オカシイ世の中覚え書き

<イージス艦事故>回避機会2度逃す (毎日新聞)

 海上自衛隊のイージス艦「あたご」とマグロはえ縄漁船「清徳丸」の衝突事故で、あたごの見張り員が衝突2分前にも前方を横切る別の漁船を視認、約2.8キロ以内に接近していたにもかかわらず、進路を変えられない自動操舵(そうだ)のまま速度を維持し航行を続けていたことが分かった。衝突12分前にも清徳丸らしき漁船の灯火を視認しており、少なくとも2回は自動操舵を解除して回避措置に移る機会があったことになる。一方、21日会見した新勝浦市漁協側は、遅くとも30分前にはあたごのレーダーが清徳丸を含む漁船をとらえていた可能性が強いと指摘した。

 防衛省によると、漁船があたご前方を通過したのは、清徳丸らしき漁船の灯火を確認してから10分後の19日午前4時5分ごろ。右方向から進路前方を横切ったという。同じ時間帯には漁船と確認できなかったものの緑の灯火も視認していた。

 あたごの前を横切ったとみられる勝浦漁協所属の「幸運丸」(堀川賢史船長)の舵輪を操っていた堀川船長の父宣明さん(51)によると、午前3時半ごろ、幸運丸から見て「10~11時の方向」に、あたごの灯火を確認した。

 6カイリ(約11.1キロ)まで近付いた地点では、レーダーに船影がはっきりと映し出されたが、2隻はそのまま接近。1.5カイリ(約2.8キロ)まで迫ったため、時速14ノット(約26キロ)で右にかじを切り、あたごを左舷に見る格好で、前方を通過した。あたごは速度を維持したまま、直進したという。

 この時、宣明さんは1.5~3カイリ(約2.8~5.6キロ)後方に3隻の僚船が続いているのを、レーダーで確認。直後に「何の船だ、危ない」「ライトを当てた、軍艦だ」などと交信する無線を聞いた。このやり取り中、清徳丸の応答はなかった。

 この直後、あたごの前を同様に通過しようとする複数の船影がレーダーに映り、あたごのライトが海上を強く照らした。宣明さんは「あの時に事故が起きたのだと思う」と推測した。

 また、あたご側が確認していたかは明らかではないが、午前4時過ぎには僚船の「金平丸」が正面から近づくあたごに気づき、右左に回避行動をとった際もあたごはそのまま航行を続けたという。

 横須賀海上保安部は幸運丸などの僚船に搭載されている全地球測位システム(GPS)も調べて航路を確認するとともに、船員らからも事情を聴く方針。【浅野翔太郎、駒木智一、佐々木洋】

[ 2008年2月21日15時00分 ]

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最終更新:2008年02月22日 12:18