オカシイ世の中覚え書き

第166回国会・参議院厚生労働委員会議事録 2月15日  小池晃氏の質問その2

○小池晃君 午前中に引き続いて、長時間労働の問題をお聞きします。
 安倍首相は、サービス残業の問題については、衆議院の本会議で、周知啓発、監督指導の強化、悪質な違反が認められた事業主に対する厳格な対応をという答弁をされたんですね。具体的にどうするのかが大事であると思います。
 二〇〇五年にサービス残業を摘発した金額は二百二十三億円、千五百二十四社、十六万人になります。これは氷山の一角にすぎません。全体でどれくらいあるのか。そのものの統計があるわけではありませんが、事業主が毎月支払っている毎日勤労統計の時間外労働、これと、労働者が実際にどれくらい残業をしているかという調査である総務省の労働力統計、この差がサービス残業に相当すると言われてまいりました。二〇〇五年で見ると、年間一人当たり二百十四時間、二百時間以上で毎年ずっと推移してきている。こういう実態というのはやっぱり少子化ということに本当に大きな悪影響を与えていると思うんです。
 大臣、やはり違法である未払が蔓延しているというのは国民の実感でもあると思うんですが、これはあらゆる方策を打つべきだと思いますが、その点どうお考えですか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 賃金不払残業は労働基準法の違反でございます。あってはならないものであるということでございます。
 厚生労働省としては、平成十五年五月に策定いたしました賃金不払残業総合対策要綱等に基づきまして、賃金不払残業の解消に向けた総合的な対策を推進しています。
 今後とも、この要綱に基づきまして、企業全体として労使の主体的な取組を促すとともに、重点的な監督指導を実施する、そういうことを通じまして賃金不払残業の解消に取り組んでいきたいと、このように考えております。
○小池晃君 ちょっと具体的に基準局長にお聞きしますが、今年度と来年度でサービス残業に対する予算額はどうなっておりますか。
○政府参考人(青木豊君) 賃金不払残業の解消に向けた取組の推進についての平成十八年度の予算額は一億三千九百万円でございます。
 平成十九年度においては、賃金不払残業対策に加えまして、長時間労働そのものの抑制を図る観点から、過重労働対策と併せてキャンペーン月間の設定を行うことなどを考えております。こういったものを合わせまして、平成十九年度予定額は一億二千五百万円というふうになっております。
○小池晃君 これは、二〇〇四年は一億五千二百万、二〇〇五年は一億四千三百万、二〇〇六年が一億三千九百万、そして来年度予算で一億二千五百万円と、毎年こう減っているわけですね。これでは、やっぱり解消どころか後退しかねないという実態だと思うんです。
 しかも、その内容が非常に巧妙になってきている、悪質になってきているということでありまして、先ほど午前中にも紹介した労働弁護団の長時間労働酷書でもこんな例があります。
 これは飲食店の五十代の男性で、月の実残業百五十時間ですが、正社員にはタイムレコーダーの時刻を打刻しないように設定されている、残業代の欄には固定額が記載されている。これは整備工場の三十代の男性の例ですが、全員六十時間以上残業しているが、十五時間分しか支払われない、自己申告制で、提出先の工場長が月十五時間になるように書き直し、本社に報告している。大手電機メーカー四十代の男性、月百時間以上残業がある、会社はパソコンで労働時間を把握しているが、過少申告を強要している、最高で四十時間しか出ない、残業代が一定程度を超えれば無能とみなすと脅かされているという告発です。こうした手口というのは、これは管理職一人がやればできるわけじゃないわけでありまして、正に企業ぐるみでやらなければできないだろうと。しかも、こうしたことが、前回も質問しましたが、三井中央信託銀行であるとか、あるいは大手宅配便会社であるとか、だれでも知っているような大企業で起こっているわけです。
 ところが、おととしの暮れに、日本経団連が経営労働政策委員会の報告というものの中で、労働基準監督行政に対してこう言っているんですね、企業の実態を無視したかのような指導がなされていると、はね付けるような見解出しました。その際、厚労省は文書も出して、労使慣行に介入していないと、実態に合った指導監督をやっていると、そして指摘を受けた企業は冷静に自らの企業の在り方を見直すことから始めることが望ましいと、日本経団連においてもそのような立場で傘下の企業の指導を行うことを期待したいという文書を出された。これは、当時、尾辻大臣にもお聞きをして、尾辻大臣は厚労省の考え方を申し入れて、経団連側も地方組織にその趣旨を伝えると回答したと、回答どおりにやってくれるかどうかまず見たいと答弁をされています。
 そこで、大臣にお聞きしたいんですが、その後、日本経団連はこの問題についてどのような取組をやっているか、厚労省としてどのように把握されていますか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) ただいま、尾辻大臣当時に行いました申入れにつきましては、日本経団連が平成十七年一月から三月ごろにかけまして都道府県の経営者協会を回ってその趣旨を説明したことを確認しておるということでございます。
○小池晃君 しかし、その後の経過、推移を見ても、大企業の実態というのは改善したとはとても言えない、悪質さを増しているということになるんではないかと。
 私、先ほどその指針、通達に基づいてやっていくという御答弁あったんですが、二〇〇一年の四月六日にサービス残業解消のための通達を出しました。それ以降、やはり違法であるサービス残業をなくせということで、日本経団連に厚労大臣、厚生労働大臣として直接申し入れたというようなことはあるんでしょうか。このことについて、大臣のことですから大臣にお答えいただきたいんですが。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 平成十五年の五月に賃金不払残業総合対策要綱、それからまた賃金不払残業の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針を策定いたしました際、労働基準局長が日本経団連に対し、文書により賃金不払残業の解消について協力を要請しております。
○小池晃君 いや、基準局長でしょう。私が聞いたのは、厚生労働行政のトップである大臣がやっぱり率先して具体的に行動することが必要なんじゃないか。柳澤大臣、やはりこれをなくすために、日本経団連のトップに対して本気でこのサービス残業解消のために取り組むべきだと、大臣自ら言いに行くべきじゃないですか。その点、どうですか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 賃金不払残業対策につきましては、平成十五年に賃金不払残業総合対策要綱を策定いたしまして、以後、十一月を賃金不払残業解消キャンペーン月間と定めまして、賃金不払残業の解消と適正な労働時間の管理に向けた労使の主体的な取組について、日本経団連を含む経営者団体等を通じて周知に努めておるところでございます。それに加えまして、監督指導にも力を入れているというところでございます。
○小池晃君 いや、そんなことは知っているわけで、それだけでは不十分なわけだから大臣自ら率先していくべきじゃないかと。これは決意を示すと、厚生労働行政として、サービス残業を許さないと、これが必要なんじゃないですか。少子化対策で頑張るんだというのであれば、率先してそういうことをすべきですよ。そうでなければ、本当に上っ面の反省ということになるんじゃないでしょうか。しかも、やっぱり労働者に対しても周知徹底するということも必要だろうというふうに思います。今ありましたけれども、年に一回電話相談やると、それだけじゃ駄目なんですよ、やっぱり。日常的に周知徹底を図っていくということをこれはすべきだというふうに思っております。
 それにあわせて、もう一つ、労働の現場での非常に重大な問題として、やっぱり不安定雇用の問題がある。不安定雇用で労働条件が極めて厳しいということも少子化の大きな原因になっているということは言うまでもないと思います。
 参議院の本会議で我が党の市田議員が質問いたしまして、総理は、これは労働者派遣法への対応でも、派遣先企業の違反に厳正に対応すると答弁されていますが、大臣、これは、違反企業名の公表についてもこれしっかりやるんだということと受け止めてよろしいですか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) この件につきましては、法の枠組みがあらかじめ設けられております。これはもう何回も答弁いたしますともういいと言われかねないんですけれども、違反しておる派遣先に対しましては、まず各労働局におきまして是正指導を行いまして、違法状態の解消、この段階でも図っているところでございます。さらに、そういう是正指導をやりましてもなお改善の見られない悪質な派遣先に対しましては勧告をし、また勧告に従わなかった場合は公表をすると、こういう一つの枠組みの下でこの法制度が運用されておりまして、この法の仕組みに従って厳格に対応しているということでございます。
○小池晃君 厳格に対応しながら、公表は一例も今までないわけでしょう。ないんですよね、これは。だから、やっぱりこれでは駄目なんですよ。労働者は是正されるまで待っていられないんですから、これ速やかに指導、勧告すると、従わなければ直ちに公表するというふうにしなければ、今言った仕組みだって絵にかいたもちなんだというふうに思いますよ。
 実際にじゃ何が行われているか。日本を代表するような大企業が、この派遣法に基づく直接雇用の申入れ義務といいながら、実際はその名前だけで、事実上数か月間という短期雇用にほうり出していると、こういう例がございます。これは去年の十二月にも私この委員会で取り上げましたが、いすゞ自動車の例ですが、これ、製造業で一年過ぎた派遣労働者千五百人、これ昨年十一月に直接雇用にしましたが、短期雇用です。しかも、雇用契約書すら労働者に渡さないような状況があるということでこの委員会でも指摘をいたしまして、調査も要求いたしました。
 局長、その後どのように対応されましたか。
○政府参考人(青木豊君) 個別の事案についての具体的な回答は差し控えさしていただきたいと思いますけれども、管轄の署におきまして適切に事実関係を踏まえて対応しているものと認識しております。
○小池晃君 いすゞ自動車では、労働者が申入れもして、やっと二か月間雇用期間が延びたというんです。それでも今年四月までという細切れな雇用契約になっているわけですね。
 大臣、これインターネットで出ているんですが、十一月三十日の経済財政諮問会議の議事録、これを見ますと、大臣はこう言っているんです。労働者派遣の雇用申込義務について、雇用申込義務は、期間制限に対する違反の防止のために、期限が終了したときに更に使おうとする場合には必ず長期雇用を申し込まなければならない義務があるということですと、こう述べているんですね。
 大臣のこの経済財政諮問会議の発言に照らせば、いすゞのように派遣労働者を短期、一か月、二か月という短期雇用にするというのは、これは指導しなければいけないんじゃないですか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) まあこれ、そもそもそうした契約、労働契約の申込義務を設定した理由というのは、私が申したような考え方の下で行われていると、そういうものだと言っていいと思います。
 ただ、現実の雇用契約あるいは労働契約というものは、これは基本的に労使の当事者同士の契約でありまして、私としてはそういう方向で労使の話合いによる、交渉による契約が結ばれることを期待をしているということでございます。
○小池晃君 いや、それはおかしいでしょう。だって、議事録ではっきり出ているんですよ。もうそういう場合は必ず長期雇用を申し込まなければならない義務があるんだと、こういうふうに経済財政諮問会議で発言されているわけですから、これはそういうことを期待するということじゃないですよ。長期雇用をする義務があるんだということを厚生労働大臣として発言されているわけですから。だとすれば、こういういすゞのようなやり方はおかしいということを、大臣、言わなきゃいけないじゃないですか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私といたしましてはそういう方向で是非努力をしてもらいたいということですけれども、労働契約の個々について私どもが立ち入っていろいろ差配をするということは、これは慎まなければならないもう一つの命題だと思います。
○小池晃君 いや、これは契約だからそれは自由なんだとは一言も言ってないですよ。
 もう一回読みますよ。期限が終了したときに更に使おうとする場合には必ず長期雇用を申し込まなければならない義務があるんだと、これが労働者派遣法の趣旨だと、こう言っているじゃないですか、全然違いますよ。
○国務大臣(柳澤伯夫君) その制度の趣旨はそういう方向のものだということを私としては考えております。しかし、具体の個々の労働契約について私どもがこれに介入していくということは慎まなければならないことであると、このように考えます。
○小池晃君 これはちょっと納得できませんね。これ趣旨だと言っているんじゃないですよ、この趣旨は。
 私は、この長期雇用を申し込まなければならない義務があるというのは、これは当然のことだというふうに思いますよ。やっぱり派遣労働者を直接受け入れるというんであれば、これは雇用の安定というのは趣旨なんだから、それは長期雇用をやはり申し込まなければならない、これはおっしゃっていることは私はこれは正しいと思いますよ。
 だったらば、長期雇用を申し込まなければならない義務があるんだというふうにこういう公式の場でも発言されているのであれば、そうではない事態が起こっているんだから、そこに対してきちっと指導すると、これは最低限の厚生労働省としての役割じゃないですか。それはもう労使の問題だからもう手は出せませんというんじゃ、何のための厚生労働省かということになるんじゃないですか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) これも何度お尋ねいただいても、個別の労働契約に対して私どもが介入する立場にはないと、こういうことです。
○小池晃君 これでは、やはり労働者の権利は守れないと私は思うんですね。
 このいすゞの問題では、栃木県の知事と労働局長連名の要請書があります、このいすゞの工場がある栃木県ですね。栃木県の雇用情勢についてこう言っているんですね。求人数は増加傾向にあるが若年層の正規の職員、従業員の割合の低下が続いており将来の生活設計に不安感が予測されています、正規求人は四割に対して正規を求める求職者は七割を超えミスマッチの大きな要因となっている、労働者雇用計画の再構築及び格段の、格別の御配慮をと、これを栃木県下の五つの経済団体に送っている。
 景気回復というけれども、正規雇用になっていない、こういう実態がある、これはいすゞの労働者の話を聞いてもそうなんです。正社員と同じ仕事をしているにもかかわらず、二か月、三か月の短期雇用だと、不安な日々を送っているんだと、一刻も早く安定した雇用で働きたいというのは労働者の切実な願いなんです。これは、多くの労働者は独身寮に入っていて、もし雇い止めになったらば仕事とともに住まいまで失うということになって、不安が今広がっているというふうにも聞いています。労働者はこう言っているんですね、正社員の採用試験を受けさせてほしいんだと。私、こういう願いにこたえることこそ再チャレンジなのではないかと思うんです。
 大臣、再チャレンジ、再チャレンジと言いながら、派遣が終わっても雇用申込義務が結局細切れの雇用ということであれば、私はこれは再チャレンジに到底ならないし、いつまでたっても不安定な雇用から抜け出せない、こういう事態を打開するために企業にもしっかり物を言うというのが厚生労働省としてのあるべき姿なんではないですか。いかがですか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 我々も、非正規雇用者が正規雇用に転換していくということが、これはもう希望をすればということですけれども、基本的に必要な方向だと、このように考えております。そのために、今度、雇対法あるいはパート法を改正するその内容では、できる限り正規雇用を希望する若者たちにその機会を与えるようにということを法定して努力義務を課そうと、そういった方向での努力をしてもらいたいということを今度法定しようというふうに考えているわけでございます。
○小池晃君 今ある法律でできることをやらずに、新しい法律があるからというんじゃ、それじゃ説明になっていないんです、今ある法律だってできる、やるべきことをやるべきなんですよ。
 私、じゃ大臣にお聞きしたいけれども、その会社の基幹的業務をやっているわけですね、恒常的に必要な部分を担っている労働者なんですね、みんな。そこに従事する労働者は二か月、三か月の短期間雇用になっちゃうというのでは、これは全く不公正な雇用契約になるんじゃないですか。大臣はそう思いませんか。
○政府参考人(青木豊君) 今多様な雇用形態が日本の労働現場でなされていると思います。これは様々な事情によって、経営上の事情もありましょうし、働く側の事情もございますが、そういったことで言わば社会が動いているということだろうと思っております。
 したがって、個々の企業でどういう雇用形態がなされているかということについては、それぞれの事情に応じて考えていくということになるだろうというふうに思っております。
○小池晃君 そういう姿勢では不安定雇用から抜け出そうという労働者の期待にこたえることができないんですよ。再チャレンジなんて絵にかいたもちになるんですよ。私は、しかも、今経済財政諮問会議などで議論されている労働ビッグバンなんというのは、こういう雇用申込義務すらなくして、もう派遣労働を永久化するような方向まで出されてきているわけでしょう。こんな方向は断じて認められないということを申し上げたいというふうに思います。
 それから、少子化の問題にかかわって、医学部の定員の問題について大臣に残る時間ちょっとお伺いしたいんですが、産科や小児科の医師不足が非常に深刻になって、これは抜本的な医師数の増員を図るべきだと我々は提案をいたしました。
 ところが、新医師確保総合対策では、医師不足県の医学部の定員を暫定的に増やすと。しかし、これは十県だけ、しかも最大十人まで、しかも十年間。こういう縛りが掛かっていて、しかもこれは前倒しなんですね。結局、十年間増やして、もうその後十年間、結果によっていろいろと対応は違いますが、増やした分はまた減らさなきゃいけないという、そういう枠になっている。
 なぜこんなことになっているかというと、大枠があるわけですよ、医学部の入学定員の削減という閣議決定。私、やっぱりこの閣議決定の範囲内では抜本的な解決はできないというふうに率直に言って思います。やっぱり今これだけ医師不足が深刻になっているんだから、やっぱりこの際、閣議決定見直すということを踏み出す必要があるんじゃないですか。大臣、いかがでしょう。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 現在、医師の総数につきましては、毎年三千五百人から四千人程度増加をしているという状況にあります。したがって、まだ過剰な状態などには到底至っていないわけですけれども、将来的には必要となる医師の数を上回る数の医師が供給されるという見込みを昨年の七月に厚労省は示したということでございます。
 このため、現状におきましては、医学部の抜本的な定員増は必要はないと考えておりまして、御指摘の平成九年の閣議決定の見直しも、これまた必要ないものと考えております。
 なお、中長期的な対策として、文科省及び総務省と協力して、今、小池委員が触れられたように、特に医師不足の著しい県における大学医学部や自治医科大学の暫定的な定員増を進めることといたしております。
 いずれにせよ、国としては、いま一度それぞれの地域の実情をしっかりと把握し、都道府県と協力をしながら、地域ごとに具体的で実効性のある医師確保対策を構築してまいりたいと、このように考えております。
○小池晃君 二十五年前に、そういう、これからは医師過剰になると言って減らして、今医師不足だって大問題になっているじゃないですか。OECDの平均とどんどんどんどん乖離していっているじゃないですか。この医師数の抑制という政策自体誤りだったんですよ。そのことを率直に認めなければ、私は現状の打開はできないというふうに思いますし、抜本的なこの問題の解決にはならないというふうに思うんです。
 しかも、これ、たとえその定数を増やそうとしても、奨学金制度をつくることが各県の条件になっているんですよ。十人の入学定員を増やすだけなのに全体の定員の五割の奨学金制度を用意しなければいけないと。だから、例えば百人の定員で百十人にしようと思ったら、五十五人分の奨学金制度を用意しなければ定数増ができないという仕組みでしょう。だから、県の財政の負担が非常に大きいので、ちゅうちょする声も上がっています。私も直接対象の十県に全部電話してみました。どこでも、びっくりしたとか、定員の五割の奨学金というのは厳し過ぎるという声が上がっている。
 私、このようなハードルを条件にするということはやめるべきだと思うし、せめて少なくとも柔軟にこれ対応できるようにやっていく必要があるんじゃないですか。その点いかがですか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) このような方針の下で医学部の定員増を容認することにいたしたわけですけれども、その際には、卒業後地元で医療に従事することを条件とする奨学金を用意していただかなきゃならないということにいたしております。このような条件を設定した理由は、医学部の定員増が医師の地元定着につながらなければ意味がないと考えられるためであります。
 したがいまして、奨学金を用意するという条件の意味は、貸与希望者がいる場合にはその用意の努力をしていただきたいという趣旨でありまして、貸与希望者の見込みにかかわらず、増員後の医学部定員の五割以上の人数分の予算をあらかじめ当初予算で用意をしなければならないという意味では必ずしもありません。その旨は、対象県に対して平成十九年一月三十日付けで医政局が発出した事務連絡におきまして明らかにしているところでありまして、具体的な各県からの医学部定員増の協議の受付に当たっては柔軟に対応していく考えであると、こういうことでございます。

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最終更新:2007年03月07日 13:08