アマノジャック@新ジャンル専用

新ジャンル「文房具」04_vol01

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new_jack

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旧ジャンル「文房具」5
1 2007/02/18(日) 21:38:05.34 ID:eSWWhUcx0
まとめ
http://www23.atwiki.jp/new_jack/

http://les.s184.xrea.com/

ある日突然、男は文房具達の「魂の形」が見えるようになってしまった。
文房具達と「会話」し、一緒に食卓を囲む……
そんな非日常が当たり前になったころ、男は人間の死体を発見する。
その死体の傍らには主人を失った一本の、もとい一人の老人の姿。

老人の目撃証言により、二人の高校生の犯行が露呈した。
人の皮を被った怪物、老人がそう称した二人の内の一人に接触する男……

果たして作者は新ジャンルという枠を打ち破り、新たなカテゴリーを創り出せるのか!?

2 sage 2007/02/18(日) 21:40:03.24 ID:eSWWhUcx0
ただいま。

まとめと、上の説明ありがとう。

新たなカテゴリーとか、何か肩が重いが尻に力入れて頑張りたい。

んじゃ、続き書く。

4 愛のVIP戦士 2007/02/18(日) 21:51:25.30 ID:eSWWhUcx0
――Changing a viewpoint [混乱、困惑、焦燥、報復]

得体のしれない同年代の野郎の口から出た言葉。
その言葉が、ノーマルを過ごす俺の頭を混乱させた。
何で、バレた?『掃除』された奴はサツには言うだろう。
それはしょーがねぇ。
じゃぁあいつが言ったアノ人って、サツか?
いやサツにバレたのなら、今ごろ俺らをブタ箱行きだ。
周りくどく、俺らに何か伝えるなんてしねぇはず。

5 愛のVIP戦士 2007/02/18(日) 22:04:52.20 ID:eSWWhUcx0
周りくどく、俺らに何か伝えるなんてしねぇはず。
イッパンの奴に見られていたはずは――ない。
場所は選んできたし、ヤツらもいる。
人が通りかかったら、気づく。
いや、一つだけ例外はあるか、イッパンじゃねぇが。
アソコなら、見られてはいるが――
口を噤(つぐ)ませるだけのヤキ入れはしたはずだ。

6 愛のVIP戦士 2007/02/18(日) 22:13:45.74 ID:40duRJT20
文房具キタ━━━ヽ( ゚∀)人(∀゚ )人( ゚∀)人(∀゚ )ノ━━━ !!!

7 愛のVIP戦士 2007/02/18(日) 22:21:33.13 ID:eSWWhUcx0
しかし、バレたのなら、あの傍にいたゴミが口を滑らすしかねぇんじゃねぇのか?
クソ、クレイジーな時間はノーマルに持ち込まないが信条だったのに、
アイツの言葉はソレを容易くぶち壊してくれた。
何かをグチャグチャに叩き潰してしまいたくなるようなイライラが募り、
自転車のハンドルを思い切り叩く。クソが、微塵もスッキリしやがらねぇ。

8 愛のVIP戦士 2007/02/18(日) 22:40:03.91 ID:eSWWhUcx0
こうなってしまうと、「掃除」はもう続けられない。
真(まこと)らと話し合ってからのことになるだろうが、
『掃除』と『報酬』を受け取るクレイジーな時間はもう御終いだ。
御終いだが――最後に俺達の忠告を聞かなかったアイツに、
ソノ事がどういうことになるのか教えてやらねぇとな。
笑みが自然とこぼれ落ちる。

9 愛のVIP戦士 2007/02/18(日) 22:42:06.10 ID:EEdGwIqy0
きたああああああああああああああ!
待ってたぞおおお>>1

ってかタイトル 旧ジャンル「文房具」5
になってるけど4じゃなかったっけ(´・ω・`)

10 愛のVIP戦士 sage 2007/02/18(日) 22:47:23.75 ID:eSWWhUcx0
実はの、昨日東京から帰って、スレ見たら4、あったんだヨ。
立ててくれてたみたいナンダヨ。
でも、俺、熱でシンデタンダ。書きこめなかったんだヨ。
そのせいで、なんか、3ケタ行かずにダットの海に沈んじゃったけど、
ありがたかったので、コレ5にしてる。

11 愛のVIP戦士 2007/02/18(日) 22:52:56.34 ID:EEdGwIqy0
>>10
そなのか(´・ω・`)
4見つけられんかったよOTL
それと、昨日熱で死んでたんならまだ完調じゃないんでは?
急がんでいいから無理せんとちゃんと休めよー

12 愛のVIP戦士 2007/02/18(日) 22:55:32.13 ID:eSWWhUcx0
いや、大丈夫だ。
秋葉原でハメ外しすぎたなんて、言えないが言っちゃう。んじゃ、続き。


あぁ、そうだ、『教えて』やらないと――。
正直言えば、
アイツが口を滑らしたのかなんて、ホントは半分どうでもいい。

そんな細かなことを気にするよりも、背中から噴出すように出てくる焦りと怒りを、
圧倒的な力の差でハヤク快感に変えたがってる自分に気づいて――
歪んだ狂気的な笑みが止まらなかった。

――Returning a viewpoint [混乱、困惑、焦燥、報復。]

14 愛のVIP戦士 2007/02/18(日) 23:07:14.07 ID:kM0RAG3f0
キターーーー
何日これを待ってたことだろう

15 愛のVIP戦士 2007/02/18(日) 23:14:07.11 ID:F4n90YnAO
キターーーー
俺は4が消えたのがあまりにも早くてびっくりしたのを覚えている

とにかく無茶せずに頑張れ!!

16 愛のVIP戦士 2007/02/18(日) 23:23:42.44 ID:eSWWhUcx0
地図に記されたアイツらの犯行場所。
人ごみが集まるとこから離れた、たいして大きくない公園など
人目がつかない場所が多い。
反対にホームレスが集まる駅前、
駅に近い公園等注目を集める場所には印がついていない。

17 愛のVIP戦士 2007/02/18(日) 23:44:08.54 ID:eSWWhUcx0
その馬鹿げた犯行のわりに、小賢しいことを考えるヤツらだった。
行動目的は快楽と強奪、行動規則は秘匿。
常に犯行がバレないように、被害者にしかその姿をさらさない。
しかし、そんなヤツらにも例外はある。
アイツの部活の試合会場だった高校を応援で覗きにいったとき、
途中で通った四車線の橋があった。

18 愛のVIP戦士 2007/02/18(日) 23:47:22.49 ID:kM0RAG3f0
dkdkwkwk

19 愛のVIP戦士 2007/02/19(月) 00:05:39.08 ID:xjkmH7Va0
奇しくもヤツらの最初の犯行現場になっているその橋の下、確か、あそこは、
ホームレスのダンボールが『何個』か並べられていたはずだ。
多分、あそこだけ――。
おぼろげな記憶を、自分が見た公園を除いた犯行現場の五箇所を原付で回って確かなものにする。
橋の片方の付け根の下の部分にある空間には来るものを拒むかのように、
コンクリート製の建設資材が置かれてある。
そして川を越えた対岸のそこには、ダンボールで作られた居住空間が二つ、あった

20 愛のVIP戦士 2007/02/19(月) 00:24:36.62 ID:xjkmH7Va0
おそらく、あの場所が
まだ規則を決めていなかっただろうヤツ等の凶行を
被害者以外のホームレスが見ることのできた唯一の場所。
原付を、その付け根近くの公園にあるベンチのそばに停める。
そして橋の下を見ると、辺りに降りた薄い紺色の闇を吸い込んだかのように、
その空間がより黒色を濃くして口を開けている。

21 愛のVIP戦士 2007/02/19(月) 00:38:58.57 ID:xjkmH7Va0
――ヤツらの時間が近づいている。
ジャケットの左ポケットに入れた録音機を、
いつでもスイッチを入れられれるように準備し、
催涙スプレーを胸の内側から、表の右ポケットに入れ替える。
そして、息を吸い込んで顔を強く一回両手で叩いた。
軽いが心を打つ音を響かせて、
闇に潜むダンボールハウスへと駆ける。

23 愛のVIP戦士 2007/02/19(月) 00:57:18.57 ID:xjkmH7Va0
すこしだけ息を荒げながら、二つのダンボール群を前に立った。
TVで表示された全治二カ月が示したとおり、
左の方の住居の主は病院から帰ってきていないようだった。
それに対するように、
右の方はダンボールやカーテンの隙間からわずかに光がもれている

24 愛のVIP戦士 2007/02/19(月) 01:11:03.17 ID:xjkmH7Va0
風が吹くたび少しだけ揺れる、入り口らしき薄汚れたカーテンを目の前にして、
顔も知らない人を前にしようとする時の独特の緊張感を覚悟に変えた。
息を落ち着かせる。
「すいません」声をかけると、ソレがカーテンの奥に吸い込まれる。
「はいはい」としわがれた女性の柔らかそうな声がして、
カーテンが開かれた。

25 愛のVIP戦士 2007/02/19(月) 01:19:55.87 ID:xjkmH7Va0
自分の胸ほどの、赤い毛糸帽子を被ったお婆さんが住居の中から俺を覗く。
「おやおや、いつものパトロウル中のおまわりさんじゃあ、ないのかい」お婆さんは首をかしげる。
この年ぐらいのお婆さんが見せる可愛らしい仕草に和みそうになったが、
今はそれどころじゃない。
「夜にいきなり押しかけてすいません。実は…、近日中のこの場所に、
 隣を襲った暴漢がまたやってくるかもしれません。せめて夜の間だけでいいんです。
 場所を移って頂く事、出来ませんでしょうか?」

26 愛のVIP戦士 2007/02/19(月) 01:25:55.48 ID:xjkmH7Va0
お婆さんの顔から、血の気が見る間に引き、優しげな気配が消える。
そして、目を細くし鋭く俺を睨んだ。
「見ず知らずの坊やの言葉を信じろ…と?
 坊やが事件を逆手にとったドロ助かもしれないというのにかい?」
「申し訳ありません、信じてください…としか。
 それに、もし僕が泥棒だったとしたら――」
だったら?とお婆さんがこちらを見たまま、次を促した。

27 愛のVIP戦士 2007/02/19(月) 01:26:54.26 ID:xjkmH7Va0
「ここじゃなくて、僕みたいな間抜け面が住む家を狙います」見詰め合うこと、数秒。
ちょっとした沈黙の後、お婆さんが木の鈴を鳴らすように笑い始めた。
「ファッハッ、確かにそうかもしれないね、
 わざわざ取るものもないこんな貧しいとこを狙う泥棒なんて、
 滅多にいないさ」
隣を襲ったのは例外だがねと付け加える。
「で、どうして、そいつらがまた来る…だなんて知ってるんだい?
 見たところ――あの子達と知り合いっていう雰囲気じゃぁないんだけどねぇ」

29 愛のVIP戦士 2007/02/19(月) 01:52:01.07 ID:xjkmH7Va0
「移動して頂いた後、事が終わるか、何事もないことがわかりしだい、
 おばあさんには事情を説明します。でも、今は、時間がないんです。
 急に来て、ご老体をせかすなんて本当に申し訳ないのですが、
 今すぐ移動できるよう準備をお願いします」
「今すぐかい?できないって言いたいとこだけど、
 できてしまうのが、この生活の悲しいところだよ」
と俺に後ろを見せてゴソゴソとやり、
寝袋と位牌を引っ張り出すと、ソレを背中に背負った。

30 愛のVIP戦士 2007/02/19(月) 01:55:51.01 ID:xjkmH7Va0
「で、いつまで寝床を変えてりゃぁいいんだい?
 まさか、ずっととは言わないんだろ、坊や」
「えぇ、多分近日中に方がつきます。
 解決したら明るいうちに直接『解決しました』と報告しに伺うか、
 紙をこの家にでも貼り付けてさせてもらいます」そうかいと、お婆さんは返す。

31 愛のVIP戦士 2007/02/19(月) 01:58:15.09 ID:xjkmH7Va0
「何をするかはわからんが、気をつけるんだよ。
 あの子達は、加減ってもんを知らない。
 堤防が壊れた貯水池みたいに、感情をタめる、調節するってことができやしない。
 怖い子たちだよ。
 私ゃ、あの子たちの目は思い出すだけで、その日の夢に出そうになる。
 もし叶うのならね、家がある時の台所でよく見た、
 死んだ魚のようなあの子たちと目を合わせてしまうなんて不幸、
 生きているうちは二度とごめんさ」

32 愛のVIP戦士 2007/02/19(月) 02:13:06.70 ID:xjkmH7Va0
痛そうに目を瞑(つぶ)って、殴られたのだろう頬をピシャリとやった。
そして、ところどころ錆びついてへこんだ古い自転車に乗ると、
フラフラと揺れながら道路の方に消えていく。
人は理解できないものを恐れる。
理解できない理由で自分を襲ってくるなんて、最上級の恐怖以外の何物でもない。
それをお婆さんは体験したのだろうと思うと、胸が痛んだ。
おそらくあの手の主は、もっと恐ろしかったに違いない。
これは同情にすぎない。でも、そう思わずにはいられなかった。

33 愛のVIP戦士 2007/02/19(月) 02:17:40.72 ID:xjkmH7Va0
お婆さんが完全に見えなくなる。
よし、とにかく、これで巻き込まれる人もいなくなった。
お邪魔しますと言って、靴を鞄に入れて、お婆さんの住居に入る。
すぐ入り口左の奥のところに立って、暗闇を前にしながらアイツらが来るのを待つ。
来るかもしれないし、来ないかもしれない。
しかし、あとは待つだけ。

34 愛のVIP戦士 2007/02/19(月) 02:19:22.52 ID:xjkmH7Va0
その待つだけの俺に桜が不安そうに話しかけてくる。
「ねぇ、大丈夫なの?無理…してない?」
黙って、桜に俺の心臓の跳ね続ける音を聞かせる。
胸のポケットの黙っている爺さんにも聞こえているだろう。
大丈夫じゃないし、無理してる。
不安だし、高らかに鳴る心臓は口から飛び出てきそうだ。

35 愛のVIP戦士 2007/02/19(月) 02:20:43.74 ID:xjkmH7Va0
それでも――
何かを肯定するためには、それを押し留めて動かないといけない時もある。
今回の場合は…、自分が得てしまった能力を自分の中で認めるために。
人とは違う力を手に入れた自分から逃げないために。
暗闇の中で、どのくらいたったかわからなくなるまで待つ。
すると、外から土を踏みしめる音がして、この住居の前で止まるのが聞こえた。
俺はゆっくりと唾を飲み込む。来た。あの足音、おそらく二人。
録音のスイッチを入れる。
催涙スプレーも問題ない。

――さぁ、今から最後を始めよう。

36 愛のVIP戦士 2007/02/19(月) 02:21:48.51 ID:xjkmH7Va0
――Changing a viewpoint [守護者]

『前衛』がいった。
後を守るは文字通り、『後衛』の役目、か。
と、草むらに隠れている人陰は、思う。
ここまで来たんだ、あとはなるようにしかならない。
でるべき時に役割は果たそう。

――Changing a viewpoint [守護者]

37 愛のVIP戦士 sage 2007/02/19(月) 02:22:51.02 ID:xjkmH7Va0
スマヌ、んじゃ、一眠りシマス。

おやすみぬー。

38 愛のVIP戦士 2007/02/19(月) 03:10:54.84 ID:I5pDINUm0
保守しかできないが応援してるぜ

39 愛のVIP戦士 2007/02/19(月) 05:03:18.44 ID:xjkmH7Va0
一人がおもむろに住居に侵入すると、内装を思い切り蹴飛ばす。
けたたましい音をたてて、食器、コンロ、ヤカンその他が辺りに散り、
あやうく隠れていた俺にも当たりそうになった。
「クソが、あの汚ねぇババアいやがらねぇ。ったくどこ行きやがった」
どうやら、この声はヨーヘイ。

52 愛のVIP戦士 sage 2007/02/19(月) 17:24:37.97 ID:xjkmH7Va0
スマソ、途中で力尽きて寝てたorz
んじゃ、気合入れて書く。

53 愛のVIP戦士 2007/02/19(月) 17:37:57.32 ID:QaZmKnVC0
>>52
がんばー
続きwktkー

56 愛のVIP戦士 2007/02/19(月) 20:15:03.04 ID:xjkmH7Va0
「ゴキブリだから、勘だけはいいんじゃないのか?」
ってことは、
擦れたようなハスキーな声で笑いながら軽口を叩いているのは、マコトだろう。
しかし、ゴキブリ…か。気づいたら、溜め息が出ていた。う、ミスった。
二人の会話がとまり、ヨーヘイが俺の方に注目する。
こうなったら、始めるしかねぇ。口を、開く。

57 愛のVIP戦士 2007/02/19(月) 20:29:47.47 ID:xjkmH7Va0
「そもそもお前らにゴキブリを笑えるか、この蛆虫ども」
間。それは、思わず笑い出したくなるような滑稽な沈黙。
結局、先に反応したのは、俺を見つけたヨーヘイだった。
音もなく放たれた矢のように伸びる、奴の右手が俺の胸倉を掴みかかる。
それをしゃがむようにかわしてから、前屈みにこの住居の入り口から飛び出た

58 愛のVIP戦士 2007/02/19(月) 20:33:08.48 ID:5b3yuVWHO
わくてか

59 愛のVIP戦士 sage 2007/02/19(月) 20:38:50.21 ID:xjkmH7Va0
視界が開けた刹那、右顔面に飛んでくる拳。
右腕と左腕を交差させるようにそれを防ぎ、
その拳の方向とは逆の方向に飛びのいた。
そのまま大きく、
無言の殴り合いにならないための間隔を意識してあいつらと距離を取る。
脈打つ耳障りな音がが耳の中に木霊する。
胸のポンプが脈打つごとに、興奮の血が、
体中の毛を無理やり逆立てるように送り込まれる。息を、吸って――吐く。

60 愛のVIP戦士 2007/02/19(月) 21:01:06.32 ID:xjkmH7Va0
俺の呼吸一つ分の間の後、
ボールハウスからゆっくりと外に出てきたヨーヘイが口を開いた。
「ここにいるババァに用があったってのに…。
 ビックリだ。テメェ何してんだ、こんなトコで」
「『何をしているか』について不思議に思っているのは、お互い様だと思うけどね。
 ――無抵抗な貧しい人をなぶって金を奪うとか、いい趣味を持った人たちだ」

61 愛のVIP戦士 2007/02/19(月) 21:12:19.78 ID:xjkmH7Va0
マコトもヨーヘイから話を聞いていたのだろう、
俺の言葉にも対して驚いた様子を見せずに、
肩を鳴らして俺との距離をゆっくりと詰めようとする。
二対一。
別に喧嘩で鳴らしたってわけじゃない俺にとって、
この数字は限りなく『不利』を意味する。

62 愛のVIP戦士 2007/02/19(月) 21:29:35.97 ID:xjkmH7Va0
正直言って、180度回れ右してこの場を立ち去れるのなら立ち去りたい。
しかし、それはやっぱりできないし、
第一今回俺に求められているのは腕力や、この場で戦い切ることじゃない。

――交渉力だ。自分への質問ははぐらかし、相手の質問へと変えろ。

63 愛のVIP戦士 2007/02/19(月) 21:42:51.59 ID:xjkmH7Va0
「そんな俺を殺さんばかりの顔で、俺を睨んで黙ってるってことは、
 やっぱり人違いじゃあないみたいだな」
「アンタとあの人ってのは、どこまで知ってるんだ?」マコトの声、耳につく。
「全部、とは言えないが、
 数日前の寺の隣の公園でお前らが何をしたかは、よく知っている。
 あの人、何で殺す必要があった?」
無言。広げた間合いだけが狭まっていく。しかし、あせるな。
右手はポケットに入れたまま、しかし、あせるな。

64 愛のVIP戦士 2007/02/19(月) 21:53:06.34 ID:xjkmH7Va0
「俺にはお前達が、こんなことをする理由がわからない。
 罪の重さに押しつぶされそうになったりしないのか?
 警察に行こうとか思ったりはしないのか?」
無言、二人が近づき、拳を伸ばして届くだろう距離まで約一歩。
あぁ、先生なら、うまく誘導するんだろうけどなぁ、チクショウ、どうすれば――

65 愛のVIP戦士 2007/02/19(月) 22:12:33.67 ID:3Y31f3Dw0
ほす 
続きまじdkdk

66 愛のVIP戦士 2007/02/19(月) 22:15:44.91 ID:xjkmH7Va0
「罪?」ヨーヘイが顔にかかった長い髪をかき上げる。食いついた。
「むしろ、感謝してほしいぐらいだ。
 俺達はゴミの『掃除』をしてるんだぜ?
 夜に『警戒』(パトロール)を行い、
 『掃除』して、そいつらの持っているものから『報酬』をもらう。
 ちょっとしたシャカイコウケンってヤツだ。
 シャカイコウケンなのによ?
 あの公園にいたゴミを『洗浄中』(ボコ)ってる時にさ、
 いきなり俺を押してきたんだよ。
 ありえなくね?
 ゴミの分際でシャカイにヤクダってる俺のことを、押してきたんだぜ?
 ちょっとキレちゃってさ、ふと気づいたら、ソイツ息してなかった。
 別にそれだけだ、殺そうとも思って殺したワケでもない」

67 愛のVIP戦士 2007/02/19(月) 22:20:56.88 ID:xjkmH7Va0
笑う。笑ウ。ワラウ。声をあげ、二人わラう。
その薄い氷のような笑みは、爺さんの言っていた通り、
皓々と禍々しく光る紅き三日月。
理解できない。いや、理解できなくていい。もう、いい。
「わかった、もう、たくさんだ」

68 愛のVIP戦士 2007/02/19(月) 22:26:52.45 ID:xjkmH7Va0
俺の搾り出すような声に、ウレシソウにヨーヘイが笑みを吊り上げる。
「俺も、もういい。
 テメェが昼現れてから、ずぅっとな、スッキリしねぇんだよ。
 今日で、クレイジーな時間も終いにすることにしたし、
 ここで思いっきりキモチヨクなっておかないとなぁ。
 ババアが居なくて、テメェがいたってことは――
 その代わり、お前がしてくれるんだろ?」
言い終ると、二人――いや、
やはり怪物だった二匹が、笑みを浮かべて狂腕を俺に向けて振りかぶった。
狂気を吸いきった二つの拳が放たれる。

69 愛のVIP戦士 2007/02/19(月) 22:35:28.71 ID:xjkmH7Va0
右手に持った催涙スプレーをヤツらに向ける。
驚いた顔。
まずはヨーヘイの目の辺りに、直線状の噴出される催涙剤を叩き込む。
トリガー押しっぱなしでずらして、
腕で隠れきらなかったマコトの口の辺りにも暴漢識別用の色のついた線が画かれた。
突如火のついたように咳き込み、唸りながら、ヨーヘイが崩れる。
マコトは倒れてはいなかったが大きく口をあけて咳き込みながら、
半狂乱に顔を振っている。

70 愛のVIP戦士 2007/02/19(月) 22:38:48.59 ID:xjkmH7Va0
直撃していなかったマコトには、もう一度目の近くにお見舞いする。
ヨーヘイ同様崩れ落ちて、もがき出す。
橋に響く、二匹の雄叫び。催涙スプレー恐るべし、だ。
しかし、のたうちまわるヤツらをいつまでも眺めているわけにはいかない。
あとは、左ポケットの録音機を先生に渡さないと。

72 愛のVIP戦士 2007/02/19(月) 22:39:35.14 ID:xjkmH7Va0
やり遂げた感が胸にこみ上げてくる。
俺はやったんだと思ったら、上を仰いで自然と叫んでいた。
「よっしゃ!」
「よし、じゃねぇよ、バカヤロウが」強い衝撃が顔を襲う。
近くにあった俺の身長よりやや大きめぐらいの木から、
突如として現れた人影に、俺は殴り飛ばされた。
右手に持っていたスプレーが宙に舞う。

76 愛のVIP戦士 2007/02/19(月) 23:35:19.49 ID:xjkmH7Va0
「護身具か。一人で来るんだったら、そりゃぁ持ってるよな」
そう言って、殴った男は倒れた俺の上に跨り地面に押さえつける。
チクショウ、見張りがいたのかよ!
爺さんに二人って聞いてたから油断した。
押さえつけられた地面から、もう一つ近寄ってくる足音を聞く。
しかも、二人。そいつに、俺の上のヤツが指示を出す。

78 愛のVIP戦士 2007/02/20(火) 00:01:12.23 ID:/iTcIihVQ
スレッド3で勝手に訂正レスした者です。
>>1独自の言い方・現し方があるとも思いますが、
一応気付いた部分全て挙げておきます……

>>16
『一目がつかない』
→『一目につかない』
>>50
『脈打つ耳障りな音がが』
→『脈打つ耳障りな音が』
>>60
『ボールハウス』
→『ダンボールハウス』
>>61
『対して』
→『大して』
>>66
『殺そうとも思って』
→『殺そうと思って』
>>68 (※>>8に合わせるなら)
『クレイジーな時間も終い』
→『クレイジーな時間も御終い』

79 愛のVIP戦士 2007/02/20(火) 00:07:28.72 ID:tUVPKViSO
wktkしすぎて疲れたから俺は寝る。
>>1もあんま無茶すんなよ。

80 愛のVIP戦士 sage 2007/02/20(火) 00:12:26.27 ID:MRugXwKG0
>>78
おk、把握った。細かく見てくれてサンクス。



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