アマノジャック@新ジャンル専用
新ジャンル「未来人で宇宙人で超能力者で幽霊」01_vol01
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新ジャンル「未来人で宇宙人で超能力者で幽霊」
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- 1 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/06/10(日) 15:26:15.31 ID:Q3OJFfdbO
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無理だよ・・・書けないよこんなの・・・
- 2 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/06/10(日) 15:30:20.91 ID:sz2rpsFF0
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書け!負けるな!くじけるな!
- 3 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 15:40:53.20 ID:VOwdTW8V0
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足すとより良くなるものがある。
納豆に醤油を加えるとおいしいし、黒ボールペンに赤青も付いていると便利だ。グライダーに発動機を取り付けて連続飛行を可能にしたり、数学に生物を足し合わせて遺伝学を作り上げたり。
創意工夫は人類の発展の礎としていろんなことをなしてきた。
……ただまあ、納豆に醤油と砂糖とみりんとノリとごま油と生卵を加えてしまうひともいる。ひとつひとつの良さとは別次元の何かをこの世に生み出してしまうそれは、ある種の才能とさえいえるだろう。好意的に捉えれば。
- 4 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/06/10(日) 15:41:08.81 ID:iKzk4nsG0
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未来の宇宙から来た超能力者の幽霊
どうすりゃいいんだよ… - 5 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 15:44:51.24 ID:VOwdTW8V0
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未来人。
悠久のかなたからやってきた未知の技術の集大成。
既に通った道に舞い戻るという、現代の無理をやってのける素晴らしき。
なぞの光線銃を片手に辺りを吹き飛ばし、なぞの巨大生物の戦闘能力をゴーグルひとつで看破する。
使命を帯びてやってきた彼女はこの世界をどのように変えようというのか。これを妄想するだけでも一週間は食べられる。 - 6 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 15:48:35.58 ID:VOwdTW8V0
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宇宙人。
遠雷の向こうからやってきた奇妙と不思議の集合体。
まだ見ぬ姿にまだ見ぬ技術、知らぬ生態分からぬ感情。
なぞの飛行物体に乗って現れ、なぞの能力で惑わせる超越者。
友好かはたまた侵略か、任務かあるいは偶然か、彼女はこの世界にどのように関ろうというのか。これを妄想するだけでも一週間はお米が要らない。
- 7 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 15:58:00.30 ID:VOwdTW8V0
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超能力者。
DNAと脳髄の隙間からやってきた物理と生物の特異点。
気付かぬだけか、もしくは人類の異端か人類科学をあざ笑う恐ろしさ。
なぞの知覚で妄想さえも察知して、なぞの力で激しいツッコみを入れる超越者。
思うは人類への憂慮であるか、地震への憂鬱であるか、彼女はこの世界でどのようなことをなしえるのか。これを妄想するだけでも一週間は水が要らない。 - 9 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 16:02:10.35 ID:VOwdTW8V0
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幽霊。
精神と肉体の別離からやってきた科学と哲学の相違点。
否定がいくらあろうとも次から次へと出現するその存在の珍奇たるか。
なぞの原理で目に映り、なぞの動きで空間を跳躍する思念抽出の完全体。
この世への恨みか、来世への不安か、彼女はこの世界にどのような悩みを持つのだろうか。これをもうそうするだけでも一週間は空気が不要。 - 11 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 16:07:40.69 ID:VOwdTW8V0
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ああ、現れてくれないだろうか彼女たちが。
そう、僕の目の前に。そして、前略中略の末に睦みあい愛を語らいこの世界の中心になれるような感動物のストーリーが流れないだろうか。
単に未来人や宇宙人や超能力者や幽霊じゃあダメだ、限定すべきは『女の子』。それもかわいいことが最低条件。性格は大事だけれどもそれだけじゃあ世の中渡っていけない。
いやいや、キレイゴトのオブラートは大事だよ。うん。
だから僕は現代一般極普通の人々には多くを求めない。求めるのは『彼女』たちだけであって構わない。 - 12 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 16:11:16.41 ID:VOwdTW8V0
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――と、そんな僕が、幽霊で超能力者で宇宙人で未来人になるとは、夢にも思わなかった。
僕こと、木下優、十六歳三ヶ月は、改造エアガンを持った銀行強盗にあっけなく射殺されて、肉体からサヨナラした。お恨みもうしあげます。 - 13 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/06/10(日) 16:16:40.19 ID:4QWTCQpL0
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ちょっと、チャレンジ。
女が謎の死をむかえてから、1ヶ月半…。
俺たちのクラスも、やっと今までの雰囲気を取り戻しかけていた。
――がらっ
男「おっす、おはよー」
――ざわざわ…
男「ん?なんだか妙な雰囲気だな。どうしたんだ?」
男友「あ、男か。なんか妙な噂が流れててさ…」
男「妙な噂?」
男友「昨日、ビル工事の現場で、ある人を目撃したって…」
男「ビル工事…そういえば、昨日鉄骨の落下事故があった?」
男友「そう、そこ!落下した鉄骨を宙で受け止めたらしいんだ」
男「鉄骨を宙で受け止めた?ありえねぇ!」
男友「それだけじゃなくてだな、その人物ってのが…」
――がらっ
女「おはよう」
クラスメート「!」
男「…女?…嘘だろ…死んだはず…?」
男友「や、やっぱり噂は本当だったんだ!鉄骨を宙で受け止めたのは彼女だって!」
男「おい、女!おまえ…」
女「ごめんなさい、男くん。今まで黙っていたけど、私、地球人じゃなかったの」
男「…はい…?…まぁいいや、生きていたなら。…これからもよろしくな!」
――すかっ
男「うぉっ?体をすり抜けた?」
女「あ、これ、霊体だから。実体はないから…」
男「うそーーん!」
……こうですか?
- 14 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 16:17:40.19 ID:VOwdTW8V0
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目が覚めたのは、記憶にない感触のクッションの上だった。
ぐにゅ、とか。あるいはむにゅ、と軟らかく包み込むそれに顔をうずめた状態。
ああ、気持ちがいい。
何とはなしに僕はそこに頬を擦り付けた。
すりすりっと。
「あ、あの……クローさん?」 - 15 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/06/10(日) 16:19:03.36 ID:qILBeMgS0
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女「もうすぐ地球に隕石が落ちてきて地球は消滅してしまうの」
男「何でそれが解るんだ?」
女「それは私が未来の異星からきたから」
男「それならどうしてお前はここにきたんだ」
女「地球の消滅の運命を変えるため・・・」
男「お前に・・・できるのか?」
女「私は超能力者だから・・・でも、このままじゃだめ」
男「だめって何が?」
女「この時代に来るときに私の肉体は滅んでしまったの」
男「そうか、それじゃぁもう打つ手はないというわけだ」
女「いいえ、あなたが協力してくれればきっと地球の運命を変えることができるわ」
中略
男&女「まっがーれ!!!」
地球は救われましたまる
てかこれ 無 理 ☆ - 16 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 16:20:05.22 ID:VOwdTW8V0
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なにやらクッションはしゃべった。
正確にはその真上。
声質はソプラノ。
つまりは――
急速に覚醒し、同時に頭が真っ白になるほど冷える。
「え、あ……っ!?」
クッションから顔を離すと、そこはふたつの山であり、上には女性の顔があった。 - 17 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 16:24:12.18 ID:VOwdTW8V0
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「ぎゃあああああああああああああああ、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
大慌てで身体を引き剥がし、温泉を掘り出さんばかりの勢いで頭を地面にごすごす叩きつける。
これはまずいこれはまずいこれはまずい。
よく分からないけれども僕は意識を失っていた。そこに女性。介抱。寝ぼけて抱きつき。胸強襲。
失礼とか失礼じゃないとかいう問題じゃあない。全力でひっぱたかれても訴えられても文句が言えないような大失態。
わざとでないことを主張してもそこにある純潔はいかんともしがたいものであるからにして女性が納得行かなければやっぱり慰謝料が求められて裁判沙汰になってる人間は職につきにくいだろうから
要するに、お先真っ暗。 - 18 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 16:28:03.45 ID:VOwdTW8V0
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「ど、どうしたんですか、クローさん!?」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
こうなっては一縷の望みはごめんなさい製造機になって許しを乞うことのみ。なにとぞなにとぞ平に平に。
ぐい、と顔を上げさせられた。
さあ、糾弾が始まる。ここから始まるべき物語はなく、もちろんのことながらラブストーリーなど皆無で、つまるところ即死するのが妥当とさえ思えるような人生を
「大丈夫ですか?」 - 19 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/06/10(日) 16:28:47.01 ID:7H1B1ksx0
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ID:VOwdTW8V0に期待www
- 20 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 16:34:16.16 ID:VOwdTW8V0
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美人だった。
すらりとした手足に細い身体、髪は長くて金色に輝きさらさらと伝う清流のよう、鼻筋はとおり、碧眼は明るく、眉に口元輪郭も整い、つむがれる声は小鳥が歌うよう。
ありがちによるありがちのためのありがちのための外見。一言でならばそうまとまる美人。
心配そうに見つめる彼女を落ち着かせてあげなくては。
「は、はひ、大丈夫れす!」
……ろれつが回ってない。 - 21 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 16:38:03.28 ID:VOwdTW8V0
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「クローさんは身体が弱いんですから、無理はなさらないでくださいね……?」
「は、はいっ!」
『くろーさん』が何かは分からないけれども、とにかく僕を心配してくれていることは分かったので答えた。
「気持ちはありがたいですけれど、今日のお手伝いはここまでで十分です。ありがとうございました」
ぺこっと両手をそろえてお辞儀をする彼女。
ああ……可愛い……。
手伝いなんてした覚えもないけれども癒される……。 - 22 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 16:44:02.55 ID:VOwdTW8V0
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清涼な風、高い空に響く笛の音、回る水車に跳ねる水、ほのかに土の香りがする土地を背景に、彼女は美しくそこに微笑んでい――
「ここ何処だぁあああああああああああああああああああああああああ」
見知らぬ空気、聞き覚えのない笛の音、存在不明の水車、アスファルトばかりの土地は何処に消えたか!?
「え、え、えっ!? ぎ、銀行は? 足長銀行! お金おろしに来た足長銀行! 道路は? 車は?」 - 23 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 16:49:23.58 ID:VOwdTW8V0
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見返す見渡すぐるりと周囲を。道はすべて土。なだらかな平地で遠くに山が見えるだけ。家はある、しかしどう見ても木造建築。ひとはまばらで、東京の雑踏には見えない。
「あ、あの……クローさん?」
耳。
とがってる。
「エルフ耳ィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ」
日本人じゃなかったことに気が付かなかった愚鈍を呪うべきか、今ここに至ってようやく彼女の耳が長くとがっていることに気が付いた自分の阿呆さ加減をののしるべきか。
- 24 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 16:54:00.27 ID:VOwdTW8V0
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「大丈夫ですか、クローさん? 本当に、もう少し休んだ方が……」
あああああああ、そうだそうだ。休もう休もう休めば回復する。きっとこの妄想めいた幻覚も回復する。夢から覚めるネバーランドなんてないさお化けなんて嘘さ。
「女の子なんですから、身体を大事にしてください」
は?
「……女の子?」
自分を指差しながら訪ねる。
「はい。クローさんだって、可愛らしい女の子なんですから無理をしちゃいけません」
視線を下ろす。
胸が隆起している。
触る。
むにゅむにゅ。
彼女には劣るな。
そこまで考えて、
「クローさん? クローさんっ!?」
僕は意識を手放した。 - 25 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 16:54:44.70 ID:VOwdTW8V0
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明らかに誰も読んでいないようだからやめるかw
- 27 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/06/10(日) 16:59:33.40 ID:q/oyHMtZ0
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sageるからだろwww
- 28 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/06/10(日) 17:04:08.32 ID:sz2rpsFF0
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書け!負けるな!くじけるな!
- 30 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 17:07:42.16 ID:VOwdTW8V0
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木下優はたぶんあっさりと死んだ。
東京の片田舎、通学路の途中にある足長銀行を僕はしばしば利用していた。
といってもしょせんは学生。祖父母からお年玉として振り込まれた貯金を少しずつ切り崩すために通帳を作ったようなものだった。
そのときの僕は、学校帰り。
友人と分かれ、街中に入り、買う予定だった漫画のために預金を下ろそうとして銀行に向かった。
行内ATMでドットの粗いアイコンで描かれたお姉さんと挨拶をし、誕生日に三を加えた暗証番号を入力する。
- 31 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 17:15:22.49 ID:VOwdTW8V0
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預金額は二万とんで百円。
ここで多めに下ろしておいて後々までもたせるか、それとも手数料は無視してちびちび下ろして使うべきかとしばし考える。
後ろに誰も並ばずに済むだけATMの数は充実していたので、ひとを気にすることなくゆっくりと悩める。
本当は決めておくべきなのだろうが、それでもこれは重要な問題。
やはり友人たちにならってバイトを増やすべきなのだろうか、いやいやわざわざ進学校に受かったのに時間を削るようなまねも
バン
とそこで、背中から腹に、そして首筋から全身に続く激痛が一瞬走って、ATMの画面にヒビが入って、ドットのお姉さんが血に濡れて泣き笑いのような顔になっているのを見た。
- 32 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 17:17:40.23 ID:VOwdTW8V0
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そこで途切れた。
だから、『たぶん』あっさりと死んだ。
『クローさん』な僕が目覚めたのは、そちらの世界で夕日が見えるころだった。 - 33 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 17:22:56.63 ID:VOwdTW8V0
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西日。
ここが西に太陽の沈む場所なのかはともかくとして、暮れかかって影が細く伸びる日。時間間隔その他がどうなっているのかさっぱり分からないが、ともかくそんな時間に僕は目を覚ました。
ベッドに仰向けで寝かされていた。
身体を起こす。ふかふかとしたベッドは、素材がいいのか軽く跳ねた。 - 34 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/06/10(日) 17:28:31.15 ID:aHhWZudx0
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wktkが止まらないんだが、どうすればいい?
- 35 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 17:28:36.86 ID:VOwdTW8V0
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辺りを見る。壁にも床にも木目の見える部屋は、わずかな装飾やカーペットで覆われるのみ。
自分を見る。細くて色白でいかにも弱々しい手足は、記憶とまったく符合しないのに自分の手足として動く。
頬をつねる。痛い。ぷにぷに。
ベッドから降りる。服はひらひら。薄い布地で、下はスカート……。
姿見はないが、小さな机の上に手鏡があった。 - 36 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 17:29:39.43 ID:VOwdTW8V0
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- 39 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 17:35:35.04 ID:VOwdTW8V0
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全然見覚えがない。
腰まで伸びた長い髪は銀色。顔立ちは悪くない、むしろ良い方だ。キレイというより可愛いといえるくりくりとした大きな瞳が印象的な少女。快活さと幼さを同居させた雰囲気の小さな体躯。年齢は木下優と同じ十六前後と思えた。
そして、解放してくれた女性と同じ、長くとがった耳。 - 40 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 17:39:01.73 ID:VOwdTW8V0
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手をやると耳を触られている感覚がある。
根元から先端まで、それはごく自然に知覚される。
作り物ならばありえないだろう。
いや、僕が知らないだけで世界では既に実用化された技術なのかも知れないけれど――わざわざそんなことをする意味などあるのか? - 41 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 17:42:41.50 ID:VOwdTW8V0
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ない。
まったくもってない。
木下優は妄想に浸ることを趣味とした平凡な一学生に過ぎず、物凄い技術の結晶でエルフっぽい女の子のコスプレをさせられる事態なんて起きるはずがない。
そして、銀行強盗に射殺されて、目が覚めたらこんな格好。これすなわち幽霊になってとり付きましたうらめしやっほぅ的展開!
……それはそれで現実味がまったくないな。 - 42 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/06/10(日) 17:44:23.66 ID:W9bPtIwh0
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うらめしやっほぅ吹いたww
- 43 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 17:47:37.73 ID:VOwdTW8V0
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「クローさん、目が覚めましたか?」
手鏡に懊悩して百面相をしていると、先ほどの女性がドアを開けて現れた。
「え、あ、う、その……」
「まだ顔色も悪いみたいですし、ベッドに寝ていてくださいな」
女性はベッドの横のイスに腰掛けると、手に持った洗面器から濡らしたタオルを取り出し軽く絞る。
「いやその……」
「ね?」
小首をかしげて、女性は優しげに微笑んだ。
「はい……」 - 48 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 17:55:51.53 ID:VOwdTW8V0
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- 50 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/06/10(日) 18:00:03.04 ID:9rRepu+p0
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むしろ、うっかりでバレる
- 61 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 19:06:58.03 ID:VOwdTW8V0
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- 63 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 19:13:02.97 ID:VOwdTW8V0
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寝ている僕の額に、冷たいタオルが乗せられる。
特に熱があるわけでもないのだがひんやりとしていて気持ちがいい。気候のせいもあるだろうか。そういえばここは湿気の強いそれではないが、比較的温かく感じる。
そよそよと薄い盆で扇がれる。ああ、涼しい……。
「冷た過ぎないですか?」
目の前に女性の顔があった。
「へ、平気です!」
不安で覗き込んできたのだろうけれど、キスされるのかと思い物凄く驚いた。 - 64 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 19:18:54.23 ID:VOwdTW8V0
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「……」
「あ、あの?」
と、「平気」と答えたのだから顔を離すかと思ったのだが、女性はそのままじっと僕をじっと眺める。
「クローさん」
「は、はい……?」
バレ……た?
まさかもうそんな早いどう対応するかとか身の振り方とか考えてな
「『看病幼馴染』よりも『ナースさん』が『萌え』ですか?」 - 65 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 19:24:12.51 ID:VOwdTW8V0
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え?
「わ、私じゃあ至らないかも知れませんが、立派に『ナースさん』になってみせます!」
微妙に日本語がおかしい。
というか、なぜ日本語が通じて『ナース』などと特定職業についての知識があるのかと――
「よく分かりませんけれど、腕にとがったものを突き刺して、何かの液を入れるのが『ナースさん』なんですよねっ!?」
「ちゃうわぁあああああああああああああああああああああああああ」
死ぬ死ぬ、それは確実に身体の構造とかそういう問題を忘れてもきっと死ぬ! - 67 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 19:31:45.22 ID:VOwdTW8V0
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「ええっ、だってこの『えろえろナースさん大好き全集六月号』には、何かを突き刺して何かの液を入れようとする絵がありますよっ!?」
というか、なんだその雑誌は!?
「エロ本の知識を医学方面で応用するなぁあああああああああああああああああああ」
「大丈夫です、このひとも言ってます「最初は痛いだろうけれども、すぐに慣れていい気持ちになれるさ。へっへっへ……」って!」
「意味が違う意味が違う」 - 68 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/06/10(日) 19:33:02.46 ID:7H1B1ksx0
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なんというエロスwww
- 70 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/06/10(日) 19:38:35.42 ID:7H1B1ksx0
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続きがかなり気になるなwww
- 71 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 19:38:47.04 ID:VOwdTW8V0
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「つまり、『ナースさん』もダメですか……」
しょげて小さくなる。
「いやまあそうですが……」
「それはすなわち『禁断のどじっ娘看病』モードが正解ということですねっ!?」
「なんだそりゃあああああああああああああああ」
「看病の最中に洗面器をひっくり返して病人にかけてみたり、おかゆを作っては塩加減を誤ってひっくり返して病人にかけてみたり、杜松の看病をしようと試みてはひっくり返して病人にかけてみたりする娘のことです!」
胸を張られても困る。 - 72 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 19:41:52.37 ID:VOwdTW8V0
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阿呆なやり取りが五分ほど続いた後に、
「私の『うっかりさん』具合についてこれるとは……さては、あなた、クローさんじゃないですねッ!?」
とってもイヤンな理由でバレた。
神様、どーせなら普通の清楚系の美人さんをください。
属性ってたくさんついててもあんまりいいことないです、ハイ。 - 73 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/06/10(日) 19:41:57.56 ID:7H1B1ksx0
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なんという勘違いwww
このエルフ耳は間違いなく天然www - 81 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 20:00:16.59 ID:VOwdTW8V0
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>>
自称『うっかりさん』の美人は、アルと名乗った。
日本語が通じたり、中途半端に『限定地域の日本文化』を理解していたり、それに関する書籍……うん、ISBNコードも付いてるし一応は書籍だ、を持っていたりするのか。
なぜ僕がこの身体になってしまったのか、またそのことにあまり驚いた様子がなかったけれどもそれはなぜか、クローとは何者か。
たくさん上がった疑問に対して、アルはにっこりと微笑んで、
「説明もかねて、長への報告に参りましょう」
と言った。
付け加えて、悪いようにはしない、とも。 - 82 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 20:03:57.61 ID:VOwdTW8V0
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この状況ですべてを信じてよいものかは分からないが、身寄りがないどころじゃあない問題だ。
仮に逃げたとしても、何処にも向かえず、生活する糧も得られず、そう遠くない未来に捕まることは明らかだった。
ならばまだ『従順で協力的』に振る舞った方が生き残れる可能性が大きいというもの。……『木下優の身体』は死んでいるかも知れないが。
ともかく、どのような対処をされるにしても相手には失礼のないよう。そそうのないようにして、少しでもいい心証を
「ふはははは、遅かったな勇者よ!」
「なんで魔王口調なんだぁああああああああああああああああああ」
ごめん無理ツッコんだ。 - 83 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/06/10(日) 20:08:04.70 ID:7H1B1ksx0
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wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
- 84 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 20:08:29.79 ID:VOwdTW8V0
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長は、黒髪をなびかせた長身の女性。妙齢の美人であった。
妙齢といっても年齢はあるわけで、よくよく顔のシワとか肌のつやを見れば年齢が読めてく
「長は、この村の長老でもありまして、御歳三百五十三なんですよ」
「わしは今年で三百五十二歳じゃ!」
分からんかった。 - 85 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 20:16:22.18 ID:VOwdTW8V0
-
通された長の屋敷は、やはり木造平屋建てだった。
心持ち他の家々よりも大きく見えたが、中に祭壇らしきものがあり、居住のスペースは先ほど僕が寝ていた部屋とさして変わらない狭さである。
その祭壇もいろんな方向性で奇妙なシロモノで、大仏みたいな像と機動戦士っぽいプラモと水兵さんの制服戦士らしきフィギュアが混在していた。
凄くツッコみたい凄くツッコみたいものすっごくツッコみたいでも友好関係とか今後の協力とかそれ以前にこっちは圧倒的に弱者であるからにしてあああああツッコみたいぃいいいい
「……ツッコみはまだかっ!?」
待つなよ。 - 87 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/06/10(日) 20:19:16.19 ID:iKzk4nsG0
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というかこのスレだけ難易度的に他と空気違いすぎワロタwwwwww
- 89 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 20:22:09.08 ID:VOwdTW8V0
-
>
「……初めまして、木下優です」
「わしはこの村の長、ナシィじゃ」
ひとしきりツッコまれると、長は憑き物が落ちたようにすっきりとした顔になった。
長が自ら湯を沸かし、湯飲みに茶を注ぎ、テーブルに置く。
その動作はよく見慣れたもので、今まで居た『木下優の世界』と同じであった。 - 90 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 20:24:20.27 ID:VOwdTW8V0
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「どうぞ」
「ありがとうございます」
横に座ったアルも受け取り、それを口にする。
僕もそれを見て同じように口につけた。
「……緑茶だ」
「うむ、それは緑茶じゃな」 - 92 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 20:28:11.08 ID:VOwdTW8V0
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急須を置いて、長は続ける。
「冗談も混ざっているが、この屋敷には意味があるんじゃよ」
「……というと」
「まず、『落ち着かせる』こと」
やはりか。
「ここはそなたらの世界に程近い。そして、そなたらを迫害するつもりがないということを示しておる」 - 93 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 20:31:30.54 ID:VOwdTW8V0
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「ここは……何処なんですか?」
「そなたらの世界に近い――なれども遠い珍妙な場所じゃ」
「それはいったい……?」
「分からぬ」
ずっ、と長が自分の湯飲みに注いだお茶をすする。
「ここはそなたらの世界ほど科学が進んでおらんのじゃ。ゆえに、分からぬ」 - 94 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 20:37:42.31 ID:VOwdTW8V0
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茶菓子は、おはぎだった。
あえて日本らしいものに限定する配慮なのか、それとも文化そのものが日本に近いのかは分からない。だが、この『日本くささ』はありがたいものだった。
「そなたに都合の良いことから言おう」
おはぎをひとかじり、
「この世界はそなたらの世界と物理的につながっておる」 - 96 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 20:42:34.41 ID:VOwdTW8V0
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「物証は……これ以上に必要かえ?」
本にプラモにフィギュア、すでにたくさん見た。首を横に振り、不要という。
「そなたのような例は今回が初めてではない。……おそらく予測済みじゃろうが」
首肯。縦に振った。 - 97 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 20:48:39.36 ID:VOwdTW8V0
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「悪い伝えは、ふたつある」
ひとつ、この現象はわしらには手が付けられない。
ひとつ、精神は身体に影響を受ける。
「おそらく、そなたには今まで以上につらいことになるじゃろうな」 - 98 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/06/10(日) 20:50:08.76 ID:7H1B1ksx0
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wktkwktk
- 99 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 20:52:42.18 ID:VOwdTW8V0
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「今まで以上に……?」
どういう意味だ?
「言うよりも感じた方が早いじゃろ。オイ、男衆!」
長が声を上げると、祭壇の裏手が開いた。
「「「ヘイ、長!!!」」」
五人の美男子たちがそこにはいた。 - 100 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 20:55:37.80 ID:VOwdTW8V0
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「この娘が、そうなのか」
「へえ、可愛いじゃないか」
「いいねぇいいねぇ、燃えるよ」
「というかむしろ萌えるね、萌え萌えだよ」
「萌えー」
口々に言う美男子。やっぱりエルフ耳。
「これはいったいどういうことで……?」
見ると、長は目を伏せ、横を向くとアルも手で目を隠していた。 - 101 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/06/10(日) 20:57:31.67 ID:vJxoLmYN0
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エルフが萌えって違和感あるなwww
- 102 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 20:58:38.52 ID:VOwdTW8V0
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「僕たちの」
「見た目に」
「何か」
「熱いものを」
「感じないかい?」
キラーンと無用に歯が輝く。
「いや、何かって言われても……普通に乳首がたって、股間が濡れるくらいだろ?」
ん?
んんんんん?
いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや、マテ、マテ、まてまてまて、なんかおかしくないか!? - 104 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 21:02:12.37 ID:VOwdTW8V0
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「さあ」
「僕たちに」
「抱かれて」
「みないかい?」
「萌えー」
ぎらりーんと歯が輝きまくる。
「は、はぁ~い……」
ふらふらと足が動き、吸い寄せられるように
「はい、そこまでですよー」 - 105 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 21:04:34.33 ID:VOwdTW8V0
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ぐい、と襟首を引かれ首が絞まる。
「ぐぇ」
「男衆、散!」
「「「は~い……」」」
ああ、美男子たちが帰っていくぅ……。
ぱたん、とふすまが閉まった――瞬間におぞけが走る。
「なんじゃこりゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」 - 106 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 21:08:54.32 ID:VOwdTW8V0
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「簡単にいうと、私たちの種族は外見的に異性をひきつける能力が抜きん出ているんです」
「声もしぐさも合わせて、な。わしにも詳しいことは分からんのじゃが、とにかく視界に入れた瞬間に猛烈な発情状態に陥るものと思えばいいじゃろ」
よくないよくないまったくもってよくない。
「今までは『元が女性』ばかりじゃったからあまり問題なかったんじゃが……」
「トリハダがトリハダがトリハダがぁああああああああああああああああああああああ」
「これは大変そうですねぇ」
「うむ」 - 107 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 21:11:13.44 ID:VOwdTW8V0
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のんきに話すふたりの横で、僕はごろごろと転がった。
- 108 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/06/10(日) 21:11:15.97 ID:7H1B1ksx0
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なんという体質www
オレもそんな体質になりたいぜorz - 109 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 21:15:52.54 ID:VOwdTW8V0
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のんきに話すふたりの横で、僕はごろごろと転がった。
「まあ、女村と男村はこのふすまでしかつながっておらん。街中を歩いても問題はないから落ち着くがいい」
あああああああもう腕がかゆいやら身体が火照ってるやら。歯のきらめいたマッチョにときめいた自分キモチワルイィイイイイイイイイイイイイイ。
「一時間もすれば静まりますから大丈夫ですよ」
アルはにこにこと微笑みながら言った。 - 112 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 21:22:21.88 ID:VOwdTW8V0
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- 120 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/06/10(日) 21:47:08.68 ID:jjpNR7yI0
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4.クレアヴォイヤンス(透視)
- 122 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 21:48:42.18 ID:VOwdTW8V0
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- 125 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 22:03:13.58 ID:VOwdTW8V0
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火照りが覚めたころから長の屋敷に何人もの女性が集まり始めた。
アルや長、そして自分――つまりクルー――が抜き出て美形なのかと思ったが、どうやらそうでもないらしい。
居並ぶ女性は、誰もが目の保養要因レベルであった。 - 127 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 22:07:42.64 ID:VOwdTW8V0
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これも種族そのものがそういう性質なのだろうか。そういえば、人間はその美醜を均一性で判断し、平均値により近いほど美しく認めると聞いたことがある。
種族そのものがあまり差異のない顔つきでまとまったために、キレイと見えるのだろうか。
……ただ、それらの脳の機能は果たして何処まで『人間』と同じなのか分からない。 - 128 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 22:11:27.87 ID:VOwdTW8V0
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カエルの解剖。
やったことはないが、理科の教科書で見たことはある。
電気を流してやると、脳がなくても足の筋肉は動いた。
だが、カエルの思考は『足の筋肉』で行われているわけではない。
あくまでも、最終的な到達点。動作として思考の決定を出力する場所が『筋肉』であって、『筋肉』は思考をしていない。 - 129 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 22:13:29.32 ID:VOwdTW8V0
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足を切断しても思考には影響がない。
腕を切断しても思考には影響がない。
内臓を損傷しても思考には影響がない。
唯一、脳だけが思考に影響を与えた。
それはすなわち、科学的に『思考は脳にある』と証明したようなもの。 - 130 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/06/10(日) 22:14:05.35 ID:vJxoLmYN0
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wktk
- 132 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 22:17:33.85 ID:VOwdTW8V0
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アルツハイマーや麻薬患者を診れば脳の萎縮と障害を照らし合わせて『各部位での脳の機能』が発見できた。
それらで噛み砕く限りにおいて、『人間』は間違いなく『脳』で思考している。
『脳』がないところには『思考』も存在しない。
だから、僕は『幽霊』の存在を『死んだ人間の思念』とは考えていなかった。あれは『別の生き物』なのだと思っていた。 - 133 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 22:19:51.75 ID:VOwdTW8V0
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何か未発見の生き物。
限りなく質量が小さく、可視光に対して透過性が高い。
ある程度高度な知能を有している。
論理のそこかしこに穴があるけれども、僕はこういう形で『死』と『幽霊』を区別していた。 - 134 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 22:20:31.50 ID:VOwdTW8V0
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では、疑問が浮かぶ。
『僕』はいったい何処でどうやって思考をしているのだろうか? - 136 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 22:26:31.03 ID:VOwdTW8V0
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「では、紹介する。クルー改めキノシタユウじゃ」
五十人ほどの女性が集まったところで、長は僕を紹介した。
「選別の巫女はその役割を終えた。各々十分に祈りを捧げるようにせよ」
その五十人ほどの中にはアルも居て、他の女性たちと同じように一段下で頭を垂れる姿に何処か違和感を覚えた。 - 137 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 22:31:33.37 ID:VOwdTW8V0
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その後、僕が男性であったことやここに来る前にいた時代などを問われ、答えた。
おおむね予定通りに進み、世話役としてアルともうひとり女性が付くことが告げられた。
どんな女性?
1.ちょこまか妹系
2.発明バカ
3.マッチョ
4.その他
>>140(即死あり) - 140 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 22:37:44.03 ID:sSyretBo0
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1.がいいな
- 141 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 22:37:55.08 ID:VOwdTW8V0
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- 143 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 22:38:36.46 ID:VOwdTW8V0
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- 145 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 22:45:37.63 ID:VOwdTW8V0
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「初めまして、わたし、ラクっていいます!」
長に呼ばれて現れたのは、中学生くらいに見える女の子だった。
小さな身体をいっぱいに動かしてハキハキとしゃべる明るい印象の娘で、ちょんとたらしたポニーテールが頭の後ろでパタパタと動いていた。
「よろしく、僕は優」
握手した手も随分小さく感じた。
- 146 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 22:50:18.06 ID:VOwdTW8V0
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目通りが終わると、長は解散を命じた。
明日の昼にもここを訪ねるように、とだけ僕にいい、自身も奥の部屋へと帰っていった。
「ユウ、早く早くー!」
薄暗くなった道をラクは先に走り、くるりと回って僕のもとに戻る。戻ったかと思えば次の瞬間には少し先の街路樹にぶらりとぶらさがっていたり、こそこそと隠れて僕を脅かそうともした。
- 147 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/06/10(日) 22:50:38.85 ID:sSyretBo0
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ポニテ好きな俺としてはwktk
- 148 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 22:54:25.71 ID:VOwdTW8V0
-
僕とアルは、先行しちょこまかと動き回るラクに比べゆっくりと歩いて進んでいた。
まだ慣れない道だが、ちょっとした段差も先回りしてアルが教えてくれたため、つまづくことなく歩けた。
「とうちゃーく!」
寝ていたあの小屋に先回りをして、ラクはロウソクをともしていた。
「お疲れ様、おにーちゃん」 - 149 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 22:57:41.02 ID:VOwdTW8V0
-
ロウソク。
道のところどころにはタイマツが掲げられていたからそうと思ったが、電灯は普及されていないらしい。
そして、電気の光のない住人らしく
「おやすみなさーい」
「おやすみなさい、ユウさん」
彼女たちの就寝は早かった――
「ってあの、ここで寝るんですか?」 - 150 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/06/10(日) 22:58:07.16 ID:7H1B1ksx0
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ラク…萌エスwww
- 151 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 23:03:48.68 ID:VOwdTW8V0
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「「?」」
ふたりして同時に小首をかしげる。うわかわえぇ。
「いやその僕は限りなく男性なわけなんですがその辺をご理解承知でしょうか?」
「もっちろーん」
「はい」
無垢と天然が理解を示してくださいました。 - 153 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 23:07:20.96 ID:VOwdTW8V0
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「だーかーらー、ボクオトコ、アナタタチオナノコ、ボクオオカミ、イヤンバカンイヤッホゥですよのことだ!」
「と言われてもー……」
「ですねぇ……」
はた、と思い出す。
「ないもん」
「ないですから」
おっしゃるとおりでした……。 - 154 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 23:08:11.65 ID:VOwdTW8V0
-
23時30分までひとやすみハッハー!
- 156 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/06/10(日) 23:11:01.60 ID:vJxoLmYN0
-
- 157 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 23:12:04.23 ID:VOwdTW8V0
-
- 158 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/06/10(日) 23:13:04.39 ID:vJxoLmYN0
-
- 164 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 23:34:27.97 ID:VOwdTW8V0
-
>>
じゃかましいことこの上ない姉が、何の前触れもなくチョップを仕掛けてきた。
本人曰く、理由は「なんとなく」。
何処の愉快犯のコメントかと思った。
言ったら二発目が降ってきた。 - 165 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 23:38:40.28 ID:VOwdTW8V0
-
愉快犯は、押し込み強盗のわがままさで僕にブラックな炭酸飲料を要求した。
表は雨だというと、秒読みが開始された。
その秒読みが零になるとどうなるんだ、と問うたが答えはなし。ただ、罰のつもりか二十秒ほど短縮されて残りが二百五十七秒になった。 - 166 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 23:42:24.36 ID:VOwdTW8V0
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大慌てで帰ると、姉は秒読みを止めて漫画を読んでいた。
走りつかれてへたりこむと、姉は「ん」とだけ言って、左手を突き出してきた。視線はまだ雑誌の中。
「ほらよ!」と力強くお姉さまにお渡ししたら、激昂した。
「痛いじゃない、何すんのよユー坊!」
「せめて買ってきてもらったんならこっち向いてありがとうくらい言えよな!」
「ふん、ありがと」
- 167 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 23:47:08.28 ID:VOwdTW8V0
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腹立たしいことこの上ない返事だったが、まあよしとする。
「お金」
「何よ?」
「ジュース代」
「そのぐらいアンタがもちなさいよ、ケチくさい!」
「ケチくさいっていうんなら、お前が払えよ!」
「姉に向かってお前とは何よお前とは! それに、時間切れだから払うお金なんてないわよ!」
「嘘付け、時間見てないだけだろ! さっきが午後三時十六分十五秒、今は午後三時二十分三十秒。時間切れまでまだ二十秒はあったぞ!」
「う、うるさいわね! バッカじゃないの!?」
「バカとは何だよバカ!」
「おかーさん、ユー坊がー」
「な、何言い出すんだよ!?」
姉とはこの世の絶対者である。ろくでもないことに。 - 168 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 sage 2007/06/10(日) 23:49:05.25 ID:VOwdTW8V0
-
『天は人の上に人を作らず。なれども弟の上に姉を作った』
本当に、ろくでもない。
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