From Northern Home '09
リーチング
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hokkaidosp
リーチング
コントロールロープ
フォアプラーはマストが折れるので絶対に抜いてはいけない。
強風のリーチング帆走中に強烈なブローが入ると、ジブセールに強いプレッシャーが入り、
同時にウイスカーの軸であるマストにもプレッシャーがかか る。
こんなときフォアが効いていなければウイスカーがマストをおして、スプレッダーが逆側に開き逆ベンドしてしまう。
北大では、クローズ中からマストはフォアとアフターの両方で固定しておき、
落としになってもそのままで走るのが一般的。
(だが、おそらく全国では、クローズでアフターを引いている場合には、アフターを抜いてフォアを引くのが一般的。
「ダウンウィンド用にマストを立て替える。」という言葉を何度か聞いた事がある。
また、トラベラーシーティングを導入した場合に、チューニングガイドでは、プラーはフリーと記述してあるため、その辺は謎。研究中)
ジブタックはジブのタック部分に不必要なストレスがかからない程度に抜く。
ランニングのようにジブを飛ばす必要はないので、必要以上に抜かない。
軽風以上のリーチングでは、ジブをできる限り引き込む事が何より重要となる。
タイトなレグでジブを出さないと裏風が入る場合には、
ジブを浅くし、ジブのエントリー角度を小さくするためにフォアプラーを引き、ジブハリを引く。
ルーズなレグで、ジブハリを抜けばもっとジブを引き込める場合のみ、ジブハリを抜いてジブを引き込む。
バングはトップバテントブームが平行になる位置にセットし、ブローラルに合わせてトリムする。
トラベラーはセンターで固定。
カニンガムは解放。
アウトホールは若干出す。(アジャスターを開放)
リーチングフックをかける。
コントロールロープの基本的な考え方は、
①ジブをとにかく引き込むこと。(揚力の方向を前に向けるため)
②メインを深くパワフルにすること。(揚力を増やすため)
そのために必要なトリムをする。
スナイプの場合は、センターボードがスイングせず、470ほどヘルムに影響を与えないので、
基本的には、ルール上限まで上げると考えて良い。
特に、ルーズなレグや、強風では基本的にルール上限まで上げた方が良い。
しかし、軽風のややタイトなレグではセンターボードの降ろし量を調節した方が良い場合がある。
センターボードを降ろすことによって、下流れが減り、ウェザーヘルムが若干増えるので、
センターボードを下ろすことによって、下流れが減り、VMGを稼げる場合や、
ヒール具合は丁度良いはずなのに、もう少しウェザーヘルムがほしい場合には、センターボードを調節してみると良い。
とにかく引き込むことが基本。引き込めるだけ引き込む。
オーバーパワーでは、常にリーチやフットにペコペコと裏風が入る状態で走る。
ルーズなレグで、ジブハリを抜けばもっとジブを引き込める場合は、ジブハリを抜いてジブを引き込む。
必要以上にジブハリを抜いてしまうと、ジブセールが深くなり、エントリー角度が大きくなり、
ジブを引き込めなくなるため、ジブハリを抜く量は必要最低限にする。
よくある勘違いが、470のスピンをイメージして遠くにふんわりとジブを展開した方が速いというものであるが、これは間違い。
とにかくジブを引き込むために 、リーチングフックに必ずかける。
また、ランチャーポールはクラスルールに許される最長の物を使い、
マストに装着するランチャーブロックはクラスルールに許される限界まで前に出す。
この重要性を初心者は感じづらいが、リーチングのスピードを決める最も重要なファクターのひとつなので、絶対に妥協しない。
当然、ランチャーを上げる際は、絶対にランチャーを出し切り、ランチャーの長さを無駄にしてはいけない。
スキッパーは作ったジブセールに合わせて限界まで上って走らせて走る。
そのため、クローズと同様、クルーの作ったジブによって艇の角度が決まってしまう。
クルーはマーク位置の指示と連動して、もう少し上って走りたかったらジブを出し、落として走りたかったらジブを引く。
微風で、落とすと止まってしまう場合はジブを少し出し目にして、上らせて走る。
ブローが入ったときにはすかさずジブを元の位置まで引き、落として走る。
ラフベアに合わせたメイントリム
マークへ一直線で向かうよりは、ブローや波を利用しながら
ラフベアを繰り返しながらスピードを維持して走る方が速い。
そのため、クローズやランニングと違い、リーチングは風に対する船の向きが変わりやすい。
風が前に回ったらメインを引き、風が後ろに回ったらメインを出す。
ラフをしたらメインを引き、ベアをしたらメインを出す。
これが基本のトリムで、トップフラッグとメインセールのプラスチック板が平行になる位置が基本。
メインセールにテルテールをつけなびき方を見るやり方もある。
セールは見かけの風に合わせなければならない。
艇のスピードが上がれば風が前に回るのでメインを引き、
艇のスピードが落ちれば風が後ろに回るのでメインを抜く。
このトリムがスピードを持続するためや、早急にスピードロスを回復するために非常に重要となる。
特に、プレーニングコンディションでは、プレーニング中とプレーニングしていないときで、
艇速に大きな差があるため、このスピードに合わせたメイントリムの量が非常に大きくなり、
プレーニングを持続できるかどうかを左右する重要なファクターとなる。
初めはメインテールで見かけの風がどの程度変化するのか?ということを確かめて慣れると良い。
大体、微風で10cm程度。プレーニングコンディションでは1.5m以上トリムする。
慣れてきたら、スピード感覚やパワー感覚によってトリムし、
定期的にトリムの中心位置が合っているかトップフラッグやメインテールで確かめる。
メイントリムの基本は、上記のラフベアに合わせたメイントリムと、スピードに合わせたメイントリムを足したトリム。
(このトリムと、ハンドリングを容易にするためのに補助的にヘルムを作るトリムが加わる。)
このようにトリムしていれば、風の振れには自然に対応できる。
リーチングの場合には、風が振れても進行方向は基本的に変わらないため、風の振れはスピードと、シート・デッキのパワーで感じる。
例えば、風が振れて後ろに回ったときは、スピード・パワーがなくなる。
スピードに合わせたメイントリムをしていれば、
スピードがなくなった瞬間に条件反射でメインを出しているはずであり、
風が後ろに回ったときの対応として矛盾しないため、瞬間的に風の振れに対応しているはずである。
その後、同じ角度を走っているのにスピードが異なることに気づくので、トップフラッグを見て、トリムの中心位置が変わったことを確認する。
プレーニングコンディションでは、非常に有効で、ひと波一回のパンピングが許される。
基本的には、波でスターンが持ち上がったタイミングで、サーフィングをさせるきっかけとして使う。
どうせやるなら思いっきりやる。のが理想。渾身の力で渾身のストロークでセールを煽る。
パンピングに意識をとられすぎて基本のトリムがおろそかになっては意味がないので、
パンピングを使っているときは特に基本のトリムを気をつけてトップフラッグを確認する。
パンピングによってオーバーヒールが来るので、煽られないように上半身を使ってそのインパクトをしっかり起こす。
また、パンピングによるウェザーヘルムで切り上がってしまっては波に乗らないので、
船の角度は波に合わせて落とす。むしろ、ティラーを使ってでも無理やりにでも船の角度を波に合わせてからパンピングする。
基本のヒール
微風では、造波抵抗に比べ摩擦抵抗の寄与が大きいので、節水面積を減らすことを心がける。
セールがはらまないレベルの微風では、オーバーヒールさせてできるだけ前に乗る。
軽風~フルパワー付近の風域では、若干のオーバーヒールが基本のヒールとなる。
ヘルムバランスを考えてヒールバランスをとる。
ニュートラルヘルムかほんの少しウェザーヘルムが残る程度のオーバーヒールを入れる。
平水で風力が安定している場合にはニュートラルヘルムでよいが、
波がある場合など、ヘルムが変わりやすい場合には、若干のウェザーヘルムを残す。
ランチャーを展開したリーチングでは、ジブがバウを風下に押すため、リーヘルムが発生しやすい。
そのリーヘルムを打ち消すために若干のオーバーヒールを入れた状態がニュートラルヘルムになる。
スナイプのハル形状から、若干のオーバーヒールをさせたほうが、節水面積が減り、すべりが良いので、
その意味でも若干のオーバーヒールを入れる。
(チャインとチャインの間の平らな面で走る。)
艇・体重・セッティング・海面によっては、そこまでヒールを入れるとウェザーヘルムが強すぎる場合があるので、
ウェザーヘルムによって加速が悪い場合には、ヒール量を起こしてフラット付近ので走る。ヘルムを重視すればよい。
サーフィングコンディションでも基本のヒールは同じだが、
ヘルムよりもチャイン形状のウェイトの方が大きくなる。
ウェザーヘルムがあっても、オーバーヒールを残す。
若干のオーバーヒールがあった方がハル形状によりプレーニングを持続させやすいし、
波に合わせてラフしたいタイミングでラフできるメリットの方がラダーの抵抗のロスよりも大きい。
10m/s以上の風が吹いていて、リーチングでフルハイクしていてもヒールが起こしきれない場合には、
通常のオーバーヒール量よりもオーバーヒールが大きくなっても仕方がない。
それでも見かけの風に合うところまでメインが引けない場合は、クローズのオーバーパワーのように、メイントリムでヒールコントロールをする。
逆にいえば、そのようなコンディションになるまでは、できるだけボディーアクションでヒールをコントロールするのが理想である。
ラフベアをするときは、ティラーに抵抗がないようにまず体を動かしてヘルムを作ってからティラーを動かす。
例えば、スピードがなくなりそうな場合には、まずオーバーヒールを作り、そのウェザーヘルムに合わせてラフィングする。
ベアするときは、リーヘルムを作るまでは行かなくとも、ヒールを起こし、ウェザーヘルムを減らしてベアする。
クルーとスキッパーはくっついて乗り、基本は風が弱ければ弱いほど前に乗り、風が強ければ強いほど後ろに乗る。
無風状態では、バウデッキぎりぎりまで前に乗り、プレーニングコンディションでは、ティラーエクステンションの付け根辺りまで下がることもある。
微風では節水面積を減らすことを考え、軽風から順風では水線長が長くなるようにバランスする。
ブローが入った場合には、横方向のヒールだけではなく、前方向にヒールするので、
ブローは斜め後ろに起こす意識をもつと良い。
サーフィングコンディションでは前後に大きく移動してサーフィングを持続させる必要がある。
波に乗せる瞬間は前に乗っていた方がバウが下がるので波に乗りやすい。
波に乗ってからは、バウが下がっていると前の波に追いついたときに急激に失速してしまうので、
できるだけ後ろに乗って、バウを持ち上げる。
ラフベアに合わせた左右のヒールバランスと組み合わせると、
①前に乗ってオーバーヒールを作ってスピードをつける
②ヒールを起こしてベアして波に乗せる
③バウが刺さらないように後ろに下がる
④スピードがなくならないうちにスピードを回復させるためにラフィング(①に戻る)
のようにスターボードタックなら時計回り、ポートタックなら反時計回りのサークルモーションをすることになる。
ウーチングも効果的な技術の一つである。
波に乗せて後ろに下がる直前に、ハイクアウトしたまま上半身を後ろから前に急激に動かして止める。
それによって、推進力は一時的に増し、またベアする力も働くので、サーフィングできる確立が上がる。
ハンドリングに関しては、言葉では説明のしようがない部分が大きく、実践で上手くなるしかない。
その日のコンディションによって一概には言えないので体系的にまとめることはできないが、
場面場面での対応を紹介していく。
苦手な風域・海面があったら比較して参考にしてみてほしい。
スピードが落ちた場面
① スピードが落ちたことに気づく
②メインを出す+オーバーヒールを作る
③ラフィングをしながら風に合わせてメインをつめる
④スピードが上がった分メインをつめる
⑤ヒールを起こしティラーを引いてメインを風に合わせて出しながらベア
対処が早いほどラフベアの幅は小さくて済む。
ラルや振れによって失速した場合もまずする対処は変わらない。
この動きは条件反射でできるようになりたい。
ブロー・波であおられた場面
サーフィングコンディションにおいて、ブローや波で大きくヒールしてしまい、
ティラーも重く、切ってもあまり舵がきかず、パワーは有り余っているのにスピードに変えられないとき。
①ヒールが消えるくらいまで一気にメインを出す。
②ティラーを思いっきり引く。舵が利かない場合は水流が剥がれているので、一瞬戻してもう一回思いっきり引く。
③サーフィングしてしまえばメインを所定の位置まで引ける。
本来はあおられる前に対処するべきだし、ボディーアクションで対処するべきだが、
あおられて制御不能になっている状態は非常に遅いので、
一度あおられてしまった(あおられそうになってしまった)場合はすぐにメインを抜いてヒールを整え、サーフィングさせる。
その対処が遅いとひと波・ひとブローの差がついてしまう。
随時追加