”アイドレスにおける根源力とは何かを世界設定的に考察してください”                〜イベント41 第1次共通資格試験 星見司資格試験 設問1〜 「何でなんだよちっくしょおおーーーーっ!」 半ば自棄になってオレは練習用の機体から転げ落ちるように降りると、 そのままフェンスにもたれかかって頭を抱えた。 オレが奇声をあげている理由。 それは、”ベテラン”と呼ばれる奴等が最近増えてきたことに端を発する。 オレの生きる国、キノウツンで例の大騒ぎが起きていた頃、 オレは例に漏れず隣国、フィーブル藩国に避難していた。 そして帰ってきて軍務に戻ったときに聞かされたのが、パイロット職の強化育成計画だった。 奇しくも今までパイロット一筋に生きてきたオレは、当然この計画を聞いて喜んだ。 最近急に歩兵の国キノウツンってイメージが付いて以来、どうも肩身が狭かったからだ。 その計画によると、経験豊富なパイロットが「ベテラン」という職業の着用を行うことで、 機体性能のフル活用や後進育成を図るらしい。 まあ、その時のオレにはそんな計画はどうでも良かった。 強い職業が着られる。もっと色んな機体に乗れる。それだけで満足だった。 操縦の腕前には自信があったし、ベテランパイロットも楽勝で着こなせる。 そう思っていた。 ……だが。 実際はご覧の通り、オレはいまだにただのパイロットのまま。 オレよりも腕のないやつが、オレより先にベテランを着こなしていった。 最初のうちはオレも羨ましさを隠して祝福していたが、 ベテランになれない日が続くうちにそんな余裕もなくなり、 次第にオレはベテランになれない苛立ちを隠しきれなくなっていった。 一体何が。何がオレに足りないってんだよ!? フェンスにもたれかかったままブツブツと独り言を呟くオレを見かねてか、 整備員であり、ほぼ同じ時期に軍に配属されたAがスパナを片手に寄ってくる。 「最近機体の扱いがひどいぞー?もうちょい優しく扱ってくれんと、俺も困るしあの子も困る」 「……うるせえ」 「またベテランになろうと躍起になってるんだろう? 激しく飛びまわりゃなれるってもんでもないだろうに……。 あれだ、先輩の操縦みたいに優雅かつ華麗な操縦をだな。 あと着地のときに姿勢が崩れてるからスラスターの噴射をもう少し強めに」 「パイロットでもねえお前が口出しすんな! ……それに先輩は先輩だ。オレとは違う」 そう吐き捨てると、オレは立ち上がって格納庫の出口へ向かった。 先輩……、先輩はオレとAとそう年は変わらない女性だが、 軍でもかなりの古参パイロットで、ベテランとなった時期もずば抜けて早かった。 口に出しては言わないが、オレも憧れている。 それだけに、ベテランを着れないままでいることは、 先輩との距離がどんどん離されていきそうで、怖かった。 オレはそんな思いを振り払うように、足を速めた。 「お、おい!まだ話があるんだって!」 Aがオレを呼び止める。こっちは一時だってじっとしていたくないというのに。 「何だ」 「いやな、お前もここんところだいぶ訓練付けで疲れてるんじゃないかと思って。 今夜整備部で飲み会があるんだが、お前も来ないか? 先輩も来るって言うし、いい気晴らしに」 「……ほっといてくれ!オレにそんなことをしてる暇はねえんだよ!」 Aを力任せに振り払うと、尻餅をついているAを尻目に、オレは格納庫を後にした。 腕前は負けてない。じゃあ一体何でベテランを着れないのか。 そんな思いに囚われ、早足のまま廊下を曲がろうとしたとき、 オレは曲がり角の向こうから現れた人物と派手にぶつかってしまった。 ぶつかった相手……スカーフの人は、にっこり微笑んで頭を下げると、横を通り過ぎようとする。 オレもそのまますれ違おうとした。 だが、相手が軍の編成統括者であり、 ベテランパイロット計画の立案者の1人であることを思い出したオレは、 今の疑問を素直にぶつけてみることにした。 「ふむー、ベテランパイロットのアイドレスが着れない理由、か」 オレ自身、あまり答えに期待はしていなかった。 長いこと悩んできた問題に、即座に答えが出ることはないだろうと思いつつも、 誰かに聞いてもらうことでやるせなさを解消しようとしたのかもしれない。 「根源力が足りてないんじゃないかな」 オレの予想とは裏腹に、スカーフの人はあっさりとそう答えた。 「根源力……?」 聞いたことのない言葉だ。 「あーごめん。第7世界人の言葉なんだ、根源力って。 でも根源力っていう言葉じゃないと説明が難しいから、勘弁してほしい」 「いえ、それはいいんですが……。何なんですか、根源力ってのは」 「職業、特に性能の高い職業を着用しようとするときには、 一定以上の根源力が必要になるんだ。 ベテランパイロットにも、その根源力による着用制限があるんだよ」 ……よくわからなかった。 だが、原因がその根源力とやらにあるのなら、活路は見出せるかもしれない。 「ベテランを着るための根源力っていうやつは、どうすれば増えるんですか!?」 「訓練とか……経験を積むと増える、かなあ」 「十分な訓練をしても、根源力が増えないときは、 ベテランになれないときはどうすればいいんですか!?」 「うーん……」 先ほどとはうってかわって言葉に詰まるスカーフの人。 訓練、経験ならオレだって十分積んだはずだ。 それに、それが原因ならオレより経験の浅いやつがベテランになれるわけがない。 「正直なところ、根源力が何なのか、どうやって増えているのかっていうのは 第7世界人でもわからないところが多いんだ……。本来なら星見司とかが考えることだからね」 そう言うと、スカーフの人は腕を組んで首をかしげた。 オレは彼に会釈をすると、その場を離れた。 「根源力、か……」 その根源力とやらを増やすことが出来れば、オレもベテランになれるのだろうか。 だが、肝心の方法はわからずじまいだ。 無理もない、俺はパイロットで、星見司じゃ…… ! そうか、星見司。 俺は格納庫へ戻り、パイロット用の個人ロッカーから携帯電話を取り出すと、 1人の友人の番号を呼び出した。 こいつは確か、星見司だったはず……! 「もしもし」 「もしもし。急な話で悪いんだが、根源力について知りたいんだ。何か知らないか?」 「根源力。どうしたんだいきなり」 「いいから頼む!星見司ならわかるんだろ?根源力が何かってのがさ!」 電話口の向こうから低く唸る様な声が届けられる。 どうやら、何か考えているらしい。 「根源力が何か、か……ずいぶんと懐かしいことを思い出させてくれるな君は」 「懐かしい?」 「もうかなり前の話になるが、僕らが星見司の登用試験を受けるときの問題が、 まさにそれ。『根源力とは何か』だったのさ。いやあ懐かしい懐かしい」 「そうか。で、何なんだ?試験問題だったんならわかるんだろ?」 「……わからん」 「は!?」 「回答はした。……だが、解答は発表されていないから正解は誰も知らないんだ」 「な、なんだよそれ……」 ベテランへの道が音を立てて崩れ去っていく気がした。 電話口では、なおも遠くを見るような友人の声が響いている。 「星見司なら知ってるかと思ったんだが、もうどうしようもねえなあ……」 「ん?何か困っているみたいだな。話を聞かせてくれ。 お役に立てないままでいるのは何とも心苦しいからな」 オレはベテランになれない理由が根源力不足にあるのではないかということ、 スカーフの人の言うように経験不足が原因なら、 オレより訓練期間の短いやつらがベテランになれるのはおかしいのではないかということ、 他、すがるような思いでこれまでのことをぶちまけた。 「なるほど、なるほど……」 電話口から神妙そうな声が流れ込む。 俺の発言を遡り、反芻し、検討する。真剣に考え込んでいるようだった。 「で、どうだ……?何か、わかるか……?」 「……わからん」 がっくりとうなだれた。望み、ここに消ゆ。 「……だよな。すまん、迷惑かけたな」 「わからんが、1つの説を思い出したぞ」 「説……?」 「ああ。回答集を見て、僕が当時一番気に入った説だ。 曰く、『根源力とは、その者の持つ可能性の現れである』と」 「可能、性」 「君の話にあったように、根源力が足りないと職業を着用できないという制限。 これをこの説で考えてみると、少しわかりやすくなるかもしれん」 「どういうことだ?」 「つまりだな、その人物の持つ可能性がその職業の想定する可能性に繋がって始めて、 その職業を着られる。とこういうことだな」 「……全然わからん」 「……わかりやすくするために、例を用いよう。 自転車の練習を頭に思い浮かべるんだ。 この場合、自転車に乗れる=着用制限をクリアする、ということだからな。 何度も転んで、体に傷を作りながら練習するうち、体が自転車に乗ることを覚える。 これはつまり、その者のバランス感覚、筋力、姿勢、その他もろもろの要素が 自転車に乗るための基準値を超えたことで、『自転車に乗れる』という可能性を生み出したわけだ」 「それは、まあわかるが……。それとベテランと、どう繋がるんだ?」 「これを、ベテランパイロットに当てはめてみよう。 『ベテランパイロットを着れる』という可能性に繋がるための要素、ファクターが、 いくつあるかはわからないが、必ずある。 これを全て満たしたとき、それがベテランを着られるときではないだろうか」 ……おおよその話は、掴めた。 だが、オレはまだ頭のどこかで納得しきれていなかった。 「お前の話は、わかった。 でもな、そうするとやっぱり話は振り出しなんじゃねえか?」 「どういうことかな」 「ベテランパイロットを着るためには、それに繋がる条件を全て満たさないといけないわけだ」 「そうだな」 「オレは機体の操縦や戦闘のセンスにかけては、誰にも負けるつもりはねえ。 ベテランを着てる奴らにだって、勝ってるとすら思っている。 ……ってえことは、だ。 結局ベテランになるために足りねえもんがわからねえって振り出しに戻っちまったじゃねえか」 「ベテラン着用の可能性に繋がるために必要そうな、機体の操縦面は満たしているってことか」 「ああ。ほら見ろ、振り出しだ」 結局なぜベテランを着られないかわからない。 それがこの会話の収穫だと気付き、オレは泣きたくなった。 ……が、オレの絶望は、電話口から響く笑い声にかき消された。 「……何がおかしい」 「頭固いなあ!機体の操縦能力が十分なら、 足りないところはそれ以外の部分にあるに決まってるじゃないか」 言われてオレはハッとした。 ベテランパイロット。パイロットの上位職と聞いて以来、 オレはその語感通りに「パイロットより優れた操縦能力」こそが その必須条件だと信じて疑わなかった。 しかし、そんなオレの固定観念は、 この乗り物にすら乗ったことのない友人の一言に吹き飛ばされてしまった。 確かに、操縦能力はパイロットより遥かに高いレベルのものが求められるだろう。 だが、それはあくまで条件の1つだ。 他にも条件があるかもしれないことを、 オレは操縦技能に磨きをかけることに囚われるあまり見失っていた。 「そうか……そうだな。どうして今まで気付かなかったんだ、オレは」 「1つの考えに固執すると、他に目が行かなくなる。 周囲に気を配れ、柔軟な思考をしろ。……これすなわち星見司の基本なんだが、 他の職業でも通用するかもしれん」 「ああ、そうみたいだな。……だがそうすると、ベテランになるために足りないものは何なんだ」 「そこは自分で考えてこそ、だろう?僕はパイロットじゃないんだ」 「……そうだな。これは、俺の問題だ」 「わかってるならよろしい。でもまあ、きっと操縦能力と同じか、 それ以上に大切なことなんじゃないかな、たぶん。 もうそろそろ切る。次はもうちょっといい話でかけてくれるとありがたいな!」 そう言うと、電話はくっくっという小さな笑いとともに切れた。 操縦能力以外の、ベテランパイロットに必要なこと……。 考えれば考えるほど、思考の深みに嵌って行くようだった。 ロッカールームを出ると、オレの足は無意識のうちに外へと向かっていた。 格納庫から出ると、陽はすでに大分傾いている。 訓練の終了時間を過ぎ、乗り手たちが続々と帰還し始める。 その中に、先輩の姿があった。 届きそうで届かない位置にいる、憧れの人。 先輩はぼんやりと立っているオレを認めると、手を振りながら走り寄ってきた。 「おーす。元気してたー?」 「ええ、まあ」 「はい、ダウトー。表情が暗い、悩んで憂って仕方がないって顔してる」 そう朗らかに言い放つと、先輩はオレの両肩をパンパンと両手ではたいた。 普段から笑顔を絶やさない太陽のような先輩だが、 他人の不調には必ず気付いてこんな風に彼女なりの励ましをする。そんな人だ。 「悩みの種、当てて見せようか。……ベテランになりたい!そうでしょ!」 グサリときた。流石に鋭い、が今はその鋭さが刃物のように抉り込んでくる。 「……なぜわかったんですか」 「顔に書いてあるわよ。それが半分。 もう半分は、最近のあなたの訓練。機体が悲鳴を上げてたわよー? 『助けて!』って」 「悲鳴、ですか」 自分でも、かなり無茶な操縦をしていたのはわかっていた。 ベテランを着ることの出来ない焦りや不安、苛立ちを、 そうすることで発散させようとしていたのかもしれない。 だが実際には発散などせず、かえって自分の中に重く蓄積され、沈殿していったのだった。 「どうもベテランになるために必要なことを勘違いしてるんじゃないか、 そんなことを差し出がましくも思ってしまったわけです、わたし」 おどけるような口調。 だがそんな口調の裏には、自分への気遣いが感じられた。 先輩の表情はゴーグルに隠れて見ることが出来ないが、真剣な目で見つめられているに違いない。 「操縦能力以外にも、ベテランパイロットになるために必要なことがある、そこまではわかりましたよ」 「おおっ。このまま事故死しちゃう前にストップしなきゃ! と思った私の予想を上回る成長っぷりではないですか」 「茶化さないでください。まだそこ止まりで、 何が必要なのかは全然わかってないんですから」 「『むちのち』という言葉がありまして。 知らないことがあると自覚しただけ立派よ立派。 ちょっと前までのあなたに比べたら、月とツキノワグマ」 そんな会話をしながら、格納庫の中へと戻る。 多くの者が夕食へと出かけ、格納庫内の人手はまばらだ。 オレも夕食をとろう、 そんなことを考えながら機体の列を通り過ぎようとしたとき、先輩が足を止めた。 「……先輩?」 「必要なこと」 「……?」 「ベテランパイロットに必要なこと!大ヒントをあげる」 そう言うなり、先輩は機体の列の一角を指差した。 その指の先には、汗と油にまみれて機体整備をしているA。 「A、が大ヒント、ですか?」 人指し指を上に立て、指を振る先輩。 「大ヒント2。A君が整備している機体、あれは誰のでしょう」 冷たい手で心臓が握りつぶされたかのような感覚。 あれは、Aが整備しているのは、 ……オレの練習機だ……! 「大ヒント3。A君は先ほどから機体のスラスターを念入りに調整しています。何故でしょう」 ……オレの着地姿勢が崩れているからスラスターを、って……! 「大ヒント4。今夜整備部で何があるでしょう」 ……慰安の飲み会だ!酒好きなAは、前々から今日を楽しみにしていた……! それなのに、それなのにっ…… 「最終ヒント。A君が彼には整備義務のない練習機の、動作不良でもないスラスターに、 整備部での数少ない娯楽をキャンセルしてまで長時間必死の整備をしているのは、 果たして誰の」 「オレのっ……オレのためっ……! オレが無茶して機体にダメージを与えるからっ……! 普段でさえも追加で整備させてるってのにっ……!」 途中からは、あふれる涙と嗚咽で言葉になっていなかった。 オレはもうなりふり構わずAに駆け寄り、泣いた。恥も外聞もなく、泣いた。 オレに釣られてか、Aも泣いていた。 二人して泣きながら機体の傍で肩を組んでいる光景は、 傍から見れば異様だったかもしれない。 だが、オレもAも、そんなことはどうでも良かった。 「やれやれ。ベテランパイロットに必要なこと、わかったかな?」 先輩が夕陽を背負いながら歩み寄る。 パイロットスーツに反射した輝きが、やけに眩しかった。 「正直、根源力とか可能性とか、難しいことはまだわかりません……。 でも、人として大切なことにはようやく気付くことができました……! 先輩、気付かせてくれて本当にありがとうございました!」 そう礼を言う俺に向けて、先輩は音が出るほどの勢いで人指し指を突き出した。 「そう!それ!」 「……?」 Aと顔を見合わせ、お互いに首をかしげる。 「ようやく言ったわね、『ありがとう』って!」 言われて始めて気が付いた。 今日1日だけを見ても、オレは一体どれほどの人に感謝しなければならないだろう。 だが実際に口に出してありがとうと言ったのは、これが初めてだった。 「いやー、腕前は確かに凄いのよ、あなた。 でも、自分以外のことが全然見れてなかった!特にありがとうの心がゼロ! これじゃあ、いつかは腕前とは関係ないところで死んじゃう。そう思ってヒントまであげたのよ? そしたらびっくり泣き出しちゃうんだもの、なんか悪いことしちゃったみたいじゃない!」 マシンガンのようにまくし立てる先輩。 だが今は、そうした言葉も温かく感じられる。 「先輩。改めて、ありがとうございました……。 Aも、本当にありがとうな。そしてこれからも、よろしく頼む」 「うん、お前から礼を言われるってのはむず痒い。でも、悪い気分じゃないな?」 「さ、ありがとう合戦は後にして、飲みに行くわよ飲みに! 私だって楽しみにしてたんだから、整備部飲み!」 「オレも行って、いいかな……?」 「さっき誘っただろ!」 「ありがとう!……あ、そうだ。スカーフの人と、もう1人、誘ってもいいかな? 星見司やってるやつなんだけど」 「もちろん!ゲストといえどもべろんべろんに酔ってもらうわよ! 『僕が一番I=Dを上手く運用できるんだ』とかそんな台詞を吐くくらいにね!」 ……そして。 それから数日、オレはベテランパイロットになった。 任命式を終えた後、握り拳で軽く俺の胸を小突きながら 「ようやく来たわね。まあ、別にベテランになるのを待ってたわけじゃあないんだけど!」 と不敵な笑みを見せた先輩の顔が、妙に心に残っている。 星見司の友人は、飲み会でぐでんぐでんになりながら 「なるほどなるほど、ベテランパイロットの可能性に繋がるファクター。 腕前以外にそんなものが必要だったとは……。 古来、物を大事に扱う者には物も恩義をもって応えるというからして、 パイロットとその周囲の因子の結び付きこそがベテランパイロットの可能性の根源という説が…… ようしこうしちゃいられん、早速執筆に移って」 などと新たな持論をぶち上げたところで、ダウンした。 ベテランパイロットの着用に、根源力による制限があるのはどうやら本当らしい。 だが、結局それが意味するところは謎のまま。 根源力が可能性だというあいつの説も、真偽を知る術はない。 オレに出来ることは、オレの経験を後に続く者たちへと受け渡すことだけだ。 もちろん、技術だけではない。 機体の操り手として、そして人として大切なこと。 それを忘れない限り、このアイドレスはオレに応え続けてくれるだろう。