601 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/18(月) 02:23:38 ID:uDGJtrIT0
  >>600
  休み時間の度に廊下で会話したり
  「どんな風に授業受けてるんだろう」ってキタローの事考えながら授業そっちのけだったり
  部活の無い日なんかは「今日は一緒に寄り道したいなぁ」って廊下で待ってみたり


  そんな風花さんを妄想する為に決まってる


  602 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/18(月) 13:40:52 ID:g3DcUB1n0
  >>600
  同じクラスだったら
  『来年は同じクラスになれるといいね』
  って萌えの塊のようなセリフを言って貰えないジャマイカ


  603 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/18(月) 20:57:50 ID:pKFSlsJlO
  もっともキタローに来年などないがな


  604 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/19(火) 01:19:05 ID:sWbvqBLc0
  中古で無印買って遊んだだけの俺としては来年無いとか言われてもなー
  来年は同じクラスになって一緒に美術部に出て風花さんモデルに絵とか描いちゃって
  この人に手ぇ出したらデビルスマイルなオーラで周りの部員や他の生徒を恐怖に陥れつつ
  ずっと一緒に過ごして風花さんの色んな表情に毎日惚れ直す生活を送る予定なんだが?


  605 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/19(火) 02:10:43 ID:uUCXfzrg0
  >>602
  「来年も同じクラスになれるといいね」で良いんじゃねw
  萌え度は多少下がるけど


  606 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/20(水) 01:26:38 ID:hFxdGeNJO
  キタロー「風花の誕生日って12月22日だっけか」
  風花「わぁ覚えてくれてるんですか」
  キタロー「んいや何となくバレンタインから丁度十月十日辺りだなと」
  風花「え」
  キタロー「つまり風花のお父さんとお母さんはバレンタインの夜にウフフフ」


  607 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/20(水) 02:00:04 ID:kN5HQsvj0
  まあ、うちのキタローは逆にクリスマスに風花と甘い一時を過ごしてましたが…


  608 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/20(水) 02:10:34 ID:f+ipGKxm0
  こんないい娘さんに恵まれたんだ、本当に素敵なご夫婦なんだろうな
  ちぃとばかり親戚関係やらで色々あって疲れたんだろう、
  風花さんに暫く辛く感じさせてしまってたみたいだけど
  きっと仲のいい素敵な家族に戻れるはず

  風花さんを見ていると、自然とそんな未来が信じられるのは何故なんだぜ


  609 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/20(水) 04:28:31 ID:kN5HQsvj0
  ゲーム中の風花を見ていると、とても親と確執があるようには思えないw


  610 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/21(木) 00:21:13 ID:/fHErt7m0
  時期的には遅すぎだけど面白いものを見つけたので貼る。

  ttp://usokomaker.com/valentine/r/%BB%B3%B4%DF%C9%F7%B2%D6/%C9%F7%B2%D6%A5%B9%A5%EC%BD%BB%BF%CD


  あまりにも図星過ぎてコカコーラふいた
  風花さんの頼みでもこれは聞けねえwww


  611 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/21(木) 01:47:21 ID:Le6TdG3E0
  ほかならぬ風花さんからの頼みだ、
  危険は大きいがもう少し近くから見守るしかあるまい
  ロードワーク中の男性に泥棒と間違えてどこまでも追いかけられたり
  変質者と間違えられてバイク乗った女性に処刑されたりしかねんから気をつけろ
  まったく寮の近くは戦場だぜ


  612 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/21(木) 03:07:32 ID:ViObolmV0
  >>610
  離れていても繋がってるからおk


  613 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/21(木) 04:01:48 ID:h+9JdRnjO
  つかお前ら前向き過ぎだろwww


  614 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/22(金) 00:59:58 ID:ElTSOG9N0
  しかしペルソナ能力がルキアとか実生活への応用って点じゃ物凄い勝ち組だな


  615 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/22(金) 01:17:54 ID:lJDRY8syO
  キタロー浮気できないなw


  616 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/23(土) 02:09:42 ID:jjGq6D6Q0
  丸一日以上書き込みが無かったんだな…

  そう言えば自分は今までずっと風花さんのスカートの下はタイツでなければいけないと
  思っていたんだが、ふと白ニーソの風花さんを想像したら果てしなく萌えた。
  絶対領域に属性は無かったはずなのに自分の中で何かがはじけた気分だ。

  昨日の猫の日にちなんで猫耳風花さんの夢を見られることを願いつつ、そろそろ寝る


  617 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/23(土) 03:23:31 ID:SjNFI6XK0
  風花は割と何を着ても似合う
  普通のセーラーとか着てくれないかな


  618 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/23(土) 03:46:05 ID:HI8GrOaJ0
  風花の絵を描こうとしたんだが、見事に失敗した、、、
  キャラ記号がはっきりしてる割には意外とむずかしい。
  このスレの絵師さんたちを尊敬するぜ。




  619 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/23(土) 04:24:10 ID:SjNFI6XK0
  でも記号が分散してるせいで自分なりにポイント押さえて行かないと、
  似ているようで別人になるよな


  620 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/23(土) 08:46:45 ID:jjGq6D6Q0
  起きた

  水色短髪のめんこい子を見たら風花さんにしか見えなくなった自分オワタ
  てか水色髪のめんこい子がもう長髪でも風花さんにしか見えない
  冬私服の風花さんは黒ストッキングがいいと思う


  621 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/23(土) 09:31:19 ID:G13YO3AK0
  寝るとか起きるとか報告しないでよし


  622 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/23(土) 11:30:43 ID:SZGffnEoO
  ・副島絵
  ・ゲーム内立ち絵
  ・アニメパートの絵

  どれもけっこう別人。
  解釈によって差が出るキャラではあるかもね。



  623 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/23(土) 11:50:36 ID:cbXjfR4F0
  >>622
  女性キャラでは一番画が安定してると思うけど…


  624 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/23(土) 12:02:05 ID:SjNFI6XK0
  >>622
  アニメがな…ww
  それでも風花が活躍する辺りとかは安定してたけど


  625 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/23(土) 12:41:17 ID:kl8ZC20GO
  フィギュアでねぇかなぁ・・・


  626 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/23(土) 12:57:14 ID:SjNFI6XK0
  なければ作れば(ry


  627 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/23(土) 16:05:31 ID:5q8Tln7d0
  ttp://imepita.jp/20080223/574450

  度が過ぎなきゃそう悪いことでもない気がする
  多分気を遣って一言添えてくれたんだぜ
  みたいな事が伝えたかった気がするんだけど
  なんだかよく解らないシロモノになったごめん


  628 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/23(土) 16:48:11 ID:cbXjfR4F0
  伝えたい事を作品に込める。真のクリエイターだね
  風花は今までそんなに…だったけどここの職人さんの
  お陰で好きになりました。ありがとうございます。
  いきなり用件述べるより一拍置いた方が柔らかい印象…の時もある



  629 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/23(土) 19:14:05 ID:SjNFI6XK0
  >>627
  とりあえずチドリが可愛すぎる


  630 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/23(土) 22:36:30 ID:YyFQ+ur00
  >>624
  え?アニメで風花さん出演したの?
  こりゃレンタルしないとな


  631 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/23(土) 23:00:19 ID:zmUrKLVMO
  キタロー「ねた」
  風花「ちゃんと起きてますよ」
  キタロー「好きだ」
  風花「ええ」
  キタロー「赤くなった」
  風花「いえでもあのその」
  キタロー「心拍数が上がった」
  風花「ででも突然そんな事言われたら誰だって」
  キタロー「ネタなのに」
  風花「それも好きなひ今何とおっしゃいましたか」
  キタロー「最初にネタって言いました」
  風花「そうですか」
  キタロー「ああ目がすうっと細くなった」
  風花「用が済んだならもう行きますよ」
  キタロー「立った風花が立った」
  風花「これから特製晩ご飯の支度をしますから楽しみに待っててくださいね」
  キタロー「俺やっちゃいけない事した(ガビン)」


  632 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/23(土) 23:47:57 ID:jjGq6D6Q0
  >>621
  カンに障ることしちゃったみたいでごめん

  >>627,631
  兄弟たちの優しさと話題をネタに昇華する天才脳に感涙した
  いつもの絵師さんとガビンの人、超乙であります!


  633 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/23(土) 23:53:22 ID:SjNFI6XK0
  >>630
  いや違う、ゲームでのアニメパートってこと
  風花のルキア召喚の辺りは良かったのになあ


  634 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/24(日) 00:31:51 ID:CNHhR65I0
  >>631
  今何とおっしゃいましたか怖すぎ血泡吹いた
  好きだからこそ毎度ひっかかっちゃったりする訳で
  あたふたしてるとこが可愛いからつい悪戯しちゃうんだろうな
  考えてみるとめったに怒ったりしないだけに怒り顔は貴重かも
  風花さんふくれててもかわいいよ風花さん

  「なんか台所から青黒い煙が床を這う様に広がってるんですけど」
  「山岸か」
  「山岸だな」
  「ちょこれ引火したりしないでしょうね」
  「近隣住民に被害が出ないよう祈るしかあるまい」
  「うわ洒落にならねてか何故ゆえ」
  「どうやらコイツがついに山岸を本気で怒らせたらしい」
  「死んだな」
  「無茶しやがって」
  「惜しい奴を亡くした」
  「お待たせしました皆さんお揃いでああすいませんこれリーダー用の特製ディナーなんです」
  「いつにも増して艶やかな青さねてかあれ水色じゃない?水色じゃない?」
  「さあリーダー召し上がれ(ニコリ)」
  「ああアイツオワタ」
  「早くイゴール呼んできて」
  「ペルソナ3本編-完-」
  「お美味い」
  「「「「「普通に喰ってるー!!?(ガビソ)」」」」」
  「今回はカレーらしくスパイスにこだわってみました」
  「「「「「どこがー!!??(ガビーソ)」」」」」
  「コクといい爽やかな香りといい間違いなく横綱級のカレー」
  「ふふ、おかわり沢山ありますよ」
  「なんか会心のデキみたいねてか凄く怒ってたとか聞いたんだけど?」
  「えああリーダーにお料理作っていたらなんだかどうでもよくなっちゃって」
  「「「「「( ゚Д゚)ポカーン」」」」」
  「おかわりー」
  「はーい」
  「「「「「(ノ ゚Д゚)ノ ==== ┻━━┻」」」」」

  …みたいな続きを勝手に妄想してみたガビンの人ゴメン


  635 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/24(日) 12:37:57 ID:+GGSedkGO
  風花「カレーとシチュー混ぜてみました」


  636 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/24(日) 14:01:19 ID:Sa7ItiUx0
  風花「彩を良くするために絵の具を入れました。ちゃんと溶けましたよ」


  637 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/24(日) 15:04:21 ID:dulxfjIXO
  絵の具は入れちゃダメ。カレーとシチューは味調節したらなんとかなるか?


  638 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/24(日) 16:10:15 ID:NUhDXw5a0
  >>634
  ワロタw
  水色って何イオンだったかなと思って久しぶりに化学の教科書見たら銅イオンだった
  風花は理系のイメージあるから白衣着てフラスコ持って料理してても違和感ないなw


  639 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/24(日) 20:53:09 ID:SE0C5ZH00
  調味料やレシピ本の購入から鑑みて、わりとカタチから入るところがおありだと…
  ゆえに割烹着なども入手済みかと推測いたします。
  ちんまり小柄な身体にちょっと大きめ割烹着。
  背の高い鍋に対して脚立によじ登る姿があぶなっかしくも可愛らしいかと存じます。


  640 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/24(日) 23:15:03 ID:huJgMlie0
  風花好きとエリザベス好きって結構被ってるよな


  641 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/25(月) 00:36:06 ID:CZVqJQB80
  そうなのか?まあ、どっちも礼儀正しいキャラだしなあ。

  >>639
  ベス分析乙w
  てか背の高い鍋って一体何人分の群青料理作るつもりだwww


  642 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/25(月) 02:32:02 ID:kba/87vS0
  風花が活躍する後日談はいつになったら発売されるんでしょうか?


  643 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/25(月) 03:46:20 ID:nG+j++fK0
  ttp://imepita.jp/20080225/130650

  悔しいけど>>639に萌えた
  そしてやはり風花さんを愛する兄弟達
  考える事は似るらしい

  白衣もさぞ可愛いんだろうなぁ…
  でも白衣も実験用具もさっぱり解らない俺オワタ


  644 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/25(月) 05:01:25 ID:eitTTTYj0
  >>634
  水色のラーメンなら実在するぞ
  ttp://members.at.infoseek.co.jp/rimssecret/kikuya1.htm
  ttp://teamkano.blog18.fc2.com/blog-entry-774.html


  645 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/25(月) 09:55:08 ID:PRs4YOkV0
  http://genzu.net/sokan/
  相関図ジェネレータというものがあったので順平、ゆかり、美鶴、明彦、風花でやってみた
  じゅんぺい--[コンビ]--ゆかり
  じゅんぺい--[友達]--みつる
  じゅんぺい--[対立]--あきひこ
  ゆかり--[心の友]--みつる
  ふうか--[友達]--みつる
  ふうか--[微妙]--あきひこ
  あきひこ--[微妙]--みつる
  じゅんぺい--[夫婦]--ふうか
  ゆかり--[元恋人]--あきひこ
  一部非常にあってるが・・・テレッテと風花は認められん


  646 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/25(月) 16:52:02 ID:p9Bn28AU0
  キタローがいない件


  647 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/25(月) 18:53:43 ID:nG+j++fK0
  ttp://imepita.jp/20080225/427560

  あれあんまり風花さんに見えなくね?
  って気が今更ながらしてきたので
  苦し紛れに塗って情報量補ってみた
  立て続けに重くてごめん

  >>644
  人智を超えた群青の領域に、人の身で至らんとする
  店長さんの覚悟に最敬礼(無茶しやがって的な意味で

  >>645
  ふうかとなつきが必ず[対立]になるのに泣いた


  648 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/25(月) 19:53:04 ID:PRs4YOkV0
  >>646
  キタローだと線すら引かれなくていえなかった
  キタロウなら友達以上恋人未満なんだが


  649 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/25(月) 20:05:43 ID:kba/87vS0
  風花は結構天然っぽいイメージがあるんだが何故だろう…
  ゲーム中じゃそれほどそんな場面もなかったと思うんだが


  650 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/25(月) 20:07:19 ID:go/bCD060
  >>649
  声。


  651 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/25(月) 20:18:59 ID:wYuQ1zMbO
  >>649
  声と困った時のヨリ目みたいな表情?
  あれかなり天然ぽい感じするよ。


  652 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/25(月) 21:08:53 ID:kba/87vS0
  ああ、声には同意せざるを得ないw
  でも地獄少女みたいな喋りも出来るんだよな…


  653 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/25(月) 23:48:02 ID:CZVqJQB80
  >>648
  主人公(しゅじんこう)だと「肉体関係」になる


  654 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/26(火) 00:18:50 ID:/4uDGAKn0
  肉体関係などならなくてもいいが
  そのほっぺをプニプニさせてもらえれば俺は合体材料になってもいい


  655 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/26(火) 00:45:32 ID:N06ayLHP0
  >>634
  亀レスだけど、そう言えば風花の顔グラに「怒り」って無いんだな。
  設定資料集見たら無かった。


  656 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/26(火) 02:53:58 ID:4qOnoMKb0
  そのせいでリバースやブロークンが逆に怖い


  657 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/26(火) 04:33:20 ID:FraQjbcV0
  待っていてくれた人は待たせてすみません、FESの続きいきます
  前の話は>>545で
  話の中では便宜上主人公のことはリーダーと呼ばせていますが、
  実際は名前を読んでるはずなので脳内変換でお願いします
  それとこの話は次回で最後となります




  …わがままなんて、一年前まで言った事がなかった。
  わがままを言ってまで思う通りにしたい事なんてなかったし、わがままを言わなきゃ叶わない事を望む事もなかったからだ。
  元々欲求と言うものが薄いらしい僕は、たいていの事はどうでもいいで済ませてきたし、
  わがままなんて今後も言う事はないだろうな、なんて考えていた頃もあった。

  そんな自分を笑う。

  信じられないな、今ではこんなにわがままに思う通りにしたい事があるのに。
  特にここ三ヶ月は僕からすれば信じられないほど、わがままを言った。
  それも、全部一人の女の子のそばにいる為のわがまま…。

  今も僕は彼女のそばにいる。

  彼女は僕のわがままを受け入れてくれた。
  僕をそばにいさせてくれた。
  いつも僕を笑顔にしてくれた。
  いつも僕に笑いかけてくれた。


  でも、そんなわがままもここまで…。
  ありがとう風花…。

  僕は…、

  君といられて幸せだった…。



  【PERSONA3 ~Fuka End Select~】

   「六月の話 ②―わかっていても僕には言えない」





  658 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/26(火) 04:34:58 ID:FraQjbcV0
  ああ…、眠いな…。

  「ねぇ、風花。今日が何の日か覚えてる?」
  僕は隣の席の風花にふと問いかけてみた。
  「あ、うん。今日は作戦の日だよね、今度こそ頑張らないと…」
  ……っ。
  僕は苦笑する。
  彼女の答えが僕の期待していたものではなかった事と、まじめ過ぎる返答に彼女らしさを感じて。
  「…違うんですか?」
  僕の様子に気づいたのか、風花はそう聞き返してきた。
  少しきょとんとした様子が可愛らしいので僕は少し笑ってしまう。
  「…違わないけどね。
   …じゃあヒント、一年前の今日も作戦の日だったんだ」
  「あっ…」
  そのヒントで風花もわかったらしい。
  「そっか、今日は私が…――」
  「そう、今日は僕が風花に出会った日だよ」
  僕はわざと風花の台詞に割り込んだ。
  「えっ…、あ…」
  風花は僕の言葉を予期していなかったのか、またきょとんとした顔をした後照れたようにゆっくりと頬を染めた。
  僕にとって一年前の今日という日ははっきり言って、運命を分けた日だと言っても差し支えない。
  あの日、あんな風に風花に出会って、風花を好きになった日…。
  他の出会いをしていても風花を好きになったのか、と聞かれたら正直わからない、そう言う出会い方をして好きになってしまったんだから。
  まぁ心情としては、『当然』『勿論』『当たり前』『決まってる』と鎧袖一触にしてやるところではあるが。
  とりあえず、それ位僕には特別な日なのだ。
  きっと、一生忘れられない日だ…。
  風花も…、きっと覚えていてくれる。
  まぁ、今まではそう言う風に意識してなかったかもしれないけど。
  僕はそう考えながらまだ照れて顔を紅くしている風花を見ながら微笑んだ。

  …そう、きっと覚えていてくれる……。



  放課後、屋上。

  「山岸、どうだ?」
  「今の所、特に反応はありません」
  「…そうか。
   …みんな、異常はないか?」
  『こっちは大丈夫っス』
  『こちらもありません』
  『こっちもだ』
  「…そうか。警戒だけは続けてくれ」
  『『『了解』』』



  659 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/26(火) 04:37:36 ID:FraQjbcV0
  「っ! ペルソナ反応出ました!」
  「っ、出たか! 場所は!?」
  「……ここ、です」
  「なっ…!」

  突如僕の眼の前に出現したそれと眼が合った瞬間、僕は今までの眠気が嘘のように覚醒した。
  それと同時に、今まで忘れていた事すべてを思い出し、理解した。

  「…そうか」

  …もう、限界なんだな…オルフェウス。

  「二人とも下がれ! みんな、すぐ屋上に戻ってくれ!」
  「その必要はないですよ、先輩…」
  「なっ!」
  「リーダー…?」
  僕は傍らにいる風花を見つめた。
  その顔には不安が透けて見えていた、今の僕の状況がわかっている筈はないのに…。
  「…風花」
  そんな不安な顔はさせたくないんだけど…、今の僕には君の不安を拭ってあげられる手段がない。
  どれをしても君がもっと辛くなるだけだろうから…。
  「…今まで、一緒にいさせてくれてありがとう」
  「…な、なに言ってるんですか…?」
  本当ならここで告げなきゃいけない言葉がある。
  さよなら…、僕の事は忘れて…、って…。
  それを言わなければ君はずっと辛い思いをする事になる…。
  でも、僕には言えない…。
  わがまま過ぎるけど、君にはずっと僕を想っていてほしい…。
  それで君が悲しむ事はわかってるけど…。
  …僕の本心だけど、これは逆にわがまま過ぎて言えないな…。
  「…風花」
  本当はずっと君のそばにいたかったけど…。
  君もそばにいて欲しいって言ってくれたのに…。
  「…ごめん」
  「リーダーッ…!」

  僕はゆっくりオルフェウスへ手を伸ばした。


  …神木の書いた話では、生きてきた意味は自身にはないんだって言ってたな。
  …多分その通りなんだろうな、今の僕がしようとしてることも……。


  …自分の終わりを間近にして思う。
  やっぱり、僕には荒垣さんみたいに笑って逝く事なんてできそうにないな…。

  ――バカヤロウが。

  …オルフェウスに触れる寸前、何かが聞こえた気がした。


  そして、僕はオルフェウスに触れる…。

  その瞬間僕の意識は、暗く黒い淵に引き込まれて……――――――



  彼が、リーダーがペルソナに触れた瞬間、彼の体は崩れるように地面へ倒れた…。
  私がそばに駆け寄って名前を呼び続けても、いつものように起きてくれる事はなかった…。


  660 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/26(火) 04:38:21 ID:FraQjbcV0



  【PERSONA3 ~Fuka End Select~】

   「六月の話 ②―わかっていても僕には言えない」 終





  661 :639 [sage] :2008/02/26(火) 19:32:05 ID:3aBU6twd0
  >>643
  実は密かに期待しておりました。私のネタに視覚効果を付与して下さる神の降臨を!
  FESのお方もあいかわらずのテンションを維持していらして驚きでございます。

  一時間幸せでいたかったら風花を見ろ
  一日幸せでいたかったら風花のことを考えろ
  一週間幸せでいたかったら風花の世話をしろ
  一年幸せでいたかったら風花と暮らせ

  一生幸せでいたかったら風花のことなど忘れてしまえ



  662 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/26(火) 21:36:11 ID:4qOnoMKb0
  あー、風花とはんだごて使ってなんかのサーキットでも作りたい


  663 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/26(火) 22:29:58 ID:/4uDGAKn0
  FESの方キター
  まっていました、相変わらずのせつなさがいい感じです
  ラスト・・これで終わってしまうのか


  664 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/26(火) 22:54:59 ID:BjzOqV/U0
  >>657-660
  前略、あーかしこだっけ?まあ書き出しはどうでもいいんだ
  ぶっちゃけアンタのメアドも住所も知らないからこんなメールは届きっこないんだけど
  それでもちょっとね…ただ風花と二人で居るとこ見かけただけで実際直接話したことも無いアンタへ

  風花がどんだけイイコかなんて事は今更言うまでも無いよね
  周りの人の気持ちとかにすっごい敏感な風花が、
  あのおっきい目で選んだアンタなんだから、その位は解ってるって信じてる
  あの子はさ、アタシと喋っててもメールしててもいっつも周りの事やアンタの事ばっかりでさ
  自分自身のことをどこか後回しにしちゃう性質なのね
  だから私はアンタに念を押したいんだ
  あの子の傍で、あの子を一番に優先してあげられるのはアンタだけなんだって事を

  今アンタがどんな生活をしてて、どんな状況なのかアタシには解らないけど
  風花のためにもアンタのためにも、アンタはぐっと踏ん張んなきゃダメなんだよ
  そりゃキツイ事も理不尽な事も世の中いっぱいあると思うんだ
  でもそれでも最後まであきらめないで欲しい
  半端なことや眠たい事して風花を泣かせたりしたら、乗り込んでってシメるからね
  風花とアンタの物語の最後の最後に風花が悲しい想いをするなんて事が無いように
  応援してるからさ、幸せになんなよ


  風花が選んだソイツへの手紙を
  風花が縁で知り合った、ただそれだけのアタシからFuka End Selectへ

  >>661
  なんか上手いってか深いね、先立たれても悲しいし
  後に一人残しちゃったら絶対悲しい想いをさせちゃうしさ
  二人で何を残していくかが大事なのかなー
  そりゃ永遠なんてありえないんだけどさ、信じたいじゃんね


  665 :661 [sage] :2008/02/26(火) 23:21:29 ID:3aBU6twd0
  水差すようで申し訳ないのですが
  犬猫板で見つけたコピペでこざんすよ?


  666 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/26(火) 23:28:51 ID:BjzOqV/U0
  あははwそっかコピペなんだ、マジレスだっさーって感じだね
  まあアタシもちょっとロマンチックに語ってみたくてさ
  乗っからしてもらっただけだから、あんまり気にしないでね
  気ぃ遣ってくれてありがと、優しいじゃーん


  667 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/26(火) 23:42:12 ID:N06ayLHP0
  >>664
  夏紀ちゃん乙
  風花さんに君がいてくれて本当に良かった


  668 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/27(水) 00:30:19 ID:a64e9j0v0
  >>666

  いえいえ、気ぃ遣ってなんて好意的に解釈して頂いて、汗顔の至りでございます。
  借り物で手柄顔も気が引けますので、一応、私の発案じゃございませんよ、と。

   山岸風花は思う。ハンダゴテは漢らしい、と。
  声も上げず、火も噴かず、静かに密やかに熱くなるその所作は正に漢の趣。
  解けたハンダが涙の代わりか、無骨なフォルムが鉄火の徒(アダ)か。
  耐熱コードの凛々しさよ、ネジを小粋に覗かせた、いなせなかんばせ男前!
  「…もぅ、黙って熱くなってるなんて、まるでリーダーみたい…」
  山岸風花は、うっかり触れてしまった指先にメディカルパウダーを振り掛けながら
  罪作りな工具に微笑みかけた。
  じんわりと赤みを帯びたハンダゴテの先が、照れているようでいとおしい。
  (オレに触ると、ヤケドするぜ。気をつけな、お嬢ちゃん)
  揺らめくイオン臭が、そう言っているような気がして、風花は小さく頚を傾げた。


  669 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/27(水) 00:43:41 ID:g+w+szF50
  なんという半田ごてw
  どこぞのブライアンたちを思い出すぜ


  670 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/27(水) 18:14:43 ID:0oVTiaXE0
  >>664
  夏紀ちゃんの言うこともわかる
  男なら誰かのために強くならなきゃならないし、
  歯を食いしばって思いっきり守りぬかなきゃいけないね、その誰かの笑顔ごと
  …でも、残念ながらうちの主人公は、英雄って感じじゃないんだよね(苦笑)
  だからさ、力貸してあげて欲しいんだ、風花やみんなと一緒に
  そしたら全部うまくいくよ、きっと

  …さて、
  すみません、>>658と>>659の間に入るはずの文章が何故か入ってませんでした
  ですので追加です




  …また今日も見ているだけだ…。
  いや、見ている事すらまともにできない…。
  ……気を抜いたら眠りに落ちて倒れてしまいそうだ…。
  一体どうしたって言うんだ…、風花と一緒にいるっていうのに…。
  この間だって、風花の部屋で眠ってしまうなんて…、ありえない…のに…。
  「大丈夫ですか…?」
  気づけば風花が心配そうな瞳で僕を見ていた。
  僕は彼女に心配をかけないように精一杯笑顔を作って頷いた。
  これじゃ、完全な足手まといだな…。
  みんなが僕のために頑張ってくれてるって言うのに…。
  僕はただ見ているだけ…、どころかただの足手まといだ…。
  みんながやる気になってくれているというのに…、当の本人である僕はまったく気が乗っていない…。
  その理由は…、この作戦がダメだと心のどこかが警鐘を鳴らすから…。
  何がダメなんだ…?
  僕は何を忘れているんだ…?
  考え…ても…わから…な……



  671 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/27(水) 23:33:19 ID:rdAdrmaS0
  >>670 貸すよ!金でも命でも何でも貸す!


  672 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/28(木) 00:53:58 ID:FGeqEZwB0
  イア 森山夏紀の力を借りてみる

  「おっけおっけアタシでよけりゃ力を貸すよ」

  ttp://imepita.jp/20080228/029550


  673 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/28(木) 01:49:34 ID:Mb7l8oeE0
  >>657-659
  >>670
  脆さとか危うさを持つからこそ、お互い支え合うのが絆だと思う
  そー言う意味ではこういうキタローも味があっていいんじゃないかなっと
  …1024の風花さんがいるくらいだしw




  674 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/28(木) 02:27:20 ID:2IiyraJ20
  風花のバイオリン姿萌える


  675 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/28(木) 03:02:06 ID:qOfel2bb0
  >>674
  バイオリンの格好をした風花さんが浮かんだ


  676 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/28(木) 03:24:59 ID:WXIjaNiL0
  風花ENDのひと乙です!
  次で終わりなのか…そう思うと悲しいような、でもハッピーエンドだって信じてるから待ち遠しいような
  上手くいえないけれど、とにかく続きを首を長くしたりしてお待ちしておりますゆえ

  少し前までのアネゴ夏紀ちゃんの流れに存分に笑い、泣かせてもらったありがとう。
  夏紀ちゃん好きの一人としては何か一つ投下せずにはいられなかったので置かせてくだせえ
  ttp://imepita.jp/20080228/115000
  実は昨日風花と夏紀の服チェンジしたら意外に似合って一人で萌え転げていたんだ


  677 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/28(木) 03:55:18 ID:2IiyraJ20
  >>675
  風花ならそれもありだw

  >>676
  風花って普通の制服持ってないのかねえ?


  678 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/28(木) 18:29:36 ID:FGeqEZwB0
  >>675
  お茶吹いてキーボード水没はなんとか免れたものの、気管に入って盛大にむせた
  涙目だよ、まったく不意打ちにも程があるぜ兄弟
  デカラビアの格好ですら愛らしかった風花さんだから、
  バイオリンもあるいは……ゴクリ

  >>676
  意外にかわいい格好も似合う夏紀という発見が新たな地平を切り拓いた
  そして風花さんがヤバイ可愛いすぐる眩しすぐる君のためなら死ねる
  この新婚旅行は熱海で家はもう建てた的可愛さはもはや奇跡
  こんな姿が見られるなら普通の制服の一着や二着余裕で貢ぎたい住人続出
  ちらっと覗く耳たぶもふにふにだよ風花さんさいこうだよ風花さん


  679 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/28(木) 22:31:56 ID:2IiyraJ20
  風花はシリアスでもネタでもいけるな


  680 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/28(木) 22:40:08 ID:OUWIe4bl0
  スゴイな風花スレは!P3キャラスレの文豪勢ぞろいかよ。
  FESの人も夏紀ちゃんも半田ゴテの人も超GJ!愛してるぜ!


  681 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/29(金) 00:02:42 ID:2IiyraJ20
  皆それぞれの味があったし、他と比べてもアレだけど、
  風花スレは発売当時から一番楽しむのが上手い連中が集まってた感じがするな
  明らかにプッシュされてるアイギススレより進んでるとかどういうこったw


  682 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/29(金) 02:24:00 ID:vfjiirEM0
  風花さんに半田ごてをプレゼントすると
  半田ごてを武器に戦闘に参加してくれる夢を見た
  寮からえんえん続く延長コードずるずる引きずってとてとて歩きます
  お約束的にシャドウに届かずに半田ごてのプラグが抜けるけど、
  コードを逆に辿れば道に迷わず帰れるよ!

  「折角のキミの提案だが…すまないが却下だ」
  「イア じゃあ戦闘メンバー俺と風花、以上解散
     はんだヒートをなめるな!火傷するぞ
     風花のこて捌きは烈火、偉い人にはそれが解らんのです」


  683 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/29(金) 10:27:33 ID:41vyOHqa0
  仮にシャドウに届いたとしても影時間には電気が通っていない罠w


  684 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/29(金) 10:55:23 ID:Yk2JZOIHO
  所詮この世は弱肉強食…
  風花喰われるか、だ!


  685 :(´・ω・`) [sage] :2008/02/29(金) 12:43:39 ID:QzIR13qTO
  なにアイギスから電力を貰えばいい


  686 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/29(金) 14:07:28 ID:Ia/l885V0
  風花さんならジオンガジェム使って発電機作るよ


  687 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/29(金) 16:11:50 ID:vfjiirEM0
  ですよねー影時間中は電気止まるやん、アホか俺orz

  ttp://news.livedoor.com/article/detail/3170003/
  こんな高校生のニュースもあったし、
  風花さんなら発電機位一晩でやってくれるはず…っ


  688 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/29(金) 18:27:02 ID:HKojJJziO
  半田ごてのことなんだけど携帯用に改造できないの?
  例えばコンセントを改造して充電タイプバッテリーとつなげる
  とかさ。もしバッテリー大きいんなら背負えるようにするとか。


  689 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/29(金) 18:29:49 ID:HKojJJziO
  …って提案が遅れたか。まぁ風花ならみんなの言う通り作れん
  だろうからいうんだけど。


  690 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/29(金) 20:39:06 ID:vfjiirEM0
  携帯用って手があったかその発想はなかったは…
  ためしに携帯用半田ごてでぐぐってみたら、
  既にガス式だけど携帯出来る代物があるらしい
  ttp://www.goot.co.jp/item.html?c=100
  つか見てみたら先端の温度が500度とかいうのもあるみたいだし
  形もあれこれあるわで半田ごての奥深さにガクブルした
  風花さんの手で改造されたらどんな威力になるのかマジ恐ろしい


  691 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/29(金) 20:44:12 ID:B8naMhri0
  半田ゴテの機能美は温度の問題ではないのさ


  692 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/29(金) 21:19:08 ID:41vyOHqa0
  そう言えば影時間って携帯もたしか消えてなかったっけ?バッテリーもだめなんかな。
  まあ風花さんだったら影時間対応バッテリーとかちょちょいっと作っちゃいそうだがw


  もちろん半田ごてで。


  693 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/29(金) 22:09:12 ID:B8naMhri0
  実際対応型のバイクがあるんだから、半田ゴテくらいはどうにでも出来るだろうな



  694 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/02/29(金) 23:49:11 ID:A8cuiCrV0
  揃えた膝にPCを開いて、カタカタ指を踊らせていた風花の頬が緩む。
  僅かに小首を傾げて、少し唇を綻ばせた顔から、慎ましく押し殺した笑みが零れる。
  細い肩も小刻みに震えて、なにやらとても楽しそう。
  「どしたの風花?面白い記事でもあった?」
  風花と対照的な、奔放な風情の少女が震える肩越しに覗き込む。
  「ん?えへへ、見て夏紀ちゃん。半田ゴテさんったら、とっても人気者」
  PCの画面にズラズラと続く書き込みは、なるほど半田ゴテの文字を含んでいる様子。
  「…半田ゴテ、…さん?」
  夏紀はほんのり赤らんだ風花の頬を胡乱げに眺めた。
  「うん。ホントはね、全然関係ないスレなんだけどね、
  誰かが半田ゴテさんのネタをふってね、それで皆で半田ゴテさんについて語ってるの」
  「………スレ?」
  夏紀の頚も傾いだ、風花とは逆方向に。
  「うん、そうなの。半田ゴテさんを携行して、
  どこでも半田ゴテさんとご一緒する提案とか、出てるの」
  にっこり微笑む風花の、一体何処につっこんだらいいのか…。
  夏紀はちょっと考えて、それから傾いた上体を補正し、肩を竦めた。
  「…ん。そか、まぁ、よかったジャン?」
  「うん!私ね、思うの!半田ゴテさんって、世界一ハンサムな工具だなって!」
  「…あ?ああ、そうかもね…。アタシの知らない世界ってヤツね…」
  やや腰の引けた格好の、夏紀の強張った笑顔がよそよそしくも優しい。
  「あ!今の訂正。半田ゴテさんは、世界で2番目にハンサム…」
  風花のつぶやきはあまりにも小さくて、夏紀の耳には届かなかった。


  695 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/01(土) 00:11:09 ID:JWrwXK390
  >>694
  私の風花短編ザベストに選ばれました…ありがとうございました


  696 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/01(土) 00:18:51 ID:hDFUQX610
  山岸風花は知る人ぞ知る伝説のマイスターである
  米粒の表面にはんだで金剛界曼荼羅を描く事を可能とする
  その半田ごて捌きは他の職人の追随を許さない領域にあり、
  その腕にかかれば割れたクッキーから故障したシャトルまで直るという
  直下型の地震を受けて稼動不能に陥った火力発電所に単身乗り込み
  半田ごて一本、たった一晩で再稼動可能な状態にまで立て直し、
  災害復興に大きく貢献した偉業は記憶に新しい
  その伝説的な技量から若くして世界半田ごて協会の理事に抜擢された彼女の元には
  毎月世界中の半田ごてメーカーから新モデルの試作品が届く
  彼女はそれを一本一本丁寧に使い込み、審査する
  品格、性能、美観、耐久力、剛直さ、手にした時のバランスetc...
  そうして彼女の厳しい目に適った半田ごてだけが世界で流通するのだ
  生産の現場を影から支えるこの生ける伝説は今日もその技で世界を繋ぐ
  「はんだで繋げられないものはないんです」
  それが彼女の座右の銘である


  「…という夢を見たんです」
  「そ、そうなんだ……」
  「くぅん…」
  「山岸は何故あんなに落ち込んでるんだ?」
  「俺らに聞かないで下さいよ…」


  >>694
  風呂場で思いついた夢オチを形にしていたら素晴らしい作品が来ていた
  それを目にした俺は二人のやりとりに終始ニヤニヤしっぱなしなわけだ
  そして俺は愛と敬意を込めて心からGJするわけだ
  ふっ…はっはっは、あっはっはっはっは


  697 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/01(土) 00:20:16 ID:1S4sWM8aO
  ………半田ごて知らなかったけど辞書で調べて提案したかいが
  あったよ。


  698 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/01(土) 00:38:39 ID:R8uy/izG0
  >>696

  保坂先輩、乙っス。


  699 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/01(土) 18:10:45 ID:HA8QkBsc0
  だが風花の装備はやはり素手だと思う


  700 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/01(土) 19:13:44 ID:7Ot3jPvs0
  素手でそのまま挑むということは
  シャドウをアナライズして
  「敵の弱点はここです!」→シャドウ活性化→ん!?間違ったかな・・

  とかするんだろうか



  701 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/01(土) 22:43:33 ID:hDFUQX610
  ルキアの目を持ってすれば経絡秘孔を突くなぞ容易い事なのか
  はたまた感知能力と巨大シャドウの攻撃をも弾くルキアで究極の護身か


  702 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/02(日) 04:39:47 ID:iLOEMmhB0
  小説は順平といい感じになるのかよ
  ガキさんでも肉彦でも天田でも許せるけどテレッテだけはやめてくれ
  FESで成長したのは知ってるけど都合が悪くなると逆切れが頭にこびり付いてどうにも離れん
  もう綾時を殺すほうを俺の中で正史って事にしとこう


  703 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/02(日) 05:33:40 ID:igydJG0y0
  >>702
  YOU、YOUなりの風花さんの物語を想像しちゃいなよ

  そいでこうなれば風花さん幸せなんじゃね?みたいな
  FutureやEpisodeやStoryやImageを思い描けたら
  スレにお裾分けしてくれると皆喜ぶと思うんだぜ


  704 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/02(日) 08:21:31 ID:rhyqy0Zk0
  >>703
  いいのか?
  相手キタローじゃなくていいなら幾らでも投下するが
  それを始めるとスレ住人がどんどんいなくなりそうで
  怖いんだが


  705 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/02(日) 08:58:28 ID:b53OBGB/0
  FESではチドリン復活ルートがあることを忘れるな!


  706 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/02(日) 09:31:40 ID:8Uc/OtQG0
  そのFESでキタローは完全死亡認定されたけどな


  707 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/02(日) 12:58:47 ID:igydJG0y0
  >>704
  いいんじゃないかな
  定番やお約束を外れる場合最初は反応薄いかもしれないけど
  それが新しい流れや定番になるかはその内容次第っていうのは
  今まで出てきた色んな風花さんや、色んなSSやら絵やらと同じわけで
  書き込みそのものが増えればメリットも多いしね

  メリットってのは、例えば今スレで主人公と絡めるのが苦手な住人も居るって解って
  主人公との組み合わせが好きな人は、そればっかりにならない様に
  今は投下自粛してたりするかもしれないしさ
  流れが速くなればレスもしやすくなるかもしれない
  参加してくれる人が増えれば新しい楽しみや可能性も見えるかもしれない

  デメリットはさらにカオスになる事位?
  でもまあカオスなのは伝統みたいなものだからデメリットにならないのかな…
  なんせ風花さんが心置きなく幸せになれる世界になるようにって
  敵も味方に、死者も出さないなんて事を本気でやったのはこのスレ位だろうし
  風花さんの事を想ってるって愛が伝わる内容なら問題ないと思うんだけどな

  漏れもあんまり視野狭めずに良いと思ったものはどんどんGJしていこうと思う
  仲良くやろうぜ、今後ともよろしく


  708 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/02(日) 19:26:53 ID:eOfSJxur0
  小説の話は定期的にスレを荒らすために
  書き込まれているような気がするのは勘繰り過ぎだろうか


  709 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/02(日) 20:31:48 ID:igydJG0y0
            _,.、__,.、__ _
          ,.r,iゝ-'ー‐' -'、ヘ_
        ./r7:::::::::::::::::::::::::ヾ!、
        /::::i7::;::::::::;::::;::::::;::::;::;:',
        i:::::i:::::i::___::!__!::__!__!_!::i=l|=
     -==::::!_イ_二'_  '_,._7::::」 :
        |:::::|X|'ゞ='`  └'' !7|´    >>708
        |:::::|X|ヽ、   _  ,.イiX|    …たぶん…「なんだと(@益@;;)」って思わせて
         |::i:::|X|_!ィ`''==i'、_:::|X|    住人を鼓舞する為の高度かつツンデレな釣りなのよ
         |:::!::|:::| ヽ.-  -i/:|:::i     ううん、知らないけど絶対そう
  .     |:::!/|:::ト、 i-ー'r-!、|::::|       
  .      |::〈. |:::| Y  ,.   〉::::|〉


  710 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/03(月) 01:43:20 ID:bv2gQSfI0
  チドリンかわいいよチドリン


  711 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/03(月) 13:44:20 ID:+5qi3gemO
  今日は雛祭り。
  つまりヒヨコの着ぐるみ着た風花をみんなでワッショイワッショイと胴上げしながら街を練り歩く日です。


  712 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/03(月) 18:11:20 ID:78F943QC0
  「そんなわけで明日寮で雛祭りを祝おうと思う。よければ参加してくれないか」
  「いいですね、準備手伝いますよ美鶴先輩」
  「すまないな、ゆかり」
  「雛祭り…でありますか?」
  「えっと、桃の節句って言われている女の子の日で、お雛様を飾ってみんなで祝うの」
  「興味深いであります」
  「アイギスも一緒にのんびり楽しもうね」
  「お、いいねー俺達も参加していっスか?」
  「勿論だとも」
  「おっし!」
  「伊織は上手い物食えそうならなんでもいいんだろ」
  「順平さん浮かれすぎですよ」
  「却下」
  「え?」
  「女の子の祝日です、よって男子の参加は却下!」
  「ゆ、ゆかりちゃん、あの」
  「参加したかったら、男子は全員女装すること!」
  「「「!!!?」」」
  「どうでもいい」
  「なっ…どうでもいい……だと…!??」
  「はい、じゃあ女装決定ね。女装して無かったら一歩たりとも入れませんから」
  「ちょ、おまどうでもよくねーよなんて事言いやがるこのイヤホン野郎」
  「なんか僕既に疲労感で一杯なんですが」
  「くぅん…」
  「決まりならば守ろうと思うが具体的にどうすればいいのか疑問だそうであります」
  「ああ、コロマルはいいの。かわいいからオーケー」
  「わう」
  「問題無いならばいいのだがその理由にあたる評価にやや納得がいかないそうであります」
  「コロちゃんはそのままでも魅力的って意味かな」
  「わん」
  「まあそう心配するな、衣装はこちらで用意させよう」
  「そういう問題じゃ無いだろう美鶴」


  713 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/03(月) 18:12:14 ID:78F943QC0
  3/3当日

  「おお、皆なかなか可愛いじゃないか」
  「なんで僕アリスの格好してるんだろう…」
  「とてもお似合いであります」
  「ア、アイギス、今はそっとしておいてあげよう…?」
  「えっと、乾子ちゃん、明子さん、リダ美さんと……失礼ですが貴女はどなた?」
  「テレッテッテー!!テレッテッテー!!」
  「なんだ順平か」
  「なんだじゃNEEEE!!…ああ、足元がスースーするぜ…」
  「ヒゲが無いから解らなかったわごめんごめん」
  「髭!?俺っちの目印ヒゲ!?」
  「はいはい順子ちゃんうるさい黙れ、じゃあ雛飾り開けますね」
  「伊織…泣くな」
  「3、2、1、雛祭りおめでとー」
  「うわデカっ!雛壇デカっ!!」
  「なんだか明らかに大きいから気になっていたけど、これ何段あるんだろう…」
  「小さいころにお父様が用意して下さったものだ。全部で三十六段だったかな」
  「親馬鹿にも程があるだろう」
  「てか、下のほうスンゲーちっこい雛人形がうじゃうじゃ居るんすけど、これ何の和風ジオラマ…?」
  「自らがどれだけ多くの人間に支えられているのかその責任を常に自覚せよと言う意味を込めて下さったのだろう」
  「なるほど、ただの親馬鹿では無いということか」
  「…なんだこの奇天烈な空間は…なんの騒ぎだ」
  「あ、駄目ですよ荒垣さん、参加するなら女装してくださいね」
  「?…何だ…?」
  「今日はそういう決まりらしい」
  「…そうか。なら奥に行ってる。邪魔したな」
  「わぅん…」
  「そういやぁ…さっきそこの八百屋に貰ったんだった、お前らで喰うといい。じゃあな」
  「荒垣先輩…」
  「これは…雛あられか」
  「おおーすんげー数」
  「てか雛あられこんなに沢山貰えるような間柄なんだ…」
  「ちょっと可愛いよね。ゆかりちゃん、後で甘酒差し入れにいこう?」
  「そうだね」
  「それがいいな」


  714 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/03(月) 18:13:19 ID:78F943QC0
  「たのもー」
  「お、チドリん来た来た!」
  「ああ、そっか誘ってたんだ」
  「うす。いいっすよね?」
  「勿論だとも」
  「誘ってもろておおきに。邪魔するで。…ってアンタ誰や」
  「ズラ子お前アサルトダイブでボコるわ」
  「なんや順平か、髭が無いから解らんかったわははは、って誰がズラや大体お前らもズラかぶっとるやないけ!」
  「ズラではないぞ、ウィッグだ」
  「同じやアホ」
  「…順平…お髭さんが……うぅ…」
  「あのー吉野さん?何故泣き崩れてますか」
  「大丈夫よチドリちゃん、あれはまたいずれ蘇るものなの」
  「そう…なんだ…良かった……」
  「俺っちのヒゲは環境保護区か何かデスカ」
  「ところで料理はまだでしょうか」
  「そろそろ頼んだ物が届くはずだ、が、その前にその格好は処刑が必要に思えるのだが服を着る気はあるか?」
  「なんでスカート穿いてても上半身半裸やねんて突っ込んであげたって下さい」
  「服には執着しません。…ブラもした方が良かったですか?」
  「なお悪いっつーの」
  「なんだか変態の集いみたいですよね」
  「言うな天田、今は俺達も同類だ」
  「変態とは生育過程において姿を転ずる事、即ち健全な成長の証。女子の健やかな成長を願うこの日にまことに相応しくめでたい限りでございます」
  「あ、エリザベスさんどこから、てかそれ十二単!?」
  「わぁ…十二単ってすごく重いんですよね」
  「重いのですか、300kgを超える様ですと私でも装備不可能であります」
  「いやそんなに重かったら圧死するから」
  「ふふ、余裕でございます」
  「出前が届いた様だ、数が多いから男子諸君に受け取りを頼みたいのだが」
  「くっこの格好でか美鶴」
  「完全に羞恥プレイやで」
  「…大丈夫…可愛いから…」
  「いやそのなんだ、そういう問題じゃなくてその」
  「フ、私は恥とか執着しません」
  「アンタはその格好で出るなー!」
  「ゆかりちゃんの平手つっこみがバッチリヒット!」
  「…おい、ケーキ焼きすぎたんだが…お前ら喰うか?」
  「わぁ…美味しそう」
  「すまないな」
  「…余っただけだ。…コロマルにも何か喰えるもん持ってこねぇとな」
  「わんわん!」
  「参ったな…すまないアイギス、受け取りに出てくれないか?」
  「了解であります」
  「では私もお力添えを」
  「今日はなんだか賑やかだね、どうしたの?」
  「あ、綾時君男装禁止」
  「えー!?」
  「この瞬間を待っていた!脱がせるっ!」
  「あ”ーー」
  「…だんだん収集がつかなくなってきちゃいましたね。でも、楽しいです」
  「オチとかどうでもいい」

  >>711
  ひよこ風花さんワッショイ祭り超参加したい


  715 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/03(月) 21:37:30 ID:bv2gQSfI0
  >>711
  風花ならきぐるみも似合うだろうな


  716 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/04(火) 12:41:03 ID:oNlG30EiO
  子どもの日は男のコの日でもあるから、男装すんのかな?
  …それはともかく荒垣だけ女装無しなんでずりぃな。


  717 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/04(火) 16:38:39 ID:78746H/A0
  女性陣が男装するのは結構かっこよさげで絵になりそうだね


  718 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/04(火) 17:23:18 ID:sdEWzM5J0
  少なくとも会長は問題無いな。男装したら女性層からの人気がさらに増えそうだ。主にトイレ前の女の子とか


  719 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/04(火) 18:11:19 ID:oNlG30EiO
  宝塚。


  720 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/04(火) 18:46:48 ID:iSRAnekSO
  モンチッチカワイイ


  721 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/04(火) 21:32:26 ID:oNlG30EiO
  ひな祭りに荒垣、女装しなかったので描いてみた。
  ttp://p.pita.st/?m=6hefgql1


  722 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/04(火) 21:40:17 ID:78746H/A0
  セクシーガキさんktkr
  こんな本格的な女装だったなら他の面子もかなり化けてそうだ
  風花さんも嬉々としてメイク手伝ったに違いない


  723 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/05(水) 02:59:43 ID:IXvfwFpj0
  キタローの女装はガチすぎだからなあ


  724 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/05(水) 03:21:02 ID:32BoPCJ7O
  キタローは女の子に間違えるよな、メイク無しでも。


  725 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/05(水) 04:31:28 ID:IXvfwFpj0
  まあコンセプトからしても中性的だしね


  726 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/05(水) 11:42:24 ID:pkf8kG2qO
  山岸Nuker


  727 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/05(水) 12:14:28 ID:laExCPPe0
  キタローは殆どそのままで違和感無さそうだけど
  真田順平辺りはかなり魔改造しないといけなくなりそうで
  風花さんもゆかりっちも腕の振るい甲斐があったかもしれない
  んで、アンタ誰みたいな惨状に


  >>726
  現状戦闘に参加しないからMeleeじゃないし攻撃手段無いからDDでも無いけど、
  遠距離砲撃支援っぽく範囲内の全mobのHPを問答無用で1にする
  敵対攻撃型逆オラクルみたいなスキルがあったらそれっぽいかもね

  …寝トゲ話じゃ無くてむしろ幾自?


  728 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/05(水) 23:34:16 ID:IXvfwFpj0
  風花は多数のネトゲを同時に廃人クラスまで育ててそうで恐ろしい


  729 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/06(木) 02:07:58 ID:sUuVv5sX0
  風花の髪型難しい・・・


  730 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/06(木) 02:50:53 ID:jE8XsKme0
  >>729
  ふぁいとですよ。ふぁいと!
  何度も味見をして何度も調節すればきっと美味しくなるんです

  「それで気がついたらカレーがこんなにいっぱいに…」
  「イア 料理は愛情
     二日目からはもっと美味しい
     うどんでもいい」


  731 :テレッテ [sage] :2008/03/06(木) 02:55:46 ID:2v2rb4v+O
               ,..-────ヽ
          /: : : : : : : : : : : : : :ヽ
         / : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
        / : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : l パンチですよ パンチ
         /: : : : : : :., ': :ヽ: : : y: : :.: : : : : .!
       !: : : :/', _,jコ: : ,!`',,: ::|ヽ: :l',: : : : : !
      │: : │ヽ, lー`、:l  `',,Tて/ l: : : : :l
      │: : ::!   リ  ゙′     │: : : :l
       .!_テゝ ⊂⊃ l゙  ⊂つ   L,,,,.、 .!
      l゙  l     │       ` ソ, !:l
      ヽ  l     !_,,       ! 丿:',
       |: ̄`' ,    f---j      ノ''''´: . !
       !: : : :  \  `''"    /: : : : : : :.!
        ! : : : : : :. `''-___,,,,-'"゛: : : : : : : : : :.l
       ,l: : : : : : : : :/'、 ,「'-、: : : : : : : : : : :.l
      /: : : : : : : ::./  _ニ,_  \: : : : : : : : : : :ヽ
    /: : _,,〟: : : ,i′./;:;:;:;:;:;:;:.'、  l,: : : : : : _,,: : .\
     ̄゛ / : : :./   l:;:;:;:;:;:;:;:;:;:l   l: : : : : : ヽ ``''''''
      /: : : ,'   |;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:l   !: : :._、: : :ヽ,
    =ニ--ー'"}  │;:;:;:;:;:;:;:;:;:.|   |: : ::ヽ``''''ー┘
            能登麻美子さん


  732 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/06(木) 05:23:26 ID:K8tmtZQXO
  やっと仲間になったぜ


  733 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/06(木) 07:51:35 ID:sUuVv5sX0
  コンゴトモヨロシク


  734 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/06(木) 22:58:41 ID:vMxEkJjLO
  書くのは好きだが表現力と書ける漢字と意味わかる言葉少なし。
  ・・・辞書を片手に文章を書くのが多い。


  735 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/07(金) 00:26:26 ID:dlb5YUDo0
  文章書くのって難しいよな、職人さん尊敬するは
  辞書片手にでも書けりゃ凄いと思う俺がいる
  文字数増えるときついから川柳からでも頑張ってみよかな

  風花さん テラかわいいよ 風花さん
  ちんまりと 今日もゆらゆら 風花さん


  736 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/07(金) 08:39:47 ID:ms3NWA9NO
  朝顔に 釣瓶とられた 風花さん


  737 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/07(金) 20:44:30 ID:5LkmKNHfO
  ネットばっかやってたら妄想力(たぶん想像力も含む)が低下する
  って聞いたとき否定できんかった・・・・・・。


  738 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/07(金) 21:05:35 ID:3J7XE8al0
  むしろ妄想力が鍛えられる気がするが


  739 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/07(金) 21:15:19 ID:dlb5YUDo0
  風花さん ああ風花さん 風花さん
  妄想で ご飯三杯 余裕です


  740 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/08(土) 04:25:31 ID:ECytpqET0
  アナライズがあったら日常生活めっちゃ便利だろうなあ


  741 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/08(土) 05:21:37 ID:u7mu5S5z0
  便利だろうねぇ…
  とりあえず行方不明のネコ探しとかさせたら無敵?
  ルキアさんの能力と風花さんの観察力や聡明さが合わされば
  L並みの探偵になるのも夢ではないかもしれん



  742 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/08(土) 14:55:53 ID:u7mu5S5z0
  がんばれおーえんあげ

  ttp://imepita.jp/20080308/535700


  743 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/08(土) 18:02:28 ID:ECytpqET0
  >>741
  そこは葛葉並というべきじゃね?


  744 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/08(土) 19:40:38 ID:u7mu5S5z0
  葛葉のがらしいね、ごめん
  なんか死神連れたキタローと頭脳勝負する絵が浮かんだんだw
  WFしっているか、しにがみはしましまパジャマ


  745 :テレッテ [sage] :2008/03/08(土) 21:53:37 ID:y0g+0Qy+O
  支援侍
               ,..-────ヽ
          /: : : : : : : : : : : : : :ヽ
         / : : : : : : : : : : : : : : : : : :\
        / : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : l パンチですよ パンチ
         /: : : : : : :., ': :ヽ: : : y: : :.: : : : : .!
       !: : : :/', _,jコ: : ,!`',,: ::|ヽ: :l',: : : : : !
      │: : │ヽ, lー`、:l  `',,Tて/ l: : : : :l
      │: : ::!   リ  ゙′     │: : : :l
       .!_テゝ ⊂⊃ l゙  ⊂つ   L,,,,.、 .!
      l゙  l     │       ` ソ, !:l
      ヽ  l     !_,,       ! 丿:',
       |: ̄`' ,    f---j      ノ''''´: . !
       !: : : :  \  `''"    /: : : : : : :.!
        ! : : : : : :. `''-___,,,,-'"゛: : : : : : : : : :.l
       ,l: : : : : : : : :/'、 ,「'-、: : : : : : : : : : :.l
      /: : : : : : : ::./  _ニ,_  \: : : : : : : : : : :ヽ
    /: : _,,〟: : : ,i′./;:;:;:;:;:;:;:.'、  l,: : : : : : _,,: : .\
     ̄゛ / : : :./   l:;:;:;:;:;:;:;:;:;:l   l: : : : : : ヽ ``''''''
      /: : : ,'   |;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:l   !: : :._、: : :ヽ,
    =ニ--ー'"}  │;:;:;:;:;:;:;:;:;:.|   |: : ::ヽ``''''ー┘
            能登麻美子


  746 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/08(土) 23:38:00 ID:TwEQ923Z0
  >>742
  めっちゃかわええええええ・・・!!
  一万回保存した

  >>745
  中の人も好きだがあえて言いたい
  風花に中の人などいない


  747 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/08(土) 23:38:57 ID:m+ioS4SG0
  Fuka End Selectが好い加減待ちきれないんだぜ


  748 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/08(土) 23:57:38 ID:ECytpqET0
  >>742
  やっぱり眉が良いよねw


  749 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/09(日) 06:53:18 ID:urHHunRd0
  >>742
  風花可愛いよ風花
  オーエン?

  >>747
  大変またせてしまってすみません



  FES最終話いきます
  前の話は>>657で
  話の中では便宜上主人公のことはリーダーと呼ばせていますが、
  実際は名前を読んでるはずなので脳内変換でお願いします
  それと後日談アイギス編のネタバレになるものも含まれていますので未プレイの人は要注意です








  750 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/09(日) 06:54:09 ID:urHHunRd0
  「おいっ、返事しろよ!」
  「起きてったら!」
  彼が倒れてから数分後、みんなが屋上に戻ってきてくれたけど、私の胸の不安は消えなかった。
  誰が呼んでも彼は返事どころか身動き一つとってはくれなかった。
  「くっ、まさかこいつ自身が被害に遭うとは…」
  「すまない、私がついていながら…」
  「…でも、本当なんですか? リーダーが自分からペルソナと接触したって…」
  「…ああ。今にして思えば、あの時の彼は何かがおかしかった。
   まるでこうなる事がわかっていながらペルソナに接触したような…」
  「…それは、リーダーがこうなる事を望んでいたという事ですか?」
  「…わからない」
  みんなが話している内容が聞こえていても、ぜんぜん頭の中に入ってこない。
  ただ、座り込んで彼の顔を見つめている事しかできない。

  ――風花…、ごめん…。

  リーダーが最後に言った言葉が頭から離れなかった。
  「クゥ~ン」
  そんな私の手に何かが触れた。
  見てみると、コロちゃんが心配そうな顔をして私を見上げていた。
  「…ありがとう、コロちゃん」
  私を励まそうとしてくれたコロちゃんに答えようと、精一杯笑顔を作ろうとしたけど、どうしても笑顔にはならなかった。
  「…ひとまず、彼を他の被害者同様病院に運ぼう。
   救急車ももうじき来るはずだ」
  桐条先輩が言葉を言い終えた瞬間、私は言いようのない違和感を感じた。
  次の瞬間私の眼には、世界に揺らぎが走るのが見えた。
  …そう、私達が一年間戦い続けた昏い揺らぎが。
  「な…ん…だと」
  「これは…」
  「そんな…」
  「バカな…」
  「嘘だろ…」
  その光景を見て、みんなは口々に信じられないといった言葉を放った。
  私も、信じたくない気持ちでいっぱいでも、その単語を口に出さずに入られなかった。

  「影…時間…」




  751 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/09(日) 06:55:20 ID:urHHunRd0
  みんなその単語の意味と眼の前の光景にしばらく呆然とするしかなかった。
  「…どういうことだよ、影時間はもうなくなったはずじゃねえか」
  「どういうことって、私にわかる分けないでしょ…」
  順平君とゆかりちゃんの声は震えていた。
  「もしかしてリーダーが倒れたから…?」
  天田君の言葉にみんながはっとしたような顔をした。
  「…確かに影時間はあいつがニュクスを封じた事で消えたが」
  「…リーダーが倒れたことによって、影時間が復活した。
   考えられない話ではありません」
  「まさか、たださまよっていたように見えたペルソナの目的はこれだったのか…?
   彼に手をかけ、影時間を復活させる為に…」

  『いや、それは違うね…』

  桐条先輩の言葉を、どこからともなく聞こえた声が否定した。
  そして困惑する私達の眼の前に、その声の主はスッと姿を現した。
  みんなは口々にその名前を呼んだ。

  「タナトス!」

  そう、それは私達の良く知る彼のペルソナだった。
  とっさに身構える私達。
  『…僕は君達と戦う気はないよ』
  ペルソナが言葉を解している事に驚きながら、その声に何処か聴き覚えがあった事に違和感を感じた。
  「…この声どっかで…」
  「私も何処かで…」
  「確かに覚えが…――っ!? まさか綾時君!?」
  アイギスの発した名前にみんな答えに達した。
  そう、確かにタナトスの声は望月綾時君のものに似ていた。
  『綾時か…、確かに僕の元になったものと彼は同一の存在だ。
   でも、僕はどちらかといえば僕は彼の中にいた存在、僕の元となった存在、ファルロスに近い…』
  「ファルロス…?」
  「どちらでもいいさ…! 答えろ、先ほど違うと言ったな。
   ならばお前達ペルソナの目的は一体なんだ?」
  桐条先輩の問いかけにタナトスはすっと答えた。
  『彼の望みを叶える事さ…』
  「彼の望みだと…? 彼の望みが影時間を復活させる事だとでも言うのか」
  『違うよ…、むしろ逆だ…。
   影時間を…、ニュクスを復活させないために僕達ペルソナは動いていたんだ』
  「なんだと!?」
  「…では、なぜ彼を襲った!? そしてなぜ今影時間は復活している!?」
  『襲ったというのは正しくないね…、限界だったからオルフェウスは彼を連れて行ったのさ…。
   ニュクスの元へ…』
  「ニュクスの処だって!?」
  「どういうことなの、限界って何の事よ!?」
  『彼なしで、ニュクスを封じ続ける事が…、いや、ニュクスを守る事が限界に来たって事さ…』
  「ニュクスを守るって!?」
  そこでタナトスはまるでため息をつきかのように間をおいた。


  752 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/09(日) 06:55:51 ID:urHHunRd0
  『君達はなぜニュクスが人間を…生あるものをすべて終わらせようとするかわかるかい…?』
  「…それが、ニュクスの目的だからでしょう」
  『いや、違う…。本来ならニュクスは眠り続けるはずなんだ。
   君達人間すべてに繋がる、心の深い深い場所で…。
   だが、人間がそのニュクスの眠りを妨げようとする…、眠りにつくニュクスにむやみに触れ起こそうとする…。
   その結果、目覚めてしまったニュクスは生あるものをすべて終わらせようとするのさ、それがニュクスの性だからね…』
  「そんな、僕達人間がニュクスに触れようとしてるなんて…!」
  「そうだ、そんな事あるわけねえ!」
  『…そうかな。死にたいと思ったことはない?
   君達が思った事はなくとも、そんな事を考えた事のない人間が一人もいないなんて思うかい…?
   死について考えた事は…? 死んだ後自分がどうなるか考えなかった人なんていると思うかい…?』
  「そ、それは…」
  『死について考えれば考えるだけ、思えば思うほど、君達の心の奥に内包されているニュクスを刺激してしまう…。
   人間すべてから集まった死を知りたいと思う心が集まれば、ニュクスの封印を壊す怪物になってしまうのさ…』
  …事実を知ってしまった。
  世界を滅ぼす原因がすべて私達人間の心にあったなんて…。
  『僕達ペルソナはその怪物からニュクスを守るために戦い続けてきた…。
   眠ってもらう事によって彼から力を受け取りつつ、なんとか今までしのいできた…』
  「…っ、彼の後遺症はその為のものだったのか」
  『だが、いくら戦い続けても怪物は無限に沸いてくる…。
   彼から力を受け取るだけでは戦い続けるのが不可能になっていた…』
  「…まさか、だから学校の生徒を襲っていたのか!?」
  『…その通り。そうして他の人間からも力をもらってここまで戦い続けてきたけど、
   君達が被害者をこれ以上出さないように対策してしまった…。
   彼には余分に眠ってもらって何とかしようとしたど、ついに限界が来てしまったというわけさ…』
  「そんなバカな…!」
  「それじゃ、俺達…」
  「自分で自分の首を絞めていたという事か…! くっ!」
  みんなが悔いた顔をしているのを横目に私はタナトスに向かって口を開いた。
  「あの…」
  『…何かな?』
  どうしても聞かなきゃいけない事がある。
  確かに私達のしていた事が間違いだったのかもしれないけど、もう過ぎてしまったことだから…。
  「リーダーは…、ニュクスの処に行ったリーダーはどうなるんですか…?」
  私にとって今大事なのは何よりもこの事だった。
  『…ニュクスの処に行った彼は、時期にペルソナと融合してニュクスを守る盾になる…。
   それ以外にニュクスを守る方法がないから…』
  「…それで、彼は…」
  『精神が肉体から完全に離れる事になる…。
   肉体的には死ぬ事になるだろうね…』
  タナトスから放たれた、聞きたくない言葉に私の呼吸は止まった。
  「そんなっ!」
  「俺達のせいで、あいつが死んじまうって言うのかよ!?」
  『…この事は、あの日、ニュクスと対峙した時から決まっていた事だ。
   彼の希望でぎりぎりまで伸ばしてきたけど、もう限界だ…』
  聞きたくない…!
  心でそんな弱音を吐きながら、私はいつの間にか涙を流していた。
  それでも、無責任に耳を閉ざす事も私にはできなかった。
  『…まぁ、そんな話はここまでにして、ここからが本題だ』
  タナトスの言葉にみんなは先ほどとは違う意味で身構えた。
  そして、タナトスから放たれた言葉を理解するのに一時の間が必要だった。

  『彼をここに呼び戻せる方法があるとしたら君達はどうする…?』



  753 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/09(日) 06:56:32 ID:urHHunRd0
  「えっ…?」
  私達は八者一様の反応をした。
  『…もう一度言おうか。ニュクスの元に向かった彼を呼び戻す方法がある…。
   そう言えば、君達はどうするのかな…?』
  そう、それはまさかの希望の言葉。
  「ほんとにっ…!」
  言葉が詰まって出ない私の代わりに桐条先輩が言ってくれた
  「本当にそんな手段があるのかっ!?」
  『…あるよ』
  「どうすれば、どうすればいいの!?」
  ゆかりちゃんの言葉を聞いたタナトスはゆっくりと私の方を向いた。
  『…すべては風花、君にかかっている』
  「えっ…?」
  「風花さんが…!?」
  「どうして風花さんが…!?」
  私にもわからない。
  タナトスがなぜ私を指名したのか…。
  『…風花、君は彼にとって特別な存在だ…。
   世界と天秤をかけても勝るほどに…』
  「そんな、私が…」
  『本当さ…。
   現にあの卒業式の日、同じようにニュクスの元へ向かおうとしていた彼の精神を君は呼び戻した…』
  …っ!
  「なっ、本当なのか風花!?」
  …確かにあの時、眠っているリーダーの顔を見ていたら不安になって心の中で起きてほしいって願った。
  あの時も彼が今と同じ事になっていたなんて…。
  『例え精神が肉体から離れてしまっていても、君の声なら彼に届く…。
   彼にとって君は特別な存在だからね…』
  「…でもっ、今はいくら呼んでも…!」
  いつもなら起きてくれるのに…、起きて微笑んでくれるのに…。
  『いままで引き伸ばしてきた分、彼も消耗しているんだ…。
   前ほど簡単には呼び戻せないだろう…』
  「じゃあ、どうすれば!」
  私は強く問いかけた。
  『よく考えてみるんだ、君は持っているはずだよ…。
   離れた仲間を自分の処に呼び戻す力を…』
  えっ…?!
  みんなはっとしたように私を見た。
  「それって…!」
  「まさか…!」
  「そうか…!」
  みんなとともにたどり着いた答えを私は呟くように言った。

  「エスケープロード…?」



  754 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/09(日) 06:58:53 ID:urHHunRd0
  『…そう、それが今、彼を呼び戻す唯一の手段だ。
   それがわかった上で改めて聞こうか、君達はどうする…?』
  ……どうする?
  タナトスの問いかけの意味がわからない…。
  「どうするって、彼を助けられるならやるに決まってるじゃない!」
  ゆかりちゃんが私の疑問と答えを的確に言葉にしてくれた。
  『助けられる、か…。それは正確じゃないね…。
   確かに彼女の力を使えば彼を呼び戻す事はできる…。
   だが、彼を呼び戻すという事は、ニュクスの封印が解けるという事だ…』
  「!!」
  『…この影時間もその兆候だ。
   彼を呼び戻して…、今一度世界を救う手段が君達にあるのかい…?』
  「そ、それは…」
  みんなが重たく口を閉ざした。
  『…さて、そろそろ僕もニュクスの元に行かなくちゃならない。
   残念だけど君達の決断を聞いている暇はなさそうだ…』
  「…最後に一つだけ聞かせて欲しい」
  『なんだい…?』
  「なぜ、彼を呼び戻す手段を私達に伝えた?」
  桐条先輩の問いかけにタナトスは少しの間をおいて、ゆっくりと答えた。
  『…彼にはできれば幸せになって欲しいんだ…。
   僕は彼のペルソナだからね、いや、もしかしたら僕の元となったものの感情なのかもしれないけど…』
  …タナトス…。
  『じゃあ、僕は行くよ…。
   君達の選択と行動が彼を幸せにするものである事を願うよ…』
  その言葉を残して、タナトスは煙のように消えていった…。




  755 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/09(日) 07:00:46 ID:urHHunRd0
  タナトスが消えた後、しばらくの間誰も言葉を放とうとしなかった。
  私は眼を閉じて、自分の記憶を見つめる。
  彼と一緒に感じたもの、彼と一緒にした事、彼が私にくれたたくさんのもの…。
  どれも大切で、愛しい、彼との記憶…。
  記憶や思い出で…、

  終わらせたく…、ない……。

  「…ごめんなさい」
  「…風花?」
  謝罪の言葉、今まで自分でもあきれるくらい使ってきた言葉。
  でも、その使い方は今までとは違う、強く自分の意思を貫くための言葉…。

  「私、リーダーを呼び戻します」




  756 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/09(日) 07:01:09 ID:urHHunRd0
  「!!」
  それは周りの人どころか、世界すら滅ぼしてしまいかねないわがまま…。
  でも…、
  「…彼を呼び戻して、世界を救う方法なんて思いつかないけど…。
   彼一人にすべてを押し付けて生きていきたくないから…。
   彼と一緒に生きて行きたいから…」
  たとえ世界を救える可能性が一分もなくても…、私のせいで世界が終わるとしても…、
  この意思を曲げたりはしない…。
  謝ってすむ問題じゃない…。
  責任なんて取れるわけもない…。
  それでも…。
  「…風花」
  「ゆかりちゃん…」
  私を見るゆかりちゃんの表情は呆れたと言った感じだった。
  当然だよね…、いきなり世界を滅ぼすようなわがままを言ってるんだから…。
  でも、なんと言って止められようが、止める気は…――
  「あんた、またずれた勘違いしてる」
  へっ…?
  ゆかりちゃんの言葉が予想とまったく違うものだった為、私は思わず気が抜けてしまった。
  と同時に気が抜けた私の顔が可笑しかったのか、ゆかりちゃんはぷっと少し笑った。
  「私達が彼を助けるのを止めるわけないでしょ、謝る必要なんて微塵もないじゃない。
   それとも信じてないの? 仲間をさ?」
  「あっ、いや、そんなつもりは…」
  ゆかりちゃんの言葉に私は慌ててしまう。
  「ゆかりの言うとおりだ、元より彼一人にすべてを背負わせる気などない」
  「そう言うことだ。世界は一度あいつが救ったんだ。
   だったら、今度はあいつの為に世界を賭けたっていいはずだ」
  桐条先輩…、真田先輩…。
  「そうだぜ、風花。
   まぁ、正直死ぬかもってのは恐えよ…。
   でもま、あいつと俺達なら今度も何とかできるような気がすんだよな」
  「誰か一人を犠牲にして、大勢を救う…。
   大人はそう言う判断を求められるみたいですけど、子供の僕には納得できません。
   それに、荒垣さんもきっとそんな見殺しにするようなまねは許さないと思うんです」
  順平君…、天田君…。
  「あの人を呼び戻すのは、自分を犠牲にして世界を救おうとしたあの人の意思に反するのかもしれません。
   …でも、あの人も生きる事を願っていたはずです。
   こうして、ぎりぎりまで決断の時を延ばしていたんですから」
  「ワンッ」
  アイギス…、コロちゃん…。
  ありがとう…、そしてごめんなさい…。
  私が言うべき言葉は謝罪の言葉じゃなかったんだ…。
  私はまたその言葉を言った、言葉を間違えていた事に対する謝罪として…、
  そして、言うべきだった言葉を一緒に添えて…。

  「…みんな、ごめんなさい。
   一緒に、リーダーを救いましょう」

  みんなは笑顔で答えてくれた。





  757 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/09(日) 07:01:40 ID:urHHunRd0
  オルフェウスと共に心の奥深い深淵へと潜って行く。

  ああ、もうすぐだ…、もうすぐニュクスの処へたどり着く…。
  そして、僕はニュクスを守る盾になる…。
  僕が選んだ、望んだ…。
  後悔なんてしていない、それでみんなが…、風花が守れるんだ…。

  死ぬ事への恐怖は不思議とない。
  世界を救うという偉業についての達成感みたいなものなんて微塵もない。
  ただあるのはあきらめの感情。

  もっと生きていたかった…。
  もっと彼女のそばで笑っていられる自分でいたかった…。

  …考えていても仕方ない。
  もう、自分の意思で戻る事すらできない。
  でも、いい…。
  彼女が僕を覚えていてくれれば、想っていてくれれば…。
  永劫に近い孤独にだってきっと耐えられる…。


  ――リーダー…。


  心に直接響いてきた声に、僕は引き止められた。

  …風、花……?

  もう戻れないはずだった。
  だが、いつの間にか僕の身体に光の糸が繋がっていた。
  可細くても、決して切れる事の無い様な糸が…。

  …ああ、そうだった……。

  …あの時も、こうして……。

  僕はオルフェウスを見た。

  ごめん、一緒には行けない…。
  風花が、呼んでる…。

  僕の意識がその場から消える前、オルフェウスは少しだけ微笑んだ気がした…。





  758 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/09(日) 07:02:36 ID:urHHunRd0
  「……リー…ダー…?」
  僕が眼を開けて最初に見たのは、世界で一番愛しい女の子の顔だった。
  「風花…」
  僕は彼女に向けて微笑む。
  「…また、呼んでくれたね……」
  「っ…!」
  僕がそう言うと、思いっきり風花は抱きついてきた。
  その小刻みに震える身体を僕は片手で抱きしめ、もう片方の手で彼女の頭を優しく撫でた。
  ああ…、なんて幸せなんだろう…。
  状況が状況だけに凄まじく不謹慎だろうが、僕がそう思うのを止められるわけがない。
  でも、この状況を続けられる状態でもない。
  僕は風花を一緒に立たせて、引き離した。
  「ごめん…。
   また呼んでくれて嬉しいけど…、行かなくちゃならない…」
  僕がそう言うと風花の顔が悲しげに歪んだ。
  ああ…、そんな顔しないで…。
  「…おい」
  その声に僕が振り向くと、突然順平が殴りかかってきた。
  僕がそのパンチをひょいとかわすと、順平は更に二度三度と拳を振るってきたが、僕はすべて避けた。
  「っ! こういう時くらい殴られろよ!!」
  「順平…、僕は…」
  「わかってるよ、全部知ってるよ!!」
  …!
  「お前のペルソナから全部聞いた、お前が行かなきゃ世界がやばいって事も全部」
  ペルソナから…?
  「だったらわかってくれ…、僕が行かなきゃみんな…」
  僕が言った言葉に順平はやれやれと言った様子でため息をついた。
  「…なぁ、俺はお前のダチのつもりだ。
   だから、お前がどういうつもりで世界を救おうなんてしてんのかも大体わかる」
  ……。
  「…でもな、気づけよ。風花、泣いてんだよ」
  えっ…。
  僕は急いでそばにいる風花を見た。
  あっ…。
  風花はその眼から大粒の涙を零していた。
  泣かせた…? 僕が…? 風花を…?

  風花は泣き顔も可愛い…。
  …でも、不思議と僕はその顔を見ていたくない。
  風花を泣かせるなんてありえない…。
  風花を泣かせる様な存在はどんな事をしてでも排除する、そう決めていた。

  今、風花を泣かせているのは僕…、その行動……。

  「…お前は風花の為にって思ってんだろうけど、風花は喜ばねえよ。
   それに、ゆかりっちや俺、みんなもだ…」
  「…でも」
  「…っ、だ~か~らっ、一人でやろうとすんなって!
   お前はもうチョイわがまま言って迷惑かけたっていいんだよ!
   俺達は仲間だろ?」
  …順平……。
  僕はみんなを見る。
  みんなは僕にこくりと頷いていた。

  …いいんだ……。
  わがまま言っても…、いいんだ……。



  759 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/09(日) 07:05:30 ID:urHHunRd0
  僕は夢の中に落ちる様に、夢から覚めた様な気持ちだった。
  「ありがとう、順平…」
  順平がふっと笑って軽く突き出した拳に僕は拳をコツンと合わせた。
  僕は少し移動して、みんなに向き直る。
  「みんな、聞いてくれ」
  僕は少し深く息を吸って、若干溜めてから言葉を放った。

  「僕は死にたくない」

  息継ぎをせずに続ける。

  「まだ、この世界で、みんなと…。
   風花と一緒に生きて行きたい…」

  そう、だから…。

  「だから、みんなの力を貸して欲しい」

  僕は初めて、人に対してわがままを言った。
  僕の言葉が終わって、数拍の間沈黙が流れ、ガギャンッと何かが砕けるような激しい音がそれを終わらせた。
  それは順平がトリスメギストスを召喚した音だった。
  「…それでいいんだよ。
   大体、お前に一人犠牲になって世界を救うなんてヒーローみたいな事は似合わねえんだよ。
   そう言うのはどっちかってーと俺向きだぜ」
  ……順平…。
  ガギャンッ!!
  今度現れたのは岳羽のイシスだった。
  「あんただってヒーローって柄じゃないっての。
   て言うかリーダー、今回は許してあげるけど今度またこんな一人で犠牲になるようなまねしたら、
   そのすまし顔が腫れ上がるまで殴るからね」
  ……岳羽…。
  ガギャンッ!!
  今度はアルテミシア。
  「ゆかり、その際には私も混ぜてもらおう。
   リーダー、確かに君は強い、私達全員を合わせたよりも強いかもしれない…。
   だが、それは私達が君の力になれないということにはならない。
   忘れないでくれ」
  ……桐条先輩…。
  ガギャンッ!!
  カーラ・ネミ。
  「そうですよ。
   ちょっと頼りないかもしれませんけど、支え合えるから仲間なんです。
   荒垣さんだってあの世からきっと力を貸してくれますよ」
  ……天田…。
  ガギャンッ!!
  カエサル。
  「何を言ってる。シンジは死んだ、死んだ奴は生きてる奴に何かしてくれるなんてことは無い…。
   …だが、死んだ奴がくれた想いを俺達が力にする事はできる。
   そしてその力を、今度は生きてる奴の為に使うんだ」
  ……真田先輩…。
  ガギャンッ!!
  ケルベロス。
  「ワンワン、ワン! ワンワン!」
  ……コロマル…。
  ガギャンッ!!
  アテナ。
  「もう大切な人が死ぬ所を見たくない。
   その為なら、いくらでも力を貸す、と言っています。
   私も同じ意見です、この力すべてあなたを救う為に使います」
  ……アイギス…。


  760 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/09(日) 07:06:33 ID:urHHunRd0
  「みんな、ありがとう…。
   …風花…」
  僕は召喚機を握り締めたまま、僕を見つめる風花に近づく。
  「風花…、みんなのペルソナと僕を繋いで欲しい。
   僕を呼び戻した時みたいに…」
  まだ不安そうに涙を溜めていた風花の眼をそっと拭ってから抱き寄せた。
  「ごめん、大丈夫だよ…。
   もう絶対に君と生きる事をあきらめたりしないから…」
  「…約束、ですよ……?」
  「…うん、絶対守る……」
  スッと僕から離れた風花の顔にはもう不安の色は残っていなかった。
  そして、風花は自分のこめかみに向け銃の引き鉄を引く。
  ガギャンッ!!
  出現する風花のペルソナ、ユノ。
  「みんなのペルソナとリーダーを繋げます…」
  風花が祈るようにすると、みんなのペルソナから光の糸が伸びて僕に繋がった。
  離れてても繋がってる…、前に風花の友達が言っていたらしい…。
  そして風花のペルソナは繋がり、絆、それを体現したものだ。

  …そして、僕の力は…、あの時手にした僕の力は、繋がり、絆、その想いを力に変える…。


  学校や街で出会ったみんな…。
  今は会えなくとも、記憶と共に想ったみんな…。
  みんなが同じように僕を想ってくれていれば…。

  力が光となって集まる…。


  ――それが僕の力になる…!



  眼を閉じた僕の眼の前に広がる光景。
  それは蒼く暗い部屋。
  「お久しぶりですな…。
   また御眼にかかれるとは思いませんでした…」
  異常に鼻の高い老紳士と蒼い服を着たエレベーターガールがぺこりとお辞儀をした。
  「あなた方の状況と何をなさるつもりかは察しております…。
   ですが、あなたのペルソナを合わせて一体と考えても九体…。
   正直わたしの手には負えかねますな…」
  「でも…」
  僕は不敵に笑う。
  「今の僕に不可能な事はない…、そうだろ…?」
  「…そうでしたな」
  異常に鼻の高い老紳士は笑った。
  「では…、これが本当に最後の別れとなりますな…」
  「…ああ」
  「御健闘をお祈りします」
  最後に蒼い服のエレベーターガールがそう言って微笑んだ。





  761 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/09(日) 07:07:53 ID:urHHunRd0
  眼を開く。
  今の僕には僕を想ってくれた人の想いの力がある…。
  風花が繋げてくれた糸でみんなとペルソナで繋がっている…。
  後は引き鉄を引くだけだ…。
  僕は一年間共に戦ってきた召喚機を構え、自分のこめかみに向ける。


  生み出すのは戦う為の力じゃない…、守るための力…。
  そう、ニュクスを人の心から守る仮面の鎧…。


  ノナゴンスプレッド!!
  ――九身合体!!――


  僕は引き鉄を引いた…。


  『ペルソナ…!』


  その瞬間、僕達は光の渦に包まれて……――――



  【PERSONA3 ~Fuka End Select~】

   「僕が風花と一緒に生きていくための話」





  762 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/09(日) 07:08:48 ID:urHHunRd0
  6月11日、放課後。
  月光館学園。

  「ふわぁ…、眠ぃ…」
  「しょうがないっしょ、世界を救った代償だと思えば安いもんだし…、あふ…。
   彼も多分じき収まるって言ってたしね…」
  「…そうだよな、あいつはこれよりキツイのを半年近く耐えてたんだもんな。
   俺もいっちょ耐えてみるか、世界を救った代償に黙って耐える男…って何かヒーローっぽいだろ?」
  「黙ってないじゃん…、まぁいいけどね」
  「…ふむ、絶えず眠気に襲われていると言うのも一種の精神トレーニングになるかもしれんな」
  「…トレーニングはともかく、これが仲間を救えた対価だと言うなら悪くない。
   ……っ…。」
  「美鶴はいつまで日本に居るんだ?」
  「…予定では明後日までのはずだったが、用事が済んでしまった以上繰り上げるかもしれん。
   元々なかなかに多忙な身なのでな…」
  「…そうですか。寂しいですね」
  「ふっ…、また暇ができたら会いに来るさ…」
  「あの…、リーダーはどこでありますか?」
  「リーダーなら多分屋上ですけど、今は行かないほうがいいですよ?」
  「? どうしてでありますか?」
  「ワンワンッ」
  「なるほど、風花さんと一緒でしたか。それは邪魔するわけにはいきませんね」
  「聞き分けいいなぁ、アイちゃん」
  「私の一番の大切はリーダーが幸せでいてくれる事ですから…。あっ、訂正するであります。
   皆さん達全員であります」
  「…にしてもアイギス、なんで口調が元に戻ってんの?」
  「それは、恐らくペルソナを失った影響かと思われます」
  「…まぁ、それも私達の眠気同様じき直るだろう」
  「あっ、そうだ。せっかくこんな状態だしチドリンとこ行って膝枕してもらおっと。
   間違いなく幸せな気持ちで眠れるぜ」
  「ホント幸せな奴ねぇ…。ま、もっと幸せなのが屋上に二人くらいいたっけ…」



  屋上。

  「やっと終わったんですね…」
  屋上のベンチに座って二人並んで空を眺める。
  「うん、本当に終わったよ」
  「…ふぁ…」
  風花が眠そうに軽く欠伸を漏らした。
  「きつい?」
  「あ、ううん、そんなには…」
  僕が尋ねると風花は慌てて首を振った。
  その仕草が可愛くて思わずにやけてしまう。
  「今はまだ少し自分のペルソナに引っ張られてるだけだから、そのうち直るよ。
   僕達のペルソナはもうニュクスのものだから…」
  そこまで言って、いい事を思いついて僕は風花にジェスチャーした。
  「えっ…?」
  風花は恥ずかしがって頬を染めた。
  「ほらっ…」
  「あっ…」
  僕は半ば強引に僕の膝に風花の頭を乗せさせた。
  要するに膝枕だ。


  763 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/09(日) 07:12:34 ID:urHHunRd0
  「…どう?」
  「あ、あの…、恥ずかしいです…」
  風花の顔はもう真っ赤になっていた。
  「ごめん、でももう少しこうさせて…。
   前、風花がしてくれたお返しに…」
  「う、うん…」
  そしてそのまま、時間の流れを身体で感じる。
  そっと髪を揺らす風も…、夏と言うにはまだ貧弱な日の光も…、そして膝に感じる風花の体温も…。
  すべてが心地良い…。
  僕に生きている実感と喜びを与えてくれる…。
  僕はゆっくりと風花の髪を撫でた。
  風花はくすぐったいのか、少し身を捩るような仕草をした。
  ああ、幸せだなぁ…。
  僕がこんな幸せになれるなんて…。
  できればこんな幸せな日々をずっとおくりたいな…。
  ……そうか。
  わがまま、言っても良いんだった…。
  「風花」
  「…なんですか?」
  …いざ言うとなると少し恥ずかしいかもしれない。
  でも、風花も勇気を出して言ってくれた事だ、僕だって言わないと。
  「ずっと、僕のそばにいて欲しい…」
  「…!」
  風花はただでさえ紅くなっていた顔を一気にぼっと紅く染めた。
  僕はその様子が可笑しくてくすくす笑う。
  「…初めてだね」
  「うん…?」
  「いつもは私が言うばかりだったから…」
  そうだね…、いつも思ってはいたけど言わなかったから。
  いたいと言うことはあっても、いて欲しいと言うことは…。


  764 :名無したんはエロカワイイ [sage EDテーマ[未来につづく話 ~君の記憶捏造アレンジ~]] :2008/03/09(日) 07:13:25
  ID:urHHunRd0
  「うん…」
  頷きながら、風花に眼でさっきの求めに対する答えを要求する。
  すると風花は僕の膝の上で恥ずかしそうにしながら答えてくれた。
  「…はい」
  ああ、幸せだなぁ…。
  この台詞を心の中で何回言ったかもわからない。
  それ位今の僕は幸せなのだ。
  「風花」
  「はい…」
  「夏祭り、また一緒に行こう」
  「はい…」
  「学園祭も、一緒に回ろう」
  「はい…」
  「クリスマス、今年も一緒に過ごそう」
  「はい…」
  わがままを言い続ける僕は今までではありえないほど饒舌だ。
  正直自分でもびっくりするくらいに。
  僕の膝の上の風花は僕に答えながらもうとうとし始めていた。
  やっぱり結構辛いのかもしれない。
  このまま眠らせてあげてもいいけど…。
  僕は一つ思いついて笑う。
  「風花」
  「はい…」
  そして僕は返事をした風花の顔に自分の顔をゆっくり近づけて……――――



  【PERSONA3 ~Fuka End Select~】 終

  …Thank you for read.






  765 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/09(日) 13:03:56 ID:I2I6MzjW0
  >>749-764
  ああもう一途な心と熱い友情と高揚感…そしてこの絶対の幸福感にかかっては
  俺のタフガイな涙腺も今や完全に破壊されて体液が止め処ない訳だが?
  一人じゃ耐えることしか出来なかった事でも、誰かと一緒なら、みんなと一緒なら、
  不可能なんかじゃないんだぜ。だから、諦めちゃだめなんだぜ
  誰かのためなら死ねるってのは、時には安易な自己解決になりかねない危うさがあるけど、
  誰かを生かすためなら泥水啜っても生きて足掻いて掴み取るって覚悟は凄い強くて俺には眩し過ぎた
  我儘、言ってもいいんだぜ。もっと言ってもいいんだぜ
  長いこと頑張って下さったFuka End Selectの人と、
  未来を望むたった一つのささやかな我儘に覚悟で応えて彼と世界と明日を掴み取った彼らに、
  ありがとう。そしてお疲れ様でした。最後までグッジョブ!


  766 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/09(日) 16:36:37 ID:gA+G5vFI0
  thxだぜ。乙!


  767 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/09(日) 18:59:02 ID:0dDX3HDe0
  おつかれさまでした!
  正直、これは偉業と称えてしまいたい。


  768 :名無したんはエロカワイイ :2008/03/09(日) 22:39:05 ID:ONQh2swaO
  乙です。色々と言いたいことはあるけど、今は何故か目の前がボヤけて見えないんだぜ。これこそが自分が望んだEDだし、このスレの兄弟逹が望んでた物だと思うんだぜ。

  心の底からありがとう。


  769 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/09(日) 23:44:59 ID:Jd8prMmK0
  ついに完結か…
  中々感慨深いものがあるなあ
  とりあえず風花とキタローの未来に幸あれ!!


  770 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/10(月) 00:32:01 ID:zEV62Z1HO
  FESの人、ぐっ じょぶ…!!!
  この高揚感はしばらくおさまりそうにありません、表す上手い言葉が見つかりません
  フェスで見たかったものを見事に表現してくれたこと、心から敬意を表したい
  ほんと有難う、そして乙かれ様でした!



  771 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/10(月) 11:22:36 ID:GL45OUWtO
  「もしかして最近他の女の子にも優しかったりしませんか?」

  ―まさか…気付かれただと…?
  ―いや、そんなはずはない
  ―他の女の子との通話や通信記録は幾重のセキュリティで厳重に隠蔽してある
  ―そしてそれが検閲された記録も一切ない
  ―物理的に他人が俺の行動を識るのは不可能だ

  ―ブラフか?
  ―いや、風花はブラフをかけるような性格じゃない
  ―それは一番親しい僕が一番よく分かってる事じゃないか…

  ―やはりこれは"警告"だ
  ―次やったら首根っこ引っこ抜くゾという先手を打って来たに過ぎない
  ―だがこんな事で僕の夢を…ハーレム計画を諦める訳にはいかない!
  ―何とかしてこの場を切り抜けなくては…

  「やめろよ竜崎…僕がキラな訳ないだろう?」
  「そ、そうですか…」

  ―よしッ!計画通りッ!


  772 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/10(月) 20:28:53 ID:kpMemHVq0
  >>765-770
  今まで読んでいただいてありがとうございました
  楽しんでいただけたなら幸いです



  さて、ここから先は自己満足あとがき風ネタバレ付戯言です
  まだ話を読んでいない方、余韻を壊されたくない方は読まないほうがいいと思われます


  うちの主人公と風花の話いかがだったでしょうか?
  全体の話は書き始める前に決めてありましたが、細部は結構違うものになりました
  最終的には風花と会ってから一年の話になりましたが、本当は学園祭くらいまでやるアイデアもありました
  もろもろの事情でやめましたが
  Fuka End Selectの合間に書いていた短編のタイトルを見ればわかるようにFESのSには色々と候補があったりしました
  最終的に本編にSelectを採用したのはゲームっぽさを優先したからです
  まぁ、戦闘も何もないこの話をゲームにしてもRPGとして面白いかどうかは不明ですが…
  ゲームとしては決められた時間のうちに必要なフラグを立てていくゲームになるんだろうなぁ…
  必要なフラグと言えば、何気なく話の隙間埋めみたく入っていたコミュ話がそれになりますね
  話的には複線と言えば複線、機能していたかどうかは不明…
  あとコミュ話は自分が初回プレイでマスターしたコミュのみ出しています
  故に舞子ちゃん以外の女の子のコミュは出てきません、あと男では唯一文化部の部長が出てませんね
  さて、最終話の話ですが
  はっきり言ってつめ込みすぎです、言いたい事を全部つめた感じです
  要素的には、一人に背負わせてたまるか、エスケープロード、わがままくらい言えよ、みんな力を貸してくれ、ですね
  一人で何でもできるなら仲間は何の為にいるんだ? せめて帰って来いよ、な想いがこもってます
  エスケープロードはまさに風花な力だと思っています
  だから風花ENDの主人公は絶対に死なないんですよ(その証明のためにFESを書いたと言っても過言じゃない)
  わがままくらい言って迷惑かけろよ、仲間なんてそんなもんだ、な想いがいっぱい
  みんな力を貸してくれ? そんな当たり前のことを今更かよ、でも言ったから許してやるよ、な気持ち
  ミナデインとか元気玉っていいですよね
  そう言えば、六月の話の②でリーダーがオルフェウスに連れて行かれたのを不安に思った人も多いようですが、
  連れに来たのがオルフェウスである以上むしろ心配する必要はまったくないです
  だって、オルフェウスが誰かを連れて行くのに成功するわけが(ry
  もしこれがタナトスだとまずいですね、だってきっと禁断のデュエルの時でしょうから…(わかる人はいるのか…?)
  まぁ、無駄話もこれくらいにして、最後にFuka End Selectに残った不満点
  話の如何についてはおいてきますが、やはり風花にはリーダーじゃなくて名前で呼ばせたかったですね
  うちの主人公の名前はあくまでキタローとは違うので、リーダーで固定しましたがやっぱり少々味気ないです
  名前で呼ばせればわざわざ台詞回しを工夫しなくてもいいし、とか…
  そうそう、気づいていない人もいるかと思いますが>>764の雌欄に入れてあるEDテーマは自分のお約束です
  本来なら、話にあわせた既存の曲を書きますが、ペルソナ3に関しては君の記憶以外のEDテーマは思いつかなかったので、
  捏造アレンジと相成りました
  そのうち歌詞でも考えてみようかと思っています

  こんな戯言も読んでいただいてありがとうございました
  肩の荷も下りたので今まで封印していたゲームを開放したいと思うので今後はしばらく話を書きに来る事もないと思います
  スレは覗きに来ますけどね
  では風花と主人公、それとスレの住人に幸せあれ


  773 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/10(月) 21:09:10 ID:dFCDnVl00
  >>771
  ちゃんとデスノっぽくてワラタw上手いなぁ、グッジョブ
  漏れもデスノ風に何か書けないか考えてたんだけど…

  風花「キタロー君、貴方がキラです」
  キタロー「僕がキラな訳ないだろう竜崎」
  風花「その可能性は限りなく100%です」
  キタロー「いいや、違う。何故なら僕は…竜崎、君が好きだからだ」

  「「「「をいいいぃいぃぃぃいいい」」」」

  風花「…ジン君、貴方がキラです」
  ジン「ちょ、待てェ!!」

  こうしてキラと竜崎は世界の王になりました。めでたしめでたし。

  …みたいなバカな話しか思い浮かばなくて困ってたってチラシの裏

  >>772
  や、本当乙でした。
  こういう事を考えて書いていたんだって話は面白いね。
  言いたかった事ってのが、個人的に凄い共感出来る事ばっかりなんだよな…。
  だから、最後まで楽しく読めました。感謝です。
  風花さんがキーになるのは自然な流れなんだけど、
  風花さんのエスケープロードだけが救えるって所でホントぞわぞわ来ました、
  うおーすげー美味しいわ、上手いわーって。
  またよさげな電波を受信したら気楽に書いてやって頂けたら嬉しいです。
  今はゆっくり休んで下さいね。


  774 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/11(火) 00:01:19 ID:dFCDnVl00
  遅くなりましたけれども、高校教師山岸風花の12話が形になりましたので失礼します。
  極力無駄を無くそうと試みたのですけれど、力及ばず今回も長めです。すいません。
  お目ざわりでしたらお手数ですがIDをNG等お願いいたします。

  こんなに長々と書かせて頂き、途中時間が空いてしまったもののなんとか無事に書き終えられたのも全部、
  反応下さったり応援して下さったり気にかけて下さった皆さんのお陰です。本当にありがとうございました。
  支援で描いていただけた山岸先生の絵を壁紙にさせて貰ったりしながら書いていました。
  この作品の8割は、昔空気詠み人知らずだった私を暖かく迎えて入れて下さって以来の山岸風花スレ住人諸氏の優しさで出来ています。

  まだプレイ中の方もおられる様でしたので、今回は全話纏めて上げてみました。
  前回(>>577-583)注意喚起し忘れましたがそこはかとなくネタバレ満載なので、ご注意です。

  ttp://kissho.xii.jp/1/src/1jyou29412.zip.html (pass:2n54)


  775 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/11(火) 00:02:28 ID:dFCDnVl00
  高校教師山岸風花 第十二話

  「…まだ諦めてないのかい?たった一人、しかもその身体でこの数を倒しきれるなんて、まさか思っちゃいないだろうね?」
  再びデッキブラシを構えなおした天田君が深く息を吐いて呼吸を整える。そして静かに呟いた。
  「……あの人なら間違いなく一撃で全部まとめて一掃してるよな…」
  「…可哀相に、血が足りなくなって幻でも見てるようだね。今楽にしてあげよう」
  「絶対不可能な事じゃない。そう信じられる、それで十分だ!」
  天田君が幾月に向かって駆けていく。シャドウの攻撃を避け、掻い潜り、殴られても怯まず、真っ直ぐに。
  気合と共に繰り出した一撃は、いつかの試合の時以上に早くて鋭くて…でもそれは幾月の顔をかすめて長い髪を数本切り飛ばしただけだった。
  甘い物にたかる蟻みたいに押し寄せたシャドウが天田君に纏わりついて邪魔をしたからだ。
  だめ、このままだと囲まれちゃう…!天田君も解っていて素早く距離をとろうとするんだけど、シャドウが追いすがってきて…。

  迫るシャドウのその無数の牙が天田君を捉えようとした、その時。
  天文台の床が虹色に光って…まるで水晶か硝子で出来ているような綺麗な壁が現れて、シャドウの群れを遮った。
  胸に響く…軋むようなその音に驚いて振り返ったら、ゆっくりと青い扉を押し開けて男の人が出てくる所だった。
  傍らには緑と赤の鮮やかな身体に紫に輝く翼を持った巨大な…竜のような幻。ゆっくりと身じろぎして…そして静かに男の人の中に還っていく。
  「な、なん…だ?これは……」
  「…ただ、守りたいと思った。ひたすらに、僕の手の届く全てのものを守りたいと」
  「!き、君は……!馬鹿な、どうやって…!?」
  「そう願った時、僕の中の神と悪魔…もう一人の僕が可能性を示してくれたんだ。…暫くそこで大人しくしているといい、幾月」
  見間違う筈なんてない。この男の人は、大切な…私の初恋のあの人。優しかったあの人は、私の記憶と同じ優しい面立ちのままで振り返る。
  この6年で私の背が伸びた分小さく感じてもおかしくないのに、深い色のスーツに身を包んだその姿は今でもとても大きく感じられた。
  「天田、ごめん」
  「…全く、酷いですよ。…もう少し……後で来てくれれば、僕が…あいつら全部倒してたんですからね」
  「ああ」
  「……はは、悔しいけど、まだ…全然適わないや…。あー……すいません、後は…頼みます。ちょっと…眠いんですよね…」
  「天田君!!」
  私と臨時担任を覆っていた壁が消えて、その瞬間私は崩れるように倒れた天田君の傍に駆け寄っていた。息は、息はまだあるよね?
  「天田君!しっかり!!」
  仰向けにしてその大きな肩を揺する。お願いだから、返事をして欲しい。
  酷い怪我…何度と無く暴力に晒された上着はもう糸くずのようにボロボロで、その下の身体も切り傷や打撲だらけで痛々しくて。
  失った血のせいか普段よりずっと青白い…血で半分紅く染まった天田君の顔を抱え込んで、私はまた天田君の声が聞きたいって心底思った。
  「……舞子…怪我してる」
  ああ…良かった…意識はある、良かった、良かったよ…なんか目頭が熱くてじんじんする。…え、怪我?
  「…ほら、手」
  「…あ」
  気がついたら両手の甲が自分の血でべたべただった。どうも無意識にルキアさんの透明な壁を叩いちゃっていたみたい。
  「自分でやっちゃったのか…馬鹿だなぁ舞子は…」
  うう…こんなボロボロになっちゃってる人に馬鹿なんて言われたくないです。
  「…傷付けたくなかったんだけどなぁ…」
  「…馬鹿に馬鹿って言われたくない」
  「酷いな…。…あーそうか…」
  「ぅ…?」

  「…僕の力はこの為にあるんだ…」

  天田君の身体が青い光に包まれて、現れた堂々とした姿のロボットから…小さいけれど、暖かい光が……私に!?
  ……私の手の怪我が、きれいに治ってる……。
  「最後の力…もう、これで、ホントに打ち止めだ…」
  「…っ!馬鹿!!なんで自分の怪我治さないの!!?」
  「…はは、馬鹿に…馬鹿って言われたくないね」
  馬鹿じゃ無かったら大馬鹿かマゾだ。こんなにボロボロになったのだって殆ど私のせいみたいなものなのに…私がどんな想いで見てたかなんて考えてもいないんでしょ。
  「………泣くなよ…もう大丈夫だからさ…」
  「…うるさい、ばか」


  776 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/11(火) 00:03:39 ID:rg8ghyJQ0
  「二人ともごめんね…」
  「風花、遅くなってごめん」
  「ううん、こっちこそ心配かけてごめんなさい。…正統イスラフェルのアズライル降臨は阻止出来ましたか?」
  「うん、間に合った。詳しい話は後で」
  「はい」
  …あの人の臨時担任への眼差しが、私には少し寂しくて。そのやりとりも、なんだかどこか遠い国の言葉のようで…正直切ない。
  でもどこかで覚悟していた自分にも気がついて、それが何なのかよく解らないまま、今はただ、このボロボロでギリギリな状況が悲しかった。
  その時空気が衝撃で震えた。幾月とシャドウがいっせいに輝く壁に手を出したんだ。
  でも何故か攻撃が全部自分に跳ね返ったみたいで呻いてる。なんだか凄くいい気味。
  輝く壁はドームのようにぐるっと大きく私達を囲っていて、今のままだと手が出せないんだね。
  「本当に大人しくしていた方がいい、焦らなくてももう少しで消える」
  「やれやれ酷い防御魔法だ、本当参っちゃうよ。…まあ、ごゆっくり。こちらはこの間に戦力を立て直させて貰うとするよ」
  ああ…天田君と観葉植物さん達があれだけ頑張って減らしたシャドウが、また染みが広がるみたいに少しずつ増えている…。
  この壁が消えたらどうなるかなんて考えたくも無いけど、正直シャドウが増えてしまって状況は一層悪くなってるよね…。
  「風花、彼女を帰すよ」
  「はい」
  そう言ったあの人の後ろから人見知りする様に、ほんの少し顔を覗かせたのは、まるで幼い頃の臨時担任自身のような小さな女の子で。
  赤いワンピースを揺らして臨時担任に駆け寄るうちに、女の子は時間を早回ししたみたいに少女になり、そしてルキアさんの様な大人の女性へと変わってゆく。
  いつしか真紅のドレスを纏ったその女性は、柔らかく私に微笑んで、そして手にした仮面でその美しい顔を覆い隠した。

  『紹介するよ。この人は僕の友達の風花お姉さん』
  『舞子ちゃんよろしくね』
  その時すがりついたあの人の背中から、そっと覗き見た女性の顔は…とても優しくて。
  これでもっと寂しくなくなるよって笑うあの人も女性も暖かくて。三人で過ごした時間は本当に楽しくて。
  私とあの人との年の差が恨めしくて、あの人と自然に接する女性が羨ましくて。そして私はたぶん、生まれて初めて嫉妬した。

  「お帰りなさい、ユノ」
  「ありがとう、本当に助かったよ」
  「良かった」

  ユノ、って言うのは名前なのかな。本当にわからない事だらけで泣けてくる。
  月日は流れて私が大きくなった分あの人との身長差は縮んだし、背丈だけなら臨時担任より高くなったけど、
  住む世界というか距離みたいなものは縮まるどころかもっとずっと広がってしまった。悔しいけど、それが現実みたい。
  ずっと考えない様にしてきたけど…多分あの人はもう、私の事なんて忘れている。…悲しくなんて、無い。
  ほんの二ヶ月程、何度か遊んだっきりでそれからは逢っても居なかった、自分よりずっと年下の小学生の女の子の事なんて、もう…。

  「あの様な事までお出来になるとは…」
  「彼は無色にして始まり、無限の可能性を示す0と言う旅人。君だって知ってる筈だ」
  「そうでございましたね」
  「旅人は宇宙を知り、世界を知り、終わらない旅路を共に歩むかけがえの無い絆を得た。…今の彼は強いよ」
  「ええ、お強くなられました。ほんとうに」
  …青い扉の中からあの人と臨時担任を見守っていたのは黄色いマフラーの男の人と、いつかの盆踊りのお姉さんで。
  よく解らなかったけど褒めたんだよね、多分。よく見ると本当に不思議な扉だな…景色と無関係に、扉の奥に青い空間が続いている。
  ううん、不思議なんてものじゃない、凄く変。物理的におかしいと思う。これ一体どうなっているんだろう。
  なんて考えていたら、目が合っちゃったマフラーの男の人に、何故かウィンクされた。えっと…知らない人なんですけど。
  でもどこか懐かしい気もする、なんでだろう。…よく考えれば思い出せたかもしれないけど、ゆっくり考えている時間は与えて貰えなかった。
  私達を守ってくれていた輝く壁が、ついに消えちゃったんだ。


  777 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/11(火) 00:04:38 ID:rg8ghyJQ0
  「さて、君が特別なのはしっかり思い出させて貰ったけど、さすがにこの数相手じゃどうだろうね?」
  「幾月、僕は戦いに来たんじゃない。助けに来たんだ」
  「山岸君達を助けて逃げるって言うのかい?…僕の事を知られてしまった以上、それはちょっと許すわけにはいかないねぇ」
  「そうじゃない、僕は幾月、貴方も助けたいんだ。貴方が居なかったら今の僕も無いし、皆とも逢えなかった」
  「……」
  「僕は守りたいんだ、僕に出来うる限り、全てを。貴方自身を救う方法があるのなら、どうか僕に教えて欲しい」
  「ははは、何を言い出すかと思えば…君も山岸君と同じでまだまだ甘いね。正直がっかりだよ」
  「……」
  「…そうだねぇ、ここで君達が全員大人しく死んでくれれば僕は救われるんじゃないかな」
  「幾月さん…」
  「安心してくれていいよ、全人類漏れなく僕が救うから。新世界の皇たる僕が永遠の安らぎを約束してあげよう」
  もう…正直駄目だと思った。死ねば幸せになれるみたいな思想で完全にいっちゃってて話が噛み合ってないよね…。
  すごく、凄く長く感じた沈黙の後…あの人は振り返って強い瞳で臨時担任を見た。
  「風花、オラクルを頼む」
  「はい。…ユノ、オラクル発動スタンバイ」
  『了解です』
  「オラクル…?そんなスキルはデータには無かったな」
  「あの頃は…とにかく皆の安全を確保する事に必死で、怖くて使えなかったんです。使わずに済むのが一番でしたから…」
  「へぇ…?まあなんだか解らないけど使わせなければいい、それだけの事じゃないかね」
  シャドウの群れが臨時担任めがけて突進してくる、また一人に集中攻撃か…凄くいやらしい。
  でも臨時担任ならまたルキアさんの壁の中に入って防げるだろうし、きっと問題ないよね?
  そう思っていたら、臨時担任は突っ立ったまま何かに集中していた。臨時担任に迫るシャドウを全てあの人が迎え撃つ。…素手で。
  いや、反撃している訳じゃない、ただ全部受け止めていた。さっきあの人は全てを救いたいって言っていた。
  まさかシャドウにも一切手を出す気が無いって事…?そんなの…いずれボロボロにされちゃうだけだし、ありえないよね…。
  「オラクルは可能性の力。結果がどうなるのか、ただ祈ることしか出来なかったあの頃とはもう、違うんです」
  『風花様、お待たせしました。オラクル発動準備完了まで残り9、8、7…』
  「今なら信じられる。信じることは…強さになるんです。オラクル、発動します!」
  臨時担任の声と共に空から膨大な光が一面滝のように降り注いでくる…その瞬間、あの人が光に合わせて受け入れるように両手を広げた。
  そしてあの人の傍らに見えた気がした腕の沢山ある仏像のような人影と、頭を持ち上げた蛇の群れの幻。
  光があの人も臨時担任も私も天田君も幾月もシャドウ達も全部、全てを飲み込んで何もかも真っ白に埋め尽くした。
  ああ、なんだか暖かい…暖かな布団に包まれて眠りに落ちるその瞬間の様な、私が久しく感じていなかったあの柔らかな感覚…。


  778 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/11(火) 00:06:48 ID:rg8ghyJQ0
  気づくと幾月もシャドウの群れも全て眠ったようにうずくまっていた。
  いや、眠っているんじゃない、力なくもがくような仕草…ひょっとして全部瀕死なの…?あれ、私もなんだか凄く、眠たい…。
  体力を使い果たして体中が休みを欲しがってるような感じ、今横になったら気持ちよく熟睡出来る気がする。
  うとうとして視線を落としたら天田君の顔も身体も傷が綺麗に治っていて、本人は気持ち良さそうに寝息を立てていた。
  き、緊張感無いな、頭落として起こしてやろうかなんて一瞬頭をよぎったんだけど、そんな余力も無い位、私自身睡魔を堪えるので精一杯です。
  「…な、なんだこれは…一体何が…?」
  「敵味方全てのダウン以外の全状態異常を治し生命力も精神力も全快させ、さらに万能系以外全属性無効にした上で、敵味方全ての戦闘力を奪う」
  「……シャドウ達の体力精神力も限界まで奪われている…スキルは一切使えず、攻撃はおろか自殺すら出来ない有様とは……」
  「優しい力だよね。誰も死なないし、死なせないんだ」
  「幾月さん…もう、終わりにしましょう。もう幾月さんが苦しみを背負う必要は無いんです」
  「……」
  「…私達も最近知ったんですけれど、かつて合体魔法って言う技術を編み出した人達が居たんです」
  「一人で二体のペルソナの力を合わせられるんだから、僕達にもその技術が再現できるかもしれない…そう思ったんだ」
  「協力すれば一人では出来ない事も出来る…凄いですよね。人の持つ可能性はまだまだきっと、こんな物ではないと思うんです」
  「…だから、君達を信じろと?」
  「はい、もうそんなことは止めて欲しいんです」
  「やれやれ…困ったね。最早全く勝てる気がしない上に、山岸君から逃げ切れるとも思えないときた」
  「ですから…」
  「君達の言うとおり人間には可能性があるのかもしれない。誰かに救われなくても終末は回避出来るのかもしれない。…だけどね、残念だが僕はもう人間じゃないんだよ」
  「幾月さん…」
  「……止めたかったら力ずくで止めてくれ給え、僕はもう自分の意志で自分の存在理由を変えられるようなモノじゃないんだ」
  そういえば天田君が言っていたっけ、貴方は死んだはずだって。いつか怪談で読んだ、想いを残して死にきれなかった悲しい存在達。
  もう人間じゃないっていうその言葉が、なんだかとても重くって…。
  「人の姿をしているモノを滅ぼす覚悟はまだ無いかな…?それとも自分の手を汚すのは嫌かい?…気が乗らないなら昔話でもしてあげようか」
  「そんな事…」
  「彼の両親はムーンライトブリッジでのデス封印時に巻き込まれて事故死したのは知っているかい?…彼は母親似でね、目元なんてもうそっくりだよ」
  「…え…?」
  「一般人は象徴化してしまう影時間、そんな時間にあそこを通って巻き込まれ、彼だけ残して事故死するなんて偶然にしては出来すぎじゃないかね?」
  「ま、まさか…」
  「過去のことは…今はどうでもいい。恨んでも憎んでも失ったものは戻ってこない」
  「…綺麗な人だったんだがね…」
  「…幾月さん…」
  「ごめん、他に貴方を止める手段が思いつかなかった。…幾月、今から貴方をもう一度死なせる」
  「やる気になってくれたかい、そりゃ結構」
  「ああ。でもそれは憎しみからじゃない、憎しみは何も生まないから。未来の為に、明日の為に死んでくれ。
  …再び死んだ貴方に、魂の安息が訪れるのかどうかは解らない。この傲慢、この大罪は僕が一生背負おう、恨んでくれて構わない」
  「私も一緒に背負います。…幾月さん、貴方の生き様は忘れません。そしてこんな悲しいことがもう起こらない様に、ずっと…ずっと貴方の想いを繋いでいきます」
  あの人はポケットから七色に光る小石を取り出して、静かにシャドウの群れの方へ投げた。
  メギドジェムと言うらしい、そう後で聞いた…その光る小石が静かに輝きだす。それはやがて太陽の様に輝いて、全ての影が消えてゆく…。
  「…メギドの炎、か…最後のその場所で、君達が来るのを楽しみに待っていることにするよ」
  「ごめんなさい…」
  「…特別課外活動部は」
  「…?」
  「教師ごっこしているみたいでね…まんざらでも……無かっ……、…」


  779 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/11(火) 00:07:49 ID:dFCDnVl00
  後に残ったものは静けさだけだった。
  いつの間にか柔らかな月明かりがホールを包んでいて、あの気味の悪かった紫色の空も満月の輝きに押されて遠慮がちに瞬く星空へと変わっていた。
  「巻き込んでごめんね、今回復するよ」
  そう言ってくれたあの人の声で我に返ったのかな、あの睡魔に似た感覚や疲れはもう無くなっていて、意識がはっきりしてきた。
  なんて言っていいのか…すごく困って、何も言えないまま床を見つめていたら、風に揺れる木々のざわめきが聞こえた気がした。
  「ああ、勝利の雄叫びですね」
  「うん」
  別に叫んでなんていなかったよね。やっぱり全然意味が解らないけど…なんて言うかもう、諦めに似た心境です。
  「…僕達の都合で勝手に人一人の命を奪ったんだ」
  「そうですね…私達が奪った命の重さ、絶対に忘れちゃだめです」
  「うん、忘れない。そして絶対に無駄にはしない」
  「はい」
  …幾月と呼ばれていたあの男の人は最後になんて言おうとしたんだろう。
  その人生が幸せだったのかどうかなんて私には解らないし、死んだ後どうなるのかも勿論解らなくて。
  散々ボロボロにされて恨めしいって思ったし、その嫌らしさに心底嫌いだと思ったけど、
  私には解らない事ばっかりなんだけど、それでも…出来れば安らかに眠って欲しいと思った。これってエゴなのかな…。
  ただ自分を慰めるための勝手で一方的な想いなのかもしれない。でも、それでも忘れちゃだめなんだって私も思った。
  オバケだろうとなんだろうと…確かにあの男の人はさっきまでそこに居て、今はもうどこにも居ないんだから。


  780 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/11(火) 00:08:43 ID:dFCDnVl00
  「天田君熟睡しちゃってるね」
  「膝枕は気持ちいいからね」
  「そうなんですか?」
  「うん。頑張った後は特に」
  「お二人が居られれば全く問題ないと信じておられるのでしょう」
  「エリザベスさん、綾時さんも有り難うございました」
  「いえいえ、私どもは何も」
  「直接介入しちゃ駄目っていうの、もどかしいよね」
  「綾時君はベルベットルームから出る事も出来ないですものね…」
  「ああ、ごめん気にしないで。こうして見守れるだけでも嬉しいんだ。皆遊びに来てくれるしね。それに…」
  「…?」
  「友達が増えるかもね」
  私置いてけぼりでなんか和んでたのに、突然皆で私を見るとか心臓に悪いから止めて欲しいんだけど…。
  お近づきになりたいなら礼儀が大事でしょ、人にウィンクする前に自己紹介とかするべき事が一杯あると思う。なんだか軽々しくてやだな。
  正直あんまりお近づきになりたくないかも…なんて考えていた時だったから、あの人のその言葉は凄く不意打ちで。

  「大きくなったね舞子ちゃん」

  「!」
  …覚えていてくれたんだ…。
  「危ない目にあわせてごめん。でも助かった、ありがとう」
  覚えていてくれた事は嬉しかったけど、そう言われると正直申し訳ない。足手まといだったよね…どう考えても。
  「ここに来られたのは君のお陰なんだ」
  そう言ってあの人が差し出してくれたのは、あのビーズの指輪だった。私があの人に贈った、私の小さな初恋の証。
  「君の心が僕を、そしてみんなを救ってくれたんだよ」
  嘘つき。…臨時担任を助けにくるのに私が必要だったなんて全然思えないよ…。
  あの人がそっと手渡してくれたビーズの指輪は、一生懸命作ったものだったんだけど…今こうして手にするとやっぱり拙くて。
  ありがとうの気持ちと、大好きだって気持ちと、私を忘れないで欲しいっていう気持ち。そして…あの人と一緒に居たいって気持ち。
  私はこれであの人をずっと捕まえていたいと思ったんだ。私だけのお兄ちゃんに、私だけの大切な人になって欲しかった。
  強がって明るく振舞ってこの指輪を渡した時の、きっとあの人を困らせた小さな約束は…私の甘い夢と希望だけじゃない、苦い羨望や嫉妬で出来ている。

  「本当にありがとう。そして…ごめん」

  本当はね、あんな約束までこうやって覚えていて貰えただけでも凄いことだと思うんだ。
  だからこれはただの我儘、頭ではそう、解っているつもりなんだけど…。
  せめて言い訳して欲しかった、うろたえて醜く言い訳してくれたら軽蔑できたのに。
  子供の言ったことだと笑い飛ばしてくれたら良かった、そしたら私も一緒に泣いて笑って思い出に出来たのに。
  ただ謝られたら、罵ることも出来ない。あの人の真面目さが、優しさが、とても残酷で苦しい。
  そこには私の居場所は無くて、あの優しい眼差しは私には辿りつけない遠い世界のあの人のもので。
  おかしいな…解ってた、どこかで解ってた筈なのに…こみ上げてくるものを押さえきれなかった。

  …私、今…凄くみっともない顔してるんだろうな…。あーあ…気持ち良さそうに眠っちゃってさ。
  なんか無性に腹が立ったけど、こんな顔はちょっと見せられないよね、そう思うと助かった気もする。
  私って未練がましい女だったんだな…ホントどうしようもない、寂しくてみっともなくて。
  そうやって自己嫌悪しながら俯いていたら、大きな手がゆっくり頭を撫でてくれた。
  ……ちょっと、起きてるとか聞いてないんですけど。…ああ、むしろ私が起こしちゃったのか。うう…。
  とりあえず、もうしばらく目をあけるの禁止。


  781 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/11(火) 00:12:12 ID:rg8ghyJQ0
  天田君におんぶされて天文台を出たら、木立の向こうにすぐ校舎が見えてほっとしたのを覚えてる。
  毎日当たり前のように見ている校舎がこんなに懐かしく思えるなんて、なんか可笑しいよね。
  私が気にしてたら臨時担任があの人から貰ったアイテムで観葉植物さん達を治療して、また呼びだしてお別れさせてくれた。
  チューリップさんも、背の高いサボテンさんも、丸いサボテンさんも、松の木の盆栽さんも無事に元通りになって本当良かった。
  貴方達は本当に頼もしかった、かっこよかったよ、守ってくれてありがとうってお礼を言ったら照れくさそうにしてた。
  正直最初は驚いたり五月蝿かったり見た目まるっきり観葉植物だったりで頭痛かったけど、今はもう抱きしめられるものなら抱きしめたい気分。
  これからは植物を大事にしよう。よく考えると自然を大切になんていうのは当たり前のことなんだけど、とにかくそう思った。
  ルキアさんもユノさんもありがとう。未だに臨時担任とどういう関係なのかよく解らないけれど、細かいことはまあいいかな。
  なんでって、私の理解を超える事の方が多かったから、何故?とかどうして?って深く考え始めるときりが無いんだよね…。
  この世界には守護霊も悪魔もオバケもシャドウも居て、それらとお友達になったり戦ったり出来る力を持った人達も居る。
  そして悲しい事も大変なことも人知れず起こっていて、命を落とす人もいる…そういう現実をしっかり胸に刻んで、ずっと忘れなければ大丈夫…かな。
  今ならかつてシャドウと戦い世界を救ってくれたこの人達の辛さや苦労が…なんとなくだけど、分かるような気がしたんだ。

  威張って言う事じゃないんだけど、我ながら快挙だと思う。
  私の場合日曜日はお昼まで惰眠を貪るのが定番なんだけど、なんと携帯がメール着信鳴らしてくれただけで起きられちゃった。
  …まあメール送ってきたのが天田君だったから一体何事かって変な驚き方したせいもあるかもしれないけど…。
  頭痛くなったり辛かったり大変な事だらけで疲れてたのかな…すんなり眠れたお陰で寝起きも大分すっきりです。
  昨晩校舎に戻ったときにはもう日付が変わってたんだよね。本当長時間迷ったり戦ったりしていたんだな…ってしみじみしちゃったっけ。
  さすがに時間が遅いから、一応理事長さんに連絡を入れておくって言う臨時担任やあの人と別れて帰ることになったんだけど、
  膝枕で思いっきり足が痺れてたのを覚られちゃったばっかりに、森から家までずっと天田君がおんぶしてくれて。
  天田君の上着はもうボロボロだったからあの人の上着を借りて着ていて…そんな背中にしがみついているのが凄く申し訳ないと言うか。
  天田君もご苦労様だったんだから、この上疲れさせちゃうのもどうかと思ったんだけど…。
  なんだか顔を合わせるのが気恥ずかしかったから、正直少し助かった。…だけど今日から突然避ける訳にもいかないし、うーん。
  ぐだぐだ考えながら久しぶりにフライパンの上でオムレツを転がしてみる。朝ご飯作るのなんて何ヶ月ぶりだろう。
  山ほどチーズとトマトを乗っけたカリカリのトースト齧りながらなにげなくテレビを見てたら、あの空気の読めない先輩さんが映った。
  ああ、そういえば荒垣さんか誰かが試合が近いとか言ってた気がする。

  『無傷の王者"無敗皇帝"真田明彦に今夜挑むのはイタリアから来た撃墜王"豪腕神父"アル・デイヴィス!
  あの黒い背中に幾つも刻まれた十字の傷跡は撃墜マークと言われています。かつて無い怪物を相手に"無敗皇帝"はどう戦うのか!?
  気になる試合は今晩7時から、ご覧のチャンネルで全ラウンド完全生中継でお送りします!!』

  なんだか急に凄い人に思えてきた。本当にチャンピォンさんだったんだな…なんて思っちゃ失礼か、ちょっと反省。
  そう言えばデッキブラシ持った天田君相手に勝っちゃったり、パンチでデッキブラシ縦に割っちゃったりで尋常じゃなく強そうだったもんね。
  …ひょっとして一昨日の大騒ぎが原因で負けたとか言う話になったら私達のせい?うーん、出来たら無事に勝って欲しいな。
  まさかファンの人達に『部室で蓑虫になったのがきっかけでデッキブラシ持った生徒と戦ってました』なんて、言えないしね。
  先輩さんの試合が始まる頃には、さすがに父さんと母さんが京都奈良旅行から帰って来てると思うんだけど…どうなるかな。
  あれから何も連絡が無いから、二人が何時ごろ帰るかとかよく解らないんだよね。…まあ、便りが無いのは何事もなく順調な証拠って事で。
  このまま仲良く過ごして帰ってきて無事に再婚にこぎつけてくれるといいな、なんて思いながら食器を片付けた。


  782 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/11(火) 00:14:25 ID:rg8ghyJQ0
  今朝の天田君からのメールによると今日の午前中なら理事長さんの都合がいいみたいで、じゃあ報告会をって話になったみたい。
  さすがに休みで普段より生徒が少ない筈だから、オバケだのシャドウだの内緒話をするのにはまあ、うってつけかもね。
  天田君を仰向けにした時に沢山血がついたんだけど、いつの間にか血の跡が消えていた制服を羽織っていて気がついた。
  ポケットにビーズの指輪と、預かっていた得体の知れない拳銃が入りっぱなしだ…。ちょっと立て続けに色々あって返しそびれちゃったんだよね。
  ビーズの指輪はブラウスの胸ポケットに、拳銃もどきは目立たない様に内ポケットに仕舞い直して、途中で職務質問されない様に祈りながら家を出た。
  周りに同じ制服着たの生徒が全然居ないせいか、私だけ浮いている気がしてなんだか微妙に恥ずかしいです。

  理事長室の扉をノックして入ったら、既に理事長さんと臨時担任と天田君が座ってお茶を飲んでいた。
  挨拶した私の目がつい天井付近まで泳いじゃったのは、案の定目が合わせづらかったせい。
  「これで揃いましたね、舞子ちゃんもお茶どう?」
  「…頂きます」
  揃ったって、あの人がまだ居ないんですけど…一体どうしたのかと思ったら、理事長さんが私の疑問を口にしてくれた。
  「彼はどうしたんだ?」
  「ガイア教団の一派が不穏な動きを見せ始めているそうで、今朝早く代々木へ向かいました。私も明日には追いかけないといけません…」
  「そうか、なら明日で臨時担任は解任だな」
  「そうですね…急ですいません」
  「いや、問題ないさ。動くのに身元が必要ならば付近の学校を紹介しよう」
  「ありがとうございます」
  あの人はもう次の目的の為に動き出したんだな…臨時担任も来た時といい明日までって話といい凄く唐突だけど、あの人はもっとだ。
  まさかこんな急な別れになると思わなかったから、今となっては昨日別れ際あの人に何も言えなかったのが凄く悔やまれます…。
  …でも、私との約束をずっと覚えていてくれて、守れなかった事を謝ってくれたあの人に、私はなんて言えば良かったんだろう。
  あの人が私に返してくれたビーズの指輪は、今もどうしていいのか解らないままなんとなくブラウスの胸ポケットの中で。
  家族になりたいなんて、あの人が困るような約束を押し付けてしまったのは私の方なんだから、やっぱり謝るべきだったのかな…。
  もう私の声は届かないけれど、もしまた逢えるなら今度はもっとちゃんと話をしたいって思った。


  783 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/11(火) 00:15:26 ID:rg8ghyJQ0
  「ところでこっちのカップ…もしかして私達の前にお客さんが?」
  「ああ、君たちより一足早く来ていたんだが…その、水臭いと怒られてしまってな」
  「…ああ、そうでしたか…」
  「…気遣いは要らなかったみたいですね」
  「とりあえず片付けておきますね」
  「すまない、山岸」
  …このとてつもなくスケールの大きい理事長さんを怒れる人がこの世に居るって言うのがまず驚きです。
  この理事長さんより格上な人ってちょっと想像つかないんですけど…凄く偉い政治家の先生とか、人間国宝のお師匠さんとか…?
  観葉植物さん達みたいな不思議な存在よりも、むしろ底の知れない人間社会の方がよっぽど怖いんですけど。
  ここ数日さんざん引っ掻き回された価値観や現実感に改めて途方にくれていたら、臨時担任と天田君が昨晩の事を報告してくれた。
  天文台付近の森の異常、幾月って人がシャドウを集めていたこと、戦いのこと、あの人のこと。などなど。
  私にはちょっと解らない専門用語もかなり混ざっていたけれど、その分かなり正確に報告をしていた感じかな。
  「不穏な気配はもう綺麗に消えたんですよね?」
  「ああ、もう感じられないな。山岸はどうだ?」
  「私の方でも感じられなくなりました。幾月さんが原因で間違いなかったみたいですね」
  「なら、今回はこれで解決だな」
  「良かった」
  「三人とも本当にご苦労だった、感謝している。彼にも宜しく伝えておいて欲しい」
  「はい、解りました」
  「しかしまさか幾月がな…彼に関する資料は彼本人の手で殆ど隠蔽されてしまっていたから、今となっては何が彼をそうさせたのかは解らないが…」
  「僕たちの事を恵まれているって言ってたのを…なんとなく覚えています」
  「恵まれている、か…」
  「幾月さんも未来を憂いていたんですよね…ただ思い描いた理想とその為の手段が私達と違っただけで…」
  「私達は私達のやり方を信じているが、それが人類にとって本当に正しい選択だったのか、その答えが出せるのはずっと未来の人類だけだからな…」
  「そうですね…」
  「でも、信じて頑張らないと、犠牲になった方たちに申し訳ないです」
  「ああ。その通りだ」
  信じるって言うだけなら簡単なんだけど…本当の意味で信じ続けて生きていくって本当に大変だよね。
  人同士ですら、何がその人の為になるかなんてずっと後にならないと解らないのに、世界相手だからね…。
  それこそ何百年も何千年も後にならないと何が正しかったかなんて解らないんだろう。
  ただ一つだけ確かなのは、変えたかったらそれでも動き出さないと始まらないって事かな。
  今素直に明るい未来を信じられる人がどれだけいるのかは解らないけど、世界中の人達が明るい明日を信じられるように。
  「そうだ、遅れてすまない。舞子君にはお礼をしなくてはな」
  私には何が出来るのかなんて解らないけど、こうやって頑張っている理事長さん達を応援する事位なら…って、え?
  「本当に助かったよ、ありがとう。これが約束のプリペイドカードだ」
  えええ、いや、私そんなもの受け取れる様な事なんにも出来てないです、むしろ大分足手まといで…。
  「そんな事ないよ、舞子ちゃんが居てくれなかったらまだ解決していなかったと思う」
  私が何をしたって、夜の学校で大騒ぎしたり、臨時担任や天田君にツッコミ入れたりしてただけなんですけど。
  昨日なんて本当泣きたくなる位足手まといで、それなのに翌日けろっとしてお礼受け取れちゃう程私は厚かましく出来てない訳で。
  私は取り立てて何か凄い特技があったり才能があったりする訳でもない、ただの一般人だけど…いや、だからこそかな、
  出来ればそんなずるい事はしたくないです。ごめんなさい。報告は終わった訳だし、もういいよね?
  このままこの場に居たら理事長さんや臨時担任に上手いこと丸め込まれてしまいそうな気がして、
  私はお疲れ様でした、すいません失礼しますって頭を下げて、逃げるように理事長室を飛び出した。


  784 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/11(火) 01:33:54 ID:xKFgf/5c0
  >>771
  喫茶店での会話はマジで恐怖w
  普通にプレイすると八方美人になるしなあw


  785 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/11(火) 01:54:55 ID:rg8ghyJQ0
  「…すまないが舞子君を追いかけてやってくれないか」
  「僕がですか?多分いつもの所だと…」
  「ああ、この中では君が適任だと思う。それと、これは君から彼女に渡してもらえると助かる。正当な報酬だ」
  「……解りました。じゃあ、失礼します」
  「…………行ったな」
  「行きましたね」
  「帰ってこなくていいぞ、などとつい口が滑りそうになったよ」
  「ちょっと気が早いかもしれないですものね」
  「ああ、我ながら野暮な事を考えたものだ」
  「ふふ。でも素敵なことだと思います」
  「そう言えば舞子君だが…山岸はどう見た?」
  「そうですね、ペルソナが見えるのは確認できましたので、やはり適正はあると思います」
  「やはりそうか…」
  「ただ幾月さんはペルソナ能力が無くても見る事は出来ていたので、舞子ちゃんのペルソナ能力自体の有無もそれだけで断言は出来ませんね。
  天文台のシャドウと共鳴、あるいは感知していたと思われる節があるのと、綾時君も何か感じたみたいでしたから、限りなく有りそうだとは思うのですけれど…」
  「引き続き注意が必要、という事か」
  「はい。あ、でも、私は実はもうあんまり心配してないです」
  「天田が傍に居てくれるなら、か?」
  「はい。…悩んで苦しんで、傷ついて倒れても…何度だって立ち上がって最後まで守ってくれた、そんな荒垣先輩の背中を見て育った戦士ですからね」
  「そうだな…本当に強く真っ直ぐな男になってくれた。今思えば…天田には、もう二度とあんな事故は起こさせないと言う強い決意が最初から感じられたな」
  「そうでしたね…」
  「…天田の意志に敬意を表して今後は彼女に過剰に接するのは止めよう。しかし万一に備え監視と警戒は怠らない。これは私が果たすべき義務だと思う。どうかな?」
  「はい、私も協力は惜しみません」
  「ありがとう、山岸」
  「いえ」
  「さてと…では私は一旦本邸に戻るか。気にかけて下さっていた南条の御当主にもご報告せねばならんしな」
  「あれ、今夜の試合は見に行かれないんですか?」
  「明彦のか?…私のような人間は場に相応しくないだろう」
  「そんなこと無いと思いますけれど…」
  「私のような後ろ暗い人間が現代の英雄の栄光に水を差してはいかんからな」
  「…桐条先輩は、真田先輩が負けるかもしれないなんて全く考えてないんですね」
  「む」
  「ふふ」
  「山岸は明彦が負けるかもしれないと思っているのか?」
  「いいえ、思っていないです」
  「…私もさ」


  786 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/11(火) 01:57:10 ID:rg8ghyJQ0
  階段を一気に駆け上がって屋上にでたら、シックなパンツスーツの女の人が風に揺れていた。
  手すりにもたれかかっている後姿も風になびく柔らかそうな髪もさりげない小物も上品過ぎず地味過ぎずいい感じ。
  理事長さんとはまた少し違う意味で仕事が出来そう。百戦錬磨のキャリアウーマンって雰囲気かな。
  うちにはこんな教師は居ないはずだし…生徒でも無いよね、明らかに。なんて見てたら振り返った女の人と目が合っちゃった。
  「あ」
  あ、ってなんだろう。えーっと…OGの方ですか?
  「ひょっとして舞子ちゃん?あーその、違ってたらゴメンね」
  え、私を知ってるんだ…誰なんだろうって思ったら、よく日曜日に長鳴神社で天田君と一緒に居たお姉さんだった。
  あの舞子ちゃんがもう女子高生かぁ…大きくなったよね、そりゃ私も老けるわけだ。なんてオーバーな身振りで嘆いてても不思議とカッコいいです。
  「天田君もやたら背が伸びたわ妙に落ち着いたわだし、ホント歳月感じちゃうな…まあ大人びてて可愛げないのは昔からだけど」
  「結構子供っぽいものが好きみたいですけどね」
  「へぇーそうなんだ」
  「はい、ロボットとか…」
  「ああ、メカ部ね。そう言えば部活作るって頑張ってたっけ、なんだか懐かしいな」
  なんかお姉さんの反応が普通なのがかえって新鮮だ…。…あれ、もう一人お兄さんが居た気もするな…うーん、さすがに記憶が曖昧です。
  実はこのお姉さんも教えて貰えなかったら自力で思い出せた自信があんまり無かったりするんだけど、もう思い出したんだから問題無し。
  でも最近どこかで見た気もするんだよね、なんでだろう…。デジャヴ?…デジャヴってこういう意味だったっけ…うーん。
  「そうそう、み…桐条先輩から大体話は聞いたけど、彼は元気だった?」
  み?…理事長さんから聞いたって事だよね、てことは理事長さんの後輩で、私達の先輩か…えっと、どう話せばいいんだろう。
  とっさに返せなくて戸惑っちゃったら、私が何か気を遣ったんだとでも思ってくれたのかフォローしてくれた。…みたいなんだけど…。
  「…ああ、大丈夫。私もペルソナ使いだから。助けに来てくれたんでしょう?彼」
  ペルソナ使いって何ですか。何度かペルソナって言葉は聞いたけど、まだよく解らないんだよね…そこに、使いときましたか。
  天田君は守護霊だってフォローしてくれたけど、そのまま繋げると守護霊使い…なんだか解るような解らないような。
  臨時担任や天田君やあの人と似たような才能がある関係者ってことでいいのかな、多分いいんだよね?
  なにしろ私自身解らないことが多いからどうしても抽象的になっちゃうけど、それでも出来るだけ詳しく話してみた。
  勿論あの人と私の関係とかは省いてだけどね。いつかは笑って話せるようになるのかもしれないけど…今はまだ、無理。


  787 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/11(火) 01:58:03 ID:rg8ghyJQ0
  「そっか、相変わらず仲がいいんだね、あの二人」
  「…昔からああだったんですか?」
  「うん、たぶんね」
  「たぶん…?」
  「彼、誰にでも優しかったから。…あーなんか誤解を招きそう、えっと…公平で聞き上手なリーダーって言うのかな。そんなだから友達も凄く多くてね」
  「リーダーですか」
  「うん、皆なんのかんので凄く頼りにしてたと思う。私も愚痴聞いて貰ったり相談したりしたな…。風花はこう、縁の下で静かに皆を支えてた感じ。
  二人とも普段は周りに合わせるタイプって言うのかな、強く自己主張する事はあんまり無かったし、私自身あんまり余裕無かったから…」
  「…?」
  「ひょっとしてって、思う事はあったんだけどね。ああやっぱりって思ったのは、この屋上でみんなと待ち合わせした時かな」
  「ここでですか」
  「そう。その時二人は先にここに来ていてね。そこのベンチで、風花が彼を膝枕していたの」
  「……」
  「みんなと無事に再会出来た事が凄く嬉しくてねーみんなと一緒に喜んでいたけど、心のどこかではちょっと切なかった…かな。あ、この話皆には内緒ね。
  私もね、正直彼が気になってたから。だから今でも時々思うよ、私にもう少し勇気があったら?とか、もし膝枕をしていたのが私だったら?とかね。
  クラスも同じだったし、私のほうがずっと近くに居ると思っていたんだけどなーなんて、湿っぽいセルフ語りはうざったいね、ゴメン」
  ううん、そんなこと無いです。なんだか痛いくらい解る気がする。お姉さんが笑って話してくれているのがなんだか切なくて、悲しくて。
  私の方こそ湿っぽくなっちゃってごめんなさいって状態だ…。そんな私を気を遣ってくれたのか、お姉さんはことさら明るい調子で続けた。
  「ね、彼はかっこよかった?」
  「…かっこよかったです」
  「そっか、今でもかっこいいんだ。じゃあ私はどう?」
  「え?」
  「私ね、ずっと自分の足で立てる人間になりたくてさ。彼位かっこよくなってやろうって、そう思ったんだよね」
  「かっこよく…」
  「うん。どう?結構いいセン行ってない?まだ少ないけどこう見えても社員養っちゃったりして、我ながら昔よりは頼れる女になれたと思ってるんだけど」
  「…カッコいいです、凄く」
  「ありがと。…まあ、彼はさらにかっこよくなっただろうから、もっと頑張らなきゃだけどね」
  そう言って不敵に微笑んだお姉さんは本当、今の私には眩しい位強くて、カッコよかった。
  「…私がさ、舞子ちゃん位の時の担任がね、今教頭やってる人なんだけど…その人が当時、私達に『人生は椅子取りゲーム』って言ったの」
  それは…よく言えば生徒と本音で向き合ってる感じだけど、なんていうかちょっと身も蓋もないです。
  「だよね、私もそりゃ無いわーって思った。でも今この年になると、なんでかな…その時の担任の気持ちがちょっと解るんだよね…」
  世の中には一つしか無い場所も多くて、その場所が欲しくても、それはもう誰かのもので手に入らない事もある。…椅子取りゲームかぁ…。
  「私は私だけの椅子を見つけられたと思ってる。…大丈夫、舞子ちゃんもきっと見つけられるよ」


  788 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/11(火) 01:59:50 ID:rg8ghyJQ0
  「やっぱりここだったんだ」
  「…」
  天田君がオクトパシーのビニール袋ぶら下げてやって来て、無断で私の横に座った。
  大泣きしちゃったし散々恥ずかしい所目撃されてるしでやっぱりだめだ…この分だと当分天田君の顔直視出来そうに無いです。
  人の居ない屋上なのにわざわざ隣に座られたりすると、正直困るんですけど…。
  「大変だったね」
  「…大変でしたとも」
  まあ大変だったけど…天田君身体の怪我や傷はもうなんでもないみたいで、本当に良かった。
  「ゆかりさんとすれ違ったけど、屋上に居たの?」
  「うん」
  「覚えてたんだ」
  「うん」
  「なんの話してたの?」
  「女同士の話」
  「そっか」
  う、ビニール袋から青海苔と鰹節とソースとマヨネーズのいい香りが…。
  …辛かったり悲しかったりしてもお腹はすくんだな…。まあ、当たり前なんだけど、我ながらかっこ悪くて情けないです。
  「…まあ、舞子が無事で良かった」
  「話が微妙に飛んでない?」
  「そうかな?…ところでそろそろ昼だけど、たこ焼き食べる?」
  「うん」
  「臨時収入があったから、今日から暫くワックやオクトパシーは奢るよ」
  …む。それってさ、もしかしなくても例のプリペイドカードでしょ…。問い詰めてもしらばっくれられそうで、どうしよう。うーん…。
  「…どうかした?」
  まぁ、天田君と半分ずつ受け取るって形ならいいか…。なんか私思考力が低下してる気がする。まだ昨日の疲れが残ってるのかな。
  「ううん、ありがとう。…そう言えば私、一回チキンワックバーガーをバスタブに敷き詰めて飛び込んでみたかったんだよね」
  「一回で食べきれる量だけね」
  「ケチ、じゃあ一食ずつでいいから毎日奢って」
  「はいはい、まぁ財布と相談で」
  パックを開けると湯気と一緒にいい匂い。チーズやキムチみたいなトッピング物もいいけど、やっぱり青海苔鰹節にソースとマヨネーズが王道だよね。
  変り種の具で良くも悪くも有名なオクトパシーだけど、このしつこくなくそれでいてフルーティーなソースが何より一級品だと思う。
  …とかなんとか手元のたこ焼きに集中でもしないと何か落ち着かないって言うか、やってられないこの気持ち。なんだかなぁ…。
  …ああ、そうだ。昨日森に入った時に借りた得体の知れない拳銃もどきを返さなくちゃ。
  あの時は銃刀法違反じゃないかとか、臨時担任がいきなり自分を撃ったりとかで、とにかくびっくりしちゃって全然余裕無かったけど…。
  冷静に見てみると弾を入れる部分が無いような気がするそれを天田君に押し付けた…ら、何か神妙な顔をされた。何故。
  「…気になっていたんだけど…舞子さ、あの時…青い扉を見た?」
  「?うん、盆踊りのお姉さんと、黄色いマフラーの男の人が居て…男の人にウィンクされた」
  「そっか…」
  「え?」
  「いや、なんでも」
  天田君は少し考え込むと、深く頷いてから私に右手を差し出した。
  「歓迎するよ、今後ともよろしく」
  か、歓迎って何…?そうやって微笑まれると困るんですけど……。
  その手を取っちゃうとまた妙な事件に関わる羽目になる気がして、私は差し出された手にたこ焼きを乗っけてごまかした。


  789 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/11(火) 02:03:50 ID:rg8ghyJQ0
  翌日、月光館学園に唐突にやって来たあの時の様に、理事長さんの口から江古田の復帰とそれに伴う臨時担任の解任が伝えられた。
  クラスが騒然としちゃって治まらなくて、あまりの騒ぎにあの理事長さんが大きな声を出してる。知らなかったら驚くよね、やっぱり…。
  建前とは言え江古田の代わりなんだから、江古田が治るまでって言うのはホントは最初から解っていた筈なんだけどね…。
  臨時担任が前に出て話し始めてやっと静まったんだけど、何人かすすり泣いていて…つられて臨時担任も涙目で、ああもう、なんか見てらんない。
  臨時担任は短い間だったけど、皆と一緒に学べて楽しかったですって挨拶から始めて、今度は非常勤講師として千代田区の高校に勤める事になったと告げた。
  ほんの一ヶ月程だったんだけどね…良くも悪くも印象深かったとは思う。多分男子も女子も、クラスの子みんなそうだったんじゃないかな。
  だってクラス全員で巖戸台駅まで臨時担任見送りに行くなんて事には普通ならないよ。素面で一昔前の青春ドラマみたいな事になっちゃうのってかなり凄いんじゃないかな…。

  ポートアイランド駅からのモノレールの一車両を臨時担任とうちのクラスの生徒で完全に占拠しちゃってて、冷静に考えると結構迷惑な気もするけど。
  巖戸台駅のホームに集まって、あのノートPCを抱えた臨時担任に一人一人挨拶してる所なんてまるで卒業式みたいです。
  …生徒の大半より臨時担任のほうが背が低いから、臨時担任が卒業するみたいな絵になっちゃってるけどね。
  男の子達も何人かマジ泣きしてて、ちょっと馬鹿みたいだけど…もしかして初恋だったのかな…なんて思うと笑えなくて、こっちまで胸が苦しくて。
  本当最後まで罪作りな疫病神だよね。もう会わなくて済むかと思うとちょっとせいせいします。


  790 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/11(火) 02:05:03 ID:rg8ghyJQ0
  ……建前では次に赴任する高校へ向かうって事になっているけど、臨時担任はあの人を助ける為にあの人のもとへ行くんだよね……。
  あの人の隣というただ一つの場所は、もうずっとずっと前から埋まっていて…でも、それでも私はそこに憧れた。
  大好きな父さん母さんとの絆を信じさせてくれた、私にとって大切な人だったから。大好きな人だったから。だから私もあの人の大切な人になりたかった。
  …そうだ、私は公園で一緒に遊んだあの時、この人みたいに温かい笑顔であの人を支えられる人になりたいと思ったんだ。
  私はどう頑張っても臨時担任には絶対になれない。そんな事、解りきってる筈なのにね。…おかしいよね。
  私には霊能者の才能も悪魔の友達も守護霊の加護もとんでもないスキルも無いけど…でも、
  こんな風に人に慕われたり、この人みたいに大切な人の傍でその手助けが出来るようになるのは、悪くないかもしれない。
  …いつかこの胸ポケットの中の大切な想いを、あの人みたいに優しく受け取ってくれる人が私の前に現れてくれるんだろうか。
  そればっかりはちょっと、まだ解らないけど。ただいつまでもこの指輪は大切にしよう。…そう思った。
  なんとなく線路を眺めながら…そんなことを考えていたら、臨時担任の前に押し出された。次は私の番って事らしい。
  初めてちゃんと真正面から向き合った臨時担任は…悔しいけど、やっぱり可愛かった。
  私より低い背丈の、この華奢な身体のどこにあんな勇気やとんでもない力が眠ってるんだろう。本当不思議な位大きくて。
  私を真っ直ぐ見つめるその優しい瞳には一点の曇りも無くて。ああ…何かを信じるのって凄く難しいけど、この人はずっと信じているんだなって思った。

  「山岸先生」
  「うん」
  「あの人に『ありがとう』って伝えて下さい。…あと、お元気で」
  「うん、ちゃんと伝えるね。ありがとう。舞子ちゃんも…元気でね」

  ゆっくりと加速していく電車をみんなが追いかけて行く。
  遠ざかる臨時担任の姿を少しでも長く目に焼き付けたいと、縋るように。
  息があがるまで、ホームぎりぎりまで、何人かはホームを飛び降りてなお走り続けた。
  泣いていたあの男の子達はどこまで追いかけて行ったんだろう。…そう、別れは寂しくて、悲しくて…切ない。
  だけど、信じて生きていればきっとまたいつか、どこかで逢えるんだ。私があの人にまた逢えたみたいに。

  「私が新しい学校に行っても、みんなはずっと私の生徒です。私とみんなは離れていてもずっと繋がっているんだよ」
  そう言って微笑んだ臨時担任の姿はみんなの心に確かな温もりを刻んで。
  やがて穏やで淡い思い出と共にそれは大きく育って、いつかまだ見ぬ明日へと踏み出す一歩になる。

  まるでみんなの背中を押すようにそっとホームを吹きぬけた風が柔らかく頬を撫でる。
  ホームの屋根が作るコントラストの隙間から覗く空は青く澄んでいて、どこまでも高く続いていそうな気がした。


  高校教師山岸風花 了


  791 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/11(火) 02:07:02 ID:rg8ghyJQ0
  エピローグ

  「ユニバース号慣性航行に移行完了、進路良し。万事順調なり、だ」
  『おつかれさまです白戸艦長』
  「お疲れ様AEGIS、引き続き管制監視を宜しく頼むよ」
  『了解しました。リアクター制動、シールド座標、機体姿勢、航行軌道異常無し。万事順調であります』
  「ぃいイエス!これであとは一年半ちょい寝て起きたら火星ね…!」
  「ドリス本当に嬉しそう」
  「そりゃそうよ、砂漠をお花畑にしちゃったお爺さんみたいに、火星の大地を一面花畑にするのが私の夢なんだもの!」
  「プレッシャーを感じてないのはいいことだが、起きて仕事する人間も居る事を忘れないでくれよな」
  「ええ、勿論ですとも!桐条主任も白戸艦長もスタッフの皆もジョンソン宇宙センターから私を引き抜いてくれた桐条グループもホント愛してる!」
  「もう、調子いいんだから。…でも昔の人って本当元気で凄いですよね。私のお婆ちゃんも出発前凄く一緒に行きたがったんですよ」
  「ユーカのお婆ちゃんはどんな人なの?」
  「ええっと…元気な人、かな。何やっていたのかは詳しく知らないんだけど、お爺ちゃんと一緒にずっと世界中を旅してたみたい」
  「そりゃまた健脚ね!ハハハ」
  「もう、歩いてな訳ないでしょ。…ああ、でも、答えは自分自身の中にあるから、信じて歩き続ければ必ず明日は来るんだよって、良く言われたな」
  「ふーん…よく解らないけど、深いね。いい言葉だわ」
  「もし自分が信じられなくなっても絶望なんてする必要ない、きっと一緒に歩いていける人がいるから、だから大丈夫なんだよって口癖みたいに」
  「優しいお婆ちゃんなのね」
  「偉大な祖父に、偉大な祖母か。俺も先々代の悲願を無事に果たしたいものだ」
  「火星入植計画、ですね」
  「ああ。桐条は人類の介添え人であれ…常に前向きであれ、亡くなった祖母の遺言だよ。息を引き取るその瞬間まで強く気高かった」
  「チーフ…」
  「地球の環境改善に時間と予算を取られて遅くなったが、俺も人類の為に土にまみれて未来を切り拓くこの使命に誇りを持っている」
  「…未来は君達若い世代のものだよ」
  「白戸艦長!」

  『例え絶望しても、それでも未来を信じ抜いたらええねん、それは必ず成し遂げられる。信じたもん勝ちや』
  『この宇宙船もなー情けない事に銭が無ぉて今は本体部分の建造途中で止まっとるけど、絶対飛ぶねんで』
  『飛ぶのー?』
  『ああ、飛ぶで。空の上で大事な荷物を背負ってな、そっから真っ暗な中をどこまでも切り拓いて行くねん。こうぐわーっと宇宙の果てまでや!』
  『ぐわー!』
  『フフ、こんな所まで子供を連れて来て何をしているかと思えば、ぐわーっとですか』
  『い、いつから聞いとったんですか!ええやないですか、この子がこれをモノにしてくれるかも知れまへんで?』
  『…いい夢ですね…。私も…その夢の片隅にでも便乗させてもらいましょうか』
  『お父さん、ぼくものせてほしい!宇宙船のってみたい!』
  『おお、ええで。なんぼでも乗せたる。これはお前達若い世代のもんや!』

  「?…艦長?」
  「…ああ、すまない。少し……夢を見ていたようだ」
  「お疲れの様ですね、約6000万kmの長旅ですし、先にお休みになりますか?」
  「すまないね由花君。…今度は火星が君の髪のように美しい深緑で覆われる夢でも見るとするよ」
  「もう、そういう事はドリスに言って下さい。私はただの医者です」
  「彼女に言ったらうんざりする程難解な講義付きで何千項目にもなる環境開発プランを延々聞かされる羽目になるだろう?」
  「彼女の情熱の炎はお爺ちゃん譲りみたいですからね、あの真っ赤な髪を揺すりながら嬉々として語ってくれちゃいますね」
  「勘弁して欲しいよ」
  「ふふ、でも、きっと夢じゃ無くなりますよ」

  「その日は、きっと来ます」

  Fin


  792 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/11(火) 02:10:48 ID:rg8ghyJQ0
  うあーすいません何か途中でID変わっちゃってますね…
  途中で規制されちゃっていました、お騒がせしてすいませんでした
  本気で長くて本当ごめんなさい


  793 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/11(火) 04:47:48 ID:/u6wUAzP0
  やたらスレが進んでると思ったら大作が2つ完結編とは!
  お二方ともお疲れでしたー
  なんだかアンソロジー小説を1冊タダで読んでしまったような気分

  赤と緑で紫の羽ってなんだっけ・・・
  ユルング?


  794 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/11(火) 12:48:38 ID:8KB2rbw60
  なんてこったい、まさかFESに続いて教師風花まで終わってしまうとは。感激だぜ
  しかしまぁ、最後の最後でまさか次世代へ飛ぶとはな、その発想はなかった
  何はともあれ乙! 面白かった!


  795 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/11(火) 15:02:46 ID:GVCd7+/OO
  もう一つの大作まで終わっちゃったのか…寂しくなるな

  心から感動させて頂きました
  でも感想有りすぎて、まったくまとまらん自分オワタ

  なにはともあれ、本当乙でした



  796 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/11(火) 22:11:29 ID:sJzBxnGi0
  ありがとう、希望が見えた


  797 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/12(水) 01:10:58 ID:yFhTSOQRO
  大きくなった天田と舞子どんな姿なんだろ?
  髪形変えてるかな?


  798 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/12(水) 04:41:32 ID:kVFsTen80
  見た目に関する描写って・・・
  風花さんより背が高いって事位?
  具体的に書かれてないなら
  好きに想像していいんじゃないかな


  799 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/12(水) 17:50:54 ID:0yIriz1FO
  キタロー「ホワイトデーの仕返しだけど好きなの選んで下さいドラムロールスタート」
  風花「色々突っ込みたいですが行数が足りなくなるので花丸のまでお願いします」
  キタロー「はい」
  風花「何ですかコレ」
  キタロー「スイッチかな」
  風花「何のスイッチですか」
  キタロー「とりあえず押してみ」
  風花「はあ(カチッ)」

  『平賀タイキック』

  風花「だ誰ですかあのキックボクサー風のタイ人どこへ向かったんですか」
  キタロー「平賀ん家かな」
  風花「もしもし山岸です部長今すぐそこから逃あああああ部長が部長が」


  800 :名無したんはエロカワイイ [sage] :2008/03/12(水) 19:23:38 ID:kVFsTen80
  今凄いイイ笑顔のサガットがウチの前を駆け抜けてったんだけど
最終更新:2008年03月15日 01:18