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どうしようか - (2021/09/29 (水) 21:43:25) のソース
*どうしようか ◆M91lMaewe6 真っ赤な血の色と中途半端に固まった赤黒い血の色が圭一の背中を彩っている。 彼の呼吸はなく、出血もほとんど止まっている。 死合いの邪魔をした少年の死は明らかだった。 小次郎は何もせず大剣を手に立ち去ろうとするが、少し考えて立ち止まる。 彼は圭一が使っていた鉈を見つけ、それを拾った。 ドラゴンころしをデイパックに収め、もうデイパック一つとコンバットナイフを拾った。 小次郎は少し名残惜しそうに、ソロモンと次元がいる方を見つめ足早にその場を後にしようとする。 向かう先は橋の向こう。 禁止エリアにいるであろう動けない参加者とやらに少し興味があったが、それの捜索は諦めることにする。 時間が無さ過ぎる上、こちらのダメージも大きいからだ。 死合いの満足感を胸に抱いたまま、彼は休憩場所を求め、西へ向かった。 小次郎がいた場所に次元が注意を向けるのは、それからまもなくのことだった。 ★★★ 無色透明の川の水が北から南へと流れていく。 水流は地図の外から始まっているようだ。 そういえば13時からの禁止エリアは学校の側だったなと、次元は思った。 彼の側には自分の他に、圭一を除くソロモン達のデイパックが置かれていた。 次元はわき腹を川の水で浸し、破いたシャツで拭いながら、小次郎が向かったであろう橋の向こうを見た。 人影は無かった。彼は再び、川の流れを見て思った。 (地図の外ね) 圭一と出会った時、首輪の情報を次元達に喋った彼を同行者のレナは嫌そうに見ていたのを覚えている。 今にして思えば、その眼差しには疑心の他に、他者を見下し憎悪する病的なまでの負の感情が既に渦巻いていたように思えた。 次元は考えた、レナはあの時点でもう手遅れだったんだなと。 圭一が思った通りの彼女なら、身を張った説得は成功したに違いない。 気絶させる以上の攻撃手段でなければ、彼女を止められなかったに違いないと考えた次元でさえも、惨劇を回避できると思ったほどの力強さを感じた。 あの戦いの時、圭一にはレナを止められる大きな自信があったのにも関わらず、どうすることもできなかったのは、何も小次郎やソロモンの仕業だけではなかっただろう。 それが失敗したのは、レナが説得などに耳を貸せない状態でゲームに参加させられたからだ。 「あの野郎……」 証拠は?と言われると出せる材料が無く詰まってしまうし、元からギガゾンビに公平さなど欠片も期待していない。 だが次元の勘がゲームのルール以外においても、惨劇の火種がいくつか仕組まれ、最初から何人かは優勝などできない状況で参加させられてると教えたのだ。 (クソッ……病院に行きてぇ所だが……) シャツを破いて作った包帯を腹に巻きつつ、次元は自らの治療場所をどこにしようかと考える。 病院はゲームに乗った参加者にとって、絶好の狩場だ。 ゲームに乗っていない参加者を助けてやりたいのは山々だが、今の自分ではまともに戦えない上、かえって警戒される。 それでも針と糸、消毒できるもの、ギプス代わりのものが欲しい。 次元は川から目を逸らし、北を見た。何メートルか進めば地図の外だ。 圭一が語った首輪の事は話半分に聞いていた。 そもそも既に一回目の放送の時にギガゾンビにそれは語られていたし、次元には真偽を確かめる気はあの時には起こらなかった。 だが失敗したとはいえ、圭一はレナを命がけで助けようとしたのは紛れも無い真実。 大した情報とは思えなかった。それを知るあの4人もいない。 自分より多くの情報を掴んでいたかも知れなかった、ルパン達仲間もいない。 (グダグダ嘆いても始まらんな) それでも次元は口元に笑みを浮かべた。 彼はしっかりとした足取りで北へ向かって歩き出した。 ★★★ 小次郎は治療と少しばかりの休憩を終えるや、前方を何気なしに見、自分の状態と所持品を頭に思い浮かべた。 左腕の切断面と右腕には自らの服の切れ端を巻いて止血してある。 彼のデイパックには圭一の遺品が納められていた。 彼の視線の先はB-1エリア。 (今となっては確かめようがないが……) 今は静養が優先と思いつつも、身動きが取れない参加者が向こうにいなかった事を望んだ。 彼は笑みを浮かべながら、慎重に前方へ進んだ。 ★★★ かなりの時間が過ぎたような気がする。 次元は草むらに身を潜めつつ、首輪爆破も敵の襲撃もなかった幸運に微かに安堵のため息をつく。 途中でどこかから爆発音が聞こえたが、爆心地に向かう気も余裕もなかった。 今でも緊張もあるが、だいぶ疲労が取れてきたように思えた。 (圭一……お前は放送前にこれを確認したんだな) 言った通りだった、首輪爆破には30秒間の猶予があった。 ギガゾンビが何の対応も取っていない事からして、別にバレても問題の無い情報だ。 それを自覚しつつも情報に少しの間違いも無かった事実が、次元には少し嬉しかった。 (お次は……っと) 次元は気配を消し、足音を忍ばせながらB-4へと進む。 追加禁止エリアの爆破条件が、MAP外と同じかどうかを確認する為に、ソロモン達の下へ向かう為に。 ★★★ 校舎内で改めて治療を終えた小次郎は食事を取りながら、今後の方針を考えた。 片腕では奥義を使うことはもうできない。 かと言って、この機会を放棄するつもりは無い。 小次郎は残った参加者の事を考えた。 ここに至って生き残っている参加者は、誰もが只者ではあるまい。 参加前は無力であっても、今は明らかに強くなっている者もいるに違いない。 (ならば私も……それに習うまで) 仮面男の機嫌取りするつもりはない。 歯ごたえのある相手と戦う、それが望み。 次の放送が終わる頃には、参加者のほとんどが小者ではなく敵という対等の相手だ。 ハンデを自覚しつつ、サシの勝負以外においても勝者を目指すべく、次の戦いに備えて小次郎は休憩を続けた。 ★★★ 「埋葬してやれなくて、すまねえな……」 蒼星石以外のソロモン達の遺体を草むらに移動し終えた次元は謝罪の言葉を口にした。 次元はデイパックの一つに、蒼星石の欠片を収める作業を続けた。 蒼星石の首輪のみサンプルとして欲しかったが、彼女の首は刎ねられてなかったので、仕方なく身体ごと持ち去ることにしたのだ。 彼は遺体を収納すると、別のデイパックを覗き見る。 ソロモンの近くにあった赤い宝石の輝きはさっきよりは弱くなっていたが、それでも美しく輝いていた。 (どれも迂闊に見せる訳にゃいかねえな……) それは不二子や蒼星石の知り合いに対しても同様だ。 作業を終えた次元は得た情報をメモしつつ、思案する。 太陽はすでに赤く染まっていた。 (30秒ルールをいかにうまく伝え、いかに活かすか……) 次元はメモをし終えると、どこに行こうかと考えた。 【B-4・一日目/夕方】 【次元大介@ルパン三世】 [状態]:疲労(小)、ショック、わき腹にケガ(激しく動き過ぎると大出血の恐れあり・一応手当て済み) [装備]:朝倉涼子のコンバットナイフ@涼宮ハルヒの憂鬱、454カスール カスタムオート(弾:7/7)@HELLSING ズボンとの間に挟んであります [道具]:支給品一式4人分(水食料二食分消費)、13mm爆裂鉄鋼弾(34発)@HELLSING 、レイピア 蒼星石の亡骸(首輪つき)、リボン、ナイフを背負う紐、双眼鏡(蒼星石用) ハリセン、望遠鏡、ボロボロの拡声器(運用に問題なし) 蒼星石のローザミスティカ、首輪の情報等が書かれたメモ2枚 [思考・状況] 1:どこに行こうか? 2:殺された少女(静香)の友達と青い狸を探す 3:圭一と蒼星石の知り合いを探す。蒼星石の遺体については慎重に取り扱う。 4:怪我の治療ができる場所(できれば病院以外)を探す。 5:ギガゾンビを殺し、ゲームから脱出する。 6:仲間を見つけられたら、首輪を回収する。 基本:こちらから戦闘する気はないが、向かってくる相手には容赦しない 【A-2・校舎内/一日目/夕方】 【佐々木小次郎@Fate/stay night】 [状態]:疲労(小)、右臀部に刺し傷(ほぼ完治)、左腕喪失(肘から先)、右腕に怪我 [装備]:鉈@ひぐらしのなく頃に [道具]:コンバットナイフ、ドラゴンころし@ベルセルク、支給品一式2人分(水食料二食分消費) [思考・状況] 1:日が落ちるまで、校舎内で休憩 2:セイバーが治癒し終わるのを待ち、再戦。 3:ドラゴンころしの所持者を見つけ、戦う。 4:物干し竿を見つける。 基本:兵(つわもの)と死合いたい。戦闘不能と判断した者は無視。 ※次元は内外の禁止エリアにおいて、爆破まで30秒の猶予があることに気づきました。 ※ソロモン、圭一、レナの死体は草むらに隠されてます。 ※蒼星石のローザミスティカは尚も光り輝いています。しかし誰かの下へは向かいません。 ※佐々木小次郎の左腕(肘から先)はB-4エリア内に放置されています。 *時系列順で読む Back:[[響け終焉の笛]] Next:[[「救いのヒーロー」(前編)]] *投下順で読む Back:[[ヒステリックサイン]] Next:[[THE TOWER~"塔"]] |176:[[愛する者の為の騎士("La mort de Chevalier"Remix)]]|次元大介|197:[[孤独な笑みを夕陽にさらして]]| |176:[[愛する者の為の騎士("La mort de Chevalier"Remix)]]|佐々木小次郎|205:[[強者の資格たる欠損]]|