ユガココ前提のひとりあそびネタ2。



 最近、自分の身体にヘンなコトが起こる。

 それなりの深夜。そろそろ眠ろうかという時間帯に異変を感じる。
今日はシャワーを浴びてパジャマに着替え、ベッドの上で読書をしている時にそれが起こった。
 股間を、誰かに触られている感じがする。
 もちろん、そんなことがあるはずはない。この部屋はワンルームで、心音が一人で暮らしている。
未だ付き合っている彼氏も入ったことのない、男っ気のない部屋だ。
自分しかいないし、まして自分で陰部を弄っているわけでもない。
 それなのに、なにかが自分の性器に触れている感触がするのだ。
「なんでなんだろ……」
 数日前からはじまった奇怪な現象は、けれどコトがコトだけに誰にも相談できずにいた。
 付き合っているはずの、夕神にさえも。
 彼は真面目で、真面目過ぎて、まだキスしかしていないような間柄なのだ。
決して自分に劣情を感じていないわけでないことは、ココロの『音』を聴けばわかる。
それなのに自分を律しているのは、母への遠慮に他ならない。
ならば、彼の顔を立てるのが良き妻の姿ではないか。心音はそう思っている。妻。妻。
 そういう間柄だからこそ、あけすけにこういった妙な現象を相談できなかった。
 誰かが、自分の性器に触れているかもしれない、なんて。
 大体、触れているわけもないのだ。ということは、やはり自分の感覚が狂っているのだろう。
「夕神さんとエッチしたくて、頭ヘンになっちゃったのかな……」

 それが一番、妥当なような気がした。
 そう、彼だって我慢しているかもしれないが、自分だって我慢している。
彼はヘンに頭の硬いひとだから意識していないかもしれないが、女の子にだって性欲はあるのだ。
好きな男性に触れてもらいたい。
 今日の謎の接触は、やや性急だった。少しクリトリスを弄ったと思ったら、もう太い棒、指のようなものが膣内に侵入してくる。
内側をくすぐってくる感触がして、背筋にぞぞぞと刺激が走った。
「やぁん!」
 思わず声が出て、拒否するために股間を抑える。もちろん、そこにはなにもないので侵入してくる刺激が止むわけもない。
勝手に犯される感覚に翻弄されて、恐怖に身体が強張る。
 本当は、もっとパニックになってもいいはずだった。初日は意味もわからずいやらしい接触に襲われて、泣きながら喘いでいた。
怖くて怖くてたまらなかった。怯えながら最後まで達してしまったこともショックだった。
 けれどほとんど決まった時間、毎日起こるとなれば、わずかだが慣れも出てくる。
加えて、刺激はいつも優しかった。丁寧と言って良く、なんだかこちらを気持ちよくさせようという意図まで感じた。
 穏やかな刺激で毎夜確実に自分の好みを探ってくる感覚。警戒が薄くなっていくのも自然なことだろう。
心音の身体も理性も、この謎の快楽を受け入れつつあった。
 侵入していくる物体はいつの間にか太さを変えて、指のようなものが2本、内側をバラバラに動いて肉壁を優しくこすってくる。
その愛撫に腰からぞわぞわとした感覚が這い上がって、胸の中に熱が溜まっていった。
 息が苦しい。早くなんとかしてほしくて、きゅっと膣を締め付ける。
すると、指のようななにかが激しく抜き差しをはじめて、パジャマの中でぐちゃ、ぬちゃと粘液が跳ねる激しい音がした。

「あ! あ! あぁん!」
 強い快楽に手近にあった枕を抱きしめてベッドに倒れこむ。
必死で股間を閉じて耐えようとするのに、実態のない挿入はますます深くなるのが奇妙だった。
 しばらくそうやって刺激に耐えていると、ふいに指のようなものが抜かれた。
抜かれた後、自分の膣口からごぽりと愛液が零れる感覚がして恥ずかしい。
それは妄想でも幻覚でもなく、間違いなく自分が垂れ流したものなのだ。
 指の圧迫が終わったと同時に、生暖かい物体が突き入れられた。
「! や、なにこれぇ……!」
 ぐねぐねとした温い軟体は膣内に侵入したと同時に、内側を舐めるように這っていく。
その未知の感覚にまた身体が強張った。と、同時にクリトリスも摘まれる。
「あ、あーーーーー!」
 軟体を膣内に挿入され、陰核を捻り上げられて心音は簡単に達した。
性急な刺激だったにもかかわらず、いつもよりずっと早く達してしまったことが恥ずかしくて、心音は枕に顔を埋める。
「うー……疲れたよぉ……」
 けれど、刺激はまだまだ続いていた。
 達してひくつく膣内を味わおうと、ねっとりと軟体が這いまわる。
勃起した亀頭も押しつぶされ、擦られ、気まぐれに捻り上げられる。
その都度腰がビクついて、求める相手もいないのに腰が浮き上がってしまう。
結果、まるで後ろから犯されているかのような態勢でひとり腰を振ることになった。
「ん、あ、あ、あ! も、らめ……やだぁ……! もうイッちゃった……イッちゃったからぁ!」
 悲鳴の混じった嬌声を上げながら、言葉とは裏腹に必死で腰をくねらせる。
心音が動いたところで刺激に影響はないのだが、もはや本能だった。
 もっと卑猥で強烈な刺激が欲しいと、身体が叫んでいた。
 心音の身体にまるで呼応したかのように軟体が引きぬかれ、太くて硬いなにかが入り口にあてがわれた感触がする。
 コレがなんなのか、心音は心当たりがあった。けれど深くは考えない。
どうしたって非現実的な状況だし、もしこれが現実なら、それは夕神に対する酷い裏切りだ。これは自分の妄想であってほしい。妄想なのだ。
 妄想なのだったら。きっとコレは、彼のモノ。
 なら、欲しがってもいいはず。

「は……はやくください……ゆうがみさん……」
 そのおねだりが聞こえたはずもないのに、熱い塊は心音の膣をずぼりと穿った。
待ち望んだ衝撃に、心音の性感はまた頂点まで上り詰める。
「あああああん! あ! はぁん、キモチイ……ゆうがみさ、わたしまたイッちゃいましたよぉ!」
 熱く硬く滾ったモノが胎内で抽送を繰り返す感覚に、心音はだらしなく口を半開きにしてうっとりと酔いしれた。
影響があるかもわからないのに、パジャマに包まれた足を大きく広げ尻を高く付き出し、へこへことまぬけに揺らす。
「あぁん、あッ、奥、あたって……キモチイイ……ッ、ゆうがみさんのおっきいおちんちん、キモチイイッ……!」
 幾度も達した熱がまた盛り上がって、心音の身体と理性を犯す。
服を身につけたままなのに、膣内がぐちゃぐちゃに掻き回されて、粘液が擦り合う音が高く響く。
ひとりで身体が熱くなって、それが少しさみしかった。
 自分を犯す熱棒は、激しいのに優しく気遣う動きで確実に心音の弱点を突き上げてくる。
その動きが、やはり夕神を連想させた。
「ゆうがみさぁん……ちゃんと、さわってほしいですよぉ……」
 泣きながらそう言って、心音は謎の質量に三度目のオーガズムへ連れて行かれた。

 心音は、ふわ、とあくびをした。その後すぐに首を振って頬を自分ではたく。
 これから、夕神の部屋へ遊びに行くのだ。
 せっかく大好きなひとと休日を一緒に過ごせるのだから、眠気などに邪魔されてなるものか!
 けれど連日のいやらしい幻想行為で、最近は寝不足気味だった。昨日ははじめて、あの大きな性棒に二回も突かれて6度果てた。
正直、もうくたくただ。週末で命拾いした。
 自分の妄想なら、ほどほどでいいんじゃないかな。
 それともあれは、自分の欲求不満が生み出した妄想ではないのだろうか。
誰かが、なにか不思議な道具を使って、自分へなにかを仕掛けているとか?
 心音は頭を左右に振った。それは結構、恐ろしい考えだ。
けれど幽霊くらい実態がなくて、仮にも心理学を学ぶ弁護士としては納得できない思考でもある。
 夕神さん以外とエッチなコトしたって、思いたくないな。
 それくらいなら、まだ自分の妄想という結論の方がマシなのだ。
エッチなわたしでもいいですか? なんて夕神に尋ねる方が、はるかに。
 エッチだよね。わたし。昨日は疲れたけど、すごく、気持ちよかった……。
 昨晩はクリトリスからひだの隙間まで生暖かい軟体が丁寧に這い回り、きつい刺激もなく絶頂を迎えた。
それがあまりに物足りなくて、思わず自ら寝間着を乱して乳房を引っ張り出し、先っぽをキツく弄ってしまった。
その、まさしく自慰の最中に、子宮口の奥をたっぷりと突かれた。胸と秘部を同時に責められる感覚は、頭が真っ白になるほどのエクスタシーだった。
それで、悲鳴をあげながら何度もイってしまったのだ。

 思い出して、心音は赤面する。日中、人通りの多い街中を歩きながら考えることでもない。
心音はもう一度頭を振って、夕神の部屋へ急ぐべく足を強く前へ出した。
 と、その瞬間。
「ひゃい?!」
 股間に刺激が、走った。
 ど、どうして……今までずっと夜にしかなかったのに?!
 けれど確実に触れる感触がやってきていて、小陰唇と陰核を温かな、手のひらのようなもので撫でられている。
そこまで強い接触ではないけれど、激しい昨日の快楽がまだ身体に残っていた。
わずかな触れ合いにも過敏に反応してしまって、思わず足を止める。
 ──ど、どうしよう。
 夕神との約束の時間には、まだ少し余裕がある。ゆっくり歩いても遅れはしないだろう。
けれど、どこかで立ち止まって、この感覚をやり過ごすほどの時間はない。
また、じっとしていれば通り過ぎる確証もなかった。
 心音は、ゆっくりと歩き出した。
 大丈夫。人通りの多い、駅から住宅街へ向かう商店街の中だ。
多少ふらついていても、誰も気が付かないはず。
 そう考える傍から、指のような質量が一本、胎内に侵入してきた。
「ん!」
 昨日の影響か、先ほどの回想のせいか。わずかだが濡れていたらしい。
その隙を突いてぬるりと指のようななにかが入ってきて、胎内をぬちぬちと掻き回す。
まるでなにかを掻き出すみたいにこね回されて、それはいつものような優しさに満ちた愛撫ではなかった。

「ッ……な、なんで、こんなトコで……あぅ!」
 思わず両腕を抱いて、よたよたと足を進める。
股間からは条件反射のように愛液がこぼれて、すっかり下着を濡らしていた。
このまま指が奥へ侵入して引っかき回せば、おそらく黒いストッキングにも染み出して溢れてしまうに違いない。
 夕神の、好きな男性のところへ行くのに、みっともない姿で行くわけにはいかない。
 心音は膝頭をこすり合わせて、なんとか快感をやり過ごそうとする。
それなのに指は遠慮なく心音の胎内を動きまわって、まるで掃除をするみたいにくまなく肉の壁を撫でていく。
 傷つける意図はなさそうで、相変わらず慎重な手つきなのに、常と違って雑な触れ合いだった。
本当に掃除でもするつもりなんだろうか。
 指は心音の意図などお構いなしに、どんどん奥へと侵入してくる。
奥へ進行する度に発生する快感に、心音は荒い息を吐き出した。
ここがせめて街中でなければ、声くらい出してまだ気を紛らわせることができたのに。
「は……はッ……ん……!」
 ゆっくりと、心音は前に進む。気丈にも唇を引き結んで、潤む瞳で前を見た。
頬を染めて息を荒くしてふらついている姿に、男たちの目が釘付けになっているとも知らず。
 膣内を蠢く指は、それほど長く同じ場所には留まっていなかった。常に胎内を移動していく。
あまりしつこくない動きに、段々と慣れてきて歩みもやや速度が上がった。
 そう油断した瞬間、指がぐりりと最深部に押し込まれてしまう。
「ひゃん!」

 小さな嬌声に、幾人かがこちらを見た気がする。心音は顔を真っ赤にして両手で口を閉じた。
 指は奥の上面に狙いを定め、そこにある突起をぐりぐりと潰すように弄ってくる。
そこは心音の最も弱い箇所のひとつで、この謎の感覚も触れるのを好む場所だ。
 当然のように、身体がそこからの悦楽を貪欲に得ようとする。
意識が飛びそうになるほどの性の悦びが心音の全身を揺らした。
「……! …………!!」
 思わず一度立ち止まり、道の端まで移動してついにしゃがみ込んでしまう。
しゃがんですぐに、股間からぶしゃり、ぶしゃりとラブジュースが吹き出し、商店街のコンクリートづくりの道を汚した。
「~~~~~~!!!」
 心音は泣きながら絶頂の声を堪えた。こんな衆人のいる場所で何度も達してしまうことも心底恥ずかしかった。
 だが幸いにも、心音の身体が大好きな──大好きな、大きな質量と熱を備えた物体は侵入してくる気配はない。
それに、僅かに安堵していた。
 アレが入ってきたら、もう心音の理性などどこかへ行ってしまうのだ。
衆人監視のもとあられもない声を上げ、身体をくねらせて腰を虚しく振ってしまうに違いない。
 それだけは、嫌だ。そんな姿を見てもいいのは、夕神だけだ。
 心音は力を振り絞って立ち上がった。
まだ絶頂の余韻と胎内で暴れる細い質量に、がくがくと膝が笑っている。
内股に、愛液が滴る感触がした。いずれスカートの裾から滴るのが見えてしまうだろう。
 ──やだぁ……夕神さん、たすけて……。
 一瞬そう考えて、心音は首を激しく左右に振った。
 ううん! 夕神さんに助けてもらうのは、もうおしまいにしたんだから!
 すでに7年も助けられていた。困ったときに助けられるのは、もう嫌だった。
 心音は気を取り直して、夕神のもとへと急いだ。
「ひ……! あぅ……あッそこだめ……またイっちゃうぅ……!」

 夕神は例のものをキレイに洗浄した後、丁寧に水滴を拭き取り、
心音には絶対に見つからない場所へとそれを閉まった。
これから心音が部屋へ来るのだ。
 もちろん、いかがわしいことをする気はない。しない。
しない代わりに、昨日は随分ひとりで頑張ってしまった。せめてそれくらいは勘弁してほしい。
 玄関でブーとブザーが鳴った。どうやら心音がやって来たようだ。
夕神は浮足立った感情を深呼吸で鎮めて、ドアを開けてやる。
 扉の向こうには、心音がいた。頬を赤くして、青い瞳を潤ませている。
「ゆうがみさぁん」
 いつもの心音、ではなかった。どこか甘える、淫靡な声。
 そのまま細い身体が抱きついてきて、夕神は動揺した。
「ゆうがみしゃん、わたし、がんばりましたよ……。がんばって、ここまできましたから……」
 声はすっかりとろけていて、夕神は目を丸くした。
 これでは、まるで……。
「ねえ、ゆうがみしゃん。……ごほうび、ください……?」
 まるで──
 自分の卑猥な妄想の中の、おねだりする心音のようではないか!
「ゆうがみしゃん……おねがい……」
 夕神は動揺したまま、本能的に心音を抱きしめた。


<終>
最終更新:2016年01月03日 12:45