・魔術法典
・蝶の紋章(魔法陣)
・魔術文字
・魔術体系
・詠唱技術
・覚醒物語
・詠唱陣形
・詠唱術式
・魔術編纂課
・愛の『魔法』
・魔術行為

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1.魔術法典序章より抜粋 ~絢爛舞踏~

夢見ること。希望。
胸にその希望を灯していったものと再び出会うために生きる軌跡は絢爛、星の輝きよりもきらびやかで、闇は宇宙よりも遥かに深い。
その舞いはだからこそ鮮やかで、その靴音は、だからこそ高らかに人の心の虚ろの中に響き渡る。

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2.蝶の紋章(魔法陣)

変身の象徴である蝶は、舞踏子にとって、愛するものとの再会を叶える強い自分になるという、魔術の根幹を成す意志の要となっている。

 

(絵:萩野むつき)

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3.魔術文字

魔術とは自然環境に左右される。そのために用いられる文字の表わすところの意味は、それゆえに、すべての地域において同じだが、異なる。同じ世界の一部だが、切り取る部分が違えば見え方はおのずと異なるのだ。

西国。海。島。砂漠。オアシス。樹。魚。火山。海辺。絡み合う要素が一連の文字となり、そして魔術文字が完成された。

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4.魔術体系

母なる海をその範図の基本に持ちながら、決して甘やかな生きやさしい環境ではない砂漠という地形をも同時に孕むレンジャー連邦、その地底には熱く煮えたぎる溶岩もあれば、純水のオアシスという稀有をも持ち備え、懇々と定期的に汲み上げられる燃料資源がそこには確かに存在している。

その歴史は決して平坦ではなく、だが、それゆえに団結は固いという特質を持つ。

冗談のような形をした諸島のその形が意味するところはたった一つ、愛である。その名はあらゆるところに現れる遊撃者、レンジャー。その束ねは国民一人一人を州と認める誇り高き連邦制。

これらのすべてが魔術体系を規定した。

魔術とは積み重なった想いの表れ方であり、魔術体系とは、想いの積み重なり方そのものなのだ。

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5.詠唱技術

オペレーター行為を得意とする舞踏子たちが、詠唱という魔術的技術を身につけた時、そこに生まれたものは歌であった。魔術の始まりは言葉であり、言葉に生きた意味を、その時々に応じてより適切にこめる技術が、歌なのだ。

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6.魔術法典終章抜粋 ~円環とらせん、魔術七階梯~

意志は、人の中で言葉という名の概念になる。言葉は意志をより伝えるために歌となり、そうして現実に溢れた概念は、人の体をより歌に適したものへと変えるだろう。

概念は、やがては体という器を飛び出して、今度は文字ではなく、より抽象的な、そのままの形でそのものを表わそうと、より複雑な意匠を成していく。現実は再びそれにより改変され、その技術はやがて省略を重ねるうちに、自動的なものへとなっていくだろう。

自動化の果てには、意志、そのものが現実になりかわる世界が現れる。そこでは意志そのものの洗練された完成形でもある、情報がすべてを支配することになるだろう。魔術の第七階梯である。

この一連のつらなりを表わしたのが魔法陣の基礎となる真円であり、その上では始まりの意志が志向した方向でのより高き次元を目指す、らせんが生じている。

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7.魔術法典終章抜粋 ~第八階梯と、その向こう側~

やがて、人は情報から自分が望む現実につながる道筋を思い描けるかどうかの可能性のみを判断するようになり、そこで見た可能性がすべてを決めるようになる。見出される可能性によってのみ世界が形作られる、波打つような世界が訪れる。

可能性の絶対矛盾が生じた時、世界は自身を存続させるために、人の定めたすべてを覆す。第八階梯とは、完成に至る直前の、もっとも不安定な状態を表わす。

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8.魔術法典終章抜粋 ~第九階梯考察~

人の見る可能性が調和することこそ究極の魔術であり、それは魔術の本懐である『魔法』の領域に足を踏み入れることにもつながる。これが魔術最終の第九階梯である。

よって万物の調停者シオネの名は、この調和が成された時に出現する完成された最後の世界そのものを象徴する意味を持つはずであり、魔術の完成には、意志を完成させるための自覚が必要であるため、シオネがシオネたることの意味、その名の意味を真に悟らなければ、第九階梯には至らないものと思われる。

第九世界の実存の可能性は証明されたことがない。これはおそらく第九世界そのものが「可能性」の先にある概念の世界であるためで、実存することによってのみ、その存在を証明できるような、何かしらの困難を伴う概念によって構成されていることが予測される。

可能性の調和とは、意志による世界の変化を認めない予定調和のことではない。それはおそらく、可能性そのものをどんな困難な状況からも見出すための概念である。そのような概念なくしてすべての可能性の矛盾なき調和は文字通り不可能となる。

希望の絢爛舞踏が魔術によって再会を望む最後の相手。それは無数にいる。だがそこに、共通しているものがある。「再会そのものを望む心」である。それを人は何と呼ぶか。今代のシオネと目される人物の振舞いを見て、人はそこにある概念を何と呼ぶか。

シオネ、それはおそらく愛を意味する名。魔術の最終階梯とは、意志から始まる螺旋が最後にたどり着く、真円の終着点にして意志の根源そのもの、愛であると考える。

世界は愛によって調和する。愛の戦士=シオネ・アラダ。こう解釈することにより、愛の藩国、レンジャー連邦の魔術法典終章をしめくくる。

魔術の道において愛を忘れてはならない、魔術的舞踏子。その愛を、貫くためにあれ魔術。

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9.魔術的舞踏子入門パンフレット序文抜粋 ~愛の『魔法』~

魔術はあくまで不思議を起こす術にすぎないが、その究極到達点には、それが世界そのものを成り立たせている法則を駆使する、魔法がある。

愛は現実的な力となる。前提変換や、評価値の修正、展開への影響に、それはこれまでたびたびとても極端な形で露わになっている。それはいつもそこにあるがゆえに誰も気付かない、世界の真理なのだ。きっと。

恋せよ乙女、命短し、恋せよ乙女。

愛を、その手につかまえるのだ。

ようこそ、魔術の世界へ!

(絵:浅葱空)

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10.魔術的舞踏子入門パンフレット抜粋 ~魔術行為~

舞踏子の未来予知は、魔術の力を得て、より前進した。未来がわかった上で、その未来に対して何をすればいいかの具体的な力を手にすることができたからだ。

経験が法則を見極める。魔術の基礎である。

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11.魔術編纂課

レンジャー連邦には、今回のイグドラシル成長を受けて、魔術編纂課と呼ばれる、東都の戦術研究班と王都の学者たちが集まり、魔術的舞踏子を着用したフィクショノート自身の手によって束ねられている、専門の部署が新たに設けられた。

彼女たちは魔術法典を編纂し、魔術体系を整理、魔術文字辞典を開発、後進の魔術的舞踏子たちのために入門用パンフレットを作成、さらにはより実戦的に、詠唱戦のための効果的な陣形、効果的な基本術式の訓練プログラム研究まで担当している。

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12.目覚め

魔術とは、現実を曲げて(真言的にはこの時に生じる現実との間=魔である)、想いを叶えるための術であり、その素養の目覚めには、当然それぞれの舞踏子の抱く想いが大きく影響している。

想いを叶えるたえの技術はある程度共通していても、その元となる舞踏子たちの服装やスタイルがてんでに異なっているのは、それが理由である。それぞれの、想いを象徴した格好でなければ力を真に発揮することは出来ないのだ。

政府はこのために特別予算を割いて彼女達の服装デザインを支援している。

 

 

(文:城華一郎)


最終更新:2008年08月18日 04:49
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