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スタート
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hust
スタート
北大の練習のために書いたものをそのままコピペしているので文章がwikiっぽくありません。
今後は水野個人が好き勝手に編集していくので、こういう記事が増えるかもしれません。(2010.07.29)
スローセーリングの意味
スローセイリングを何のためにするのか?
それは有利なスタート地点の場所取りをするためです。
ス ターボードタックのスローセーリングをしている船がずらーっと先に並んでいるとします。
そうなると、後から来た船はどうやってもその場所をとる事 はできないのです。
①後ろから突っ込んだらクリアスターンで失格。
②間を見つけて入ろうにも、並んでいる艇がきちんとルームを狭めていた ら入れない。
③列の前にぽんっと自分だけ並んだ場合には、スタート直前に風下艇に追い出されてしまう。
良い場所からスタートするためには
先に場所を取る必要があるわけです。
祝津の春先や新人練習期間には、スタートラインの有利エンドがガラガラの場合もありますが、
そのような状況はレベルの低いレースでしか起こり得ません。
自分と同じところから出たい艇が複数いる場合、通常スローセーリングで場所取りをせざるをえません。
スローセーリングはそのような同じあたりから出たい船が沢山いる状況で、自分のスペースを確保するために行います。
そのため、スローセイリング中のスピードは周りのスピードに合わせなければ意味がありません。
自分だけ前に行ってしまっても、後ろに取り残されても、自分のスペースを確保することができないからです。
初心者で船を上手く止められない人は、スローセーリングとは船のスピードを殺す事だと誤解しがちですが、
止 まる事が大事でも、止まらない事が大事でもないのです。
周りの艇に揃える事。それが大事です。
周りが前に出て行くなら前に出なければ ならないし、周りが上っているなら上らなければなりません。
周りと列を揃え、無駄なスペースを消すことで、列に並んでない船から自分のスペースを守る事ができるのです。
隣でスローセイリングしている艇は敵ですが、走り出す 直前までは味方と考えることができます。
そういう意味で、スローセイリングの練習をするときには、自分のルームをキープしながらバウをそろえる練習をしなければなりません。
基準の船を決めないことにはスローセイリングの練習が成立しないのです。
ジブもメインも適当に風をあてつつ、
止まらないように、進みすぎないように、船の角度を変える。
当 然、スピードがありすぎるときは、ティラーを押し、
スピードが足りないときはティラーを引く。
初心者で「スローセイリングで止ま れません」「前にでちゃって困っています」
という人の9割くらいは角度が落ちすぎています。
理論的に考えて、風軸を向いてしばらくすれば 必ず船は止まります。
勇気を持って止まるところまでティラーを押してみましょう。
ジブがマストにつくくらいまで上ったら、スピードがなく なるまでしばらく待ちましょう。
必ず止まれます。
「ティラーを押しても引いても船の向きが変わりません」
という人は、ス ピードが足りなすぎます。
ヨットでも車でもそうですが、止まっている状態でハンドルを切っても向きは変えられません。
ハンドルを切った上 で、前に進んではじめて向きが変わります。
常にティラーの利きを残しつつ、最低限のスピードを維持するように、船の角度を微調整します。
セー ルに「適当に風を当てる」ときに、
ジブがかなり重要になってきます。
ジブは船の一番前についているので、張り具合によって船の向きたい方 向がかなり変わります。
てこの原理的に考えて、センターボード(支点)から遠いジブが効くのはリーズナブルな気がします。
ジブがバシッと クローズまで引いてある場合には、
どう頑張っても上に向けずスピードがついてしまいますし、
ジブが完全にシバーされていると、どうしても スピードが足りなくなってしまいがちです。
当てすぎず、完全にシバーせず、半シバーの状態が使いやすいでしょう。
どれくらいの半シバーが いいかはあまり気にしなくていい気がします。
クルーに半分シバーして。というと、大体誰でもできるので、本能で「半シバー」でよいです。
メ インは適当でいいでしょう。ノリで動かしたかったら動かせばいい気がします。
こちらも完全にシバーすることはせずに、若干リーチに風を当ててるよ うな気がします。
がっつり引いてしまうと下流れの原因になりますし、船も動かなくなってしまうので、
がっつり引くのはやめた方がいいと思 います。
しょっちゅう(一回の集合練習をしたら5回以上)あることですが、
スローセイリング中にスピード不 足で舵が効かなくなってしまうときがあります。
そのときにはティラーを引きながらジブを一瞬or数秒張りましょう。
また舵が効くようにな ればおっけーです。
スピードがつきすぎないうちにまたティラーを押して基本の状態に戻ってください。
スピードがなくなったの だから、セールを張って揚力を生まなければならないのは分かると思います。
でも、スローセイリングの状態では風位に近い角度を向いているので、
単 純にセールを引いても風が流れないのです。
だから、まずは兎に角ジブだけ引いてバウダウンしましょう。
ジ ブのバウダウンだけでスピードが回復しない場合には、メインも引いてあげましょう。
そしてヒールを起こしましょう。一瞬だけクローズホールドを走 るイメージです。
ちゃんとクローズくらいの角度まで落としていることが大事です。
上った角度のままセールを引いてもスピードは出ません。
そ のままクローズを走っていたら前に出てしまうので、
最低限のスピードがついたら基本の体勢にもどりましょう。
この止まりそ うなときになっているという自覚が大事です。
常にスピードを感じて、この状態になっていることに早く気づくことが大事です。
気づくのが 早ければ早いほどジブを引かなければならない時間が少なくてすみます。
要するに前に出なくてすみます。
逆に言えば、頻繁にこの状態が出てくるくらい
基本のときに上らせてスピードを殺し ます。
ジブを引けばいつでもスピードはつけられるので、勇気をもって上らせましょう。
一度完全になくなってしまったスピードは、
ク ローズを走らないとつけられないので、
スローセイリング中も下側に最低限のルームを残しておく必要があります。
このことは本能的に皆わ かっていると思います。
スローセイリングで必要なテクニックとしてルームを広げるハンドリングがあります。
少し前に出るか わりに、自分の艇をいくらか上側にシフトさせて、下側にルームを作る技です。
スタート時には自分の下側に沢山ルームがあったほうが有利なので、
並 んでスタートするときには、皆がこの技を使って自分のルームを広げようとします。
自分だけこの技が使えないと、そのままルームがなくなって死んで しまうので、
レースで並んでスタートするつもりなら必須の技術です。
止まりそうなときの要領で、一瞬クローズを走ります。
こ の距離は短ければ短いほど良いです。
練習を重ねれば短くなっていくでしょう。
スピードがついたかついてないかくらい加速したら、
ジ ブとメインをシバーさせてティラーを押します。
タックの要領で軽くアンヒールを入れるのも良いかもしれません。
このときにメインをシバー するのは結構大事な気がします。
何でか分かりませんが、スナイプは引いたままだと船が小回りしません。
メインを抜いてアンヒールが入るタ イミングで船がくるっと回ります。
470の人は結構ぎりぎりまでメインで船を回したほうがいいように見えます。
クローズを走って ティラーを押しっぱなしにするわけなので、当然船はタックします。
タックしてしまいますが、あせらずに自分の船のスピード・惰性を感じて下さい。
ジ ブセールはマストを超えて反対タックまでいくかもしれませんが、あせらないでください。
しばらくの間、逆タックのスローセイリングをするわけで す。
惰性がなくなるころにティラーを引いてできればスカリングを一発入れて、
基本の状態にもどしましょう。
その間メインは ずっとシバーか適当でいいでしょう。
気をつけるべきことは、逆ジブをしないことです。
反対方向のタックで走っているときに、逆ジ ブをしてしまうと
そのままタックが返ってしまって、船をぶつけます。
また、レースのスタートではポートタックになっている間や、
ポー トタックからスターボードタックのクローズ角度になるまでは権利がないので
ぶつけないようにしましょう。
あとは、強風でこれをやろうとす ると、間違いなくゴメンタックするので、
強風ではやらないようにしましょう。
ルームを作る技術と同じくらい重要なのが、ルームを消す技術です。
過ぎたるはなお及ばざるが如し。
必
要以上にルームを作りすぎているとそこを狙って入ってくる艇との争いが起こります。
無駄な争いはせず安定したスタートをしなければなりません。
と いうわけで、「ルームができすぎてしまったな。」と感じたらすぐに消さなければいけません。
ルームの消し方は色々です。
ルームを消すため にベアして、そのまま勢いがついて前に出てしまった。では意味がありません。
例えば下のような動きでルームを消すことができます。
普段の スローセイリング練習からシビアにルーム一定を心がけましょう。
1艇身~1艇幅くらい減らすとき
ジブもメインもシバーさせたまま 船の角度をアビームくらいまで落とす。
適当に近づいたところで風位を向け、完全にスピードを殺す。
多分、両方シバーさせているのでもとか らそんなにスピードはつかない。
最低限舵が効くスピードを残す程度にメインに風をあてるかも。
半艇幅
ジブをしばーさせた ままセンターをあげて、メインをがっつり引いて、オーバーヒールさせる。
それ以上あいている場合はさっさとベアして詰めましょう。
できる限り船を止めようとする中で、微速でバックすることがあります。
止まりそうなときの状態 のままずーっと風位を向いているとこの状態になります。
バックしている間は船の動きが制限されるので、できればやりたくありませんが、
た まにどうしてもそうしてでも止まらなければならないときがあります。
(または、スローセイリングが下手でそのような状況になってしまいます。)
船 が完全に止まり、微妙に下がりだしたとき、慌ててティラーを引いて戻そうとするといけません。
バックしているのでティラーの切る角度が逆になりま す。
バックしてることに気づいたら、そのままティラーを押しておきましょう。
バックしている時はティラーを押すとバウダウンなので、
ジ ブを引けば走りだせるようになります。
バックしている自分に気づくこと。バックしてるんだ。へー。とあわてないこと。
早く出艇で きた人は100mくらいバックしてみてはどうでしょうか。
バックに恐怖感がなくなり慣れると思います。
スローセイリングが場所取りのためにするものだということをスローセイリングの意味で書きました。
そ の「意味」がないときはスローセイリングをする必要がありません。
スタートというものは、スローセイリングでバサバサと並んで、
時間がき たら走り出すものだ。という固定観念を捨てましょう。
スローセイリングの意味がない状況というのは次のような場合が考えられます。
た とえば、
・並んでいる人が少なくてスカスカのとき
・並ぶまでもなく有利エンドからスタートできるとき
・空いているところから出れ ばいいや。という精神のとき(技術や凸の状態から)
・並んだ状態では出られないくらい下凸
・技術的に周りがきちんと並べないとき
・ チームレース
北海道のスナイプの場合、470にあわせて打たれたスタートラインが長いので、
いつもスタートラインはガラガラで す。
上凸がきつい場合以外スローセイリングをする必要がないのがほとんどです。
適 当な位置で待っていて、スピードをつけて出ても有利エンドからスタートできます。
ましてやスナイプは現状二校しかいないチームレースなので、全国志向でなければ並ぶ 意味が全くありません。
スローセイリングがうまくできなくてスタートが出られないという人がいたら、
うまくなるまではスローセイ リングしないでスタートしたらいいと思います。
まともなスタートをしないとレース経験がつかないからね。
5回ドベ取るよりも1回前走った ほうが良いレース経験ができる気がします。