オカシイ世の中覚え書き

第166回国会・参議院厚生労働委員会議事録 2月15日 山本孝史氏の質問

○山本孝史君 山本です。
 本題に入る前に、中国残留孤児と在外被爆者の問題について、厚生省にとっては大変重要な問題ですので、お尋ねをしたいと思います。
 大臣は、二月の九日、中国残留孤児の皆さんと面会し、謝罪をされたと聞いております。
 そこで、お尋ねをしますが、何について謝罪をされたのか。帰国を妨げた、早期帰国を図る義務を怠ったことを謝られたのか、あるいは帰国後の自立支援策が十分でなかったとして謝罪をされたのか、あるいはその双方で謝罪をされたのか、お答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私は、今、山本委員の御指摘にありましたとおり、去る二月の九日、中国残留邦人の方々とお会いをいたしました。その際、実は私が、この東京地裁での判決のあった日に総理官邸でその原告団の方々が総理にお会いになり、その流れで言わば私のところにお寄りになられて、そこでも私、お会いしたんですけれども、何しろ日程が詰まっていて十分な時間が取れなかったわけです。
 この前お会いした残留邦人の方々というのは、実はその東京地裁原告団の方も若干名、二名かそこいらですけど……
○山本孝史君 済みません、時間が押しているんですけれども。何を謝罪したのか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) ごめんなさい。
 その方々も入っておりましたが、ほかの方々が大半でございましたので、私は今回こうして皆さんにお会いするいきさつからお話を申し上げました。特に総理から指示のあった向きをお話し申し上げまして、この一連の政府側の動きというのは、法律理論であるとか、あるいは裁判の結果であるとかということとは全く離れて、別途のものとしてお会いをさせていただいていますということで、その辺りのことをすべて、総理からの御指示のいきさつ等を含めて私から申し上げました。
 その間、私も本当に皆さん方の御苦労に対していわゆるおわびを申し上げましたが、今あえて山本委員の方から、どちらであったか、あるいはそのいずれでもあったのかというお問い掛けがございましたので、あえて申しますと、私は、帰国後の支援策、細かくやったけれども、一番語学の点等について私どもの想定と違ってしまって、それがゆえに皆さんに大変な御苦労を掛けた、本当に申し訳なかったと、こういう趣旨での謝罪というか、陳謝をいたしたと、こういうことでございます。謝罪はちょっと取り消させてください。
○山本孝史君 帰国後の自立支援策が十分でないことについて謝ったんだと。ここは裁判でいろいろと言われているところですから、また、それはいいんですけど、何を謝られたのかなというふうに思ったんですが。
 そうすると、支援策はいつまでにまとまるのか、手順として、厚生省と残留邦人の皆さんがお会いになって決まるのか、あるいは検討会のようなものを設けて決めるのか、これはどうでしょうか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私どもといたしましては、これは、まず何といっても中国の残留邦人の方々のお話を、あるいは実情を聞かせていただくということ、これをやらせていただいております。同時に、私ども、総理からの御指示の一か所でもあったわけですが、一部分でもあったわけですけれども、第三者である有識者の意見もよく聞きなさいということも言われたのでございます。
 そういうようなことで、率直に申して、与党にもPTなどもございますので、それとのすり合わせも事実上必要になろうかと思いますけれども、いずれにいたしましても、この中国残留邦人の皆さん方の実情をお聞きするということ、それから有識者を中心に取るべき方策についていろいろな御意見をお聞きするというようなことがメーンの手続になろうかと思います。
○山本孝史君 これから考えるということですね。これまでいろいろ言われてきたのにというふうに思いますけれども。
 与党PTの案は白紙に戻ったというふうに聞いております。残留邦人の皆さんが帰国されて生活保護を受けなきゃいけないのは尊厳を傷付けられたと、こういうふうにおっしゃる気持ちは私はよく分かるんですね。しかしながら、生活保護制度の利用は日本国民に与えられた権利でございますし、もしそこに制度運用上の問題があるとすれば、それは解消しなければいけないだろうと思います。
 しかし、与党PTの案、今白紙だと言いつつも、もし厚労省が生活保護制度に代わる特別給付金制度を設けるということになりますと、生活保護制度を自ら否定するようなことになってしまうのではないかと今私は危惧をしているのですが、ここは皆さん方の御要求の部分もありますので、どんなふうに受け止めておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○政府参考人(中村秀一君) 生活保護制度との関係でございます。これからの対応案につきましては、大臣から御答弁申し上げましたように、有識者の方の御意見も賜りながら中国残留邦人の方々の実情をよくお聞きした上で、また与党ともよく御相談してという手順になるかと思います。
 先生から御指摘いただきましたように、生活保護制度、年金等の社会保障給付などを活用してもなお生活に困窮する場合に最低限度の生活を保障するものであり、すべての国民の権利として保障されている最後のセーフティーネットでありますので、正に安心の基盤でなければならないと考えております。
 私も、大臣が中国残留邦人の方々にお会いいただきました際に残留邦人の方々の実情を聞かしていただいたときに、特に生活保護を受けておられる方が残留邦人の六割ないし原告団の七割とお聞きしておりますが、大変やはり運用、受ける上では誇りを傷付けられたとか大変制約があるというようなことはお伺いいたしておりますので、どういう問題が更にあるのか、生活保護の立場からも中国残留邦人の置かれている特別な御事情ということをよく踏まえて、改めるべき点があれば改めていく必要があると、こういうふうに考えております。
 所得保障制度としては、年金等生活保護制度ございますので、給付金というようなお考えも各方面からいただいておりますが、所得保障制度の体系としてはなかなか一般制度として、老後についていえば老後を中心として年金があり、それでセーフティーネットとして不十分な場合に生活保護があるという所得保障制度の体系からいいますと、給付金制度、いろいろ根拠はあるのかも、御主張の根拠はあるのかもしれませんが、社会保障制度の体系についてかなり大きな問題があるのではないかというふうに考えており、よくその辺については有識者の方々の御意見も承りながら今後の対応策について検討を進めさせていただきたいと思っております。
○山本孝史君 今の大臣なり局長なりの御答弁で一つ分かったことは、帰国を妨げた、あるいは早期帰国を図る義務を怠ったことはないんだと、それについては謝らないと、こういうことですね。それから、今更ながらに生活保護に何が問題があるかということについてもう一遍実情を聞くんだとか、あるいは、もう高齢になっておられるのにこれから検討会をつくってやりますと、こういうふうにのんびりとした姿勢でおられるわけです。
 私、残留孤児の支援策の充実というのは、これは安倍政権の人気浮揚策として官邸と与党がおぜん立てをした話ですよね。それで、安倍総理自身が官邸に皆さんを招かれて支援策を約束をされた。しかし、手ぶらでお会いになったわけですよね、これから支援策考えるわけですよね。
 そういう状態の中で、私、去年十二月四日の決算委員会でも申し上げましたけれども、岸元総理に捨てられて、安倍総理にまた捨てられるということになるんじゃないか。これから先まだまだ行ってしまって、参議院選挙の前にこんな支援策つくりましたよ、それはだって今の支援策をどれだけ充実するかという話でしょう。それは今までの支援策が充実していなかったということを言っているわけであって、全く対応としてまずいというか不誠実だというふうに思います。いずれにしても、早く支援策なりを決めていただきたいと思います。
 もう一つの問題、被爆者援護の問題。
 在外被爆者への健康管理手当支給打切り訴訟で、私は国は敗訴したと思っております。最高裁まで行きました。在外被爆者の皆さんは、多くの訴訟を通じて四〇二号通達は違法なんだと、こうおっしゃってきた。私も同じ立場でそう訴えてまいりました。厚生官僚が法律を、被爆者援護法を勝手に自分なり流に解釈をして、それで違法な通達を出して、結局のところ病弱で高齢な被爆者の皆さん方にそのしわ寄せを押し付けているということについて、私は明らかに間違っていると思っています。
 結果として、長い間違法行政を行ってしまったということについて厚生労働省としては総括をしなければいけないと思っていますが、大臣の見解をお尋ねします。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今回の最高裁判決におきましては、これまでの取扱いが適切でなかったと指摘されたことを重く受け止めておりまして、在外被爆者の方々のお気持ちを十分踏まえて、手当の支給のための措置を速やかにとることといたしたいと考えております。
○山本孝史君 手当の支給は当たり前の話です、負けたんだから。そんなことを言っているんじゃない。違法な通達を出してしまったという、結果として、四〇二号通達は違法だと我々は言ってきたけれども、そうではないと言って最高裁まで争って、で、負けてという、やっぱり何でそうなってしまったのかということについて厚生労働省として総括する必要性はないんですかと聞いているわけです。
○国務大臣(柳澤伯夫君) これは厚生労働省といたしましては、諸手当の支給決定をするに当たって関係の法律に定められたところで自分たちとしては善かれと、これこそ適法だという考え方でそういう決定をしたということでございまして、今回それが法的に争われて敗訴したと、こういうことが今回の事案であったと、このように認識しています。
○山本孝史君 だから、自分たちで勝手にやってきたことが負けたんでしょう。それをあなたたちは自分たち勝手にやってきたんですよと言われたことについて大臣はどう思うんですかと聞いているわけです。理解しません、僕の質問。大臣、今言われたじゃない、自分たち勝手にやってきたんでしょう。
○国務大臣(柳澤伯夫君) いや、これは行政庁としてはその準拠すべき法令に照らして、それはかくあるべしという、そういう判断をするわけでありまして、それが後日、国民から争われて裁判所が一定の判断を下すということは、通常の三権分立の手続としてこれはそういうこともあるという前提で事が進んでいる、行政は運営されているということだと私は認識しています。
○山本孝史君 じゃ、次の質問に先へ行きますけれども、被爆者健康手帳の申請のためには、今もやっぱり病弱であっても高齢であっても日本に来なきゃいけないという仕組みになっていますよね。これを、法律を改正しなきゃ駄目なんですけれども、この法律改正の意思はありますか、ありませんか。意思があるかないかと聞いているんです。
○政府参考人(外口崇君) 被爆者健康手帳につきましては……
○山本孝史君 イエス、ノーで答えてください。あるかないのか。
○政府参考人(外口崇君) 厚生労働省としては、現在、在外被爆者の高齢化に配慮して、被爆者健康手帳の交付を受けるために渡日する方々の旅費を支給する事業などを行っているところであり、今後とも現行法の枠組みに従い、またこうした渡日支援の事業を円滑に行っていくこととしたいと考えております。
○山本孝史君 法律改正の意思はない、今も高齢であってもお金を出すから日本へ来いと、こういうことですよね。それはやっぱり私はあんまり冷たいと思うんですよ。私は今日言いたいのは、原爆症の認定でも今まだ訴訟続きますよね。ずっとこう、とにかくその三権分立だとおっしゃったけれども、裁判に訴えて最高裁まで行って、それで結果を求めていって、それでようやく行政が変わる。それはやっぱり行政のトップにいる大臣が政治家としてそんなことを続けていていいのかと。私は、当事者と国が最高裁まで争うというのは、結局、政治がないということですよ。それは、当事者同士の争いに任せてしまっているから。いや、そうじゃなくって、やっぱり本来やるべきことは何なんだと考えたときに、そんなに来日してまでということなのかと。あるいは、さっきの中国残留孤児の問題もそうですけれども、もう支援策だけなのかと。今ちょうど朝日の夕刊で井出孫六さんが書いておられますけれども、中国から引き揚げてこられた皆さん方のあのときの状況というものに心すれば、もっと私は違う答弁になるだろうと思っています。
 いずれにしても、できるだけ早くこの問題も片付けなきゃいけないと思っていますし、大臣として、やっぱり政治家としてリーダーシップを発揮しないと、ここは何をやっても物事は片付かない、私はそう思います。
 本題の少子化対策の問題に入りたいと思います。
 もうテレビ見ていると、毎日、柳澤さんの顔を見ます。これは参議院選挙まで続くのかなと、私はそう思いますけれども、しかしながら、結局、柳澤大臣は、結婚して子供は二人以上が模範家族なんだという価値観を持ち込んだんだと私は思うんです。午前中の質疑で総理も同じ考えだというふうに言われましたけれども、もう価値観が多様化していますよね。その中で、旧来の、昔の日本の価値観に戻ろうといったってそれは戻りませんよ、時計の針は戻らないんだから。しかしながら、いや、そういう中でいにしえの、今日は麗しき国とかっておっしゃいましたけれども、そういうところに持ち込もうとしても、結局何がなるかというと、安倍内閣は多様な生き方を尊重しないんだということを私は言っているにすぎないというふうに思っています。だから、そういう意味で残念な今日の午前中の答弁だったなと思っておりました。
 私は平成五年の七月に衆議院議員に初当選をしまして、当時、厚生省は、児童福祉への予算を増やすためにいろんな方策を練っていたんですね。それが平成六年十二月のエンゼルプランになって、以来、先ほど武見副大臣お話しになったように、新エンゼルプラン、少子化対策プラスワン、子ども・子育て応援プラン、そして「新しい少子化対策について」というふうに、プランは一杯出てきて打ち上げられたんですけれども、結局それは余り効果は出なかった。
 それをずっと見てきますと、中心は、やっぱり保育対策が中心だったわけですね。肝心の働き方を変えるということについては結局、企業任せになっていて、むしろやってきたことは、労働法制を規制緩和をすることによって長時間労働になってしまうとか、そういう逆の流れをつくってきただけだと私は思うんです。それと、そもそも少子化対策と言ってしまった途端に、少子化は悪いことなんだと。産めよ増やせよになって、人口政策になってしまうわけですね。
 ここがやっぱり発想を変えないと非常にまずいだろうということで、民主党が、例の少子化社会対策基本法ですとか、あるいは次世代育成支援対策推進法が成立する一年前に、我々としては、このパンフレットですけれども、「多様なライフスタイルを生きる時代の自立と安心の政策」という、むしろやっぱり男女共同参画政策を進めるということが一番重要なんじゃないかということで我々は案を発表させていただいたわけです。
 去年の六月に小泉内閣で決められた新たな少子化対策ですけれども、四十の対策が列挙されているわけですが、相変わらず総花的になっている。何でそうなってしまうんだろうと思ったときに二つ理由はあって、一つは、申し訳ないけど、公明党の方たちが新しい今度は少子化対策をやりますというふうに、こうおっしゃるもんだから、それによって、その手柄にしたいということがあってどんどん数が増えていっちゃう。
 もう一つは、各省庁の各課単位で、少子化という冠を付けたら予算が取れるんだというので新しい事業をどんどん生み出してこられるもんだから、もう総花的なものが並んでしまう。だけど、もうこれまでの経過を見ると、もうやるべきことは実は決まっていて、こういろんなことをやるんじゃなくて、もっと予算を集中して使うべきじゃないかというふうに私なんかは思うんですね。
 今度、子供と家族を支援する日本重点戦略検討会議ですか、の委員になられた岩渕勝好さんによる出生率の地域格差に関する研究会というのがありまして、そこが、一九九〇年から二〇〇〇年までの十年間に合計特殊出生率が上がった市町村の中から五つ選んで、それに対象する市町村と比較したときに、なぜ上がったんだろうかという要因を分析したというのがあるんですね。そこは六つ共通点があって、一つは経済が活性化し雇用の場があること、二つ目は保育施設が充実し経済的負担が軽い、三つ目に子育て家庭向けの良質な住宅がある、四つ目に小児の医療が充実している、五つ目に首長の取組、六つ目が住民が地域活動に熱心だったという、この六つなんですよ。だから、雇用、保育、住宅、医療、首長の姿勢と、地域住民の取組。
 大臣にお尋ねをしたいんですけれども、東京とか愛知などの財政の豊かなところですといろんな政策が打てるんですけれども、この子育て、次世代育成で地域再生を図っていこうとすると、地域、やっぱり非常に厳しい地方財政なので、全国的にその次世代育成支援策を展開しようとしてもなかなかいかないんじゃないかと、こう思うんですけれども、何か良案はお持ちでしょうか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今、岩渕先生の研究成果を踏まえて、豊かな地方自治体ではかなりうまくやっているところがあるということの御報告をいただきながら、では豊かなその地方政策、地方を実現するための政策として何か腹案があるか、こういうお尋ねでございますけれども、私は今、自身の所掌の範囲としては地域雇用開発促進法というものの法律を持っておりまして、これでもってとにかく地方のもう少しこの雇用を上げていきたい。
 そういうことを考えているんですけれども、しからば、その雇用の場というのはどうやって確保できるのかと。これはもう私の役所の範囲をまあ言わば超えている部分でございます。もちろん投資が行われる、企業で投資が行われるということであれば、その投資が行われることによって生ずる雇用の促進、これはまあ我々の所掌事務の範囲内でできますけれども、雇用の場そのものを、例えば企業立地を求めるとかというようなことは、まあ少なくとも当面は私の所掌事務でなくて、したがいまして私は今、経済産業大臣にそのことを非常に強くお願いをしているという状況であります。
 したがいまして、今まずこの安倍内閣のやっていることをあえて言えば、全体の成長の軌道をこれからも引き続いて走るためのマクロ政策、それからもう一つは、少し影になっている部分に対して個別的な手当てをする地域経済政策、そういうような取り合わせでもって何とか底上げを図っていくということでございまして、私はそういうものを受けて、雇用の面でできることを目一杯やっていくと、こういうことで今進めさせていただいているわけでございます。
○山本孝史君 まあ私の所掌事務でないとかという話になると、なかなかこれまた難しい話で、いや、だからその対策会議であったり、総理が本部長ですか、議長になられたりしながらやっているわけですよね。その会議、一杯つくってきたわけですよ、プランと同じように。しかしながら、それ、船頭多くして船山登るじゃないけれども、だれが一体やっているんですかというところもはっきりしないし、何が重点かというところも結局ばらばらだったんですよね。
 だから、今、雇用の問題は経済産業省でやってもらうんだと、こうおっしゃるわけだけれども……
○国務大臣(柳澤伯夫君) 雇用の場。
○山本孝史君 いやいや、だから、結局、さっき岩渕さんのお話をしたけれども、やっぱり働いていないと、その先進まないんですよね。保育はもちろんあるけれども。どうやって就労して一定の収入を得るかという場を各地域につくる、地域再生のためにどうするかと。こう考えたときに、現実問題としては、工場が海外へ行ってしまったり、あるいは外国人労働者に取って代わられたりして、なかなか日本の方たちが働く場所がないというか、というのが現実だと思うんですよ。地場産業を挙げてとか、あるいは農業をという話もしておられますけれども、私の友人なんかに聞いても、農業の現場でも中国人の方たちがもう今働いておられるのが非常に多いんですね。
 だから、若い人たちが仕事を選んでいるわけではないんだろうけれども、ここはどうやってそこに仕事をつくっていくのか、あるいは魅力のある職場にしていくのかということについて、これは正に国を挙げての取組が必要なんで、そのために、対策会議じゃないけど、皆さん方で一緒にやっておられるんだと思うんですね。
 で、私は、やっぱりその中で、一つはやっぱり介護とか医療とか福祉とか、これからの高齢社会を迎えていく中で、そういうやっぱり人手、手当てをするというところがやっぱり必要なので、そこは一つのやっぱり産業だと私は思うんです。その若い人たちにやっぱり、今看護師さんが足りない、あるいはヘルパーさんがフィリピンから来るという、看護師さんですか、とか、あるいは外国の方たちに代わってもらうというのじゃなくって、やっぱり専門職として日本の中でしっかりと育てていくということが必要。
 そのためには何かというと、実は社会保障関係費がどんどん削減されていってしまうとそういうところに回らないんじゃないかと思うんですね。だから、今財源が厳しいということは分かるんですが、今やっている方向性は、皆さん方が言われる少子化対策ということからすると逆の方向に行っているんじゃないか。私は、もっとやっぱり社会保障関係費を何とか確保しながら、地域でそういう雇用を生み出していくという施策に転換していくということが実は一番重要なんじゃないかと思うんですが、大臣の御見解をお伺いします。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 雇用が確保されるということが一番基本ではないかと、そこでワーク・ライフ・バランスもあり得るしという、あと申しませんけれども、そういう一つの考え方の系列があると。したがって、雇用がまず確保されるということが非常に大事だと。私も全くその点は同じです。
 考え方は同じなんですが、ただ私は、その場合に恐らく必要なのは能力開発と就業支援だろうと私は思っています。私は、職業能力開発を、これをもうかなり本腰を入れてやっていかなきゃいけない、こういう考え方を持っておりまして、そしてそれと、まあ私の所掌事務の範囲にとどまってしまうのは別に意図があって言っているわけじゃないですが、就業支援をそれともう密接不可分の形で展開していく、こういうことだろうと思うんです。
 つまり、これは余り強調し過ぎてもいけないかもしれませんが、現実に生産工程の従事者というような方々の職場のシェアというのは正直言って少なくなっておりまして、それを今度は就業したい側が従来と同じような職場があり得るというような前提でそれにアプローチしたら必ずミスマッチが起こって、非常に仕事の場を与えられない、あるいはいわゆる非正規というようなことに望まずしてなるというようなことも生じがちになると。これはまあある意味でやむを得ないことになってしまうわけです。
 そこで、そうならないためにはどうしたらいいかということを私としては考えておりますが、それはそれとして、今途中まで山本委員と同じような考え方を取ってきたわけですが、そこからがちょっと違って、いや、就業の場としては、せっかくだから医療だとか、医療はともかく、介護だとかというような場が雇用の場としてあるじゃないか、こういうお話を承ったわけです。これはもうかねて、まあどなたとは申しませんが、同じようなお話を承った記憶を私は持っておりますが、そこと、さあ予算とをすぐ結び付けていくという考え方には、私はちょっと、山本委員の御発言ではありますけれども、少し留保を感ずるというのが今の私の気持ちです。
○山本孝史君 介護報酬であれ医療報酬であれ、どんどん下がっていくわけですね。若い人たちが働いていても、なかなかその先に向かって希望が持てないというところがあって、どんどん辞めていくわけですね。
 そういうことを考えても、私はやっぱり地域で高齢者も子供たちも安心して暮らせるというためには、そこにきちんとした医療や福祉や介護の基盤があるのが前提であって、診療所なんかも今どんどんなくなってしまっていますけれども、そういうやっぱり基盤があった上で、もし子育て支援ということであればできるのであって、地域がまたそれで活性化されることによって日本が元気になるという話ですから、そこのところ違うとおっしゃいましたけれども、やっぱりお金がないと始まらない話で、だから、こちら側で技能の習得はしていただかなければいけないけれども、同時に働く場所をつくり上げていくような社会保障政策というものの視点を持っていかないと、ここから先はなかなかうまくいかないのではないかということを申し上げているわけです。
 時間がもうないので先、飛ばしますけれども、私、やっぱり、少子化少子化と騒ぎますけれども、問題はその少子化そのものにあるんではなくて、少子化が進んでいく中で、それに対して社会保障制度がしっかり対応できないというか、改革が遅れるということの方が実は問題なんだと思っているんですね。
 そういう意味で年金の将来像というのも非常に気になるところですけれども、この間、二月の六日ですか、年金財政への影響ということで暫定試算を出していただきましたけれども、これを見ておりますと、基本ケースであれ参考ケースであれ、出生が低位の場合も含めて、二〇二七年から二〇二九年の間に、ほぼだから二十年先ですかね、六十五歳のときの年金給付率が所得代替率で五〇%になるんだと、こういう話になっているわけですね。
 六十五歳でということでいくと、一九六二年から一九六四年生まれが五〇%なんですが、ちょっと済みません、でかいの持ってきて恐縮ですけれども。(資料提示)結局、大臣、申し訳ありません、この人口ピラミッドはもうほとんど決まってしまっていて、問題はこの先どれだけ生まれてくるかという話しているわけですよね。申し上げたように、試算だと二〇二七年、二九年、五〇%とおっしゃっているので、とすると、二千まあこれ二五年ですけれども、六十五歳のところ、ここのところで五〇%、所得代替率五〇%と言っているわけですね。この上はもう五〇%下がっていっていますけれども、私が聞きたいのは、団塊の世代の次に来る団塊ジュニアですね、この人たちが六十五歳になるときに所得代替率は一体どのぐらいになるんだろう。それは五〇%を保障することができるという見通しなのかどうかをお尋ねしたいんです。大臣、お願いします。
○政府参考人(渡邉芳樹君) 恐れ入ります。数字の話でございますので簡単に申し上げます。
 今回、まだ正式の財政検証ということではございませんが、新しい人口推計に基づきまして、足下の経済動向等を加味いたしました暫定試算を発表させていただきました。
 その中で、基本ケースということで、最近の経済の動向を入れ込んでみますと……
○山本孝史君 分かっているんですよ。だから、保障ができるかできないかと聞いているんです。
○政府参考人(渡邉芳樹君) 将来にわたって、今御指摘の世代も含めて所得代替率につきましては五一%台ということで、五〇%を上回ることで推移していくことが十分可能ではないかということを発表させていただきました。正式には、専門家の集まりを設けて更に詳しい検討を加えていく予定でございます。
○山本孝史君 もう一遍聞きますね。大臣に聞きますね。
 今の渡邉さんの御答弁だと、この団塊ジュニアの世代が六十五歳になったときも五〇%の給付率は維持できるんだと、こういう御答弁だったんですけれども、そういう御認識でよろしいですか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今、これ釈迦に説法みたいになっちゃうんですけれども……
○山本孝史君 いやいや、いいんです。そういう御認識でいいですかと。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 我々はそういう認識です。
○山本孝史君 さっき申し上げたように、二〇二七年から二九年で五〇%になるという推計ですよね、このこの間示していただいたやつだと。ということは、ここのところで五〇%、前回の年金改革のときに、給付時五〇%ですから、給付していった後は下がってきますので、そうすると、この人たちのところは実は四五%ぐらいに団塊の世代はなるんですよね。そういう話でいくと、六十五歳のここの団塊の世代のジュニアですよね、ここには大変たくさんの人たちがいて、なおかつ、ロストジェネレーションと言おうか、この三十五歳の今の若い人たちの就業が非常に不安定で、思っているほどに私は賃金の上がり方からしても、あるいは厚生年金の納付総額というか、というところから見ると、ここの人たちがこの団塊ジュニアを支えるというのはよっぽどのことなんじゃないかと私は思っているわけです。
 そういう意味で御質問申し上げているので、推計として団塊ジュニアも、安倍内閣というか柳澤大臣としては、六十五歳になったときに五〇%が受給できるんだと、こうおっしゃっているので、金額的にそれがどの程度下がるかは、実際のところ、いや、この人たちの賃金の五〇%ですからね、現役世代の平均賃金の五〇%ですから、額面的に考えるとどのぐらいになっているかというのはまた別の話だと思いますけれども、いずれにしても、少子化が及ぼす一番の問題は社会保障の安定性の問題なので、今の五〇%が確保できるんだというところの根拠も含めてもう一度議論させていただきたいというふうに今思います。
 団塊ジュニア、心配するなと、五〇%だよということでしたので、また議論させていただきたいと思います。
 時間ですので質問を終わります。
 ありがとうございました。

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最終更新:2007年03月07日 12:58