メイド学校紹介


キノウツン藩国の最大産業であるメイド喫茶
国内の主要施設や街道沿い、オアシスにまで設置されているが、何故これだけの数のメイドが働いているのか不思議に思われる方も多いだろう

ツン国内にはメイド養成施設(通称メイド学校)が各所に設置されている
これは国の重要な政策であるメイドさんの育成を行っていると共に、国外からやってくるメイド志望の人々が職に就けるように講習を行っているからである

ではここで政庁近くの学校に通うあるメイド候補生の一日を紹介してみよう

朝8時 登校
学校へと何十人ものメイド候補生が登校してくる。ツン国の朝の馴染みの風景だ
その中で一人のメイドが眠そうに登校している
「超眠い…眠いがこれ以上遅刻すると飯抜きになる…」
くあー、と大きなあくびをして、もじゃもじゃと歩いていった
ちなみに校則で月5回以上の遅刻をしたものは昼食の食券をもらえなくなる とある

朝8時45分 始業
メイドたちが集まった教室に女性教官が入ってくる
「おはようございます」
『おはようございます教官』
全員が立ち上がり、一礼した
(フヒヒ、間に合った。これで何とか飯にありつける)
にやにやとしていると教官から注意された。挨拶中ににやけているとは何事かという事だった
反省文30枚提出で済んだのはラッキーなのだろうか…

朝 9時 一時間目 礼儀作法
「メイド礼儀作法その1、お辞儀をする際の角度は45度である」
『メイド礼儀作法その1、お辞儀をする際の角度は45度である』
ざ、と全員がお辞儀をすると教官は前から分度器で角度を測っていく
(…いかん、教官がすぐ近くにいるのにあくびが出そうだ。計測中にあくびなんかしたらマジでぶっ飛ばされる)
しょうがないので必死に歯を食いしばってあくびをこらえていたら、表情が硬いと怒られた
ついてない

朝10時 二時間目 調理実習
メイドたるもの仕える先の食事全般を作れて当然、という訳で今日は宴会用の料理を作ることになった
「肉オーブンに入れるからガルニチュールお願い!」
「あ、見てるくらいならあたしやるからスープに回ってよ」
「…あんたこの前も同じ事言って魚任せたら丸焦げにしたじゃない」
「あの時はフライパンで蓋してたから…流石に外から見えるなら大丈夫大丈夫」
「…フライパンより火加減難しいんだから気をつけてよ」
酷く心配されたので頑張って見ていた。何度も開けて確かめていたら火が通り過ぎたらしくパサパサになった
泣く泣く一人で全部処分させられた。美味しくないよう…

朝11時 三時間目 戦闘訓練
メイドだっていざとなれば主人を守るために銃を取り、戦うべきである。

「いい?3つで同時に仕掛けるわよ(ひそひそ)」
「ういうい。わかってるわかってる(ひそひそ)」
こつこつ、と歩く音が近づいてきた
カウントを数える。1・2・
「さんっ!」
同時に左右から挟撃を仕掛ける。が、『標的』の姿が見えず危うく同士討ちになりかけた
「タンマタンマ!撃っちゃ駄目!」
慌てて止まった所にジャンプしていた『標的』がペイント弾を命中させた。顔と体育着が真っ赤に染まる
「両名とも『死亡』だ。週末に追試を行うので覚悟するように」

「うー、また追試になった。四天王は容赦ないなあ」
「立花様はまだ追試で済ませてくれるだけありがたいと思いなさいよ。明日だったら軍曹よ軍曹!」
教える教官の中でもトップクラスの実力を誇る4名の教官がいる
『玄武』萬・スペード(通称軍曹) 『白虎』クラブの丈 『朱雀』ダイヤ・立花 『青龍』ミント・F・ハート
校長であるアシタスナオがどこかからスカウトしてきた敏腕であり、鬼教官と生徒に恐れられるこの四人はいつしか四天王と呼ばれるようになった
「しかしやばいなあ。今日帰ったら運動着洗っておかなきゃ」
きゅ、とシャワーの栓を締めてお湯を止める。鏡でちぇっく、ペイントは落ちたようだ
「よし女前」
「どうでもいいけどあんた今日工場に行く日じゃないの?早く着替えないと間に合わな
いわよ」
「アッー!」
大慌てでばたばたと着替えて飛び出す。飯食べる時間があるだろうか
「ちょっと何で下着付け忘れていけるのよ!」

昼食を挟んで午後からはメイド喫茶での課外実習授業となる
現場で働いて実際の応対を覚えると共にお金を稼ぐことができる一石二鳥の授業なので、この授業で食費などを稼いでいる生徒も多いらしい
「紅茶入りました」
「それ3番テーブルに持っていって」
「アップルパイの注文入りましたー」

そして部活など特別な場合を除いてそのまま帰宅。
「あーちかれた。体育着は洗濯機に放り込んだし後は何かやることあったかなあ」
明日はもう少し楽だといいなあ、とかぶつぶつ口を動かしていたがその内寝言に変わった

メイド学校 
校長     アシタスナオ
教官     50名
現在生徒総数 489名
入学資格・メイドを志すもの
他国からの留学も大歓迎

(文・高原鋼一郎)