・波涛の詠唱
・矢の詠唱
・手の詠唱

詠唱の形:自由。何か言って何か身振りすればそれだけでよい。

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1.波涛の詠唱

うねる衝撃。帯状に広がる。
元は砂嵐をも受け止め落とすためのもの。あるいは波のコントロール。
イメージは透明に近い水色な粘性の高い波。

生活圏や船を守るための祈り。大事なものを守るための祈り。
大事なものを守るため、困難に立ち向かい、ついには相手と同じ力すら学ぶという、レンジャー連邦の魔術的舞踏子、原初の魔術。

波を模した、手腕や体をひらりと翻すような身振りないし紋章を使う。
集団戦は雪崩式にタイミングを少しずらして波をどんどん高くするイメージ。

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2.矢の詠唱

貫く衝撃。線状に伸びる。
愛する人に再会するための障害を貫くためのもの。
イメージは透明で大きな槍を打ち出す感じ。

魔術の力を得て始めに編み出された純粋な魔術。
魔術の力によって具体的に何かの現象を起こそうと意志する、象徴的な魔術でもある。
魔術的舞踏子の中間試験の課題にもなっている。

目標を指差す身振りないし狙いを定める紋章を使う。
集団戦は同時一斉攻撃でタイミングと方向をぴたりとそろえて力を一点に集中するイメージ。

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3.手の詠唱

見えざる壁。固定した平面として展開。
愛する人の背中を支える手として編み出された。ものを持ち上げたり防御に使用することも出来る。
イメージはあなた自身の手。

身振りがそのまま見えざる手壁を動かし支える。紋章は手の様々な仕草を模した意匠。
魔術的舞踏子の卒業試験の課題である。

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4.詠唱について

波涛/矢/手の三種類が基本。これは魔術的舞踏子の力量ではあまり複雑な魔術を行うことが出来ないという理由もあるが、それ以上に、魔術を使う状況になった際、術者が判断を迷わないようにするためである。

 

(文:城華一郎)


・拍手

音と身振りによる原初の魔術。
本来人から人へと伝えるだけだった思いを、人から人以外へと伝えるための、初歩にして最大の基本。第一課程。
一つのはずの音が重なって聞こえるようになれば、それは世界からの木霊として魔術の道が開いた事を意味する。

世界への祈り。いつも機会があればその時々の自分の気持ちを明確にするため行う。

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・陣

置石や砂の紋様から始まる、世界への請願。
世界との対話でもあり、通常の魔法陣はこれを省略化したもの。まずは一つ一つの言葉を理解しなければ、いわば洗練された筆記体の説得力ある筆談での言い回しである魔法陣は使いこなせない。
自然な感性とそれに基づく合理性が必要。一般人はここでつまづくが舞踏子は愛の一念でこれを乗り越える。第二課程。

座学は参考程度しかなく屋内外での遊学が主となる。

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・呪文

世界と対話する専用の言語。拍手と陣の修行を行っていればいるほど効果が高い。
「文字」と「声」の二種に分かれており、人によって得意や混ざっている比率が大きく違う。

プログラムの小テストは大体がこれの実践による小魔術の出来を見る。第三課程。

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・課程と階梯

本来自分の思いを実現するための力を得るのには、課せられるものを理解するのではなく、自分で梯子を上るようにしていくべきであり、あくまでプログラムはそのきっかけを解りやすくしているに過ぎない。

・心得

どんな時の自分にも素直になり、どんな状況や相手にも素直であることが魔術的な感性を養う助けとなるだろう。

素直とは、従順であるということではなく、過不足なく正しく事実を捉えるということである。このために舞踏子は常に内なる心の目を養わなければならない。これを心眼という。客観性のことでもあり、自分と世界(他人)の「間」に目を設けることから、第三の目とも言う。

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・評価値的根拠

第一課程:拍手:幸運・外見:世界に対する一途な祈りが幸運を呼び、また、祈る姿は自然、その心根からして美しく外からは見えるものである。

第二課程:陣(屋内外での遊学):体格・筋力・耐久力・敏捷・感覚:自然や人々の中でもまれることで肉体的にも感覚的にも鍛えられる。

第三課程:呪文:器用・知識・詠唱戦行為:磨かれた感覚で捉えた物事を、己の中で整理し実際に扱うための知識として得、己の器を正しく用いるだけの能力を得て、詠唱という魔術の実践段階に充分な素養を蓄えた。

 

(絵:萩野むつき)

最終課程:三つの詠唱:一つにつきパイロット技能+1、三つコンプリートで詠唱戦行為+1&人騎兵の操縦可:波涛の詠唱によって機体の操縦を自力でサポート、矢の詠唱の瞬発力をそこに加え、手の詠唱のコントロール力によって完全にそれらを制御する。動力をもたないことを前提にした人騎兵は、これら三つの詠唱の中にある技術を統合することで操縦可能になる。



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・授業 ~ある魔術的舞踏子の一日~

AM0500:起床。みそぎと共に一日の始まりに挑む心で拍手。身なりを整え舞踏子らしい魅力的な自分へ。

AM0600:朝食。調理の前と、食事の前後にも拍手。感謝の気持ちを忘れない。新作に挑む心の遊びも。

AM0730:暑くなる前に登校。玄関で拍手、教室に入って拍手。陣や呪文の要点整理で自分の魔術体系を育て、予習と復習を始める際にも拍手。学ぶ気構えを作る。

AM0830:教師、入室と共に拍手。学生の方に向き直って拍手。学生もここで拍手。互いに学びあう気構えを。

AM0900:朝の座談会を終えると勉強開始。この日は整備士や舞踏子としての基本的教養(数学・歴史・地理などなど)を魔術的に解釈し、深化し定着させる座学。

AM1200:昼食。俺星ジュース、食堂で人気に。もちろん拍手。わりとあちこち気ままな場所で食事がとられる。

PM0100:屋外演習。砂丘めがけて詠唱練習。拍手による世界からの応えからは意志の集中力を、陣の反応具合からは各人の魔術体系の完成度を、詠唱の結果からは呪文のバランスや完成度を、それぞれ教師は目についたところを指摘だけして、ごくまれに必要な修行法だけ教える。自分に何が必要か自分で考える事が大事。

PM0500:夕方の座談会。

PM0530:解散。拍手。

PM0600:買い物。自然体で人中に遊び、自然な仕草の中で拍手が出る。

PM0700:夕食。もちろん拍手。

PM0800:趣味の時間。心を遊ばせ休ませると共に器を広げる。自然と楽しく拍手。

PM1100:就寝。拍手で一日に感謝。

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・基本詠唱解説

よりイメージを喚起しやすい、説得力のある行動を伴う方が威力が、本人にとって思いをよりこめやすくなり、威力も出やすくなる。

人によりスタイルは大きく違うので、動きは少なく陣は緻密、呪文の詠唱がとても長く他が少ない、身振りだけが複雑など、いろんなものがある。

理論上は波涛と矢の二つの技術を、手の詠唱で得たコントロール力で制御することによって大体の現象は再現できる。ただし、魔術とは思いを現実に起こすためのものなので、そのレベルまで行くと性格的に向き不向きが出てくる。また、魔術的舞踏子の特殊能力は人騎兵の操縦に割り振られているため、あくまで概念的なレベルのエネルギー操作でしか詠唱戦には使えない。

再現できる現象についても、あくまで擬似的なものであり、実際的な自然性を含めて再現するには更なる派生アイドレスを待たねばならない。以下に提示するのはあくまで例外的な派生的詠唱である。

波型詠唱:炎・爆発・溶岩・闇・風・氷
矢型詠唱:雷・光線・壁

炎の詠唱:密度を一点で高め、熱を生み出し波状に放つ
爆発の詠唱:炎の詠唱の解放を一瞬で局所的に限定して行う
溶岩の詠唱:炎の詠唱の、波状時の密度を高め速度を落とす
闇の詠唱:波涛の詠唱の濃度を極端に高め、内向きにまわす
風の詠唱:波涛の詠唱の濃度を薄め、速度を高める
氷の詠唱:風の詠唱を一点に集め、冷気を生み出し波状に放つ

雷の詠唱:矢の詠唱の形状を変え、波涛の詠唱の振動性のみ強調して加える
光線の詠唱:矢の詠唱の密度を極端に上げ、サイズを絞ることで速度も高める
壁の詠唱:矢の詠唱の形状だけ変えて一箇所に固定する

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波涛の詠唱:一般呪文:「轟け、波ーっ!!」
基幹技術:実用レベルの濃度・量のエネルギーの発生
集団戦用陣形:「 ( 」(カーブ)

構え:
1.指さし、
2.銃弾を放つように力の反動を指先から全身で引き受け散らす

1.弓引くように構え、
2.撃ち放った余韻を残心

陣:放出ポイントへとどんどん力の圧力が高まるように組む

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矢の詠唱:一般呪文:「唸れ、矢ー!!」
基幹技術:形状と密度の操作
集団戦用陣形:「 | 」(ライン)

構え:
1.両手を大きく広げ、
2.前へと水平に振り出す

1.手を構え、
2.遠くへ殴りつけるように振るう

陣:放出ポイントへと直線的に力を導く

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手の詠唱:一般呪文:「のびあがれ、手ー!!」
基幹技術:精密コントロール
集団戦用陣形:「 なし 」(フリースタイル)

構え:
1.利き手を支えながら、
2.目標へ向かって突き出す

1.手をかざし、
2.目標にあてがうように仕草

陣:手腕に全ての力を集約する精密な構造

 

 

(文:城華一郎)


最終更新:2008年08月18日 04:56
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