<<3.企業創立 -シュウコウ->>


『 そらいろ こいる 』
―まわるだけじゃ終われない―

『 行くよ。 』
『 誇りはここに、この先に。 』

-姿見で装いを整え出かける普通の人たち


空を志した人たちは、
では、自分たちの思い描いたことを、実際にその目で見るために、
何が必要かを考え始めた。

会社組織の始まりである。


Step1.王道の始まり:HoneyMoon Airways


【社名】HoneyMoon Airways(蜜月航空)
【フライトコード】HMA/HA

【創立の経緯】
黎明期における失敗は、業界そのものの地盤沈下につながるため、慎重にマーケティングを進め、需要を確かめ、堅実に旅客と貨物を回そうという、実にレンジャー連邦らしい発想の下、誕生した。

【経営スタイル】
地理的な強みを生かし、北方-関東圏をつなぐ、中継拠点(ハブ)になろうと建設された、レンジャー連邦国際空港を最大限活用するべく、貨物と旅客の両面に注力している。

生え抜きの社員を大事にし、また、社員同士の仲の良さも求めるという、やはりレンジャー連邦らしいポリシーから、担当部署の違いを超えて、整備部門を1つに取りまとめているのも特徴。


【特記事項】
黎明期を抜け、業界地図が競争によって動き始める頃、『便同士の接続調整』や『空港施設を始めとする各種サービスの共用化』、『機材の共同購入による経費節減』といったスケールメリットの享受を目的として、企業提携(アライアンス)を開始。

元より一社で全ての路線を賄えるなんて、気質的にも思っていなかったので、みんなでみんなの需要を満たそうよ、という方向に突っ走る。

【保有・開発機種】中型or大型の、中~準長距離旅客/貨物機
-ピングヴィーン:P-XXX


Step1-2.可愛い王道機:ピングヴィーン

○ピングヴィーン:P-300/400
【胴体】ワイドボディ(機内2通路)
【エンジン】双発機/ターボファンジェットエンジン(国産:RLML01)
【想定旅客】200~500名程度
【滑走距離】3km~3.5km
【巡航速度】900km/h前後
【最大貨物量】40t~50t


【開発経緯】
HMAのオーダーにより、共和国内線用に開発された機体。
デカいけどデカすぎない、とか、結構飛べるけどそんなに飛ばなくてもよい、とか、当時手探りであった需要を受け、四発機からスタートしたピングヴィーンシリーズの決定版。

バージョンアップを繰り返した結果、中~準長距離用として洗練されており、かつ、ニューワールドならではの、平時と混乱期とが交互に来る環境に適応、大型化タイプと中型の効率重視化タイプの2系統で開発が進められた。

名前の由来は、メーカー会社と同名の、ペンギンである。

【設計思想】
飛べない鳥だからこそ、飛ばしたいのです。という、願いの込められたネーミングの通り、ちょっぴり太めだが、貨物量/旅客量に優れるよう、ワイドボディが徹底して貫かれた。

国産技術による基本型を生かした、細かいバージョンアップを追及したことから、アデリー、フンボルト、イワトビなど、その当代ごとのフラグシップモデルに、多彩な名前が付けられたことでも、なぜか名を馳せた。

特にP-300/500’はコウテイ(最大種のペンギン。500ダッシュ。総二階建てである500座席仕様の最新型。複合素材を機体に用い、軽量化。最先端の電装を想定した配線構造で、航空会社ごとの綿密なオーダーにも対応する)、

P-400Xはマカロニ(伊達男の意。200座席程度が標準のラッシュ400にしては大型なXサイズ、つまり250座席仕様。長い2階建て部分に短い胴で、思わぬ空力効果を得て、マッハ0,9という巡航速度を叩き出した)と、

名機それぞれに相応しく、インパクトのある愛称がつけられた。

【モデル】
第七世界でいうところのB-747の、積載量を上げ、平均航続距離を減らしたカスタマイズ版。

【バリエーション】
F型(Freighter:貨物仕様)があり、カーゴの与圧機構や客室用の小窓がなく、つるりとした外観。


Step1-3.王道の心臓:RLML01エンジン

○RL-M01エンジン 民間旅客機用カスタマイズ版

【名称】RL-M-L(Light)1
【詳細】
 RL-M01エンジンとは、レンジャー連邦空軍が軍用目的で、現存している国内最新旅客機のエンジンを改良・再設計し、開発を行ったターボファンエンジンの名称である。

 この、大気圏内での長距離移動に適し、燃費の良い大型~中型航空機用のエンジンは、その性能の良さを買われて、国内だけでの使用に留まらず、共和国空軍にて共通化される事が決まっていたが、その前に政府は、航空産業育成計画の一環として、その改良ノウハウの一部を民間各企業へ提供する事を取り決め、RL-M01エンジンの開発者にそのライト版である、RL-M-L(Light)1エンジンを考案させた。

 その性能水準は、ライト版という事もあり、軍用レベルにはさすがに及ばないが、今迄使用していたエンジンに手を加える事で得られる性能としては高く、企業のお財布に優しい「燃費性能向上」と、利用客と空港付近住民に優しい「騒音の低減」を兼ね揃えている、となれば、改修コスト共々、充分なものだと言えるだろう。
 もちろん、各企業が所持・製造する機体全てのエンジンを改修するのは、困難であるとの意見から、ハードでの改善以外に、数値流体計算ソフトを導入させる事によるエンジン性能向上方法や、民間整備士への技術指導を行うなど、国が主催する各講習等によって、ソフト面での改善支援も、平行して計画・実行して行く事となっている。

 この各支援等によって、航空業界におけるエンジンの基本水準の底上げとなる事は確かであり、レンジャー連邦の航空業界は、未来に向けて新たな段階へと、一歩前進する事となった。

※数値流体計算ソフトとは…
エンジン内部の空気の流量を最適設計する事によって、燃費と高速性能のバランスを取るプログラムであり、使用する事で燃料の無駄を押さえ、騒音を低減させるという利点を持つソフトウェアである。


Step2.王道を超えた最高級:MilkyWay


【社名】MilkyWay(ミルキーウェイ航空)
【フライトコード】MIL/MI

【創立の経緯】
よりアグレッシヴなレンジャー連邦らしさとは何かということで、後発組ではあるが、HMAに対抗するべく、観光業界の資本を元に立ち上げられた。シェア争いに耐えられるよう、アグレッシヴな資金力で独自路線に攻め、市場を揺らす役割を持った。

【経営スタイル】
最上級のサービスで、最上級の旅の一部となることを目指し、半個室型のフルフラットタイプシートをビジネスクラスに導入した猛者。ファーストクラスレベルになればフリーミールといって、自由な組み合わせとタイミングで、最上級の美食が味わえ、バーまで用意された。

勿論ファーストクラスでは、送迎も高級車で行われ、空港施設内でもその待遇は、独立したセキュリティレーンを使用可能だったり、利用無料のレストランがあるなど、破格。これらはカウンセリング力の高い連邦医療を応用し、個人の内的文脈に即した、物語性の高いパーソナルツアーの一環として用意されたものである。

客室乗務員にも優れた能力が求められ、サービス部門での賞を数々受賞するなど、その名の通り、天の川のように華々しく、ブランドイメージを輝かせた。女の子たちにとって、MILの制服は、デザイン性の高さと相まって、憧れの的となったのだ。


【保有機種】ピングヴィーン400系列を代表とする、中型機全般


Step3.隙間を押さえるということ:Sky Heart Works


【社名】Sky Heart Works(空心航空)
【フライトコード】SHW/SW

【創立の経緯】
ラスターチカを祖とするジェットエンジンありきの国内航空とは真逆に、歴史をさかのぼるようにして各地の航空機を集めた、資本家たちの同好会が母体という異色団体。

気球や飛行船、グライダーといった、非主流のものを主に扱い、複葉機といったレトロなレシプロ機も、スポーツフライト用に維持し、空への入門口として広く間口を取った。

趣味のフライトを楽しむ個人客や、アドバルーンのような航空広告をメインとしていたが、ついでに始めたエアメール便が元で、地方の小型発着場を利用しての小口輸送も請け負うようになった。

ことに、優れた農業機械を僻地に運んだついでに、農薬散布用の改修モデルをレンタル開始したことがきっかけで、企業人用のビジネスジェット事業にも乗り出す。

要するに、隙間産業的な需要に応えてどんどん手を広げているうちに、いっぱしの企業になってしまったのである。

【経営スタイル】
ラスターチカのタイル配布に当選した当時の子どもが出世したような、若い経営者たちが創業メンバーなため、様々な業界の観点から整備した、独自の企業体系を持つ。

機体の所有権を分割販売し、フライト権を比例して時間単位で分配する、フラクショナル・オーナーシップを導入するなど、敷居を下げることに尽力。ファンはファンを増やしたがるのである。

どこにでも見られることから、その通称を、ハトさん(Heart:ハートを縮めた)という。


【保有・開発機種】個人乗り用、レトロ機(複葉機~近代レシプロ機)、気球、飛行船、リージョナルジェット
-ジャーヴァラナク:Z-XXX

【特記事項】航空イベントを度々開く他、機体の塗装で企業やイベントの宣伝を打つ、ラッピング広告にもいち早く着手。後のKIS経営につながるような、一般向けアピールに精力的だった。


Step3-2.身近な相棒:ジャーヴァラナク

○ジャーヴァラナク:Z-2
【胴体】ナローボディ(機内1通路)
【エンジン】双発機/ターボファンジェットエンジン(外注)
【想定旅客】50/70/90座席
【滑走距離】2.5km~3km
【巡航速度】900km/h前後
【最大貨物量】40t~50t


【開発経緯】
SHWのオーダーにより、企業用として開発された、10名用程度の小型機であったZ-1を、安価な地域の足としてボリュームアップ・発展させた機体。座席数によってZ-250、Z-270、Z-290と型番がつけられた。名前の由来は、メーカー会社と同名の、ヒバリである。

【設計思想】
名前の通りに、小柄でも雑食、つまり汎用で、晴れやかな春を呼ぶような働きを期待された。そのため、ナローボディの割には胴が太く、基本型を維持したままに大型化することも可能。Z-2以降のシリーズ開発も、ニューワールドならではの環境に対応するべく、広く技術を取り入れてカスタマイズするために、メーカーは、海外を拠点に移すようになった。

【モデル】
第七世界でいうところのDC-9。

【バリエーション】
Z-B/S/F/Lの4タイプがあり、型番の末尾にアルファベットをつけて識別された。
意味は、それぞれ、Business(企業の人員輸送用)、Sightseeing(遊覧飛行用)、Freighter(貨物用)、Local(局地対応改造用)である。


Step4.地域との結びつき:Horus Air Line


【社名】Horus Air Line(ホルス航空)
【フライトコード】HAL/HO

【創立の経緯】
空からニューワールドのいろんな景色を見てみたいという、単純な願いに基づいて出来た。同じ観光寄りということでMILとは縁も深く、遊覧飛行専門ということで、綺麗に住み分け、創設期早々から提携を進めていた。

社名の由来は、光を翼で観に行く、ということにあやかって、西国系の神々の中で最も古く、最も偉大で、最も多様化した神であるところの、天空神にして太陽神、隼の頭を持つ男性神、ホルスからいただいた。

【経営スタイル】
地域ならではのスポットやコースに日を当てるため、積極的に各地で支社を展開、地元スタッフを中心とした雇用で、いつの間にか広がっていた。地道さで言えば、HMA以上に手堅いところがある。

規模が大きくなるにつれ、メーカーとのつながりを持ち、同じくどちらかといえば地方に強い、SHWと提携を進めていくことになる。

MILとの付き合いをあわせ、HALを通じた、この3社の関係が、黎明期を脱し、競争の激しくなりつつあった過渡期において、航空産業の新たな方向性を打ち出すことになる。

【保有機種】Z-1Sを始めとする、10人乗り以下のレシプロ軽飛行機。


Step5.庶民の味方:Kitty Skybridge


【社名】Kitty Skybridge(子猫航空)
【フライトコード】KIS/KS

【創立の経緯】
MILの資本を元に、SHW・HALの地方営業力を生かす形で、低所得者層にも空の架け橋を、という掛け声の下、共同出資金(Kitty)を得て設立された。類を見ない低価格路線を実現するため、3社にとっては、子猫(Kitty)のように世話が焼ける我が子となった。

【経営スタイル】
短距離専門で、100名程度の小型機を頻繁に地方-地方、地方-藩国中央間で飛ばす、速くて陸路並みに安い空路、を目指している。その方向性は、SHWとHALの持つ、地方との強いパイプから上がってきた要望を満たしたものである。

自社内路線ですら接続調整を一切行わないマイペース運行によって、路線ごとの発着の最大効率を追求し、空港ターミナルへもつながず、タラップで直接乗降を促したり、飲食物の完全有料化、自由席制度の導入、代理店を経由しない直接ルート(ナショナルネット、瞑想通信)などでの限定発見と、ありったけコストダウンを図っている。

小型空港で用が足りる上、その利用のしやすさから、藩国国内線専用の足として需要を伸ばした。


【保有機種】Z-2中心の、100人乗り程度を上限とする小型機。運賃を維持するため、複合素材を使った軽量・快適路線を追わず、アルミ合金製ボディの従来型機を好んで使い潰した。

【特記事項】
コスト削減だけがクローズアップされるが、例えば、座席数を増やすため、いかに背もたれの薄いシートを開発するか、といった、大胆なアイデアにも着手して、業界の蒙を啓いた。

町の店員のように気さくな客室乗務員で味を出す、人材の入れ換えによる流動性で新陳代謝を良くし、経費節減に努めると共に、セクショナリズムの薄く、発送の柔軟な企業を保つ努力を行うなど、経営面において、工夫することで生まれる価値によっても、採算を支えている。

そも、コスト削減には限界があるだろう点、また、新規顧客層を開拓するであろう、この経営手法に、同業他社が勃興、競争が激化することも先行して予測し、ハイクオリティサービスに定評のあるMILが、「コストをかけずに得られるクオリティ」を研究、技術投資していることも大きいだろう。




最終更新:2010年09月20日 21:29