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十一話「熟した果実と未熟な果実」 補完

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zecre

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Q本編では省略されたバトルのプロット。



ナナミVSオツイチ


押せ押せのオツイチ。
吹っ飛ばされたナナミは壁にめり込む。
オツイチ「素質は俺より上だァ。しかし精神に安定感が無い。
     やっぱガキだって事だな」
ナナミ、はにかむ。
オツイチ「要するに灰色なんだよ。お前のココロは
     未だに殺す殺さないの間で揺れている。違うか?」
ナナミ「私は殺すって・・・」
オツイチ「昨日今日の話だろ?ソレで安定できるほど世の中甘くない」
オツイチ「思考はその考えに基づいた経験の積み重ねによって定着する」
オツイチ「お前はその考えに至った後、まだ何人も人を殺していないだろう?」
オツイチ「それじゃ俺は倒せないな」
ナナミ「・・・」
オツイチ「世の中黒か白かだ。色んな考え方があるだろうが
     中途半端、灰色が一番イケナイ。どちらかに傾かないと
     身動きがとれなくなる。綺麗事は何の役にも立たない。
     所詮、中庸・・・灰色は現実の前に無力という事だ・・・」
オツイチ「完全にどちらかの色に染まって・・・オバンになってから俺と出会うべきだったな」
オツイチ「・・・ふふ。喋りすぎたな。素質で俺に勝る強者に
久しぶりに出会って興が乗ったか。良い家の子供なんだろうな」
オツイチ「事実は有か無か。黒か白かだ。残念だが俺はお前に判決を下す。」
オツイチ「白に・・・無に帰せ」
オツイチがナナミに飛びかかってくる。
そこで時間が止まる。
裏ナナミが現れる。
裏ナナミ「良かったねぇ。こんな素敵な人に出会えた」
裏ナナミ「やっと覚醒できるってもんだ・・・。あん・・・?
     表現が漫画的・・・?」
裏ナナミ「幼い君には吹っ切れるかどうかがとても重要な事だった」
裏ナナミ「そして、その為の準備はもう出来てたんだ。さっき言ったよね?」
裏ナナミ「さぁ、一つになろう」
裏ナナミ「昔と現在の脈絡を確保してそれでいて新しい君になる」
裏ナナミ「過去を拾う事で人の生には意味が生まれる」
裏ナナミ「自分に意味を見いだせた人は・・・強いよ」
裏ナナミ「言ってる事通じたら・・・一つになれるよ」
ナナミ「・・・」
ナナミ「何となく・・・分かるかな」
裏ナナミ「・・・嬉しい!」
手をつなぐ裏ナナミとナナミ。
ナナミの髪がセミロングから伸びてロングになる。
裏ナナミ「二神合体!!!真・ナナミ!」
向かってくるオツイチを一刀両断。
目を見開くオツイチ。
オツイチ「・・・!」
オツイチ「・・・これが現実の判断か・・・!」
オツイチ「ふふ・・・能書き垂れても負ける時は負ける・・・!それが現実・・・!」
オツイチ「白黒つけられたぜ・・・ガキ・・・!」
オツイチ「お前の努力と才能に乾杯だ・・・!」
身体が両断され地面に落ちるオツイチ。
すぐにコト切れる。
ナナミしばし沈黙。
「昔の私と繋がれる・・・」
「それはそれは幸せな事・・・」
「私は幸せになれたんだ・・・」
オツイチの死体を一瞥して、走り去るナナミ。
戦況を動かすのは・・・一人の少女・・・。

出典


セツナ&フユヒコVSサセ子


サセ子、二丁鉈「パイドパイパー」を振り回して
不規則な動き。セツナ、全身に裂傷。フユヒコ戦力外。
サセ子「ボクは戦闘は仕事だって割り切ってるなり。
    レプタイルはココロ無しだって口を酸っぱくして教えられるなりからね。
    でも、ボクにとってはココロ無しであるという事は
    スローガンではなく真実なり」
サセ子「レプタイルに入るまでは甚振られるばかりの人生だった。
    だから、辛くてココロを閉ざしてたら本当にココロが無くなったよ。
    感度が凄く悪くなってさ。現実に起きる事に、さして
    興味関心が向かなくなったの。
    自分の身体の事に関しても妙に現実感が無くなった。
    自分の身体の価値がどんどん下がっていったね。
    そんな時、ネットの世界が嫌に優しくて・・・。
    銀河特急君の作品見てると、懐かしい想いに浸れる。
    ボク、友達いないけど、『昔のボク』となら友達になれるん
    じゃないかって思って・・・」
サセ子「銀河特急君の中には昔のボクが居る。ボクと繋がれる」
サセ子「ボクの中のボク・・・日に日にどんどん死んでいく。
    死屍累々。君と繋がれる可能性もその内消えて
    本当にココロ無しになってしまう前に・・・。
    ココロが無いという事は人と本当の意味で繋がれない
    という事だから・・・。
    さァ。フユヒコ君。邪魔者を排除したら
    ココロとココロを通わせよう。セックスしよう」
サセ子「こんな風にしか人と繋がれなくなってしまったのが哀しいなりね」
セツナ、息を整える。
鷹のような眼。サセ子に照準。
セツナ「お前、そんな風に自分の問題点分かってるのに
    直そうとしないのは甘えだぜ」
セツナ「フユヒコ、お前もだ・・・」
セツナ「そしてアタシも・・・」
セツナ「最後までツンデレで悪かったな」
セツナ「一回くらいデートしてみたかったわ」
セツナ突進。
サセ子、回転を始める。
サセ子「大嫌いなんだよォ!そういう純真無垢なの!
    汚れちまえ!」
セツナ「アタシも不本意だ!」
蹴る為に伸ばしたセツナの脚が切断される。
サセ子、微笑む。
セツナの脚の斬れた部分に禍々しい炎が宿る。
セツナ「邪気蹴り(ヴァニシング・アックス)!」
セツナ、胴体を両断されると同時に必殺の一撃。
吹っ飛ぶサセ子。
眼鏡も吹っ飛ぶ。
「乱視矯正用」。
サセ子の腹が抉れている。中は見えないがグチャグチャだ。
両断されたセツナ。まだ息がある。
セツナ「愛・・・深しだぜ・・・」
中指を突き上げるセツナ。
サセ子はコト切れている。ショック死だ。
フユヒコ「セツナ!」
セツナ「フユヒコ・・・ツンデレは病気だ・・・。
    ミナセにもよく伝えてやって・・・。アタシみたいに
    ならないように・・・。君がずっと好きだったわ・・・」
セツナ死亡。
フユヒコ、慟哭。
自分の内のヘタレに気づく。

出典


チヨジVSサツキ


サツキ「なかなかの頭脳戦だった。
    力の無い奴にはそれなりの世渡りのし方があるもんだよな」
サツキ「お前に少し興味が湧いたぞ」
サツキ「お前はどんな仕事する奴だ?」
チヨジ「・・・!」
チヨジ「芸術家志望!だけど、きっとミズエさんの隊で
    ずっと兵隊として働く!」
サツキ「芸術家志望か・・・。良い仕事だ。
    しかし、夢を叶えたからと言ってワーカ・ホリックになるのは
    良くないな。仕事というのは辛い事をやって、その対価を得る
    モノであるからして、それ自体が目的になってはいけない。
    働いた分の給料が貰えないなら夢を度外視して辞めるべきだしな」
チヨジ「私はミナセが認めてくれたから芸術家を目指してるだけだよ!」
サツキ「・・・嘘だな。お前の具現化した絵・・・。
    ココロ無しの俺でも怨念みたいなモノを感じたぜ。
    人を感動させられるってのは素晴らしい事だ。
    ココロ無しの俺からすりゃ羨ましいね」
サツキ「これから命を奪う奴の、世界における仕事を一応
    聞いとくのは俺の趣味だ。
    お前のココロはお前が思ってるより芸術に浸りきっている。
    お前はエセじゃない。本当の芸術家だよ・・・」
チヨジ「・・・!」
チヨジ「そんな・・・!」
サツキ「気にするな。俺もお前も全ての営みが自己満足だ」
サツキ、クナイをかまえる。
モミジ「待てよ」
カエデ「全然コミュニケーション成り立ってませんよ。失礼ですけど
    全ての営みが自己満足ってのは、そういうレベルの話じゃないでしょ」
モミジとカエデが現れる。
モミジ「お前も俺のコンサートを聴いていくが良い。
    可愛娘ちゃんの前ならテンションもMAXだ」
カエデ「チヨジちゃん。逃げてよ。この人、恐ろしいくらい強いよ」
睨みあう3人。
チヨジ後ずさる。
サツキ「なんだかんだ言ってフェミニストなんだよな、俺は。
    その分、仕事の敵の男には・・・キツいぜ」
サツキの瞳がギラリと光る。

チヨジが両の腕をクナイで張りつけにされている。
足下にモミジとカエデの死体。
後ろで裏チヨジが泣いている。
裏チヨジ「もうミナセに会えないよぅ~。
     私達、一度だってモミジ君やカエデ君に勝った事無いのに
     二人が負けちゃった・・・」
目の前に上機嫌なサツキ。
ニコニコ破顔している。
サツキ「自分の絵を具現化させるエニグマか。絵、上手いんだな。
 尊敬するぜ。俺も下手くそな水墨画やっててな」
チヨジだんまり。
もう既に生き残る事を諦めかけている。
それでも口を突いて出る言葉。
チヨジ「私はエセだから・・・。自分の夢を叶えられないまま死ぬ
 エセ芸術家なんだ」
サツキ「この腕で?ほほぉ。プロフェッショナルの世界ってのは
    厳しいもんなんだな」
サツキ「でも俺、お前の絵、好きだぜ」
サツキ「それにエセっつってもお前全然画家になる事諦めてないだろ?
    分かるぜ」
サツキ「そうだなぁ。『エセ芸術家』と『ガチ芸術家』の
    ココロの中のせめぎ合いが向上を生むんじゃないかな?」
サツキ「俺だってレプタイルのスローガンと違って
    完全にココロ無しじゃなくてココロ在りなんだ」
サツキ「で、開き直って俺はココロ無しだ!俺はココロ在りだ!って
    どっちかに偏っちゃったらココロが栄養不足になっちまう気がするな」
サツキ「2つのココロのせめぎ合いが向上心とココロの栄養を生むんだよ」
サツキ「だからお前だって絵が好きなら、私はガチ芸術家だって
胸を張って強く思う気持ちもあった方が安定できると思うけどな」
チヨジ「・・・」
チヨジ「・・・そうかも」
チヨジ「私が芸術を強く求めるココロは私がガチ芸術家である証・・・」
サツキ「なっ?安定しただろ?」
サツキ「じゃあ。死ね」
サツキ、刀をチヨジに深々と突き刺す。
サツキ「やっぱ綺麗にしてやってから殺した方が俺の方もスッキリするわ。
    仕事人失格かな?俺。いや、俺の定義ではこれこそガチ仕事人だ」
チヨジ「ガフッ」
チヨジ吐血。
とくとく・・・とくとく・・・。
流れ出る私の命・・・。
流れ出るミナセとの繋がり・・・。
私がミナセと関われる可能性が・・・消えていく・・・。
もうミナセの目に触れる事もできず
身体に触る事もできず
やがてミナセの頭の中からも消えて
ミナセにとって知らない誰かになる。
私が私である理由の消失。
ミナセ・・・ミナセ・・・ミナセ・・・。
ずぽっ。
チヨジが刀を引き抜く。
背を向けたサツキが振り返る。
サツキ「あら?エネルギーほとんどゼロの状態で急所突いてまだ動けるか?」
サツキ「やっぱ俺って仕事人失格・・・」
サツキ「ってゆーかエネルギーが増えてる」
サツキ「初めの約10倍・・・」
サツキ「10倍っつったら・・・」
サツキ「死の淵で誰かの事を本気で想う事で覚醒すると言われる
    伝説の精神エネルギー・・・」
サツキ「優力(テンダネス・マイ・ハート)なのか・・・?」
チヨジ「まだ戦える・・・ミナセに・・・会いたい!」
チヨジ「月の塔(ルナティック・タワー)!」
巨大な塔が具現化されその上にチヨジが立つ。
サツキ「やれやれ。残業か。手当つくかな?」

戦闘
暗転

サツキが死んでいる。
チヨジも血まみれ
チヨジ「血が・・・出過ぎだよ・・・」
チヨジ「ミナセ・・・ミズエさん・・・なんか分かったよ」
チヨジ「自分を全部出せただけでなんか気持ち良いや・・・」
チヨジ「努力の成果も才能の成果も大したモノじゃない」
チヨジ「私は私の道しか歩けないから・・・私の精一杯を出せば良かったんだ」
チヨジ「人はそれで皆、大体満足できる」
チヨジ「重要なのは勝負する事で・・・」
チヨジ「結果はあまり重要では・・・な・・・い・・・」
チヨジ、ずるずると身を引きずって動き出す。
ミナセにできれば会いたいけど・・・あと一つ
なっちゃんに言いたい事がある・・・。

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