああッ!」
潰れた喉から搾り出すような泣き声を上げ、絶頂を迎えた。
ひくつく身体が背後からやわらかく抱きとめられる。熱のこもる少女には、触れる肌は
ぞっとするほど冷たい。
笑い声──嘲笑。
少女は絡む腕から逃れようと身をよじらせ、「ひぐうっ?!」絶頂を迎えたばかりで
敏感になった場所を突き上げられ仰け反る。奥を抉る、ごりごりという不吉な感触も。
緩み、より深くまで受け入れるようになった自分の身体も、少女を怯えさせるには充分
だったが。何より恐ろしいのは、
「ひ──あ、は──あ──」
それが、痛みか快楽か、区別がつかなくなりつつあることだ。

少女の変化に、後ろから抱きつく女はくすくす笑う。
華奢で愛らしい容貌の、少女よりは幾らか年嵩の女だ。透けるように白い肌といかにも
触り心地のよさそうな茶色の髪が、淡い照明に輝いている。見た目だけなら絵画の天使か
妖精か、といった風情の女。
「最初はあんなに痛がっていらしたのに、だいぶ慣れましたわね?」
妖精、がより近いかもしれない。
無邪気に、残酷に、人間を傷つけ貶める、ニンゲンとは別の理論で動くモノ。
「ねえ、綾里真宵」
女はじわりと小さな背中にもたれかかる。後ろから押され、結合が深くなる。少女が
喘ぎ、女は笑い、
「……で。盛り上がってるトコロ、ワルいんだけど」
半ば蚊帳の外に置かれていた男は、呆れたように声を掛けた。狭い場所を割く剛直は
全く萎える気配を見せていない。
「もう、動くよ。ソロソロ飽きてきちゃったし」
男の言葉に、少女が、ひ、と微かな悲鳴を洩らし、背後の女は微笑んで、
「お待たせしましたわ、おじさま。お手伝いしますわね」
「手伝い。ねえ」
「ふふ──お楽しみなさってくださいね」
がたがた震える少女の身体を、白い手が撫ぜる。「綾里真宵。アンタもね?」
「い──」
拒否、だったのだろう。おそらくは。声は意味を成す前に絶叫へ変わる。声量が足りず
とも、途中で呼吸も出来ずに切れたとしても、それは確かに悲鳴だった。
女が笑う。嬉しげに、楽しげに。
手にするディルドーがみちみち音を立て少女の後孔を押し広げてゆくさまを、哂う。
「あら、足りないかしら? おじさまのより、小さいものね」
一人を受け入れるにも小さすぎる身体に二本目を捻じ入れる。少女はもう痛いだの痛く
ないだのを感じる余裕もないのだろう、白目を剥いて喘いでいる。意識があるのがいっそ
不思議だった。
前の孔を貫く男が、イヤそうに眉をしかめる。
後ろから圧迫せずとも締まりは充分、なのに余計な手を加えられた上、跨る少女の顔が
些か見目良くないことに──自分の手でその状態にしたのならともかく、だ──なって
いるのだ。無理もあるまい。
女は愛らしく、機嫌をとるように小首を傾げ。白い繊手を今度は少女と男の結合部へと
這わせた。繊細な指先が、ぬるりと熱い粘液を絡め取る。ぎちぎちに咥えこんで余裕の
ないソコを一通り愛撫し、剛直の付け根、陰嚢と、ほどよくぬめった指で撫でる。奉仕に
男は表情を緩め、
「ちなみちゃん。上手いね」
「ふふ。おじさまも、お素敵ですわよ」
前後から貫かれる少女を間に、二人は視線を合わせ。微笑み。
この下らない遣り取りの空疎さを互いに嘲笑う。
ぎしぎしとベッドが軋む。激しく突き上げられて、少女の小柄な身体も軋む。汗まみれ
の華奢な背中が、女の眼前で歪んで軋む。
男が少女の腰を抱え固定したのをいいことに、女は後孔と結合部を責める作業に没頭
する。男の動きに極力合わせ、ディルドーを奥へと送り込む。前半は主に女が楽しんだ。
ここからの“お楽しみ”は譲ってやっても良いだろう。
耳に心地好い軋みと悲鳴を聞きながら、女は微笑む。
悲鳴に狂ったような甘さが混じり始めるのを、手にとろつく体液がぼたぼた垂れてくる
のを。忌々しい女の妹が、狂うのを。彼女は愉しみ。
「分かってるわよね」
よがる耳元で、囁く。

「気絶なんかしたら──大事なお姉さまが、アンタに霊媒されて、今度は、大好きな姉が
アンタの代わりに犯されるわよ」
外側を愛撫する指先に射精の気配を感じ、ディルドーを、引き、硬直する身体へ勢い
よく突き入れる。
「ひ」
二箇所の最奥を抉られた綾里真宵が「い──ぐ、あああッ!」涎を垂らし仰け反り、中
に精を注がれるのを見。
──少女でも男でも女でもない。第四の人物の絶叫を、聴覚でない聴覚で聞き。
ちなみは弾けるように哄笑した。

この部屋も引き払い時だ。そう言った男の言葉に、ちなみは素直に従う。元警察関係者
の男の行動は的確で、血眼になって真宵と現在ちなみの依り代となっている綾里春美を
探しているであろう連中を出し抜き続けている。曰く「ボクは犯罪のシロウトだけど。
犯罪捜査はプロだからね。ドコを見て、ドコを見ないか、分かるんだよ」だそうだ。
ちなみには興味のない話だった。
ちなみには、男が巌徒海慈という名の犯罪者であることも、男のそれまでの経歴も、
どうでもよいことだった。
重要なのは、彼とちなみには共通の復讐相手がいて、協力すると都合が良いこと。それ
だけだ。
巌徒から車のキーを受け取り、「それじゃ。次の部屋。手筈通りに」頷く。
「ナルホドちゃん、連れてきてあげてよ」
「ええ、お任せくださいませ」
ぎらつく巌徒の目を見ながら、“リュウちゃん”は一体何をやらかしてこの厄介な男の
恨みを買ったのだろう、と、ふと考える。そしてどうでもいいことだったので考えるのを
止めた。
重要なのは、互いの復讐に、互いが役に立つこと。それだけだ。
出立の前、ちなみは優雅な足取りでベッドに近づく。虚ろな、しかし意識を保ったまま
の真宵の頬に触れ、囁く。
「今から成歩堂龍一をお連れしてきますわね」
「……なるほど、くん……」
虚ろに名を繰り返す、真宵の視線は虚空を彷徨う。
「きっとあなたにお会いたがっているでしょうから、お喜びになりますわよ」
「なるほどくん」
「でも、少しお可哀そう。……ほら、おじさまと比べると、大抵の殿方はお自信を喪失
してしまわれるでしょう?」
笑みに嘲弄を含ませ、目線で、汚れたまま閉じきらない場所を弄る。
ぼろぼろと。大きな瞳から、涙が零れる。血の気のない唇から壊れたように同じ名前が
何度も零れる。
ちなみは満足げに髪をかきあげ、踵を返し、巌徒へと微笑んだ。
「いってまいりますわね、おじさま」
「いってらっしゃい。頑張って。ね」
この男は早晩ちなみを裏切るだろう。そうでなければ、ちなみが巌徒を切り捨てる。
何時までもは逃げられない。この復讐にはタイムリミットが存在する。そのリミットを
少しでも長引かせるためならば。復讐を少しでも確実に行うためならば、ちなみも巌徒も
互いを躊躇いなく捨てる。アトは、どちらが先かという問題だけだ。

どちらにせよ。この復讐に、ちなみは敗北する。
真宵も春美も成歩堂龍一も──こちらは巌徒次第だが──生きて、元の生活に戻る。
ちなみも戻る。十三階段の先を、法廷での魂を切り裂く苦痛を。“死”を、再度迎え、
冷たく暗い世界へ戻る。
(そう。アタシは戻る)
春美の身体を、霊力を使い、ちなみは感じる。復讐の相手の存在を。その絶望を。
(戻って──壊れて生き続けるアンタの大事な人間を、見るのよ)
「綾里千尋。アンタと一緒に。アンタと同じ場所で、ね」

 

 

続き

最終更新:2020年05月23日 17:49