キノウツン藩国 @ ウィキ

寛容の至宝探し

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寛容の至宝

キノウツン藩国、比野家。

「ただいまー」

「「「「父ちゃーーーん!おかえりーー!!」」」」
「おかえりー」

いつも通りの我が家、いつも通りの光景。
最近ちょっと仕事が増えたりもしたけれど、
家に帰って家族の顔を見れば疲れも吹き飛ぶというものだ。

「ねー父ちゃん!」
「「「「おはなししてー!」」」」

「よーし、ええと昨日はどこまで話したかな」

「ぱぱがakiharu国まで行ったときのことだよー」

「レディってでっかいカマキリに会ったところ!」

「ああ、そうだったそうだった。
行方不明になった火焔…お母さん達を探しに僕らはみんなしてakiharu国にやって来た。
レディの案内で向かった先でお母さんは……(子供達の顔を見渡す)」

「(ごくり)」

「カマキリと組み手をしていた」

「すげー!!母ちゃんやっぱすげー!!」

「熱い戦いだったわ……」

「(いやほんとマジで心配したんですからね……というのはまた後にして、
あの時も涼原さんにはすごくお世話になったなあ)」


「ねー、とーちゃーん」

「ん?」

「画用紙ちょうだい!レディ描く!でっかく描く!」

「ああ、ちょっと待ってね(ごそごそ) …画用紙ー!
はい。みんなで仲良く使うこと。」

「わー!…ねえ父ちゃん、もっと大きいのない?これだとレディちっちゃい」

「うーん……今はこれしかないなあ……。復興途中で画用紙も限りがあるし……。ごめんなー」

「そっかー…。じゃあ先に子カマキリ描くー」

「うん、偉いぞ(なでなで)」

「えへへー」

「あ、静火ずるいー!ぱぱわたしもなでてー!」
「おれもー!」「もー!」

「分かった分かった。じゃ、一列に並んでー
んでもって、明日はお父さんがムラマサ合唱団と歌手デビューしたときのことをお話しよう」


~次の日~


「「「「とうちゃーん!!」」」」

「ああ、ただいまー…ってどうしたまっしぐらに」

「ほら、これー!(イラストを見せる)」




「おおー!これは凄い!どうしたのこれは?」

「勝海ねーちゃんにもらったー!きれいー!」
「手つないでみんな仲良しー!」

「そうかー。良かったなー!
みんな勝海お姉ちゃんにちゃんとありがとうしたかな?」

「「「「したー!!」」」」

「うん、偉いぞ。(みんななでる)」

「でねー父ちゃんー、やっぱりまだ大きい画用紙、ない?
僕たちもみんなで手つないでる絵、描きたいな」

「ううーん…。まだちょっと手に入らないんだ、ごめんなー…。」


「「「「(4つ子相談中)」」」」


「気にすんな父ちゃん!」
「画用紙がなくっても!」
「なんとかなる!」
「たぶん!きっと!大丈夫!」

「そ、そう……?なるべく早く復興に向けて父ちゃんも頑張るから…!」


~さらに次の日~



「ただいまー……あれ?今日は静かだね」

「子供達はもう寝ちゃった。昼の間中ずっと空歌ん所の子供達と外で遊んできたみたい。
体中砂まみれで!」

「そっかー。画用紙今日も用意できなくて可愛そうなことをしたなと思ったんだけど、
代わりの遊びを見つけたのかなあ」

「さあねえ(ちょっと笑う)?まあ、あの子らは何でも楽しいみたいだし」

「親に似たかな」

「どうだか」


~それからさらに2週間~



「「「「父ちゃーーん!!母ちゃーーん!!一緒に外行こーー!!」」」」

「おお?良いけどどこへ?」

「あの子達、何か見せたいものがあるみたいよ?」

「へえ、そりゃあ楽しみだ…!」


カンカンと照りつける日差しの下に、それはあった。

「こ、これは……これをあの子達が!?」




「そうか……画用紙は諦めたんじゃなかったんだ……。
もっと大きなキャンバスが見つかったから、要らなくなっただけだったのか……。」

「こっちのカマキリはakiharu国の、これは……ムラマサか……?」

そこまで口にしてはっと気付く。

「気付いた?」
「ああ。これは……僕があの子達に聞かせた話の」

「あんたがあの子達に話をするとき、
いっつも懐かしい顔で嬉しそうに話すもんだから。
あの子達、あんたに喜んでもらいたかったのよ。たぶんだけど」

「そうか……。あの子達が、僕のために……。
ああ、見れば見るほど記憶が蘇ってくるよ……!
大変だったり、腹が立ったり、そんなことばっかりだった気もするけど、
でもやっぱりみんなと出会えて、良かった。
そう言えるってことが、
そう言わせてくれる君や子供達がいてくれることが、
何よりの宝かもしれない。」


「「「「父ちゃーーん!母ちゃーーん!」」」」

「呼んでるみたい」

「みんな。火焔も。
本当に、……ありがとう!」




「みんな、みんな本当に凄い。楽しませてもらったよ。」

「「「「えへへー」」」」


ふと足元を見る。
他の絵と同じように地面に線が引かれているが、
その中に人物が描かれてはいない。

「ねえみんな。こっちの線は何かな?」

「「「「花びらー!!」」」」

「は、花?花ってあの咲く花?」

「「「「花ーーー!!」」」」

「……?」









「マトリカリア」


キク科の多年草。
高さは30cm~80cmほどで、直径1~2cmほどの小さな花をたくさん咲かせることで知られる。
名前はラテン語のmatrix(子宮)に由来し、主として観賞に用いられる。


花言葉は、"寛容"、"楽しみ"、"集う喜び"。



(絵:沢邑勝海、比野青狸)
(文:比野青狸)




これまで私は、思い返すだけでも両手両足の指では数え切れない程の方々と、
NWで出会ってきました。

それは決して良い思い出だけだとは言えませんが、
それでも私は自分の大切な思い出として大事に胸にしまっています。

寛容とは何か?
最近ずっとそのことについて考えています。

そして自分なりに出した答えが、「良い円環を作る秘訣」です。
人は多かれ少なかれ、誰かとのつながりの中で生きています。
自分の行動の結果は、目に見える見えないを問わず、円環で横に並ぶ誰かに影響を与えています。
円環で隣の人から渡されるものは、敬意や感謝、楽しみなどの喜ばしいものかもしれませんし、
敵意や暴言、怒りなどの悲しいものかもしれません。

多くの人は、誰かに親切にされたら嬉しいですし、蔑ろに扱われたら腹も立ちます。
つまり、その人にとって喜ばしい行為を円環の隣の人から受けたら、
自分の次の人にも喜ばしい行為をしやすい、する気分になりやすい、ということではないでしょうか。

逆に言えば誰かに嫌なことをされて沈んだ気分のまま隣の人に渡すものは、
同じように嫌なものになりやすい、ということでもあります。

そんな円環を良くするための秘訣である「寛容」。
これを実践するのは言うは易く行うは難し、なかなか難しいものです。
誰かに嫌なことをされても、あるいは嫌なことがあった後もなお、
自分の隣の人には出来るだけ良いものを渡せるように普段より少しだけ気を付けてみる。
みんながそれを行えば、円環は前より少しだけ良いものになるはずです。

どんなことも全て我慢しろ、ということではありません。
じわじわと蓄積し続ける嫌なもののうち、
どうしても抱え込まざるを得ないもの以外はスルーしたり、
他の楽しいことで粉砕したり、他の誰かと一緒に解決したり。何でもいいんです。

嫌なことを「自分で終わり」にすることが出来るならしてしまおう。だってそしたら他の人が楽になるもの!
他の人に楽してもらったら、次は自分も楽にしてもらえるかもしれないし、
どうせなら「良いものばっか渡してる俺素敵!いい人っぽい!」って自己満足でもいいから浸りたい!

そんなどうしようもなく楽天的な考えが、私の中の寛容の至宝です。

そしてもう1つ。私には愛する家族がいます。
例え嫌なことがあった日も、家族のことを考えると嫌な気分は和らぎ、暖かな気持ちが沸いてきます。
そうすると「一晩寝てゆっくりすれば気も楽になるさ」と、なんだか余裕が出てくるのです。
家族と一緒にいることで沸いてくるこの暖かな気持ち。これもまた、寛容の至宝だと思います。

































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