オカシイ世の中覚え書き

渡辺喜美「ブレブレ首相が世の中をかく乱している」

 本来期待された選挙管理内閣の役目に徹すればよかったのに、麻生総理は解散総選挙を3回決断して3回とも先送りしてしまいました。「金融機能強化法」を通しておけば、危機対応は1ヶ月くらいなら政府のオペレーションでしのげます。100年に1度の非常事態には、解散・総選挙の結果、首相指名の1位と2位で危機管理内閣を組織して、本格的な対応策を徹底させるのが正しい。
 そういう大戦略もなく、党利党略で株価と世論調査の数字に一喜一憂していれば、ジリ貧に陥る可能性が高いでしょう。
 つまり、総理には戦略的発想など微塵もなく、減税、定額給付金、所得制限と続けてぶれまくっている。思いつき先行で花火を上げるだけだから迷走するんです。官邸主導には、官民から選抜した優秀な国家戦略スタッフが必要なのに、麻生総理にはそれもいない。
 「官僚を上手に使いこなす」とおっしゃるが、実はこの言葉を政治家に言わせたら官僚の大勝利なんです。官僚とは、使われている振りをして、逆に政治家を使いこなす技を持っている人たち。抜きがたい”試験選抜エリート”の思い上がりが、政治の決定よリ自分たちの中立性や組織運営を優先させ、世の中を誤らせている。だから、大変動の時代にもかかわらず、手直しや弥縫策しか出せない羽目に陥り、それが日本という国の衰退にもつながっているんです。
 今求められるのは、次の時代を考えた非常時対応です。官僚主導から政治主導へ、中央集権から地域主権へという流れははっきりしているのだから、そこにつながる対応策をとればいいだけのこと。霞ヶ関にたまっている“埋蔵金”は、国民のお金だからお返しします。それが霞ヶ関改革にも直結するからです。
 麻生総理の下で、公務員改革も成否の岐路に立っています。私が行革担当相時代に成立させた「国家公務員制度改革基本法」に基づき、官僚の人事を一元管理する「内閣人事局」の制度設計が山場を迎えているのです。ところが、霞ヶ関の官僚機構は器だけ小ぢんまりと作って改革に見せる“擬似改革”に動いており、自民党内にも、この改革骨抜き勢力が増殖しています。
 真の公務員改革を目指すわれわれは、官僚の天下りを必要とする年功序列の給与体系、つまり「給与法」に切り込むよう求めています。われわれの側に立つのか、擬似改革派か、それとも霞が関の現状維持を目指す”真性抵抗勢力”か・・・この3つの選択を迫られています。
 ちなみに、私が安倍晋三内閣の行革担当相時代、麻生総理は外相で公務員改革に対する慎重論者の代表格でした。福田改造内閣で党幹事長に就任するや、私は閣外に飛ばされました。
 それにしても、こういう変動期には、政治がぶれずに直感的な洞察力と現実感覚、そして歴史認識に基づく大局観に従い決断することが大事です。私はそれを”政治家の反射神経”と読んでいますが、はっきり言えば、総理の反射神経が鈍いからぶれる。
 「この人なら任せられる」という人心収攬が求められるのに、ぶれまくる麻生総理によって逆に人心がかく乱している。世の中が千々に乱れているから“血盟団”のごとき“暗殺テロ”、田母神発言のような“言論テロ”が起きるんですよ。

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最終更新:2008年12月01日 00:30