2012年度部長が勧めるSF10作


全体的に短篇集が多いが、個人的実感として短編こそが純粋なSF的センスを味わえる舞台であると思う。若干ネタバレがあるかもしれないが致命的ではないはず。SFではないのが混ざっているが些細なことだ。
作成 松村 2012/08/23


ゴルディアスの結び目

言わずと知れた小松短編の最高傑作
ここで小松はダンテと一般相対論を足してそのまま煮しめるという彼にしかできない離れ業をやってのける。オカルト+物理をかっこ良さと素早いテンポで押し切る手腕はやはり見事。一連のゴルディアス4部作は小松SFの真髄を味わえる最高の一冊。
【部室にある】


結晶星団

これも小松短編の傑作。今度は星で作られた星系レベルの結晶構造の中央にある黒い「領域」が凄い。キリスト教的世界観に超古代凡銀河文明の遺跡とかこれまた怪しい設定がてんこ盛り。これもテーマとしては本質的にはゴルディアスに通じている。
【部室にある】


ソラリス

説明不要な名作。個人的なSF回路に特にビンビンくる点を挙げると綿密に組み上げられたソラリス史の細かさ。SFの神は細部に宿るとはこの事。翻訳の違いで新板と旧版があり基本的に新板で読むべきだが、旧版の変なソラリス用語も趣があってよい
【部室にある】


夜来たる

アシモフ初期の短編。アシモフの短編集の中では一番好き。たしか高校生のときに読んだけど「ホステス」が特に印象に残っている。
【絶版】


停滞空間

これもアシモフ短編。単純にどれも面白くて印象的な作品が多い。「ナンバー計画」と「最後の質問」が好きかな
【絶版】【部室にある】


中性子星

リングワールドでお馴染みラリー・ニーヴンの短篇集。ノウンスペースシリーズの一部だがこの一冊から読んでも面白い。やっぱりニーヴンらしいユーモラスで個性的な宇宙人がかわいらしいと思う。たまにはスペースオペラを読むのもいい
【絶版】【部室にある】


ひとりっ子

グレッグ・イーガンの短篇集。正直イーガンの“お話”は嫌いだが現代ハードSFを語る上でこの作家を読んでいないという選択肢はありえない。SFとしてのクオリティは現役作家の中でこれ以上ないと思う。この作品では「ルミナス」がSFとして面白いと思う。公理の矛盾を突いて現実世界に干渉するというのはSFに大切なワクワク感を猛烈に感じさせる。
【部室にある】


ウィザーズ・ブレイン

魔法・情報制御と呼ばれる仮想の物理理論と滅びつつある世界に向かい合う少年少女の物語。練りに練られた世界観と設定がこの上なく魅力。演算で物理世界に干渉するのは上の「ルミナス」と一部共通している。仮想理論といっても物理屋が書いたもので物理系の学生では特に読み応えを感じることができるはず。ちなみに小学生時代に友人に勧められて読んだ最初のラノベで、部長のSF的原点はここにあるといっても過言ではない。
【部室にある】


クリムゾンバーニング

1900年代初頭アメリカで社会主義革命が成功した世界でのお話。本編では1940年代後半に日英同盟と社会主義合衆国と衝突する。各国の実在名物指導者や軍人が出てきて大暴れするというこれまでありそうで無かったキャラ物仮想戦記。何より作者のお得意のくどい描写が売りで、砲弾一発レーダーひとつ使うのにそのスペックから開発史まで数ページにわたって解説が入る。作中作の官能小説「社会主義者はメイドスキー」でちょっと有名。


REDLINE


あの小池健が7年かけて制作した映画。監督ならではのアクの強いデザインとノリの良さが一部の人間を強烈に惹きつけて止まない。部室で上映してもその素晴らしさについて部員の賛同は得られなかった。まあとにかく細かいことを気にせず鑑賞するととても気持ちがいい。それとロボワールド側の登場人物がとってもかわいいからオススメ

2012年度副部長が勧める10作

好きなものを適当に詰め込んでみた。SFじゃない?細かいことはいいんだよ!

ARIA(天野こずえ)


私をこの世界に引きずり込んだといっても過言ではない漫画・アニメ。絵の描きこみが美しく、背景を読んだりしてうっとりできる。アニメも作画、音楽、オリジナル回のクオリティの高さなど、ゼロ年代のアニメの中では屈指の出来だ。
【部室にある】

タビと道づれ(たなかのか)


同じ一日を繰り返す街が舞台のループもの。作者の魂の叫びともいえる、ポエミーな表現は賛否分かれるところだが、それが気に入ったら絶対に楽しめる。ストーキングおまわりさんことニシムラさんの変貌っぷりも見どころの一つ。
【部室にある】

すみっこの空さん(たなかのか)

大雑把にいえば哲学要素のあるよつばと。世界のありとあらゆるものが純粋でとても繊細な心をもって描かれていて、ハッとさせられる。それでいながら、時折突き刺してくる暗いエピソードもあってそれがたまらなく好き。言うまでもなくほぼ毎回登場するポエム的表現も見どころのひとつだ。

ボトルネック(米澤穂信)

『氷菓』の原作者、米澤穂信氏の作品。ミステリーでありながら、SF的な要素も持っている。救いのない暗さがいい。
【部室にある】

魚舟・獣舟(上田早夕里)

上田早夕里の短編集。菌によって日本列島が危機に陥る「くさびらの道」、ある殺人鬼の半生を描いた「小鳥の墓」がよくできている。どの作品も安易なハッピーエンドに逃げず、重い内容をしっかりと描いている。
【部室にある】

銀河英雄伝説(田中芳樹)

銀河の歴史がまた1ページ…。同盟派です。
【部室にある】

日本以外全部沈没 パニック短編集(筒井康隆)

パニック短編集とあるとおり、ドタバタしてる。「ヒノマル酒場」「パチンコ必勝原理」「日本列島七曲り」「農協月へ行く」とかハチャメチャで面白い。

旅のラゴス(筒井康隆)

旅をし続ける男ラゴスの人生を描いた小説。ラゴスの人生の歩みも面白いのだが、その旅の道中で出会い別れていく人々の物語としてもそれぞれよくできていて、筒井康隆の引き出しの多さを感じさせる。筒井康隆の作品の中では読みやすい方で初心者にもオススメできる。

青い花(アニメ版)

志村貴子の原作もよくできているが、アニメ版は相当すごい。原作を生かしつつアニメオリジナルの結末を引き出していてすごく美しい。OPは百合とはどんなものかということを描いている。

アキタランド・ゴシック(器械)

少し不思議系4コマ。独特の絵柄で最初は面食らうが、宇宙人、ゾンビ、ロボットなんでもござれの世界観にどんどんはまっていく。できればもう少し続いてほしかった…