2017年5月1日、大阪大学の春期学祭「いちょう祭」の2日目。大阪大学のとある教室にて「第一回 けものフレンズ学会」が開かれた。

なんかアニメ『けものフレンズ』の二期がどうとか小耳にはさんだので、これを期に当時の資料を掲載しておきます。なお、100%個人的な意見で出来上がっているので、苦情その他は一切受け付けません。なにかあったらtwitterのほうに言ってください。

 

以下資料(一部変更)

2017年5月1日 大阪大学いちょう祭2日目

第一回 アニメ『けものフレンズ』学会

 

○目的

・新入生、上級生合わせて高い視聴率を誇る2017年冬アニメ『けものフレンズ』を共通言語として用い、新歓期のコミュニケーションの一端を図る

・人気アニメと関連するSF作品を紹介、読み合わせすることで、新入生にSFの面白さ、奥深さを新規に知ってもらいたい

 

○構成

第一部 主要学説の理解(本資料及び読書会による)

 主目的となる第二部の例示として、多数説、有力説、新説を紹介する

 ・多数説 ポストアポカリプス説(田中ロミオ『人類は衰退しました』)

 ・有力説 仮想現実説(飛浩隆『グランヴァカンス』)

 ・新説 文明誕生実験説(長谷敏司「震える犬」)

 基本的に、参考図書概説→説の概要→論拠→弱点を順に述べる

第二部 支持学説の交流

第一部をふまえ、各人が支持する学説と根拠を発表し、それぞれの正当性を議論する。一部の例示から選択してもよいし、自ら持ち寄った新説も望ましい。

 

  • その1 ポストアポカリプス説(多数説)

○田中ロミオ『人類は衰退しました』

人類より遥かに高い文明を持った「妖精」が「人類」というカテゴリを取って代わったポストヒューマンSF。人類(旧人類)は滅亡こそしていないものの文明レベルの低下などにより大幅な減少。新人類「妖精さん」の正体は、異世界の存在が人類への憧れから進化して人類そっくりになったもので、衰退する人類の替わりとなった。フレンズ化とは目的と手段が逆(フレンズは人類的適応のために擬人化、妖精は憧れから擬人化しその後人類的適応を目的)と考えられるが、大まかにみれば似た用なものかもしれない。

○説の概要

人類文明が滅亡した後に、人類に替わりフレンズが栄えたとする説。4話ごろに強く提唱されるようになり、アニメの人気が爆発した一端ともいえる。フレンズ化は人類文明の遺産に適応するために進化した説と、残存人類が再繁栄のために擬人化した説とがある。googleにて「ポストアポカリプス」と入力するとサジェスト上位に「けものフレンズ」が出る。よって多数説。

○論拠

・4話ツチノコ「絶滅していなかったのか」

・現代文明の遺物が散見される

・公式イラストで、寂れた建物を描写

・1話の紙飛行機を飛ばして驚かれるのがまんま『猿の惑星』

○弱点

 ・セルリアンの存在が謎すぎる

 ・かばんちゃんの存在も謎すぎる 死亡→結晶化の流れなどは残存人類でありえない

 ・フレンズ化ってなんだよ

 

  • その2 仮想世界説(有力説)

○飛浩隆『グランヴァカンス』

舞台は仮想世界のバーチャルリゾート、数値海岸(コスタ・デル・ヌメロ)。AIの住人がそこにおり、空白の役割(例えば姉弟の父)に扮してリゾート生活を楽しむ。そんな仮想世界に人間(ゲスト)が訪れなくなって一千年。取り残された仮想世界と住人(AI)たちは、その整備と調整を行う〈蜘蛛〉と呼ばれるAIによって脅かされる。

○説の概要

ジャパリパーク=数値海岸(コスタ・デル・ヌメロ)

かばんちゃん=情報的似姿

セルリアン=蜘蛛

ジャパリパークは人工の仮想世界で、フレンズたちはAI。人間のゲストを迎える仮想テーマパークがアクセスの途絶により取り残され、フレンズたちだけの世界となった。勝手に提唱しているだけの説だが、身内で支持を得ているので有力説とした。

○論拠

・アトラクション、ガイドの存在が、完全に捨てられたテーマパーク

・かばんちゃんは突然に出現しているのが仮想世界的

・セルリアンとかいう敵キャラ(あるいはバグ)の存在、爆散するポリゴン化がゲーム的

・フレンズ、無限食料、多彩すぎる環境の都合よさが極めて恣意的

・本家ゲームが潰れた後のアニメというメタ視点

○弱点

 ・仮想上の建物が寂れるだろうか?

 ・かばんちゃんはゲストではなくフレンズ(かばんちゃんの存在がやっぱ謎)

 ・サンドスターにより動物→フレンズの変化がある(元からAIって感じではなさそう)

 ・仮想世界だと言えばどの作品でも何とかなってしまいそう

 

  • その3 文明誕生実験説

○長谷敏司「震える犬」

チンパンジーの群れにAR接続による知能向上を取り付け、人類史上の集団形成、文明誕生の流れを観察する動物実験。猿はARの情報により明確な進歩を見せなかったが、猿たちに敵意を見せず懐いてくる一匹の犬を「求心力」として纏まり、「愛」を発端として変化の兆しを見せる。

○説の概要

ジャパリパークは動物に知能を与え(フレンズ化)、原始的に生活、交流させることにより人類文明の発展を探る実験場。それぞれに群れたり衝突したりしていたところに、かばんちゃんという高度知能、及び「求心力」を与えることによって更なる発展を目指し、そしてそれは成功した。

○論拠

・今まで不明だったかばんちゃんの存在が明白

・フレンズたちは求心力かばんにより技術や対話、組織性を獲得している

・都合がよく恣意的な各要素が説明しやすい

○弱点

・セルリアンいる?

・ラッキービーストもいる?

・ゲストを迎えるテーマパークというジャパリパークの雰囲気に合致しない

 

資料は以上。以下簡単なレポ。

アニメ『けものフレンズ』の参考作品として、学会出席者から挙げられた作品

  漂流教室(漫画) フリップフラッパーズ(アニメ) うたわれるもの(ゲーム) 風の谷のナウシカ(漫画) ユートピア(トマス・モア) 横浜駅SF(小説) テラフォーマーズ(漫画) エウレカセブンAO(アニメ) 新世界より(小説)

二十人弱が出席してくれたこの学会でしたが、資料で多数説としたポストアポカリプス説が大半でした(参考作品はまちまちでしたが)。

アニメ二期が放送されるなら、第二回の学会もそう遠くないかもしれません。

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最終更新:2017年07月28日 19:34