From Northern Home '09
クラスルール
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hust
クラスルール(スナイプ)
2000年以前と2001年以降の違い
2000年以前に作られた船と2001年以降に作られた船では、マストの長さの規定が異なります。
まずは、自分の乗る船が何年に作られた船なのかを計測証明書などで確認しましょう。
2000年以前のクラスルールでは、スナイプのマストの長さ(高さ)はデッキからの高さ
(正確にはシャーラインからの高さ 後述)で規定されていました。
そのため、ビルダー毎にマストステップの高さが異なっても問題がなく、
それに応じて使用すべきマストの長さもビルダー毎に異なりました。
詳しい経緯はわかりませんが、おそらく、そのような状況ではマストの使いまわしなどがしにくいなど、
不便な事があったためクラスルールの改訂がなされました。
2001年以降のマストは単純に長さで規定されています。
どのメーカーのマストでも、どのビルダーの船でもマストの長さは同じになりました。
とてもわかりやすいし、お古を練習艇に回したり、融通が利くようになって助かりますね。
北大所有艇を例に出すと、29735までが2000年以前で、29903以降が2001年以降のモデルです。
同じ辻堂でもマストステップの高さが全然違うことに気付きます。
2001年以降のモデルでは、ルールが変更されて長くなったマストに対応するため、マストステップの高さが低くなりました。
マストの長さのルールはシンプルになり、とてもわかりやすくなりましたが、
スナイプは艇の寿命が非常に長く、古いルールの船もまだまだ現役で活躍しています。
そのような船たちを排除することはできないので、2000年以前の船と2001年以降の船で異なるマスト計測を行います。
マストを購入する時や、マストの使いまわしをする際に、このルールを知っていないと大変なことになります。
ヘルムやセールの形がおかしくなったり、パワーが全然なかったり、そもそもクラスルール違反だったりします。
そのような事が無いよう、スナイプのマストが二種類あるという事は知っておきましょう。
マストの計測については以下のように行います。
2001年以降
2001年以降に作られた船用のマストの計測はシンプルです。
まず全体の長さに関しては図1のように単純に長さを測れば良いです。
マストヒールからマストトップのブラックバンド下端までの長さが6499mm以下でなければいけません。
マストが長ければ長いほど、高い所の風を使えたり、セールを大きくできて有利ため、この決まりがあります。
マストトップのブラックバンドが正しい位置にある事がわかったら、次はブームの高さを確認しましょう。
マストトップの高さがすでに固定されているので、ブームの位置は低ければ低いほどセール面積が広がり有利です。
そのため、マストトップからブームまでの距離が規定されています。
マストトップのブラックバンド下端からグースネックのブラックバンド上端の長さが5112mm以内であることを確認しましょう。
それから、重心の位置に関する規定があります。
同じ重さの装備ならば、重心付近に重量を集中させた方が慣性モーメントが小さくなり、ローリングやピッチングに対して有利です。
従って、この規定がなければ、根元にバラストを集中させてマスト自体は細くて脆いマストが考えられてしまいます。
そのようなマストが出回ってしまっては、安全なレースができなくなってしまうため、重心の位置を規定することで、そのようなマストを禁止しています。
重心は低い方が有利になるので、ある程度高い位置に重心が来るように規定されています。
先に計ったグースネックのブラックバンド上端から1524mm以上上方に重心がこなくてはなりません。
計り方は、図1の★マークの位置にロープを巻き、一点で支える状態にして持ち上げます。その時に先端側にマストが傾けばOKです。
2000年以前
2000年以前の艇のマストの長さは船(メーカーや年代)によって異なります。
何か基準が必要になってきますが、マストの長さを計る基準はマストステップからの距離ではなく、「シャーライン」からの距離になります。
「シャーライン」は図2のような形状の治具で決められます。
色々な計測の基準となる「シャーライン」がこの治具の形で決まりますので、この治具の形は非常に重要です。
治具の形はクラスルールで細かく規定されています。
自分で作製する場合は、スナイプ級メジャラー講習会資料にテンプレートがあるので、
それを等倍で印刷し、型をとり、プラスチック板などの上に写すのが良いでしょう。
治具の使い方(図3)
①ハルの斜面にBとCを当てます。
②Aとデッキが当たるところまでそのまま下にずらす。
③デッキとAが接する点をつないだ線が「シャーライン」となる。
このシャーラインからの高さがマストの高さの定義となる。
シャーラインの高さが高さゼロの点として、そこからの長さを測ることになる。
マストのゼロ点を決めるのは次の手順(図4)。
ウォーターブレイキがある事や、シャーラインの高さはマストホールの中になってしまう事から、
少し面倒ですが正確に測るために次のように測ります。
①ポート側のデッキ近くのシャーラインとスターボード側のデッキ近くのシャーラインにマーキングをします。
②マストを垂直に立てて、マーキングした点を結ぶように、硬い真直ぐな棒を渡します。
③棒から左右のシャーラインまでの長さを測り平均します。(例えば7.0cmと7.2cmだったら7.1cm)
④棒の下端とマストが接する点をマーキングし、マーキングから先ほど測った長さ(7.1cm)下がマストの基準点です。
基準の点が決まったら、後は2001年以降のマストと同様、ブラックバンドの位置を決めればよい。
シャーラインからマストトップのブラックバンド下端まで6109mm以内。
マストトップのブラックバンド下端からグースネックのブラックバンド上端まで5112mm以内。
重心位置は下部のブラックバンドから1424mm以上。
・フォアステイの長さはサイドステイを外した状態でマストがマストホール後端に当たらない長さ
・ブラックバンドの太さは2.5cm