From Northern Home '09
ランニング
最終更新:
sailorsgatts
☆目次
○セッティング
『ノンヘルム&ラダーレス』
『VMGを最大にする』
○具体的な動作
・セールトリム
・ラフベア
・ヒールバランス
■微風ここでの微風とは、ブームをサイドステイまで出し切らない風域とする。
■順風ここでの順風とは、ブームがサイドステイまで出し切る風域とする。
■強風ここでの強風とは、サーフィングで走る割合が大きい海面・風域とする。
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○セッティング
<バング、カニンガム>
カニンガムは基本的に全開放する。
バングは、トップバテンとブームが平行になる位置まで引く。もしくは多少ルーズ目に作る。
強風時にバングが緩いと、艇が不安定になるため注意。ただ、バングが緩いと角度を落としてもスピードが落ちない。
<アウトホール>
基本的にタックレバーを返す。
ただ、ここの定義で言う”微風”時は確実に返したほうが良いが、”順風””強風”時はまだ差がはっきりしない。
<ジブハリ、ジブタック>
ジブハリ・ジブタックは、ランチャーをより引き込むために用いる。
両方とも出来るだけ抜く。目安としては、ラフワイヤーが折れてしまう直前まで抜く。
こちらを参照
<プラー>
フォアプラーは必ず抜くこと。特に、微風時は注意。クローズ中のフォアプラーが入ったままになることが多い。
フォアを抜いたときのパワーアップはものすごい。その他の風域については少々お待ちください。
・センターボード
センターボードは、基本的に最も上まで上げること。ただ、強風時は上げすぎるとハンドリングがしづらくなるので注意。
○基本
『ノンヘルム&ラダーレス』・・・基本的にラダーを使うときはヘルムを作ることで行う。ヘルムを作るために、ヒールバランス・セールトリムを行う。ただ、波がありサーフィングが有効と思われる海面では、積極的にラダーを使い波に乗せることを心がける。
「最大VMGを稼ぐ」・・・スピードと角度のバランスを取ること。ランニングは後ろから風を受けることになるため、角度を稼ぐほど見かけの風は弱くなってしまう。風が弱くなることでスピードは遅くなる。その2つのバランスを常に意識すること。基本的には、メインセールは出せるだけ出す。そのメインセールにあった角度を走る。風が強くなったり、風が上がったりしたときは角度を落とす。逆の場合は角度を上らせる。そのラフベアに合わせてメインセールもトリムすることになる。
○具体的な動作
・セールトリム
メインセールは常に出せるだけ出すことを心がける。シバーする直前が最も効率が高い。
スピード、角度の変化に対して常にトリムを行う。
加速⇒引く、失速⇒出す。ラフ⇒引く、ベア⇒出す。
ジブセール(ランチャー)も同様のトリムを行う。
ただ、ジブセールを引き込むためには、ジブハリ・ジブタックもトリムする必要がある。その原理はこちら。
ラフするときは、ジブを出す+ジブハリを引く。ベアするときは、ジブを引く+ジブハリを引く。
スピンをトリムするようにトリムする。
・ラフベア
スピードと風力の変化に対して行う。
加速⇒ベア、失速⇒ラフを行う。
そのときに重要なのは加速してから(失速してから)、ベアする(ラフする)のでは遅いということ。
常にスピードの変化に敏感になりラフベアを行うこと。
また、ランニングはセンターボードが上がっているため、ローリングがしやすい。そのため、ラフベアのヘルムをヒールで作るこ
とがむずかしい。ヘルムを作るときは、セールトリムで補助してあげること。
・ヒールバランス
<横のバランス>
ヒールバランスは、ノンヘルムになるような位置を基本とする。ランニングでは、メインセールとジブセールが外側に展開され
ているが、メインセールの方が大きいため、フラットにするとウェザーヘルムが強くなることが多い。その原理はこちら。
そのため、ノンヘルムにするために若干のアンヒールをキープしてことが多い。
<前後のバランス>
前後のヒールバランスは、スピードと波に対して行う。
スピードに対する原理はこちら。
波に対してはこちら。
■微風 ここでの微風とは、ブームをサイドステイまで出し切らない風域とする。
ランニングでは、この風域が最も差がつく。理由は、VMG感覚、メイントリム、ヒールバランス、風のフレなど考慮すべき要素が
複雑にからみあっているからである。そのため、1つの要素を変化させた場合、他の要素に影響を与えてしまい、
検証がしにくいのである。
この風域の大基本は2つある。
①メインセール 風がはらむ限界まで出すことを意識する。この風域では、メインセールを出しすぎると、セールがはらまなくなってしま
うため、セールがはらむ限界まで出すということが大切である。
②ヒール ヒールはできる限り起こす。こちらより、ランニングはアンヒールを保つことが良い。だが、この風域では、ヒールを起こし
すぎると、重力にセールが耐えきれずシバーしてしまう。セールがはらむギリギリのヒールが最も効率が良い。
①②は非常に重要な考え方であるが、その度合いは刻一刻と変化している。常に最適なトリムを心がけること。最適なトリム方法につい
ては後述。
最大VMGを稼ぐとは:
自分がどの方向から風を受けているのかを常に気にする。それがVMGを最大にする上で最も大切なことである。
その目安としてはトップフラッグが非常に有効となる。トップフラッグは、真の風と自艇の艇速を足した見かけの風をダイレクトに反映する。
そのため、トップフラッグには、フレ・加速失速・風力の変化がすべて現れる。
まずは、その指し示す方向を一定にすること。それがつまりは、最大VMGを稼ぐ目安になる。
トップフラッグがどの方向を指すことが、最大VMGかというのはそのときのみかけの風速(確認:真の風と艇速の合成)で変わってくる。
艇とセールをその風に合わせてトリムすること。
メイントリム・ヒールバランスは、フレ・加速失速・風力の変化すべてに対して行う。3つの変化に対して対応する必要がある。
フレ・・・リフトした場合は、ラフする必要がある。まず、メインを引く。次に軽くヒールを入れる。そして作ったウェザーヘルムでスムーズに
ラフィングをすること。ヘッダーした場合はベアする必要がある。まずメインを出すこと。次にヒールを少し起こしリーヘルムを作る。
そのヘルムでスムーズにベアをすること。
加速失速・・・加減速によって見かけの風が変わるため、最大VMGが取れる角度が変わってくる。したがって、角度を変える必要がある。
加速した場合、ベアする必要がある。だが、加速するということは、①見かけの風が前に回っているため、ひとまずはメインを
引くこと。また、加速するということは②見かけの風が強くなっていることを意味する。ということは、ヒールを起こす必要があ
る。なおかつ、そこからベアする必要があるため、メインは出しつつ、ヒールは最初よりも起こす必要がある。この動作をスム
-ズに行うことがカギである。ヒールの起こし量は、加速によるヒール+ベアのヒール。ただ、前述にように、セールがはらむ
最低限のヒール以上は起こさない。
失速した場合、ラフする必要がある。失速するということは、①見かけの風が後ろに回り、②見かけの風が弱くなっている,
ということを意味する。この場合、メインを引く(出すの間違いではない)、そしてヒールを作る。そこからスムーズにラフィング
していく。本来はメインを出したいところではあるが、なぜメインを引くのか。この風域では、メインセールははらむ限界まで
出している。そのため、それ以上出すとシバーしてしまう。また、失速により見かけの風が弱くなっているため、はらむ限界
がより引いたポイントになる。
風力・・・ 風力の変化でも見かけの風は変わる。風が強くなれば後ろに回り、風が弱くなれば前に回る。
ただ、風力の変化は同時にスピードの変化を伴うことが多いため実際の動作は注意する。更には、風力の変化はVMGを最大に
する角度の変化も伴う。ランニングでは、見かけの風の方向よりも強さに大きな影響を受けるため、風が強くなった場合は、
より落とした角度がVMGを最大にする角度になる。
そのときの動作は、まずメインを出す。そして、ヒールを起こす。その作ったリーヘルムでベアしていく。そのときに継続して
メインセールを出していく。
まとめ・・・ メイン ヒール ラフベア
■リフト 引く オーバーヒール ラフィング
■ヘッダー 出す 少しアンヒール、もしくはそのまま ベア
■加速 引いた後出す 風速+ベアする分のアンヒール ベア
■失速 引いた後キープ 少しオーバーヒール ラフ
■ブロー 一度引くorすぐ出す 風速+ベアする分アンヒール ベア
■ラル 引く オーバーヒール ラフ
■順風ここでの順風とは、ブームがサイドステイまで出し切る風域とする。
順風では、メインセールは基本的にサイドステイにぶつかるまで出す。そこで、微風時と同様に、フレ・加速失速・風力の変化に対して
適切なトリムを行うこと。この風域では、メイントリムでは無く、もっぱらヒールバランスと角度に気を配る。微風時と同様のトリムを
行う。
ただ、センターボードを上げているためローリングしやすい。そのため、完全にヒールバランスでヘルムを取ることは難しいため、セールトリ
ムで補助してあげることも必要となる。
■強風ここでの強風とは、サーフィングで走る割合が大きい海面・風域とする。
強風も考え方は同様である。ここでは、サーフィングに対するハンドリングを記述する。
強風では、メインセールは出せるだけ出すが、サイドステイにぶつからないようにする。理由は、こちら。
最も意識すべきは、波である。上側斜め前を見続けて、次にどの波に乗せるかを常に考え続ける。スナイプ級は基本的に波よりも遅い
スピードしか出ないため、乗せる波は後方の波が多い。
波が来てスタンが持ち上がった瞬間にティラーを使い波を真後ろから受けるような角度に艇を向ける。そうすると、サーフィングする。そのま
ま乗せ続けようとすると、波に置いて行かれ失速することになるため、波から落ちる前にラフして次に乗る波を探すこと。
ブローが入る瞬間にヒールが来て、バウが前に沈むので、斜め後ろに起こすこと。