ども、銀っす!さっそくですが本編!


あらすじ:師弟(予定)同士が戦うようなトラブルが発生した『力の剣』グループ。結果はレイ、ブイモンクローンの圧勝であった。
一方『知の剣』グループではナキエが『恋の悩み』とやらに直面。グリネがいきつけのサウナに連れて行き、事態はとりあえず解消した。『運命の剣』グループはなんだかんだで少し和やかな時間を迎えていた。
そしてレビエモンらはセフィロトウェポンの完成にまた一歩近づいていた…。

 

 


第18話:恐怖と修行と始まりと…


「結局インスタントかよ・・・。」

 

ココロはそうつぶやく。エンジェウーモンの手料理はエンジェウーモン本人の判断により中断、そして今、偶然持っていたインスタントカレーを口に運んでいる。
『あの言葉は絶対嘘だ』 何人もの人々の舌を癒してきた?包丁もまともに使えないくせに…。とんだ嘘つきだなこの人は。そう思いながら思わずため息をつき、隣りで同じ料理を口に運ぶネッ君に目をやる。

 

 


やっぱりコイツはコイツだ。

 

 

カレーを口に運ぶものの顔から生気が完全に消えうせている。そこまで手料理が喰いたかったかお前は。
エンジェウーモン本人は何事もなかったかのようにケロッとした表情でカレーを口に運ぶ。少しくらい反省した表情見せろよお前。

 


しばらく食べるだけの無言の時間が続き、ココロはなんとなくエンジェウーモンの方に目をやった。

 

何か物足りない。

 

エンジェウーモン自身ではない。周りに何か足りない気がしたのだ。ココロはカレーを口に運ぶのを中断し、真剣に考えてみた。そして結論が出た。

 

 

そういえばエンジェウーモンにテイマーがいない。

 


『光の盾』にはまだエンジェウーモンとあの外国人&サムライにしか会っていないが、決定的な違いが「テイマーの有無」だった。
ココロはエンジェウーモンの心境を読まずに、ついその思いをそのまま口にしてしまった。

 

「そういえばエンジェウーモンさんのテイマーってどこかにいるんですか?」

 

 

 

 

 

 

エンジェウーモンのスプーン運びが止まった。そして明るめだった表情はドンドン暗くなる。そして隣りにいたエクスブイモンネクストの視線もココロに対して鋭くなった。


「そうか、知の剣の人に会ったってことは修行担当の人にも会ったってことか。わけを話さなくちゃね・・・」

そういうとエンジェウーモンは膝元に皿とスプーンを置き、少し真剣な顔立ちになった。そしてエクスブイモンネクストの視線は更に鋭くなる。

「実は私にも1年前までテイマーと呼べる人がいたの。私だけじゃない、光の盾の皆ね。」

いきなり新事実を話し始めるエンジェウーモン。ココロは驚きを隠しつつもエンジェウーモンの話の続きを黙って聞いた。

「皆仲良しだった。そして私も。でも1年前に起きた例の戦争『デリートオブウィルス』でたくさんの仲間が・・・死んでしまったの。同僚のデジモンやそのパートナー、そして私のパートナーも…。その中で生き残ったのがデジモンが数匹、その中には知の剣の修行担当と力の剣の修行担当。…いつ考えても恐ろしい…」

ココロはあまりにも深刻な話を切り出してしまい、反省と悲しみの気持ちで胸がいっぱいになった。だがその話の最後に聞きたいことココロは口にした。

 

 

 

 

「デジタルワールドで人間が死んだ場合…、どうなってしまうんですか?」

 

 

 


エンジェウーモンはそれ以上暗くならない位表情を暗くしてその最後の質問に答える。

「身の安全は保障され、現実世界に強制送還されるわ。でもデジタルワールドに居た頃の記憶は全て失う。死の痛みも、悲しみも。そしてデジタルワールドに居た頃の喜びも…」

 

 

静かな時間が流れる。聞こえるのは焚き火のパチパチという燃える音だけだ。この状態に耐えかねなくなったココロはその場にスッと立ち上がった。


「ごめんなさい、俺、もう寝ます。」


そういうとココロは足元に皿を置き、エンジェウーモンによって建てられたテントの方へ駆けていった。

 

 


死・・・・・その言葉がココロの脳裏をよぎる。ココロは恐怖のあまり寝袋の中にこもって無理やり目をつぶった。

 


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死というものは…全ての生物が迎える・・・・・・・終わり。つまりGAMEOVER。
だが誰も知らない。そのGAMEOVER、死の先を・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 


そして・・・・それぞれの朝を迎える。


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朝、昨晩遅くに帰ってきたグリネとナキエを迎え、知の剣メンバーは本格修行へ入っていた。山の中腹にナキエ達とグリネ達が距離を置いて立っている。

「コレは本部から教えてもらった知の剣代々伝わる修行、その名も『全弾回避』」

そういうと自分の背中に用意してあった弓と矢を構えるムシャモンハヤテ。だが矢は通常の戦闘用とは違う。なにか…色のついたボールのようなものが付着している。そのボールは奇麗な表面をし、太陽の光に反射しキラキラと光っている。

「コレハ『ペイントボールアロー』。修行用ノ矢デ、当タッテモ色ガ付クダケ。コレヲ使用シマース。」

その言葉が合図なのかのようにムシャモンハヤテは矢を思いっきり肩まで引く。そしてまもなく矢は閃光のように矢は

 


風を切った。

 

矢は見えぬ速度で飛び、スティングモンローズの割れた腹筋にヒットした。赤いペイントボールが崩れ、血の様に流れている。その光景を隣で見たナキエは思わずゾッとしてしまった。

「痛みはないが…これでどうするつもりだ?」

「コノ修行ハ、コレカラ放タレル『ペイントボールアロー』ヲ幾分回避シテモライマス。何カに隠レルモ良シ、制限時間ハ3分。当タッタ回数×10回腕立テ伏セヲシテモライマスカラ、気合ヲ入レテヤッテクダサーイ。」

そういうとグリネは右小指を10mほど離れたスティングモンローズに向け、ムシャモンハヤテを見つめる。ムシャモンハヤテはそれに応答するかの如く3本、矢を構えた。ペイントボールの色は…赤、白、黄色。そしてギロリとナキエ側を睨みつける。

「ア、チナミニコノ修行デハ、ナキエサンモ狙ッテ行キマスカラ!!」

そういうと小指を天高く突き出す。そしてムシャモンハヤテが構えた赤、白、黄色の矢は空を切り、ナキエたちの下へと飛んでいく。そしてスティングモンローズはその矢のターゲットが『ナキエ』であることに気づきナキエの手を引きその場から飛躍、空へ回避した。

「さあさあ!どんどん行くぞ!!」

ムシャモンハヤテはそう言い放つと、背中の矢を五本ほど取り出し全て構えた。

 

 

時刻は9:46(デジタルワールドにて)。知の剣グループ、修行開始を確認。

 

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降り注ぐ太陽の光、優しく響く波の音、そして砂浜を歩く2人の少年と気味の悪い色の恐竜、そして赤い鳥。力の剣グループは浜辺を散歩していた。

「で、私をナイスバディなデジモンにしてくれるんでしょ!?どうやって!!??」

ワクワクした瞳でレイを見つめるアクィラモンブラスト。その言葉を聞き、一瞬レイの瞳が鋭くなった。一方テンリュウ自身は興味が無いのか、海を見つめている。

「へへぇ、本当にやるんだね。その言葉、修行開始の合図と思っていいね?」

レイの怪しげな言葉にテンリュウも一瞬レイに目を向けた。ブイドラモンクローンはその言葉に応じるように肩をブンブン回し、何故か戦闘態勢。

「うん、いいんだけど、だからどうやって?」

アクィラモンブラストはその半分意味深な言葉に戸惑いつつも返答する。そしてレイの表情から一瞬、笑顔が消えた。

「クローン、GO!!」

「わかったレイ!!ブイマッハ!!!」

 

 


二人の声が聞こえ、一瞬風が巻き起こった。急な暴風、いや、それ以上の風がテンリュウとアクィラモンブラストにぶつかる、いや、「ぶつかった」と言った方がいいか。アクィラモンブラストは思わず目をつむり、テンリュウはできるだけ風をさえぎろうと腕で風をさえぎった。
そして一瞬の風が吹き止み目を開けると、レイとブイドラモンクローンは何事もなかったかのようにその場に立っている。

「フフフ…後ろを見なさい。」

レイは女口調でそういうとアクィラモンブラストの後方の空を指差す。後方に目をやると驚くべき光景が視界に入った。

 


2本の鉄の筒が空を舞い、花火の如く爆発した。

 


テンリュウはさすがに驚き目を丸くさせ・・・・ることもなく、とりあえずアクィラモンブラストの後方を見る。
背中に装填していた大砲が消え、バチバチを火花を立てている。

「貴様、この短時間で何をした?」

テンリュウは相変わらずの無表情で問い詰める。ブイドラモンクローンは少し厳しめの表情、先生が生徒を呼び出して指導するような…そんな表情でこういった。

「あのねぇ、力の剣ってやつは初代から今までにかけて打撃による攻撃や剣による物理攻撃しか行っていないんだ。君のパートナー、アクィラモンは全くの特例で射撃攻撃を使用していた。ということでここは『力の剣のルール』にしたがってもらおうと思ったんだ。」

アクィラモンブラスト本人は、まだ外にかすかに残っていた爆発の煙を眺めて唖然とする。あの短時間で一体…。ブイドラモンクローンの強さを信じざるをおえないと心の中で少し思い始めた。
そしてその爆風をともに眺めていたテンリュウは・・・・

 


不気味な微笑を浮かべた。

 


「貴様、そこまでするのなら・・・俺たちを強く・・・強くする自信があるんだな?」

そういうと微笑みに怪しさが増し、ついに軽く笑い始めた。その表情を見ながらレイは微笑む。

「へぇ、やっとやる気になってくれた?」

そういうとテンリュウはコクリと頷く。だが表情は決意や自信…そんなものではない。

 

 

何か・・・・・楽しむ表情であった。

 

 

 

時刻は10:30。力の剣グループ、修行受諾。


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レビエモン城・とある一室


流れゆくベルトコンベア、小さなトンネルから現れるのは無数の鈍い光沢を放つ緑色の醜い形をした塊、そしてその塊を眺め微笑むマントの男と鎧の男…。
鎧の男レビエモンは塊『セフィロトウェポン』を手にし、ニヤリと微笑む。

「量産型…ついに完成したな・・・。これで野望に近づけるな…。」

そういうともう2つ、量産型セフィロトウェポンを持ち出し部屋のドアを開け、部屋を後にしようとする。

「どちらへ?」

黒マントの男、ダーケンモンは部屋から去り行くレビエモンの背中を見て問いかける。レビエモンはその言葉を聞き、怪しい笑い声を発する。その声は部屋の壁を弾き、外の長い長い廊下へ響き渡り、城中に響き渡った。

「クハハハハ!!まあ簡単に言ってしまえば『テスト』。完全に成功しているか…。私の部屋に実験用の『サンプル』がある。見に来るか?」

レビエモンは廊下から出て真向かいのドアを見つめる。

「向こうのドアの先にサンプルがいる・・・。改めて聞く。来るか?」

レビエモンの笑い声は収まり、小さな微笑に変わる。その微笑を見ながらダーケンモンは無言で頷いた。

 

 

 

そして扉を開けた。

 

 


「こ・・・これは・・・」

部屋の奥にあったのは細長いカプセル。3台あり、緑色の液体がつまっている。中にはデジモンが一体ずつ入っている。子猫、巨龍、鬼…、どれも目をつむり、カプセルの中にすっぽりと入っている。

「こいつらは過去に『デリートオブウィルス』で私たちが消し去った『光の盾』のデジモン達の残留データを集めた、セフィロトウェポンのための『器』…。そしてこのセフィロトウェポンの再生能力を使う。そして三本の剣の『実力チェック』とでも行こうか・・・」

そういうとレビエモンは再び怪しい微笑を浮かべた。

 


続く


ども。改めまして久々復帰の銀です。最近学校行事等が続きなかなか書き込みができませんでした・・・。
これからも勉強等で書き込みが遅れると思いますがどうぞ記憶の隅にでもそっと置いておいてくだせぇ。
でもなんだかまた無茶苦茶だなぁおい…。
こんな感じですが苦情・感想・アドバイス等お待ちしております…。

今回は前回に特に新キャラの登場が無かったためキャラ紹介は省略させてもらいました・・・。

 


初公開日:????年09月25日 INTENTION公開日:2009年12月31日
作者許可により、デジモンウェブ掲示板より原文を転載

最終更新:2009年12月31日 01:42