8月26日,27日

合宿形式で,短期集中型の研究会を実施した.

まず,今回の研究会が,今年度のプロジェクトの成否を占うものになるとの認識から,申請書に記載した,今年度の目標を再掲する.

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申請書に記載のH22年度の目標
A) 搭載センサーの種類,個数,PCやバッテリーなどの種類と大きさ,台数,収納した形態などの検討
B) 基本的な制御システムの構築
C) 簡単な回避行動や緊急停止
D) 大まかな地図に基づいた自己位置の正確な推定方法の検討(の一部)
E) 添付型記憶媒体の有効な利用法の研究
初年度は,まず,全体のプランの仕上げと基本的な機能の作成を行う.すなわち,台車ロボットに搭載するセンサーとPC,バッテリーなどを搭載したロボットを,外形を考えながら設計,構築する.
ロボットを走行させるキャンパス内のマップをまず作成する(これは手作業).マップには細かい付属物などは記載しない.概地図を与えておくことで,推定を逐次的に繰り返すことに起因する累積的なゆがみその他の劣化要因から解放される.
その地図に基づき,ロボットを走行させたときの自己位置の逐次推定アルゴリズムを,制御用PCのプログラムに組み込む.なお,組み込む前の段階で取り込んだセンサーからの信号とオドメトリーの値を使って,自己位置推定の実験をする.この作業は単年度では困難な課題であり,次年度も行うことが必要である.
今回の研究会(H22/8/26-27)では、A)~C)を中心に行う。
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KoRoのソフトウェアは、RTミドルウェアを使って実現することになった。RTモジュールができれば、簡単に他のシステムに組み込めるため、ロボットを、Segway RMPだけでなく、以前から共同所有しているPioneer 3-DXでもKoRoを実現し、複数のロボットを動かすことを考えていきたい。Pioneer 3-DXは屋内用である.
 Segwayは自律的にバランスをとって動くため、前後にかなり揺れることが宿命的である。それは、カメラやレーザースキャナによる自己位置推定やSLAMにとってより難しいテーマとなるため、3輪のロボットPioneerでまずいろいろな機能を実現してからSegwayで実現を図る方がよいと思われる。そのため、それぞれのロボットで次のような機能をはかることを先決とする。

Segway RMP


まずは、操縦ロボットをこの上で実現し、KoRoを現実的に見えるものとして出現させることを目指す。

センサー取り付け


アルミ板などで取り付ける。
  • レーザーレンジスキャナ(前方;障害物検知。道路のでこぼこを検出するには、角度をつけて斜め下をスキャンさせる3~4m先の道路。当面は水平前方の障害物を見たり、自己位置推定をしたりするには用いない)
  • USBカメラ(低位置;足元道路検知用)
  • USBカメラ(目の高さ;人とのインタラクション、目的の物を検出など)
  • 全方位カメラ(?)
  • GPS

何を自己位置推定に用いるかは,今後の検討課題.

基本的な機能:


  • 前進、後退、回転などを操作パッドでスムーズに行えるようなソフトウェアの作成。タッチパネル(iPad等)による操作は可能か?
  • 路上の障害物を見つけ、自動的に回避行動を取る(人、箱、自転車、駐車中の車など)
  • 道の端の溝や壁など、道のエリアを的確に捉え、そこをはみ出さないようにする
  • オドメトリーにより、自己位置を計算する

形状について


  • 骨組みだけ作り、上から部分的に顔をつけたり帽子をかぶせたりするのでもそれなりにロボットに見えるはず。
  • テーブルから下は、スカートのように、布を巻き付ける?
  • キャンパス内で荷物を運搬するという利用目的を設定したいので、荷物を載せる台をつける
  • バンパーをしっかり取り付ける


自動移動機能
  • 車庫入れ(自分の台車を見つけ、自分から定位置に帰還).ただし,台車に自分で乗るのは無理なので,台車を見つけ,その前まで行くという動作を実現したい.

卒業研究では,田中研の学生に,次のセンサーを使えるようにプログラムの準備をさせている.
  • 小型無線加速度センサー(ATR製WAA-001; bluetooth)
Segwayの姿勢を常時これによりモニターし,それによってカメラやレーザーレンジスキャナによるデータの傾き補正を行う.
  • 距離画像センサー(日本信号製FX-6,2次元のレーザーレンジスキャナ)
比較的近い所をスキャンする.得られた距離データをポリゴン化し,その法線を調べることで,路面と溝や障害物などを検知することを目指している.

Pioneer 3-DX


センサー取り付け
アルミ板などで取り付ける。
  • レーザーレンジスキャナ(前方;障害物検知および自己位置推定に用いる)
  • USBカメラ(足元道路検知用)
  • 全方位カメラ(自己位置推定に用いる)
  • GPS

今回の研究会で実現できたこと


  • 3つのRTコンポーネント(リモコンRTミドルウェア+SegwayRMP:メーカー提供のRT-ミドルウェア+オドメトリー表示RTミドルウェア:薬師君作成)の連携により,操縦しながら,自己位置を表示,保存することが可能になった.また,表示間隔を20Hzで,高速にリアルタイム表示できるようにした.
  • URG(Top URG)のRTミドルウェア(伊藤氏作成)により,URGの取得した距離データをリアルタイム表示,保存することが可能になった.
  • さらに,UXM-30LX(Ether)についてもRTミドルウェアができた.
  • オドメトリー表示とURG表示の両方のプログラムが,所望の速度で実行できた.これにより,RTミドルウェアによる全体のシステム構築が可能であることが見えてきた.
  • Segwayのテーブルを支える足の部分にネジをつけて,木製の棚を2段作った.ここに,URGセンサーをアルミ板で取り付け,さらに,それのバッテリーを取り付けた.
  • テーブルの部分のねじ穴にちょうど入るネジ付きの棒を4本購入した.この部分にセンサー(カメラや全方位カメラなど)を直接取り付ける予定である.ロボットの顔の部分は,何らかの手作り的な素材になる可能性が高い.

今回できたロボットの写真を以下に掲載する.

今回の作業の様子を写真で示す.

次回の予定

9月16日
最終更新:2010年08月30日 09:55