皆様お久しぶりです、銀っす。なんだかんだで5ヶ月あまり…とにかく帰ってまいりましたよ!!受験戦争を切り抜け、これからはゆったりと書けそうです…。
ではさっそくですが本編!
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微妙に時を遡り…
朝…ココロはふと目を覚ました。
目覚めはいい。体は順調に感覚を取り戻していく。
感覚を取り戻し、意識も取り戻し、ココロは今の自分の状況を視界と体を通して把握した。
1・今まで大の字の状態で寝ていた。
2・寝巻きは着ていない。まあ昨日は半分ふて寝だったからであろう。皮ジャンとGパンのままである。
3・伸ばし切った両手は何かに触れており、それぞれ違う感覚がする。
で・・・・感覚というのは右手に硬い感覚、左手にはそれより更に硬い鉄のような感覚。昨日張ったテントの中にあるものといえば荷物…。それと多分眠った後にエクスブイモンネクストがテントに入って寝ているはずだ。
まずココロは右手に目をやった。
手を置いてあったのはエクスブイモンネクストのたくましい胸板。ちょうど腹部のX字の中心に手がおいてある。そして顔に視界を写すと目と口を閉じ、スースーと眠っている。
そして謎の感触のした左手に目を移した。丸い…何か丸いものに触れている。冷たく硬い感触…鉄?
なんだか気味が悪い…。起きよう。ココロはそう察し、丸いものからそぉっと手を離す。
「ん…そこはくすぐったいよぉ…んぁん…」
何か聞こえる…ココロの吐息でも、エクスブイモンネクストのいびきでもない何かが…
ココロは恐る恐る丸いものを覗き込む…
鉄仮面…金色の髪の毛…見慣れた顔…
エンジェウーモン…
隣りで寝て――――
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??」
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「いや~、ごめんね驚かせちゃって」
エンジェウーモンはテントをたたみながら微笑む。いくら相手がデジモンであろうと人に近い意思を持つ女の形をした生物、その人が密着で添い寝…ココロはそう考えながら顔を赤らめ黙々とテントをたたんでいる。エクスブイモンネクストはあまりにもの出来事に状況がつかめず、困惑した後ポケーっとしていた。口からよだれまで・・・。そりゃエンジェウーモンにあんなデレデレだった夜にアレじゃそうなるだろう。
「いやさぁ夜一人で寝るの怖くてさぁ、私。だからつい・・・ね。」
「な・・・・」
一人で寝るのが怖い…ココロはその言葉を聞き何を思ったのか更に赤面した。その表情を見たエクスブイモンネクストはそれを横目で見て「へっ、思春期が・・・」と小声で半分冷やかすように言った。さっきの表情はどうしたさっきの表情は。
テントもたたみ終え、その後昨日の残りの夕食を朝食として再び食す。これもエンジェウーモンの不器用さからのこと、中学3年生ながらロクに料理の作れないココロは一瞬家庭科の授業をまじめに受ければよかったと後悔した。
朝食も食べ終え、色々と荷物もしまいあたりは平原と小さい小川のみの広々とした空間に戻った。天候は晴れ、小春日和で風がとても心地よかった。
「はーい、じゃあこれから修行を始めまーす」
エンジェウーモンは柔らかい声でそう言う。いよいよ本格的な修行が始まるらしい。
エンジェウーモンのもとへ駆けるココロとエクスブイモンネクスト。1人と1匹は修行開始という現状に緊迫感を覚え、ゴクリと唾を飲んだ。
そこでエンジェウーモンはココロの腰にあったD-コネクターを取り上げる。
「んーと・・・・じゃあまずは最初にD-コネクター、コイツの使い方を説明するね。」
正直グリネ達と会ってこのD-コネクターを渡されたものの、具体的な使い方がよく分からなかった。普通のデジヴァイスよりかはオーバーヒートがしにくく、無理をしても大丈夫…それ以外特に何も教えてくれなかった。
「使い方…ですか。」
「うん。じゃあまずこれの特徴を説明するね。」
エンジェウーモンはココロにD-コネクターを投げ渡す。ココロはそれをキャッチし、エンジェウーモンをしっかりと見つめた。
「まずD-コネクターの真価は人間とデジモンとの同調…。D-コネクターって名前だから『接続(コネクト)』って言ったほうがカッコイイかな?」
「接続・・・・・」
「うん。ここからが本題。このD-コネクターについているプラグ、これを人間の体に触れさせることで接続が可能なの。」
とりあえず接続とは聞いたもののその接続をすればどうなるか…それが分からない。それを言わぬ間にエンジェウーモンは自分のカバンからいびつな形をした黒く光沢を持った鉱石を取り出してきた。
「これはこのデジタルワールドにある物質『クロンデジゾイド』、昨日の朝製造したての原石状態よ。ネクスト君、コレを殴り壊して。」
「え・・・・あ、はい。これくらい・・・」
エンジェウーモンはそういうと原石を地に置く。そしてそれに指差し、合図を送る。エクスブイモンネクストはそれを見て、スッと身構えた。クロンデジゾイド…ココロはこの単語に覚えがあった。ココロの知っている中のデジモンではズドモンのハンマーに使用されていたり、メタルエテモンの全身にコーティングされていたり…。まず言えることはソレは成熟期で破壊することは…不可能。
「・・・・・かぁっ!!!」
エクスブイモンネクストはそれを右こぶしで殴る。
ゴン
鈍い音がする。ココロの視界に見える光景は、硬い鉱石の上にエクスブイモンネクストの拳が乗っているだけ・・・。
「駄目だ…ビクともしねぇ・・・・」
鉱石は原型をそのままにし、黒く鈍い光沢を放ち続けている。
エクスブイモンネクストは鉱石から手を遠ざける。エクスブイモンネクストの右こぶしは少し赤くはれ上がっている。痛そうだ。だがその色は青色の皮膚と混色して紫色に見えた。エンジェウーモンはその光景をみてニコニコと微笑む。
「あなたが普通の成熟期じゃないことは分かってる。でもソレは原石の状態でありながらも並の完全体ランクのこぶしでも壊すことは不可能。だがソレを接続で…可能にできるの。」
「接続・・・・」
ココロはD-コネクターを眺める。もしこれにそんな力があるとしたら…そう思うと恐ろしさや色々なものを感じ鳥肌が立った。
「じゃ、やってみて。右腕に。」
エンジェウーモンはココロの右腕に指を指す。ココロは唾をゴクリと飲み込み、そーっとプラグ部分を自分の右腕に近づける。近づけるたびに緊張が増す。心臓の音も段々速くなっていくのも分かるほどドクンドクンと動いている。そして右腕の皮膚にプラグを押し当てた。
接続-コネクト-
コォォォォォォォォォォォォォ
右腕にプラグを当てた途端、ココロの右腕は…光った。指先から肩近くまで、黄色く、柔らかく光っている。試しに腕を振り回しても、光は消えることなく、ココロの右腕で光り続けている。
そういえばネッ君に何か変化は…そう思いココロはエクスブイモンネクストに目をやった。
「な・・・なんだよこれ・・・。」
彼の腕もまた…光っていた。同じ黄色に光っていた。全く一緒だった。
まさに「接続-コネクト-」・・・ココロは自分とエクスブイモンネクストが繋がっている様な気がした。少しばかし…うれしかった。
「ささっ、それがコネクト状態ね。この状態でこれ…殴って見て。」
エクスブイモンネクストはもう一度黒い鉱石を見る。鉱石はエクスブイモンネクストをあざ笑うかの如く光沢を放つ。
「よし、やってみるか・・・。」
エクスブイモンネクストは鉱石を見下し、サッと構える。
「ウルァアアアアア!!!!」
そして、再び鉱石を殴りつける。
ガゴンッ!!!!!
先ほどとは違う鈍い音。説明しずらいが、さっきの音とは比べ物にならないほど低い音だった。その音は大きく、ココロは思わず目を瞑り、その場にしゃがみこんだ。
目を開けるとエクスブイモンネクストは先ほどと同じ体勢、鉱石の上に拳が乗っている。拳の光も完全に消失している。だが何か違う。エクスブイモンネクストは満足げな表情を浮かべている。
「ちょっとだけだが・・・・手ごたえあったぜ。」
ピ・・・ピシィッ
鉱石に数ミリほどのひびが入った。まだまだ鉱石が崩壊するまでには及ばないものの鉱石に多少のダメージを与えることに成功したのだ。ココロも思わず「おぉお・・・」と声を漏らす。
ビクン・・・!!
「つ・・・・痛っ!!」
ココロは自分の右拳に急に痛みを覚えた。鈍器のようなもので拳を殴りつけられたような、そんな痛みが右拳に伝わってきた。響く…痛みが骨の芯から筋肉にかけて痛みが響いてくる。ココロは右拳を抱え、その場にしゃがみ込んだ。
「おい・・・ココロ!?大丈夫かお前!?」
エクスブイモンネクストは心配そうな表情を浮かべ、ココロの元に駆け寄る。
「え・・・うん、大丈夫・・・痛みは引いたみたいだけど・・・右拳が急に痛くなって…。」
「右拳…お前も…。さすがにアレを思いっきり殴ったら痛い…だがその痛みがココロにも・・・」
エクスブイモンネクストは抱えられたココロの右拳を無理やり引っ張り出し、まじまじと自分の拳と見比べる。エクスブイモンネクストの拳には、殴ったときに出来た痛々しい青あざがほのかに残っているが、ココロの拳には全く外傷が無い。
「ココロが感じたのは痛み…だけ?」
首をかしげるエクスブイモンネクスト。自分が感じた痛みをココロも同じように感じ、外傷は無し…。どういうことだか彼自身にはさっぱり分からなかった。
「じゃあ改めてD-コネクターの能力、説明するねー」
その光景を見物していたエンジェウーモンは明るいトーンの声でそういった。そして話を続ける。
「このD-コネクターはデジモンと人間を接続する能力があるって・・・言ったよね?D-コネクターには人間が接続した部分と同じ部位を『デジモンのみ』強化させることができるの。今みたいに腕の力が急激に上がったりするのもそう。それと、人間は強化できない、勘違いする前に言っておくね、コレ。そして接続状態では接続された部位の痛みはデジモン、人間、互いに「共感」される。今みたいにね・・・。」
「ざっと説明を聞く限りではデジモンの肉体を強化できる代わりに痛みは共感…つまり諸刃の剣…というわけだ・・・よな?」
エクスブイモンネクストの問いかけにエンジェウーモンは眼力を強め、ココロの方を向く。
「うん、そういうところね。だからココロ君、あなたにはこれからある程度の痛みを受けることを覚悟してもらわなければいけない…いい…よね?」
エンジェウーモンはココロに問いかけ、さらに強いまなざしでココロを見つめる。そのまなざしは真剣さを持ち、これからの戦いの厳しさを物語らせる…そんな瞳である。そしてそこから感じるものはエンジェウーモン自身の戦闘における経験からでる風格…。かなりの戦闘を重ねてきたから言える事なのだろう、
目つきも本物だ。
そのまなざしを食らい、右手の痛みも取れたココロは痛みの次によく説明しづらいを覚える。ネッ君と痛みを共感すること・・・つまりこれからレビエモンのような強敵に再び体を張って挑むということ、そして彼と本当の意味で一緒に戦う…ということであるのだ。ココロは痛みを感じる恐怖心と彼と一緒に戦う
という決意の心を一緒に覚え、それが胸の中でもやもやと入り混じるような感覚を覚えた。だがここは決意の心を強く持った。ネッ君だって痛い思いをして自分を守ってくれている、そういうことを思いながら…。
「わかりました・・・。俺、痛みになんか負けません!」
その言葉を聞き満足したのかフフフと声を漏らしエンジェウーモンは微笑む。エンジェウーモンは笑顔のままひびの入ったクロノデジゾイドを拾い、手に取る。
「じゃあ操作方法を知ったところで…修行その2…実戦演習。戦闘によりD-コネクターを使い慣れて貰うよ。」
「実戦…、でも相手はどこにいるんですか?」
ココロはとにかく辺りを見回し相手を探す。そしてふとエンジェウーモンに目を移すとエンジェウーモンの天使のような笑顔は、
悪魔のような怪しい微笑みに変わっていた。
「ど・・・どうしたんですか?」
「修行相手…ここにいるよ。」
エンジェウーモンはその表情のまま手に持っていたクロノデジゾイドをギュッと握り締める。その手には力が段々と加えられていくのが見ていて分かった。うっすらと手の甲に血管らしきものがうっすらと浮かんでいるからだ。
ギ・・・・ギギ・・・・
悲鳴が聞こえる…クロンデジゾイドが上げる『悲鳴』。きしむ音。握り締める力が強くなるたびに悲鳴は更に大きくなる。そして・・・
ガゴン
砕けた。クロノデジゾイドの原石が天使の手の中で握りつぶされた。天使は握っていた手を解き、『クロンデジゾイドだったもの』を地面に放つ。それは見事に粉末に砕け、偶然吹いた風に乗り空へ待っていった。
恐怖…エクスブイモンネクストとココロは感じた。とてつもない怪力、そして悪魔の微笑み…。彼らにとって今のエンジェウーモンは『恐怖』そのものだ。殺気を感じ背筋が凍る、足も震えてくる…。
そして察する、修行相手は―――――
「相手ってまさか…」
『修行相手は勿論私…光の盾三番隊隊長、エンジェウーモンよ。』
続く
あとがき
あー技能低下してると思われるか心配しながらの投稿…。もう全然こっちには投稿してませんでしたねぃ(汗 ちょくちょく見てはいましたが(何
受験も終わったんでこれから書き込めますよぉ。ペースは遅いかも知れませんが(^^;)
ここからお知らせ…
えー俺がいない間にこのホームページもお掃除したみたいで…いくつか俺の書き込み消えてるみたいで…。バックナンバー残っていないブツがあるみたいなのです!(過去保存し損ねたモノがあるため)そこでいつになるか分かりませんが次回は総集編ってことで今までの『おさらい話』を掲載したいと思います!
とりあえずバックナンバー。
第1話:No.68065
第2話:No.68069
第3話:No.68106
第4話:No.68113
第5話:No.68167
第6話:No.68174
第7話:No.68187
第8話:No.68231
第9話:No.68254
第10話:No.68323
第11話:68355
第12話:-
第13話:68416
第14話:68636
第15話:-
第16話:-
第17話:69027
第18話:69256
―がしてある部分は消えてしまったバックナンバー…保存しなかった俺が悪いな、ウン。
…というわけで総集編書きます。ですが今度読み切りとかにtryしてみるかも知れないんでそこからになるかも知れませんが…。
では、感想、アドバイスなど今まで通りお待ちしていますw
初公開日:????年02月17日 INTENTION公開日:2009年12月31日
作者許可により、デジモンウェブ掲示板より原文を転載