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峰不二子の陰謀 - (2021/12/22 (水) 20:11:09) のソース
*峰不二子の陰謀 ◆q/26xrKjWg ハルヒ、ヤマト、アルルゥ。 その三人ともが、映画館から姿を消していた。 館内のどこを探し回ってもその姿は見当たらず、また外に停めてあったはずのトラックもなかった。 (ヤマトじゃ彼女を押し留めるのは荷が重かったか……) 涼宮ハルヒという人間を甘く見ていた。 特に、その根拠のない行動力を。 当初は、最悪の事態――何者かによる襲撃という可能性も頭をよぎった。 自衛には十分な武装を残していった。もし何かあったとすれば、逃げるにしても何かしらの衝突が起きたはずだ。 だが、何者かと争った形跡は全くなかった。 その代わりに見付けたものは、ハルヒがしたためた書き置き。 『トグサさん、SOS団はバイトじゃないから公務員だろうが何だろうが脱退は不許可!』 そんな一文を見て苦笑する。ごくごく短い付き合いではあるが、なるほどいかにも彼女らしい。 他には、団長に断りなく出かけた自分達への憤慨だとか、不甲斐ない団員二人を捜しに出るが数時間したら戻る旨だとか、そういったことが書かれていた。 そして、一日の終わり――新たな一日の始まりを告げる放送が始まった。 ハルヒ、ヤマト、アルルゥ。 その三人ともが、放送では名前を読み上げられなかった。 その一方で、ヤマトの親友だという太一、吸血鬼を倒すために犠牲となった長門、そしてよく見知った名前――タチコマの名前が呼ばれた。 (タチコマ……お前まで逝ったのか。この巫山戯た殺し合いに召喚された公安九課の面々も、もう俺一人を残すのみ。俺みたいなのがまた最後に残るってのは、何か因果めいたものを感じるな) 笑い男事件において、公安九課は一度滅んだ。その時にも最後まで世に残ってしまったのは自分だった。まあ、あれは荒巻課長の取り計らいだったわけだが―― (あの時みたいに、みんなひょっこり生きていてくれれば、どれだけ有り難いか) そんなことは有り得ない。分かってはいる。 先の放送で呼ばれた名前、計14名。 彼らは死んだのだ。何の慈悲も、容赦もなく。 それまでに呼ばれた37名と同様に。 放送では伝わらないことも多い。長門の死と、彼女が遺したものは、自分の口からハルヒ達に伝えなければ。 どう伝えるべきか。最良の言葉は自分には分からない。 映画館を出る。幹線道路を目の前にしてトグサは考える。 放送時点での三人の無事は間違いないだろうが、それがいつまでも続くとは限らない。長門や太一の死を知って、ますます行動をエスカレートさせてしまうかもしれない。 早々に彼女達を捜し出し、改めて保護し、病院へと向かいたい。 (トラックで移動するとなれば、できればこの幹線道路を使いたくなるのが心情。南に行ったのか? それとも北に行ったか、あるいは橋を渡って西に――) 南の方角から聞こえてきた地響き。 瞬時に思考を警戒に切り替え、そちらを見やる。そこから何かが飛び出し、そして上空を通り過ぎていった。 人影のように見えた。だが一瞬のことで、本当に人影だったという確証は持てない。それは北側に着地し、再び地響きを起こす。同じように飛び上がり、ただひたすらに北を目指しているようだった。 自分には目もくれずに。 (……何が何だか分からないが、今は藁にも縋るしかない!) ここより北に何かがある。それは間違いない。 トグサはマウンテンバイクに跨り、ペダルを踏み出した。それに追いつけるはずがなかろうとも。 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ 追っ手の気配がないことを確認して、不二子はトラックを止めた。 相変わらずの放送も、もうとうに終わっている。 次元と劉鳳は無事。 特に劉鳳は『銭形警部の変装をする峰不二子』という情報を有している。それを周囲に流布される前に死んでほしかったのだが、彼の能力を考えればそうそう簡単に死ぬことは期待できまい。 いくつかの打算を並行して続けながら、彼女は溜息を吐いた。 (……どうしたものかしら) 隣には、未だ目覚める様子のない少年が一人。 明確な利用価値がなければ、これ以上連れて回る意味はない。目を覚ませば拘束し続けるだけでも手間だ。 彼が目を覚ますタイミングによっては、不意にこちらに害を為すことも十分に考えられる。それがこちらにとって最悪のタイミングだったりすれば、目も当てられない。 彼女の中の天秤は、一方に傾き始めていた。 万難を排するならば、無抵抗である今のうちに始末しておくのが得策。 要するに、殺して捨てていくということだ。 今更罪悪感がどうこうと言うつもりは全くない。既に少年を一人射殺している。 逃げるのに必死で各々のデイパックの検分はまだ済んでいないが、確かクロスボウがあったはずだ。銃とは違い、周囲に余計な音を撒き散らさずに済む。 (それじゃ、さっさと済ませましょう) そしてさっさと済ませるべく、デイパックからクロスボウを―― (――?) ――物音が、聞こえた。ような気がした。 トラックを降りて、そちらに目を向ける。遙か後方。闇は深く、目を凝らしたところで遠くまで見渡せるわけでもない。 空耳。 気のせい。 ストレスによる幻聴。 表現の仕方はいろいろとあるが、まあそういったものであるのかもしれない――不二子がそう思い始めていた、その時だった。 不意に、夜の闇が一層濃くなる。 猛烈な悪寒を感じて天を仰ぐ。何かがこちらに向かって急降下してきている。 「見付けたぁ!」 その叫び声よりも早く、不二子は状況の見当を付けた。同時に行動を起こしていた。 素早く運転席に戻り、アクセルを踏みつける。トラックが急発進する。 わずか数瞬の後。 つい先程までトラックがあった場所に、それ――カズマが空から突っ込む。 病院の正面玄関を吹き飛ばしたのと同じ破壊の渦が、そこに巻き起こった。 その余波にハンドルを取られそうになりながらも、不二子はバックミラーを見やる。 映っていたのは、急速に小さくなるカズマの姿。 彼が、大地に向かって拳を振るう。 そのアルターは劉鳳のそれとは違い、どうやら空を自由自在に飛べるようなものではないらしい。手に装着して何かを殴るためだけにある能力のようだ。 ならば地面を殴って、その反動で飛べばいい。 そういう発想なのである。 (クレイジーね。ほとほと呆れるわ) 彼が突然空から降ってきた理由としては合点がいったが。 しかしながら、これ以上余計なことに思考を割くわけにはいかない。 アクセル全開でトラックを走らせている。 このまま北上したところで、行き着く先は禁止エリアだ。西に行けば河に阻まれ、東にいけば山道で速度が落ちる。 カズマに追いつかれれば、抵抗する術はない。 ヤマトを人質に取っただけでは諸共吹き飛ばされるかもしれない。先程の彼の猪突猛進ぶりから見れば、むしろそうなる可能性こそ高いと考えるべきだ。単純な策では勝算はないに等しい。 (ならどうする? 考えなさい、峰不二子!) 自分にできること。 自分の位置。 自分の所有物。 自分の経験、知識、勘。 何もかもを総動員して、ようやっと――実際には極々僅かな時間だったが――結論に辿り着いた。 (……良かったわね、ヤマト。貴方は”私の役に立つ”わ) 彼女は口の端を歪に釣り上げながら、そう呟いた。胸中で。 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ (兄貴が死んだ!? なのはが死んだ!? そんな馬鹿なことがあるってのか!?) カズマは放送で告げられた内容を反芻した。 あのクーガーが、なのはを守りきれずに死んだ。到底信じられなかった。 だが、そういったことも有り得るのではいかと、心のどこかでは理解していた。 例えば、自分達と死闘を繰り広げた金髪の女剣士。ヴィータの犠牲があったからこそ、辛うじて彼女を退けることができた。自分一人の力ではそれすらも叶わなかっただろう。そう認めざるを得ない。 それと同様に、クーガーの速さすらをもねじ伏せる敵がいたとしても、何ら不思議はないのだ。 (くそっ! 今はまだ、小難しいことを考えてるほど暇じゃねぇ!) 地面を殴り飛ばしては高速で滑空する自分から、必死に逃げ惑うトラック。 そこにヤマトがいる。 そこに太一の仇がいる。 今はやるべきことが目の前にある。立ち止まるわけにはいかない。 カズマは立ち止まりこそしなかったが、クーガーやなのはのことを考えまいとすればするほど、逆に意識してしまっていた。 そんな彼の葛藤などお構いなしに、あと何秒で首輪が爆発するだとかどうとか、耳障りな音声が首輪から垂れ流され始める。それが彼の神経を一層逆なでした。 どうやら禁止エリアとやらに突入したらしい。 (うるせぇ、知ったことか!) だが、カズマにとって、そんなことはどうでもいいことだ。 話は至ってシンプルである。 ならば首輪が爆発する前にトラックに追いつき、太一の仇をぶちのめし、ヤマトを連れて来た道を戻ればいい。 そして、カズマは見た。 自分が追っているトラックが、カーブを曲がりきれず――まるで曲がるつもりがなかったようにも見えたが――そのまま道路の外へと飛び出し、派手に転がっていく姿を。 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ――警告します。禁止区域に抵触しています。あと20秒以内に爆破します―― ヤマトを覚醒させたのは、衝撃と、激痛と、騒音じみた警告音――それも聞き覚えのある――だった。 太一を目の前で失った瞬間から、何をどうすればこんなことになるのか。視界に入ったのは、横転して虚しくタイヤを空回りさせているトラックだけ。そのトラックともども、自分は禁止エリアにいるらしい。 とにかく立ち上がらなければ。 「痛っ――」 足に激痛が走る。 どうやら骨が折れたかどうだかしているらしい。立ち上がることもできない。 ――警告します。禁止区域に抵触しています。あと15秒以内に爆破します―― (なら、這ってでも何でも、禁止エリアから出なきゃいけない!) 自分が禁止エリアのどの辺りにいるのか分からない。どちらに向かえばいいのか分からない。這っていって間に合うのかどうかも分からない。 それでも、生きることを諦めてはいけない。それが幸運にも生き残った、あるいは不幸にも生き残ってしまった自分が果たすべき責務なのだから。 そして、黒い影が空から降ってきた。 「大丈夫か! ヤマト!」 空から降ってきたそれは、そう言いながらこちらに近付いてくる。 ――警告します。禁止区域に抵触しています。あと10秒以内に爆破します―― 一人の青年。 その姿には見覚えがあった。 (この人は、確か――) 太一達と一緒にいた青年だ。 「あの野郎がいやがらねぇ――逃げたか!」 こちらが動けないことを見て取ったのか、青年はすぐに自分を背負った。そして悪態を吐きながら舌打ちする。 その言葉を聞いて、ようやっとヤマトは自分の置かれた立場を認識する。あの野郎――太一を殺した奴に、いいように利用されたのだ。逃げるための時間を稼ぐ道具として。 「すぐ病院に連れてってやるからな。しっかり掴まれ! 多少痛くても我慢しろ!」 そして青年は異形の右手で地面を殴り、飛び上がった。この場を離脱すべく、信じられない速度で空を進む。 青年は全く意に介していないようだが、彼の首輪のカウントダウンは既に15秒を切っている。自分を抱えてなおここに来るまでと同じ速度を出せたとしても、かろうじて脱出できるかどうか。それだけの時間しか残されていない。 自分の首輪に残された時間は、青年のそれと比べて5秒ほど少ない。 たった5秒の差。 されど、決して覆せない5秒の差。 生きることを諦めるつもりはない。それこそ、最後の最後まで。 だが。 もしも自分の死が避け得ぬものとなってしまったならば、この青年を巻き込むわけにはいかない。 それがヤマトの下した結論だった。 ――警告します。禁止区域に抵触しています。あと5秒以内に爆破します―― やりたいことはいくらでもある。言いたいこともいくらでもある。だが、いざ5秒となれば、せいぜい一言二言程度しか残せない。 デジタルワールドに残してきた仲間達に。 ガブモンに。 父に。 母に。 弟に。 自分が轢き殺してしまった少女に。 SOS団の皆に。 ぶりぶりざえもんに。 太一に。 そして―― ――あと4秒―― 「ごめんなさい」 ――あと3秒―― 「それと、ありがとう。ええと――」 ――あと2秒―― 名前が出てこない。 自らの危険を全く省みず、自分のことを助けようとしてくれているこの青年。その名を呼んで、彼にも言葉を掛けておきたかった。できることならば、その名を胸に刻んでおきたかった。 もう名を聞く猶予すらない。 ――あと1秒―― 少年はありったけの力と決意とを込めて、両の手で青年の背中を突き飛ばした。 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ カズマは不意に突き飛ばされた。 誰に突き飛ばされたのか。 考えるまでもない。自分が助けるべき少年、ヤマトだ。 まさか彼に突き飛ばされるとは夢にも思っていなかった。 ヤマトを背負ってアルター化されていない左手で抱えていたが、彼自身にそれを拒まれてしまえば脆い。振り返ると、そこには虚空に取り残されたヤマトの姿があった。必死に手を伸ばすが、もう届かない。 「何でだ――」 そして、夜の闇に、光が閃いた。 爆音と衝撃。 空中で大きく体勢を崩され、制動を失う。人の頭を吹き飛ばすほどの爆発の威力は、決して小さくはない。あのままヤマトを背中に抱えていたならば、恐らく自分とて無事では済まなかっただろう。 ヤマトの行動にどのような意図があったのか。 理屈では分かる。 だが、感情で納得できるはずがない。 「――何でだよ、畜生!」 カズマは吼えた。 まともに着地することすらままならず、地面に接触し、跳ねるように転がって、そして意識を失った。 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ 悪が栄えた試しはない、とはよく言ったものである。 そういった悪は二流以下の悪だ。一流の悪は、栄えた瞬間に悪ではなくなる。 奪われる者に奪われる以上の価値はない。その手には何も得られず、何も残らない。ただ失い続けるのみ。 奪う側にいる者にこそ、価値がある。 自分は奪う側にいる人間だ。権力の頂点に立った男や巨万の富を得た男に取り付いて、養分を吸い尽くす。それが峰不二子の生き方だ。 そして、搾取の対象に人の命が含まれた。 たったそれだけのこと。 あとは単純だった。そうと決めてさえしまえば、人の命も”もの”でしかなくなる。所詮は搾取の対象でしかない。だから、利用し尽くし、奪い尽くす。 全ては己の未来のためにある。 峰不二子は走っていた。 闇に乗じて高速で走行するトラックから道路脇の茂みに飛び込み、ヤマトを乗せたトラックをそのまま禁止エリアの奥へと突っ込ませる。 可能な限り奥へ。決して引き返せないように。 カズマのように突き進むことしか知らない単純な人間ならば、何も考えずにそのままトラックを追っていくだろう。 こういった逃走劇はお手のものだ。トラックから飛び降りた際に擦過傷を負ったが、銭形警部の厚手の服のお陰もあって負傷は最小限で済んだ。行動には何ら支障ない。 (爆発音は一回。ヤマトの首輪が爆発したと見て間違いない。それ以降、爆発音はなかった。残念ながらカズマの始末には失敗した、と判断しておくべきね) ヤマトを助けようとして、首輪の爆発に巻き込まれて死んだ――楽観的にそう考えることもできる。 だが一方で、彼が健在であるという可能性もある。 わざわざ戻って確かめようとするほど不二子も愚かではない。カズマと遭遇すれば、自分は間違いなく殺される。そんな危険な賭けに乗る必要もないだろう。元より、最大にして最低限の目標は、カズマを撒くことにあった。 支払った代償は、トラック一台と、少年一人の命。 そんな安い代償で目標を達成し、自分の身を守ることができたのだから、成果としては上々だ。 カズマとはこのまま二度と出会わずに済ませたい。他の誰か――例えば正義馬鹿の劉鳳あたりと殺し合って、共倒れになってくれれば有り難いのだが。化け物は化け物同士で潰し合って貰うに限る。 最後まで生き残ることができるのは、そんな化け物共ではない。 自分のような人間だけだ。 (あのギガゾンビが素直に願いを叶えてくれるとは思えないけど、最後の一人にさえなれば彼と――まあ、どう考えても男よね――彼と接触するチャンスを得られる) こんな物騒な出来事に巻き込まれた見返りとして奪うものは、もう決めてある。 (男でさえあれば、いくらでもたらし込んでみせる。あの間抜けな劉鳳と同じように。あとは利用し尽くして、奪い尽くして、そして最後には捨ててしまえばいいわ) ギガゾンビの全て。 権力だとか富だとか、そんな低俗な次元の話ではない。神にも与する力。それが自分のものになる。 約束された栄光に思いを馳せて、不二子は恍惚に近い昂揚を感じていた。 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ もう数歩も進めば、禁止エリアであるA-4に足を踏み入れることになる。トグサがそこに辿り着いた頃には、既に全てが終わっていた。 注意していなければ聞き取れないほどに小さな爆発音。 道路の上に倒れ伏している一人の青年。 自分が得ることができた情報は、これだけだ。 「おい、君、大丈夫か!」 マウンテンバイクを放り出し、トグサは青年に駆け寄った。 全身傷だらけで、ボロボロとしか表現のしようがない。心拍や呼吸はあるようだが、いくら揺すっても、呼びかけても、彼の意識は戻らなかった。 夜のとばりは全てを覆い隠す。いくら北に伸びるこの道の彼方を見やっても、ただひたすらに宵闇と静寂が続くのみである。 ここで何があったのか。 爆発音の正体は首輪の爆弾に依るものと考えられる。そう推測はできる。だが、どうしたところで推測の域を出ない。あまりにも情報が不足している。 真実は藪の中。 それを得るには、この青年に話を聞くしかない。 青年が危険人物ではないという保証はない。最悪のケースとして、彼が誰かを禁止エリアに放り込んで殺害したという可能性も考えておくべきだろう。 しかし、核心に迫ることにリスクは付き物である。刑事として、その程度のことは弁えているつもりだ。 (ともかく、彼を保護する。万が一危険な人物であれば拘束する。どちらにしても、事情は聞かせてもらわなきゃならないな) 幸いにも、職業柄どんな相手であれ人から物事を聞き出すことには慣れている。あとは用心さえ怠らなければいい。 トグサは青年を背負い込んだ。そして、横倒しになったままのマウンテンバイクにふと気付く。 (これを置いていくわけにもいかない、か) 移動の足としての有用性だけでは片付けられない。何だかんだで、既に半日以上を共にした相棒である。今ならバトーの言い分も理解できる気がした。こういったものにも存外に愛着は湧くものだ。 トグサは背中の青年を落とさないように気を付けながら、何とかマウンテンバイクを起こす。そして、それを押して歩き始めた。 【B-4/幹線道路上北端/2日目/深夜】 【トグサ@攻殻機動隊S.A.C】 [状態]:疲労と眠気、SOS団団員辞退は不許可、青年を背負って自転車を押している [装備]:S&W M19(残弾6/6発)、刺身包丁、ナイフとフォーク×各10本、マウンテンバイク [道具]:デイバッグと支給品一式×2(食料-4)、S&W M19の弾丸(34発) 警察手帳(持参していた物)、技術手袋(使用回数:残り17回)@ドラえもん 首輪の情報等が書かれたメモ1枚 [思考] 基本:情報を収集し脱出策を講じる。協力者を集めて保護。 1 :一旦映画館に戻り、青年を保護(場合によっては拘束)する。 その上で、A~B-4での出来事について聞く。 2 :ハルヒ達を捜し出し、共に病院へと向かう。 3 :病院に人が集まったら、改めて詳しい情報交換を行う。 4 :ハルヒからインスタントカメラを借りてロケ地巡りをやり直す。 5 :情報および協力者の収集、情報端末の入手。 6 :エルルゥの捜索。 [備考] ※風、次元と探している参加者について情報交換済み。 【カズマ@スクライド】 [状態]:気絶、中程度の疲労、全身に重度の負傷(一部処置済) [装備]:なし [道具]:なし [思考・状況] :………… 【B-5/2日目/深夜】 【峰不二子@ルパン三世】 [状態]:軽度の擦過傷 [装備]:コルトSAA(弾数:4/6発/予備弾:12発) 、銭型変装セット@ルパン三世(付けているのは衣服のみ) [道具]:デイバック×7、支給品一式×7(食料6食分消費、水1/10消費)、ダイヤの指輪 高性能デジタルカメラ(記憶媒体はSDカード)、携帯電話(各施設の番号が登録済み)、のろいウサギ@魔法少女リリカルなのはA's 鶴屋の巾着袋(支給品一式と予備の食料・水が入っている)、ボディブレード@クレヨンしんちゃん、かなみのリボン@スクライド コルトM1917(残り3発)、ワルサーP38(0/8)@ルパン三世、ホ○ダのスーパーカブ(使用不能)、E-6駅・F-1駅の電話番号のメモ コルトM1917の弾丸(残り6発) スーパーピンチクラッシャーのオモチャ@スクライド、USSR RPG7(残弾1) RPG-7スモーク弾装填(弾頭:榴弾×2、スモーク弾×1、照明弾×1)、スコップ、暗視ゴーグル(望遠機能付き) ハーモニカ、デジヴァイス@デジモンアドベンチャー、真紅のベヘリット@ベルセルク、ぶりぶりざえもんのデイパック(中身なし) タヌ機(1回使用可能)@ドラえもん、クロスボウ、インスタントカメラ×2(内一台は使いかけ)、トグサが書いた首輪の情報等が書かれたメモ1枚 【薬局で入手した薬や用具】 鎮痛剤/解熱剤/胃腸薬/下剤/利尿剤/ビタミン剤/滋養強壮薬 抗生物質/治療キット(消毒薬/包帯各種/鋏/テープ/注射器)/虫除けスプレー ※種類別に小分けにしてあります。 [思考] 基本:優勝して生き残る。自己の安全を最優先。利用できるものはなんでも利用する。 1 :できるだけA~B-4から離れる。 2 :参加者を殺害し人数を減らす。 ※弱者優先。闇討ちなどの効率の良い手法を取りたい。 3 :カズマや劉鳳など、人間を超越したような輩には手出ししない。 4 :F-1の瓦礫に埋もれたデイバッグはいつか回収したい。 [備考] ※E-4の爆発について、劉鳳の主観を元にした説明を聞きました。 ※「なくても見つけ出す!」にて、ドラえもんたちがしていた会話の一部始終を盗聴していました。 ※着せ替えカメラの効果により、本来身に付けていた服は一時的に消失しています。 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ 男の背には、あまりにも多くの死が積み重なっていた。 かなみ。 鶴屋。 君島。 ヴィータ。 太一。 クーガー。 なのは。 そして、ヤマト。 嗚呼、男は何も得ること叶わず、何も守ること叶わず。 ただひたすらに失い続ける。 その果てに、何があるのか。 何もありはしない。 ないからこそ―― &color(red){【石田ヤマト@デジモンアドベンチャー 死亡】} &color(red){[残り27人]} *時系列順で読む Back:[[共有]] Next:[[Luna rainbow]] *投下順で読む Back:[[のこされたもの(狂戦士)]] Next:[[Luna rainbow]] |235:[[孤城の主(後編)]]|トグサ|248:[[「選んだら進め。進み続けろ」]]| |234:[[峰不二子の暴走Ⅱ]]|カズマ|248:[[「選んだら進め。進み続けろ」]]| |234:[[峰不二子の暴走Ⅱ]]|峰不二子|249:[[道]]| |234:[[峰不二子の暴走Ⅱ]]|&color(red){石田ヤマト}||