目次.各種中継-各国からの参加風景 その2



24:紅葉国


お祭り ~紅葉国カジノ大会 ~

▼お祭りの始まり

ルウシィ「あ、お祭りするわよ」
朝霧「ルウシィさんいつもお祭り騒ぎじゃないですか」
ルウシィ「よし、You、実行委員長」
朝霧「あ゛ー!?」

 紅葉国政庁のいつもの日々――01211102


▼お祭りの布告

 その日の朝、全都市船、海底都市でお祭り準備の布告が行われた。その放送が始まったときは国民も目を白黒させたが、要点を把握するなり、「ああまた藩王が何かやったんだなと」理解の色がその顔に浮かんだ。
 まあ「本当にいいんですか?」と尋ねる広報官に「大丈夫だ、問題無い」と通達したのが良くなかったのかもしれない。

 かくして国をあげてのお祭りが解禁された。
 お祭りの要点は以下のように布告された。

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○紅葉国カジノ大会

(1)お祭り期間だけ使用可能なチップを発行します
(2)チップは換金できませんが、お祭り期間中はカジノで遊ぶ事が出来ます
(3)チップを一定枚数集めると以下のチケットと交換できます

  • お菓子引き替えチケット
  • フルーツ引き替えチケット
  • 玩具交換チケット
  • レストラン無料チケット

チケットはお祭り期間限定、協賛店舗で交換可能です

(4)チップは換金不可であるため子供も参加可能です
「探せ未来のギャンブラー」


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○出張、紅葉国

(1)レンジャー連邦の特設ブースにて以下の出店を行います
(2)名産品販売(フルーツ、工芸品、)
(3)ビンゴチケット販売、中継

 ビンゴ大会は紅葉国本国との連動企画です。
 チケット購入者を対象にした大会で、以下の景品が当たるかも?

(A賞)工芸品(鯨の骨で作った置物、木で編んだ籠、南国風染め物)
(B賞)フルーツ盛り合わせ
(C賞)紅葉国風スノーグローブ


▼あとのお祭り

「死ぬかと思った」
 朝霧は速くもバテていた。
 よく考えたら祭を開けば観光客も増える。増えるとなれば定期便の増加や警備強化もしなくてはならない。しかもこれは共和国の連動企画であるため中継を行う必要もあり、各方面を動員して中継所を設置、という手間もあった。当たり前だがチケット交換用の協賛店舗との交渉も済ませる必要があったし。
 さしもの朝霧も、机に突っ伏していた。夢の中でも交渉しているらしく、うめき声が絶えない。
 朝霧は反省した。「口にすることは考えよう。明日から」と思った。


▼お祭りの様子

「ぎゃー! チップがー。吐け! 吐けお前! すぐ吐け! わーっ!?」
「だからそのスロット駄目だって言ったじゃん」
「違うんだ! お前はともかく僕には確かに見えたんだ! あの横一列に並ぶ七が!」
「はいはい」

 三白眼の女の子が、うなだれた男の子の首根っこを掴んだ。歩いて行く。
 胸を押さえていた大人達が一斉に溜息をついた。気持ちは一つだ。ああ、俺たちにもそんな時代があった。
 女の子はいなかったけどな!

(とか考えてそうだよなー)

 路上の放映テレビで一部始終を見ていた朝霧は、は、いかんいかんと歩き出す。
 大量の事務処理から逃げるべく、視察という名の逃走中だった。本当に視察してどうする。

 ちなみにさっきのテレビは、ギャンブル熱が高まる紅葉国の様子をLive中継するという企画だった。全国八十八箇所以上に設置された中継用カメラは、見事に悲喜交々を流していた。何人かの大人達は辛そうだが、まあ、誰にでも甘酸っぱい思い出ってあるよね、と言い訳して考えない事にした。

 市場で、安売りされていたフルーツを買う。このあたりは昔の紅葉国に近い。海底都市に、ぎっしりと詰まっていた頃だ。足の踏み場も無いような市場の光景は一度見るとなかなか忘れられない。今日はお祭りのかいもあってか、一時的に時間が戻ったようだった。

「盛況盛況、と」

 これで事務処理さえ無ければなぁと思いつつ、視察を続ける。まあ本気でエスケープするわけにもいかない。一応戻る時間は身内には知らせているので、見るところ見たら戻らなくては。今日の仕事は裏方なのだ。

(思ったより混んでるし、誘導員増やした方がいいかなあ)

 ぼんやりと考えながら、雑踏を歩いて行く。



25:羅幻王国


■1:無限の手札はこの時の為に~Swamp set.DarkRitual,Necropotence!

 輸送の国の朝は早く、夜は遅い。
 良い仕事という物はやろうと思えば無限に出来る物であり、その体力と精神の及ぶ限りにおいて自らの智謀と手腕を信じて執り行う主義の人間は敬意を持って『ビジネスマン』と呼ばれる。それには老若男女の区別無く、商機を逃さず全力を以って商うが如しであった。
 そしてここに、羅幻王国で最も働いているであろう人間の部類の中の一人。

「オマツ、リ。オマツ、リ、リ――」

 なにやら奇怪な鳴き声を放つ不定形生物のゃぅだが、よくよく見てみればいつもの羅幻王国摂政、蓮田屋藤乃である。但し、その血走った目のクマと魂の抜け切った顔は尋常ではない。本来はかなりの美女であるが故に妖気漂わせる姿は貞子もかくやの超ホラー。メチャクチャ怖い。

「……ゲン・コー」

 どっかのローマ帝国映画か弁当争奪ライトノベルか。地の底深く呪いの響きを以って成るその暗黒言語は何の事は無い、単なる修羅場中の妄言である。
 12月の半ば。リアル蓮田屋は冬コミ修羅場中である。今回の制作物、化●語合同誌のPV作成真っ只中である。しばらく言動がPLもPCも危うくなるのはお察し下さい。いあ、ホンマすいません。マジだばだばしてるんです今現在進行形で!!!!!!

 ――まぁ、あれです。
 きっとプレイヤーの悪影響を受けて、はすたぁお姉様も修羅場中なんです。
 それで自分もレンジャー連邦まで陣頭指揮を執ってお祭に行こうとしたところを部下に『まあ待て落ち着け(技術)』されたんですよ。全羅幻王国が泣いた。

「行きたかったですわー水着も用意したのにーめそめそめそ」
「はいはいそーですねー。残念ですねー。仕事しましょーねー」

 この女。歳も立場も考えず、てめぇでアイドル登録しようとしていたに違いない止めた部下の人たちグッジョブ!!

「六商社から『発令』の要請と、学園の【善マッド】老夫婦から機材搬出申請来てます」
「これとそれをあれに判子とサインを」
「本件大使としてアズキ嬢に要請して先行してもらいました。ドクター無畏が保護者的な意味で同行してます」
「ドリルお嬢など若手の【冒険商人】たちはとっくに出向いてる報告がありますんで各種追認願います」
「あれとこれをそれに判子とサインを」

 でろでろになった摂政の顔にも容赦なく、彼女の部下にして手足たる機関の精鋭は誠に手際よく対応を組み上げていく。
 もっとも、それはいつその時が来ても良い様に準備万端整えておいた摂政の事務対応能力でもある。

「えーと、それでは。藩国全域に『発令』を行う。指示は只一つ(order is only one)同胞たるレンジャー連邦を支援せよ。商機を逃すな、全力を以って商え。『code:カートレボリューション』発動」

 そして原稿(現実)に戻る。

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■2:絶妙の差配は今こそ此処に~endBefore.IcyManipulator Tap,WinterOrb!

 お祭り好きの人間というのは何処にでも居る物で、お堅い立場にある人間ほどイザという時はっちゃけ易いという社会心理学の論文があったり無かったりするものだ。現に筆者の恩師も学園祭でいい歳ぶっこいた教授のクセに白衣でオンステージしちゃうアレな想い出があったりするのだが、ここにもアレな白衣が2人。

「フゥーハハハハハ! 世界爆破のマァッドサイエンティィィストッッ、レンジャー連邦に降臨!」
「厨二病、乙」
「どうした、ひぃー↑ しょー↓ よぉー↑ 何か言いたい事でもあるのかぁー?」

 解せぬ。
 と、いう命題の彫刻を体現したかのような老婦人(白衣)が、老紳士(白衣)を半眼で睨みつける。もちろんじーさまの方は怯む様子も無い。
 老紳士の名はヴァーハイト博士。老婦人の名はロート教授。
 羅幻王国の誇る機械工学と脳物理学の専門家である善なるマッダーの老夫妻であった。

 旧知のアズキ嬢のコンサートを実地運用兼ねて補佐すべく、という理由でこの【善マッド】老夫婦は3次元映像装置や立体機動ステージなどの様々な奇跡ガジェット(という名の発明品)を学園研究所から搬出して来た訳では有るが、本来のお祭りというイベントを楽しんでは成らぬと言う訳では無い。あくまでも彼らは技術責任者であり機材はとうに部下である現場のスタッフに任せて有った。
 そもそも研究に明け暮れた青春時代から壮年期に掛けてまるで余裕が無かった結婚生活に申し訳なく思った老紳士が、上手い事名目を作って(ここらへん摂政の入れ知恵っぽい)老婦人を連れ出したのではあるが、何の事は無い。
 ばーさまを楽しませに来たはずだが、じーさまの手綱をばーさまが管理誘導している始末である。

「フゥーハハハハハ! らぶ焼きだぞー、もんじゃだぞー、アイドルだー」
「こいつわー」

 少年の様な瞳の輝きでレンジャー連邦を満喫する老博士に、老婦人は結婚後何千回目かの溜息を付いた。
 だがその瞳は青春時代と変わる事の無いと気がついているだろうか――長い年月の前に2人の絆は深い信頼を――

「フゥーハハハハハ! 射的には輪ゴムを毎秒100連射する我が奇跡ガジェット565号機『ガトリンガー』で――!」
「だから信頼できないんだ!」

 年甲斐も無くぐーで殴りました。

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■3:智謀の手腕は斯くあれかし~upkeep pay.IllusionOfGrandeur,Donate!

 露店市の人間というのは独自のネットワークを持つ物で、いや待てそれは一体何処から聞いて来たと、ツッコミどころしか無いフットワークで祭の前日には店構えをコミケのシャッター前サークルの設営レベルで展開し始めたりし無かったりするものだ。現に筆者の知る内々の祭でも胡散臭い金髪のにーちゃんの小店が何故かいるものだが、ここにもアレな金髪ドリルが一人。

「オーッホッホッホッホ! リリィフェル・マイルフィック、レンジャー連邦に降臨ですわ!」

 金髪縦ロールの水着美女の名はリリィフェル・マイルフィック。
 元アイドルにして現いくつかの企業を経営する女会社社長であった。ほとんど紐なエロ水着なのは相変わらずであったが。
http://www15.atwiki.jp/idress_idol/pages/72.html#id_eb2380d2

 つーか、発言レベルがさっきの老マッドズと一緒か。何かわざわざピックアップしてめんどくさい奴らをレンジャーさんに輸出しているような気がしてきたぞ。今の内に筆者はお白洲で正座していた方が良いのかもしれない。申し訳ありません蝶子さん城さん、彼らは他意も悪気も無いんです。

「で。また水着売りっすかね」
「P、貴方も遠慮が無くなって来ましたわね」

 彼女の他にも似たような露天商や行商の【冒険商人】たち(もちろん水着などでは無い、食品や民芸品などの真っ当な品々だ)が、連邦行政と折衝し、定められた区画に売場を展開し、現地の法律と自らの流儀に従って商売を構築し始めている。
 忠臣者の元プロデューサー現番頭(以下、便宜的にPと称す)にメンドクサそうに返すリリィ様だが、Pとしては内心ハラハラドキドキである。正直、Pも筆者と同じく『彼女がハシタナイ』って外国で捕まるんじゃねぇかなと、心配して仕方が無い。

「私には野望がありますのよ」
「後輩のアイドルに良からぬ影響を与える事ですかね」
「それは、共和国を、そしてNWを、子供たちの笑顔であふれさせる事ですわ!」

 ボヤキのPに対して、謳う様に躍る様に夢を語るお嬢様の有り様は、流石に元アイドルであったと相応しいカリスマを覗かせた。
 彼ら【冒険商人】その商才は天下万民の為にあるべし。その気高き理想、正に然り。

「いやだから。子供の笑顔で、なぜ紐水着」
「殿方相手にワタクシの水着でしなだれ掛かれば、出生率の上昇などVの字上昇」
「生々しい話だなオイ!」

 でも効果あるらしいよ。

羽川 明日子さんの中継リポート

「はいはい、今日はレンジャー連邦のお祭り『ら・みゅーじっくおぶらぶふぇすた』にきてまっせ!」
「通称『らぶらぶ』って、いかにもレンジャー連邦さんでんな。」
「ちゅーことで、この会場には共和国各藩国の特産名産が揃ってまっせ!」
「いやー所狭しと並んだ屋台からえ~匂いがぎょうさん襲ってきよるわ」
「とりあえず、手近なところは・・・・・・ほとんど羅幻のやからチェック済みなんよな・・・・・・」
カンペ:そんなこと言わずにちゃんと突撃してください
「しゃーないなぁ」
「ちゅうことで、しきりなおして、・・・・・・はーい、こちらは羅幻で長い伝統を持つ焼き鳥屋【ぢどりれん】です!」
「ここの売りはなんちゅうても羅幻特産の羅幻コーチンを使った各種焼き鳥なわけやけど、私の一押しは羅幻コーチンのすり身を使ったつくね!」
「こいつに羅幻コーチンの卵をといてかけたら、もー最高やで! あっさりとした中にしっかりとした主張が癖になりまっせ!」
「さ~次の店いってみよかー!」


最終更新:2011年12月12日 22:40
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