第33話 自転車マスターがゆく




自転車マスターであるロキが街道をはしりゆく。
ママチャリに乗りながら颯爽と風を切り鼻歌を歌うその姿はまさしく、上機嫌といったところか。
「ふんふふ~ん♪、人間の使う乗り物もなかなか悪く無いじゃないか、
 この戦いが終わったら神界に持って帰るのもいいかもしれないな」
そう言いながらも自転車は風を切り走り続け、時折チリンチリンとベルの鳴る音がする。
その澄んだ音にロキはなおも上機嫌に呟き始める。
「方針も決まったことだし、まずはフレイやレナス達を捜さなきゃいけないな、
 ブラムスは………協力できるとは思わないほうが無難だな、なによりフレイ辺りが煩く喚きそうだ」
元より神族と不死者王、分かり合える間柄では無い、とはいえロキとしては不死者どもなどどうでも良いのだが
フレイならば此処で会ったが百年目、とばかりにブラムスを殺そうとするだろうし、レナスだって怪しいものだ。
「まっ、僕の目的はあくまでゲームの破壊だ。なるべくなら協力したいところだけど」

先程投げたコイントス、そう幸か不幸かコインが導き出した答えは、裏。


ロキは自分の力を卑下しない、しかし過信もしはしない。
自分一人の力でこのゲームを破壊するのは、それこそドラゴンオーブでも無ければ不可能だろう。
他者との協力なんて自分の柄ではないとやはり苦笑しながらも、コインに従うというのは自分で決めたこと。
つまり、今ロキはこのゲームを壊すための力を得るために、
ママチャリに乗って同族たちを捜していたのだ。
名簿にも目を通し、まず捜すのはレナス、フレイ、ブラムスの三人と決めた。
人間共など気にかける必要はないし、何より神である自分達に勝る者などいるはずが無い。

「ああ、それとレナスが使っていたエインフェリア達もいるようだし、
 見かけたら声ぐらいはかけてやるとするか」
エインフェリアという言葉ではたと思い出す。
あいつ、そうオーディンの目を盗んでドラゴンオーブを手に入れたときに使ったレナスのエインフェリア。
騙した後、確かに殺してやったはずなのに名簿に名前が載っていた。
最初の部屋の中でも似たような奴を見た気がする、おそらく別人だとは思うのだがなぜか不安が拭えない。
それにもし本人が生きていてレナスやフレイにいらない事を吹き込まれると協力どころではなくなるおそれもある。

「あいつがもし本人ならさっさと見つけて始末しておきたいところだが、いや確かに殺したはず………
 まぁいい、生きてたんならもう一度殺してやるまでだ」
残忍な笑みを浮かべ、ロキは言い放つ。
そしてまたベルを鳴らし、朗らかに笑い自転車をこいでゆく。

まぁ、何の役に立ちそうもない人間達なんてわざわざ僕が手にかけるまでも無い。
せいぜい騙した後に立ち去って、後でおもいきり嘲笑ってやろう。
人間共の見せる絶望や戸惑いの表情はきっと楽しく可笑しいものだから。


チリンチリン

周囲にベルの音が鳴り響く、道行くロキは上機嫌に走り去る。



【C-04/昼】
【ロキ】[MP残量:100%]
[状態:正常・自転車マスターLV2]
[装備:ママチャリ@現実世界]
[道具:10フォル@SO・荷物一式]
[行動方針:ゲームの破壊]
[思考:レナス、フレイ、ブラムスの捜索]
[思考:見つけ次第ルシオの殺害]
[思考:自転車で街道を走って島を一周する。途中であった人間達にはいい加減な情報を与える]
[思考:一応ドラゴンオーブを探してみる(あるとは思っていない)]
[現在位置:街道右っ端]

 ※人と接触するために定期的に自転車のベルを鳴らしています。
  隣のエリアまでは響きませんが、彼が近くを通る時、誰もが彼に気づくでしょう。

【残り55人】



前へ キャラ追跡表 次へ
第28話 ロキ 第68話

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2007年06月29日 00:59