イカされてしまった・・・一方的に、しかもこんな格好で・・・

茜の両手を押さえつけていた響也の手が徐々に弱められ、
足に力が入らない茜の体は床に崩れ落ちた。
乱れた衣服を直す気力もなく、まだ呼吸の荒い茜はぼんやりと高い天井を眺めていた。
だがその視界はすぐさま、心配そうに茜を覗き込む響也によって遮られる。

「大丈夫?起き上がれる?」
茜は無言で小さく首を横に振る。手にも足にも力が入らない。こんな感覚は初めてだった。

「茜・・・」

名前を呼ばれ、顔が熱くなっていくのがわかる。
「気持ち良かった?」
「っ!!バ・・・バカ、じゃないの!きゃあっ!」
突然茜の体が強い力で起こされ、そのまま宙に浮いた。
響也が茜を抱き上げリビングを出て行く。
「ちょっと降ろしてよ!どこに連れていくのよ」
「ぼくの寝室だよ。硬い床の上より、ベッドの上でするほうがいいと思ってさ」
「なっ!」
まだ終わらない・・・そう思ったとき茜の秘部が疼いた。

寝室に到着し、響也は茜をそっとベッドに座らせた。
先ほどとは違う優しい手つきで、茜の衣服、下着を取り外していく。
一糸まとわぬ姿にし、ベッドに横たわらせる。
「ちょっと待っててね」
そう言って響也は茜の唇に軽くチュっとキスをして茜から少し離れた。
手早く自分の衣服を脱ぎ、首からかけていたアクセサリも外した。
茜はその様子をただただ眺めていた

(キレイな体だなぁ・・・)

思わず見惚れていると、こっちに振り向いた響也と目が合った。
「ぼくに見惚れてるでしょ」
「なっ・・・なんであたしが!!んっっ!」
異議を唱えようとした口を塞がれる。

響也は茜におおいかぶさり、優しくついばむようなキスの雨を茜の体全体に降らせる。
両手で胸を揉みしだき、真ん中に寄せ先端に吸い付く。硬く突き出たところを甘く噛んだ。
「あぁん!!だ・・・だめぇ・・・」
さっきよりも感じやすくなっている自分の体に戸惑いを感じながら、響也の心地よい愛撫を受け続ける。

響也は一度起き上がり、茜の膝に手をかけ足を大きく開かせた。
茜は一番恥ずかしいところを響也の目の前にさらけ出され、顔が燃え上がりそうなくらい熱くなった。
「い・・・いやあぁぁっ!!見ないでえぇぇ!!」
必死に足を閉じようとするが、響也に押さえられてビクともしない。
「キレイだよ、茜・・・」
そう言いながら、舌で秘裂をなぞる。

「ひゃあああんっ!!あ・・・ああっ!!」
指とは違うザラリとした舌の感触が強い刺激を与える。
蜜のようなトロッとした液体が溢れ出す。
響也は顔を秘所に埋めながら、蜜を丹念に舐め取っていく。
「あん・・・くぅ・・・あああっ!!」
茜に再び限界が近づく。

(また、イッちゃう・・・)
大きな波が打ち寄せようとした直前、響也が行為をやめてしまった。
「あっ・・・」
突然の中断にあと1歩のところでイキ損ねた茜は、涙目で無言の抗議をした。
響也は再び茜におおいかぶさり、茜の頬に手を添えた。
「大丈夫、ちゃんとイカせてあげるよ。でも今度はぼくも一緒にイキたいな」

茜の手を取り、自身のモノに触れさせた。
(すごい・・・こんなに・・・)
はちきれそうなほどに巨大化してるソレを茜は凝視し、
たどたどしい手つきで撫で、優しく握ってみた。
(こんなの入れられちゃったらあたし・・・でも・・・)
「欲しい・・・」
思わず口に出してしまった自分に驚き、焦って手をパッと離した。
恥ずかしくて響也の顔を見られない。

そんな茜を見てニヤリと笑い、響也はそそり立つ自身のモノを茜の秘所に当て擦った。
「あっ・・・」
すぐに進入してくると思っていたが、響也はまだ入れようとはせず、
ゆっくりと何度も上下に滑らす。
「んぅっ・・・」
これだけでも気持ち良いのだが、茜は更なる強い刺激を求めていた。

だがいつまでも入ってこない響也にもどかしさを感じ、
茜は自分から入れようと動こうとしたが、響也に制止される。
「なっ・・・んで・・・」
「入れて欲しい?茜」
こくこくと小さく頷く。
「じゃあぼくのこと名前で呼んでくれたら入れてあげるよ」
「な・・・まえ・・・?」
「そう」
「き、きょう・・・や」
「もっとちゃんと」
「響也・・・響也ぁ」
茜の呼びかけに満足気な笑みを浮かべ、響也は茜に口付けをする。
「よくできました」
そう言って、響也は茜の秘所を行ったり来たりさせていた自身を一気に奥まで差し込んだ。

「ああああああああっ!!!!」
バチバチっと電流が流れたような衝撃が全身に走った。
痛みは伴うものの、これまでとは比べ物にならない程の刺激と快楽に溺れていく。

「茜の中・・・すごく温かくて気持ちいい・・・」
響也の呼吸も荒くなっていた。
自身をギリギリまで引き抜いては、また奥まで一気に貫く。
それを徐々に加速させながら、時折角度も変えていく。
「あんっ・・・あっ・・・あぁっ!」
肌と肌がぶつかり合う音と、結合しているところから流れる淫らな水音が室内に盛大に響き渡る。
お互い激しく唇を貪り合い、唇が離れた後も舌と舌を絡ませ合う。
茜は無意識に腰を浮かせ、響也を更に奥深くへと誘う。
最奥を突付かれ、茜の足がガクガク震えだす。
「んんッ!!も・・・もう・・・だめええええ!!」
「・・・うん、いいよ、茜・・・ボクも・・・もう・・・」

茜の手に自分の手を絡ませぎゅっと握り、響也は最後に思いっきり突き上げた。
「あああああっ!!響也ああああ!!」
「茜っ!!」
茜が達したと同時に、響也は茜の一番奥で果てた。
どくん、どくんと大きく何度も脈打ち、茜の中に熱いものが広がっていった。

「はぁ・・・はぁ・・・」

「はぁ・・・はぁ・・・」

お互いの息がかかる程の距離で見つめ合う。

響也の目はもうすっかり元の優しい目に戻っていた。
安心したのか、茜の目からは涙がぽろぽろ流れる。
それを響也が親指で拭い、茜を強く抱きしめ顔を肩に埋めた。

「ごめんね・・・」
響也は苦しそうに、小さな声で言った。

(謝らないでよ・・・バカ・・・謝られたら、今夜のことが過ちになっちゃうじゃない・・・)
せっかく拭ってもらったところに涙が止め処なく流れる。

茜は縋るように自分に抱きついている響也の頭を子供をあやすように優しく撫で、
そして意識が遠のいていった。

「うぅ・・・ん・・・・」
茜は重い瞼をゆっくりと開いた。
ぼやけた視界が次第にはっきりと映る。

「!!」
目の前に響也の顔があって茜は慌てた。
(そうだ・・・あたし、夕べここに来てこいつと・・・)
昨晩の激しい性行為が、まだボーっとしてる頭に鮮明に蘇る。
カッと顔が熱くなり、ベッドに顔を埋める。
チラッと響也を見たが、響也はまだ眠っていた。
すぅ、すぅと穏やかな寝息を立てている響也に、茜は何故か母性本能がくすぐられた。

「子供みたいな寝顔しちゃって」
響也の頭を優しく撫で、母親にでもなった気分だった。
茜は響也を起こさないようにそっとベッドを抜け出す。
時計の針は朝の5時半を少しまわったところ。
(電車、そろそろ出てるころね)
足元に脱ぎ散らかされている自分と響也の衣服から自分のだけを取り、そっと寝室を出た。

さてどうしようか、どうやって家に帰ろうか。
破れたブラウスを手にし、コレを着て電車に乗るのはマズイなと考え込む。
寝室の向かいの部屋が洗面所なのに気がつき、茜は入っていく。
「とりあえず、借りてもいいよね?」
手に持っていた衣服をまた床に置き、茜はバスルームに入っていった。

中に設置してある大きな鏡に自分の姿が写る。
胸元に夕べ強く吸われた際の赤い痕がくっきりと残っている。
痕を指でなぞると、体が熱くなった。
それを誤魔化すように、茜は少し熱めのシャワーを頭から浴びた。


(※ここから響也視点に変わります)

「うぅ・・・」
響也は小さなうめき声をあげ、体をもぞっと動かす。

(頭が痛い・・・なんでぼく裸で寝ているんだ?)
若干二日酔い気味の重い頭で、昨日のことを順序立ててゆっくりと思い出す。
法廷が終わって、残りの仕事を片付けて早めに家に帰って・・・
上司からの電話にイライラし、滅多にない自棄酒を煽り、そして刑事クンに電話をして・・・・・・・・・・・・

「!!!!」

かばっと勢い良く起きる。
「いてっ!」
いきなり起き上がったことで頭の中にズキッと痛みが走る。
だがそんな痛みなんかもうまったく気にならないほど、
響也は青ざめ、体から冷や汗が流れる。
(ぼくは・・・ぼくは夕べ刑事クンになんてことを・・・!!)
酒に酔ってたとはいえ、まったく記憶がなくなるほどではなかった。
茜にしたこと1つ1つが鮮明に思い出される。

「け・・・刑事クン?」
部屋をキョロキョロ見渡す。
ベッドにはもう茜の姿はない。脱がせて床に散らかした彼女の衣服もなくなっている。
(か・・・帰ったのか?)
ベッド脇に置いてある時計はちょうど朝の6時だった。
(もう電車は出てる・・・そうだよな・・・帰った・・・よな)

響也はがっくりと項垂れた。自分の愚かさが許せなくて、悔しくて涙が出そうになる。
(ぼくは最低だ!!ダイアンのことも兄貴のことも、世の犯罪者達にもボクが何かを言う資格なんかない!!)
茜の涙が脳裏に焼きついて離れない。
(クソッ・・・ぼくなんか消えてしまえばいいのに!!)
謝ったところで許されるはずもない、それどころか訴えられたって文句は言えない、
そしたらぼくは間違いなく有罪だ、検事として保証してもいい・・・
茜が本気で自分を心配してくれたことも、優しさも哀れみなんかじゃなく本物だっていうことも、響也自身わかっていたはずだった。

(死んでしまいたい・・・)
響也はもう何もする気になれなかったが喉が酷く渇いていることに気づき、
とりあえず下着とズボンだけを履きよろよろと寝室を出た。
「ん?」
向かいの洗面所に人の気配がする。

(まさか・・・!)
ガチャ。響也はためらいもせず洗面所のドアを開ける。

「きゃあっ!!」
シャワーを終えたばかりの茜がバスタオルを手に立っていた。
「刑事クン!?」
茜は慌ててバスタオルを体に巻き、響也に背を向けた。

「あ・・・あの、ごめんなさい。シャワーとバスタオル、勝手に借りちゃいました・・」
「い・・・いいよ!!そんなのいくらでも!!」
お互い顔が見られなくて気まずい雰囲気が漂う。

「もう帰ったかと思ったよ・・・」
「か・・・帰りたかったけど、それ着て外に出るわけにはいかないでしょ・・・」
茜が後ろ向きながら床に置いてある衣服を指差す。
破れたブラウスが目に入り、響也は眩暈がした。

「ごめん!!本当にごめん!!謝って済む問題じゃないことは分かっているけど、本当にすまなかった!!」
「ちょ・・・ちょっと!」
その場で土下座を始めた響也に茜が慌てて近寄る。
「やめてください!こんなこと」
「ボクを殴るなる蹴るなり好きにしてくれ!訴えてくれてもかまわない!ボクは喜んで有罪判決を受けるよ!それでも足りなければ、ボクを殺してくれてもかまわない!!」
もうめちゃくちゃなことを言い出す響也に茜は困り顔でしゃがみ、響也の肩に手を置いた。


「顔を上げてください」
「でもボクは・・・」
「あ・・・あたし、怒ってませんから・・・」
その意外な一言に響也は恐る恐る顔を上げる。
口をつんと尖らせてはいたが茜の顔は赤く染まっていて、怒っている人間の顔ではなかった。
「そりゃ突然あんなことされて驚きましたし、怖かったですよ・・・。でもあなたを放っておけなかった。あなたが今抱えている苦しみや辛さを、あたしにぶつけてくれることで少しでも軽くしてあげたいって思った。あたしに出来ることなんて他にないし・・・」
「それは違うよ刑事クン!!」
「それに!!」
響也の言葉を遮り、茜は続けた。

「それに、あたしは自分の意思でここに来たんです。あなたの言った通り何されるかわかった上で」
「うっ・・・」
最低なことを言った昨日の自分を猛烈に恨む響也。
「だから、検事は有罪になんてなりません!」
「刑事クン・・・」
きっと今の自分は自分でも見た事がないほど情けない顔をしているだろう。
でも茜を見つめずにはいられなかった。
「なによ・・・夕べはあんなに茜、茜って連呼したくせに・・・」
また口を尖らせて、ぷいっとそっぽを向いた。
その仕草があまりにも可愛くいとおしく感じ、響也はたまらず茜を抱きしめた。

「茜!!」
茜も両手を響也の背中にまわし、響也に応える。
「ごめんね茜・・・ありがとう」
「検事としてこれからもやっていける?」
「うん」
2人は見つめあい、そして唇を重ねた。長い長いキス・・・

唇が離れ、先に口を開いたのは茜だった。
「そうだ、あたしでも着られそうな服あったら貸してよね」
「あ、うん。サイズが合わないだろうけど、後で渡すよ。それとブラウス弁償するね・・・」
「とーぜん!」
茜がフフンと勝ち誇ったような顔で言い放った。
2人は小さく笑いあった。
そしてまたキスをする。
響也は心の中で祈った。
(彼女だけはボクの側から消えてしまいませんように・・・)
響也は頭痛も喉の渇きも忘れ、久しぶりに穏やかな朝を向かえた。

(終)

最終更新:2020年06月09日 17:34