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響け終焉の笛 - (2021/09/29 (水) 21:26:44) のソース
*響け終焉の笛 ◆FbVNUaeKtI ギガゾンビの声が途絶えてから、数刻ほどの後。 グリフィスはいまだ、遊園地内で体を休めていた。 「身動きの取れない者、か」 先程の放送で死者の名や禁止区域と共に告げられた、動けない状態にある参加者の存在。 足に怪我を負ったのか、意識を失ってしまっているのか・・・ どちらの理由にしろ、その人物を目指して他の参加者達が集まる可能性は高い。 自分のように仲間を探す者や博愛精神にあふれた者、そして殺し合いに乗った者までも。 現に先程、遊園地の北―おそらくは放送で言っていたE-4の方向から、巨大な爆発音等が響いた。 そのような場所に、策も無く手馴れた武器も無い状態で赴くつもりは、 たとえ、そこにキャスカやガッツが居るのだとしても、グリフィスにはなかった。 さて、この二回目の放送により参加者の大移動・・・・・・特に禁止エリアへと向かう動きが起こるはずだ。 つまり北方にE-4、東方にF-8がある遊園地近辺は、そこを目指す者が通過する可能性が高い。 さらに、今しがたの大砲を使用したような数度の爆発音。 命を捨てようと考えないかぎり、その音を聞いたものはE-4方面に行くのを避けようとするはずだ。 西に行くにしろ東に行くにしろ、今しがた爆発の起こった場所を大きく迂回しようとすると、 山側を越えてゆくか海岸線側を抜ける可能性が必然的に高くなる。 ならば、ここで他の参加者を待ち伏せたほうが効率がいい。 ではどこで待ち伏せる? 西門や北門はE-4に近すぎる。あの爆発を起こした者が現れては本末転倒だ。 やはりF-8側に近い東門か、もしくは南の防波堤で西方の島からの来訪者を待つか。 しばらく悩んだ末に、南方へと足を向ける。 一応、防波堤を確認し、誰も居ないようならば東門へむかう事にしたのだ。 『おそらく誰も居ないだろうがな』というグリフィスの考えをよそに。 防波堤の上を歩く少女の姿を彼が発見したのは、海岸に到着後、すぐの事だった。 そして待ち続ける事、一時間。 「ようやくの到着か」 桃色の髪をした少女が防波堤を渡りきり現れる。 歳は十代前半だろうか。黒い外套を羽織ったその少女は、 まるで大切な物を守るように――実際、彼女にとっては大切なのだろうが――男の首を抱きかかえていた。 掛け替えのない者。愛する者の死に、精神が耐えられなかったか。 狂気しか感じないその様は、グリフィスにとっては珍しくもない光景だった。 それよりも目を引いたのはもう一方。少女が反対の手に握り締めた、無骨な武具。 『戦槌か。少し小さいが・・・・・・無いよりはましか』 思案は一瞬。銃を構えながら、建物の影からその身を曝けだす。 そして、首にしきりに話しかけながら歩く、鉄槌を持った少女に声をかけた。 「少し尋ねたい事がある」 突然の言葉に驚き、振り向く少女。少し浮かせかけた槌をグリフィスは手で制する。 「女を一人探している。褐色の肌に黒い・・・」 「知らない」 そっけない言葉に軽く苦笑すると、その態度が気に障ったのか、幾分硬化した語調で少女は言葉を続けた。 「朝倉涼子って女を知ってる?」 「悪いが、知らないな」 「そう・・・」 しばらくの沈黙の後、少女が再び口を開く。 「じゃあ、死になさい」 言葉と共に、少女の目前に鉄球が現れる。 危険を感じたグリフィスが引き金を引くのと、中空に浮いたそれが動き始めたのは、ほぼ同時だった。 広大な遊園地に今日、幾度目かの爆裂音が響く。 繰り返されるその震えを間近に感じながら、グリフィスは銃を片手に駆ける。 放たれた鉄球はUZIの弾幕を使い防いだものの、その初撃は彼の皮膚を炙り、両耳の聴力を低下させていた。 新たに起こった爆発により、空気が震える。 『その一撃一撃が砲弾並の威力か・・・あの、“不死のゾッド”に負けず劣らずの化け物だな』 心中でそう呟きながらも、グリフィスの顔には笑みが浮かぶ。 「おもしろい、実におもしろいな、ここは!」 煙の向こうに気配を感じ、叫びと共に銃弾を放つ。 連射された鋼鉄は黒煙を貫き、穴を穿ち、その向こうに居る者へと襲い掛かった。 「フライ!」 しかし、その弾丸は敢え無くかわされる。少女が中空へと飛翔したのだ。 「ほう、空まで飛べるのか・・・」 呟きは、少女にまで届くことなく消える。 飛来してくる少女に、グリフィスは後退しながら銃撃を加えていく。 が、同じく放たれた鉄の砲弾により、その弾丸は爆炎と共に対消滅した。 そして、それに続けて、薬莢の排出が軽い音を残して停止する。 舌打ちと共に再び駆ける。彼の笑みはいまだ、消えていなかった。 やがて、その進行方向に一棟の建物が現れる。 グリフィスはそれが何の建物かを確認する事もなく、その内へと飛び込んでいった。 銀髪の男が建造物に逃げ込むのを確認し、ルイズは静かに建物の入り口近くに降り立った。 どうやら、ここは何らかの施設らしい。 出入り口にはドレス姿の娘と共に、“白雪姫のコースター”と大きく書かれた看板が下げられている。 「どうする、サイト?」 建物の扉をじっと見つめながら、ルイズは愛しい少年に問いかけた。 ・・・無論、返事はない。けれども、彼女にはその返事が聞こえた気がした。 「そうだよね、深追いはしないんだったよね」 少年の身をひしと抱きしめながら、小さく呟く。 彼女の目的はあくまでも、朝倉涼子だ。こんな所で、時間を費やす必要は無い。 おそらく、この中で待ち伏せしているのだろうあの男に、無駄に付き合う必要も無いのだ。 「・・・これごと壊しちゃおっか。朝に壊した建物みたいに」 ルイズは再度の問いかけ・・・呟きと共に手にした鉄槌を振るう。 現れた鉄球は、まるで砲弾のようにドレスを着た娘へと襲い掛かった。 数分、いや数秒もしないうちに、一階建ての建物は瓦礫の山へと姿を変えた。 「じゃ、行こうか、サイト」 腕の中の少年に声をかけて、ルイズはその場を離れようと身を翻し・・・ 「フライ!」 叫びと同時に飛翔、背後から子供ほどの大きさをした物体――小人が飛来し、地面に打ち付けられる。 振り返りざまに、瓦礫の上に出現した者へ向けてシュワルベフリーゲンを放つ。 高速で虚空を走る鋼鉄が、唸りをあげて頂上の人影――白雪姫の人形を襲い、無残な姿へと変える。 ルイズの表情が驚きに変わると同時、その真下にある穴――コースターの入り口から男が現れた。 男は手にした長い紐状の何かを、空中に居る彼女へと向けて投げつける。 先端に人形の腕を巻きつけたそれは、少女の身体へと絡みつき、そして宙空の一点でその端を静止させた。 「残念だったな、ここでは俺も空を飛べる」 言葉と同時に、グリフィスは飛ぶ。目指すは手前に見える小さな広場。 その中心へと降り立ち、そのままロープを引く。 そして、空中に固定された端が外れると同時、少女の身を地面へと引き擦り落とす。 「ガッ!」 地面に叩きつけられた衝撃に、少女から悲鳴が上がった。 手にしていたものはすべて飛び散り、その表情は絶望へと変わる。 だが、グリフィスはまだ、その手を緩めない。 勢いをつけてターザンロープを振り回すと、遠心力を乗せたまま樹木へと叩きつけた。 全身を襲う二度目の衝撃に、少女はかっと目を見開き・・・そして、そのまま意識を失った。 「終わったか。だが・・・これでは、予定を変更せざるを得ないな」 焼け野原と化し、黒煙の上がる遊園地を見ながら、小さく呟く。 そして、しばらくの思案の後・・・グリフィスは、少女の落とした荷物を拾い集め始めた。 「う・・・あ・・・?」 かすかな肌寒さを感じ目を覚ます。 ルイズの目の前には、オレンジに染まった天井があった。 横たわっていたソファーから起き上がり、周囲を見回す。 そこは夕日の差し込む、狭い部屋だった。もちろん、学院の自分の部屋ではない。 もしかすると、すべて悪い夢だったのかもしれない。 そんな淡い期待が裏切られ、視線を落とす。 「っ!」 そして彼女はようやく、肌寒さを感じた理由に気が付いた。 身につけていたはずのマントとブラウスが消えていた。 スカートは身につけているものの、上半身は申し訳程度に巻きついた白い布地だけ。 露出した肩が部屋の空気に直接あたり、ルイズは身を震わせた。 「どうやら、気が付いたようだな」 部屋の片隅から、突如として響いた声に慌てて振り返る。 そこには、笑みを浮かべた銀髪の男が居た。 「ころす!ころしてや・・・」 思わずあげた怒声は、身体を貫く痛みに妨げられる。 自らの身を抱きしめ苦しむルイズに、男の言葉が届く。 「無理に動かさないほうがいいぞ。骨は折れていないが、全身を打撲している」 楽しそうにそう言いながら、男は足元の鞄を開ける。 そして、その中から水を取り出すと、ルイズにむかって投げてよこす。 目の前に落ちたそれを見ることもせず、少女は男に向けて叫んだ。 「サイトはどこ? サイトを返して!」 「・・・ああ、“彼”なら俺が大切に預かっている」 言葉と共に、男は鞄を指し示す。 その姿を見ると同時に、ルイズは立ち上がり・・・痛みに声を上げ、再びうずくまる。 そんな彼女の様子を見つめながら、男は手にした物を投げる。 ルイズの目前に落ちたもの、それは緋色の鉄槌。 それを即座に拾い上げ、ふらつきながら構える。 そして、目の前の男に向かってシュワルベフリーゲンを放とうとして・・・ 男が、鞄を胸元にまで持ち上げている事に気が付いた。 持ち上げていた鉄槌が、地面へと落ちる。座り込んだルイズに向かい、男が言葉を紡いだ。 「交換条件だ、俺の物として働け」 男の――グリフィスの笑みはいまだ、消えていなかった。 【G-5店舗内/1日目/夕方】 【グリフィス@ベルセルク】 [状態]:全身に軽い火傷 [装備]:マイクロUZI(残弾数50/50)、耐刃防護服 [道具]:ターザンロープ@ドラえもん、支給品一式×2(食料のみ三つ分) 平賀才人の首、平賀才人の左手、ヘルメット [思考・状況] 1:ルイズを利用し優勝を目指す 2:やっぱり剣が欲しい 3:手段を選ばず優勝する。殺す時は徹底かつ証拠を残さずやる 4:キャスカを探して、協力させる。 5:ガッツ…… 【ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール@ゼロの使い魔】 [状態]:全身打撲(応急処置済み)、左手中指の爪剥離 [装備]:グラーフアイゼン@魔法少女リリカルなのはA's (強力な爆発効果付きシュワルベフリーゲンを使用可能) [道具]:なし [思考・状況] 1:グリフィスに従う 2:グリフィスが隙を見せたらサイトを奪い返した後に殺す 3:朝倉涼子を殺す 4:3のために、朝倉涼子の情報を集める 5:サイトと一緒に優勝して、ギガゾンビを殺す。 手段は問わない 6:サイトに会いに行く *時系列順で読む Back:[[「ミステリックサイン」]] Next:[[どうしようか]] *投下順で読む Back:[[白地図に赤を入れ]] Next:[[ヒステリックサイン]] |157:[[いつか見た始まり]]|グリフィス|193:[[調教]]| |163:[[二人だけの第三楽章~復讐の炎は地獄のように胸に燃え~]]|ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール|193:[[調教]]|