冥×御剣①

 ホテルの一室。
 目を覚ました冥は全裸だった。
 すぐ隣で、これも全裸で御剣が眠っている。
 昨日は久しぶりのデートで……冥は自分の痴態を思い返してため息をついた。

 御剣は久しぶりで張り切っていたのか、いつにもまして前戯が長く丁寧で、冥はそれ
だけでいかされてしまった。
 その後も指や舌で攻め、カチカチに堅くなったモノを冥の肌に押しつけ、あるいは握
らせながらも、全く挿入はせずにさんざん焦らして、ついには彼女自身に言わせた。
「挿れて」と。そして、御剣が二度果てるまで冥は何か吹っ切れたように滅茶苦茶に乱
れた──

「……」
 言わされた数々の卑猥な言葉が次々と甦ってきて冥は頭を抱えた。
 冥は今まで、あそこまで乱れるということはなかった。基本的に優しくされるのが好
きで、それで充分だったのに、あんな風に狂わされたのが冥の気に触った。御剣はそれ
を重々知っていたはずだというのが余計に頭に来る。
 ふと隣を見ると御剣が眠ったままで勃起しているのに気づいた。
(レイジもプライドは高い…それを打ち砕いて仕返しするのは、今ね)
 冥は目を光らせた。

「……はっ、メイ、何をしている?」
 冥が御剣のそれを握ってゆっくり上下させると御剣は目を覚ました。そのまま手の中
のモノをくわえ込む。上目遣いで御剣を見ると、彼は困惑した顔で冥を見つめていた。
以前、冥は口でしたことがあったが、口の中に出されたときのあまりの苦しさにそれっ
きり一度もしていなかった。
「メ、メイ、どうしたんだ?」
 不理解の表情で聞く御剣を無視して冥が舌を絡めていると、だんだんペニスが堅く、
熱くなってきた。御剣の顔がしだいに恍惚としたものになってくる。
(ふふ…そろそろね…)
 口の中のモノがひくんと動いたのを見計らって冥は口を離した。それは唾液にまみれ
て光っていた。
 冥は頬杖をついて御剣の顔に目線を向けた。
「どうして欲しいの…?」
「…?」
 何を言っているのか理解できず、御剣が訝しげに冥を見つめる。
「私は怒っているのよ。昨日の仕打ちに」
「昨日の仕打ち?」
「あなたは私を滅茶苦茶にして、い、いやらしい言葉を無理矢理…!」
 怒りを込めて言う冥に、御剣が慌てて弁解する。
「そ、それは君を悦ばせようとしての事だ。それに、君はとても感じて…うっ!」
 ペニスを握られて御剣の言葉が途切れた。冥はそれが痙攣するのを手に感じながら言
い放った。
「レイジ、これをどうして欲しいのか言いなさい」

 顔を真っ赤にした御剣が何も言えずに呻くのを冥は眺めていた。
「ほら、早く言わないと…」
 ゆっくりと、ペニスを握った手を動かす。
「出ちゃうんじゃない?」
「や、やめろ、メイ…」
 冥が滲み出てきた粘液を敏感な亀頭に塗り広げると、御剣が呻いて足を引きつらせた。
「わかった。やめるわ」
 言うと冥は手を離した。名残惜しげに震えるそれを横目に、
「それじゃ、私シャワー浴びてくるから」
ベッドを降りた。御剣が突然切れて襲いかかってくるような性格ではないことを冥は
知っていた。
「ま、待て、メイ。…続けてくれ…」
 それを聞いて冥は勝ち誇った笑みを浮かべる。
「…何を?」
「…手…いや、口で…してくれ…」
「口で何をしろと言うの?」
 御剣のももを触ると竿がぴくりと跳ねた。
「く、口で、抜いて欲しい…」
 冥はにんまりとした。
(ふふ、ついに言わせたわ…)
 最初は、御剣に懇願させたらすぐに抜くつもりだったが、冥は続けているうちに経験
したことのない興奮に襲われていた。受け身のセックスでは得られない、嗜虐の快感。
 冥はもう少し御剣への仕返しを続ける事にした。

 冥が指をペニスに絡めて動かし始めると、
「メ、メイ…」
御剣は何かを訴えるように顔を向けてきた。本当にもう射精してしまうのではないかと
冥には思えた。
「もう出してすっきりしたら?」
 冥の挑発に御剣は必死に耐えている。どうしても口でいきたいのだろう。
 それを見て、また冥の中の嗜虐心が燃えた。
「わかったわ。口でしてあげる」
 唇を舐めるのを見て御剣の咽が鳴った。冥がペニスに顔を近づける。
「でも、レイジ…」
 空いている方の手で根元の袋を優しく揉む。
「口に入るまで、我慢できる?」
 冥は竿をさすりながら舌先でちろちろと先端を舐めた。
「うっ!」
 御剣の全身が引きつった。睾丸が動くのがわかる。亀頭が膨らんだのを感じて冥が顔
を離すと、びゅっ、と勢いよく精液が吐き出された。二度、三度とペニスの中を精液が
通り抜けていくのを添えられた手を通して冥に伝えてくる。結局御剣は冥の口に入るこ
となく達した。

(はぁ…癖になりそうね…)
 冥は男のプライドを粉々にして翻弄した快感に酔いしれていた。
 次のデートの時も御剣を苛めよう、などと考えながら。
最終更新:2006年12月13日 08:33