#新記述
L:西国人+整備士+舞踏子+魔術的舞踏子 = {
t:要点 = 砂避け、日焼け対策された服装,エキゾチックな人材,灰色の髪,整備道具,手袋,ツナギ,太陽系総軍軍服風,ハイヒール,魔女の帽子,太陽系総軍軍服魔女風
t:周辺環境 = 交易路,涼しい家,巨大な港,蜃気楼,オアシス,整備工場,軍艦,甲板
t:評価 =
体格 | 筋力 | 耐久力 | 外見 | 敏捷 | 器用 | 感覚 | 知識 | 幸運 | |
西国人 | 0 | -1 | 0 | 0 | 1 | 1 | 1 | 0 | 0 |
整備士 | 0 | -1 | 0 | 0 | -1 | 1 | 1 | 1 | -1 |
舞踏子 |
-1 |
0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 2 | -1 | 0 |
魔術的舞踏子 |
0 |
0 |
0 |
2 | 2 | 3 | 3 | 3 | 2 |
計 | -1 | -2 | 0 | 3 | 3 | 5 | 7 | 3 | 1 |
#旧記述
要点:・砂避け、日焼け対策された服装・エキゾチックな人材・灰色の髪(西国人より継承可能部分)
・整備道具・手袋・ツナギ・太陽系総軍軍服風・ハイヒール・魔女の帽子・太陽系総軍軍服魔女風
周辺環境:・交易路・涼しい家・巨大な港・蜃気楼・オアシス(西国人より継承可能部分)
・整備工場・軍艦・甲板
体格 | 筋力 | 耐久力 | 外見 | 敏捷 | 器用 | 感覚 | 知識 | 幸運 | |
西国人 | 0 | -1 | 0 | 0 | 1 | 1 | 1 | 0 | 0 |
整備士 | 0 | -1 | 0 | 0 | -1 | 1 | 1 | 1 | -1 |
舞踏子 |
-1 |
0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 2 | -1 | 0 |
魔術的舞踏子 |
0 |
0 |
0 |
2 | 2 | 3 | 3 | 3 | 2 |
計 | -1 | -2 | 0 | 3 | 3 | 5 | 7 | 3 | 1 |
f:所持特殊 = {
*西国人は一人につきターン開始時に燃料1万tが増加する代わりに資源1万tを消費する。
*西国人は一般行為判定を伴うイベントに出るたびに食料1万tを消費する。
*整備士の職業カテゴリ = 基本職業アイドレスとして扱う。
*整備士は整備行為ができ、この時、整備判定((器用+知識)÷2)を評価+3補正することを選択できる。補正を選択した場合燃料2万tを消費する。
*舞踏子の職業カテゴリ = 派生職業アイドレスとして扱う。
*舞踏子はI=D、RB、艦船のパイロットになることができる。
*舞踏子はコパイロット行為ができる。
*舞踏子はオペレーター行為ができる。
*舞踏子が居る場合、ヤガミ、ドランジ、アキの戦闘力は評価+3される。
*魔術的舞踏子の職業カテゴリ = 派生職業アイドレスとして扱う。
*魔術的舞踏子は詠唱戦行為ができ、この時、あらゆる判定は評価+1される。
*魔術的舞踏子はパイロット行為ができ、この時、あらゆる判定は評価+3される。この時燃料2万tを必ず消費する。
*魔術的舞踏子舞踏子は人騎兵のパイロットになることが出来る。
*魔術的舞踏子は、ヤガミ、ドランジ、アキを守る場合戦闘力は評価+2される。
}
→次のアイドレス:森精華(ACE)、名整備士(職業)、テストパイロット(職業)、小さい舞踏子(職業)、元気な舞踏子(職業)、魔術的舞踏子(職業)、魔法少女(職業)、ヤガミ妖精(職業)、魔女(職業)
くぅくぅと、甲高い海鳥の鳴き声が港に響き渡る。
NOW LOADINGの表示がされた巨大スクリーン。その左右には巨大なスピーカー。
真っ白な布で飾られたステージの下では、にゃんこたちが開始を今か今かと待ちわびながら、またたびおせんにかつぶしキャラメル、牛乳などを売り歩いている売り子をあっちこっちで呼んではてんてこまいさせている。
壇上には、長テーブルの上に、三角のネームプレートと、マイク。ケーブルはこんがらがらないよう、あるいはにゃんこたちがじゃれて遊ばないよう、丁寧にまとめてステージや床と同色の布で隠してあった。
ざわざわざわ…
会場が一際ざわめき始めた。階段を昇り、2人のフィクショノートが長テーブルに着いたのだ。
「さーあやって参りました、本日はようこそレンジャー連邦の国民のみなさま、ならびに観光客の皆々様方!
これより魔術的舞踏子フェスティバルの開催を宣言したいと思います!」
ふぁーんふぁらふぁふぁふぁっふぁふぁー、ふぁふぁふぁふぁふぁふぁふぁー!
ぱーーーん!!!
若い方の男が口を開く。同時に、盛大なファンファーレとBGMが、資源猫士楽隊の手により吹き鳴らされた。やたらにもったいぶった、賑々しくも、お決まりの、これがないと始まらないといった心地よい軽薄さが、お祭り騒ぎのオープニングを飾った。
紙ふぶきとクラッカーまで炸裂し、真っ白いステージの上をこれまた賑やかす。同時に、ばららっと垂れ幕が会場の左右に立てられたゲートで開かれ、『レンジャー連邦魔女っこ舞踏子フェスティバル』のきらびやかな金字が踊る。こちらにも、もちろん紙ふぶきとクラッカー。
わーーー…!!!!
ぱちぱちぱちぱちぱちと盛大な拍手が巻き起こる。犬ではないが、尻尾うねうね、大喜びだ。
それがおさまるのを待って、たっぷりの間のあいだに満足そうにみんなの笑顔を見ていた2人はマイク片手にしゃべり出す。
「実況は私、レンジャー連邦に居着いて早半年の城華一郎(じょう かいちろう)と」
「解説は拙者、ぶらり携帯参加者ビッテンフェ猫でお送りするでござるよ」
わーーー…!!!!
再び盛大な拍手。今度はおさまるのを待たずに進行を開始した。
「さて、藩王の『ごめんなさい魔女っこ舞踏子がいっぱい見たいだけです。と言うわけでみなさん奮ってご参加下さい!いろんな魔女っこ舞踏子で私に夢と潤いをお願いします!』といういかにもこの連邦のリーダーらしい発言から始まった今日のイベントですが…」
「実に最高でござるな」
「どうですかビッテンフェ猫さん、イグドラシルの要点を満たすため会場はここレンジャー連邦東都の港付近に設けられた特設会場なわけですが」
「潮風が気持ちいいでござるよ。ここに来るとサバイバルレースの時のつりを思い出すでござる」
「つり自体は北都でしたねー。改装された倉庫でのアスレチック、今でも覚えてますよ」
「そりゃ華一郎殿はあの時の書き手でござるからなあ」
「はははそれはさておき紹介行きましょう、まずはエントリーナンバー1番、新進気鋭の凄腕技族、萩野むつきさんデザイン、どうぞー!!」
「流した!?」
(絵:萩野むつき)
ドラムロールと共にスクリーンに表示されるのは、当のむつき本人。なぜかサボテン片手に、寄港していた軍艦の甲板に立っている。
『はい、こちらリポーターの山下です。今日はいい天気で、サボテンくんもとっても喜んでいるみたいです』
『みなさん、はじめましてー!
新国民の萩野むつきです、よろしくお願いします!』
おおー、と、どよめきが上がった。
「これはのっけからクオリティが高い!
太陽系総軍らしさと魔女っこらしさが見事に融合したデザインだァーーー!!!」
「塗りがなんとも艶やかでござるな。主役のむつき殿がよく映える、魅せる構図でござるよ」
『ブラシツールだけで描きました、余計なものを使うと時間がかかっちゃうのでどんどんやっつけちゃいます!』
ぐっ!っと笑顔でガッツポーズする姿がなんとも可愛らしい。海風が、はたはたと長い袖とマントを揺らしなびかせた。現場カメラマンの虹ノが、ささっと逃さず撮影する。
「いやー実に素晴らしいですね、次はエントリーナンバー2、蝶子さんのデザインです!!」
ばーん!
(絵:蝶子)
「おおーっと、これは連邦の藩王大好きっこ・浅葱さんと、藩王、藩王自身でしょうか、これはなんと会場にいない藩王がじきじきにモデルになっていたァーーッ!!」
「国民的イベントの開会を拙者たちが担当していた理由はこれでござったか!!」
興奮しながら映し出された絵に実況を加える2人。つばきがマイクに飛んでいるのもお構いなしだ。
「これは…むつきさんが乗ってる船の舳先でしょうか、スカートのデザインが2パターンと、なんともアダルティ&エキサイッティングなスリット美あ~んどミニの美学!!」
「舞踏子に黒ガーターは欠かせないでござるな、うむ!!」
「ちなみにガーターについては藩王本人が欠かせないといってましたから欠かせないのでしょう文句ありません、さーあ現場の冴木さん!?」
『はい、こちらリポーターの冴木です。藩王の風に揺れるスリットがなんというか強烈です』
「魔女らしいパープルをあしらったのも素敵ですね。腰のあたりがしっかり太陽系総軍で、絶妙なアレンジ具合といった模様です」
「ちなみに申し遅れたでござるが、このページ、実はレンジャー連邦の記念すべき100番目を飾っているのでござるよ。魔術的にも実に縁起のいい事でござるな」
おおー、と、文族らしい解説がここで初めて入ることにより会場がどよめいた。
「藩王、記念すべき100番目のページにコメントを一言!」
『愛ですよ、愛!』
『藩王らぶー!』
『きゃー!?』
どた、ばったーん!
ハプニングは、起こすも見るもお任せ、ソックスハンター青海のカメラがすかさず2人を追って動く。蝶子に浅葱が飛びついて、どったんばったんもつれあっている。
おおー、と、なんか違う意味でも会場がどよめいた。藩王があわてて手をくるくる回し、進行してと合図を飛ばす。
「はい次に行きましょう、エントリーナンバー3!」
「華一郎殿のデザインでござるな」
「はい恥ずかしながら文族の私が今回特別に参加させていただきました、ええいちきしょうどうとにでもなれ、カメラどうぞー!!」
ぱっ。
(絵:城華一郎)
うおー、と、生粋の文族であった華一郎が技族業務に携わったことで、これまた会場がどよめいた。
『お久しぶりです』
「似てなァーーーーーい!!!
レンジャー連邦の摂政・砂浜ミサゴ嬢だァーーーーッ!!」
「なるほど、開会式に藩王がいないのに代理でミサゴ殿が来なかったのはこういうことでござったか!!」
右手には『魔術的舞踏子入門』という厚めの本が握られており、左手には、アイドレス・パ整子の名物であった巨大レンチの名残りか、小さなレンチが握られていた。
「これは東都の整備工場内ですね、あーーっと後ろに見える軍艦の舳先にはひょっとしたら藩王たちが見えるかもしれないがー!!」
「いやむつき殿たちの乗っていたのは平らかな空母型の船でござったから、これはまた別の船でござろう」
恥ずかしさのあまりやけっぱちのテンションで実況する華一郎。珍しくも顔が変に赤い。それを横から冷静な解説でつっこみを入れるのは、いつもボケ役のビッテンフェ猫。珍しいもの尽くしである。
『こちらはリポーターの双樹です、城さん、これだけ描ければ充分ですよー!』
「ちなみに私、素で絵がかけません! 子供の自分は図工の時間に画伯とか呼ばれてました、アプロー時代に建国しようとした時もクレヨンの落書きでお茶を濁そうとしていた男です!」
「それはそれで味でござるな」
『私も色鉛筆でいっぱい絵を描いてましたよ』
「胸元に蝶を、胸には星をあしらい連邦らしさと魔術っぽさを演出してみました。マントの裏地が赤いのは、マントの裏地はやっぱり赤だろーという信念からです、舞踏子らしさは大分微妙ー!!!
さあ私のことは忘れてどんどん次に行きましょー!」
「ああもったいない」
ばつんとスクリーンが切り替わった。どうやら前日に撮影したらしい、夜の映像が流れてほうっという声が会場に上がった。
「続きましてはこちら、油断したな双樹くん、このSS内でリポーターだからといって参加していないなんてルールはないのだよ!」
(絵:双樹真)
同じく文族にして、携帯参戦のフィクショノート、双樹真のもの。これは、モデルは誰だろうか…顔は隠れていて不明だが、箒を片手に、いかにも魔術的である。
「魔法陣でござるな。確かにこれは欠かせない要素!」
「今回はアイドレスの登録というよりは藩国イベントの風情でありまして、普段は文族やってる人も気合い入ってます。長い三角帽が雰囲気を引き立ててますね。魔法陣に書かれてる文字、これですよこれ、この魔術っぽさがマニアにはたまらない!」
えー、えへん、えへんと、華一郎が咳払い。スクリーンも再びNOW LOADINGに戻るのを、一同は誰からともなく顔を見合わせ不思議そうにした。
ビッテンフェ猫が立ち上がり、てく、てく、てく。
「……?」
ぐい、とヒモを引っ張ると、じゃじゃーん!という効果音と共に垂れ幕があっという間に入れ替わる。続いて、うぃーん、と、ステージの真ん中らへんが開き、下からなにやらせり上がって来た。試着室のようなものと、なにやら布のかぶせられた塊である。なにやら一段高いお立ち台のようなところには、にこにこ微笑んだマグノリア女史も立っている。
その、マグノリアが、さっと布を取り払った。
うおおおおーーーーーっ!!!!
一際大きな歓声。そこにはこれまでスクリーン上で紹介されてきた数々の衣装が豪華に飾り立てられて並べてある。
「さーあこの後は、国民の国民による国民のための、各種デザイン魔術的舞踏子の衣装コスプレコンテストだーッ!!」
「飛び入り参加OKでござるよ、この場に集まった皆も是非カモーン!」
垂れ幕の表示は『レンジャー連邦魔女っこ舞踏子フェスティバル・一般国民モデルコンテスト大会』に入れ替わっていた。
わー…!!
にゃんこたちが押し寄せ、続々と、魔術的舞踏子の衣装を着飾り、スクリーンに映し出されていっては、おー、とか、わー!とか、そのたびに歓声が巻き起こる。
(絵:萩野むつき)(要点:整備士単独)
「やれやれ、みんなお祭り騒ぎが好きなんだから…」
「いいことでよ。ゲームなんだから楽しいのが一番ですね」
整備士が、2人、会場の様子を眺めながら笑っていた。
こうしてレンジャー連邦の魔術的舞踏子が、和やかなうちに発表されていったのだった……(了)
(文:城華一郎)
魔女っこ舞踏子フェスティバル 舞台裏
****************************************************
彼女等はある意味、男達よりも、漢らしかった。
ある者は、世界の危機だと聞けば、即座に戦場に出陣し、
ある者は、へたれが危機だと聞けば、すぐさま、あんこを持って走り去り。
またある者は、金色の龍の背を追ってどこまでも。
ここレンジャー連邦の舞踏子とは、理性や方法論で動くのでは無く、
その場の衝動であり感情、もしくは『愛』と云った物によって、その体を突き動かしていた。
愛する者の為ならば、自分の生死も問わない、
正に、『武闘娘!』
そして彼女等は更に進化を続げる。
今の自分達に満足する事無く!更に努力を続ける彼女等!
「自分達に足りないものは何か?」
「今、自分達に求められているのは何か?」
その答えこそが、そうご存じ『魔術的』であった。
今までは、パイロット中心だったこの国が遂に飛び道具(なのか?)、『魔法』に手を伸ばすことに為ったのであった。
ファッションは人それぞれ独自の『魔女っ娘!』が、レンジャー連邦では次々と生まれていった。
皆、競い合い、切磋琢磨して『魔女っ娘!』へと成長して行った。
アイドレス世界に今新たな戦い方が始まる。
レンジャー連邦の新たなる戦力によって!
文責 ビッテンフェ猫
*
「よし!設定文出来たでござる。後は『城 華一郎』殿に見せて、OKがでれば時給が上がるでござるな。ウッヒィヒィヒィ。」
『城 華一郎』に提出。
城華一郎は深い、深ぁーいため息をついた後、言った、
「フェ猫さん、あなたは根本的な処を間違えています。
『魔術的武闘娘』では無くて『魔術的舞踏子』ですよ。」
「(´゚ω゚`)・・・。」
「判りました。フェ猫さん、少し『魔術的舞踏子』について私と一緒に勉強しましょう。」
「Σ(゚Д゚)はっ、はい。」
そして後に彼は『城 華一郎』と共に『魔女っ娘舞踏子フェスティバル』の司会を努める事になるのであった。
(文:ビッテンフェ猫)
レンジャー連邦魔女っこ舞踏子フェスティバル パンフレットより
(文書量が膨大なため、リンクにて処理しております。ご容赦ください。)
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●魔術的舞踏子とは!~「魔術法典」と「魔術的舞踏子入門パンフレット」より
●魔術的舞踏子とは!・特別寄稿その1~文族・遊佐呉様よりの寄稿
●魔術的舞踏子とは!・特別寄稿その2~文族・冴木悠様よりの寄稿
お祭は、続いている。
/*/
『レンジャー連邦魔女っこ舞踏子フェスティバル』と名付けられたそのイベントは、レンジャー連邦の軍事の要、東の都の港付近で行われており、その賑わいは、日が傾いて空がオレンジに染まる時間になってもまだおさまる気配がなかった。
「(フィクショノートの人たちって、暇なのかしら・・・)」
東の都、軍港の波止場に泊まる軍艦の甲板の上。通常勤務についていたフィクショノートならぬ一人の舞踏子の私は、甲板の手すりに腰掛けながら、いまだ熱気冷めやらぬ会場の方を眺めて、ふう、とため息をつき、そして笑った。
彼らが暇なわけはなかった。もともと、「りあるがー、りあるがー!」と叫ぶ人材が多い国である。その上、最近は「わかば向けって言ったのにー!」とわめく人が多いことで評判の洞窟探検やら、オーマだかアラダだかいう反則級に強いおっかない人たちとの戦いやら連戦が続いており、その準備や後処理で大変なはずなのであった。
「(タフだなあ・・・)」
実際、どこにこんな暇があったんだと驚くばかりである。「魔女っこ舞踏子がいっぱい見たいです!」とアホなリクエストをした藩王本人でさえ、昼のお披露目イベントでこの軍艦に乗った時に「こんなに大きなお祭り騒ぎになるとは思ってなかったわー」と話していた。みんなどれだけ魔女っこ大好きなんだという話である。
ごそごそとベルトに隠し付けられたポケットをまさぐれば、イベント前に配られていたお祭り用パンフレット。今日のイベントに先立つように魔術編纂課から舞踏子全員に支給された「魔術法典」、「魔術的舞踏子入門パンフレット」の抜粋に加え、複数の文族による「魔術的舞踏子とは!」という解説文が掲載されていて、サイズ的には小さいながらパンフレットであることを疑う厚みとなっていた。
お祭で要点を満たそうなんてどうなるんだこの国のイグドラシル、そしてどうなってるんだこの国のフィクショノートたちの頭の中、とフェスティバルの開催を聞かされた時には思ったが、魔術編纂課が組織されてここまでの形になるまでの圧倒的なスピード、そしてこのパンフレットの厚みを見れば、彼らが真剣なのは火を見るよりも明らかだった。
「(なんともうちの国らしいといえば、らしいか・・・)」
海に囲まれていながら砂漠であり、雨が降らないのに湿度が多いためにその熱気はすさまじく、食糧生産に向かず、決して生き易い土地ではないながら、その分オアシスの湖や蜃気楼にはしゃぐ心をこの土地の人々は持っている。真に美しいことや楽しいことは、困難や苦境の中に転がっていることが少なくないことを、知っている。
さすがは大真面目に、国是は愛です、とこっぱずかしいことを語る国とそこに集まった人、というところであろうか。自ら険しい道を選び、そして楽しそうに笑っている。はたから見ればそれはとっても不思議で、心に魔法がかかっているのではないか、とすら思うほどだ。
「(そういえば、「祭とは祀りであり、元来は儀式的な魔術であった」、って魔術法典の中に書いてあったなあ。夢と潤いのためにとか言ってたけど、もしかするとこのお祭、魔術的な意味のために・・・?)」
しかしそう思ったのもつかの間、魔術子たんも好きだけど普通の舞踏子ちゃんも大好きです!と叫ぶスピーカー越しの声が遠くに聞こえてきた。祭の方を見やれば、会場の巨大スクリーンには軍艦型特設ステージに乗る8人のノーマル舞踏子が映し出されている。すべて見覚えがある、フィクショノートの女性陣だ。さっきの声は、中央付近に見える藩王だろう。
ああ、何か真面目な意味を見出そうとした私が馬鹿だった。多分あの人、本気で魔術的舞踏子がいっぱい見たいだけだ。
「ねえ、今から後夜祭始まるらしいよー!こっちの仕事もひと段落ついたし、私たちもお祭行かない?」
同僚の同じフィクショノートならぬ舞踏子に声をかけられ、私はもちろん、と声を返した。
私だってこの連邦の一員だもの。このばか騒ぎ、決して嫌いじゃない。むしろ好き。と言うか大好き。
かつん、とハイヒールを鳴らして腰掛けていた手すりから立ち上がる。青黒い制服。ガーターベルト。どんなにその形が魔女風に変わっても、どんなに能力が違っても、その胸に愛を抱く舞踏子なのは同じこと。
魔術的舞踏子、目指してみようか。私たちはフィクショノートの人たちのように職業を軽々着替えられるわけではないから、大変かもしれないけど。でも、頑張ってパワーアップして、そしたらもっとできることも増えるし、もしかしたら、楽しいことも増えるかもしれない。もしかしたら、もしかしたら。
頑張れば頑張るほど、きっと楽しいことは増えていく。
魔術的舞踏子。
そう、きっとこのお祭のように。
(絵:萩野むつき)
/*/
お祭は、続いていく。
(文:蝶子)